特許第5912741号(P5912741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5912741接合シート、電子部品およびその製造方法
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  • 特許5912741-接合シート、電子部品およびその製造方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912741
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】接合シート、電子部品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/14 20060101AFI20160414BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20160414BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20160414BHJP
   B23K 35/363 20060101ALI20160414BHJP
   B23K 35/26 20060101ALI20160414BHJP
   C22C 12/00 20060101ALI20160414BHJP
   B23K 3/06 20060101ALI20160414BHJP
   B23K 101/42 20060101ALN20160414BHJP
【FI】
   B23K35/14 D
   H05K3/32 B
   H05K3/34 512C
   B23K35/363 D
   B23K35/26 310C
   C22C12/00
   B23K3/06 G
   B23K101:42
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-72147(P2012-72147)
(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-202632(P2013-202632A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】江部 宏史
(72)【発明者】
【氏名】古川 佳宏
【審査官】 静野 朋季
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−184694(JP,A)
【文献】 特開2011−020157(JP,A)
【文献】 特開昭63−254792(JP,A)
【文献】 特開昭62−127194(JP,A)
【文献】 特開昭50−092249(JP,A)
【文献】 特公昭39−029084(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/00−35/40
B22F 1/00−8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ粒子、熱可塑性樹脂、および、前記はんだ粒子を活性化可能な活性剤を含有するはんだ層と、
前記はんだ層の少なくとも厚み方向一方面に積層され、熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂含有層と
を備え
前記はんだ層において、熱硬化性樹脂の含有割合が、5体積%以下であることを特徴とする、接合シート。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂含有層が、熱可塑性樹脂をさらに含有し、
前記熱硬化性樹脂含有層に対する前記熱硬化性樹脂の含有割合が、10体積%を超過し、47.5体積%未満であることを特徴とする、請求項1に記載の接合シート。
【請求項3】
前記はんだ層に対する前記はんだ粒子の含有割合が、40体積%を超過し、90体積%未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載の接合シート。
【請求項4】
前記活性剤が、カルボン酸であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接合シート。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接合シート。
【請求項6】
前記はんだ粒子が、錫−ビスマス合金からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接合シート。
【請求項7】
前記熱硬化性樹脂含有層が、硬化剤および硬化促進剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接合シート。
【請求項8】
前記熱硬化性樹脂含有層が、前記はんだ層の前記厚み方向他方面にも積層されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の接合シート。
【請求項9】
対応する端子が互いに間隔を隔てて対向配置されるように配置された2つの配線回路基板の間に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接合シートが配置された積層体を用意する工程と、
はんだ粒子の融点以上の温度に前記積層体を加熱する工程と
を備えることを特徴とする、電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合シート、電子部品およびその製造方法、詳しくは、接合シート、それを用いる電子部品の製造方法、および、それにより得られる電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの配線回路基板の端子間の接合において、錫−ビスマス系などのはんだからなるはんだ粒子およびカルボン酸などの活性剤を含有するはんだペーストを用いることが知られている。錫−ビスマス系はんだ粒子は、低い温度で溶融可能であるものの、それが加熱され、溶融することにより形成されるはんだ接合部は、低衝撃性であり、接合信頼性が低いため、これを改良すべく、上記はんだペーストにエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂を含めたはんだペーストが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1では、はんだペーストを端子の表面に、スクリーン印刷などによって塗布し、次いで、別の端子をはんだペーストに接触させ、その後、加熱する。これによって、はんだ粒子が、活性剤によって容易に溶融し、かかるはんだ粒子から形成されるはんだ接合部と、はんだ接合部の周囲に形成され、熱硬化性樹脂が硬化され、はんだ接合部を補強する樹脂層とが形成されて、2つの端子がはんだ接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−150413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、熱硬化性樹脂が、加熱前または加熱中に、活性剤と反応し、そのため、活性剤が失活する場合がある。その結果、加熱時に、はんだ粒子の溶融が不十分となり、はんだ接合部を形成できず、得られる電子部品の信頼性が低下するという不具合を生じる。
【0006】
また、近年、電子部品の端子の微細化が進んでいることから、特許文献1のようにはんだペーストを用いて印刷する場合には、印刷の微細技術も必要になり、工業的負荷が高くなるという不具合がある。
【0007】
本発明の目的は、はんだ溶融が良好であり、接合強度に優れ、かつ、簡易にはんだ接合が可能な接合シート、電子部品およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の接合シートは、はんだ粒子、熱可塑性樹脂、および、前記はんだ粒子を活性化可能な活性剤を含有するはんだ層と、前記はんだ層の少なくとも厚み方向一方面に積層され、熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂含有層とを備えることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の接合シートでは、前記熱硬化性樹脂含有層が、熱可塑性樹脂をさらに含有し、前記熱硬化性樹脂含有層に対する前記熱硬化性樹脂の含有割合が、10体積%を超過し、47.5体積%未満であることが好適である。
【0010】
また、本発明の接合シートでは、前記はんだ層に対する前記はんだ粒子の含有割合が、40体積%を超過し、90体積%未満であることが好適である。
【0011】
また、本発明の接合シートでは、前記活性剤が、カルボン酸であることが好適である。
【0012】
また、本発明の接合シートでは、前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含有することが好適である。
【0013】
また、本発明の接合シートでは、前記はんだ粒子が、錫−ビスマス合金からなることが好適である。
【0014】
また、本発明の接合シートでは、前記熱硬化性樹脂含有層が、硬化剤および硬化促進剤をさらに含有することが好適である。
【0015】
また、本発明の接合シートでは、前記熱硬化性樹脂含有層が、前記はんだ層の前記厚み方向他方面にも積層されていることが好適である。
【0016】
また、本発明の電子部品の製造方法は、対応する端子が互いに間隔を隔てて対向配置されるように配置された2つの配線回路基板の間に、前記接合シートが配置された積層体を用意する工程と、はんだ粒子の融点以上の温度に前記積層体を加熱する工程とを備えることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の電子部品は、上記した電子部品の製造方法により得られることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の接合シートは、はんだ粒子、熱可塑性樹脂および活性剤を含有するはんだ層と、熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂含有層とを備える。つまり、活性剤と熱硬化性樹脂とが別々の層に含有されている。そのため、それらの反応に起因する活性剤の失活を抑制でき、はんだ粒子の溶融(はんだ溶融)が良好であり、はんだ材料からなるはんだ接合部を確実に形成できる。
【0019】
また、熱硬化性樹脂が硬化された硬化層によって、はんだ接合部を補強することができ、接合強度を向上させることができる。
【0020】
本発明の電子部品の製造方法では、2つの配線回路基板の間に上記した接合シートを配置して、積層体を用意し、その後、積層体を加熱する。そのため、高度な印刷技術を用いずに、接合シートによって2つの配線回路基板を簡便に接合できるとともに、良好なはんだ溶融が可能となり、各端子を電気的に接続するはんだ接合部を確実に形成することができる。
【0021】
また、本発明の電子部品は、接合強度に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の電子部品の製造方法の一実施形態を説明する工程図であり、(a)は、接合シートおよび配線回路基板を用意する工程、(b)は、接合シートと配線回路基板とを積層する工程、(c)は、接合シートと配線回路基板とを圧着する工程、(d)は、接合シートと配線回路基板をはんだ接合する工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の接合シートは、はんだ層と、はんだ層の少なくとも厚み方向一方面に積層される熱硬化性樹脂含有層とを備える。
【0024】
はんだ層は、はんだ組成物からシート状に形成されている。はんだ組成物は、はんだ粒子、熱可塑性樹脂、および、はんだ粒子を活性化可能な活性剤を含有する。
【0025】
はんだ粒子は、熱可塑性樹脂中に分散されており、はんだ粒子を形成するはんだ材料は、例えば、環境適正の観点から、鉛を含有しないはんだ材料(鉛フリーはんだ材料)が挙げられ、具体的には、錫−ビスマス合金(Sn−Bi)、錫−銀−銅合金(Sn−Ag−Cu)などの錫合金が挙げられる。低温接合の観点から、好ましくは、錫−ビスマス合金が挙げられる。
【0026】
錫−ビスマス合金における錫の含有割合は、例えば、10〜50質量%、好ましくは、25〜45質量%であり、ビスマスの含有割合は、例えば、50〜90質量%、好ましくは、55〜75質量%である。
【0027】
はんだ材料の融点(はんだ粒子の融点)は、例えば、240℃以下であり、好ましくは、200℃以下であり、また、例えば、100℃以上であり、好ましくは、130℃以上である。はんだ材料の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。
【0028】
はんだ粒子の形状としては、特に限定されず、例えば、球形状、板形状、針形状などが挙げられ、好ましくは、球形状が挙げられる。
【0029】
はんだ粒子の最大長さの平均値(球形状の場合には、平均粒子径)は、例えば、10〜50μm、好ましくは、20〜40μmである。はんだ粒子の最大長さの平均値が上記範囲に満たない場合には、加熱溶融時にはんだ粒子同士が接触しにくく、溶け残りが存在する場合がある。一方、はんだ粒子の最大長さの平均値が上記範囲を超える場合には、接合シートの薄型化が困難となる場合がある。
【0030】
最大長さの平均値は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定される。
【0031】
はんだ粒子の表面は、一般的に、はんだ材料の酸化物からなる酸化膜で被覆されている。その酸化膜の厚みは、例えば、1〜20nmである。
【0032】
はんだ組成物(つまり、はんだ層)に対するはんだ粒子の含有割合は、例えば、40体積%を超過し、90体積%未満であり、好ましくは、50体積%以上80体積%以下である。上記範囲に満たない場合には、はんだ粒子同士が溶融した際に互いに接触することができず、凝集できない場合がある。一方、上記範囲を超える場合には、はんだ粒子のはんだ層に対する充填が困難であり、はんだ組成物をシート状のはんだ層へ加工することが困難となる場合がある。
【0033】
はんだ粒子は、単独使用または2種以上を併用することができる。
【0034】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など)、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルスルホン、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミノビスマレイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリメチルペンテン、フッ化樹脂、液晶ポリマー、オレフィン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー、ポリアリレート、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体などが挙げられる。
【0035】
熱可塑性樹脂として、好ましくは、アクリル樹脂、ポリエステルなどが挙げられ、さらに好ましくは、アクリル樹脂が挙げられる。
【0036】
アクリル樹脂は、アクリル系ポリマーからなり、そのようなアクリル系ポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどの炭素数1〜12のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含有するモノマーの重合体である。モノマーは、単独使用または併用することができる。
【0037】
アクリル系ポリマーとして、市販品を用いることができ、具体的には、LAポリマー(クラレ社製)、SG−700AS(ナガセケムテックス社製)、UC−3510(東亞合成社製)などが挙げられる。
【0038】
熱可塑性樹脂の軟化温度は、例えば、80〜140℃であり、好ましくは、100〜130℃である。
【0039】
これらの熱可塑性樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0040】
はんだ組成物(つまり、はんだ層)に対する熱可塑性樹脂の含有割合は、例えば、10体積%を超過し、60体積%未満であり、好ましくは、20体積%以上50体積%以下である。
【0041】
活性剤は、はんだ粒子を加熱により溶融させるはんだ溶融時に、はんだ粒子を活性化できる化合物であり、例えば、はんだ溶融時に、はんだ粒子の表面にある酸化膜を除去できる化合物であれば限定的されず、例えば、カルボン酸、アミン、アミン塩などが挙げられ、好ましくは、カルボン酸などが挙げられる。
【0042】
カルボン酸として、例えば、2−フェノキシ安息香酸などの芳香族系モノカルボン酸、例えば、フタル酸などの芳香族系ジカルボン酸などの芳香族系カルボン酸が挙げられる。また、カルボン酸として、例えば、プロピオン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸などの脂肪族系モノカルボン酸、例えば、セバシン酸、アジピン酸、スベリン酸などの脂肪族系ジカルボン酸などの脂肪族系カルボン酸も挙げられる。好ましくは、芳香族系カルボン酸、さらに好ましくは、芳香族系モノカルボン酸が挙げられる。
【0043】
アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0044】
アミン塩としては、例えば、ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩などが挙げられる。
【0045】
活性剤の含有割合は、はんだ粒子100質量部に対して、例えば、0.05〜10質量部、好ましくは、0.1〜5質量部である。
【0046】
活性剤は、はんだ層に含有されることにより、はんだ粒子の表面の酸化膜を除去して、はんだ材料の融点にてはんだ粒子を溶融させることができる。
【0047】
はんだ組成物は、必要により、上記成分以外に、例えば、はんだ粒子と熱可塑性樹脂との密着強度を向上させる観点から、シランカップリング剤などの添加剤を適宜の割合で含有することができる。
【0048】
一方、はんだ組成物は、好ましくは、熱硬化性樹脂を実質的に含有しない。つまり、はんだ組成物は、はんだ粒子、熱可塑性樹脂および活性剤(ならびに、必要に応じて含有される添加剤)のみからなる。これにより、仮に同一層(はんだ層)に存在すれば生じる活性剤(具体的には、カルボン酸など)と熱硬化性樹脂(具体的には、後述するエポキシ樹脂など)との反応による活性剤の失活を抑制でき、活性剤による良好なはんだ溶融が可能となる。熱硬化性樹脂を実質的に含有しないとは、はんだ組成物に対する熱硬化性樹脂の含有割合が、例えば、5体積%以下であり、好ましくは、1体積%未満、さらに好ましくは、0.5体積%未満であることを包含する。熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂含有層で後述する熱硬化性樹脂である。
【0049】
熱硬化性樹脂含有層は、はんだ層の両面(厚み方向の一方面および他方面)または片面(厚み方向一方面)に形成されている。各熱硬化性樹脂含有層は、熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物からシート状に形成されている。
【0050】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリエステル、熱硬化性ポリイミド、熱硬化性ポリウレタンなどが挙げられる。好ましくは、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタンが挙げられ、とりわけ好ましくは、エポキシ樹脂挙げられる。
【0051】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性ビスフェノール型エポキシ樹脂など)、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂など)、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂(例えば、ビスアリールフルオレン型エポキシ樹脂など)、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(例えば、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂など)などの芳香族系エポキシ樹脂、例えば、トリエポキシプロピルイソシアヌレート(トリグリシジルイソシアヌレート)、ヒダントインエポキシ樹脂などの含窒素環エポキシ樹脂、例えば、脂肪族系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂(例えば、ジシクロ環型エポキシ樹脂など)、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0052】
エポキシ樹脂として、好ましくは、芳香族系エポキシ樹脂、さらに好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、とりわけ好ましくは、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0053】
エポキシ樹脂は、市販品を用いることができ、具体的には、YSLV−80XY(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、新日鐵化学社製)などが用いられる。
【0054】
これらの熱硬化性樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0055】
熱硬化性樹脂が硬化し始める硬化温度は、次に説明する硬化剤の種類などによって適宜設定され、例えば、100〜200℃、好ましくは、150〜180℃である。
【0056】
熱硬化性樹脂組成物(つまり、熱硬化性樹脂含有層)に対する熱硬化性樹脂の含有割合は、例えば、10体積%を超過し、47.5体積%未満であり、好ましくは、15体積%以上45体積%以下である。この含有割合が上記範囲を下回る場合には、はんだ接合後のはんだ接合部7(後述、図1(d)参照。)に対する十分な補強効果が得られない場合がある。一方、この含有割合が上記範囲を上回る場合には、熱硬化性樹脂組成物をシート状の熱硬化性樹脂含有層に成形することが困難となる場合がある。
【0057】
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、硬化剤および硬化促進剤を含有することができる。
【0058】
硬化剤は、熱硬化性樹脂の種類などに応じて適宜決定されるが、例えば、フェノール樹脂、アミン類、チオール類などが挙げられ、好ましくは、フェノール樹脂が挙げられる。
【0059】
フェノール樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドとを酸性触媒下で縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、例えば、フェノールとジメトキシパラキシレンまたはビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂などが挙げられる。
【0060】
好ましくは、フェノール・アラルキル樹脂が挙げられる。フェノール・アラルキル樹脂は、市販品を用いることができ、具体的には、MEH−7851SS、MEHC−7800H(以上、明和化成社製)などが用いられる。
【0061】
熱硬化性樹脂組成物に対する硬化剤の含有割合は、例えば、10体積%を超過し、47.5体積%未満であり、好ましくは、15体積%以上45体積%以下である。また、硬化剤の含有割合は、熱硬化性樹脂100体積部に対して、例えば、10〜200体積部、好ましくは、50〜150体積部である。
【0062】
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、イミダゾリン化合物、有機ホスフィン化合物、酸無水物化合物、アミド化合物、ヒドラジド化合物、ユリア化合物などが挙げられる。好ましくは、イミダゾール化合物が挙げられる。
【0063】
イミダゾール化合物としては、例えば、2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられる。
【0064】
硬化促進剤の含有割合は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、0.5〜20質量部、好ましくは、1〜10質量部である。
【0065】
熱硬化性樹脂組成物は、好ましくは、熱可塑性樹脂をさらに含有する。熱可塑性樹脂は、はんだ層で例示した熱可塑性樹脂と同様のものを用いることができる。
【0066】
熱硬化性樹脂組成物に対する熱可塑性樹脂の割合は、例えば、5体積%を超過し、80体積%未満であり、好ましくは、10体積%以上70体積%以下である。
【0067】
熱硬化性樹脂組成物は、必要により、添加剤を含有することができる。
【0068】
一方、熱硬化性樹脂組成物は、好ましくは、活性剤を実質的に含有しない。つまり、硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(ならびに、必要に応じて含有される硬化剤、硬化促進剤、熱可塑性樹脂、および、添加剤)のみからなる。これにより、仮に同一層(熱硬化性樹脂含有層)に存在すれば生じる熱硬化性樹脂(具体的には、エポキシ樹脂など)と活性剤(具体的には、カルボン酸など)との反応による活性剤の失活を抑制でき、活性剤による良好なはんだ溶融が可能となる。活性剤を実質的に含有しないとは、熱硬化性樹脂組成物に対する活性剤の含有割合が、例えば、5質量%以下であり、好ましくは、1質量%未満、さらに好ましくは、0.5質量%未満であることを包含する。活性剤は、はんだ層で上記した活性剤である。
【0069】
そして、接合シートを得るには、まず、はんだ層および熱硬化性樹脂含有層を作製する。
【0070】
はんだ層を作製するには、まず、例えば、上記したはんだ粒子、熱可塑性樹脂および活性剤、ならびに、必要により含有される添加剤を、例えば、混練機などによって混練して、はんだ組成物を混練物として調製する。
【0071】
混練温度は、はんだ粒子の融点未満であって、熱可塑性樹脂の軟化温度以上であればよく、具体的には、例えば、80〜135℃、好ましくは、100〜130℃である。
【0072】
次いで、混練物を、例えば、カレンダーロール、プレス、押出成形などの方法により、シート状に成形する。成形温度は、例えば、80〜135℃、好ましくは、100〜130℃である。これにより、はんだ層を形成する。
【0073】
はんだ層の厚みは、例えば、10〜200μm、好ましくは、20〜100μmである。厚みが上記範囲を下回る場合には、はんだ粒子の平均粒子径よりもはんだ層が薄くなるため、はんだ層をシート状に加工することが困難となる場合がある。一方、厚みが上記範囲を上回る場合には、コストの点で不利となる場合がある。
【0074】
また、熱硬化性樹脂含有層を作製するには、上記した熱硬化性樹脂、ならびに、必要により含有される硬化剤、硬化促進剤、熱可塑性樹脂および添加剤を、例えば、溶媒(例えば、メチルエチルケトン、アセトンなどの有機溶媒)に配合して、ワニスを調製する。
【0075】
溶媒の配合割合は、例えば、熱硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、10〜1000質量部である。
【0076】
次いで、ワニスを、基材の表面に塗布し、その後、乾燥させる。乾燥温度は、例えば、80〜135℃、好ましくは、100〜130℃である。
【0077】
基材は、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルなどの合成樹脂のシートから形成される。基材の表面は、必要に応じて、離型処理することができる。
【0078】
これによって、熱硬化性樹脂組成物をシート状に成形して、基材に積層される熱硬化性樹脂含有層を形成する。シート状の熱硬化性樹脂含有層は、好ましくは、Bステージ状態(半硬化状態)である。
【0079】
熱硬化性樹脂含有層の厚みは、例えば、1〜50μmであり、好ましくは、2〜25μmである。厚みが上記範囲を下回る場合には、はんだ接合部の補強に十分な効果が得られない場合がある。一方、厚みが上記範囲を上回る場合には、はんだ溶融による端子間のはんだ接合が不十分となる場合がある。
【0080】
その後、はんだ層と熱硬化性樹脂含有層とを積層する。具体的には、はんだ層と熱硬化性樹脂含有層とを貼り合わせる。熱硬化性樹脂含有層が、基材の表面に形成される場合には、熱硬化性樹脂含有層がはんだ層と接触するように貼り合わせる。これにより、接合シートを得る。
【0081】
図1は、本発明の電子部品の一実施形態を説明する工程図であり、(a)は、接合シートおよび配線回路基板を用意する工程、(b)は、接合シートと配線回路基板とを積層する工程、(c)は、接合シートと配線回路基板とを圧着する工程、(d)は、接合シートと配線回路基板をはんだ接合する工程を示す。
【0082】
次に、接合シートを導電性接合シートとして用いて電子部品を製造する方法を、図1を参照して説明する。
【0083】
この方法では、まず、図1(a)に示すように、2つの配線回路基板2および接合シート5を用意する。
【0084】
各配線回路基板2は、基板15と、その表面に設けられ、端子1を有する配線回路とを備える。基板15は、平板状をなし、絶縁基板などから形成されている。端子1は、金属からなり、互いに間隔を隔てて複数配置されている。端子1の最大長さは、例えば、
50〜1000μmである。端子1間の間隔は、例えば、50〜1000μmである。
【0085】
接合シート5は、はんだ層3と、その両面に積層された熱硬化性樹脂含有層4とを備えている。接合シート5を用意するには、まず、熱硬化性樹脂含有層4が基材20の表面に形成される場合には、基材20の表面に形成される熱硬化性樹脂含有層4を2つ用意するとともに、はんだ層3を用意する。次いで、はんだ層3を2つの熱硬化性樹脂含有層4によって、挟み込むことにより、3層構造の接合シート5を用意する。
【0086】
その後、矢印に示すように、基材20を熱硬化性樹脂含有層4から引き剥がす。
【0087】
次いで、図1(b)に示すように、配線回路基板2と接合シート5とを積層する。すなわち、まず、図1(a)に示すように、2つの配線回路基板2を、厚み方向(図1の上下方向)に、間隔を隔てて配置する。具体的には、上側の配線回路基板2の端子1と下側の配線回路基板2の端子1とが厚み方向に対向配置されるように、2つの配線回路基板2を対向配置する。続いて、接合シート5を2つの配線回路基板2の間に挿入する。
【0088】
次いで、図1(b)に示すように、2つの配線回路基板2を互いに近接させて、配線回路基板2を接合シート5に接触させる。具体的には、上側の配線回路基板2の端子1の表面12と、上側の熱硬化性樹脂含有層4の表面とを接触させるとともに、下側の配線回路基板2の端子1の表面12と、下側の熱硬化性樹脂含有層4の表面とを接触させる。これにより、積層体6を得る。
【0089】
次いで、必要に応じて、図1(c)に示すように、接合シート5と配線回路基板2とを圧着する。好ましくは、積層体6を熱圧着する。
【0090】
すなわち、積層体6をはんだ粒子9の融点未満の温度にて加熱しながら、2つの配線回路基板2を接合シート5に向けて押圧する。
【0091】
これにより、接合シート5の熱硬化性樹脂含有層4が溶融または流動し、端子1が熱硬化性樹脂含有層4中に埋設される。つまり、端子1の表面12および側面13が熱硬化性樹脂含有層4に被覆される。
【0092】
これとともに、端子1から露出する基板15の表面14が熱硬化性樹脂含有層4に被覆される。
【0093】
熱圧着の温度は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの種類に応じて適宜決定すればよいが、例えば、100〜140℃であり、好ましくは、110〜135℃である。圧力は、例えば、0.05〜10MPa、好ましくは、0.1〜5MPaである。
【0094】
次いで、この方法では、図1(d)に示すように、積層体6を加熱する。
【0095】
加熱温度は、はんだ粒子9の融点以上の温度、すなわち、はんだ粒子9が活性剤の存在により溶融する温度であり、はんだ材料、活性剤などの種類に応じて適宜決定すればよい。具体的には、140〜200℃、好ましくは、150〜180℃である。
【0096】
これによって、2つの配線回路基板2が、接合シート5により接合されるとともに、各配線回路基板2に対応する各端子1が、互いに電気的に接続される。
【0097】
つまり、端子1が厚み方向にはんだ接合される。具体的には、熱可塑性樹脂中に分散するはんだ粒子9が、活性剤の活性により溶融し、厚み方向に対向する端子1の間に集まり(自己凝集)、はんだ接合部7(はんだ材料からなる部分)を形成する。一方、熱硬化性樹脂含有層4中の熱硬化性樹脂は、自己凝集するはんだ粒子9に追い出されて、はんだ接合部7の周辺に移動して、その後、熱硬化することにより、はんだ接合部7を補強する硬化層8を形成する。硬化層8は、好ましくは、Cステージ状態(完全硬化状態)である。
【0098】
はんだ接合部7は、厚み方向に沿って延びる略柱状をなし、接合シート5の厚み方向中央から、表側および裏側に向かって、厚み方向に直交する方向の断面積が次第に小さくなるように、形成される。また、はんだ接合部7の厚み方向一方面(表面)は、上側の端子1の表面12に接触している。また、はんだ接合部7の厚み方向他方面(裏面)は、下側の端子1の表面12と接触している。
【0099】
硬化層8は、端子1の側面13、および、端子1から露出する基板15の表面14と接着しながら、はんだ接合部7の周辺部に存在している。
【0100】
これにより、電子部品11を得る。
【0101】
そして、この接合シート5は、はんだ粒子9、熱可塑性樹脂および活性剤を含有するはんだ層3と、熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂含有層4とを備える。つまり、活性剤と熱硬化性樹脂とが別々の層(つまり、それぞれ、はんだ層と熱硬化性樹脂含有層と)に含有されている。したがって、加熱前または加熱中において、活性剤と熱硬化性樹脂との反応に起因する活性剤の失活を抑制できる。そのため、電子部品11のはんだ接合において、はんだ粒子9のはんだ溶融が良好となり、はんだ材料からなるはんだ接合部7を確実に形成できる。
【0102】
はんだ接合後は、熱硬化性樹脂が硬化された硬化層8がはんだ接合部7を補強するため、電子部品11の接合強度を向上させることができる。
【0103】
また、電子部品11を製造する方法では、接合シート5を加熱すると、はんだ粒子9が厚み方向に対向する端子1の間に自己凝集し、はんだ接合部7を形成するため、複雑な印刷技術を用いずに、端子1を簡便にはんだ接合することができる。また、端子1がはんだ接合された電子部品11は、はんだ接合部7の形成が良好であるため、信頼性に優れ、かつ、接合強度に優れている。
【0104】
なお、図1の実施形態では、配線回路基板2と接合シート5との積層において、接合シート5を2つの配線回路基板2の間に挿入しているが、例えば、図示しないが、一方の配線回路基板2の上に接合シート5を、熱硬化性樹脂含有層4と配線回路基板2の端子1とが接触するように積層し、その後、その接合シート5の上に、他方の配線回路基板2を、熱硬化性樹脂含有層4と端子1とが接合シート5に接触するように積層することもできる。つまり、一方の配線回路基板2の上に、接合シート5と他方の配線回路基板2とを順次積層することもできる。
【0105】
また、図1(a)の実施形態では、接合シート5を、はんだ層3の厚み方向一方面および他方面に熱硬化性樹脂含有層4が積層されている3層構造として説明しているが、例えば、図示しないが、はんだ層3の厚み方向一方面のみに熱硬化性樹脂含有層4が積層されている2層構造とすることもできる。この2層構造の接合シートの両面に2つの配線回路基板2を積層し、はんだ粒子の融点以上の温度で加熱することにより、電子部品11を得ることができる。
【0106】
この2層構造の接合シートを用いても、得られる電子部品11は、図1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例】
【0107】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何らそれらに限定されない。
【0108】
実施例1
アクリル樹脂(クラレ社製、LAポリマー、軟化温度110℃)と平均粒子径35μmのはんだ粒子(Sn/Bi=42質量%/58質量%、融点139℃、球形状)とを体積比50:50の比率で混合し、さらに、はんだ粒子100質量部に対して活性剤(2−フェノキシ安息香酸)1質量部を添加し、混練機により125℃で混合して混合物(はんだ組成物)を得た。得られた混合物を厚み50μmのシート状に125℃で成形し、はんだ層を作製した。
【0109】
一方、エポキシ樹脂(新日鐵化学社製、熱硬化性樹脂、「YSLV−80XY」、硬化温度150℃)、フェノール樹脂(明和化成社製、硬化剤、「MEH−7851SS」)およびアクリル樹脂(クラレ社製、熱可塑性樹脂、LAポリマー、軟化温度110℃)を体積比15:15:70の比率で混合し、さらに2−フェニル−4−メチルイミダゾール(硬化促進剤)を、エポキシ樹脂100質量部に対して5質量部混合し、メチルエチルケトンに溶解して、熱硬化性樹脂組成物のワニスを調製した。これを、PETフィルム(離型処理済み)の上に塗工し、乾燥し、厚み10μmの熱硬化性樹脂含有層(Bステージ状態)を作製した。
【0110】
上記はんだ層の両面に2つの熱硬化性樹脂含有層を積層し、熱硬化性樹脂含有層/はんだ層/熱硬化性樹脂含有層の3層構造を有する接合シートを得た。
【0111】
実施例2
熱硬化性樹脂組成物中の体積比率を、エポキシ樹脂:フェノール樹脂:アクリル樹脂=30:30:40に変更した以外は、実施例1と同様にして接合シートを得た。
【0112】
実施例3
熱硬化性樹脂組成物中の体積比率を、エポキシ樹脂:フェノール樹脂:アクリル樹脂=45:45:10に変更した以外は、実施例1と同様にして接合シートを得た。
【0113】
実施例4
はんだ組成物中の体積比率を、はんだ粒子:アクリル樹脂=75:25に変更した以外は、実施例1と同様にして接合シートを得た。
【0114】
実施例5
熱硬化性樹脂組成物中の体積比率を、エポキシ樹脂:フェノール樹脂:アクリル樹脂=30:30:40に変更した以外は、実施例4と同様にして接合シートを得た。
【0115】
実施例6
熱硬化性樹脂組成物中の体積比率を、エポキシ樹脂:フェノール樹脂:アクリル樹脂=45:45:10に変更した以外は、実施例4と同様にして接合シートを得た。
【0116】
実施例7
はんだ組成物中の体積比率を、はんだ粒子:アクリル樹脂=80:20に変更した以外は、実施例1と同様にして接合シートを得た。
【0117】
実施例8
熱硬化性樹脂組成物中の体積比率を、エポキシ樹脂:フェノール樹脂:アクリル樹脂=30:30:40に変更した以外は、実施例7と同様にして接合シートを得た。
【0118】
実施例9
熱硬化性樹脂組成物中の体積比率を、エポキシ樹脂:フェノール樹脂:アクリル樹脂=45:45:10に変更した以外は、実施例7と同様にして接合シートを得た。
【0119】
比較例1
はんだ組成物の調製において、2−フェノキシ安息香酸を混合せず、はんだ粒子とアクリル樹脂との体積比率をはんだ粒子:アクリル樹脂=60:40に変更し、かつ、熱硬化性樹脂組成物の調製において、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂の樹脂合計量100質量部に対して1質量部となる2−フェノキシ安息香酸をさらに混合した以外は、実施例2と同様にして接合シートを得た。
【0120】
比較例2
はんだ組成物の調製において、アクリル樹脂に代えてエポキシ樹脂(熱硬化性樹脂、YSLV−80XY)を混合し、その体積比率をはんだ粒子:エポキシ樹脂=40:60に変更した以外は実施例2と同様にして混合物を得て、接合シートを作製することを試みた。
【0121】
しかし、はんだ層をシート状に成形することができなかった。
【0122】
比較例3
はんだ層の作製において、2−フェノキシ安息香酸を混合せず、はんだ粒子とアクリル樹脂との体積比率をはんだ粒子:アクリル樹脂=60:40に変更し、かつ、熱硬化性樹脂含有層の作製において、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂の樹脂合計量100質量部に対して1質量部となる2−フェノキシ安息香酸をさらに混合し、体積比率をエポキシ樹脂:フェノール樹脂:アクリル樹脂=10:10:80に変更した以外は、実施例2と同様にして接合シートを得た。
【0123】
(性能試験)
シート成形
各実施例1〜9および比較例1〜3において、シート作製を試みた際に、はんだ層および熱硬化性樹脂含有層をシート状に成形できたものは○、はんだ層および/または熱硬化性樹脂含有層をシート状に成形できなかったものは×と評価した。
【0124】
はんだ溶融A
被着体として防錆処理を施していない銅箔を用い、2つの銅箔によって実施例1〜9および比較例1、3の接合シートを両側から挟み、125℃、1MPaで熱圧着後、160℃で30分加熱して、2つの銅箔をはんだ接合して、はんだ接合体を作製した。その後、はんだ接合体を、断面観察して、はんだ溶融の可否を確認した。はんだ溶融が確認できたものは○、確認できなかったものは×と評価した。
【0125】
接合強度A
はんだ溶融の評価にて作製した実施例1〜9および比較例1、3のはんだ接合体に対し、引き剥がし試験を行い、接合体の破壊モードを確認した。接合シートが凝集破壊している場合を接合強度が良好であるとみなして、○と評価し、銅箔と接合シートとの界面で破壊(界面破壊)している場合を×と評価した。
【0126】
上記試験結果を下記の表1および表2に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
実施例10(実施例1の接合シートのはんだ溶融Bおよび接合強度Bの性能試験)
基板と、その表面に形成され、銅からなる端子(端子間の間隔100μm)を有する配線回路とを備える配線回路基板2つを用意した(図1(a)参照)。この配線回路基板2つを、対応する端子が互いに間隔を隔てて対向配置されるように配置した後、その間に実施例1の接合シートを挿入し、接合シートと配線回路基板2つとを接触させて、積層体を得た(図1(b)参照)。次いで、得られた積層体を125℃、1MPaで熱圧着した(図1(c)参照)。その後、160℃で30分加熱することにより、電子部品を作製した(図1(d)参照)。
【0129】
この電子部品について、はんだ溶融を調べたところ、はんだ溶融が確認できた。また、引きはがし試験を実施したところ、接合強度は良好であった。
【符号の説明】
【0130】
1 端子
2 配線回路基板
3 はんだ層
4 熱硬化性樹脂含有層
5 接合シート
6 積層体
9 はんだ粒子
11 電子部品
図1