(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
<作業システム>
図1は本発明の適用例である作業システムAのレイアウト図である。作業システムAは、トレイT上の部品(不図示)に対して所定の作業や検査を行うシステムであり、本発明の一実施形態に係る搬送装置1及び搬送ユニット10を含む。部品は例えばICチップである。以下、作業システムAの動作について概説する。なお、各図においてX、Yは互いに直交する水平方向を示し、Zは上下方向を示す。
【0012】
搬送装置2aは例えばベルトコンベアであり、複数の部品を搭載したトレイTをY方向に搬送する。作業装置3は搬送装置2aの搬送経路の途中に配設されている。作業装置3は、搬送経路上で位置決めされて搬送が停止されたトレイT上の部品を取り出し、所定の作業を行ってトレイTに戻す。作業内容としては、例えば、部品の加熱、洗浄等が挙げられる。
【0013】
搬送装置4は、トレイTをY方向に搬送する搬送部4aと、搬送部4aをX方向に往復移動する駆動部4bと、を備える。搬送部4aは例えばベルトコンベアである。搬送部4aは搬送装置2aからトレイTを受け取り、待機装置5へトレイTを供給する。また、搬送部4aは待機装置5からトレイTを受け取り、搬送装置2bへ受け渡す。搬送装置2bは例えばベルトコンベアであり、空のトレイTや不良部品を搭載したトレイTをY方向に搬送する。
【0014】
待機装置5は例えばベルトコンベアを備え、搬送装置4から供給されたトレイTを待機装置5上に待機させる。移載装置6は、待機装置5に待機しているトレイT上の部品を検査装置7へ搬送する。移載装置6はガントリタイプのロボットであって、部品を把持するハンド部6aと、ハンド部6aをY方向に往復移動すると共にZ方向に昇降する移載機構6bと、移載機構6bをX方向に移動する一対の移載機構6cと、を備える。
【0015】
検査装置7は部品の検査や測定を行う。検査装置7での検査で不合格となった部品は、不良部品として、移載装置6によって待機装置5上のトレイTに戻される。合格した部品は、搬送ユニット10上で位置決めされているトレイTへ移載装置6によって搬送される。
【0016】
待機装置5上のトレイTに搭載されている全ての部品の検査が完了すると、待機装置5はトレイTを搬送装置4へ戻す。搬送装置4は待機装置5から戻されたトレイTを搬送装置2bへ搬送して受け渡すことになる。
【0017】
搬送装置2cは例えばベルトコンベアであり、空のトレイTを不図示のストッカから搬送装置8へ搬送する。搬送装置8はトレイTをY方向に搬送する搬送部8aと、搬送部4aをX方向に往復移動する駆動部8bと、を備える。搬送部8aは空のトレイTを各搬送ユニット10へ供給する。
【0018】
各搬送装置1は、複数の搬送ユニット10を備える。本実施形態の場合、2つの搬送装置1が駆動部8bのY方向両側に配置されており、各搬送装置1はX方向に配列された5台の搬送ユニット10を備える。
【0019】
各搬送ユニット10は、搬送装置8から空のトレイTが供給されると、まず、その位置決めを行う。その後、トレイTには移載装置6によって部品が搬送される。トレイT上の部品が所定数に達すると、トレイTを後続の装置9へ(Y方向に)搬送する。装置9は例えばトレイTのストッカである。
【0020】
このようにして作業システムAでは、部品に対する作業、検査、トレイTへの収納を自動化できる。
【0021】
<搬送装置>
図2は搬送装置1の斜視図である。搬送装置1は、複数の搬送ユニット10と搬送ユニット10が載置される載置台20と、を備える。載置台20はその表面が平坦な載置面をなしており、ここに搬送ユニット10が載置される。各
搬送ユニット10は、ねじ等の固定構造によって、固定解除自在に載置台20に固定される。
【0022】
載置台20は係合部材21を備える。本実施形態の場合、係合部材21は一つの搬送ユニット10に対して2つ割り当てられている。本実施形態の場合、係合部材21は載置面に立設した円柱体である。この係合部材21は、各搬送ユニット10の載置台20上における載置位置を規定する。つまり、搬送ユニット10の位置決めを行うための部材である。また、載置台20に対する搬送ユニット10の載置位置が位置決めされることにより、搬送ユニット10上で位置決めされるトレイTの載置台20に対する位置も位置決めされることになる。
【0023】
載置台20にネジによって
搬送ユニット10を固定する構成の場合、搬送ユニット10の載置台20に対するおおよその位置はネジを通す孔によって規定することができる。しかし、ネジを通す孔の位置や大きさの精度は余り高くはない。そこで、係合部材21を設けたことでトレイTの位置決め精度を向上できる。詳細は後述する。
【0024】
<搬送ユニット>
図3乃至
図5を参照して搬送ユニット10の構成を説明する。
図3は搬送ユニット10及びトレイTの斜視図である。
図4は搬送ユニット10の部分分解斜視図であり、主にベース部材11と搬送機構12とを示している。
図5は位置決め機構13の斜視図であり、
図5(A)は上から見た斜視図、
図5(B)は下から見た斜視図である。
【0025】
搬送ユニット10は、ベース部材11と、搬送機構12と、位置決め機構13と、ガイド部材14及び15と、を備える。
【0026】
ベース部材11は、搬送方向(Y方向)に延びる底壁111と、底壁111のX方向の両側部からそれぞれ起立した一対の側壁112、112と、側壁112、112の上部においてベース部材11の内側(対向する側壁112側)に突出した縁部113と、を備える。ベース部材11は、その断面形状が上部が開口するC字型をなし、全体として、Y方向両端部が開放した筒型をなしている。このため、ベース部材11の内側には内部空間が形成されている。ベース部材11は、例えば、金属板をプレス加工等により曲折して一体的に形成した部材とすることができる。
【0027】
縁部113、113上には、スペーサ14a、15aを挟んでガイド部材14、15が固定されている。ガイド部材14、15はトレイTの搬送時に、トレイTが蛇行しないよう、その移動を案内する。
【0028】
ここで、
図3に示すようにトレイTは全体として正方形の板状をなし、正方形の底板部Taと、底板部Taから1段高くなっている正方形のステージ部Tbとを一体に備えている。ステージ部Tbの上面には、部品が搭載される凹部Tcがマトリックス状に形成されている。ガイド部材14、15は、その内側側面の離間距離が、ステージ部Tbよりも僅かに広く設定されている。そして、ガイド部材14、15は、ステージ部Tb(の側面)を案内することでトレイTの蛇行を防止する。
【0029】
なお、ガイド部材14、15によって、ステージ部Tbではなく、底板部Taを案内することも可能である。
【0030】
スペーサ14a、15aはガイド部材14、15のZ方向の位置調整用の部材である。このスペーサ14a、15aによって、搬送機構12により搬送されるトレイTのステージ部TbのZ方向の位置(高さ)とガイド部材14、15との高さが合うように、ガイド部材14、15のZ方向の位置が調整される。ガイド部材14、15は、それぞれが固定されるスペーサ14a、15aからトレイTをガイドするガイド部が突出し、例えばねじ等の固定構造によって、固定解除自在に縁部113、113に固定される。そして、底板部Taをそれぞれのガイド部材14、15の下側に位置して搬送移動可能に構成する。
【0031】
本実施形態の場合、ガイド部材14は、載置台20の二つの係合部材21と係合する二つの被係合部142、142と、位置決め機構13による位置決めの基準となる位置決め基準部141と、を有しており、載置台20に対するトレイTの位置の基準となる基準部材となっている。
【0032】
被係合部142は半円形状の切り欠きであり、円柱体である係合部材21の周面が係合される。半円形状とすることで搬送ユニット10のY方向及びX方向の位置を規定し、二つの被係合部142を設けることで、搬送ユニット10の水平面における姿勢(方向)を規定することができる。このため、搬送ユニット10の交換作業を容易にする。
図9は搬送ユニット10の交換態様を示している。同図に示すように新しい搬送ユニット10を載置台20に搭載する際、係合部材21と被係合部142とを係合することで、載置台20に対する搬送ユニット10の位置合わせが完了する。この結果、搬送ユニット10上で位置決めされるトレイTの載置台20に対する位置合わせも完了することになる。したがって、搬送ユニット10の交換およびトレイTのX方向の位置合わせ作業を容易にする。なお、被係合部142は、半円形状の切り欠きとしているが、頂点を形成する二線を有する形状(V溝状)や、円形状としてもよい。
【0033】
位置決め基準部141は、後述する位置決め機構13によって、トレイTのステージ部Tbの一端縁を当接させることでその(X方向の)位置決めを行う。つまり、位置決め基準部141はトレイTの搬送をガイドすると共に、位置決め機構13の一部を構成している。
【0034】
位置決め基準部141や被係合部142は、それぞれ別々に構成することも可能である。しかし、本実施形態のように、一つのガイド部材14が位置決め基準部141と被係合部142とを備えたことにより、載置台20に対する搬送ユニット10の位置合わせと、トレイTを位置決めすべき位置の調整とを同時に行える、という利点がある。
【0035】
<搬送機構>
搬送機構12は、ベース部材11に支持され、搬送対象物であるトレイTを搬送する。本実施形態の場合、搬送機構12は、各側壁112の内側にそれぞれ支持された、一対のベルト伝動機構12a、12aを備える。側壁112の内側にベルト伝動機構12aを支持することにより、ベース部材11の内部空間に搬送機構12を収容することができ、搬送ユニット10のコンパクト化や一体化を図れる。
【0036】
ベルト伝動機構12aは、モータ等の駆動源121と、駆動源121に支持されると共に回転される駆動プーリ122と、従動プーリ123と、駆動プーリ122と従動プーリ123とに巻き回された無端ベルト124と、を備える。駆動プーリ122の回転により無端ベルト124が走行する。トレイTは無端ベルト124、124上に跨って載置され、無端ベルト124の走行によってY方向に搬送される。
【0037】
駆動源121は支持部材125に支持されている。支持部材125は取付部125aを備える。取付部125aは例えばネジ孔を有している。ベース部材11の側壁112には孔112bが設けられており、孔112bにボルト(図示せず)を挿入してボルトが取付部125aと螺合することで、支持部材125を側壁112に固定することができる。これにより、駆動源121及び駆動プーリ122を側壁112で支持することができる。
【0038】
従動プーリ123は軸部材126により回転自在に支持されている。軸部材126は例えばネジ孔を有している。ベース部材11の側壁112には孔112cが設けられており、孔112cにボルト(図示せず)を挿入してボルトが軸部材126と螺合することで、軸部材126を側壁112に固定することができる。これにより、従動プーリ123を側壁112で支持することができる。
【0039】
本実施形態の場合、駆動源121及び駆動プーリ122をベース部材11のY方向の一方端部側に配置し、従動プーリ12
3をベース部材11のY方向の他方端部側に配置している。この構成により、無端ベルト124の走行範囲を長くとることができ、搬送ユニット10のY方向一方端部から他方端部に渡ってトレイTを搬送することができる。
【0040】
また、一般に、モータ等の駆動源121はその占有スペースが大きい。本実施形態の場合、駆動源121をベース部材11のY方向の一方端部側に配置し、位置決め機構13を駆動源112よりも、ベース部材11のY方向の他方端部側に配置している。これにより、ベース部材11の内側の空間を効率的に利用でき、搬送ユニット10のコンパクト化を図ることができる。
【0041】
本実施形態では、駆動プーリ122よりも従動プーリ123を小径とすることで、従動プーリ123側ではベース部材11の内側の空間に他の構成を、より多く配設できるようにしている。つまり、位置決め機構13の配設スペースをより広く確保できるようにしている。その一方、トレイTを水平に搬送するため、無端ベルト124の上側走行部分124aは水平に、下側走行部分124bは斜めになるように、従動プーリ123の軸心の位置を、駆動プーリ122の軸心の位置よりも上側にずらした構成としている。
【0042】
なお、本実施形態では、搬送機構12をベルト伝動機構としたが、他の種類の搬送機構であってもよい。
【0043】
<位置決め機構>
位置決め機構13はベース部材11に支持され、搬送機構12で搬送されるトレイTをベース部材11に対して位置決めする。本実施形態の場合、位置決め機構13は、トレイTをX方向と、Y方向との双方についてその位置決めを行う。しかし、いずれか一方向のみ位置決めする構成としてもよい。
【0044】
本実施形態の場合、位置決め機構13は、Y方向にトレイTを位置決めする構成として、位置決め基準部134と、位置決め基準部134へ向かってトレイTを押圧する押圧機構131と、を備える。これらは搬送方向用の構成である。
【0045】
また、X方向にトレイTを位置決めする構成として、ガイド部材14に設けた位置決め基準部141と、位置決め基準部141へ向かってトレイTを押圧する押圧機構132と、を備える。これらは搬送方向に直交する直交方向用の構成である。
【0046】
本実施形態の場合、位置決め機構13は、押圧機構131と押圧機構132とで共通の駆動ユニット133を有している。押圧機構131と押圧機構132とで個別に駆動源を有する構成も採用可能であるが、駆動源を共通にすることで、駆動源1つ分の省スペース化、低コスト化を図ることができる。
【0047】
まず、位置決め基準部134と、押圧機構131とについて説明する。これらが位置決めする方向であるY方向はトレイTの搬送方向であるため、トレイTの搬送時にはトレイTと干渉しないようにする必要がある。
【0048】
位置決め基準部134は、トレイTの底板部Taの一端部がY方向から当接することでその位置決めを行う。本実施形態の場合、円柱状をなしている。位置決め基準部134は移動機構134aによりZ方向に移動される。移動機構134aはトレイTが当接しない退避位置とトレイTが当接する位置決め位置との間で位置決め基準部134を昇降移動する。退避位置は、搬送機構12によるトレイTの搬送位置(搬送高さ)よりも低い位置であり、
位置決め位置は位置決め基準部134がトレイTの搬送位置を横断する位置である。
【0049】
移動機構134aは例えばソレノイド等のアクチュエータであり、ベース部材11の底壁111に支持されている。トレイTを位置決めする場合には、位置決め基準部134を
位置決め位置に位置させ、それ以外の場合は退避位置に位置させる。
【0050】
押圧機構131は、トレイTの底板部Taの他端部にY方向から当接することでトレイTを位置決め基準部134へ押圧する当接部材1312を備える。当接部材1312はトレイTの底板部Taに当接する当接面1312aを有している。
図5(A)に示した当接部材1312の姿勢の場合、この当接面1312aはストッパ1315に当接した下向き状態にある。この下向き状態は、トレイTの搬送移動を阻害しない退避状態である。
【0051】
当接部材1312は、支持部材1314に回動自在に支持されている。詳細には、支持部材1314は一対の軸支持部材1313、1313を備え、軸支持部材1313、1313は軸1313aを支持している。軸1313aは当接部材1312を挿通しており、当接部材1312はこの軸1313aを回動中心として回動自在となっている。
【0052】
支持部材1314にはスリット1314bが形成されており、当接部材1312が軸1313aを回動中心として回動する際、当接部材1312はスリット1314bを通過可能となっている。
【0053】
スリット1314bにはストッパ1315が装着されている。ストッパ1315は当接部材1312と当接することにより、その回動を規制する。
【0054】
支持部材1314の下面には弾性部材1317が配置されている。弾性部材1317は本実施形態の場合、コイルスプリングである。弾性部材1317は、その一端が、固定部材1317aに固定され、その他端が固定部材1317bに固定されている。固定部材1317aは支持部材1314に固定され、固定部材1317bは当接部材1312に固定されている。したがって、弾性部材1317は、支持部材1314と当接部材1312との間に張設されていることになる。また、支持部材1314のX方向側の一方側面は、カム面となる係合部1314aを有している。係合部1314aは、当接部材1321を退避状態に位置決めする直線部と、位置決め状態に位置決めする凹部(直線部よりもガイド部材14側(
図3参照)に切欠かれた部分)とを有する。直線部と凹部とは、スロープ部を介して連続的に連絡されている。
【0055】
規制部材1311は、ベース部材11の底壁111に一端部が支持されており、他端部に当接部1311aを備える。当接部1311aは当接部材1312に当接して、その回動を規制する。
【0056】
駆動ユニット133は、その本体部がベース部材11の底壁111に固定されている一方、L字型の可動部133aをY方向に進退させるアクチュエータであり、例えば、電動シリンダである。可動部133aには支持部材1314が固定されており、支持部材1314は駆動ユニット133を介してベース部材11の底壁111に移動可能に支持されている。可動部133aのY方向の進退動作によって支持部材1314も進退する。その結果、当接部材1312もY方向に進退する。
【0057】
次に、押圧機構132について説明する。押圧機構132は、一対の当接部材1321、1321をY方向に離間して備える。各当接部材1321は、その上側の端部(一端部)に当接部1321aを有している。この当接部1321aは、その先端面が平面視円弧状の湾曲面に形成される。当接部1321aはX方向からトレイTのステージ部Tbの端縁(側面)に当接する。本実施形態では、トレイTのステージ部Tbの一側面に当接部1321aを当接する一方、トレイTのステージ部Tbの他側面を位置決め基準部141に当接させることで、当接部1321aと位置決め基準部141との間にトレイTを挟むようにしてそのX方向の位置決めを行う。
【0058】
各当接部材1321は、ベース部材11の底壁111に支持された支持機構1322によってX方向に移動可能に支持されている。支持機構1322は、ベース部材11の底壁111に固定され、X方向に延設されたレール部材1322aと、レール部材1322a上をスライド可能なスライド部材1322bと、を備える。当接部材1321の下側の端部(他端部)はスライド部材1322bに固定されており、スライド部材1322bと共にX方向に往復移動可能になっている。
【0059】
本実施形態の場合、各当接部材1321は、ベース部材11の側壁112を通過してベース部材11の外部に延設され、ベース部材11上に戻るようにC字型に湾曲している。詳細には、
図3に示すように、ベース部材11の一対の側壁112の一方には、当接部材1321、1321が通過可能な開口部112a、112aが形成されている。そして、
図4に示すように、ベース部材11の外側から、各当接部材1321の下側の端部が開口部112aに挿通され、スライド部材1322bに接続される。
【0060】
各当接部材1321をこのような形状とすることで、トレイTのX方向の位置決めを可能としながら搬送ユニット10をコンパクト化できる。しかも、各当接部材1321を除いて搬送機構12及び位置決め機構13をベース部材11の内部空間に収容し、これらを搬送ユニット10と一体化できる。これは搬送ユニット10の取り扱いを容易にする。
【0061】
図5を参照して、各当接部材1321には、カムフォロワ1323aを支持する支持部材1323が固定されており、カムフォロア1323aは実質的に当接部材1321の一部をなしている。カムフォロア1323aは、支持部材1314の係合部1314aと係合している。
【0062】
各当接部材1321は、各付勢機構1324により位置決め基準部141側(
図5中では支持部材1314側)へそれぞれ常時付勢されている。本実施形態の場合、付勢機構1324はスプリングプランジャであり、支持部材1325を介してベース部材11の底壁111に支持されている。付勢機構1324はそのシリンダ部が支持部材1325に固定され、そのプランジャ部が支持部材1323に当接して位置決め基準部141側へ押圧している。そのため、各当接部材
1321は、それぞれが独立してトレイTのステージ部Tbの一側部に当接し、適度な付勢力によりトレイTを位置決め基準部141に当接させることができる。なお、本実施形態では付勢機構1324をスプリングプランジャとしたが、付勢機構1324は当接部材1321とベース部材11との間に張設されたゴムやバネのみであってもよい。
【0063】
<位置決め機構の動作>
図6乃至
図8を参照して位置決め機構13によるトレイTの位置決め動作について説明する。
図6乃至
図8において、
図6(A)、
図7(A)及び
図8(A)は位置決め機構13の側面視図、
図6(B)、
図7(B)及び
図8(B)は位置決め機構13の平面視図である。なお、
図6乃至
図8においては位置決め基準部141の図示を省略している。また、
図6(B)、
図7(B)及び
図8(B)ではトレイTの図示を省略している。
【0064】
図6は位置決め前の状態を示しており、トレイTが新たに搬送されてきた状態を示している。なお、位置決め中は搬送機構12は停止され、トレイTは無端ベルト124、124に載置された状態となる。
【0065】
まず、主に
図6(A)を参照してY方向にトレイTを位置決めする位置決め基準部134及び押圧機構131に着目する。
【0066】
位置決め基準部134は退避位置にあり、トレイTと干渉しない位置にある。支持部材1314は同図で右側の後退位置に位置している。当接部材1312には同図で時計回りの回動力が弾性部材1317により常時付勢されている。しかし、規制部材1311により当接部材1312はその回動が規制され、当接面1312aがストッパ1315に当接した退避位置(水平姿勢状態)にある。この退避位置は当接部材1312がトレイTと干渉しない、トレイ搬送面よりも低い(底壁側の)位置である。
【0067】
次に、主に
図6(B)を参照してX方向にトレイTを位置決めする押圧機構132に着目する。各当接部材1321は、各付勢機構1324の付勢により同図で下側(X方向位置決め基準部側)に付勢されている。しかし、各カムフォロア1323aが係合部1314aの直線部と係合しているので、各当接部材1321は移動できず、退避位置にある。この退避位置においては、トレイTを位置決め基準部141に押圧できない。
【0068】
図7は位置決めを開始し始めた状態を示している。まず、主に
図7(A)を参照してY方向にトレイTを位置決めする位置決め基準部134及び押圧機構131に着目する。
【0069】
移動機構134aの作動により位置決め基準部134は位置決め位置に移動し、トレイTと干渉する位置にある。駆動ユニット133の駆動により可動部133aがY方向(位置決め基準部側)に(同図で左側に)伸長し始めている。このため、支持部材1314も後退位置から同図で左側に前進している。支持部材1314の前進により、当接部材1312も同図で左側に前進している。その一方、規制部材1311は前進せず、不動であるため、当接部材1312と規制部材1311とが離れ始める。この結果、弾性部材1317の付勢により、当接部材1312は同図で時計回りに回動し始めている。
【0070】
次に、主に
図7(B)を参照してX方向にトレイTを位置決めする押圧機構132に着目する。支持部材1314の移動により、各カムフォロア1323aと係合部1314aとの係合位置に変化はあるものの、各カムフォロア1323aは、依然として係合部1314aの直線部と係合しており、凹部には到達していない。したがって、各当接部材1321は退避位置のままである。
【0071】
図8は位置決めを行った状態を示している。まず、主に
図8(A)を参照してY方向にトレイTを位置決めする位置決め基準部134及び押圧機構131に着目する。
【0072】
位置決め基準部134は位置決め位置のままである。駆動ユニット133の駆動により可動部133aが
図7の状態から更にY方向に移動している。つまり、駆動ユニット133が全体として更に伸長している。このため、支持部材1314も後退位置から同図で左側に更に前進している。支持部材1314の更なる前進により、当接部材1312も同図で左側に更に前進している。当接部材1312と規制部材1311とが十分に離れ、この結果、弾性部材1317の付勢により、当接部材1312は同図で時計回りの回動を完了して位置決め位置に位置している。このとき、当接部材1312は直立姿勢状態にある。そして、当接面1312aがトレイTに当接して位置決め基準部134へトレイTを押圧している。この結果、トレイTのY方向の位置決めが完了する。
【0073】
次に、主に
図8(B)を参照してX方向にトレイTを位置決めする押圧機構132に着目する。支持部材1314の移動により、各カムフォロア1323aと係合部1314aとの係合位置が更に変化し、各カムフォロア1323aは係合部1314aの凹部に到達する。各当接部材1321は、各付勢機構1324の付勢により、同図で下側の位置決め位置に移動する。このとき、当接部1321aがトレイTのステージ部Tbに当接して位置決め基準部
141へトレイTを押圧することになる。この結果、トレイTのX方向の位置決めも完了する。
【0074】
こうして本実施形態ではトレイTのX方向、Y方向の位置決めが完了した状態(位置決め保持状態)となる。このため、
図1に示した移載装置6がトレイTの各凹部Tcに部品を搬送する際、その位置ずれを防止できる。その後、駆動ユニット133の駆動により可動部133aを後退させると、駆動ユニット133が全体として収縮するので、
図6の状態に戻り、駆動機構12によるトレイTの搬送が可能となる。すなわち、支持部材1314の後退により、各カムフォロア1323aは係合部1314aの凹部から離脱して直線部と係合され、各当接部材1321は係合部1314aから付勢機構1324の付勢方向と反対方向に移動して退避位置に戻ることになる。また、当接部材1312は規制部材1311との当接により退避位置に戻った状態(位置決め解除状態)となる。
【0075】
本実施形態では、支持部材1314の進退動作によって、当接部材1312をY方向に進退させると共に、その進退動作に連動して、トレイTが当接しない退避位置とトレイTが当接する位置決め位置との間で当接部材1312を移動(回動)させる構成とし、トレイTの搬送時には当接部材1312がトレイTの搬送を邪魔することがないようにした。支持部材1314、弾性部材1317や規制部材1311は、当接部材1312の進退移動に連動させて退避位置と位置決め位置との間で当接部材1312を移動(回動)させる駆動機構(或いは作動機構)を構成している。
【0076】
<搬送ユニット10のメンテナンス等>
本実施形態では、搬送ユニット10が、搬送機構12、位置決め機構13といった構成を備えながら、ベース部材11にコンパクトに一体に収めることができ、取り扱いが容易である。ある搬送ユニット10の搬送機構12や位置決め機構13のメンテナンスが必要となった場合には、搬送ユニット10ごと、別の搬送ユニット10に交換すればよい。搬送機構12、位置決め機構13とはともにベース部材11に支持されているので、搬送ユニット10が組み上がった状態で、搬送機構12と位置決め機構13との位置調整は完了している。
【0077】
よって、搬送ユニット10の交換作業においては、搬送機構12と位置決め機構13との位置調整を行う必要はない。したがって、作業システムAの稼働停止期間が長期化することを防止できる。
【0078】
また、搬送ユニット10の交換作業においては、載置台20に対するトレイTの僅かな位置調整作業は必要となるが、
図9に示したように、係合部材21と
係合する被係合部14
2をガイド部材14に設けることで、この僅かな位置調整作業も容易に調整可能(実質的に不要)となる。したがって、係合部材21と被係合部142とを設けた構成においては、搬送ユニット10の交換の度に、移載装置6に対して、凹部Tcの位置を認識させる位置教示作業を行う必要
がなく、作業システムAの稼働停止期間が長期化することを更に防止できる。
【0079】
<制御装置>
図10は作業システムAの制御装置200のブロック図である。制御装置200は上位のホストコンピュータ210からの指示にしたがって、作業システムA全体の制御を行う。制御装置200は、作業装置3、待機装置5、測定装置7、移載装置9、各搬送装置220に個別に設けられたコントローラに対して制御命令を出力してそれらの制御を行う。各搬送装置220には、
図1で説明した各搬送装置が含まれ、搬送ユニット10も含まれる。搬送ユニット10のコントローラは、搬送ユニット10単位で設けてもよいし、搬送装置1単位で設けてもよい。
【0080】
制御装置200は、処理部201と、記憶部202と、インターフェース部203と、を備え、これらは互いに不図示のバスにより接続されている。処理部201は記憶部202に記憶されたプログラムを実行する。処理部201は例えばCPUである。記憶部202は、例えば、RAM、ROM、ハードディスク等である。インターフェース部203には、処理部201とホストコンピュータ210との間の通信を司る通信インターフェースや、処理部201と各コントローラとの間の通信を司る通信インターフェース等が含まれる。
【0081】
記憶部202には、各搬送ユニット10の配置情報や稼働情報を記憶しておいてもよい。稼働情報には、その搬送ユニット10を使用可能な否かの情報を含めることができる。そして、故障や交換作業等により使用不能な搬送ユニット10には空のトレイTが搬送されないように制御することが好ましい。これにより、一部の搬送ユニット10の交換を行う場合、作業システムA全体が稼働停止となることを回避できる。また、移載装置6による各搬送ユニット10に位置決め保持されたトレイTの凹部Tcのそれぞれの位置を、予め教示し記憶部202に記憶させておくことで、検査装置7で検査したICチップを検査結果に基づいてそれぞれのトレイTの凹部Tcに収容することができる。
【0082】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、当接部材1321と支持機構1322とを2組み設け、各当接部材1321が独立して移動可能としたが、これらを一組としてもよい。
図11はその一例を示す。
【0083】
同図の例では、位置決め機構13Aは、一組の当接部材1321’と支持機構1322とを有している。当接部材1321’が一つであるため、カムフォロワ1323aとその支持部材1323も一つであり、付勢機構1324も一つである。また、カムフォロワ1323aが一つであるため、支持部材1314の係合部1314a’の形状が上記第1実施形態の係合部1314
aと異なっている。
【0084】
当接部材1321’は、L字型の本体部1321bと、軸1321dを介して本体部1321bに連結され、軸1321dを回動中心として回動自在なアーム部1321cと、アーム部1321cの両端部にそれぞれ固定された当接部形成部材1321e、1321eと、を備える。当接部1321aは当接部形成部材1321eの先端であり、先端部(当接部)は、湾曲状に形成される。位置決め機構13Aの他の構成は上記第1実施形態の位置決め機構13と同様である。
【0085】
本実施形態の場合、当接部材1321’と支持機構1322とは一組であるが、当接部1321aは上記第1実施形態と同様、2つある。上記第1実施形態のように各当接部1321aが独立して動くわけではないが、アーム部1321cが軸1321d回りに回動自在であるため、各当接部1321aの相対位置は変化可能となっている。このため、簡単な構成でありながら、トレイTのステージ部Tbに対する各当接部1321aの当接具合を均等にすることができる。
【0086】
<第3実施形態>
上記第1実施形態では、位置決め基準部134及び移動機構134aを搬送ユニット10に設けたが、搬送ユニット10の配設箇所となる載置台20の所定の位置に設けてもよい。
図12はその一例を示す。
【0087】
同図の例では、ベース部材11の底壁111に切り欠き状の開口部111aが形成されている。位置決め機構13Bは、位置決め基準部134’及び移動機構134a’以外の構成は位置決め機構13と同じである。位置決め基準部134’及び移動機構134a’は位置決め基準部134及び移動機構134aと同じ構成であるが、その配置のみ異なり、移動機構134a’は開口部111aにおいて載置台20に固定されている。このような構成によれば、搬送ユニット10の構成をよりシンプルなものとすることができる。また、更にトレイTの再位置合わせを容易にすることができる。
【0088】
<第4実施形態>
上記第1実施形態では、位置決め基準部134を移動機構134aにより移動可能としたが固定配置としてもよい。
図13はその位置例を示す。
【0089】
同図の例では、ガイド部材14が、位置決め基準部141に加えて位置決め基準部143を備える。位置決め基準部143は位置決め基準部134に代わる構成であり、本実施形態の位置決め機構13Cは移動機構134aを有しない。
【0090】
位置決め機構13Cによる位置決め動作は、上記第1実施形態と同様であるが、位置決め基準部143は不動であるため、トレイTは位置決め基準部143を超えて搬送できない。したがって、トレイTの搬送は、線L1で示す位置決め基準部143までの折り返し搬送となる。このような構成によれば、X方向およびY方向の基準位置の関係が一つの部材で設定されているので、更に搬送ユニット10の構成をよりシンプルなものとすることができる。また、更にトレイTの再位置合わせを容易にすることができる。
【0091】
<他の実施形態>
上記実施例の第1実施形態ないし第3実施形態においては、Y方向におけるトレイTの位置決めは、トレイTの搬送面より下方に位置決め基準部134及び移動機構134aを配置し、搬送軌道上に位置決め基準部134を突出させることでトレイTの底板部Taの一端部に当接させることで基準位置を規定していたが、トレイTの側方や上方に配置させて位置決め基準部134を搬送軌道上に突出させるようにしてもよい。トレイTの側方や上方に配置させることでトレイTのステージ部TbのY方向の一端部を当接させることが可能になり、さらにトレイTの位置決め精度を向上させることが可能になる。同様に上記実施例の第1実施形態ないし第4実施形態においては、Y方向におけるトレイTの位置決め時の付勢側となる押圧機構131の当接部材1312をトレイTの側方や上方に配置させて搬送軌道上に突出させるように構成してもよい。
【0092】
上記実施形態では、作業システムAに搬送装置1及び搬送ユニット10を適用した例を例示したが、本発明は各種のシステムに適用可能である。トレイTも搬送対象物の一例に過ぎない。