特許第5912774号(P5912774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912774
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】受圧構造物
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   E02D17/20 103H
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-81057(P2012-81057)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-209852(P2013-209852A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133294
【氏名又は名称】株式会社ダイクレ
(74)【代理人】
【識別番号】100079636
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 晃一
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 佳尚
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓之
(72)【発明者】
【氏名】家久 侑大
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−207113(JP,A)
【文献】 特開2003−082679(JP,A)
【文献】 特開2004−003257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/00−17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
法面に施工されるグラウンドアンカー工法において用いられる受圧構造物であって、植生が可能な格子状の受圧板と、該受圧板上に取付けられ、受圧板を法面に押付ける押え部材よりなり、該押え部材は前記受圧板の周縁を押える枠と、該枠とは別個に独立して分離可能で、かつ一対の平行なリブを前記受圧板上で井桁状に組合せて構成され、リブ両端前記枠を単に押える、前記受圧板を押えるための主部材と、主部材中央のリブで四辺を囲まれる矩形ないし菱形の開口部に取付けられ、アンカーの差込孔を備えた押え板よりなる受圧構造物において、前記リブは両端が鉤状をなして前記枠に被さり、該枠に嵌着した状態をなすことを特徴とする受圧構造物。
【請求項2】
前記受圧板及び枠は矩形であり、一対の主部材は矩形をなす受圧板の対角線上に配置されることを特徴とする請求項1記載の受圧構造物。
【請求項3】
前記主部材は上下端面のうち、少なくとも一方の端面に側方に張り出すフランジを固着したことを特徴とする請求項1記載の受圧構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法面安定化のため、法面に施工されるグラウンドアンカー工法において用いられる受圧構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
グラウンドアンカー工法は一般に、法面に削孔した孔内にPC鋼線等よりなるアンカーを挿入し、ついでグラウト材を注入してアンカーを定着後、法面から突出するアンカー突出部に受圧構造物を差込み、その後ナットを捩じ込んで締着することにより受圧構造物を法面に圧着し、アンカーに地耐力に相応する引張力を付与する工法よりなるもので、受圧構造物として植生が可能な矩形の格子状の受圧板と、該受圧板上に装着され、受圧板を法面に押付ける押え部材よりなり、押え部材は前記受圧板の中心部を押え、アンカーの差込み孔を備えた取付部と、前記受圧板の周縁を押える矩形枠と、前記取付部から放射状に延びて各先端が矩形枠に連結されるリブよりなるものが知られる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4074590号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記受圧構造物に改良を加え、構造が簡単で、軽量化させることができる受圧構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、法面に施工されるグラウンドアンカー工法において用いられる受圧構造物であって、植生が可能な格子状の受圧板と、該受圧板上に取付けられ、受圧板を法面に押付ける押え部材よりなり、該押え部材は前記受圧板の周縁を押える枠と、該枠とは別個に独立して分離可能で、かつ一対の平行なリブを前記受圧板上で井桁状に組合せて構成され、リブ両端前記枠を単に押える、前記受圧板を押えるための主部材と、主部材中央のリブで四辺を囲まれる矩形ないし菱形の開口部に取付けられ、アンカーの差込孔を備えた押え板よりなる受圧構造物において、前記リブは両端が鉤状をなして前記枠に被さり、該枠に嵌着した状態をなすことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記受圧板及び枠は矩形であり、一対の主部材は矩形をなす受圧板の対角線上に配置されることを特徴とし、
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記主部材を構成するリブは上下端面のうち、少なくとも一方の端面、好ましくは下端面に側方に張り出すフランジを固着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明の受圧構造物によると、押え部材は枠と押え板と主部材で構成されるが、主部材は4本のリブを井桁状に組合せて構成されるだけで、構成が簡単であること、押え板は井桁状に組合わせた主部材の開口部を塞ぐように主部材に取付けるだけでよく、主部材上に取付ける場合は主部材上に載置するだけで固着しなくてもよいし、固着するにしても締着時にずれない程度であればよく、主部材との取付強度を必要としないため、その分構造が簡単で、軽量化が可能となること、一対のリブの間隔を変えることにより開口部やアンカーの差込孔の大きさ(面積)を変えることができること等の効果を有する。
【0008】
請求項2に係る発明の受圧構造物によると、受圧板や枠が矩形である場合、4本のリブは全て同じ長さに揃えることができ、また受圧板の四隅まで均等に法面にしっかりと圧着させることができる。
【0009】
請求項3に係る発明の受圧構造物によると、リブの強度を上げることができるため、リブの高さを抑えることが可能となる。リブの高さを低くすると、植生したときに受圧構造物が植物で隠れ易くなり、早期に景観に適応し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】受圧構造物の斜視図。
図2図1のA−A線断面図。
図3図1のB−B線での受圧構造物の施工例を示す断面図。
図4図1に示す受圧構造物の周縁部の断面図。
図5図2のC−C線での断面図。
図6】受圧構造物の変形態様を示す概略平面図。
図7】受圧構造物の別の態様の概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の受圧構造物について図面により説明する。
図1は、受圧構造物1の全体構成を示すものであり、図2図1に示す受圧構造物1のA−A線断面、図3は同じく図1に示す受圧構造物1のB−B線での受圧構造物11の施工例を示す断面で、受圧構造物1は金属、好ましくはFRP製の格子状ないし網目構造の矩形の受圧板2と、該受圧板2上に装着され、受圧板2を法面3に押付ける亜鉛メッキされた鋼製の押え部材4よりなり、該押え部材4は四辺が角パイプより構成され、前記受圧板2に嵌着される矩形の枠5と、平行な一対のリブ6を井桁状に組合わせてなる、前記受圧板2を押えるための主部材7と、主部材中央のリブ6で四辺を囲まれる菱形の開口部8を塞ぐようにして主部材上に取付け、好ましくは溶接にて固着され、アンカー9の差込み孔11を備えた押え板12よりなり、前記枠5は図4に詳細に示されるように、内側上端に内側方に突出する押え部5aを有すると共に、外側下端に外側方に突出する受部5bを有し、枠5は受圧板2に上方より嵌着され、押え部5aが受圧板周縁に被さって受圧板周縁を押えるようになっている。
【0012】
主部材7を構成するリブ6は図2及び図3に示されるように長尺な細板状をなし、両側は端に向って滑らかに低くなるように形成され、上下両端にはリブ6の長手方向の端部を除く箇所にフランジ14、15が側方に突設されて縦断面がI形をなしている(図5)。
【0013】
フランジ14、15はリブ6の強度を上げることができ、また下側のフランジ15は受圧板2への押え面積を増やし、受圧板2に掛かる荷重を分散して応力分散させる機能を果たしている。なお上記フランジはリブ6の上下端のうち、いずれか一方にのみ設けてもよく、一方に設ける場合には、受圧板2に掛かる荷重を応力分散させることができるように下端に設けられる。
【0014】
主部材7を構成するリブ6はまた、枠5とは別個に独立して分離可能とし、施工後は端部で枠5を単に押える機能を有しているだけである。図中、16は主部材6の一端より上向きに突設され、クレーンのフックが引掛けられる係止孔を備えた係止部であり、17は主部材同士を連結するリブである。
【0015】
施工時においては、常法のようにアンカー9を法面3に削孔した孔に差込んで定着後、法面3より突出するアンカー部分に受圧板2を差込み、ついで押え部材4の押え板12を差込んで枠5を受圧板2に嵌着し、押え部材4を受圧板上に装着する(図3)。装着状態で平行な一対の主部材6はそれぞれ受圧板2の対角線上に位置する。次に押え板12より突出するアンカー9に座金10を介し、図示しない袋ナットを捩じ込み締着する。これにより押え部材4が受圧板2を押え込み、該受圧板2を法面3に圧着させ、アンカー9にプレストレスを与える。
【0016】
図5は受圧構造物の変形態様を示すもので、図1に示す受圧構造物1と異なる点は、受圧構造物1の押え部材4では平行な一対のリブ6が受圧板2の対角線上にそれぞれ位置しているのに対し、図5に示す受圧構造物21では、平行な一対のリブ22が受圧板2の長辺と平行をなして短辺の中央部同士を連結し、また前記リブ22と直交して十字形をなすリブ23が受圧板2の短辺と平行をなして長辺の中央部同士を連結した形態をなすことである。
【0017】
図1に示す受圧構造物1では、主部材7を構成するリブ6は4本共同形で同じ長さをなすのに対し、図6に示す受圧構造物21では、主部材のリブ22及び23は一方22の二本は長く、他方23の二本は短くなっている。
【0018】
前記各実施形態の受圧構造物1、21はいずれも平面視で矩形をなしているが、矩形でなくてもよい。
【0019】
図7に示す実施形態の受圧構造物26は受圧板27が平面視で円形をなすと共に、押え部材を構成し、受圧板周縁を押える枠も円形のリング状をなしている。主部材28としては図1に示す主部材7と同一構造のものが用いられ、各リブ6は同一長さとなっている。
【符号の説明】
【0020】
1、21、26・・受圧構造物
2、27・・受圧板
3・・法面
4、・・押え部材
5・・枠
6、22、23・・リブ
7、28・・主部材
8・・開口部
9・・アンカー
11・・差込み孔
12・・押え板
14、15・・フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7