(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、車両として、内燃機関と2台の回転電機、機械式オイルポンプ、電動オイルポンプ、高電圧電源等を搭載するハイブリッド車両を述べるが、これは説明のための例示であって、少なくとも、蓄電装置と回転電機と電動オイルポンプを搭載する構成であればよい。
【0017】
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0018】
図1は、ハイブリッド車両についての車両制御システム10の構成を示す図である。この車両制御システム10は、ハイブリッド車両に搭載される2台の回転電機19,20の冷却構造12と、制御装置80を含むシステムである。
【0019】
冷却構造12は、ハイブリッド車両の駆動源である動力装置14として、エンジン16と
図1ではMG1として示される回転電機19と、MG2として示される回転電機20を含む。冷却構造12は、回転電機19,20を内部に含むケース体24の内部に冷媒26を循環供給するオイルポンプユニット40を含む。オイルポンプユニット40は、
図1ではMOPとして示される機械式オイルポンプ42と、EOPとして示される電動オイルポンプ44を含んで構成される。また、冷却構造12は、電気回路系として、回転電機19に接続されるMG1駆動回路31と、回転電機20に接続されるMG2駆動回路32と、これらの電源である高電圧電源36と、電動オイルポンプ44に接続されるEOP駆動回路72と、その電源である低電圧電源74と、高電圧電源36と低電圧電源74との間の電圧変換を行うDC/DCコンバータ34を含む。
【0020】
動力装置14は、エンジン16と、回転電機19,20と、この間に設けられる動力伝達機構18を含んで構成される。エンジン16は、内燃機関である。
【0021】
回転電機19と回転電機20は、車両に搭載されるモータ・ジェネレータ(MG)であって、電力が供給されるときはモータとして機能し、制動時には発電機として機能する三相同期型回転電機である。ここでは、2つの回転電機19,20の中の一方を主として高電圧電源36の充電のための発電機、他方を主として車両走行用としての駆動モータとして用いる。
【0022】
すなわち、エンジン16によって一方の回転電機19を駆動して発電機として用い、発電された電力を高電圧電源36に供給し、さらにDC/DCコンバータ34を介して低電圧電源74に供給するものとして用いる。また、他方の回転電機20を車両走行のために用いて、力行時には高電圧電源36から電力の供給を受けてモータとして機能して車両の車軸を駆動し、制動時には発電機として機能して制動エネルギを回生し、高電圧電源36およびDC/DCコンバータ34を介して低電圧電源74に供給するものとできる。以下では、回転電機19を発電機、回転電機20をモータとして用いるものとして説明を続ける。
【0023】
動力伝達機構18は、ハイブリッド車両に供給する動力をエンジン16の出力と回転電機19,20の出力との間で分配する機能を有する機構である。かかる動力伝達機構18としては、エンジン16の出力軸、回転電機19,20の出力軸、図示されていない車軸への出力軸の3つの軸に接続される遊星歯車機構を用いることができる。
図1で動力伝達機構18とエンジン16とを接続する軸がエンジン16の出力軸22である。この出力軸22は、接続軸70を介して機械式オイルポンプ42の駆動軸に接続され、機械式オイルポンプ42の駆動に用いられる。
【0024】
回転電機20に設けられる温度検出器27は、回転電機20の温度θ
Mを検出する回転電機温度検出手段である。温度検出器27の検出データは、適当な信号線を用いて制御装置80に伝送される。
【0025】
MG2駆動回路32は、高電圧電源36の直流電力と回転電機20を駆動する交流電力との間の電力変換を行うインバータを含む回路である。インバータは、複数のスイッチング素子のオンオフタイミングを適切に調整するPWM(Pulse Wide Modulation)制御によって三相駆動信号を生成して、回転電機20に供給する回路である。PWM制御は、回転電機20の回転周期に応じた周期を有する基本波信号と、鋸歯状波形を有するキャリア信号との比較で、パルス幅を変調する制御である。インバータは、このPWM制御によって、回転電機20の出力を所望の動作状態とする。
【0026】
MG1駆動回路31は、基本的構成はMG2駆動回路32と同じであるが、ここでは、回転電機19が発電する交流電力と高電圧電源36の直流電力との間の電力変換を行う回路として機能する。
【0027】
高電圧電源36は、充放電可能な高電圧用蓄電装置である。充電は、例えば、エンジン16によって駆動された回転電機19によって発電される電力がMG1駆動回路31を経由して供給されることで行われる。具体的には、約200Vから約300Vの端子電圧を有するリチウムイオン組電池で構成することができる。組電池は、単電池または電池セルと呼ばれる端子電圧が1Vから数Vの電池を複数個組み合わせて、上記の所定の端子電圧を得るようにしたものである。高電圧電源36としては、リチウムイオン組電池、ニッケル水素組電池等の二次電池の他に、大容量キャパシタ等を用いることができる。
【0028】
SOC取得部38は、高電圧電源36の充電状態を示すSOCを取得する充電状態取得手段である。SOCは、例えば、高電圧電源36の特性上から予め定めた満充電状態を100%とし、予め定めた空充電状態を0%として、現在の充電状態を%で示すものである。SOC取得部38は、高電圧電源36を充電する入力電力と、高電圧電源36から放電される出力電力を時々刻々積算してSOCを算出する。この積算方式の代わりに、高電圧電源36の開放端電圧とSOCの関係等を用いて、高電圧電源36の端子間電圧からSOCを算出する方法も用いることができる。このようにしてSOC取得部38で算出されたSOCのデータは、適当な信号線を用いて制御装置80に伝送される。
【0029】
ケース体24は、動力伝達機構18と回転電機19,20とを内部に含む筐体である。ケース体24の内部空間には、動力伝達機構18と回転電機19,20の可動部分の潤滑と、動力伝達機構18および回転電機19,20の冷却を行うための冷媒26が貯留される。冷媒としては、ATFと呼ばれる潤滑油を用いることができる。
【0030】
ケース体24に設けられる温度検出器28は、冷媒26の温度θ
Cを検出する冷媒温度検出手段である。温度検出器28の検出データは、適当な信号線を用いて制御装置80に伝送される。
【0031】
オイルポンプユニット40は、機械式オイルポンプ42と、電動オイルポンプ44を含むユニットで、ケース体24の内部空間に冷媒26を循環供給する機能を有する。冷媒排出路60は、ケース体24において重力方向に沿った下方側、つまりケース体24の底部に近い箇所に設けられる冷媒排出口と、オイルポンプユニット40とを結ぶ冷媒流通パイプである。冷媒供給路62は、オイルポンプユニット40と、ケース体24において重力方向に沿った上方側、つまりケース体24の天井部に近い箇所に設けられる冷媒供給口とを結ぶ冷媒流通パイプである。オイルクーラ50は、冷媒26の温度を空冷あるいは水冷によって低下させる熱交換器である。
【0032】
機械式オイルポンプ42は、駆動軸が接続軸70を介してエンジン16の出力軸22に接続される機械式冷媒ポンプで、エンジン16が動作するときに駆動される。すなわち、エンジン16の始動に伴って機械式オイルポンプ42は駆動が開始され、エンジン16が停止すると機械式オイルポンプ42の駆動が終了する。
【0033】
電動オイルポンプ44は、制御装置80からの制御信号の下でEOP駆動回路72によって駆動される電動冷媒ポンプである。EOP駆動回路72には、低電圧電源74から直流電力が供給される。低電圧とは、高電圧電源36の電圧に比較して低電圧という意味で、例えば約12Vから16Vの電圧を用いることができる。電動オイルポンプ44の駆動軸を回転させるモータとしては、三相同期型モータを用いることができる。この場合には、EOP駆動回路72は、直流交流変換機能を有するインバータを含んで構成される。また、インバータのPWM制御におけるオン・オフデューティを変更することによって、電動オイルポンプ44の出力を可変することができる。
【0034】
なお、三相同期型モータの代わりに単相交流モータを用いることもでき、あるいは直流モータを用いることもできる。電動オイルポンプ44の駆動軸を回転させるモータとして用いられるモータ形式に応じて、EOP駆動回路72の内容が変更される。
【0035】
機械式オイルポンプ42と電動オイルポンプ44とは、冷媒排出路60と冷媒供給路62の間に、互いに並列の関係で接続される。逆止弁46は、機械式オイルポンプ42とケース体24の冷媒供給口との間で冷媒26が逆流しないように設けられる弁である。同様に逆止弁48は、電動オイルポンプ44と、ケース体24の冷媒供給口との間で冷媒26が逆流しないように設けられる弁である。
【0036】
制御装置80は、冷却構造12の各要素を全体として制御する機能を有するが、特にここでは、SOCの状況に応じて、電動オイルポンプ44の作動を制御する機能を有する。かかる制御装置80は、ハイブリッド車両搭載に適したコンピュータで構成することができる。上記のように制御装置80は冷却構造制御装置であるが、この機能を、ハイブリッド車両に搭載される他の制御装置の機能の一部としてもよい。例えば、ハイブリッド車両の全体の制御を行う統合制御装置の機能の一部を制御装置80としてもよい。
【0037】
制御装置80には、ハイブリッド車両が回生状態にあることを示す回生信号90が入力される。また、ハイブリッド車両に対する要求トルク92が入力される。ハイブリッド車両が回生状態にあるときは、エンジン16は回転電機19を発電機として駆動しているので、この場合の要求トルク92は、回転電機20に対する要求トルクである。回生信号90と要求トルク92は、ハイブリッド車両の全体の制御を行う統合制御装置から制御装置80に伝送される。
【0038】
制御装置80は、SOCの状態を判断するSOC判断部82と、回転電機20に対する要求トルクの大きさを判断する要求トルク判断部84と、回転電機20の温度状態を判断する回転電機状態判断部86と、電動オイルポンプ44の作動を制御するEOP作動制御部88とを含んで構成される。これらの機能は、ソフトウェアを実行することで実現できる。具体的には、EOP制御プログラムを実行することで実現できる。
【0039】
上記構成の作用について、
図2以下を用いて詳細に説明する。
図2は、SOCの状態に応じて電動オイルポンプ44の作動を制御する手順を示すフローチャートである。各手順は、EOP制御プログラムの各処理手順にそれぞれ対応する。
【0040】
なお、
図2では、ハイブリッド車両が回生モードにあるときにおける電動オイルポンプ44の作動制御を説明する。ハイブリッド車両が回生モードにあるときは、回転電機19が発電機として機能し、MG1駆動回路31を介して、高電圧電源36が充電される。したがってSOCが高くなりがちな状態である。仮にSOCが元々高い状態にあると、回生モードとなることで、高電圧電源36が過充電になりやすい。従来技術では、高電圧電源36が過電圧になることを回避するために、SOCが予め定めた閾値SOCを超えると、電動オイルポンプ44を作動させて電力を消費させていた。
図1の構成では、回生モードであっても、無条件に電動オイルポンプ44を作動させるのではなく、回転電機20の要求トルクを確保しながら、回転電機20の過熱を防止するように、電動オイルポンプ44の作動を制御する。
【0041】
その説明のために、
図2では、ハイブリッド車両が回生モードにあるときの電動オイルポンプ44の作動制御の手順を説明する。このように、
図2においてハイブリッド車両が回生モードにあるときとするのは、
図1の構成の作用効果をより明確に説明するための1例である。したがって、ハイブリッド車両が回生モードにないときでも、S12以降の手順はそのまま用いることができる。
【0042】
ハイブリッド車両において始動スイッチ等がオンされて使用状態に入ると、EOP制御プログラムが立ち上がる。ハイブリッド車両の始動時の初期状態は予め設定することができる。初期状態としてエンジン16が始動するものとするときは、回転電機19が駆動されて発電機と機能する。またエンジン16によって機械式オイルポンプ42が駆動される。初期状態として、エンジン16が停止して、回転電機20が始動するものとするときは、機械式オイルポンプ42は作動しない。回転電機20の始動時は冷媒26の温度θ
Cが低温であるので、電動オイルポンプ44は作動していない。ここでは、EOPプログラムが立ち上がったとき、電動オイルポンプ44は作動していないものとして説明を続ける。
【0043】
次に、回生信号90の有無が判断される(S10)。具体的には、制御装置80が回生信号90を取得したときにS10の判断が肯定されて、次のS12に進み、SOCの取得とその大きさの判断が行われる(S12)。この処理手順は、制御装置80のSOC判断部82の機能によって実行される。
【0044】
制御装置80は、SOC取得部38からのSOCデータの伝送を受けて、そのデータから、現在のSOCの値を取得する。取得したSOCの用い方については後述する。
【0045】
S12の次は、回転電機20に対する要求トルクT
Rが閾値トルクT
R0以上か否かが判断される(S14)。この処理手順は、制御装置80の要求トルク判断部84の機能によって実行される。閾値トルクT
R0は、回転電機20に対する要求トルクT
Rについて、電動オイルポンプ44を作動させる閾値として予め定めた値である。すなわち、要求トルクT
Rが閾値トルクT
R0以上のときに、電動オイルポンプ44が作動される(S18)。この処理手順は、制御装置80のEOP作動制御部88の機能によって実行される。逆に、要求トルクT
Rが閾値トルクT
R0未満のときには、電動オイルポンプ44は停止した状態である。このときには、機械式オイルポンプ42を用いることが可能であるが、エンジン16が作動していないときは、機械式オイルポンプ42も作動していないので、注意が必要である。
【0046】
このように、閾値トルクT
R0を設けることで、回転電機20の要求トルクT
Rが大きくて閾値トルクT
R0以上のときに限って電動オイルポンプ44を作動させるものとできる。これによって、回転電機20の要求トルクT
Rを確保しながら、回転電機20の過熱を防止することができる。
【0047】
S14の判断が否定されるときは、要求トルクT
Rが閾値トルクT
R0未満のときであるので、電動オイルポンプ44は停止したままである。そこで、次に、冷媒26の温度θ
Cが閾値温度θ
C0以上か否かが判断される(S16)。この処理手順は、制御装置80の回転電機状態判断部86の機能によって実行される。閾値温度θ
C0は、冷媒26の温度θ
Cについて、電動オイルポンプ44を作動させる閾値として予め定めた値である。すなわち、冷媒26の温度θ
Cが閾値温度θ
C0以上のときに、電動オイルポンプ44が作動される(S18)。逆に、冷媒26の温度θ
Cが閾値温度θ
C0未満のときには、電動オイルポンプ44は停止したままである。このときはS16の判断が否定されてS12に戻り、上記の手順が繰り返される。
【0048】
回転電機20の温度θ
Mが高いときは冷媒26の温度θ
Cも高くなり、回転電機20の温度θ
Mが低いときは冷媒26の温度θ
Cも低い。このように、回転電機20の温度θ
Mと冷媒26の温度θ
Cとは強い相関関係があるので、冷媒26の温度θ
Cに代えて回転電機20の温度θ
Mを用いてもよい。
【0049】
このように、閾値温度θ
C0を設けることで、回転電機20の要求トルクT
Rが小さくて閾値トルクT
R0未満のときに不必要に電動オイルポンプ44を作動させるのではなく、回転電機20の温度θ
Mが高くてそれによって冷媒26の温度θ
Cも高いときに限って、電動オイルポンプ44を作動させるものとできる。これによって、高電圧電源36に充電された電力を効率よく利用して、回転電機20の要求トルクT
Rを確保しながら、回転電機20の過熱を防止することができる。
【0050】
例えば、SOCが高いときには、冷媒の温度θ
Cが閾値温度θ
C0以上となれば、電動オイルポンプ44を作動させることで、要求トルクT
Rを確保しながら、過熱を防止できる。また、高電圧電源36の過充電を回避できる。SOCが低いときには、あまり電動オイルポンプ44を作動させられないが、冷媒の温度θ
Cが閾値温度θ
C0以上となったときに限って電動オイルポンプ44を作動させることで、要求トルクT
Rを確保しながら、過熱を防止できる。また、高電圧電源36の過放電を回避できる。
【0051】
ここで、閾値トルクT
R0、閾値温度θ
C0をSOCに応じて変更するものとすることで、高電圧電源36の充電状態に応じて、さらにきめ細かく、回転電機20の要求トルクT
Rの確保と過熱の防止を行うことができる。以下にその説明を行う。
【0052】
閾値トルクT
R0、閾値温度θ
C0をSOCに応じて変更するものとするときは、S12のSOC取得のときに、取得したSOCに対応して、閾値トルクT
R0、閾値温度θ
C0を設定する。そして、設定された閾値トルクT
R0がS14で用いられ、設定された閾値温度θ
C0がS16で用いられる。
【0053】
このように、閾値トルクT
R0、閾値温度θ
C0は、S12で取得されたSOCに応じた値に設定される。
図3はその様子を示す図である。ここに示されるように、SOCが高くなるほど、閾値トルクT
R0は低い値に設定される。逆にSOCが低くなるほど、閾値トルクT
R0は高い値に設定される。このようにすることで、高電圧電源36のSOCが高くて充電余裕がないほど、閾値トルクT
R0を低くできる。したがって、電動オイルポンプ44を作動しやすくなり、過充電を回避しやすくなる。また、高電圧電源36のSOCが低くて放電余裕がないほど、閾値トルクT
R0を高くできる。したがって、電動オイルポンプ44を作動しにくくなり、過放電を回避しやすくなる。
【0054】
図3で示される特性に従って設定された閾値トルクT
R0を用いてS14を実行すると、SOCが高くなるほど、低い閾値トルクT
R0を用いることができる。逆にSOCが低くなるほど、低い閾値トルクT
R0を用いることができる。これによって、SOCの変化に応じて高電圧電源36の過充電、過放電を回避しつつ、要求トルクT
Rを確保しながら、回転電機20の過熱を防止することができる。
【0055】
閾値温度θ
C0は、
図3に示されるように、SOCが高くなるほど、閾値温度θ
C0が高い値に設定される。逆にSOCが低くなるほど、閾値温度θ
C0が低い値に設定される。つまり、SOCが高くなるときは閾値温度θ
C0が高くなって電動オイルポンプ44の作動を抑制するように働き、SOCが低くなるときは閾値温度θ
C0が低くなって電動オイルポンプ44の作動を促進するように働く。SOCに対する閾値温度θ
C0の変化の仕方は、SOCに対する閾値トルクT
R0の変化の仕方と逆方向である。このようにSOCに対する変化の仕方が逆方向の2つの閾値を用いることで、電動オイルポンプ44の作動の仕方をSOCの変化に応じてきめ細かく対応させることが可能になる。
【0056】
図3で示される特性に従って設定された閾値温度θ
C0は、S16の実行の際に用いられる。S16は、S14において回転電機20に対する要求トルクT
Rが閾値トルクT
R0未満のときに実行される処理手順であるので、回転電機20の温度上昇の可能性が低いときである。このようなときに、高電圧電源36のSOCが高くて充電余裕がないからといって電動オイルポンプ44を作動させると、無駄に電力を消費し、ハイブリッド車両の全体としての燃費を低下させる。
図3の特性に従った閾値温度θ
C0を用いると、SOCが高くなるほど、閾値温度θ
C0が高くなり、電動オイルポンプ44の作動が抑制される。これによって、電動オイルポンプ44の無駄な作動を抑制できるので、回生された電力を有効に利用しながら、回転電機20の要求トルクT
Rの確保と過熱の防止を行うことができる。
【0057】
逆に、高電圧電源36のSOCが低くて放電余裕がないからといって電動オイルポンプ44を作動させないでおくと、回転電機20の温度が上昇してきて、そのままでは回転電機20の要求トルクT
Rが確保できなくなる。
図3の特性に従った閾値温度θ
C0を用いると、SOCが低くなるほど、閾値温度θ
C0が低くなり、電動オイルポンプ44の作動が促進される。これによって、過熱を防止して、要求トルクT
Rを確保することができる。
【0058】
このようにして、高電圧電源36の充電状態に応じて、回生された電力を有効に利用しながら、回転電機20の出力の確保と過熱防止を行うことができる。