(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原料モノマーが、さらに式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するカルボン酸化合物及び/又はフラン環を有するアルコールを10〜99.99モル%含有してなる、請求項1記載のトナー用結着樹脂。
式(I)で表される化合物の含有量が、式(I)で表される化合物、式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するカルボン酸化合物及び式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するアルコールの総量中、0.02〜100モル%含まれる請求項1〜3いずれか記載のトナー用結着樹脂。
原料モノマーが、さらに、第2級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを、アルコール成分中、10モル%以上含有してなる、請求項1〜5いずれか記載のトナー用結着樹脂。
式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するカルボン酸化合物が、フランジカルボン酸化合物、フランカルボン酸化合物及びヒドロキシフランカルボン酸化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種のカルボン酸化合物を含む、請求項2〜6いずれか記載のトナー用結着樹脂。
式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するアルコール化合物が、フランジアルコール、ヒドロキシメチルフルフリルアルコール及びフルフリルアルコールからなる群から選ばれた少なくとも1種のアルコールを含む、請求項2〜7いずれか記載のトナー用結着樹脂。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(式中、R
1、R
2及びR
3はそれぞれ独立して、カルボキシル基又はヒドロキシメチル基を示す)
で表される化合物が原料モノマーとして用いられた非晶質ポリエステルを含有している点に特徴を有している。骨格の硬いフラン環をポリエステルに導入することにより、低分子量とすることにより軟化点が低く設定しても、ポリエステルの分子運動が抑制されガラス転移温度の高いポリエステル、つまりトナー用結着樹脂として、低温定着性と保存性に優れたポリエステルが得られる。さらに、フラン2量体が構造から明らかなように、非常に剛直な構造をしており、軟化点の割には、一般的なポリエステルより分子量を低く設定できるため、定着性に優れ、印刷表面の平滑性が向上し、さらにグロスが高くなるものと推察される。
【0015】
本発明において、樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計(DSC)による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち、「軟化点/吸熱の最高ピーク温度」で定義される結晶性指数によって表される。一般に、この結晶性指数が1.4を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満では結晶性が低く非晶質部分が多い。本発明において、「非晶質」の樹脂とは、結晶性指数が1.4を超えるか、0.6未満の樹脂をいう。
【0016】
「吸熱の最高ピーク温度」とは、実施例に記載する測定方法の条件下で観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度のことを指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば、最高ピーク温度を結晶性樹脂(結晶性ポリエステル)の融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークは非晶質樹脂のガラス転移に起因するピークとする。
【0017】
樹脂の結晶性は、用いる原料モノマーの種類と組み合わせにより、容易に調整することができる。具体的には、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオール等の分岐鎖構造を有するアルコール成分、分岐鎖構造を有するカルボン酸成分、3価以上のカルボン酸成分やアルコール成分等を適量用いることで、非晶質化を促進することができる。
【0018】
本発明において、フラン環を有する非晶質ポリエステルは、カルボン酸成分とアルコール成分、及び式(I)で表される化合物を含む原料モノマーを縮重合させて得られる。
【0019】
本発明において、式(I)で表される化合物は、後述する式(I)で表される化合物以外のフラン環を有する化合物、すなわち、式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するアルコール及びフラン環を有するカルボン酸化合物と区別される。式(I)で表される化合物を用いて、ポリエステルにフラン2量体骨格と3官能による架橋構造を導入することにより、本発明の効果である良好なトナーの低温定着性、保存性及びグロス性が発現するが、式(I)で表される化合物が有する官能基がカルボキシル基であってもヒドロキシメチル基であっても、本発明の効果を奏する。この観点から、本発明においては、ポリエステルを形成するアルコール成分及びカルボン酸成分と区別することとする。従って、本発明のフラン環を有する非晶質ポリエステルは、式(I)で表される化合物、フラン環を有するアルコールを含んでもよいアルコール成分及びフラン環を有するカルボン酸化合物を含んでもよいカルボン酸成分を必須として構成されるものである。
【0020】
式(I)において、R
1〜R
3は、それぞれ独立して、カルボキシル基又はヒドロキシメチル基であり、いずれの組み合わせであってよいが、トナーの保存性の観点から、R
1〜R
3のなかの少なくとも1つはカルボキシル基であることが好ましく、2つ以上がカルボキシル基であることがより好ましい。
【0021】
上記観点から、式(I)で表される化合物の好適例として、式(Ia):
【0026】
式(Ia)で表される化合物は、公知の製法により製造可能である。例えば、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)を出発原料とし、従来の酸化方法(AMOCO法)により得られる。また、式(Ib)で表される化合物も、式(Ia)で表される化合物と同様に、HMFを出発原料とする酸化により得られる。
【0027】
式(I)で表される化合物の含有量は、原料モノマー中、トナーのグロスの観点から、0.01モル%以上が好ましく、0.02モル%以上がより好ましく、0.05モル%以上がさらに好ましく、0.1モル%以上がさらにより好ましく、1.0モル%以上がさらにより好ましく、トナーの低温定着性の観点から、10モル%以下が好ましく、8モル%以下がより好ましく、7モル%以下がさらに好ましく、6モル%以下がさらにより好ましい。したがって、トナーの低温定着性及びグロスの観点から、式(I)で表される化合物の含有量は、原料モノマー中、0.01〜10モル%が好ましく、0.02〜8モル%がより好ましく、0.05〜8モル%がさらに好ましく、0.1〜7モル%がさらにより好ましく、1.0〜6モル%がさらにより好ましい。なお、特に記載のない限り、原料モノマー中とは、式(I)で表される化合物、カルボン酸成分及びアルコール成分の総量を意味する。
【0028】
また、フラン環を有する化合物の総量中の式(I)で表される化合物の含有量は、トナーのグロスの観点から、0.02モル%以上が好ましく、0.05モル%以上がより好ましく、0.1モル%以上がさらに好ましく、1モル%以上がさらにより好ましく、2モル%以上がさらにより好ましく、トナーの低温定着性及び保存性の観点から、100モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましく、20モル%以下がさらに好ましく、15モル%以下がさらに好ましい。フラン環を有する化合物の総量中の式(I)で表される化合物の含有量は、トナーの低温定着性、保存性及びグロスの観点から、0.02〜100モル%が好ましく、0.05〜50モル%がより好ましく、0.1〜50モル%がさらに好ましく、1〜20モル%がさらにより好ましく、2〜15モル%がさらにより好ましい。なお、本発明において、「フラン環を有する化合物の総量」とは、式(I)で表される化合物、式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するカルボン酸化合物及び式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するアルコールの総量のことである。
【0029】
式(I)で表される化合物は、
(a):式(Ib)で表される化合物のように、式(I)において、R
1〜R
3が全てカルボキシル基である化合物、
(b):式(Ia)で表される化合物のように、式(I)において、R
1〜R
3のうちの2つがカルボキシル基であり、1つがヒドロキシメチル基である化合物、
(c):式(I)において、R
1〜R
3のうちの1つがカルボキシル基であり、2つがヒドロキシメチル基である化合物、及び
(d):式(I)において、R
1〜R
3が全てヒドロキシメチル基である化合物
のいずれかであるが、本発明においては、それぞれ単独でも、複数の化合物を組み合わせて使用してもよく、(a)〜(d)の化合物の総含有量は、トナーの低温定着性、保存性及びグロスの観点から、カルボン酸成分100モルに対して、0.02〜25モルが好ましく、0.1〜20モルがより好ましく、1〜18モルがさらに好ましく、2〜15モルがさらにより好ましい。また、アルコール成分100モルに対して、0.02〜25モルが好ましく、0.1〜20モルがより好ましく、1〜18モルがさらに好ましく、2〜15モルがさらにより好ましい。
【0030】
原料モノマーは、さらに式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するカルボン酸化合物及び/又はフラン環を有するアルコールを含有していることが好ましい。かかる化合物が有するフラン環は、式(IIa)又は(IIb):
【0032】
で表される構造であることが好ましい。
【0033】
式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するアルコールとしては、ジヒドロキシフラン等のフランジアルコール;5-ヒドロキシメチルフルフリルアルコール等のヒドロキシメチルフルフリルアルコール;フルフリルアルコール;5-ヒドロキシメチルフルフラール等が挙げられる。
【0034】
これらの中では、トナーの低温定着性と保存性の観点から、フランジアルコール、ヒドロキシメチルフルフリルアルコール及びフルフリルアルコールからなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0035】
式(IIa)で表わされるフラン環を有するアルコールとして、5-ヒドロキシメチルフルフリルアルコール等のヒドロキシメチルフルフリルアルコール;ジヒドロキシフラン等のフランジアルコール;5-ヒドロキシメチルフルフラール等が挙げられる。
【0036】
式(IIb)で表わされるフラン環を有するアルコールとして、フルフリルアルコール等が挙げられる。
【0037】
式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するカルボン酸化合物としては、2,5-フランジカルボン酸、2,4-フランジカルボン酸、2,3-フランジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸等のフランジカルボン酸化合物(本明細書中、カルボン酸化合物はカルボン酸、カルボン酸と炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のアルコールとのエステル及び酸無水物を含む);2-フランカルボン酸、3-フランカルボン酸等のフランカルボン酸化合物;5-ヒドロキシメチル-フラン-2-カルボン酸等のヒドロキシフランカルボン酸化合物;フルフリル酢酸化合物、3-カルボキシ-4-メチル-5-プロピル-2-フランプロピオネート等のカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0038】
これらの中では、トナーの低温定着性と保存性の観点から、フランジカルボン酸化合物、フランカルボン酸化合物及びヒドロキシフランカルボン酸化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種のカルボン酸化合物が好ましく、フランジカルボン酸化合物がより好ましい。
【0039】
式(IIa)で表わされるフラン環を有するカルボン酸化合物として、2,5-フラン-ジカルボン酸、2,4-フランジカルボン酸、2,3-フランジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸等のフランジカルボン酸化合物;5-ヒドロキシメチル-フラン-2-カルボン酸等のヒドロキシフランカルボン酸化合物等のカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0040】
式(IIb)で表わされるフラン環を有するカルボン酸化合物として、2-フランカルボン酸、3-フランカルボン酸等のフランカルボン酸化合物;フルフリル酢酸化合物等が挙げられる。
【0041】
上記のカルボン酸化合物及びアルコールの中では、トナーの低温定着性と保存性の観点から、式(IIa)で表わされるフラン環を有する、カルボン酸化合物とアルコールとが好ましく、フランジカルボン酸化合物及びヒドロキシメチルフルフリルアルコールがより好ましく、フランジカルボン酸化合物がさらに好ましく、具体的には、トナーの低温定着性と保存性の観点から、5-ヒドロキシメチルフルフリルアルコール及び2,5-フラン-ジカルボン酸が好ましく、2,5-フラン-ジカルボン酸がより好ましい。
【0042】
式(I)で表される化合物以外のフラン環を有する化合物を併用する場合、式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するカルボン酸化合物及び/又はフラン環を有するアルコールの含有量は、トナーの低温定着性と保存性の観点から、原料モノマー中、10〜99.99モル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましく、40〜60モル%がより好ましい。なお、式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するカルボン酸化合物及び/又はフラン環を有するアルコールの含有量とは、式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するカルボン酸化合物もしくはフラン環を有するアルコールの含有量、又は式(I)で表される化合物以外のフラン環を有するカルボン酸化合物及びフラン環を有するアルコールの合計の含有量を意味する。
【0043】
カルボン酸成分に、2種以上のフラン環を有するカルボン酸化合物を用いてもよく、アルコール成分に、2種以上のフラン環を有するアルコールを用いてもよい。なお、1種類とは、構造上の種類であり、組成式が同じであっても構造式が異なるものは、異なる種類としてみなす。
【0044】
フラン環を有するアルコール以外のアルコール成分としては、トナーの低温定着性の観点から、脂肪族ジオールが好ましい。脂肪族ジオールの炭素数は、トナーの低温定着性の観点から、2〜10が好ましく、3〜8がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。
【0045】
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、2,3-ブタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール、2,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0046】
これらの中では、フラン環とともに、樹脂の運動性をさらに低下させることで、トナーの保存性を向上させ、低温定着性を向上させる観点から、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールが好ましい。かかる脂肪族ジオールの炭素数は、トナーの低温定着性と保存性の観点から、3〜8が好ましく、3〜6がより好ましい。具体的な好適例としては、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール等が挙げられ、トナーの低温定着性と保存性の観点から、1,2-プロパンジオール及び2,3-ブタンジオールが好ましく、1,2-プロパンジオールがより好ましい。
【0047】
脂肪族ジオールの含有量は、トナーの低温定着性の観点から、アルコール成分中、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上、さらにより好ましくは80モル%以上、さらにより好ましくは実質的に100モル%であり、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの含有量は、トナーの低温定着性と保存性の観点から、アルコール成分中、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上、さらにより好ましくは80モル%以上、さらにより好ましくは実質的に100モル%である。
【0048】
他のアルコール成分としては、式(III):
【0050】
(式中、R
4O及びOR
4はオキシアルキレン基であり、R
4はエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、グリセリン等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
【0051】
フラン環を有するカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸化合物、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸化合物、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸化合物、これらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜6)エステル等が挙げられる。
【0052】
その他のカルボン酸化合物として、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;未精製ロジン、精製ロジン等のロジン;フマル酸、マレイン酸又はアクリル酸等で変性されたロジン等が挙げられる。
【0053】
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、分子量の調整や耐オフセット性向上の観点から、適宜含有されていてもよい。
【0054】
カルボン酸成分とアルコール成分のモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、トナーの低温定着性、保存性及びグロスの観点から、0.7〜1.5が好ましく、0.7〜1.4がより好ましく、0.7〜1.0がさらに好ましい。
【0055】
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合反応は、例えば、錫化合物、チタン化合物等のエステル化触媒、重合禁止剤等の存在下、不活性ガス雰囲気中で行うことができ、温度条件は、反応性の観点から、180〜250℃が好ましい。
【0056】
錫化合物としては、例えば、酸化ジブチル錫が知られているが、反応性の観点から、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物が好ましい。
【0057】
Sn-C結合を有していない錫(II)化合物としては、反応性の観点から、Sn-O結合を有する錫(II)化合物、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn-O結合を有する錫(II)化合物がより好ましく、2-エチルヘキサン酸錫(II)がさらに好ましい。
【0058】
チタン化合物としては、反応性の観点から、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、総炭素数2〜28のアルケニルオキシ基又は総炭素数1〜28のアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
【0059】
上記錫(II)化合物及びチタン化合物は、1種又は2種以上を併せて使用することができる。
【0060】
エステル化触媒の存在量は、反応性の観点から、式(I)で表される化合物及びアルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜2.0重量部が好ましく、0.1〜1.5重量部がより好ましく、0.2〜1.0重量部がさらに好ましい。
【0061】
本発明において、非晶質ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分の縮重合によるポリエステルユニットを含む樹脂をいい、ポリエステルだけでなく、ポリエステル・ポリアミド等も含まれるが、これらの中では、トナーの保存性及び帯電安定性の観点から、ポリエステルが好ましい。
【0062】
なお、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。
【0063】
ポリエステル変性樹脂としては、例えば、ポリエステルがウレタン結合で変性されたウレタン変性ポリエステル、ポリエステルがエポキシ結合で変性されたエポキシ変性ポリエステル、及びポリエステル成分と付加重合系樹脂成分を含む2種以上の樹脂成分を有する複合樹脂等が挙げられる。
【0064】
前記非晶質ポリエステルの軟化点は、トナーの低温定着性、保存性及びグロスの観点から、80〜180℃が好ましく、85〜150℃がより好ましく、90〜120℃がさらに好ましく、100〜110℃がさらにより好ましい。
【0065】
一般に、樹脂の軟化点とガラス転移温度は相関している。前記非晶質ポリエステルは、同程度の軟化点を有する樹脂に比べると、ガラス転移温度をより高くすることができるため、1種類の樹脂でも、トナーの低温定着性、保存性等を満足することができるが、軟化点の高い樹脂と低い樹脂とを併用してもよい。軟化点の高い樹脂と低い樹脂とを併用する場合、具体的には、結着樹脂は、上記観点から、軟化点が好ましくは10℃以上、より好ましくは20〜60℃異なる高軟化点樹脂と低軟化点樹脂とからなることが好ましい。高軟化点樹脂の軟化点は、好ましくは125〜160℃、より好ましくは130〜150℃であり、低軟化点樹脂の軟化点は、好ましくは90〜120℃、より好ましくは90〜110℃である。高軟化点樹脂の低軟化点樹脂に対する重量比(高軟化点樹脂/低軟化点樹脂)は、トナーの低温定着性、保存性及びグロスの観点から、1/3〜3/1が好ましく、1/2〜2/1がより好ましい。
【0066】
また、前記非晶質ポリエステルのガラス転移温度は、トナーの低温定着性、保存性及びグロスの観点から、45〜85℃が好ましく、50〜80℃がより好ましく、60〜78℃がさらに好ましく、64〜76℃がさらにより好ましい。
【0067】
前記非晶質ポリエステルの酸価は、帯電安定性の観点から、0.5〜60mgKOH/gが好ましく、2〜40mgKOH/gがより好ましく、5〜20mgKOH/gがさらに好ましい。また、同様の観点から、水酸基価は、10〜100mgKOH/gが好ましく、15〜80mgKOH/gがより好ましく、30〜50mgKOH/gがさらに好ましい。
【0068】
本発明の結着樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記非晶質ポリエステル以外の公知の結着樹脂、例えば、ポリエステル、スチレン-アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂が併用されていてもよいが、前記非晶質ポリエステルの結着樹脂の含有量は、トナーの低温定着性、保存性及びグロスの観点から、全結着樹脂中、30重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、実質的に100重量%であることがさらに好ましい。
【0069】
本発明の結着樹脂を用いることにより、互いに相反する性能である低温定着性と保存性のいずれにも優れ、かつグロスの高い、本発明の電子写真用トナーが得られる。
【0070】
ただし、本発明の結着樹脂が高軟化点樹脂のみからなる場合、例えば、好ましくは軟化点が125〜160℃、より好ましくは130〜150℃の樹脂のみからなる場合は、低軟化点樹脂を併用することが好ましい。具体的に、本発明の結着樹脂との軟化点の差は、上記観点から、10℃以上が好ましく、20〜60℃がより好ましい。低軟化点樹脂の軟化点は、好ましくは90〜120℃、より好ましくは90〜110℃である。高軟化点樹脂の低軟化点樹脂に対する重量比(高軟化点樹脂/低軟化点樹脂)は、トナーの低温定着性、保存性及びグロスの観点から、1/3〜3/1が好ましく、1/2〜2/1がより好ましい。
【0071】
本発明のトナーには、さらに、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
【0072】
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、黒色顔料、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾイエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
【0073】
着色剤の含有量は、画像品質を向上する観点から、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
【0074】
荷電制御剤としては、クロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、サリチル酸金属錯体等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0075】
荷電制御剤の含有量は、画像品質を向上する観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜8重量部が好ましく、0.5〜7重量部がより好ましい。
【0076】
本発明のトナーは、帯電安定性を向上させるために、荷電制御樹脂を含有することが好ましい。荷電制御樹脂としては、スチレン系樹脂が好ましく、トナーの正帯電性発現の観点からは、4級アンモニウム塩基含有スチレン系樹脂がより好ましく、トナーの負帯電性発現の観点からは、スルホン酸基含有スチレン系樹脂がより好ましい。
【0077】
荷電制御樹脂の使用量は、トナーの帯電安定性向上の観点から、結着樹脂100重量部に対して、3〜40重量部が好ましく、4〜30重量部がより好ましく、4〜20重量部がさらに好ましい。
【0078】
離型剤としては、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、シリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバロウワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等のワックスが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0079】
離型剤の融点は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点から、60〜160℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。
【0080】
離型剤の含有量は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましく、1.5〜7重量部がさらに好ましい。
【0081】
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。具体的には、溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤、離型剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級する方法が挙げられる。一方、トナーの小粒径化の観点からは、重合法によるトナーが好ましい。
【0082】
トナーの表面には、外添剤が添加されていてもよい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、樹脂微粒子等の有機微粒子等が挙げられ、これらの表面には疎水化処理が施されていてもよい。外添剤の添加量は、画像品質を向上する観点から、外添剤で処理する前のトナー粒子100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましい。
【0083】
本発明のトナーの体積中位粒径(D
50)は、画像品質を向上する観点から、3〜15μmが好ましく、3〜12μmがより好ましく、5〜10μmがさらに好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D
50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
【0084】
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
【実施例】
【0085】
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所社製、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
【0086】
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却しそのまま1分間静止させる。その後、昇温速度50℃/分で昇温し測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
【0087】
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した後、昇温速度10℃/分で昇温し測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
【0088】
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
【0089】
〔樹脂の水酸基価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。
【0090】
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
【0091】
〔トナーの体積中位粒径(D
50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D
50)を求める。
【0092】
〔外添剤の平均粒径〕
平均粒径は、個数平均粒径を指し、外添剤の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定した、500個の粒子の粒径の平均値をいう。長径と短径がある場合は長径を指す。
【0093】
式(I)で表される化合物の製造例1〔式(Ia)で表される化合物〕
オートクレーブに5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)(シグマアルドリッチ ジャパン株式会社製)5.0g、酢酸45.7g、酢酸コバルト0.29g、酢酸マンガン0.57g、及び臭化ナトリウム0.12gを加え、酸素置換し、150℃、0.3MPaで3時間反応させた。反応物をロータリーエバポレーター(50℃温浴)にて濃縮し固体物を得た。この固形物とメタノール50gをガラス製反応器に加え、攪拌を行いながら60℃の条件で反応させて、式(Ia)で表される化合物のメチルエステル体を得た。溶媒に酢酸エチル/ヘキサンを用い、カラムにより式(Ia)で表される化合物のメチルエステル体を単離した。メチルエステル体に水酸化ナトリウム0.32gを添加し、60℃で2時間反応させて、加水分解した後、分液ロートに移し、ジイソプロピルエーテル100mlを加え、1重量%塩化アンモニウム水溶液100ml、1Nの塩酸水溶液100mlで2回洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。溶媒を留去することによりフラン2量体(Ia)を得た。
【0094】
式(I)で表される化合物の製造例2〔式(Ib)で表される化合物〕
酸素置換後の反応条件を180℃、0.5MPaに、反応時間を5時間に変更した以外は、製造例1と同様にして、HMFの酸化により、フラン2量体(Ib)を得た。
【0095】
樹脂製造例1〔樹脂A〜H〕
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後210℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。なお、反応率とは、生成反応水量/理論生成水量×100の値をいう。
【0096】
【表1】
【0097】
〔トナー製造例〕
実施例1〜6及び比較例1、2
表2に示す結着樹脂100重量部、負帯電性荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)1重量部、シアン顔料「Toner Cyan BG」(クラリアント社製、P.B.15:3)5重量部、及び離型剤「HNP-9」(日本精鑞社製、パラフィンワックス、融点:80℃)2重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D
50)が8μmのトナー粒子を得た。
【0098】
得られたトナー粒子100重量部に、疎水性シリカ「R-972」(日本アエロジル社製、平均粒径16nm、疎水化処理剤:ジメチルジクロロシラン)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
【0099】
実施例7
着色剤として、シアン顔料「Toner Cyan BG」の代わりに、イエロー顔料「Paliotol Yellow D1155」(BASF社製、P.Y.185)6重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
【0100】
実施例8
結着樹脂、着色剤等とともに、荷電制御樹脂「FCA-701PT」(藤倉化成社製、4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系樹脂、軟化点:123℃)を5重量部使用し、負帯電性荷電制御剤の代わりに、正帯電性荷電制御剤「ボントロン E-84」(オリエント化学工業社製)1重量部を使用し、外添剤として「R-972」の代わりに、疎水性シリカ「TG-C243」(キャボット社製、平均粒径100nm、疎水化処理剤:ヘキサメチルジシラザン+オクチルトリエトキシシラン)1.0重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
【0101】
試験例1〔低温定着性〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、シャープ(株)製の紙[CopyBond SF-70NA(75g/m
2)]上に、4cm×4cmのベタ印刷の未定着画像を得た。総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度390mm/sec)を用い、定着ローラーの温度を100℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、最低定着温度に達するまで、各温度で未定着画像を定着させた。定着画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、温度を30℃、総定着圧が40kgfになるように調整した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、トナーの低温定着性を評価した。結果を表2に示す。
【0102】
試験例2〔保存性〕
トナー4gを半径12mmの円筒型容器に入れ、温度55℃、湿度60%の環境下で72時間放置した。放置後、トナーを容器から取り出し、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、トナーの保存性を評価した。結果を表2に示す。
【0103】
〔評価基準〕
A:48時間後及び72時間後も凝集は全く認められない。
B:48時間後で凝集は認められないが72時間後ではわずかに凝集が認められる。
C:48時間後で凝集は認められないが72時間後では明らかに凝集が認められる。
D:48時間後で凝集が認められる。
【0104】
試験例3〔グロス〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、シャープ(株)製の紙[CopyBond SF-70NA(75g/m
2)]上に、4cm×4cmのベタ印刷の未定着画像を得た。オイルレス定着方式の「DL-2300」(コニカミノルタ社製)を改造した外部定着装置を用いて、定着ロールの回転速度を265mm/secに設定し、定着装置中の定着ロール温度を170℃に設定して、定着処理を行い、定着画像を得た。その定着画像を用いて光沢度を測定した。光沢度は光沢度計「PG-1」(日本電色工業株式会社)を用い、光源を60°に設定して測定を行い、グロスを評価した。結果を表2に示す。光沢度が高いほど、グロスが良好であることを示す。本発明においては、光沢度8以上であれば、効果を奏すると判断する。
【0105】
【表2】
【0106】
以上の結果より、実施例1〜8のトナーは、低温定着性と保存性に優れ、グロスも高いことが分かる。これに対し、フラン環を有する化合物は用いられているものの、式(I)で表される化合物が用いられていない非晶質ポリエステルを含有した比較例1のトナーは、グロスが低いことが分かる。また、式(I)で表される化合物を含め、フラン環を有する化合物が全く用いられていない非晶質ポリエステルを含有した比較例2のトナーは、トナーの低温定着性及び保存性が悪く、さらにグロスも低いことが分かる。