(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズを保持し前記レンズの光軸方向へ移動可能な可動体と、前記可動体が収容される固定体と、前記可動体を前記光軸方向へ駆動するための駆動機構と、前記可動体と前記固定体との間に配置され前記可動体を前記光軸方向へ案内するガイドボールと、前記可動体と前記固定体との間に磁気的吸引力を発生させる磁気吸引機構とを備え、
前記駆動機構は、前記可動体または前記固定体の一方に固定される駆動用磁石と、前記可動体または前記固定体の他方に固定され前記駆動用磁石に対向する駆動用コイルとを備え、
前記駆動用コイルが固定される前記可動体または前記固定体の他方は、磁性材料で形成された磁性部材を備え、
前記駆動用コイルは、前記駆動用磁石と前記磁性部材との間に配置され、
前記駆動用磁石と前記磁性部材との間には、前記光軸方向に略直交する一方向への磁気的吸引力が作用し、
前記駆動用磁石と前記磁性部材との間に作用する磁気的吸引力によって、前記可動体と前記ガイドボールとが当接するとともに前記固定体と前記ガイドボールとが当接し、
前記磁気吸引機構は、前記一方向の逆方向となる他方向へ磁気的吸引力を発生させ、
前記磁気吸引機構が発生させる磁気的吸引力は、前記駆動用磁石と前記磁性部材との間に作用する磁気的吸引力よりも小さくなっていることを特徴とするレンズ駆動装置。
前記磁気吸引機構は、前記可動体または前記固定体の一方に固定される付勢用磁石と、磁性材料で形成されるとともに前記可動体または前記固定体の他方に固定され前記付勢用磁石に対向する第2磁性部材とを備えることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
前記付勢用磁石と前記第2磁性部材とが対向する部分の面積は、前記光軸方向における前記可動体の可動範囲において一定であることを特徴とする請求項2または3記載のレンズ駆動装置。
前記磁気吸引機構は、前記第1角部の他方側に配置される前記可動体の角部である第3角部に固定されるとともに磁性材料で形成される平板状の第2磁性部材と、前記第2磁性部材に対向するように前記カバー部材の内周面に固定される付勢用磁石とを備えることを特徴とする請求項6または7記載のレンズ駆動装置。
前記固定体は、前記磁性部材として、略四角筒状に形成されるとともに前記可動体の外周側を覆うカバー部材を備えるとともに、前記カバー部材の被写体側の端面を覆う第2カバー部材を備え、
前記カバー部材の被写体側端の四隅には、前記第2カバー部材が固定される固定部が前記光軸方向に略直交するように形成され、
前記磁気吸引機構は、前記カバー部材の4つの角部のうちの1つの角部の内周面に固定される付勢用磁石と、磁性材料で形成されるとともに前記付勢用磁石に対向するように前記可動体の外周面に固定される第2磁性部材とを備えることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
前記光軸方向から見たときに、略V形状をなす2個の前記可動側当接面の交点から、略V形状をなす2個の前記固定側当接面の交点へ向かう方向が、前記駆動用磁石と前記磁性部材との間に作用する磁気的吸引力と、前記磁気吸引機構が発生させる磁気的吸引力との合力の方向と略平行になっていることを特徴とする請求項16記載のレンズ駆動装置。
前記ガイドボールと一緒に前記可動体を前記光軸方向へ案内するとともに、前記レンズの光軸に略平行でかつ前記ガイドボールの中心を通過する軸を中心とする前記可動体の回動を防止するための第2ガイドボールを備え、
前記可動体または前記固定体のいずれか一方には、前記第2ガイドボールが当接する平面状の2個の第1当接面が前記光軸方向から見たときに略V形状をなすように形成され、
前記可動体または前記固定体のいずれか他方には、前記第2ガイドボールが当接する平面状の1個の第2当接面が形成されていることを特徴とする請求項16または17記載のレンズ駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のレンズ駆動装置においては、レンズバレルを光軸方向へ円滑に移動させるために、駆動用磁石と駆動用コイルとから構成される駆動機構の駆動力が大きいことが好ましい。駆動機構の駆動力を高めるためには、駆動用コイルに供給される電流値を高くすれば良いが、この場合には、レンズ駆動装置での消費電力が大きくなる。したがって、駆動用コイルが固定されるハウジングを磁性材料で形成することで、駆動用コイルを通過する磁束の量を増やして、駆動機構の駆動力を高めることが好ましい。また、駆動用磁石の磁力を高めたり、駆動用磁石を大きくして駆動用磁石と駆動用コイルとの対向面積を広くしたりすることによって、駆動用コイルを通過する磁束の量を増やして、駆動機構の駆動力を高めることが好ましい。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のレンズ駆動装置において、駆動用コイルが固定されるハウジングを磁性材料で形成し、かつ、駆動用磁石の磁力を高めたり、駆動用磁石と駆動用コイルとの対向面積を広くしたりすると、ハウジングと駆動用磁石との間に発生する磁気的吸引力によって、レンズバレルとハウジングとの間に配置されるガイドボールと、レンズバレルおよびハウジングとの間の摩擦抵抗が大きくなるおそれがある。そのため、このレンズ駆動装置では、駆動用コイルを通過する磁束の量を増やしても、駆動用コイルに供給される電流値を高くしなければ、レンズバレルが光軸方向へ円滑に移動しないといった状況が生じうる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、レンズを保持する可動体と可動体が収容される固定体との間にガイドボールが配置されるレンズ駆動装置において、駆動用コイルに供給される電流値が低くても可動体を光軸方向へ円滑に移動させることが可能なレンズ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のレンズ駆動装置は、レンズを保持しレンズの光軸方向へ移動可能な可動体と、可動体が収容される固定体と、可動体を光軸方向へ駆動するための駆動機構と、可動体と固定体との間に配置され可動体を光軸方向へ案内するガイドボールと、可動体と固定体との間に磁気的吸引力を発生させる磁気吸引機構とを備え、駆動機構は、可動体または固定体の一方に固定される駆動用磁石と、可動体または固定体の他方に固定され駆動用磁石に対向する駆動用コイルとを備え、駆動用コイルが固定される可動体または固定体の他方は、磁性材料で形成された磁性部材を備え、駆動用コイルは、駆動用磁石と磁性部材との間に配置され、
駆動用磁石と磁性部材との間には、光軸方向に略直交する一方向への磁気的吸引力が作用し、駆動用磁石と磁性部材との間に作用する磁気的吸引力によって、可動体とガイドボールとが当接するとともに固定体とガイドボールとが当接し、磁気吸引機構は、
一方向の逆方向となる他方向へ磁気的吸引力を発生させ、磁気吸引機構が発生させる磁気的吸引力は、駆動用磁石と磁性部材との間に作用する磁気的吸引力よりも小さくなっていることを特徴とする。
【0009】
本発明のレンズ駆動装置
では、
駆動用磁石と磁性部材との間に、光軸方向に略直交する一方向への磁気的吸引力が作用し、駆動用磁石と磁性部材との間に作用する磁気的吸引力によって、可動体とガイドボールとが当接するとともに固定体とガイドボールとが当接している。また、本発明のレンズ駆動装置は、可動体と固定体との間に磁気的吸引力を発生させる磁気吸引機構を備えており、この磁気吸引機構は、
一方向の逆方向となる他方向へ磁気的吸引力を発生させ、磁気吸引機構が発生させる磁気的吸引力は、駆動用磁石と磁性部材との間に作用する磁気的吸引力よりも小さくなっている。そのため、駆動用コイルを通過する磁束の量を増やすために、駆動用磁石と磁性部材との間に駆動用コイルを配置し(すなわち、駆動用コイルを介して駆動用磁石と磁性部材とを対向させ)、かつ、駆動用磁石の磁力を高めたり、駆動用磁石を大きくして駆動用磁石と駆動用コイルとの対向面積を広くしたりしても、可動体および固定体とガイドボールとの接触圧を低減して、可動体および固定体とガイドボールとの間の摩擦抵抗を低減することが可能になる。したがって、本発明では、駆動用コイルに供給される電流値が低くても可動体を光軸方向へ円滑に移動させることが可能になる。
【0010】
また、本発明では、可動体および固定体とガイドボールとの間の摩擦抵抗を低減することが可能になるため、可動体の、ガイドボールとの接触部分や、固定体の、ガイドボールとの接触部分の変形や摩耗を抑制することが可能になる。したがって、本発明では、ガイドボールに案内されて光軸方向へ移動する際の可動体の傾きを抑制することが可能になる。また、可動体および固定体とガイドボールとの間の摩擦抵抗を低減することが可能になるため、光軸方向へ可動体が移動する際のノイズを低減することが可能になる。さらに、本発明では、磁気吸引機構の磁気的吸引力を調整することで、可動体とガイドボールとの接触圧、および、固定体とガイドボールとの接触圧を調整することが可能になる。
また、本発明では、駆動用磁石と磁性部材との間に、光軸方向に略直交する一方向への磁気的吸引力が作用し、磁気吸引機構は、この一方向の逆方向となる他方向へ磁気的吸引力を発生させ、磁気吸引機構が発生させる磁気的吸引力は、駆動用磁石と磁性部材との間に作用する磁気的吸引力よりも小さくなっているため、駆動用磁石と磁性部材との間に作用する磁気的吸引力の絶対値と磁気吸引機構が発生させる磁気的吸引力の絶対値との差がそのまま、可動体および固定体とガイドボールとの間で作用する。したがって、可動体とガイドボールとの接触圧、および、固定体とガイドボールとの接触圧の調整が容易になる。
【0011】
本発明において、磁気吸引機構は、可動体または固定体の一方に固定される付勢用磁石と、磁性材料で形成されるとともに可動体または固定体の他方に固定され付勢用磁石に対向する第2磁性部材とを備えることが好ましい。このように構成すると、可動体と固定体との両者に付勢用磁石が固定される場合と比較して、磁気吸引機構のコストを低減することが可能になる。
【0012】
本発明において、付勢用磁石は、固定体に固定され、第2磁性部材は、平板状に形成されるとともに可動体に固定されていることが好ましい。このように構成すると、付勢用磁石が可動体に固定されている場合と比較して、可動体側の重量を軽減することが可能になる。
【0013】
本発明において、付勢用磁石と第2磁性部材とが対向する部分の面積は、光軸方向における可動体の可動範囲において一定であることが好ましい。このように構成すると、光軸方向における可動体の位置にかかわらず、磁気吸引機構による可動体と固定体との間の磁気的吸引力を一定にすることが可能になる。したがって、光軸方向へ移動する際の可動体を安定させることが可能になる。
【0015】
本発明において、たとえば、レンズ駆動装置は、光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成され、駆動用磁石および駆動用コイルは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置の一方の対角線上の2個の角部である第1角部の一方側に配置され、磁気吸引機構は、第1角部の他方側に配置され、駆動用磁石と磁性部材との間には、第1角部の他方側から一方側へ向かう方向の磁気的吸引力が作用し、磁気吸引機構は、第1角部の一方側から他方側へ向かう方向の磁気的吸引力を発生させている。この場合には、デッドスペースとなりやすいレンズ駆動装置の角部に、駆動用磁石、駆動用コイルおよび磁気吸引機構が配置されるため、レンズの径方向へレンズ駆動装置を小型化することが可能になる。あるいは、レンズの径方向でレンズ駆動装置を大型化させることなく、レンズの径を大きくすることが可能になる。
【0016】
本発明において、たとえば、可動体の外周面は、光軸方向から見たときに略四角形状となるように形成され、固定体は、磁性部材として、略四角筒状に形成されるとともに可動体の外周側を覆うカバー部材を備え、駆動用磁石は、第1角部の一方側に配置される可動体の角部である第2角部に、または、第2角部を挟む可動体の2つの側面に固定され、駆動用コイルは、駆動用磁石に対向するようにカバー部材の内周面に固定されている。
【0017】
また、本発明において、可動体の外周面は、光軸方向から見たときに略四角形状となるように形成され、固定体は、略四角筒状に形成されるとともに可動体の外周側を覆うカバー部材を備え、駆動用コイルは、第1角部の一方側に配置される可動体の角部である第2角部、または、第2角部を挟む可動体の2つの側面に固定され、駆動用磁石は、駆動用コイルに対向するようにカバー部材の内周面に固定されていても良い。この場合には、可動体側の重量を軽減することが可能になる。
【0018】
本発明において、磁気吸引機構は、第1角部の他方側に配置される可動体の角部である第3角部に固定されるとともに磁性材料で形成される平板状の第2磁性部材と、第2磁性部材に対向するようにカバー部材の内周面に固定される付勢用磁石とを備えることが好ましい。このように構成すると、付勢用磁石が可動体に固定されている場合と比較して、可動体側の重量を軽減することが可能になる。また、このように構成すると、カバー部材が磁性材料で形成されていても、第2磁性部材とカバー部材との間に磁気的吸引力が生じないため、光軸方向へ可動体が移動する際に、可動体が傾くといった不具合等を防止することが可能になる。
【0019】
本発明において、付勢用磁石は、略三角柱状に形成されていることが好ましい。このように構成すると、光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成されるレンズ駆動装置の角部のスペースが狭くても付勢用磁石を配置することが可能になる。したがって、レンズの径方向へレンズ駆動装置を小型化することが可能になる。あるいは、レンズの径方向でレンズ駆動装置を大型化させることなく、レンズの径を大きくすることが可能になる。
【0020】
本発明において、駆動用磁石は、平板状に形成され、第2角部を挟む可動体の2つの側面のそれぞれに固定されていることが好ましい。このように構成すると、駆動用磁石の、駆動用コイルとの対向面の面積を広くして、駆動機構の駆動力を高めることが可能になる。
【0021】
本発明において、駆動用磁石は、略三角柱状に形成され、第2角部に固定されていても良い。この場合には、光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成されるレンズ駆動装置の角部のスペースが狭くても駆動用磁石を配置することが可能になる。したがって、レンズの径方向へレンズ駆動装置を小型化することが可能になる。あるいは、レンズの径方向でレンズ駆動装置を大型化させることなく、レンズの径を大きくすることが可能になる。
【0022】
本発明において、固定体は、磁性部材として、略四角筒状に形成されるとともに可動体の外周側を覆うカバー部材を備えるとともに、カバー部材の被写体側の端面を覆う第2カバー部材を備え、カバー部材の被写体側端の四隅には、第2カバー部材が固定される固定部が光軸方向に略直交するように形成され、磁気吸引機構は、カバー部材の4つの角部のうちの1つの角部の内周面に固定される付勢用磁石と、磁性材料で形成されるとともに付勢用磁石に対向するように可動体の外周面に固定される第2磁性部材とを備えることが好ましい。このように構成すると、カバー部材に固定部が形成されているため、第2カバー部材をカバー部材に確実に固定することが可能になる。また、カバー部材の被写体側端の四隅に固定部が形成されているため、カバー部材の強度を高めることが可能になる。また、このように構成すると、付勢用磁石が可動体に固定されている場合と比較して、可動体側の重量を軽減することが可能になる。また、磁性材料で形成されるカバー部材と第2磁性部材と間に磁気的吸引力が生じないため、光軸方向へ可動体が移動する際に、可動体が傾くといった不具合等を防止することが可能になる。
【0023】
本発明において、固定体は、磁性部材として、可動体の外周側を覆うカバー部材を備え、磁気吸引機構は、カバー部材の内周側で可動体の外周面に固定される付勢用磁石を備えることが好ましい。このように構成すると、カバー部材と付勢用磁石との間に作用する磁気的吸引力を、磁気吸引機構が発生させる磁気的吸引力とすることができるため、磁気吸引機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0024】
本発明において、駆動用磁石の、駆動用コイルとの対向面は、光軸方向において、2極に着磁されていることが好ましい。このように構成すると、駆動機構の駆動力を高めることが可能になる。
【0025】
本発明において、駆動用コイルは、プリント基板と、プリント基板上で引き回された導線からなるコイル部とを備えるシート状コイルであり、プリント基板には、磁気センサが実装され、磁気センサと駆動用磁石とによって、光軸方向における可動体の位置を検出する位置検出機構が構成されていることが好ましい。このように構成すると、プリント基板に実装される磁気センサと駆動用磁石とによって、位置検出機構が構成されるため、位置検出機構の構成を簡素化して、位置検出機構を小型化することが可能になる。したがって、レンズ駆動装置を小型化することが可能になる。
【0026】
本発明において、レンズ駆動装置は、光軸方向から見たときに互いに重なるように配置される複数のガイドボールを備え、可動体には、ガイドボールが当接する平面状の2個の可動側当接面が光軸方向から見たときに略V形状をなすように形成され、固定体には、ガイドボールが当接する平面状の2個の固定側当接面が光軸方向から見たときに略V形状をなすように形成され、可動体は、駆動用磁石と磁性部材との間に作用する磁気的吸引力と、磁気吸引機構が発生させる磁気的吸引力との合力によって、2個の可動側当接面と2個の固定側当接面との間にガイドボールが挟まれる方向へ付勢されていることが好ましい。
【0027】
このように構成すると、複数のガイドボールのうちの1個のガイドボールを中心にして、かつ、光軸方向に直交する方向を軸方向として、可動体が回動するのを防止することが可能になり、その結果、可動体の傾きを抑制することが可能になる。また、このように構成すると、可動体が光軸方向へ移動する際に、2個の可動側当接面と2個の固定側当接面との間からガイドボールが外れるのを防止することが可能になる。したがって、可動体が光軸方向へ移動する際の可動体の傾きを抑制することが可能になる。また、このように構成すると、上下方向へ移動する可動体のがたつきを抑制することが可能になる。
【0028】
本発明において、光軸方向から見たときに、略V形状をなす2個の可動側当接面の交点から、略V形状をなす2個の固定側当接面の交点へ向かう方向が、駆動用磁石と磁性部材との間に作用する磁気的吸引力と、磁気吸引機構が発生させる磁気的吸引力との合力の方向と略平行になっていることが好ましい。このように構成すると、駆動用磁石と磁性部材との間に作用する磁気的吸引力と、磁気吸引機構が発生させる磁気的吸引力との合力によって、2個の可動側当接面にガイドボールを均等な接触圧で接触させることが可能になり、また、2個の固定側当接面にガイドボールを均等な接触圧で接触させることが可能になる。したがって、可動体の傾きやがたつきを効果的に抑制することが可能になる。
【0029】
本発明において、レンズ駆動装置は、ガイドボールと一緒に可動体を光軸方向へ案内するとともに、レンズの光軸に略平行でかつガイドボールの中心を通過する軸を中心とする可動体の回動を防止するための第2ガイドボールを備え、可動体または固定体のいずれか一方には、第2ガイドボールが当接する平面状の2個の第1当接面が光軸方向から見たときに略V形状をなすように形成され、可動体または固定体のいずれか他方には、第2ガイドボールが当接する平面状の1個の第2当接面が形成されていることが好ましい。
【0030】
このように構成すると、レンズの光軸に略平行でかつガイドボールの中心を通過する軸を中心とする可動体の回動を、第2ガイドボールによって防止して、光軸方向に直交する方向への可動体のずれを防止することが可能になる。また、このように構成すると、光軸方向から見たときに略V形状をなす2個の第1当接面によって、光軸方向に直交する方向における第2ガイドボールの位置ずれを防止することが可能になる。さらに、このように構成すると、第2ガイドボールが当接する平面状の1個の第2当接面によって、レンズ駆動装置を構成する各部品の寸法誤差やレンズ駆動装置の組立誤差を吸収して、2個の可動側当接面と2個の固定側当接面との間にガイドボールを容易に配置すること、および、2個の第1当接面と1個の第2当接面との間に第2ガイドボールを容易に配置することが可能になる。したがって、レンズ駆動装置を構成する各部品の寸法精度やレンズ駆動装置の組立精度が低くても、2個の可動側当接面と2個の固定側当接面との間にガイドボールを容易に配置すること、および、2個の第1当接面と1個の第2当接面との間に第2ガイドボールを容易に配置することが可能になる。
【0031】
本発明において、レンズ駆動装置は、たとえば、2個のガイドボールと、1個の第2ガイドボールとを備えている。この場合には、最小数のガイドボールと第2ガイドボールとによって、可動体が光軸方向へ移動する際の可動体の傾きを抑制すること、および、光軸方向に直交する方向への可動体のずれを防止することが可能になる。すなわち、レンズ駆動装置の構成を簡素化しつつ、可動体が光軸方向へ移動する際の可動体の傾きを抑制すること、および、光軸方向に直交する方向への可動体のずれを防止することが可能になる。
【0032】
本発明において、レンズ駆動装置は、光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成され、駆動用磁石および駆動用コイルは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置の一方の対角線上の2個の角部である第1角部の一方側に配置され、磁気吸引機構は、第1角部の他方側に配置され、ガイドボールは、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置の他方の対角線上の2個の角部である第4角部の一方に配置され、第2ガイドボールは、第4角部の他方に配置され、駆動用磁石と磁性部材との間には、第1角部の他方側から一方側へ向かう方向の磁気的吸引力が作用し、磁気吸引機構は、第1角部の一方側から他方側へ向かう方向の磁気的吸引力を発生させていることが好ましい。このように構成すると、デッドスペースとなりやすいレンズ駆動装置の角部に、駆動用磁石、駆動用コイル、磁気吸引機構、ガイドボールおよび第2ガイドボールが配置される。そのため、レンズの径方向へレンズ駆動装置を小型化することが可能になる。あるいは、レンズの径方向でレンズ駆動装置を大型化させることなく、レンズの径を大きくすることが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明では、可動体と固定体との間にガイドボールが配置されるレンズ駆動装置において、駆動用コイルに供給される電流値が低くても可動体を光軸方向へ円滑に移動させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0036】
(レンズ駆動装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるレンズ駆動装置1の平面図である。
図2は、
図1のE−E断面の断面図である。
図3は、
図1に示すレンズ駆動装置1の分解斜視図である。
図4は、
図1に示すレンズ駆動装置1からカバー部材13の縁部13aおよび固定部13bを取り除いた状態の平面図である。なお、以下の説明では、
図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とする。また、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とし、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「前」側、Y2方向側を「後(後ろ)」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。また、Y方向とZ方向とから構成される平面をYZ平面、Z方向とX方向とから構成される平面をZX平面とする。
【0037】
本形態のレンズ駆動装置1は、携帯電話、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等で使用される比較的小型のカメラに搭載されるものであり、全体として扁平な略四角柱状に形成されている。具体的には、レンズ駆動装置1は、撮影用のレンズ2の光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。また、レンズ駆動装置1の4つの側面は、YZ平面またはZX平面と略平行になっている。
【0038】
本形態では、Z方向(上下方向)が光軸方向とほぼ一致している。また、本形態では、レンズ駆動装置1の下端側に撮像素子3が配置されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は反被写体側(撮像素子側、像側)である。
【0039】
レンズ駆動装置1は、レンズ2を保持し光軸方向へ移動可能な可動体4と、可動体4が収容される固定体5と、可動体4を光軸方向へ駆動するための駆動機構6とを備えている。また、レンズ駆動装置1は、可動体4を光軸方向へ案内するための2個のガイドボール7と、ガイドボール7と一緒に可動体4を案内するとともに光軸方向を軸方向とする可動体4の回動を防止するための1個の第2ガイドボール8とを備えている。さらに、レンズ駆動装置1は、可動体4と固定体5との間に磁気的吸引力を発生させる磁気吸引機構9を備えている。
【0040】
可動体4は、レンズ2が固定されるスリーブ12を備えている。スリーブ12は、樹脂で形成されている。また、スリーブ12は、略筒状に形成されている。スリーブ12の内周面は、上下方向から見たときの形状が略円形状となるように形成されている。スリーブ12の内周面には、上下方向から見たときの形状が略円形状となるレンズ2が固定されている。なお、レンズ2は、レンズホルダを介してスリーブ12に固定されても良い。すなわち、略筒状に形成されるレンズホルダの内周面にレンズ2が固定され、スリーブ12の内周面にレンズホルダの外周面が固定されても良い。
【0041】
スリーブ12の外周面は、上下方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。スリーブ12の4つの側面は、YZ平面またはZX平面と略平行になっている。また、スリーブ12の左前端の角部は面取りされており、スリーブ12の左前端の角部に形成される側面12cは、スリーブ12の前後左右に形成される側面に対して約45°傾いている。スリーブ12の左後端の角部には、ガイドボール7の一部が配置される凹部12aが形成されている。スリーブ12の右前端の角部には、第2ガイドボール8の一部が配置される切欠部12bが形成されている。凹部12aおよび切欠部12bの具体的な構成については後述する。
【0042】
固定体5は、レンズ駆動装置1の上端側の前後左右の側面を構成する略四角筒状のカバー部材13と、レンズ駆動装置1の下端側の前後左右の側面を構成するベース部材14と、撮像素子3が実装されるとともにレンズ駆動装置1の下端面を構成する基板15と、略四角筒状のカバー部材13の上端面を覆う第2カバー部材としてのトッププレート16とを備えている。また、固定体5は、ガイドボール7を保持するボール保持部材17と、第2ガイドボール8を保持するボール保持部材18と、上下方向における可動体4と固定体5との衝突時に衝撃を緩和する2個のクッション部材19とを備えている。なお、
図1では、トッププレート16およびクッション部材19の図示を省略している。
【0043】
カバー部材13は、磁性材料で形成されている。本形態のカバー部材13は、磁性材料で形成された磁性部材である。このカバー部材13は、上下方向から見たときの形状が略正方形の枠状となる略四角筒状に形成されている。カバー部材13の上下方向の長さは、スリーブ12の上下方向の長さよりも長くなっている。カバー部材13は、可動体4および駆動機構6の外周側の全体を覆っている。
【0044】
本形態のカバー部材13は、金属板に絞り加工を行って形成した底付きの四角筒の底部を打ち抜くことで形成されている。カバー部材13では、打ち抜かれる前の底部が上側に配置されており、カバー部材13の上端の内周側の縁には、内周側に向かってわずかに突出する縁部13aが全周に亘って形成されている。また、カバー部材13の上端の四隅には、トッププレート16が固定される固定部13bが縁部13aよりもさらに内周側に突出するように形成されている。固定部13bは、上下方向から見たときの形状が略三角形状になるように形成されている。また、固定部13bは、上下方向に略直交する平面状に形成されている。なお、カバー部材13の右前隅および左後ろ隅に形成される固定部13bは、カバー部材13の左前隅および右後ろ隅に形成される固定部13bよりも大きくなっている。
【0045】
ベース部材14は、上下方向から見たときの形状が略正方形状となる平板状に形成されている。ベース部材14の上面には、カバー部材13の下端が固定されている。ベース部材14の中心には、上下方向に貫通する貫通孔14aが形成されている。貫通孔14aは、上下方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されている。この貫通孔14aは、その下端側が上端側よりも前後左右方向へ広がる段付孔となっている。上下方向から見たときの貫通孔14aの大きさは、撮像素子3の大きさよりもわずかに大きくなっている。貫通孔14aの段差部には、赤外光を透過させず可視光を透過させるIRカットフィルタ20が固定されている。
【0046】
基板15は、上下方向から見たときの形状が略正方形状となる平板状に形成されている。この基板15は、ベース部材14の下端に取り付けられている。撮像素子3は、基板15の上面に実装されている。基板15の上面に実装された撮像素子3は、ベース部材14の貫通孔14aの下端側の中に配置されている。トッププレート16は、上下方向から見たときの形状が略正方形状となる平板状に形成されている。トッププレート16の中心には、円形の貫通孔16aが形成されている。このトッププレート16は、カバー部材13の上端に取り付けられている。具体的には、トッププレート16の四隅がカバー部材13の固定部13bに固定されている。
【0047】
ボール保持部材17は、上下方向から見たときの形状が略L形状となるブロック状に形成されており、レンズ駆動装置1の左後端の角部において、カバー部材13の内周面に固定されている。ボール保持部材18は、上下方向から見たときの形状が略六角形状となるブロック状に形成されており、レンズ駆動装置1の右前端の角部において、カバー部材13の内周面に固定されている。ボール保持部材17、18の具体的な構成については後述する。
【0048】
クッション部材19は、ゴムやスポンジ等の弾力性を有する材料で形成されている。また、クッション部材19は、上下方向から見たときの形状が略L形状となる平板状に形成されている。2個のクッション部材19のうちの一方のクッション部材19は、ベース部材14の上面に固定され、他方のクッション部材19は、カバー部材13の上端側に固定されている。
【0049】
可動体4は、カバー部材13とベース部材14とトッププレート16とによって囲まれる空間内に収容されている。可動体4の下端面(具体的には、スリーブ12の下端面)は、ベース部材14の上面に固定されるクッション部材19に当接可能となっており、可動体4の上端面(具体的には、スリーブ12の上端面)は、カバー部材13の上端側に固定されるクッション部材19に当接可能となっている。
【0050】
駆動機構6は、レンズ駆動装置1の右後端の角部に配置されている。この駆動機構6は、カバー部材13の内周面に固定される駆動用コイル22と、スリーブ12の外周面に固定される2個の駆動用磁石23とを備えている。駆動用コイル22は、プリント基板24と、プリント基板24上で引き回された導線からなるコイル部25とを備えるシート状コイルである。具体的には、駆動用コイル22は、微細な銅配線からなるコイル部25がプリント基板24上に形成されることによって構成されたFPコイルである。コイル部25は、プリント基板24上で導線(微細な銅配線)が略長方形状に引き回されることで形成されており、
図3に示すように、2個の長辺部25aを備えている。2個の長辺部25aは、上下方向で重なっている。
【0051】
駆動用コイル22は、略長方形状をなすコイル部25の長手方向の略中心位置において略直角に折れ曲がった状態でカバー部材13の内周面に固定されている。具体的には、レンズ駆動装置1の右後端の角部において略直角に折れ曲がるように、レンズ駆動装置1の右後端の角部においてカバー部材13の内周面に固定されている。駆動用コイル22には、コイル部25に電流を供給するためのフレキシブルプリント基板(FPC)26が接続されている。FPC26は、カバー部材13とベース部材14との間からレンズ駆動装置1の外部へ引き出されている。
【0052】
駆動用磁石23は、略長方形の平板状に形成されている。2個の駆動用磁石23は、スリーブ12の右後端の角部を挟むようにスリーブ12に固定されている。すなわち、一方の駆動用磁石23は、スリーブ12の後ろ側面に固定され、他方の駆動用磁石23は、スリーブ12の右側面に固定されている。平板状に形成される駆動用磁石23の厚さ方向と上下方向とに直交する方向における駆動用磁石23の幅は、スリーブ12の右後端の角部から凹部12aの右端までの距離、および、スリーブ12の右後端から切欠部12bの後端までの距離と略等しくなっている。
【0053】
駆動用磁石23の、スリーブ12への固定面23aと反対側の面となる外側面23bは、YZ平面またはZX平面と略平行に配置されており、所定の隙間を介して、駆動用コイル22に対向している。すなわち、外側面23bは、駆動用コイル22との対向面である。また、外側面23bは、駆動用コイル22を介して、カバー部材13の後ろ側面の右端側の内周面、または、右側面の後端側の内周面と対向している。すなわち、駆動用コイル22は、カバー部材13の後ろ側面の右端側の内周面、または、右側面の後端側の内周面と、駆動用磁石23との間に配置されている。また、外側面23bの全体は、カバー部材13によって覆われている。本形態のカバー部材13は、駆動機構6の磁気回路を形成するためのヨークの機能を果たしている。
【0054】
駆動用磁石23は、固定面23aの磁極と外側面23bの磁極とが異なる磁極となるように着磁されている。また、外側面23bは、上下方向において、2極に着磁されている。すなわち、外側面23bの上端側または下端側のいずれか一方がN極となり、外側面23bの上端側または下端側のいずれか他方がS極となるように、外側面23bは2極に着磁されている。外側面23bの上端側は、コイル部25の2個の長辺部25aのうちの上側に配置される一方の長辺部25aと対向し、外側面23bの下端側は、下側に配置される他方の長辺部25aと対向している。また、上下方向において、駆動用磁石23の長さは、カバー部材13の長さよりも短くなっている。
【0055】
上述のように、2個の駆動用磁石23はスリーブ12の右後端の角部を挟むようにスリーブ12に固定されており、YZ平面またはZX平面と略平行に配置された外側面23bは、駆動用コイル22を介してカバー部材13の後ろ側面の右端側の内周面、または、右側面の後端側の内周面と対向している。駆動用磁石23とカバー部材13との間には、磁気的吸引力が作用している。具体的には、駆動用磁石23とカバー部材13との間には、
図1、
図4の矢印V1で示す右後ろ方向(レンズ駆動装置1の左前端の角部から右後端の角部へ向かう方向)へ可動体4を付勢する磁気的吸引力が作用している。また、上述のように、上下方向において、駆動用磁石23の長さは、カバー部材13の長さよりも短くなっている。本形態では、可動体4の可動範囲(上下方向の可動範囲)において、駆動用磁石23とカバー部材13との対向面積が一定になっている。
【0056】
磁気吸引機構9は、レンズ駆動装置1の左前端の角部に配置されている。この磁気吸引機構9は、スリーブ12に固定される第2磁性部材としての磁性部材28と、カバー部材12の内周面に固定される付勢用磁石29とを備えている。磁性部材28は、磁性材料で形成されている。また、磁性部材28は、長方形の平板状に形成されている。この磁性部材28は、スリーブ12の左前端の角部に形成される側面12cに固定されている。
【0057】
付勢用磁石29は、上下方向から見たときの形状が略直角二等辺三角形となる略三角柱状に形成されており、
図4に示すように、互いに略直交する2個の平面状の第1側面29aと、2個の第1側面29aを繋ぐ平面状の第2側面29bと、平面状の上端面および下端面とを備えている。この付勢用磁石29は、カバー部材13の左前端の角部の内周面に固定されている。具体的には、カバー部材13の左前端の角部の内周面に沿うように、2個の第1側面29aがカバー部材13の内周面に固定されている。なお、付勢用磁石29には、光軸方向へ可動体4を駆動するための駆動用コイル22が対向配置されておらず、付勢用磁石29は、光軸方向への可動体4の駆動には利用されない。
【0058】
付勢用磁石29の第2側面29bは、磁性部材28と対向しており、付勢用磁石29と磁性部材28との間には、磁気的吸引力が生じている。具体的には、付勢用磁石29と磁性部材28との間には、
図1、
図4の矢印V2で示す左前方向(レンズ駆動装置1の右後端の角部から左前端の角部へ向かう方向)へ可動体4を付勢する磁気的吸引力が生じている。すなわち、磁気吸引機構9は、駆動用磁石23とカバー部材13との間に作用する磁気的吸引力の方向の逆方向となる左前方向へ磁気的吸引力を発生させている。
【0059】
また、付勢用磁石29と磁性部材28との間に生じる磁気的吸引力(磁気吸引機構9が発生させる磁気的吸引力)は、駆動用磁石23とカバー部材13との間に生じる磁気的吸引力よりも小さくなっている。そのため、付勢用磁石29と磁性部材28との間に生じる磁気的吸引力と、駆動用磁石23とカバー部材13との間に生じる磁気的吸引力との合力によって、可動体4は右後ろ方向へ付勢されている。このように、磁気吸引機構9が発生させる磁気的吸引力は、駆動用磁石23とカバー部材13との間に生じる磁気的吸引力を緩和している。また、上下方向において、付勢用磁石29の長さは、磁性部材28の長さよりも長くなっており、可動体4の可動範囲(上下方向の可動範囲)において、付勢用磁石29と磁性部材28との対向面積が一定になっている。なお、上下方向において、磁性部材28が付勢用磁石29よりも長く形成されることで、可動体4の可動範囲において、付勢用磁石29と磁性部材28との対向面積が一定になっていても良い。
【0060】
ガイドボール7および第2ガイドボール8は、真球状に形成された球状部材である。このガイドボール7および第2ガイドボール8は、金属で形成されている。本形態では、ガイドボール7の外径と、第2ガイドボール8の外径とが等しくなっている。ガイドボール7は、スリーブ12とボール保持部材17との間に配置されており、レンズ駆動装置1の左後端の角部に配置されている。第2ガイドボール8は、スリーブ12とボール保持部材18との間に配置されており、レンズ駆動装置1の右前端の角部に配置されている。
【0061】
プリント基板24には、図示を省略する磁気センサが実装されている。この磁気センサは、たとえば、ホール素子であり、駆動用磁石23の外側面23bと対向する位置に実装されている。本形態では、プリント基板24に実装される磁気センサと駆動用磁石23とによって、光軸方向における可動体4の位置を検出するための位置検出機構が構成されている。
【0062】
(スリーブの凹部および切欠部の構成、ボール保持部材の構成)
図5は、
図3に示すスリーブ12を異なる方向から示す斜視図である。
図6は、
図3に示すボール保持部材17の斜視図である。
図7は、
図3に示すボール保持部材18を異なる方向から示す斜視図である。
図8は、
図4のF−F断面の断面図である。
図9は、
図8のG−G断面の断面図である。
図10は、
図8のH−H断面の断面図である。なお、
図8では、ベース部材14、基板15、トッププレート16およびクッション部材19等の図示を省略している。
【0063】
上述のように、スリーブ12には、ガイドボール7の一部が配置される凹部12aと、第2ガイドボール8の一部が配置される切欠部12bとが形成されている。
【0064】
凹部12aは、スリーブ12の左後端の角部において、後ろ側面から前方向へ窪むように形成されている。また、凹部12aは、上下方向から見たときの形状が略長方形状となる角溝状に形成されるとともに、スリーブ12の上端面から下端面までの間の、上下方向におけるスリーブ12の全域に形成されている。凹部12aの左側に形成される平面状の左側面12fは、YZ平面と略平行になっており、凹部12aの前側に形成される平面状の前側面12gは、ZX平面と略平行になっている。本形態では、左側面12fおよび前側面12gに、ガイドボール7が当接している。本形態の左側面12fおよび前側面12gは、ガイドボール7が当接する2個の可動側当接面となっている。左側面12fと前側面12gとは、上下方向から見たときに略V形状をなすように形成されている。具体的には、左側面12fと前側面12gとは、上下方向から見たときに互いに略直交する略V形状をなすように形成されている。
【0065】
切欠部12bは、スリーブ12の右前端の角部において、右側面から左方向へ窪むように形成されている。また、切欠部12bは、スリーブ12の上端面から下端面までの間の、上下方向におけるスリーブ12の全域に形成されている。凹部12aの左側に形成される平面状の左側面12hは、YZ平面と略平行になっている。本形態では、左側面12hに、第2ガイドボール8が当接している。本形態の左側面12hは、第2ガイドボール8が当接する1個の第2当接面となっている。
【0066】
ボール保持部材17は、樹脂で形成されている。また、ボール保持部材17は、上述のように、上下方向から見たときの形状が略L形状となるブロック状に形成されている。具体的には、
図6に示すように、ボール保持部材17は、ZX平面に略平行な第1側面部17aと、第1側面部17aの右端から前方向へ突出する第2側面部17bとからなるブロック状に形成されている。このボール保持部材17は、第1側面部17aの後ろ側面がカバー部材13の内周面に固定されることで、レンズ駆動装置1の左後端の角部において、カバー部材13の内周面に固定されている。
【0067】
第1側面部17aの前側に形成される平面状の前側面17cは、ZX平面と略平行になっており、第2側面部17bの左側に形成される平面状の左側面17dは、YZ平面と略平行になっている。本形態では、前側面17cおよび左側面17dに、ガイドボール7が当接している。本形態の前側面17cおよび左側面17dは、ガイドボール7が当接する2個の固定側当接面となっている。前側面17cと左側面17dとは、上下方向から見たときに略V形状をなすように形成されている。具体的には、前側面17cと左側面17dとは、上下方向から見たときに互いに略直交する略V形状をなすように形成されている。
【0068】
第2側面部17bの左側面17dの上端、下端、および、上下方向の中心位置のそれぞれには、上下方向におけるガイドボール7の移動を規制する規制部17e、17f、17gが形成されている。規制部17e〜17gは、左方向へ突出するように形成されている。前側面17cと、左側面17dと、規制部17e〜17gとによって囲まれた空間に、2個のガイドボール7のそれぞれの一部が配置されている。上下方向における規制部17eと規制部17gとの距離は、ガイドボール7の外径よりも大きくなっている。また、上下方向における規制部17gと規制部17fとの距離も、ガイドボール7の外径よりも大きくなっている。
【0069】
ボール保持部材18は、樹脂で形成されている。また、ボール保持部材18は、上述のように、上下方向から見たときの形状が略六角形状となるブロック状に形成されており、その右側面18aおよび左側面18bは、YZ平面と略平行になっている。このボール保持部材18は、右側面18aがカバー部材13の内周面に固定されることで、レンズ駆動装置1の右前端の角部において、カバー部材13の内周面に固定されている。
【0070】
ボール保持部材18の左側面18bには、右方向へ向かって窪む凹部18cが形成されている。凹部18cは、上下方向において、左側面18bの下端側の一部に形成されるとともに、前後方向において、左側面18bの略中心位置の一部に形成されている。凹部18cの中には、第2ガイドボール8の一部が配置されている。また、凹部18cには、YZ平面およびZX平面に対して略45°傾いた平面状の2個の側面18dが形成されている。本形態では、2個の側面18dに、第2ガイドボール8が当接している。本形態の2個の側面18dは、第2ガイドボール8が当接する2個の第1当接面となっている。2個の側面18dは、上下方向から見たときに略V形状をなすように形成されている。具体的には、2個の側面18dは、上下方向から見たときに互いに略直交する略V形状をなすように形成されている。上下方向における凹部18cの幅は、第2ガイドボール8の外径よりも大きくなっている。
【0071】
2個のガイドボール7は、上下方向で重なるように配置されている。すなわち、2個のガイドボール7は、上下方向から見たときに互いに重なるように配置されている。また、上述のように、付勢用磁石29と磁性部材28との間に生じる磁気的吸引力と、駆動用磁石23とカバー部材13との間に生じる磁気的吸引力との合力によって、可動体4は、
図4等の矢印V1で示す右後ろ方向へ付勢されている。すなわち、スリーブ12の左側面12fおよび前側面12gと、ボール保持部材17の前側面17cおよび左側面17dとの間に2個のガイドボール7が挟まれるように、可動体4は付勢されている。そのため、2個のガイドボール7は、左側面12fおよび前側面12gと、前側面17cおよび左側面17dとに常時、接触している。
【0072】
また、左側面12fおよび前側面12gと、前側面17cおよび左側面17dとに、2個のガイドボール7が接触しているため、
図9に示すように、上下方向から見たときに、左側面12fと前側面12gとの交点C1から、前側面17cと左側面17dとの交点C2へ向かう矢印V3の方向は、可動体4が付勢されている方向である矢印V1の方向と略平行になっている。
【0073】
また、
図4等の矢印V1で示す右後ろ方向へ可動体4が付勢されているため、第2ガイドボール8は、スリーブ12の左側面12hと、ボール保持部材18の2個の側面18dとに常時、接触している。左側面12hと2個の側面18dとに接触する第2ガイドボール8は、光軸Lに略平行でガイドボール7の中心を通過する軸L1を中心とする可動体4の回動を防止する機能を果たしている。
【0074】
なお、本形態では、レンズ駆動装置1の右後端の角部および左前端の角部は、第1角部であり、左後端の角部および右前端の角部は、第4角部である。また、可動体4の右後端の角部(すなわち、スリーブ12の右後端の角部)は、第2角部であり、可動体4の左前端の角部(すなわち、スリーブ12の左前端の角部)は、第3角部である。また、本形態では、右後ろ方向は、光軸方向に直交する一方向であり、左前方向は、この一方向の逆方向となる他方向である。
【0075】
(レンズ駆動装置の概略動作)
以上のように構成されたレンズ駆動装置1では、駆動用コイル22に電流が供給されると、可動体4が光軸方向へ移動する。上述のように、付勢用磁石29と磁性部材28との間に生じる磁気的吸引力と、駆動用磁石23とカバー部材13との間に生じる磁気的吸引力との合力によって、可動体4が右後ろ方向へ付勢されており、2個のガイドボール7は、左側面12fおよび前側面12gと、前側面17cおよび左側面17dとに接触し、第2ガイドボール8は、左側面12hと、2個の側面18dとに接触している。そのため、駆動用コイル22に電流が供給されると、可動体4は、右後ろ方向へ付勢された状態で、ガイドボール7および第2ガイドボール8に沿って光軸方向へ移動する。このときには、ガイドボール7および第2ガイドボール8は、可動体4の移動に伴って回転する。
【0076】
可動体4が目標停止位置まで移動すると、可動体4が目標停止位置に留まるように、プリント基板24に実装される磁気センサでの可動体4の位置の検出結果に基づいて、駆動用コイル22へ電流が供給される。すなわち、本形態では、可動体4が目標停止位置に留まるように、磁気センサでの検出結果に基づいて、駆動用コイル22に供給される電流がフィードバック制御される。このフィードバック制御は、図示を省略する制御部によって実行される。制御部は、たとえば、基板15に実装されている。
【0077】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、磁気吸引機構9は、駆動用磁石23とカバー部材13との間に作用する磁気的吸引力の方向の逆方向となる左前方向へ磁気的吸引力を発生させている。また、本形態では、磁気吸引機構9が発生させる磁気的吸引力は、駆動用磁石23とカバー部材13との間に生じる磁気的吸引力よりも小さくなっている。そのため、本形態では、駆動用コイル22を通過する磁束の量を増やすために、駆動用コイル22を介して駆動用磁石23とカバー部材13の内周面とを対向させ、かつ、駆動用磁石23の磁力を高めたり、駆動用磁石23を大きくして駆動用磁石23と駆動用コイル22との対向面積を広くしたりしても、ガイドボール7および第2ガイドボール8とスリーブ12との接触圧、ガイドボール7とボール保持部材17との接触圧、および、第2ガイドボール8とボール保持部材18との接触圧を低減することが可能になる。したがって、本形態では、駆動用コイル22を通過する磁束の量を増やしつつ、ガイドボール7および第2ガイドボール8とスリーブ12との間の摩擦抵抗、ガイドボール7とボール保持部材17との間の摩擦抵抗、および、第2ガイドボール8とボール保持部材18との間の摩擦抵抗を低減することが可能になる。その結果、本形態では、駆動用コイル22に供給される電流値が低くても可動体4を光軸方向へ円滑に移動させることが可能になる。
【0078】
また、本形態では、磁気吸引機構9の磁気的吸引力を調整することで、ガイドボール7および第2ガイドボール8とスリーブ12との接触圧、ガイドボール7とボール保持部材17との接触圧、および、第2ガイドボール8とボール保持部材18との接触圧を調整することが可能になる。特に本形態では、磁気吸引機構9が、駆動用磁石23とカバー部材13との間に作用する磁気的吸引力の方向の逆方向となる左前方向へ磁気的吸引力を発生させているため、駆動用磁石23とカバー部材13との間に作用する磁気的吸引力の絶対値と磁気吸引機構9が発生させる磁気的吸引力の絶対値との差がそのまま、ガイドボール7および第2ガイドボール8とスリーブ12との間、ガイドボール7とボール保持部材17との間、および、第2ガイドボール8とボール保持部材18との間で作用する。したがって、本形態では、ガイドボール7および第2ガイドボール8とスリーブ12との接触圧、ガイドボール7とボール保持部材17との接触圧、および、第2ガイドボール8とボール保持部材18との接触圧の調整が容易になる。
【0079】
また、本形態では、ガイドボール7および第2ガイドボール8とスリーブ12との接触圧、ガイドボール7とボール保持部材17との接触圧、および、第2ガイドボール8とボール保持部材18との接触圧を低減することが可能になるため、光軸方向へ可動体4が移動する際のノイズを低減することが可能になる。
【0080】
本形態では、上下方向で重なるように配置される2個のガイドボール7が、略V形状をなすスリーブ12の左側面12fおよび前側面12gと、略V形状をなすボール保持部材17の前側面17cおよび左側面17dとに接触している。そのため、本形態では、2個のガイドボール7のうちの一方のガイドボール7を中心にして、かつ、上下方向に直交する方向を軸方向として、固定体5に対して可動体4が回動するのを防止することが可能になり、その結果、上下方向に対する可動体4の傾き(チルト)を抑制することが可能になる。
【0081】
また、本形態では、略V形状をなす左側面12fおよび前側面12gと、略V形状をなす前側面17cおよび左側面17dとの間にガイドボール7が挟まれるように右後ろ方向へ付勢された状態で、可動体4は、ガイドボール7および第2ガイドボール8に沿って上下方向へ移動する。そのため、本形態では、可動体4が上下方向へ移動する際に、左側面12fおよび前側面12gと、前側面17cおよび左側面17dとの間から2個のガイドボール7が外れるのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、可動体4が上下方向へ移動する際の上下方向に対する可動体4の傾きを抑制することが可能になる。
【0082】
特に本形態では、ガイドボール7とスリーブ12との間の摩擦抵抗、および、ガイドボール7とボール保持部材17との間の摩擦抵抗を低減することが可能になるため、ガイドボール7が当接するスリーブ12の左側面12f、前側面12g、および、ボール保持部材17の前側面17c、左側面17dの変形や摩耗を抑制することが可能になる。したがって、本形態では、ガイドボール7に案内されて上下方向へ移動する際の可動体4の傾きを効果的に抑制することが可能になる。
【0083】
また、本形態では、左側面12fおよび前側面12gと、前側面17cおよび左側面17dとに2個のガイドボール7が接触するように右後ろ方向へ付勢された状態で、可動体4がガイドボール7および第2ガイドボール8に沿って上下方向へ移動するため、上下方向へ移動する可動体4のがたつきを抑制することが可能になる。
【0084】
本形態では、上下方向から見たときに、左側面12fと前側面12gとの交点C1から、前側面17cと左側面17dとの交点C2へ向かう矢印V3の方向は、可動体4が付勢されている方向である矢印V1の方向と略平行になっている。そのため、可動体4に生じる付勢力によって、左側面12fと前側面12gとにガイドボール7を均等な接触圧で接触させることが可能になり、また、前側面17cと左側面17dとにガイドボール7を均等な接触圧で接触させることが可能になる。したがって、本形態では、可動体4の傾きやがたつきを効果的に抑制することが可能になる。
【0085】
本形態では、第2ガイドボール8は、光軸Lに略平行でガイドボール7の中心を通過する軸L1を中心とする可動体4の回動を防止する機能を果たしている。そのため、本形態では、第2ガイドボール8によって、上下方向に直交する方向への固定体5に対する可動体4のずれを防止することが可能になる。特に本形態では、第2ガイドボール8とスリーブ12との間の摩擦抵抗、および、第2ガイドボール8とボール保持部材18との間の摩擦抵抗を低減することが可能になるため、第2ガイドボール8が当接するスリーブ12の左側面12h、および、ボール保持部材18の側面18dの変形や摩耗を抑制することが可能になる。したがって、本形態では、上下方向に直交する方向への固定体5に対する可動体4のずれを効果的に防止することが可能になる。
【0086】
本形態では、第2ガイドボール8は、平面状に形成されるスリーブ12の1個の左側面12hと、略V形状をなすように形成されるボール保持部材18の2個の側面18dとに接触している。そのため、本形態では、2個の側面18dによって、上下方向に直交する方向における第2ガイドボール8の位置ずれを防止することが可能になる。また、本形態では、左側面12hによって、レンズ駆動装置1を構成する各部品の寸法誤差やレンズ駆動装置1の組立誤差を吸収して、左側面12fおよび前側面12gと、前側面17cおよび左側面17dとの間にガイドボール7を容易に配置すること、および、左側面12hと2個の側面18dとの間に第2ガイドボール8を容易に配置することが可能になる。したがって、本形態では、レンズ駆動装置1を構成する各部品の寸法精度やレンズ駆動装置1の組立精度が低くても、左側面12fおよび前側面12gと、前側面17cおよび左側面17dとの間にガイドボール7を容易に配置すること、および、左側面12hと2個の側面18dとの間に第2ガイドボール8を容易に配置することが可能になる。
【0087】
本形態では、磁気吸引機構9は、スリーブ12に固定される磁性部材28と、カバー部材13に固定される付勢用磁石29とによって構成されている。そのため、本形態では、スリーブ12とカバー部材13との両者に付勢用磁石が固定される場合と比較して、磁気吸引機構9のコストを低減することが可能になる。また、本形態では、略三角柱状に形成された付勢用磁石29がカバー部材13に固定され、平板状に形成された磁性部材28がスリーブ12に固定されているため、付勢用磁石29がスリーブ12に固定されている場合と比較して、可動体4側の重量を軽減することが可能になる。また、付勢用磁石29がスリーブ12に固定されている場合には、カバー部材13の左前端の上端に形成される固定部13bと付勢用磁石29との間に磁気的吸引力が生じて、光軸方向へ可動体4が移動する際に可動体4が傾くといった不具合等が発生するおそれがあるが、本形態では、かかる不具合等の発生を防止することができる。
【0088】
本形態では、可動体4の可動範囲において、付勢用磁石29と磁性部材28との対向面積が一定になっている。そのため、本形態では、光軸方向における可動体4の位置にかかわらず、磁気吸引機構9による可動体4と固定体5との間の磁気的吸引力を一定にすることが可能になる。したがって、本形態では、光軸方向へ移動する際の可動体4を安定させることが可能になる。
【0089】
本形態では、上下方向から見たときの形状が略正方形状となるレンズ駆動装置1の左後端の角部にガイドボール7が配置され、レンズ駆動装置1の右前端の角部に第2ガイドボール8が配置されている。また、本形態では、駆動用コイル22および駆動用コイル23がレンズ駆動装置1の右後端の角部に配置され、磁性部材28および付勢用磁石29がレンズ駆動装置1の左前端の角部に配置されている。すなわち、本形態では、デッドスペースとなりやすいレンズ駆動装置1の4つの角部にガイドボール7と、第2ガイドボール8と、駆動用コイル22および駆動用磁石23と、磁性部材28および付勢用磁石29とが配置されている。そのため、本形態では、レンズ2の径方向へレンズ駆動装置1を小型化することが可能になる。あるいは、レンズ2の径方向でレンズ駆動装置1を大型化させることなく、レンズ2の径を大きくすることが可能になる。
【0090】
特に本形態では、付勢用磁石29が略三角柱状に形成されているため、レンズ駆動装置1の左前端の角部のスペースが狭くても付勢用磁石29を配置することが可能になる。したがって、本形態では、レンズ2の径方向へレンズ駆動装置1をより小型化することが可能になる。あるいは、レンズ2の径方向でレンズ駆動装置1を大型化させることなく、レンズ2の径をより大きくすることが可能になる。また、本形態では、プリント基板24に実装される磁気センサと駆動用磁石23とによって、光軸方向における可動体4の位置を検出する位置検出機構が構成されているため、位置検出機構の構成を簡素化して、位置検出機構を小型化することが可能になる。したがって、本形態では、レンズ駆動装置1をより小型化することが可能になる。
【0091】
本形態では、略長方形の平板状に形成される2個の駆動用磁石23が、スリーブ12の右後端の角部を挟むようにスリーブ12の後ろ側面および右側面に固定されている。そのため、本形態では、駆動用磁石23と駆動用コイル24との対向面積を大きくすることが可能になる。また、本形態では、駆動用磁石23の外側面23bは、上下方向において、2極に着磁され、外側面23bの上端側は、コイル部25の2個の長辺部25aのうちの上側に配置される一方の長辺部25aと対向し、外側面23bの下端側は、下側に配置される他方の長辺部25aと対向している。そのため、本形態では、駆動機構6の駆動力を高めることが可能になる。
【0092】
本形態では、トッププレート16が固定される固定部13bがカバー部材13の上端の四隅に形成されている。そのため、本形態では、トッププレート16をカバー部材13に確実に固定することが可能になる。また、本形態では、カバー部材13の上端の四隅に固定部13bが形成されているため、カバー部材13の強度を高めることが可能になる。
【0093】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0094】
上述した形態では、付勢用磁石29と磁性部材28との間に、矢印V2で示す左前方向へ可動体4を付勢する磁気的吸引力が生じている。この他にもたとえば、駆動用磁石23とカバー部材13との間に生じる磁気的吸引力を緩和する方向へ可動体4を付勢する磁気的吸引力が付勢用磁石29と磁性部材28との間に生じるのであれば、左前方向以外の方向へ可動体4を付勢する磁気的吸引力が付勢用磁石29と磁性部材28との間に生じるように、付勢用磁石29および磁性部材28が形成され、配置されても良い。
【0095】
上述した形態では、スリーブ12に固定される磁性部材28と、カバー部材13に固定される付勢用磁石29とによって磁気吸引機構9が構成されている。この他にもたとえば、磁気吸引機構は、スリーブ12に固定される付勢用磁石によって構成されても良い。たとえば、磁気吸引機構は、スリーブ12の側面12cに固定される付勢用磁石29によって構成されても良い。この場合には、カバー部材13の左前端の角部の内周面に所定の隙間を介して第1側面29aが対向するように、第2側面29bが側面12cに固定される。また、この場合には、カバー部材13の左前端の角部の内周面と付勢用磁石29との間に可動体4を左前方向へ付勢する磁気的吸引力が生じる。この場合には、磁性部材28がなくても、付勢用磁石29とカバー部材13との間に可動体4を左前方向へ付勢する磁気的吸引力が生じるため、磁気吸引機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0096】
また、上述した形態では、スリーブ12に固定される磁性部材28と、カバー部材13に固定される付勢用磁石29とによって磁気吸引機構9が構成されているが、スリーブ12に固定される平板状の付勢用磁石と、カバー部材13に固定される付勢用磁石29とによって磁気吸引機構が構成されても良い。また、上述した形態では、付勢用磁石29は、略三角柱状に形成されているが、付勢用磁石29は、たとえば、平板状に形成されても良い。
【0097】
上述した形態では、2個の駆動用磁石23は、略長方形の平板状に形成され、スリーブ12の右後端の角部を挟むように、スリーブ12の後ろ側面および右側面に固定されている。この他にもたとえば、略三角柱状に形成される駆動用磁石がスリーブ12の右後端の角部に固定されても良い。この場合には、たとえば、スリーブ12の前後左右に形成される側面に対して約45°傾く傾斜面がスリーブ12の右後端の角部に形成される。この場合には、レンズ駆動装置1の右後端の角部のスペースが狭くても駆動用磁石を配置することが可能になるため、レンズ2の径方向へレンズ駆動装置1を小型化すること、あるいは、レンズ2の径方向でレンズ駆動装置1を大型化させることなく、レンズ2の径を大きくすることが可能になる。また、駆動用磁石23に代えて、スリーブ12の右後端の角部に、略L形状に形成された駆動用磁石が固定されても良い。
【0098】
上述した形態では、スリーブ12に駆動用磁石23が固定され、カバー部材13に駆動用コイル22が固定されている。この他にもたとえば、スリーブ12に駆動用コイル22が固定され、カバー部材13に駆動用磁石23が固定されても良い。たとえば、駆動用コイル22がスリーブ12の右後端の角部、または、スリーブ12の右後端の角部を挟むスリーブ12の右側面および後ろ側面に固定されても良い。この場合には、可動体4側の重量を軽減することが可能になる。なお、この場合には、駆動用磁石23との間で、駆動用コイル22を挟む磁性部材がスリーブ12に固定される。
【0099】
上述した形態では、スリーブ12の左側面12fと前側面12gとは、上下方向から見たときに互いに略直交する略V形状をなすように形成されている。すなわち、上述した形態では、左側面12fと前側面12gとのなす角度が略90°となっている。この他にもたとえば、左側面12fと前側面12gとのなす角度は、鋭角であっても良いし、鈍角であっても良い。同様に、上述した形態では、ボール保持部材17の前側面17cと左側面17dとのなす角度は略90°となっているが、前側面17cと左側面17dとのなす角度は、鋭角であっても良いし、鈍角であっても良い。さらに、上述した形態では、ボール保持部材18の2個の側面18dのなす角度は略90°となっているが、2個の側面18dのなす角度は、鋭角であっても良いし、鈍角であっても良い。
【0100】
上述した形態では、上下方向から見たときに、左側面12fと前側面12gとの交点C1から、前側面17cと左側面17dとの交点C2へ向かう矢印V3の方向は、可動体4が付勢されている方向である矢印V1の方向と略平行になっている。この他にもたとえば、交点C1から交点C2へ向かう矢印V3の方向は、矢印V1の方向に対して傾いていても良い。
【0101】
上述した形態では、スリーブ12に、第2ガイドボール8が当接する1個の左側面12hが形成され、ボール保持部材18に、第2ガイドボール8が当接する2個の側面18dが形成されている。この他にもたとえば、スリーブ12に、第2ガイドボール8が当接する2個の側面が形成され、ボール保持部材18に、第2ガイドボール8が当接する1個の側面が形成されても良い。この場合には、スリーブ12に形成される2個の側面は、略V形状をなすように形成され、ボール保持部材18に形成される1個の側面は、平面状に形成される。
【0102】
上述した形態では、レンズ駆動装置1は、2個のガイドボール7と、1個の第2ガイドボール8とを備えている。この他にもたとえば、レンズ駆動装置1は、3個以上のガイドボール7を備えていても良い。また、レンズ駆動装置1は、2個以上の第2ガイドボール8を備えていても良い。ただし、レンズ駆動装置1が2個のガイドボール7と1個の第2ガイドボール8とを備えている場合には、最小数のガイドボール7と第2ガイドボール8とによって、可動体4が上下方向へ移動する際の可動体4の傾きを抑制すること、および、上下方向に直交する方向への可動体4のずれを防止することが可能になる。すなわち、この場合には、レンズ駆動装置1の構成を簡素化しつつ、可動体4が上下方向へ移動する際の可動体4の傾きを抑制すること、および、上下方向に直交する方向への可動体4のずれを防止することが可能になる。
【0103】
上述した形態では、ボール保持部材17に規制部17gが形成されているが、ボール保持部材17に規制部17gが形成されていなくても良い。この場合には、規制部17gが形成されている場合と比較して、可動体4が上下方向へ移動する際に、ガイドボール7が回転しやすくなる。また、ボール保持部材17に規制部17e、17fが形成されていなくても良い。また、上述した形態では、ボール保持部材18の凹部18cは、上下方向において、左側面18bの下端側の一部に形成されているが、凹部18cは、上下方向における左側面18bの全域に形成されても良い。
【0104】
上述した形態では、駆動用磁石23の外側面23bは、上下方向において、2極に着磁されている。この他にもたとえば、外側面23bは、単極着磁されても良い。この場合には、コイル部25の2個の長辺部25aのうちの一方の長辺部25aと、外側面23bとが対向する。また、上述した形態では、駆動用コイル22は、プリント基板24と、プリント基板24上で引き回された導線からなるコイル部25とを備えるシート状コイルであるが、駆動用コイル22は、略長方形の平板状に導線が巻回されることで形成された空芯コイルであっても良い。
【0105】
上述した形態では、プリント基板24に実装される磁気センサと駆動用磁石23とによって、光軸方向における可動体4の位置を検出するための位置検出機構が構成されている。この他にもたとえば、駆動用磁石23とは別個に設けられた検出用磁石と、プリント基板24に実装される磁気センサとによって位置検出機構が構成されても良い。また、上述した形態では、位置検出機構は、磁気センサと駆動用磁石23とを備える電磁式の検出機構であるが、位置検出機構は、たとえば、固定体5またはプリント基板24に取り付けられる発光素子および受光素子と、可動体4に固定され発光素子からの光を受光素子に向かって反射する反射板とを備える光学式の検出機構であっても良い。
【0106】
上述した形態では、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されているが、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。また、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略六角形状等の多角形状、円形状、あるいは、楕円形状となるように形成されても良い。