(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連鎖移動剤の前記(a)成分と前記(b)成分の配合比が、質量比で(a)成分:(b)成分=100:0.001〜100:10の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2記載の感光性シール材料。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明の感光性シール材料は、少なくとも(A)紫外線硬化材料等の光硬化性樹脂、(B)連鎖移動剤、(C)溶解度パラメーターが8.0〜10.0の範囲内の可塑剤を含むものである。上記(A)光硬化性樹脂及び(B)連鎖移動剤は、暗部硬化性組成物を構成する成分である。暗部硬化性組成物は、連鎖移動剤を含むことにより、照射光の届かない部位でも硬化させることができる。暗部硬化性組成物は、シール材料が被シール部材に容易に塗布可能とするために、実質的に常温で流動性を有するものである。このような流動性の具体的な性状として、暗部硬化性組成物は25℃における粘度が0.01〜100Pa・sの範囲内であればよい。
【0021】
(A)光硬化樹脂としては、既存の光硬化性材料を用いることができる。具体的には、(A−i)液状の(メタ)アクリレート等の硬化性モノマー、オリゴマー等と、(A−ii))光重合開始剤の混合物を基本組成物とし、紫外線等の光が照射されることで硬化物が得られるものであれば使用することができる。尚、光硬化性樹脂は、紫外線以外に、可視光、赤外線等により硬化物が得られるものも含まれる。
【0022】
尚、本発明において「(メタ)アクリレート」との記載はアクリレート及びメタクリレートの意味である。光硬化性樹脂の硬化原理としては、紫外線等を光重合開始剤が吸収して、ラジカル種等の活性種を発生させ、その活性種が(メタ)アクリレート等の炭素−炭素の2重結合をラジカル重合させ、硬化させるものである。
【0023】
以下、本発明において用いられる光硬化性材料について詳述する。(A−i)液状の(メタ)アクリレート化合物としては、分子中に1つ以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物であれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
【0024】
上記(メタ)アクリレートは、具体例として、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、等のモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンポリオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンポリオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのEO付加物又はPO付加物のポリオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加物トリ(メタ)アクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、エチルカルビトールオリゴ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンオリゴ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオリゴ(メタ)アクリレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、(ポリ)ブタジエン(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0025】
(A−i)光硬化性樹脂に添加される(A−ii)光重合開始剤としては、光を吸収してラジカル重合を開始させる化合物であれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
【0026】
上記光重合開始剤は、具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、エチルアントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
また光重合開始剤は、市販品として、例えば、IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61;Darocure1116、1173,LucirinTPO(以上、BASF社の商品名)、ユベクリルP36(UCB社の商品名)等を用いることができる。
【0028】
(B)連鎖移動剤は、(a)成分としてウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を分子中に1個以上含む化合物と、(b)成分として含金属化合物を含有している。
【0029】
上記(a)成分は、下記(式1)で示されるウレタン結合部、下記(式2)で示される尿素結合部、下記(式3)で示されるイソシアネート基から選択される少なくとも1種を1分子中に1個以上含有すれば、特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
(式1)
−NH−COO−
(式2)
−NH−CO−NH−
(式3)
−N=C=O
【0030】
上記(a)成分の化合物の具体例としては、各種ポリウレタン、各種ポリ尿素、含イソシアネート化合物等が挙げられる。上記各種ポリウレタン、各種ポリ尿素は、それぞれ下記の含イソシアネート化合物と、水酸基(−OH)含有化合物、アミン(−NH
2)含有化合物等を反応させることで得られるものである。
【0031】
含イソシアネート化合物は、そのまま上記(式3)のイソシアネート基を含む化合物として用いることができる、また含イソシアネート化合物は、以下に示す水酸基、アミン等と反応させて、各種ポリウレタン、各種ポリ尿素を形成するために用いる事ができる。
【0032】
上記含イソシアネート化合物としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート等の脂肪族イソシアネート。水素添加−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水素添加−キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、水素添加−2,4−トリレンジイソシアネート(水添TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等の脂環族イソシアネート。キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香脂肪族イソシアネート。1,4−ジフェニルジイソシアネート、2,4又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4又は4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、O−トリジンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(粗製MDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート等の芳香族イソシアネート等のポリイソシアネート。含イソシアネート化合物としては、更にこれらポリイソシアネートを水と反応させて得られるビウレット型ポリイソシアネート、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート、多価イソシアネートを一部ポリエステルやポリエーテル誘導体と重合させた液状プレポリマー、イソシアヌレート化して得られる多量体等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
上記水酸基含有化合物は、各種ポリウレタンを得るために含イソシアネート化合物と反応させて用いられる。水酸基含有化合物としては、末端に水酸基を持つ炭素鎖1〜30のアルコール類、末端ジオールの(ポリ)エチレングリコール、末端ジオールの(ポリ)プロピレングリコール、末端ジオールの(ポリ)ヘキサメチレングリコール、末端ジオールの(ポリ)カプロラクトン、末端ジオールの(ポリ)エステル(ポリ)オール、末端ジオールの(ポリ)アミド、末端ジオールの(ポリ)エステル等が挙げられる。
【0034】
各種ポリウレタンは、最終的に感光性組成物中に混合された場合に溶解もしくは懸濁状態になればよいので、必ずしも液状である必要は無いが、混合のし易さから、液状であることが好ましく、この際に用いられる水酸基含有化合物としては、分子量10万以下の液状化合物である事が好ましい。
【0035】
上記アミン含有化合物は、各種ポリ尿素を得るために含イソシアネート化合物と反応させて用いられる。アミン含有化合物は、末端に1級又は2級のアミノ基を持つ炭素鎖1〜30のアミン類、末端ジアミンの(ポリ)エチレングリコール、末端ジアミンの(ポリ)プロピレングリコール、末端ジアミンの(ポリ)ヘキサメチレングリコール、末端ジアミンの(ポリ)カプロラクトン、末端ジアミンの(ポリ)エステル(ポリ)オール、末端ジアミンの(ポリ)アミド、末端ジアミンの(ポリ)エステル等が挙げられる。
【0036】
各種ポリ尿素は、最終的に硬化材料に混合された場合に溶解もしくは懸濁状態になればよいので、必ずしも液状である必要は無いが、混合のし易さから、液状であることが好ましく、この際に用いられるアミン含有化合物としては、分子量10万以下の液状化合物である事が好ましい。
【0037】
また、ポリウレタン、ポリ尿素化合物は、必要に応じて重合後に末端基を(チオ)エーテル、(チオ)エステル、アミド、(チオ)ウレタン、(チオ)尿素、N−アルキル結合等によって、アルキル基や(メタ)アクリル基、エポキシ基、オキサゾリル基、カルボニル基、チオール基、チオエーテル基、チオエステル基、リン酸(エステル)基、ホスホン酸(エステル)基、カルボン酸(エステル)基等で封止されていても良い。
【0038】
前記した、ウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基は、複数の種類が結合されていても、或いは末端基が組み合わせられること等により分子中に含有されていても良い。
【0039】
上記(b)成分の金属化合物としては、スズ、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルの中から選択される少なくとも1種類の金属を含む含金属化合物が好ましく用いられる。含金属化合物は、複数種の上記金属が金属塩又は金属錯体等の形態で構成分子中に含有されていれば、特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
【0040】
上記金属塩としては、前記金属種のカルボン酸塩、りん酸塩、スルホン酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、(過)(亜)塩素酸塩等の形態が挙げられる。
【0041】
上記金属錯体としては、前記金属種と配位結合形成し得る有機配位子と1:1〜1:4(金属:配位子)で配位し安定化されたものであれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
【0042】
上記含金属化合物として、具体的には、ビス(2,4-ペンタンジオナト)スズ、ジブチルスズビス(トリフルオロメタンスルホナート)、ジブチルスズジアセタート、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズマレアート、フタロシアニンスズ(IV)ジクロリド、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルスズ、フタロシアニンスズ(II)、トリブチル(2-ピリジル)スズ、トリブチル(2-チエニル)スズ、酢酸トリブチルスズ、トリブチル(トリメチルシリルエチニル)スズ、トリメチル(2-ピリジル)スズ 、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銅(II)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(1,3-プロパンジアミン)銅(II)ジクロリド、ビス(8-キノリノラト)銅(II)、ビス(トリフルオロ-2,4-ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(2-ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸銅(II)、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅(II)、エチレンジアミン四酢酸銅(II)二ナトリウム、フタロシアニン銅(II)、ジクロロ(1,10-フェナントロリン)銅(II)、フタロシアニン銅、テトラ-4-tert-ブチルフタロシアニン銅、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)ヘキサフルオロホスファート、ナフテン酸銅、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス(2-ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)亜鉛(II)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(1,3-ジチオール-2-チオン-4,5-ジチオラト)亜鉛コンプレックス、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、フタロシアニン亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト(III)ヘキサフルオロホスファート、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]コバルト(II)ジクロリド、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)コバルト(II)、(1R,2R)-N,N'-ビス[3-オキソ-2-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ブチリデン]-1,2-ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、(1S,2S)-N,N'-ビス[3-オキソ-2-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ブチリデン]-1,2-ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)コバルト(II)、ビス(トリフルオロ-2,4-ペンタンジオナト)コバルト(II)、フタロシアニンコバルト(II)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムコバルト、ヘキサアンミンコバルト(III) クロリド、N,N'-ジサリチラルエチレンジアミンコバルト(II)、[5,10,15,20-テトラキス(4-メトキシフェニル)ポルフィリナト]コバルト(II)、トリス(2,4-ペンタンジオナト)コバルト(III)、ナフテン酸コバルト、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、ビス(ジチオベンジル)ニッケル(II)、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ニッケル(II)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)ニッケル(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(マレオニトリルジチオラト)ニッケル(II)コンプレックス、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ブロモ[(2,6-ピリジンジイル)ビス(3-メチル-1-イミダゾリル-2-イリデン)]ニッケルブロミド、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムニッケル(II)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(II)、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよい2種以上を併用してもよい。
【0043】
上記(b)成分の含金属化合物の形態としては、最終的に感光性シール材料に混合された場合に溶解もしくは懸濁状態になればよいので、必ずしも有機物への溶解性が高い必要は無いが、混合のし易さから、有機酸塩又は金属錯体状であることが好ましい。
【0044】
上記(a)成分と(b)成分を複合して(B)連鎖移動剤を構成する。上記(a)成分と(b)成分の複合方法は、両成分を常温、又は加温条件で混合すれば良く、特に限定されないが、上記各成分を、減圧下または窒素等の不活性ガス雰囲気下で、適当な温度にて、混合ミキサー等のかくはん装置を用いて十分に攪拌または混練し、溶解させるか均一に分散させる方法が好ましい。
【0045】
上記(a)成分と(b)成分の配合比としては、質量比で、(a)成分:(b)成分=100:0.001〜100:10の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは、(a)成分:(b)成分=100:0.005〜100:5の範囲内である。(b)成分の含金属化合物の配合量が多過ぎると、含金属化合物が不溶物となり、光硬化性樹脂に添加された時に照射光の透過を阻害するため、硬化反応を阻害してしまう結果となる虞がある。一方(b)成分の含金属化合物の配合量が少な過ぎると、複合体として作用しきれずに連鎖移動剤としての機能が低下してしまう虞がある。
【0046】
上記方法にて作成した(B)連鎖移動剤は、(A)光硬化性樹脂に添加混合されて使用されるが、その混合方法としては特に限定されず、減圧下又は窒素等の不活性ガス雰囲気下で、適当な温度にて、混合ミキサー等のかくはん装置を用いて十分に攪拌または混練し、溶解させるか均一に分散させる方法が好ましい。
【0047】
(A)光硬化性樹脂と(B)連鎖移動剤の配合量は、質量比で、(A):(B)=90:10〜10:90の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは(A):(B)=80:20〜20:80の範囲内である。(B)連鎖移動剤の配合量が多すぎると、光硬化に関わる材料比が相対的に少なくなり、十分な硬化物が得られない虞がある。また(B)連鎖移動剤の配合量が少なすぎると、連鎖移動能が不足して、光硬化性樹脂の暗部硬化機能が不十分となってしまう虞がある。
【0048】
(C)可塑剤としては、SP値が8.0〜10.0の範囲にある可塑剤を用いる。具体的な可塑剤としては、ジエチルフタレート(SP値:10.0)、ジブチルフタレート(SP値:9.4)、ジ(イソ)オクチルフタレート(SP値:8.7)、ジ(イソ)ノニルフタレート(SP値:9.1)などのフタル酸エステル系可塑剤や、トリ(イソ)オクチルトリメリト酸(SP値:8.7)などのトリメリト酸エステル系可塑剤、ジ-2-エチルヘキシルアジペート(SP値:8.7)、ジ-2-エチルヘキシルセバケート(SP値:8.7)などの脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、トリクレジルホスフェート(SP値:9.9)、トリ(イソ)オクチルホスフェート(SP値:9.2)、トリブトキシエチルホスフェート(SP値:8.6)、トリブチルホスフェート等(SP値:8.6)のリン酸エステル系可塑剤、ジプロピレングリコールジベンゾエート(SP値:9.6)などの安息香酸エステル系可塑剤が挙げられる。
【0049】
前述した可塑剤の溶解度パラメーターの範囲外の可塑剤を用いた場合には光硬化性樹脂に対する相溶性が低下し、2液相に分離し易くなってしまう。
【0050】
更に上記のリン酸エステル系可塑剤のうち、非芳香族のリン酸エステル系のトリ(イソ)オクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリブチルホスフェートなどの−50℃以下の流動点を持つ可塑剤は、低温特性の点から好ましい。−50℃以下の流動点を持つ可塑剤を感光性シール材料に用いた場合、シール材料の硬化物からなるシール材のTgが低下するので、低温特性を更に向上させたシール材を得ることができる。
【0051】
上記の各可塑剤は1種単独で使用しても、複数種類を組み合わせて用いても、いずれでもよい。
【0052】
感光性シール材料における(C)可塑剤の配合量は、上記暗部硬化性組成物〔(A)光硬化性樹脂+(B)連鎖移動剤〕が100質量部に対して、1〜40質量部の範囲である。可塑剤の配合量が1質量部未満では、可塑剤が経時的にシール材に移行して、シール性等の物性の低下を引き起こす。また可塑剤の配合量が40質量部を超えると、初期の段階でシール材の接着力が不十分であり、シール材としての機能を発揮できない虞がある。更に好ましい感光性シール材料における(C)可塑剤の配合量は、暗部硬化性組成物100質量部に対して、5〜30質量部の範囲内である。
【0053】
本発明の感光性シール材料は、上記(A)光硬化性樹脂、(B)連鎖移動剤、(C)可塑剤以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができる。上記添加剤としては、例えば、安定化剤、軟化剤、接着性付与剤、増感剤、分散剤、溶剤、抗菌抗カビ剤が挙げられる。
【0054】
上記安定化剤としては、老化防止剤、酸化防止剤、脱水剤等が挙げられる。これらは具体的には、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物(老化防止剤)、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トリフェニルフォスフェート等(酸化防止剤)、無水マレイン酸、無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、生石灰、カルボジイミド誘導体、ステアリルクロライド等の酸クロライド(脱水剤)が挙げられる。また少量のメタキノン等の重合禁止剤等も安定化剤として使用できる。
【0055】
上記軟化剤としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
【0056】
上記接着性付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−
フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリチオール化合物が挙げられる。
【0057】
上記増感剤としては、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、市販品としてユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB製)等が挙げられる。
【0058】
上記分散剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル等の界面活性剤が挙げられる。
【0059】
上記溶剤としては、感光性シール材料の組成物中に固形成分を用いる際、その固形成分を溶解させる事ができるものであれば良く、具体的にはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの極性溶剤、ジクロロエタン、トリクロロベンゼンなどの塩素系溶剤が挙げられる。
【0060】
上記の各添加剤は適宜、組み合わせて用いることができる。
【0061】
硬化物の機能付加の目的で、上記感光性シール材料の組成物中に充填もしくは混合され得る物質は特に限定されないが、用途を考慮した上でも、それ自体の安定性が高いものであることが好ましい。
【0062】
また上記感光性シール材料に充填もしくは混合され得る物質の量も特に限定されないが、充填もしくは混合されることで、取り扱いに支障をきたさない量であることが好ましい。
【0063】
本発明の感光性シール材料を製造する方法は、特に限定されないが、上記各成分を、減圧下または窒素等の不活性ガス雰囲気下で、混合ミキサー等のかくはん装置を用いて十分に攪拌または混練し、溶解させるか均一に分散させる方法が好ましい。
【0064】
また混合物がポリマーで上記混合法では分散が困難な場合、そのポリマーを一旦溶剤に溶解してから混合し、減圧下または風乾にて溶剤を揮発させて、感光性シール材料を得ることもできる。
【0065】
本発明の感光性シール材料は、紫外線等の光硬化性樹脂を硬化することが可能な光を照射することで硬化することができる。
【0066】
本発明のシール材は、上記感光性シール材料に紫外線が照射されて、光硬化性樹脂成分を硬化して、感光性シール材料が硬化された硬化物からなる。具体的な感光性シール材料を被シール部材に施工して硬化させて、シール材を形成する工程は、以下の通りである。尚、被シール部材としては、電線・ケーブル等の接続部、端末部、床、壁などの貫通部等に好適に用いることができる。特に本発明のシール材によりシールする被シール部材は、例えばPVC(軟質ポリ塩化ビニル)のような、可塑剤が配合されている素材が好適である。
【0067】
まず感光性シール材料を被シール部材のシールしようとする所定の箇所に塗布する。感光性シール材料は、未硬化の状態では常温で流動性を有するので、塗布部の形状に応じて所定の箇所に充填される。
【0068】
次いで、充填した感光性シール材料に硬化のための光を照射して光硬化性樹脂を硬化させる。この場合、感光性シール材料は、光硬化性樹脂と連鎖移動剤が組み合わされているので、感光性シール材料の照射光が直接届かない影の部位であっても、連鎖移動剤により硬化させることができる。所定の箇所に感光性シール材料が硬化したシール材が形成されて、被シール部材がシールされた状態となる。
【0069】
感光性シール材料には特定の可塑剤が混合されているので、PVC等の可塑剤を含む材料を被シール部材としてシール材を施工した場合に、被シール部材からの可塑剤の移行を防止し、更にシール材自体の低温特性を向上させることができるので、長期にわたり安定したシール性能を維持することができる。
【0070】
感光性シール材料を硬化する際の照射光は、紫外線以外に可視光、赤外線等であってもよい。紫外線照射装置等の光照射装置は、従来公知の各種照射装置を用いることができる。また照射光の照射条件も、光硬化性樹脂の種類や配合組成等に応じて、適宜設定することができる。
【実施例】
【0071】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0072】
表1に光硬化性樹脂として紫外線硬化材料調製例A−1〜A−3を示す。表1の組成は質量部である。表中の各成分の略称は以下の通りである。特にメーカー名を表示していないものは東京化成社製の試薬グレードのものを用いた。また(B)連鎖移動剤は、以下に示す合成方法で作製した、ウレタン結合を含む化合物と含金属化合物の複合体を用いた。
【0073】
【表1】
【0074】
(A−i)(メタ)アクリレート
・DPGA:ジプロピレングリコールジアクリレート
・TEGA:テトラエチレングリコールジアクリレート
・TMPTA:トリメチロールプロパンEO付加トリアクリレート:大阪有機化学工業社製、商品名「V#360」
【0075】
(A−ii)光重合開始剤
・HCHPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
【0076】
(B)連鎖移動剤の合成
攪拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が400のポリプロピレングリコール80g(200mmol)、ヘキサメチレンジイソシアネート40g(238mmol)とジブチルスズジラウレート0.05gを仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げた。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm
−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続けた。FT−IRの吸収面積から残留イソシアネート基の含有量を計算し、反応前と比較して約15%まで減少して変化が無くなった時を中間反応終了点とし、無色透明粘調性液体を得た。更に2−ヒドロキシエチルアクリレート9.84g(84.7mmol)、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]0.02gを加え、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げた。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm
−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続けた。FT−IRの吸収面積から残留イソシアネート基の含有量見積り、その吸収が消失した時を反応終了とし、無色透明粘調性液体のウレタン結合を含む化合物を130g得た。更にビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)を1.08g加え20分間常温で激しく攪拌し、ウレタン結合を含む化合物と含金属化合物の複合体からなる連鎖移動剤を得た。
【0077】
実施例1〜10、比較例1〜7
表2に感光性シール材料の実施例を示し、表3に比較例を示す。表上部の組成は質量部であり、表中の各成分を記載の量をもって調製した。尚、表中の略称は以下の通りである。特にメーカー名を表示していないものは東京化成社製の試薬グレードのものを用いた。
【0078】
(C)可塑剤
・DINP:ジイソノニルフタレート(SP値:9.1)
・TOTM:トリオクチルトリメリト酸 (SP値:8.7)
・DOS:ジ-2-エチルヘキシルセバケート(SP値:8.7)
・DEGDB:ジプロピレングリコールジベンゾエート(SP値:9.6)
・TEHP:トリオクチルホスフェート(SP値:9.2)
・TBEP:トリブトキシエチルホスフェート(SP値:8.6)
・DMP:ジメチルフタレート(SP値:10.7)
・PO:パラフィン系プロセスオイル(富士興産社製、商品名「P−400」、SP値:6.5)を示す。
【0079】
〔被シール部材としてのPVCシートの作成〕
軟質PVCとして三菱樹脂社製、商品名「アルトロン#4800」を用い、プレス成型にて30mm幅×100mm長×0.3mm厚のシートを作成した。(以後、この材料をPVCシートと記載する)
【0080】
〔感光性シール材料の塗布〕
上記PVCシート上に、実施例、比較例の各感光性シール材料を厚み0.2mmになるように均一に塗布し、上面からUVランプ(SEN特殊光源社製100mW/cm
2)で20秒間紫外線照射を行い、感光性シール材料を硬化させてシール材を形成した。
【0081】
〔シール材のシール性の評価〕
シール性の評価は、PVCシートとの接着力の試験を行い、接着性変化を下記の方法で評価することで判定した。接着力の試験は、感光性シール材料を表面で硬化させたPVCシートを5mm幅×100mm長の帯状に裁断して、PVCシート面を水平に固定した後、表面のシール材の一端を引張り試験機のチャックで掴み、10mm/minの速度で引き剥がす際の荷重を測定してN/mに換算して接着力を測定した。尚、表2及び表3において「感光性シール材料」との記載は、全て硬化後のシール材のことである。
【0082】
接着力の測定は、硬化後室温で1時間保管したものと120℃のオーブン中で60時間放置したものの両方について測定し、前者を接着力(初期)、後者を接着力(120℃放置後)の値として、表2及び表3に記載した。
【0083】
シール性の判定は、接着力(初期)は、接着力が1000N/m以上のものを○(良好)とし、1000N/m未満のものを×(不良)とした。また、接着力(120℃放置後)については、上記(初期)の判定と同様に1000N/m以上のものを○、1000N/m未満のものを×とし、更に1000N/m以上で初期接着力に対して90%以上の接着力を維持しているものを◎(優良)とした。
【0084】
〔伸び・最大強度の測定〕
接着力の測定で分離したPVCシートと感光性シール材料を硬化した後のシール材(5mm幅×100mm長)に対し、それぞれ引張り試験機により引張り試験を行い、20mm/minの引張り速度における破断伸び(%)と最大強度(MPa)を測定し、伸びと最大強度を可塑剤移行性考察のための参考値とした。測定は、PVCシート、感光性シール材料(硬化後)について、それぞれ初期と120℃放置後のサンプルについて測定した。測定結果を表2、表3に示した。
【0085】
〔Tgの測定〕
前記の条件で紫外線により硬化させた感光性シール材料を光硬化後1時間室温で放置した後、示差熱分析(DSC)を行い、5℃/minの速度で昇温した際の比熱変化点からTg(℃)を求めた。Tgの測定結果を表2、表3に合わせて記載した。
【0086】
〔評価結果〕
表3に示すように、比較例1〜3では、感光性シール材料に可塑剤が含まれていないので、120℃放置の間にPVCシートから感光性シール材料側への可塑剤移行が発生し、接着界面に流動性の可塑剤が存在することになるため、接着力が低下してシール性が衰えていることが判る。また比較例1〜3は表3の参考値に示すように、120℃放置後の、PVCシートの伸び、最大強度共に減少しており、120℃放置中の可塑剤移行により、PVCの可塑剤が失われ、硬く脆くなっている事が判る。
【0087】
表3の比較例4は、可塑剤を含有しているものの、量が少な過ぎるため、120℃放置中のPVCシートから感光性シール材料への可塑剤移行を防止できず、シール性が衰えていることが判る。比較例4の参考値のPVCシートの伸び、最大強度の変化も上記、比較例1〜3と同様である。
【0088】
表3の比較例5は感光性シール材料に過剰に可塑剤が含まれているため、紫外線硬化後においても、界面に過剰の可塑剤が存在するため初期の段階で接着力が低く、シール材料として機能していないことが判る。これは、参考値の感光性シール材料最大強度(初期)の値が、低い値であることからも証明される。
【0089】
表3の比較例6、7は添加した可塑剤のSP値が高過ぎる、または、低すぎるため、感光性シール材料中の暗部硬化性組成物と相分離を起こし、シール材と被シール部材の界面に流動性の可塑剤が存在する結果となり、比較例5と同様にシール材料として機能していないことが判る。上記比較例6、7の相分離は、参考値の感光性シール材料伸び(初期)、感光性シール材料最大強度(初期)の値が低いことからも証明される。
【0090】
上記比較例1〜7(表3)に対し、実施例1〜10(表2)ではいずれの材料、いずれの測定項目においても、120℃放置前後で大きな差は見られないことから、物性変化や劣化を引き起こす要因である可塑剤移行は防止されており、安定なシール性を保つことが可能なシール材が形成されていることが証明される。
【0091】
更に表2においてTgをみると、実施例5〜8、10において−50℃を下回っている。これらは、流動温度が−50℃を下回るリン酸エステル系の可塑剤を10部以上添加したものであり、これらの可塑剤を添加することで、更に低温特性も向上させることができることが証明された。
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。