(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912840
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】旋回型作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/08 20060101AFI20160414BHJP
B62D 21/18 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
E02F9/08 Z
B62D21/18 E
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-113024(P2012-113024)
(22)【出願日】2012年5月17日
(65)【公開番号】特開2013-238081(P2013-238081A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】今野 徹
(72)【発明者】
【氏名】中井 暁人
(72)【発明者】
【氏名】西山 伸一
【審査官】
石井 哲
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−189194(JP,A)
【文献】
特開平11−280114(JP,A)
【文献】
特開2002−061225(JP,A)
【文献】
特開2004−162405(JP,A)
【文献】
特開2003−268807(JP,A)
【文献】
特開2005−336829(JP,A)
【文献】
特開2010−280280(JP,A)
【文献】
米国特許第06357773(US,B1)
【文献】
韓国公開特許第10−2004−0042819(KR,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0140514(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00−9/12
B62D 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回フレームの運転室取付部分の下方空間内に位置し、この空間の底面に着脱を可能に取付けられ、底面に形成されている開口部を塞ぐ物品収納箱を有している、
ことを特徴とする旋回型作業機械。
【請求項2】
物品収納箱が、該底面上に載置され開口部を塞ぐ平板状の底部を有している、
ことを特徴とする請求項1記載の旋回型作業機械。
【請求項3】
着脱可能に取付けられた物品収納箱を取外すことにより同じ場所に他の装備品を取付けることが可能である、
ことを特徴とする請求項1または2記載の旋回型作業機械。
【請求項4】
旋回フレームの該下方空間の外縁側の側面に空間内の物品収納箱の出し入れを可能に設けた窓と、
この窓を開閉可能に閉じる蓋と、を備えている、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の旋回型作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は旋回型作業機械の旋回フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルのような旋回型作業機械の旋回フレームには、運転室、作業装置、エンジンなどの種々の機器、装置が搭載されている。この旋回型作業機械(例えば、特許文献1参照)の運転室の床板(特許文献1符号32)と旋回フレームの底面(特許文献1符号21)との間の空間には、運転操縦に関連した種々の配管、配線等が設置され、底面にはこの空間に組立、保守点検などの際に下方からアクセスできるように比較的大きな開口部(特許文献1符号28)が形成されている。この開口部には、下方から空間に異物が侵入しないように、また異物により内部機器が損傷されないようにボトムガード(特許文献1符号29アンダカバー)が取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−189194号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の旋回型作業機械には、旋回フレームの底面の開口部を塞ぐために比較的大型のボトムガードを製作し用意する必要がある。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、旋回フレームの運転室が搭載される部分の下方の開口部を、ボトムガードを用意することなく経済的に、開閉可能に塞ぐことができる、旋回型作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば上記技術的課題を解決する旋回型作業機械として、旋回フレームの運転室取付部分の下方空間内に位置し、この空間の底面に着脱を可能に取付けられ、底面に形成されている開口部を塞ぐ
物品収納箱を有している、ことを特徴とする旋回型作業機械が提供される。
【0007】
好適には、
物品収納箱は、該底面上に載置され開口部を塞ぐ平板状の底部を有している。
【0008】
そして、着脱可能に取付けられた
物品収納箱を取外すことにより同じ場所に他の装備品を取付けることが可能である。また、旋回フレームの該下方空間の外縁側の側面に空間内の
物品収納箱の出し入れを可能に設けた窓と、この窓を開閉可能に閉じる蓋と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に従って構成された旋回型作業機械は、旋回フレームの運転室取付部分の下方空間内に位置し、この空間の底面に着脱を可能に取付けられ、底面に形成されている開口部を塞ぐ
物品収納箱を有している。
【0010】
したがって、旋回フレームの底面の開口部を、ボトムガードを用意することなくボトムガードを兼用する
物品収納箱によって、経済的に、開閉可能に塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に従って構成された旋回型作業機械の旋回フレームの斜視図およびそのA−A矢印方向に見た拡大断面図。
【
図2】
図1の旋回フレームの運転室取付部分を下方(裏側)から見た斜視図およびそのB−B矢印方向に見た拡大断面図。
【
図3】
図1に示す物品収納箱および箱本体の斜視図。
【
図4】旋回型作業機械の代表例としての油圧ショベルの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成された旋回型作業機械について、代表的な旋回型作業機械である油圧ショベルにおける好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0013】
図4を参照して説明する。番号2で示す油圧ショベルは、下部走行体4と、下部走行体4上に旋回自在に設けられた上部旋回体6を備えている。上部旋回体6の旋回フレーム8には、前部左側に運転室10、前部中央に多関節の作業装置12、後部にエンジン室14等が搭載されている。
【0014】
図1、
図2を参照して説明する。運転室10は旋回フレーム8に、矩形に配置した4個の弾性マウント16を介してその床板11が取付けられている。床板11と下方の旋回フレーム8の底面9との間の空間18には、運転操縦に関連した種々の配管、配線等が設置されている。平板状の底面9には、この空間18に機器の組立分解、また保守点検などの際に下方からアクセスできる比較的大きな略矩形の開口部20(
図2参照)が形成されている。
【0015】
この旋回フレーム8の空間18には、底面9
に物品収納箱の代表例としてのツールボックス22が開口部20を塞いで着脱を可能に取付けられている。このツールボックス22は、旋回フレーム8の下方から旋回フレーム8を通した複数個(実施例は4個)のボルト24によって取付けられている。
【0016】
図3を参照して説明する。ツールボックス22は、旋回フレーム8の底面9に取付けられる箱本体26と、空間18内に位置し箱本体26に被せられた上蓋28を備えている。箱本体26は、底面9上に載置され開口部20を塞ぐ大きさの平板矩形状の底部26aと、底部26a上に一体的に設けられた矩形のトレー26bを有している。底部26aのトレー26bの外側には前記のボルト24に対応する位置にナット26c(4個)が溶接されている。トレー26bの側面には取手である長穴26dが設けられている。
【0017】
このトレー26bの中に収納する物品の仕切り(図示していない)を設けてもよい。また、トレー26bを底部26aにスライドを可能に取付けてもよい。
【0018】
上蓋28は、箱本体26のトレー26bを覆う大きさに板材を折り曲げて形成され、底部26aと平行な平面部28aと、前記空間18に配設されている配管、配線等を避けるための平面部28aから底部26a側に傾いた傾斜部28bを有している。上蓋28はトレー26bにビス、フックなどの手段(図示していない)によって止められている。
【0019】
図1、
図2に戻って説明する。着脱可能にツールボックス22を取付けているボルト24を外すことにより、ツールボックス22に代えて同じ位置に他の装備品を取付けることが可能である。他の装備品としては、旋回型作業機械2の仕様、用途などによって装備される、比較的大きなスペースが必要な、例えば追加燃料タンク、エンジン排ガス浄化用の尿素タンク、給油用のリフュエリングポンプユニットなどである。
【0020】
旋回フレーム8の下方空間18の外縁側の側面には、空間18内の
ツールボックス22の出し入れを可能に設けた矩形の窓30と、この窓30を開閉可能に閉じるドア状の蓋32を備えている。蓋32は旋回フレーム8に、一側がヒンジ34によって他側が鍵付きのラッチ35によって取付けられている。
【0021】
空間18内のツールボック
ス22を外して旋回フレーム8の底面9の開口部20を開けるには、ツールボックス22を旋回フレーム8に止めているボルト24を旋回フレーム8の下方から外し、ドア状の蓋32を開け、ツールボックス22側面の長穴26dに手をかけて、窓30から取出せばよい。開口部20を塞ぐには逆の操作を
行う。
【0022】
単にツールボック
ス22にアクセスするだけの場合には、蓋32を開けて窓30から、あるいは必要によりボルト24
を外してツールボックス22を窓30から引出して(
図1,2に二点鎖線鎖で示す)行う。
【0023】
なお蓋32の開閉の機会が少ない場合には、蓋32をドア状でなくボルトによって着脱可能に取付けてもよい。
【0024】
下方空間18内のツールボック
ス22へのアクセスは、この窓30から、あるいは運転室10の床板11に備えた開口(図示していない)からも行うことができる。
【0025】
上述したとおりの旋回型作業機械2の作用効果について説明する。
【0026】
本発明に従って構成された旋回型作業機械2は、旋回フレーム8の運転室10取付部分の下方空間18内に位置し、この空間18の底面9に着脱を可能に取付けられ、底面9に形成されている開口部20を塞ぐ
ツールボックス22を有している。したがって、旋回フレーム8の底面9の開口部20を、ボトムガードを用意することなくボトムガードを兼用する
ツールボックス22によって、経済的に、開閉可能に塞ぐことができる。
【0027】
そして、運転室10下の空間18内の機器類の保守点検などの際には、また仕様変更などによる空間18内の機器類の取付け取外しの際には、
ツールボックス22を取外し開口部20から運転室10下空間18に容易にアクセスすることができる。
【0028】
さらに、旋回型作業機械2においては旋回フレーム8の大きさが周囲の障害物と干渉しないように小さく制限され物品の収納スペースが少ないので
、ツールボックス
22のような物品収納箱
を運転室10下の空間18内に取付けることにより日常利用しやすい有効な収納スペースを確保することができる。
【0029】
そして、
ツールボックス22が底面9上に載置され開口部20を塞ぐ平板状の底部26aを有
するようにすれば、開口部20を確実に塞ぐことができるとともに、
ツールボックス22の製作も容易である。なおこの底部26aは、開口部20を塞ぐことができれば必ずしも平板状でなくてもよい。
【0030】
さらに、着脱可能に取付けられた
ツールボックス22を取外すことにより同じ位置に、他の装備品、例えば追加燃料タンク、エンジン排ガス浄化用の尿素タンク、あるいは給油用のリフュエリングポンプユニットなどを、旋回型作業機械2の仕様、用途などによって取付けることが可能である。
【0031】
そして、旋回フレーム8の下方空間18の外縁側の側面に空間18内の
ツールボックス22の出し入れを可能に設けた窓30と、この窓30を開閉可能に閉じる蓋32を備えることにより、運転室10下にある蓋32を開けると中に
ツールボックス22があって、この窓30を通して自由にものを出し入れできる。
【0032】
以上、本発明を実施例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、例えば下記のように、本発明の範囲内においてさまざまな変形あるいは修正ができるものである。
【0033】
すなわち、実施例において
は物品収納箱の代表例であるツールボックス22が装備されているが、
物品収納箱は、旋回フレーム8の底面9に着脱を可能に取付けられ開口部20を塞ぐものであれば、ツールボックス22以外のものでもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0034】
2:油圧ショベル(旋回型作業機械)
8:旋回フレーム
9:底面
10:運転室
18:空間
20:開口部
22:ツールボックス(物品収納
箱)
26:箱本体
26a:底部
28:上蓋
30:窓
32:蓋