(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吐出通路及び吸込通路を形成したポンプヘッドと、ポンプヘッドに設けられたシリンダケースと、シリンダケース内に配してポンプヘッドに軸線方向に伸縮自在に取り付けられたベローズと、ベローズによって囲繞形成されたポンプ室に突出する状態でポンプ室の上部に配してポンプヘッドに取り付けられた吐出側逆止弁と、ポンプ室に突出する状態でポンプ室の下部に配してポンプヘッドに取り付けられた吸込側逆止弁とを具備して、ベローズを伸縮動作させることによりポンプ室から吐出側逆止弁を介して吐出通路へと送液させる吐出工程と吸込通路から吸込側逆止弁を介してポンプ室へと給液させる吸込工程とを交互に行うように構成された横型ベローズポンプにおいて、
吐出側逆止弁が、基端部が吐出通路の上流端に連通する状態でポンプヘッドに取り付けられた筒状の弁ケースと、弁ケースの先端部に形成された貫通孔であって、一端が弁ケース内に開口すると共に他端が弁ケースとベローズの上側部分との上下対向周面間領域である上側ポンプ室部分に開口する弁入口通路と、弁ケース内に進退自在に配して弁入口通路の一端で構成される弁座口を開閉する弁体と、弁ケース内に配して弁体を弁座口を閉塞する閉弁位置に附勢するスプリングとを具備してなり、
吐出側逆止弁の弁ケースに、一端が弁入口通路内に開口すると共に他端が両逆止弁の弁ケースの上下対向周面間領域である中間ポンプ室部分に開口する下側吸引孔を形成してあることを特徴とする横型ベローズポンプ。
吐出通路及び吸込通路を形成したポンプヘッドと、ポンプヘッドの両側に設けられた一対のシリンダケースと、各シリンダケース内に配してポンプヘッドに軸線方向に伸縮自在に取り付けられた一対のベローズと、各ベローズによって囲繞形成されたポンプ室に突出する状態で当該ポンプ室の上部に配してポンプヘッドに取り付けられた一対の吐出側逆止弁と、各ポンプ室に突出する状態で当該ポンプ室の下部に配してポンプヘッドに取り付けられた一対の吸込側逆止弁とを具備して、両ベローズを交互に伸縮動作させることにより一方のポンプ室から吐出側逆止弁を介して吐出通路へと送液させる吐出工程と吸込通路から吸込側逆止弁を介して他方のポンプ室へと給液させる吸込工程とを同時に行うように構成された複動型のベローズポンプであることを特徴とする、請求項1に記載する横型ベローズポンプ。
吐出通路及び吸込通路を形成したポンプヘッドと、ポンプヘッドの片側に設けられたシリンダケースと、シリンダケース内に配してポンプヘッドに軸線方向に伸縮自在に取り付けられたベローズと、ベローズによって囲繞形成されたポンプ室に突出する状態で当該ポンプ室の上部に配してポンプヘッドに取り付けられた吐出側逆止弁と、ポンプ室に突出する状態でポンプ室の下部に配してポンプヘッドに取り付けられた吸込側逆止弁とを具備して、ベローズを伸縮動作させることによりポンプ室から吐出側逆止弁を介して吐出通路へと送液させる吐出工程と吸込通路から吸込側逆止弁を介してポンプ室へと給液させる吸込工程とを交互に行うように構成された単動型のベローズポンプであることを特徴とする、請求項1に記載する横型ベローズポンプ。
弁入口通路が弁ケースの周方向における複数箇所及び/又は弁ケースの軸線方向における複数箇所において上側ポンプ室部分に開口するものであることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載する横型ベローズポンプ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態を、図面に基づいて、具体的に説明する。
【0020】
図1は本発明に係る横型ベローズポンプの一例を示す縦断側面図であり、
図2は
図1と異なる状態を示す
図1相当の縦断側面図であり、
図3は
図1及び
図2と異なる状態を示す
図1相当の縦断側面図であり、
図4は
図3の要部を拡大して示す縦断側面図であり、
図5は
図4のV−V線に沿う要部の縦断正面図である。なお、以下の説明において、上下,左右とは、
図1〜
図4における上下,左右をいうものとする。
【0021】
図1〜
図3に示す横型ベローズポンプは、厳格な性状管理を必要とする液体(前記した薬液やスラリ液等)Aを連続的に送液するために使用される複動型のもの(以下「第1複動型ベローズポンプ」という)であって、吐出通路1及び吸込通路2を形成したポンプヘッド3と、ポンプヘッド3の両側に設けられた左右一対のシリンダケース4,4と、各シリンダケース4内に配して、ポンプヘッド3に軸線方向(水平方向)に伸縮自在に取り付けられた左右一対の円筒状のベローズ5,5と、各ベローズ5によって囲繞形成された左右一対のポンプ室6,6と、各ポンプ室6に突出する状態で当該ポンプ室6の上部に配してポンプヘッド3に取り付けられた左右一対の吐出側逆止弁7,7と、各ポンプ室6に突出する状態で当該ポンプ室6の下部に配してポンプヘッド3に取り付けられた左右一対の吸込側逆止弁8,8とを具備して、両ベローズ5,5を交互に伸縮動作させることにより、液体Aを一方のポンプ室6から吐出側逆止弁7を介して吐出通路1へと送液させる吐出工程と吸込通路2から吸込側逆止弁8を介して他方のポンプ室6へと給液させる吸込工程とを同時に行うように構成されたものである。なお、第1複動型ベローズポンプを構成する両シリンダケース4,4、両ベローズ5,5、両ポンプ室6、6、両吐出側逆止弁7,7及び両吸込側逆止弁8,8は、夫々、左右対称構造となっている点を除いて同一構造をなすものである。
【0022】
ポンプヘッド3は、送液ラインに接続された吐出通路1及び給液ラインに接続された吸込通路2を形成した円板形状をなすもので、
図1〜
図4に示す如く、その左右両面には吐出通路1の上流端及び吸込通路2の下流端が夫々分岐して開口されている。
【0023】
各シリンダケース4は、
図1〜
図4に示す如く、ポンプヘッド3に取り付けられた有底円筒形状のものであり、両シリンダケース4,4とポンプヘッド3とで内部をポンプヘッド3で左右に2分割したポンプ本体を構成している。
【0024】
各ベローズ5は、
図1〜
図3に示す如く、周壁51を断面波型の蛇腹構造となす有底円筒体であり、軸線方向(左右水平方向)に伸縮することによりポンプ室6の容積を拡縮させるものである。各ベローズ5は、その開口端部52をポンプヘッド3に密着固定したものであって、当該ベローズ5内をポンプヘッド3で閉塞されたポンプ室6に構成する。両ベローズ5,5は、その底壁53,53に固定した円盤状の可動板9,9を連結杆10で連結することによって、同期して逆方向に伸縮動作されるようになっている。すなわち、連結杆10は、
図1に例示する如く、一方のベローズ5が最縮小状態にあるときは他方のベローズ5が最伸長状態となるように、両ベローズ5,5を連動連結するものであり、一方のベローズ5が縮小動作するときは、これに連動して他方のベローズ5が伸長動作されるようになっている。
【0025】
なお、ベローズ5を伸縮動作させる動作手段は、一般にピストン・シリンダ機構、クランク機構やエアシリンダ機構等で構成されるが、この例ではエアシリンダ機構で構成してある。すなわち、動作手段は、シリンダケース4の端部壁に形成した給排気口41からベローズ5及び可動板9とシリンダケース4との間に形成される空間に加圧空気42を給排させることにより、ベローズ5を軸線方向に伸縮動作させるように構成されている。両給排気口41,41からの給排気は交互に同期して行われ、一方の給排気口41から給気させると同時に他方の給排気口41から排気させることにより、両ベローズ5,5の伸縮動作つまり両ポンプ室6,6の拡縮動作を逆方向に同期して行うようになっている。すなわち、一方のポンプ室6における吸込工程(又は吐出工程)と他方のポンプ室6における吐出工程(又は吸込工程)とが同期して行われ、両ポンプ室6,6における吐出工程(液体Aがポンプ室6から吐出側逆止弁7を介して吐出通路1へ送液される工程)と吸込工程(液体Aが吸込通路2から吸込側逆止弁8を介してポンプ室6へ給液される工程)との切換が同時に行われるようになっている。なお、
図1は左側のポンプ室6における吸込工程及び右側のポンプ室6における吐出工程の終了状態を示しており、
図2は左側のポンプ室6における吐出工程及び右側のポンプ室6における吸込工程の開始状態を示しており、
図3は左側のポンプ室6における吐出工程及び右側のポンプ室6における吸込工程の進行途中の状態を示している。
【0026】
各吐出側逆止弁7は、
図4に示す如く、ポンプヘッド3に取り付けられた弁ケース71と、弁ケース71に形成された弁入口通路72と、弁ケース71に内装された弁体73及びスプリング74とを具備してなる。
【0027】
各弁ケース71は、
図4及び
図5に示す如く、ポンプ室6にその軸線と平行をなして突出させた状態で基端部をポンプヘッド3に取り付けた有底円筒体であり、基端開口部は吐出通路1の上流端に連通接続されている。両弁ケース71,71は、軸線が一致する水平状態でポンプ室6,6の上部に配置されている。この例では、各弁ケース71は、その軸線がポンプ室6の軸線を通過する鉛直線(直径線)上に位置し且つその外周面がベローズ5の上側内周面に近接した状態で、ポンプヘッド3に取り付けられている。
【0028】
各弁入口通路72は、
図1〜
図4に示す如く、弁ケース71の先端部に形成された貫通孔であって、一端が弁ケース71内に開口する弁座口75に構成されると共に他端がポンプ室6に開口されている。
【0029】
各弁体73は、
図1〜
図4に示す如く、弁座口75に衝合してこれを閉塞する閉弁位置(
図1に示す左側の吐出側逆止弁7における弁体73の位置又は
図2〜
図4に示す右側の吐出側逆止弁7における弁体73の位置)と弁座口75から離間してこれを開放する開弁位置(
図2〜
図4に示す左側の吐出側逆止弁7における弁体73の位置又は
図1に示す右側の吐出側逆止弁7における弁体73の位置)とに亘って軸線方向に進退自在に弁ケース71に内装されている。各スプリング74は、
図1〜
図4に示す如く、弁体73を閉弁位置へと押圧附勢するコイルスプリングである。而して、各弁体73は、ベローズ5が伸長動作する(ポンプ室6の容積が拡大変化する)吸込工程においてはスプリング74の附勢力により閉弁位置に保持され、ベローズ5が縮小動作する(ポンプ室6の容積が縮小変化する)吐出工程においてはポンプ室6の圧力上昇によりスプリング74の附勢力に抗して開弁位置に変位される。
【0030】
各吸込側逆止弁8は、
図4に示す如く、ポンプヘッド3に取り付けられた弁ケース81と、弁ケース81に形成された弁出口通路82と、弁ケース81に内装された弁体83及びスプリング84とを具備してなる。
【0031】
各弁ケース81は、
図4及び
図5に示す如く、ポンプ室6にその軸線と平行をなして突出させた状態で基端部をポンプヘッド3に取り付けた有底円筒体であり、基端開口部は吸込通路2の上流端に弁座口85を介して連通接続されている。この例では、弁座口85は、
図4に示す如く、ポンプヘッド3の端面における吸込通路2の開口部(上流端)で構成されている。両弁ケース81,81は、軸線が一致する水平状態でポンプ室6の下部であって吐出側逆止弁7の弁ケース71の直下位置に配置されている。この例では、各弁ケース81は、その軸線がポンプ室6の軸線を通過する鉛直線(直径線)上に位置し且つその外周面がベローズ5の下側部分に近接した状態で、ポンプヘッド3に取り付けられている。
【0032】
各弁出口通路82は、
図1〜
図4に示す如く、弁ケース81の先端部に形成された貫通孔であって、一端が弁ケース81内に開口すると共に他端がポンプ室6に開口されている。この例では、弁出口通路82が、
図4及び
図5に示す如く、弁ケース81の先端部の中心を軸線方向に貫通する貫通孔で構成されている。
【0033】
各弁体83は、
図1〜
図4に示す如く、弁座口85に衝合してこれを閉塞する閉弁位置(
図2〜
図4に示す左側の吸込側逆止弁8における弁体83の位置又は
図1に示す右側の吸込側逆止弁8における弁体83の位置)と弁座口85から離間してこれを開放する開弁位置(
図1に示す左側の吸込側逆止弁8における弁体83の位置又は
図2〜
図4に示す右側の吸込側逆止弁8における弁体83の位置)とに亘って軸線方向に進退自在に弁ケース81に内装されている。各スプリング84は、
図1〜
図4に示す如く、弁体83を閉弁位置へと押圧附勢するコイルスプリングである。而して、各弁体83は、ベローズ5が縮小動作する(ポンプ室6の容積が縮小変化する)吐出工程においては背圧(ポンプ室6の圧力)及びスプリング84の附勢力により閉弁位置に保持され、ベローズ5が伸長動作する(ポンプ室6の容積が拡大変化する)吸込工程においてはポンプ室6の圧力降下によりスプリング84の附勢力に抗して開弁位置に変位される。
【0034】
なお、ポンプヘッド及びベローズ5等のポンプ構成部材のうち液体Aと接触するものについては、液体Aの性状等に応じて適宜の材質が選定されるが、この例では、耐食性及び耐薬品性に優れたポリテトラフルオロエチレン等のフッソ樹脂系プラスチックで構成してある。
【0035】
以上のように構成された横型ベローズポンプにあっては、冒頭で述べた従来ポンプと同様に、一方のポンプ室6における吐出工程と他方のポンプ室6における吸込工程とが同時に行われ、これらの工程が両ポンプ室6,6において交互に連続して行われることにより、液体Aを吸込通路2から吐出通路1へと連続的に送液させることができるものであるが、本発明に従って、更に次のように構成しておくことによって、各吐出側逆止弁7の弁ケース71とベローズ5の上側部分との上下対向周面間領域である上側ポンプ室部分61における液体滞留を可及的に防止するように工夫してある。なお、以下の説明においては、便宜上、吐出工程にあるポンプ室6及びこれに内装された逆止弁7,8等と吸込工程にあるポンプ室6及びこれに内装された逆止弁7,8等とを区別する必要がある場合には、前者に「第1」の頭語を付し、後者に「第2」の頭語を付することとする。
【0036】
各吐出側逆止弁7の弁ケース71の先端部に形成された弁入口通路72を、
図1〜
図4に示す如く、一端が弁ケース71内に開口すると共に他端が弁ケース71の一箇所において又は弁ケース71の周方向における複数箇所及び/又は弁ケース71の軸線方向における複数箇所において上側ポンプ室部分61に開口する特殊形状に構成してある。
【0037】
すなわち、弁入口通路72は、
図4に示す如く、弁ケース71の先端部の中心に位置して当該弁ケース71内に開口する断面円形の凹部76とこの凹部76に連通して上側ポンプ室部分61に開口する一個又は複数個の吸引孔77とからなる。この例では、
図4及び
図5に示す如く、3個の吸引孔77を凹部76の軸線方向に直交する断面上に配して当該凹部76の軸線を中心とする放射状をなして形成してある。各吸引孔77は断面円形の真直孔であり、
図5に示す如く、中央の吸引孔77は弁ケース71の中心を通過する直径線上を上下方向に延びるものであり、その両側対称位置に他の2個の吸引孔77,77が位置している。また、各吸引孔77は、その凹部76への開口の周縁が、その少なくとも一箇所において、凹部76の底面(この例では弁ケース71の軸線に直交する円形面とされている)の周縁上に位置するように、凹部76に連通している。すなわち、各吸引孔77は、その軸線を通過する平面(当該軸線を含む平面)であって凹部76の軸線(弁ケース71の軸線)に平行する平面で断面した形状(例えば、上記中央の吸引孔77については
図4に示す断面形状)において、当該吸引孔77の上記周縁と凹部76の底面の周縁とが齟齬することなく(段差なく)直接に連結された形態をなすように、凹部76に連通されている。なお、凹部76の断面径及び各吸引孔77の断面径は、これらによって構成される弁入口通路72からの流入量が吸込通路2からの給液量と一致するように設定されている。
【0038】
而して、吐出工程にある第1ポンプ室6においては、液体Aが第1ポンプ室6から第1弁入口通路72及び弁ケース71を経て吐出通路1に送液されるが、このとき液体Aは第1上側ポンプ室部分61からこれに向けて開口する各吸引孔77によって第1弁入口通路72に吸込まれる。すなわち、第1ポンプ室6から吐出通路1への送液は、第1上側ポンプ室部分61から開始されることになり、第1上側ポンプ室部分61の液体Aは第1ベローズ内面の谷部54内の液体Aを含めて当該上側ポンプ室部分61から第1弁ケース71内へと強制流動されることになる。したがって、吐出工程においては、液体Aがスラリ液や高粘度液である場合にも、第1上側ポンプ室部分61における液体Aの滞留はこれが可及的に防止される。
【0039】
なお、第1弁入口通路72から第1弁ケース71内への液体流入による第1上側ポンプ室部分61における液体滞留の防止効果は、各弁ケース71を前述した如くベローズ5の上側部分に接近させておくことにより、より良好に発揮されるが、弁ケース71をこのようにベローズ5に接近させておくことにより上側ポンプ室部分61の容積が小さくなることから、つまり滞留する虞れのある液体量が少なくなることから、第1上側ポンプ室部分61における液体滞留が極めて効果的に防止されることになる。
【0040】
ところで、第1弁入口通路72からの吸引による上側ポンプ室部分61から第1弁ケース71内への液体流動は、吐出工程から吸込工程に切り替えられた時点で直ちに消失するものではなく、当該切替時点から暫くの間は、慣性によって残存することになる。また、第2弁出口通路82からの吹き出しによって第2ポンプ室6の下部に生じる液体流動も、吸込工程から吐出工程に切り替えられた時点で直ちに消失するものではなく、当該切替時点から暫くの間は、慣性によって残存することになる。したがって、吐出工程から吸込工程に切り替えられたとき、或いは吸込工程から吐出工程に切り替えられたときには、僅かな期間ではあるが、各ポンプ室6において上側ポンプ室部分61から弁入口通路72に向かう液体流動と弁出口通路82からの吹出しによる液体流動とが共存することから、各ポンプ室6においては、その下部から上部へと向かう対流が生じることになり、この対流によっても上記した上側ポンプ室部分61の液体滞留がより効果的に防止されることになる。かかる対流は、両逆止弁7,8を前述した如くポンプ室6の中心を通過する鉛直線上に配置しておくことによって、より効果的に発生することになる。
【0041】
このように上側ポンプ室部分61における液体Aの滞留が可及的に防止されることから、各ポンプ室6においては吐出工程から吸込工程に或いは吸込工程から吐出工程に切り替わることによる液置換が良好に行われることになり、その結果、上側ポンプ室部分61に滞留する液体Aが吐出通路1から吐出される液体Aに断続的且つ不規則に混入するようなことが極めて少なくなり、液体Aをその性状を一定に保持しつつ安定した状態で送液させることができる。第1複動型ベローズポンプは、このように液置換性に優れたものであるから、厳格な性状管理を必要とする液体を扱う送液ポンプとしても好適に実用することができる。
【0042】
ところで、本発明に係る複動型ベローズポンプの構成は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に改良,変更することができる。
【0043】
例えば、上記した第1複動型ベローズポンプにあっては、弁入口通路72が弁ケース71の複数箇所(三箇所)において上側ポンプ室部分61に開口するように、弁ケース71に複数個の吸引孔77を形成したが、この吸引孔77は、例えば、
図6及び
図7に示す如く、弁ケース71の一箇所に形成するようにしてもよい。ところで、このように吸引孔77が一個である場合、弁ケース77の形状によっては吸引孔77を一定以上の大きな円形断面とすること(つまり弁入口通路72からの流量を十分に確保するために吸引孔77の径を大きくすること)が軸線方向のスペースから困難な場合がある。かかる場合には、吸引孔77の断面形状を、
図8に示す如く、弁ケース71の周方向に長尺な長円形ないし楕円形としておけばよい。このような工夫は、吸引孔77を複数個設ける場合において断面円形の吸引孔77では流量が不足するときにも採用される。複数個の吸引孔77を設ける場合にあって、それらの個数及び配置等は液体Aの性状等のポンプ条件に応じて適宜に設定することができ、複数個の吸引孔77を弁ケース71の周方向における複数箇所及び/又は弁ケース71の軸線方向における複数箇所において上側ポンプ室部分61に開口するものとしておくことができる。
【0044】
また、一個又は複数個の吸引孔77は、弁ケース71の軸線に直交する方向に当該弁ケース71を貫通するものに限定されず、当該軸線に対して傾斜するものでもよい。例えば、吸引孔77を、
図9に示す如く、ベローズ5の縮小方向に向けて(又は逆の伸張方向に向けて)傾斜する状態で上側ポンプ室部分61に開口するものとしてもよく、更には、
図10に示す如く、両方向に向けて傾斜する状態で上側ポンプ室部分61に開口する一対の吸引孔77を1組又は複数組設けるようにすることも可能である。
【0045】
また、液体Aの性状によっては両逆止弁7,8の弁ケース71,81の上下対向周面間領域である中間ポンプ室部分63においても液体滞留が生じる可能性があるが、このような液体滞留は、次のように構成することで効果的に防止することができる。例えば、
図11及び
図12に示す如く、各吐出側逆止弁7の弁ケース71に、一端が弁入口通路72(凹部76)内に開口すると共に他端が中間ポンプ室部分63に開口する下側吸引孔78を形成しておく。このように構成しておけば、吐出工程において、第1中間ポンプ室部分63の液体Aが第1下側吸引孔78から第1弁入口通路72を経て第1弁ケース71内へと強制流動されることなり、中間ポンプ室部分63においても液体Aの滞留が可及的に防止される。また、両逆止弁7,8(弁ケース71,81)の長さ(軸線方向におけるポンプヘッド3からの突出長さ)は、液体滞留防止を行う上で、同一としておくこと(例えば、
図11を参照)又は吐出側逆止弁7を吸込側逆止弁8より長くしておくこと(例えば、
図4を参照)が好ましい。
【0046】
なお、
図6〜
図12に示す各複動型ベローズポンプは、
図1〜
図5に示す第1複動型ベローズポンプについて上述した作用効果を当然に奏しうるものであり、上記した点を除いて第1複動型ベローズポンプと同一構成をなすものである。
図6〜
図12に示す各複動型ベローズポンプにおいて第1複動型ベローズポンプと同一構成をなす部分については、
図6〜
図12に
図1〜
図5と同一の符号を付することによって、その詳細な説明は省略することとする。また、
図6〜
図12に示す各複動型ベローズポンプにおける吸引孔77及び下側吸引孔78は、第1複動型ベローズポンプにおける吸引孔77と同様に、前述した如く、凹部76への開口の周縁が、その少なくとも一箇所において、凹部76の底面の周縁上に位置するように、凹部76に連通させておくことが好ましい。
【0047】
また、本発明は、
図1〜
図12に示す複動型の横型ベローズポンプの他、
図13〜
図16に示す如き単動型の横型ベローズポンプにも好適に適用することができる。
【0048】
すなわち、
図13は本発明に係る単動型の横型ベローズポンプの一例を示す縦断側面図であり、
図14は
図13と異なる状態を示す
図13相当の縦断側面図であり、
図15は
図13の要部を拡大して示す縦断側面図であり、
図16は
図15のXVI−XVI線に沿う要部の縦断背面図である。なお、以下の説明において、上下,左右とは、
図13〜
図15における上下,左右をいうものとする。
【0049】
図13及び
図14に示す横型ベローズポンプは、厳格な性状管理を必要とする液体(前記した薬液やスラリ液等)Aを送液するために使用される単動型のもの(以下「第1単動型ベローズポンプ」という)であって、吐出通路1及び吸込通路2を形成したポンプヘッド3と、ポンプヘッド3の片側(
図13及び
図14における右側)に設けられたシリンダケース4と、シリンダケース4内に配して、ポンプヘッド3に軸線方向(水平方向)に伸縮自在に取り付けられた円筒状のベローズ5と、ベローズ5によって囲繞形成されたポンプ室6と、ポンプ室6に突出する状態でポンプ室6の上部に配してポンプヘッド3に取り付けられた吐出側逆止弁7と、各ポンプ室6に突出する状態でポンプ室6の下部に配してポンプヘッド3に取り付けられた吸込側逆止弁8とを具備して、ベローズ5を伸縮動作させることにより、液体Aをポンプ室6から吐出側逆止弁7を介して吐出通路1へと送液させる吐出工程(
図13及び
図15参照)と吸込通路2から吸込側逆止弁8を介して他方のポンプ室6へと給液させる吸込工程(
図14参照)とを交互に行うように構成されたものである。
【0050】
ポンプヘッド3は、送液ラインに接続された吐出通路1及び給液ラインに接続された吸込通路2を形成した円板形状をなすもので、
図13〜
図15に示す如く、その右側面には吐出通路1の上流端及び吸込通路2の下流端が開口されている。
【0051】
各シリンダケース4は、
図13〜
図15に示す如く、ポンプヘッド3に取り付けられた有底円筒形状のものであり、ポンプヘッド3と共にポンプ本体を構成している。
【0052】
ベローズ5は、
図13及び
図14に示す如く、周壁51を断面波型の蛇腹構造となす有底円筒体であり、軸線方向(左右水平方向)に伸縮することによりポンプ室6の容積を拡縮させるものである。ベローズ5は、その開口端部52をポンプヘッド3に密着固定したものであって、ベローズ5内をポンプヘッド3で閉塞されたポンプ室6に構成する。ベローズ5は、その底壁53に固定した円盤状の可動板9を適宜の動作手段によりベローズ5の軸線方向に進退させることにより、伸縮動作されるようになっている。この動作手段は、一般にピストン・シリンダ機構、クランク機構やエアシリンダ機構等で構成されるが、この例では、
図13及び
図14に示す如く、先端部を可動板9に連結した作動軸11を、図示しない周知の駆動手段によりベローズ5の軸線方向(水平方向)に進退させるように構成されている。すなわち、作動軸11の進退によりベローズ5が軸線方向に伸縮動作され、ベローズ5の縮小動作によって吐出工程が行われ、ベローズ5の伸長動作によって吸込工程が行われる。なお、
図13及び
図15は吐出工程の終了状態(つまり吸込工程への切り替え直前の状態)を示しており、
図14は吸込工程の終了状態(つまり吐出工程への切り替え直前の状態)を示している。
【0053】
吐出側逆止弁7は、
図13〜
図15に示す如く、ポンプヘッド3に取り付けられた弁ケース71と、弁ケース71に形成された弁入口通路72と、弁ケース71に内装された弁体73及びスプリング74とを具備してなる。
【0054】
弁ケース71は、
図13〜
図15に示す如く、ポンプ室6にその軸線と平行をなして突出させた状態で基端部をポンプヘッド3に取り付けた有底円筒体であり、基端開口部は吐出通路1の上流端に連通接続されている。弁ケース71は、その軸線を水平とした状態でポンプ室6の上部に配置されているが、この例では、弁ケース71は、その軸線がポンプ室6の軸線を通過する鉛直線(直径線)上に位置し且つその外周面がベローズ5の上側内周面に近接した状態で、ポンプヘッド3に取り付けられている。
【0055】
弁入口通路72は、
図13〜
図15に示す如く、弁ケース71の先端部に形成された貫通孔であって、一端が弁ケース71内に開口する弁座口75に構成されると共に他端がポンプ室6に開口されている。
【0056】
弁体73は、
図13〜
図15に示す如く、弁座口75に衝合してこれを閉塞する閉弁位置(
図14に示す位置)と弁座口75から離間してこれを開放する開弁位置(
図13及び
図15に示す位置)とに亘って軸線方向に進退自在に弁ケース71に内装されている。各スプリング74は、
図14に示す如く、弁体73を閉弁位置へと押圧附勢するコイルスプリングである。而して、弁体73は、ベローズ5が伸長動作する(ポンプ室6の容積が拡大変化する)吸込工程においてはスプリング74の附勢力により閉弁位置に保持され、ベローズ5が縮小動作する(ポンプ室6の容積が縮小変化する)吐出工程においてはポンプ室6の圧力上昇によりスプリング74の附勢力に抗して開弁位置に変位される。
【0057】
吸込側逆止弁8は、
図13〜
図15に示す如く、ポンプヘッド3に取り付けられた弁ケース81と、弁ケース81に形成された弁出口通路82と、弁ケース81に内装された弁体83及びスプリング84とを具備してなり、この例では吐出側逆止弁7の直下位置に配置されている。
【0058】
弁ケース81は、
図13〜
図15に示す如く、ポンプ室6にその軸線と平行をなして突出させた状態で基端部をポンプヘッド3に取り付けた有底円筒体であり、基端開口部は吸込通路2の上流端に弁座口85を介して連通接続されている。この例では、弁座口85は、
図13〜
図15に示す如く、ポンプヘッド3の端面(右側端面)における吸込通路2の開口部(下流端)で構成されている。弁ケース81は、吐出側逆止弁7の弁ケース71に軸線が平行する水平状態でポンプ室6の下部であって当該弁ケース71の直下位置に配置されている。この例では、弁ケース81は、その軸線がポンプ室6の軸線を通過する鉛直線(直径線)上に位置し且つその外周面がベローズ5の下側部分に近接した状態で、ポンプヘッド3に取り付けられている。
【0059】
弁出口通路82は、
図13〜
図15に示す如く、弁ケース81の先端部に形成された貫通孔であって、一端が弁ケース81内に開口すると共に他端がポンプ室6に開口されている。この例では、弁出口通路82が、
図15及び
図16に示す如く、弁ケース81の先端部の中心を軸線方向に貫通する貫通孔で構成されている。
【0060】
弁体83は、
図13〜
図15に示す如く、弁座口85に衝合してこれを閉塞する閉弁位置(
図13及び
図15に示す位置)と弁座口85から離間してこれを開放する開弁位置(
図14に示す位置)とに亘って軸線方向に進退自在に弁ケース81に内装されている。各スプリング84は、
図13及び
図15に示す如く、弁体83を閉弁位置へと押圧附勢するコイルスプリングである。而して、弁体83は、ベローズ5が縮小動作する(ポンプ室6の容積が縮小変化する)吐出工程においては背圧(ポンプ室6の圧力)及びスプリング84の附勢力により閉弁位置に保持され、ベローズ5が伸長動作する(ポンプ室6の容積が拡大変化する)吸込工程においてはポンプ室6の圧力降下によりスプリング84の附勢力に抗して開弁位置に変位される。
【0061】
なお、ポンプヘッド及びベローズ5等のポンプ構成部材のうち液体Aと接触するものについては、液体Aの性状等に応じて適宜の材質が選定されるが、この例では、耐食性及び耐薬品性に優れたポリテトラフルオロエチレン等のフッソ樹脂系プラスチックで構成してある。
【0062】
以上のように構成された第1単動型ベローズポンプにあっては、周知の単動型ベローズポンプと同様に、ポンプ室6における吐出工程と吸込工程とが交互に行われることにより、液体Aを吸込通路2から吐出通路1へと送液させることができるものであるが、本発明に従って、更に次のように構成しておくことによって、吐出側逆止弁7の弁ケース71とベローズ5の上側部分(周壁51の上側部分)との上下対向周面間領域である上側ポンプ室部分61における液体滞留を可及的に防止するように工夫してある。
【0063】
吐出側逆止弁7の弁ケース71の先端部に形成された弁入口通路72を、
図13〜
図15に示す如く、一端が弁ケース71内に開口すると共に他端が弁ケース71の一箇所において又は弁ケース71の周方向における複数箇所及び/又は弁ケース71の軸線方向における複数箇所において上側ポンプ室部分61に開口する特殊形状に構成してある。
【0064】
すなわち、弁入口通路72は、
図13及び
図15に示す如く、弁ケース71の先端部の中心に位置して当該弁ケース71内に開口する断面円形の凹部76とこの凹部76に連通して上側ポンプ室部分61に開口する一個又は複数個の吸引孔77とからなる。この例では、
図16に示す如く、3個の吸引孔77を凹部76の軸線方向に直交する断面上に配して当該凹部76の軸線を中心とする放射状をなして形成してある。各吸引孔77は断面円形の真直孔であり、
図16に示す如く、中央の吸引孔77は弁ケース71の中心を通過する直径線上を上下方向に延びるものであり、その両側対称位置に他の2個の吸引孔77,77が位置している。また、各吸引孔77は、その凹部76への開口の周縁が、その少なくとも一箇所において、凹部76の底面(この例では弁ケース71の軸線に直交する円形面とされている)の周縁上に位置するように、凹部76に連通している。すなわち、各吸引孔77は、その軸線を通過する平面(当該軸線を含む平面)であって凹部76の軸線(弁ケース71の軸線)に平行する平面で断面した形状(例えば、上記中央の吸引孔77については
図15に示す断面形状)において、当該吸引孔77の上記周縁と凹部76の底面の周縁とが齟齬することなく(段差なく)直接に連結された形態をなすように、凹部76に連通されている。なお、凹部76の断面径及び各吸引孔77の断面径は、これらによって構成される弁入口通路72からの流入量が吸込通路2からの給液量と一致するように設定されている。
【0065】
而して、吐出工程においては、液体Aがポンプ室6から弁入口通路72及び弁ケース71を経て吐出通路1に送液されるが、このとき液体Aは上側ポンプ室部分61からこれに向けて開口する各吸引孔77によって弁入口通路72に吸込まれる。すなわち、ポンプ室6から吐出通路1への送液は、上側ポンプ室部分61から開始されることになり、上側ポンプ室部分61の液体Aはベローズ内面の谷部54内の液体Aを含めて上側ポンプ室部分61から弁ケース71内へと強制流動されることになる。したがって、吐出工程においては、液体Aがスラリ液や高粘度液である場合にも、上側ポンプ室部分61における液体Aの滞留はこれが可及的に防止される。
【0066】
なお、弁入口通路72から弁ケース71内への液体流入による上側ポンプ室部分61における液体滞留の防止効果は、弁ケース71を前述した如くベローズ5の上側部分に接近させておくことにより、より良好に発揮されるが、弁ケース71をこのようにベローズ5に接近させておくことにより上側ポンプ室部分61の容積が小さくなることから、つまり滞留する虞れのある液体量が少なくなることから、上側ポンプ室部分61における液体滞留が極めて効果的に防止されることになる。
【0067】
ところで、弁入口通路72からの吸引による上側ポンプ室部分61から弁ケース71内への液体流動は、吐出工程から吸込工程に切り替えられた時点で直ちに消失するものではなく、当該切替時点から暫くの間は、慣性によって残存することになる。また、弁出口通路82からの吹き出しによってポンプ室6の下部に生じる液体流動も、吸込工程から吐出工程に切り替えられた時点で直ちに消失するものではなく、当該切替時点から暫くの間は、慣性によって残存することになる。したがって、吐出工程から吸込工程に切り替えられたとき、或いは吸込工程から吐出工程に切り替えられたときには、僅かな期間ではあるが、各ポンプ室6において上側ポンプ室部分61から弁入口通路72に向かう液体流動と弁出口通路82からの吹出しによる液体流動とが共存することから、各ポンプ室6においては、その下部から上部へと向かう対流が生じることになり、この対流によっても上記した上側ポンプ室部分61の液体滞留がより効果的に防止されることになる。かかる対流は、両逆止弁7,8を前述した如くポンプ室6の中心を通過する鉛直線上に配置しておくことによって、より効果的に発生することになる。
【0068】
このように上側ポンプ室部分61における液体Aの滞留が可及的に防止されることから、ポンプ室6においては吐出工程から吸込工程に或いは吸込工程から吐出工程に切り替わることによる液置換が良好に行われることになり、その結果、上側ポンプ室部分61に滞留する液体Aが吐出通路1から吐出される液体Aに断続的且つ不規則に混入するようなことが極めて少なくなり、液体Aをその性状を一定に保持しつつ安定した状態で送液させることができる。第1単動型ベローズポンプは、このように液置換性に優れたものであるから、厳格な性状管理を必要とする液体を扱う送液ポンプとしても好適に実用することができる。
【0069】
ところで、本発明に係る単動型ベローズポンプの構成は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に改良,変更することができる。
【0070】
例えば、上記した第1単動型ベローズポンプにあっては、弁入口通路72が弁ケース71の複数箇所(三箇所)において上側ポンプ室部分61に開口するように、弁ケース71に複数個の吸引孔77を形成したが、この吸引孔77は、例えば、
図17及び
図18に示す如く、弁ケース71の一箇所に形成するようにしてもよい。ところで、このように吸引孔77が一個である場合、弁ケース77の形状によっては吸引孔77を一定以上の大きな円形断面とすること(つまり弁入口通路72からの流量を十分に確保するために吸引孔77の径を大きくすること)が軸線方向のスペースから困難な場合がある。かかる場合には、吸引孔77の断面形状を、
図19に示す如く、弁ケース71の周方向に長尺な長円形ないし楕円形としておけばよい。このような工夫は、吸引孔77を複数個設ける場合において断面円形の吸引孔77では流量が不足するときにも採用される。複数個の吸引孔77を設ける場合にあって、それらの個数及び配置等は液体Aの性状等のポンプ条件に応じて適宜に設定することができ、複数個の吸引孔77を弁ケース71の周方向における複数箇所及び/又は弁ケース71の軸線方向における複数箇所において上側ポンプ室部分61に開口するものとしておくことができる。
【0071】
また、一個又は複数個の吸引孔77は、弁ケース71の軸線に直交する方向に当該弁ケース71を貫通するものに限定されず、当該軸線に対して傾斜するものでもよい。例えば、吸引孔77を、
図20に示す如く、ベローズ5の縮小方向に向けて(又は逆の伸張方向に向けて)傾斜する状態で上側ポンプ室部分61に開口するものとしてもよく、更には、
図21に示す如く、両方向に向けて傾斜する状態で上側ポンプ室部分61に開口する一対の吸引孔77を1組又は複数組設けるようにすることも可能である。
【0072】
また、液体Aの性状によっては両逆止弁7,8の弁ケース71,81の上下対向周面間領域である中間ポンプ室部分63においても液体滞留が生じる可能性があるが、このような液体滞留は、次のように構成することで効果的に防止することができる。例えば、
図22及び
図23に示す如く、吐出側逆止弁7の弁ケース71に、一端が弁入口通路72(凹部76)内に開口すると共に他端が中間ポンプ室部分63に開口する下側吸引孔78を形成しておく。このように構成しておけば、吐出工程において、中間ポンプ室部分63の液体Aが下側吸引孔78から弁入口通路72を経て弁ケース71内へと強制流動されることなり、中間ポンプ室部分63においても液体Aの滞留が可及的に防止される。また、両逆止弁7,8(弁ケース71,81)の長さ(軸線方向におけるポンプヘッド3からの突出長さ)は、液体滞留防止を行う上で、同一としておくこと(例えば、
図22を参照)又は吐出側逆止弁7を吸込側逆止弁8より長くしておくこと(例えば、
図14を参照)が好ましい。
【0073】
なお、
図17〜
図23に示す各単動型ベローズポンプは、
図13〜
図16に示す第1単動型ベローズポンプについて上述した作用効果を当然に奏しうるものであり、上記した点を除いて第1単動型ベローズポンプと同一構成をなすものである。
図17〜
図23に示す各単動型ベローズポンプにおいて第1単動型ベローズポンプと同一構成をなす部分については、
図17〜
図23に
図13〜
図16と同一の符号を付することによって、その詳細な説明は省略することとする。また、
図17〜
図23に示す各単動型ベローズポンプにおける吸引孔77及び下側吸引孔78は、第1単動型ベローズポンプにおける吸引孔77と同様に、前述した如く、凹部76への開口の周縁が、その少なくとも一箇所において、凹部76の底面の周縁上に位置するように、凹部76に連通させておくことが好ましい。