特許第5912848号(P5912848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912848
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】ショーケースの制御装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20160414BHJP
   F25D 21/02 20060101ALI20160414BHJP
   A47F 3/04 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   F25D11/00 101E
   F25D21/02 B
   A47F3/04 Q
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-115363(P2012-115363)
(22)【出願日】2012年5月21日
(65)【公開番号】特開2013-242078(P2013-242078A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】花村 英樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 健一
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−157763(JP,A)
【文献】 特開平05−203328(JP,A)
【文献】 特開2001−133099(JP,A)
【文献】 特開2001−221564(JP,A)
【文献】 特開2008−180437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
F25D 21/02
A47F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショーケースの商品が陳列される庫内の庫内温度を検出する庫内温度検出部と、
前記庫内に吹出される冷気の吹出温度を検出する吹出温度検出部と、
前記庫内温度検出部により検出された前記庫内温度の変化及び前記吹出温度検出部により検出された前記吹出温度の変化から、前記ショーケースに過着霜が発生する傾向があるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記過着霜が発生する傾向があると判定された場合、前記過着霜が発生する傾向がある旨を報知する報知部と、
備え、
前記判定部は、前記庫内温度検出部により検出された前記庫内温度の変化から、前記庫内温度が前記庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇しているか否かを判断し、前記庫内温度が前記庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇していると判断した場合であって、前記庫内温度が所定の庫内温度設定値に基づいて調整される冷却期間に前記吹出温度検出部により検出された冷却中の吹出温度の変化から、冷却中の吹出温度が下がり傾向であるか否かを判断し、冷却中の吹出温度が下がり傾向であると判断した場合、前記過着霜が発生する傾向があると判定することを特徴とするショーケースの制御装置。
【請求項2】
ショーケースの商品が陳列される庫内の庫内温度を検出する庫内温度検出部と、
前記庫内に吹出される冷気の吹出温度を検出する吹出温度検出部と、
前記庫内温度検出部により検出された前記庫内温度の変化及び前記吹出温度検出部により検出された前記吹出温度の変化から、前記ショーケースに過着霜が発生する傾向があるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記過着霜が発生する傾向があると判定された場合、前記過着霜が発生する傾向がある旨を報知する報知部と、
を備え、
前記判定部は、前記庫内温度検出部により検出された前記庫内温度の変化から、前記庫内温度が前記庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇しているか否かを判断し、前記庫内温度が前記庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇していると判断した場合であって、除霜が行われる除霜期間に前記吹出温度検出部により検出された除霜中の吹出温度の変化から、除霜中の吹出温度が上昇していないか否かを判断し、除霜中の吹出温度が上昇していないと判断した場合、前記過着霜が発生する傾向があると判定することを特徴とするショーケースの制御装置。
【請求項3】
ショーケースの商品が陳列される庫内の庫内温度を検出する庫内温度検出部と、
前記庫内に吹出される冷気の吹出温度を検出する吹出温度検出部と、
前記庫内温度検出部により検出された前記庫内温度の変化及び前記吹出温度検出部により検出された前記吹出温度の変化から、前記ショーケースに過着霜が発生する傾向があるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記過着霜が発生する傾向があると判定された場合、前記過着霜が発生する傾向がある旨を報知する報知部と、
を備え、
前記判定部は、前記庫内温度検出部により検出された前記庫内温度の変化から、前記庫内温度が前記庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇しているか否かを判断し、前記庫内温度が前記庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇していると判断した場合であって、前記庫内温度が所定の庫内温度設定値に基づいて調整される冷却期間に前記吹出温度検出部により検出された冷却中の吹出温度の変化から、冷却中の吹出温度が下がり傾向であるか否かを判断し、冷却中の吹出温度が下がり傾向であると判断した場合であって、除霜が行われる除霜期間に前記吹出温度検出部により検出された除霜中の吹出温度の変化から、除霜中の吹出温度が上昇していないか否かを判断し、除霜中の吹出温度が上昇していないと判断した場合、前記過着霜が発生する傾向があると判定することを特徴とするショーケースの制御装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記庫内温度検出部により検出された前記庫内温度における第1期間の平均値とその第1期間より前の第2期間の平均値とを比較し、前記第1期間の平均値が前記第2期間の平均値よりも高いと判断した場合、前記庫内温度が前記庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇していると判断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載のショーケースの制御装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記吹出温度検出部により検出された前記冷却中の吹出温度における第1期間の平均値とその第1期間より前の第2期間の平均値とを比較し、前記第1期間の平均値が前記第2期間の平均値よりも低いと判断した場合、前記冷却中の吹出温度が下がり傾向であると判断することを特徴とする請求項1又は3記載のショーケースの制御装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記吹出温度検出部により検出された前記除霜中の吹出温度の第1期間の最高値とその第1期間より前の第2期間の最高値とを比較し、前記第1期間の最高値が前記第2期間の最高値よりも低いと判断した場合、前記除霜中の吹出温度が上昇していないと判断することを特徴とする請求項2又は3記載のショーケースの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケースの制御装置に関する
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの各種店舗においては、冷蔵食品や冷凍食品、生鮮食品などの商品陳列用のショーケースが設置されている。このショーケースは、蒸発器(冷却器とも呼ばれる)によって冷却された冷気により、庫内に陳列された商品を保冷する。
【0003】
通常、蒸発器には霜が着くため、その蒸発器に着いた霜をヒータにより溶かして取り除く除霜(デフロスト)が行われる。この除霜が行われない場合には、蒸発器の熱交換器としての機能が著しく低下し、要求される冷却性能を維持することが困難になってしまう。このため、蒸発器に対する除霜が定期的に、例えば、毎日さらに一日数回行われている。
【0004】
この除霜で取り除かれず、蒸発器やダクト(風道)内に残った着霜が数カ月という長期間を経て成長すると、過度の着霜、すなわち過着霜が生じ、蒸発器やダクトを閉蓋してしまうことがある。これは庫内温度の上昇を招くため、いわゆる「過着霜による冷却不良」がかなりの確率(特に、店内環境の悪い店舗や営業時間の長い店舗など)で起こり得る。このような異常着霜を検出する方法としては、庫内温度の変化率により異常着霜の判定を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−153532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の庫内温度の変化率により異常着霜の判定を行う方法では、庫内温度がある程度上昇した後に異常着霜、すなわち過着霜を判定するため、庫内の商品温度が上昇してしまい、これは商品劣化(商品の品質劣化)を招くことになる。
【0007】
また、過着霜が生じた場合には、庫内温度の上昇による商品劣化を防ぐために緊急のメンテナンス対応、すなわち緊急のメンテナンス作業(除霜作業)が要求されるが、そのメンテナンス作業は過着霜後の作業となるため、過着霜前の通常作業(定期作業)と比べて困難な作業になってしまう。
【0008】
さらに、庫内温度は商品の陳列状況(例えば、商品の並べ方や商品数など)によって変化するため、庫内温度の変化率のみで過着霜の判定を行うと、その判定結果が間違っていることがあり、信頼性が不十分であるという現状がある。
【0009】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、その目的は、庫内の商品劣化を未然に防ぐと共にメンテナンス作業を容易にすることができ、さらに、判定信頼性を向上させることができるショーケースの制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るショーケースの制御装置は、ショーケースの商品が陳列される庫内の庫内温度を検出する庫内温度検出部と、庫内に吹出される冷気の吹出温度を検出する吹出温度検出部と、庫内温度検出部により検出された庫内温度の変化及び吹出温度検出部により検出された吹出温度の変化から、ショーケースに過着霜が発生する傾向があるか否かを判定する判定部と、判定部により過着霜が発生する傾向があると判定された場合、過着霜が発生する傾向がある旨を報知する報知部とを備える。さらに、判定部は、庫内温度検出部により検出された庫内温度の変化から、庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇しているか否かを判断し、庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇していると判断した場合であって、庫内温度が所定の庫内温度設定値に基づいて調整される冷却期間に吹出温度検出部により検出された冷却中の吹出温度の変化から、冷却中の吹出温度が下がり傾向であるか否かを判断し、冷却中の吹出温度が下がり傾向であると判断した場合、過着霜が発生する傾向があると判定する。
【0011】
本発明に係るショーケースの制御装置は、ショーケースの商品が陳列される庫内の庫内温度を検出する庫内温度検出部と、庫内に吹出される冷気の吹出温度を検出する吹出温度検出部と、庫内温度検出部により検出された庫内温度の変化及び吹出温度検出部により検出された吹出温度の変化から、ショーケースに過着霜が発生する傾向があるか否かを判定する判定部と、判定部により過着霜が発生する傾向があると判定された場合、過着霜が発生する傾向がある旨を報知する報知部とを備える。さらに、判定部は、庫内温度検出部により検出された庫内温度の変化から、庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇しているか否かを判断し、庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇していると判断した場合であって、除霜が行われる除霜期間に吹出温度検出部により検出された除霜中の吹出温度の変化から、除霜中の吹出温度が上昇していないか否かを判断し、除霜中の吹出温度が上昇していないと判断した場合、過着霜が発生する傾向があると判定する。
【0012】
本発明に係るショーケースの制御装置は、ショーケースの商品が陳列される庫内の庫内温度を検出する庫内温度検出部と、庫内に吹出される冷気の吹出温度を検出する吹出温度検出部と、庫内温度検出部により検出された庫内温度の変化及び吹出温度検出部により検出された吹出温度の変化から、ショーケースに過着霜が発生する傾向があるか否かを判定する判定部と、判定部により過着霜が発生する傾向があると判定された場合、過着霜が発生する傾向がある旨を報知する報知部とを備える。さらに、判定部は、庫内温度検出部により検出された庫内温度の変化から、庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇しているか否かを判断し、庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇していると判断した場合であって、庫内温度が所定の庫内温度設定値に基づいて調整される冷却期間に吹出温度検出部により検出された冷却中の吹出温度の変化から、冷却中の吹出温度が下がり傾向であるか否かを判断し、冷却中の吹出温度が下がり傾向であると判断した場合であって、除霜が行われる除霜期間に吹出温度検出部により検出された除霜中の吹出温度の変化から、除霜中の吹出温度が上昇していないか否かを判断し、除霜中の吹出温度が上昇していないと判断した場合、過着霜が発生する傾向があると判定する。
【0013】
また、前述の本発明に係るショーケースの制御装置において、判定部は、庫内温度検出部により検出された庫内温度における第1期間の平均値とその第1期間より前の第2期間の平均値とを比較し、第1期間の平均値が第2期間の平均値よりも高いと判断した場合、庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇していると判断することが望ましい。
【0014】
また、前述の本発明に係るショーケースの制御装置において、判定部は、吹出温度検出部により検出された冷却中の吹出温度における第1期間の平均値とその第1期間より前の第2期間の平均値とを比較し、第1期間の平均値が第2期間の平均値よりも低いと判断した場合、冷却中の吹出温度が下がり傾向であると判断することが望ましい。
【0015】
また、前述の本発明に係るショーケースの制御装置において、判定部は、吹出温度検出部により検出された除霜中の吹出温度の第1期間の最高値とその第1期間より前の第2期間の最高値とを比較し、第1期間の最高値が第2期間の最高値よりも低いと判断した場合、除霜中の吹出温度が上昇していないと判断することが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るショーケースの制御装置によれば、庫内温度の変化及び吹出温度の変化から、ショーケースに過着霜が発生する傾向があるか否かが判定され、過着霜が発生する傾向があると判定されると、その旨が報知される。これにより、過着霜が発生する傾向があること、すなわち過着霜が発生する前の予兆段階を把握し、その予兆段階でのメンテナンス作業を行うことが可能となる。このため、過着霜の発生を抑止して庫内の商品劣化を未然に防ぐことができ、さらに、予兆段階でのメンテナンス作業が過着霜発生後の作業に比べ容易な作業となるため、メンテナンス作業を容易にすることができる。加えて、庫内温度の変化に加え、商品の陳列状況による影響を受けない吹出温度の変化から、過着霜が発生する傾向があるか否かが判定される。これにより、過着霜の発生傾向の判定を精度良く行うことが可能となるので、判定信頼性を向上させることができる。
【0017】
また、庫内温度の変化から庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇しているか否かを判断し、庫内温度がその範囲内で上昇していると判断した場合であって、冷却中の吹出温度の変化からその冷却中の吹出温度が下がり傾向であるか否かを判断し、冷却中の吹出温度が下がり傾向であると判断した場合、過着霜が発生する傾向があると判定するときには、過着霜の発生傾向の判定をより高い精度で行うことが可能となるので、判定信頼性をさらに向上させることができる。
【0018】
また、庫内温度の変化から庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇しているか否かを判断し、庫内温度がその範囲内で上昇していると判断した場合であって、除霜中の吹出温度の変化からその除霜中の吹出温度が上昇していないか否かを判断し、除霜中の吹出温度が上昇していないと判断した場合、過着霜が発生する傾向があると判定するときには、過着霜の発生傾向の判定をより高い精度で行うことが可能となるので、判定信頼性をさらに向上させることができる。
【0019】
また、庫内温度の変化から庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇しているか否かを判断し、庫内温度がその範囲内で上昇していると判断した場合であって、冷却中の吹出温度の変化からその冷却中の吹出温度が下がり傾向であるか否かを判断し、冷却中の吹出温度が下がり傾向であると判断した場合であって、除霜中の吹出温度の変化からその除霜中の吹出温度が上昇していないか否かを判断し、除霜中の吹出温度が上昇していないと判断した場合、過着霜が発生する傾向があると判定するときには、過着霜の発生傾向の判定をより高い精度で行うことが可能となるので、判定信頼性をさらに向上させることができる。
【0020】
また、庫内温度の第1期間の平均値と第2期間の平均値とを比較し、第1期間の平均値が第2期間の平均値よりも高いと判断した場合、庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇していると判断するときには、庫内温度の上昇傾向を正確に把握し、過着霜の発生傾向の判定をより高い精度で行うことが可能となるので、判定信頼性をさらに向上させることができる。
【0021】
また、冷却中の吹出温度の第1期間の平均値と第2期間の平均値とを比較し、第1期間の平均値が第2期間の平均値よりも低いと判断した場合、冷却中の吹出温度が下がり傾向であると判断するときには、冷却中の吹出温度の下がり傾向を正確に把握し、過着霜の発生傾向の判定をより高い精度で行うことが可能となるので、判定信頼性をさらに向上させることができる。
【0022】
また、除霜中の吹出温度の第1期間の最高値と第2期間の最高値とを比較し、第1期間の最高値が第2期間の最高値よりも低いと判断した場合、除霜中の吹出温度が上昇していないと判断するときには、除霜中の吹出温度の非上昇傾向を正確に把握し、過着霜の発生傾向の判定をより高い精度で行うことが可能となるので、判定信頼性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の一形態に係る冷凍装置の概略構成を示す図である。
図2図1に示す冷凍装置が行う過着霜判定処理の流れを示すフローチャートである。
図3】庫内温度及び吹出温度の温度データの第1期間(直近の一週間)の一部分を示すグラフである。
図4】庫内温度及び吹出温度の温度データの第2期間(前述の第1期間より前の一週間)の一部分を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0025】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る冷却装置1は、商品が陳列される庫内を有するショーケース2と、そのショーケース2の庫内を冷却する冷凍機3と、その冷却に用いる冷媒が流れる冷媒配管4と、各部を制御する制御装置5とを備えている。
【0026】
ショーケース2は、冷媒を減圧する膨張弁などの減圧器2a及び冷媒を蒸発させる蒸発器2bに加え、その蒸発器2bに対して熱による除霜を行う除霜ヒータ2cを備えている。このショーケース2には、庫内温度を測定する庫内温度検出部2dと、庫内に吹出される冷気の吹出温度(吹出し温度)を検出する吹出温度検出部2eとが設けられている。
【0027】
除霜ヒータ2cは、ショーケース2内の蒸発器2bを加熱可能にショーケース2内に設けられている。この除霜ヒータ2cは制御装置5に電気的に接続されており、その駆動が制御装置5により制御される。
【0028】
庫内温度検出部2dは、ショーケース2内の庫内温度を検出可能にショーケース2内に設けられている。この庫内温度検出部2dは制御装置5に電気的に接続されており、ショーケース2の庫内温度を検出して制御装置5に出力する。なお、庫内温度検出部2dとしては、各種の温度センサを用いることが可能である。
【0029】
吹出温度検出部2eは、ショーケース2の庫内に吹出される冷気の吹出温度を検出可能にショーケース2内に設けられている。この吹出温度検出部2eは制御装置5に電気的に接続されており、ショーケース2の庫内に吹出される冷気の吹出温度を検出して制御装置5に出力する。なお、吹出温度検出部2eとしては、各種の温度センサを用いることが可能である。
【0030】
このようなショーケース2は、例えば、冷蔵食品や冷凍食品などの商品(被冷却物)を冷却する使用温度帯の近いショーケース(低温ショーケース)である。ショーケース2は店舗内に設置されており、蒸発器2bにより冷却された冷気を用いて商品が陳列された庫内を冷やし、その庫内の商品を保冷する。ここで、冷気はショーケース2内の蒸発器2b及びダクト(エアダクト)を通過し、ショーケース2の庫内上部の前端部に位置する吹出口からエアカーテンとして庫内の前面を覆うように吹出される。なお、ショーケース2としては、例えば、オープンショーケースやクローズドショーケースなどを用いることが可能である。
【0031】
冷凍機3は、冷媒を圧縮する圧縮機3a、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器3b及び冷媒を貯留する受液器3cなどを備えている。これらの圧縮機3a、凝縮器3b及び受液器3cは、ショーケース2内の減圧器2a及び蒸発器2bに冷媒配管4を介して接続されている。
【0032】
冷媒配管4は、圧縮機3a、凝縮器3b、受液器3c、減圧器2a及び蒸発器2bを接続して冷媒を循環させる冷媒循環流路であり、例えば、銅管などの配管により構成されている。この冷媒配管4を流れる冷媒は、圧縮、凝縮、膨張及び蒸発の四工程(冷凍サイクル)を繰り返しながら冷媒配管4を循環する。
【0033】
詳述すると、圧縮機3aにより圧縮された高温高圧のガス冷媒は凝縮器3bに流入し、その凝縮器3bにより冷却される。このとき、ガス冷媒は凝縮熱を放出して液化され、受液器3cに貯留される。その後、受液器3cに貯留された高圧の液冷媒は減圧器2aに流入し、その減圧器2aにより減圧されて沸点が下げられた状態となる。この状態の低温低圧の液冷媒は蒸発器2bにより沸騰蒸発し、周囲の熱を奪って冷却を行う(蒸発器2bによる空気の冷却)。蒸発した低圧ガス冷媒は圧縮機3aに流入し、その圧縮機3aにより圧縮されて高温高圧のガス冷媒となり、再び凝縮器3bに流入する。
【0034】
ここで、冷媒配管4の途中には、開閉弁2fが減圧器2aの入口側(冷媒が流れる方向において減圧器2aより上流側)に位置付けられて設けられている。この開閉弁2fはショーケース2内に設置されており、そのショーケース2内の減圧器2aに対する冷媒の流入を制御する。開閉弁2fは制御装置5に電気的に接続されており、その駆動が制御装置5により制御される。この開閉弁2fが制御装置5により開状態にされると、冷媒が冷媒配管4を循環することになる。
【0035】
制御装置5は、マイクロコンピュータなどの判定部5aと、各種情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部5bと、操作者からの入力操作を受け付ける入力部5cと、各種の数値を設定する設定部5dと、予備警報などの警報を報知する報知部5eとを備えている。この制御装置5は、冷凍機3に加え、除霜ヒータ2cや開閉弁2fの駆動も制御するものであり、ショーケース2の制御装置として機能する。
【0036】
判定部5aは、庫内温度検出部2dにより検出された庫内温度の変化及び吹出温度検出部2eにより検出された吹出温度の変化から、ショーケース2、すなわちショーケース2内の蒸発器2bやダクトなどに過着霜が発生する傾向があるか否かを判定する(詳しくは、後述する)。過着霜が発生する傾向があると判定した場合には、報知部5eに対して例えば報知指示信号を出力し、過着霜が発生する傾向がある旨を伝える。
【0037】
記憶部5bは、庫内温度検出部2dにより検出された庫内温度及び吹出温度検出部2eにより検出された吹出温度を所定間隔(例えば、10分間隔)で記憶する。この記憶間隔は変更可能であり、時間が横軸となる庫内温度及び吹出温度の温度データ(生データ)が生成されることになる。なお、記憶部5bとしては、メモリやハードディスクドライブ(HDD)などを用いることが可能である。
【0038】
入力部5cは、操作者により入力操作される操作部として機能する。例えば、操作者は各種の数値(各種の条件)を設定するために入力部5cを入力操作する。この入力部5cとしては、例えば、スイッチやボタン、キーなどの入力デバイスを用いることが可能である。
【0039】
設定部5dは、入力部5cに対する操作者の入力操作に応じて各種情報、例えば、警報を発する任意の時間帯、すなわち警報許可時間を設定する。この警報許可時間は、複数の保守作業員が待機可能な時間帯であり、例えば、夜間の時間帯ではなく日中の時間帯である。なお、日中の時間帯としては、例えば、装置の保守を行う保守サービス会社などの通常の勤務時間(例えば、9:00〜17:00という時間帯、特に、人員が多くなる11:00〜16:00)などが設定される。
【0040】
報知部5eは、店舗の店員や店長などではなく、装置の保守を行う保守作業員などの特定の人に警報を発するための装置である。このため、報知部5eとしては、店員や店長にも聞こえるような音に比べ、保守作業員以外の人が見ないような操作盤内に設けられたランプや表示部などを用いることが望ましい。ただし、店員や店長などに警報を気付かせる必要がある場合には、報知部5eとして、例えば、店舗内の事務所に設けられたランプや表示部などを用いるようにしても良い。
【0041】
ここで、前述の判定部5aや設定部5dなどは、電気回路などのハードウエアで構成されても良く、あるいは、これらの機能を実行するプログラムなどのソフトウエアで構成されても良い。また、ハードウエア及びソフトウエアの両方の組合せにより構成されても良い。
【0042】
このような制御装置5は、ショーケース2の庫内の温調運転を所定の庫内温度設定値に基づいて行う。すなわち、制御装置5は、ショーケース2内の庫内温度検出部2dにより測定されたショーケース2内の庫内温度に応じて、その庫内温度が所定の庫内温度設定値になるようにショーケース2内の開閉弁2fを制御する。なお、庫内温度設定値は記憶部5bに予め設定されている。
【0043】
また、制御装置5はショーケース2の除霜運転をスケジュールに基づいて行う。例えば、除霜運転(霜取り運転)は、毎日、一日数回、同時刻に実行される。一例として、一日4回、6時間毎に実行される。なお、除霜運転は、ショーケース2の蒸発器2bに付着した霜を除霜ヒータ2cにより溶かして取り除く除霜(デフロスト)を行う運転である。このとき、ショーケース2内の開閉弁2fは閉じられ、蒸発器2bに対する冷媒の供給は停止される。この除霜にかかる除霜時間は、例えば、数十分から数時間までの範囲内で記憶部5bに設定されており、変更可能である。
【0044】
このように、蒸発器2bに対する除霜が定期的に行われているが、この定期的な除霜で取り除かれなかった着霜が数カ月という長期間を経て成長し(過度の着霜、すなわち過着霜)、蒸発器2bやダクトを閉蓋してしまうことがある。これは庫内温度の上昇を招き、いわゆる「過着霜による冷却不良」がかなりの確率(特に、店内環境の悪い店舗や営業時間の長い店舗など)で起こり得る。
【0045】
そこで、過着霜が発生する前に、その過着霜の発生の予兆を把握するため、前述の判定部5aを用いて、庫内温度検出部2dにより検出された庫内温度の変化及び吹出温度検出部2eにより検出された吹出温度の変化から、過着霜が発生する傾向の有無を判定する必要がある(過着霜判定処理)。
【0046】
次に、この過着霜判定処理について説明する。
図2に示すように、まず、庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲(許容範囲)内で上昇しているか否かが判断される(ステップS1)。なお、庫内温度は庫内温度検出部2dにより検出され、所定間隔(例えば、10分間隔)で記憶部5bに温度データとして記憶されている。また同じように、吹出温度も吹出温度検出部2eにより検出され、所定間隔(例えば、10分間隔)で記憶部5bに温度データとして記憶されている。
【0047】
ここで、庫内の商品品質に影響がない範囲(上昇量)は商品によって変わるものであるが、一例として、1〜2℃の数℃以内である。この範囲は予め設定されているが、その変更も可能である。このような範囲内で庫内温度の上昇傾向を判断することによって、庫内温度が庫内の商品品質に影響が出る温度まで上昇する前の兆候を捉えることができる。
【0048】
ステップS1では、判定部5aは、記憶部5bに記憶された庫内温度の温度データから、第1期間、例えば直近の一週間(現在から一週間前までの期間)の温度データを取得し、その期間の庫内温度を積算して平均値dnを求める。さらに、判定部5aは、前述の庫内温度の温度データから、第1期間よりも前の第2期間、例えば、前述の直近の一週間よりも過去の一週間(一週間前から二週間前までの期間)の温度データを取得し、その期間の庫内温度を積算して平均値d(n−1)を求める。
【0049】
その後、判定部5aは、第1期間の庫内温度の平均値dnと、第2期間の庫内温度の平均値d(n−1)とを比較し、第1期間の庫内温度の平均値dnが第2期間の庫内温度の平均値d(n−1)より高いか否か(dn>d(n−1))を判断する。なお、nは正数であり、dは所定の初期値である。この初期値は予め設定されているが、その変更も可能である。
【0050】
ここで、記憶部5bには、庫内温度及び吹出温度の温度データが数カ月にわたって記憶されている。したがって、図3に示すように、直近の一週間の庫内温度の温度データA1及び吹出温度の温度データB1が記憶部5bに記憶されており(図3では、直近の一週間のうちの6:00〜18:00の温度データを示す)、さらに、図4に示すように、前述の直近の一週間よりも過去の一週間の温度データA2及び吹出温度の温度データB2も記憶部5bに記憶されている(図4では、過去の一週間のうちの6:00〜18:00の温度データを示す)。
【0051】
図3及び図4のどちらでも、除霜期間(例えば、6:00〜6:30、12:00〜12:30)H1では、庫内温度及び吹出温度は除霜ヒータ2cによる加熱に応じて急激に上昇する。その後、除霜ヒータ2cによる加熱が終了すると、プルダウン期間(例えば、6:30〜7:00、12:30〜13:00)H2では、庫内温度及び吹出温度は急激に下降する。また、冷却期間(例えば、7:00〜12:00、13:00〜18:00)H3では、庫内温度及び吹出温度は所定の庫内温度設定値(例えば、−20℃)に基づいて調整される。このとき、庫内温度は所定の庫内温度設定値付近の温度を維持し、吹出温度は庫内温度設定値より低い温度(例えば、−26℃)付近の温度を維持している。
【0052】
なお、除霜期間H1は除霜ヒータ2cによる加熱によって除霜が行われる期間であり、プルダウン期間H2は庫内温度が所定の庫内温度設定値に到達するまでの期間である。プルダウンは、除霜により上昇した庫内温度を所定の庫内温度設定値に復帰させることであり、通常、商品の品質低下を防止するため、冷凍機3をフル稼働させてプルダウン時間を短縮する。冷却期間H3は庫内温度が所定の庫内温度設定値に基づいて調整される期間である。
【0053】
ここで、例えば、所定の庫内温度設定値が−20℃であり、第1期間の庫内温度の平均値dnが−18.179℃であり(dn=−18.179℃)、第2期間の庫内温度の平均値d(n−1)が−19.305℃である場合には、第1期間の庫内温度の平均値dnが第2期間の庫内温度の平均値d(n−1)より高いと判断され(−18.179>−19.305)、庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇していると判定される。
【0054】
ステップS1において、庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇していると判定されると(ステップS1のYES)、冷却中の吹出温度が下がり傾向であるか否かが判断される(ステップS2)。一方、第1期間の庫内温度の平均値dnが第2期間の庫内温度の平均値d(n−1)より高くない、すなわちその平均値d(n−1)以下であると判断され、庫内温度が前述の範囲内で上昇していないと判定されると(ステップS1のNO)、処理がステップS1から繰り返される。
【0055】
ステップS2では、判定部5aは、記憶部5bに記憶された吹出温度の温度データから、第1期間、例えば直近の一週間(現在から一週間前までの期間)の冷却中の温度データ(第1期間内の全冷却期間H3の温度データ)を取得し、その期間の冷却中の吹出温度を積算して平均値を求める。さらに、判定部5aは、前述の吹出温度の温度データから、第1期間よりも前の第2期間、例えば、前述の直近の一週間よりも過去の一週間(一週間前から二週間前までの期間)の冷却中の温度データ(第2期間内の全冷却期間H3の温度データ)を取得し、その期間の冷却中の吹出温度を積算して平均値を求める。その後、判定部5aは、第1期間の冷却中の吹出温度の平均値と、第2期間の冷却中の吹出温度の平均値とを比較する。
【0056】
ここで、例えば、第1期間の冷却中の吹出温度の平均値が−24.9℃であり、第2期間の冷却中の吹出温度の平均値が−22.7℃である場合には、第1期間の冷却中の吹出温度の平均値が第2期間の冷却中の吹出温度の平均値より低いと判断され(−24.9<−22.7)、冷却中の吹出温度が下がり傾向であると判定される。
【0057】
ステップS2において、冷却中の吹出温度が下がり傾向であると判定されると(ステップS2のYES)、除霜中の吹出温度が上昇していないか否かが判断される(ステップS3)。一方、第1期間の冷却中の吹出温度の平均値が第2期間の冷却中の吹出温度の平均値より低くない、すなわちその平均値以上であると判断され、冷却中の吹出温度が下がり傾向でないと判定されると(ステップS2のNO)、処理がステップS1から繰り返される。
【0058】
ステップS3では、判定部5aは、記憶部5bに記憶された吹出温度の温度データから、第1期間、例えば直近の一週間(現在から一週間前までの期間)の除霜中の温度データ(第1期間内の全除霜期間H1の温度データ)を取得し、その期間の除霜中の吹出温度の最高値を求める。さらに、判定部5aは、前述の吹出温度の温度データから、第1期間よりも前の第2期間、例えば、前述の直近の一週間よりも過去の一週間(一週間前から二週間前までの期間)の除霜中の温度データ(第2期間内の全除霜期間H1の温度データ)を取得し、その期間の除霜中の吹出温度の最高値を求める。その後、判定部5aは、第1期間の除霜中の吹出温度の最高値と、第2期間の除霜中の吹出温度の最高値とを比較する。
【0059】
ここで、例えば、第1期間の除霜中の吹出温度の最高値が0.5℃であり、第2期間の除霜中の吹出温度の最高値が5.5℃である場合には、第1期間の除霜中の吹出温度の最高値が第2期間の除霜中の吹出温度の最高値より低いと判断され(0.5<5.5)、除霜中の吹出温度が上昇していないと判定される。
【0060】
ステップS3において、除霜中の吹出温度が上昇していないと判定されると(ステップS3のYES)、過着霜の発生傾向があると判定され、その過着霜が発生する傾向がある旨を示す警報(予備警報)が発せられる(ステップS4)。一方、第1期間の除霜中の吹出温度の最高値が第2期間の除霜中の吹出温度の最高値より低くない、すなわちその最高値以上であると判断され、除霜中の吹出温度が上昇していると判定されると(ステップS3のNO)、処理がステップS1から繰り返される。
【0061】
ステップS4では、報知部5eは、現在時間が設定部5dにより設定された時間帯内であるか否かを判断し、現在時間がその時間帯内であると判断した場合、例えば、操作盤内のランプを点灯することで、過着霜が発生する傾向があるという警報を発する(すなわち、過着霜が発生する傾向がある旨を報知する)。なお、操作盤内のランプ以外にも、電話回線やインターネットなどの回線網を介して保守サービス会社などに警報を発することも可能である。
【0062】
このような過着霜判定処理によれば、庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇し(ステップS1のYES)、冷却中の吹出温度が下がり傾向であり(ステップS2のYES)、除霜中の吹出温度が上昇していない(ステップS3のYES)場合に、例えば、操作盤内のランプ点灯により、ショーケース2に過着霜が発生する傾向があるという警報が発せられる。これにより、定期点検などで操作盤内を見た保守作業員は、過着霜が発生する傾向の存在を知ることが可能となり、過着霜が発生する前の予兆段階を把握し、その予兆段階でのメンテナンス作業を行うことが可能となる。このため、過着霜の発生を未然に防止して過着霜による冷却不良を抑止することができる。さらに、予兆段階でのメンテナンス作業は過着霜発生前の作業となり、過着霜発生後の作業に比べ容易なものとなるので、保守作業員はメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0063】
加えて、庫内温度の変化に加えて吹出温度の変化から、過着霜が発生する傾向があるか否かが判定される。これにより、商品の陳列状況による影響を受けない吹出温度が用いられるので、過着霜の発生傾向の判定を精度良く行うことが可能となる。このため、判定信頼性を向上させることができる。特に、庫内温度は商品の陳列状況(例えば、商品の並べ方や商品数など)によって変化するため、庫内温度だけを過着霜判定に用いるのでは不十分であり、庫内温度に加え、商品の陳列状況によって変化することがない吹出温度も用いることが正確な過着霜判定のためには重要である。
【0064】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、庫内温度の変化及び吹出温度の変化から、過着霜が発生する傾向があるか否かを判定し、過着霜が発生する傾向があると判定した場合、その過着霜が発生する傾向がある旨を報知する。これにより、過着霜が発生する傾向があること、すなわち過着霜が発生する前の予兆段階を把握し、その予兆段階でのメンテナンス作業を行うことが可能となる。このため、過着霜の発生を抑止して庫内の商品劣化を未然に防ぐことができ、さらに、予兆段階でのメンテナンス作業が過着霜発生後の作業に比べ容易な作業となるため、メンテナンス作業を容易にすることができる。加えて、庫内温度の変化に加え、商品の陳列状況による影響を受けない吹出温度の変化から、過着霜が発生する傾向があるか否かが判定される。これにより、過着霜の発生傾向の判定を精度良く行うことが可能となるので、判定信頼性を向上させることができる。
【0065】
また、庫内温度の第1期間の平均値とその第1期間より前の第2期間の平均値との比較により、庫内温度が庫内の商品品質に影響がない範囲内で上昇しているか否かの判断を行うことから、庫内温度の上昇傾向を正確に把握することが可能となり、過着霜の発生傾向の判定をより高い精度で行うことができる。
【0066】
また、冷却中の吹出温度の第1期間の平均値とその第1期間より前の第2期間の平均値との比較により、冷却中の吹出温度が下がり傾向であるか否かの判断を行うことから、冷却中の吹出温度の下がり傾向を正確に把握することが可能となり、過着霜の発生傾向の判定をより高い精度で行うことができる。
【0067】
また、除霜中の吹出温度の第1期間の最高値とその第1期間より前の第2期間の最高値とを比較し、除霜中の吹出温度が上昇していないか否かの判断を行うことから、除霜中の吹出温度の非上昇傾向を正確に把握することが可能となり、過着霜の発生傾向の判定をより高い精度で行うことができる。
【0068】
また、設定した時間帯のみ、過着霜が発生する傾向がある旨を報知することによって、多くの保守作業員が待機する時間帯を設定し、メンテナンス作業のための人員を確保することが可能となるので、メンテナンス作業をより容易にすることができる。特に、日中などの時間帯を設定することで、メンテナンスのために夜間などの時間帯に突発的に出動しなくても、定期点検などのメンテナンスで着霜をその程度が軽いうちに落とすことが可能となり、メンテナンス作業をさらに容易に行うことができる。
【0069】
なお、本発明は、前述の実施形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、前述の実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよく、さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0070】
前述の実施形態においては、ステップS1〜S3(図2参照)までの全ての条件が揃った場合に、過着霜が発生する傾向があるという警報を発しているが、これに限るものではなく、例えば、ステップS1及びステップS2の条件が揃った場合に、過着霜が発生する傾向があるという警報を発するようにしても良く、あるいは、ステップS1及びステップS3の条件が揃った場合に、過着霜が発生する傾向があるという警報を発するようにしても良い。
【0071】
また、前述の実施形態においては、ステップS1において第1期間あるいは第2期間の全期間(除霜期間H1、プルダウン期間H2及び冷却期間H3)の庫内温度を用いて判定を行っているが、これに限るものではなく、例えば、第1期間あるいは第2期間の全期間のうち冷却期間H3の庫内温度(冷却中の庫内温度)だけを用いて判定を行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0072】
1 冷凍装置
2 ショーケース
2a 減圧器
2b 蒸発器
2c 除霜ヒータ
2d 庫内温度検出部
2e 吹出温度検出部
2f 開閉弁
3 冷凍機
3a 圧縮機
3b 凝縮器
3c 受液器
4 冷媒配管
5 制御装置
5a 判定部
5b 記憶部
5c 入力部
5d 設定部
5e 報知部
図1
図2
図3
図4