(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912861
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】薪状燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
F23B 40/00 20060101AFI20160414BHJP
F24B 13/04 20060101ALI20160414BHJP
F24B 1/02 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
F23B40/00
F24B13/04 D
F24B1/02 D
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-120721(P2012-120721)
(22)【出願日】2012年5月28日
(65)【公開番号】特開2013-245890(P2013-245890A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】511185184
【氏名又は名称】株式会社シンエイ
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】橋本 達男
【審査官】
杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−117262(JP,U)
【文献】
カナダ国特許発明第01206047(CA,C)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0017190(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3176127(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23B 40/00
F24B 1/02
F24B 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薪状燃料を燃焼させる燃焼装置の燃焼室に、該薪状燃料を1本ずつ供給する薪状燃料供給装置であって、
長さと太さがバラツキの許容範囲内で同等な薪状燃料を、前記燃焼室に向けて長さ方向を揃えて水平方向に収納すると共に、該薪状燃料が1本以上自重で落下するように下部を開口した薪状燃料収納部と、
該薪状燃料収納部から落下した薪状燃料を、周胴体の外周部に1本ずつ並べて取り込んで該周胴体の軸心と平行な水平方向に長さ方向を揃えて保持するように、前記外周部に多数の凹部を有すると共に、前記軸心を中心に回転するように設けられたドラム状の薪状燃料ホルダと、
前記薪状燃料ホルダの回転によって保持された薪状燃料が、落下しないように前記薪状燃料ホルダの一部を覆う装填カバー部と、
該装填カバー部と前記凹部で保持されている1本の薪状燃料の全体を、該薪状燃料の長さ方向で前記燃焼室に向けて前記薪状燃料ホルダから突き出すように設置された突出し機構と、
該突出し機構の設置された位置に対応して、それぞれの前記凹部が順次停止するように前記薪状燃料ホルダを間欠的に回転させる回転駆動機構と、
前記薪状燃料ホルダと前記燃焼室との間に筒状に設けられて配されて、前記突出し機構によって突き出された薪状燃料を一旦収納して保持し、該保持された薪状燃料が前記突出し機構で新たに突き出された薪状燃料に押されて前記燃焼室内へスライド移動されるようにガイドする薪状燃料待機筒とを具備することを特徴とする薪状燃料供給装置。
【請求項2】
前記薪状燃料待機筒が、前記突出し機構の位置より前記燃焼室に向けて上方へ傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の薪状燃料供給装置。
【請求項3】
前記薪状燃料待機筒の薪状燃料の出口部に設けられ、該薪状燃料待機筒に保持された薪状燃料が前記突出し機構で新たに突き出された薪状燃料に押されて前記燃焼室内へスライド移動される際に開き、該薪状燃料が前記燃焼室内へ落下した際に自重で閉じる燃焼遮断扉を具備することを特徴とする請求項1又は2に薪状燃料供給装置。
【請求項4】
前記薪状燃料ホルダの薪状燃料の出口部に設けられ、前記突出し機構で突き出された薪状燃料が前記薪状燃料待機筒内へスライド移動される際に開き、該薪状燃料が前記薪状燃料待機筒内に収納された際に自重で閉じる第二の燃焼遮断扉を具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の薪状燃料供給装置。
【請求項5】
前記燃焼室の中央付近に薪状燃料が投入されるように、該燃焼室内であって前記薪状燃料待機筒の薪の出口部の下側に傾斜案内板が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の薪状燃料供給装置。
【請求項6】
前記薪状燃料ホルダが、薪状燃料の長手方向である軸心方向に対して直交するように配設された複数の円盤体と、該円盤体の外周縁に沿って並べて取り付けられ、前記凹部を形成するように径方向外側へ突出するための突出部が設けられた複数の凹部形成部材と、該凹部形成部材と前記複数の円盤体とを貫通して固定し、前記薪状燃料ホルダをドラム状に形成する連結棒とを備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の薪状燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薪状燃料を燃焼させる燃焼装置の燃焼室に、その薪状燃料を1本ずつ供給する薪状燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
植物栽培用ハウスで用いられる石油による暖房装置には、最近の石油価格の高騰や石油資源の枯渇の問題がある。この問題を解決するため、バイオマスエネルギーを利用した燃焼装置として木質ペレットを用いる各種のペレットストーブが提案されている(特許文献1)。
【0003】
木質ペレットは、その長さが通常10mmから25mm程度であり、薪のような長尺のバイオマス燃料に比べて非常に小さい。このため、スクリューコンベアなどによって収納部から燃焼室へ連続的に供給することができる(特許文献1
図2参照)。しかしながら、この木質ペレットはペレット化のための加工コストが高く、結果的に暖房費用がかさむ。
【0004】
また、細かく裁断した木材のチップ状のバイオマス燃料は、木質ペレットに比べて加工費用は低い。しかしながら、この燃料を用いる燃焼装置はチップの形状などが不均一であることから、一般的に燃料供給装置を含む燃焼装置全体として大型化・複雑化する傾向にある。
【0005】
そして、薪や、オガ屑やモミガラを固めて円柱状又は円筒状の固形燃料に成形された薪状燃料は、比較的加工コストが低いと共に大きな火力を生じることができる。しかしながら、薪状燃料は、大きくて不揃いであるため、連続的な燃焼室への自動供給が難しく、一般的に人手によって燃焼室への投入がなされている。このため、薪状燃料は、一定の温度を保つことが求められる用途には不向きであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−32357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
薪状燃料を燃焼させる燃焼装置の燃焼室に薪状燃料を供給する装置に関して解決しようとする問題点は、比較的長尺の薪状燃料を、人手を要さずに燃焼室に供給する手段が提案されていないことにある。
そこで、本発明の目的は、薪状燃料を、人手を要さずに順次自動的に、燃焼室へ適切に供給できる薪状燃料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る薪状燃料供給装置の一形態によれば、薪状燃料を燃焼させる燃焼装置の燃焼室に、該薪状燃料を1本ずつ供給する薪状燃料供給装置であって、長さと太さがバラツキの許容範囲内で同等な薪状燃料を、前記燃焼室に向けて長さ方向を揃えて水平方向に収納すると共に、該薪状燃料が1本以上自重で落下するように下部を開口した薪状燃料収納部と、該薪状燃料収納部から落下した薪状燃料を、周胴体の外周部に1本ずつ並べて取り込んで該周胴体の軸心と平行な水平方向に長さ方向を揃えて保持するように、前記外周部に多数の凹部を有すると共に、前記軸心を中心に回転するように設けられたドラム状の薪状燃料ホルダと、前記薪状燃料ホルダの回転によって保持された薪状燃料が、落下しないように前記薪状燃料ホルダの一部を覆う装填カバー部と、該装填カバー部と前記凹部で保持されている1本の薪状燃料の全体を、該薪状燃料の長さ方向で前記燃焼室に向けて前記薪状燃料ホルダから突き出すように設置された突出し機構と、該突出し機構の設置された位置に対応して、それぞれの前記凹部が順次停止するように前記薪状燃料ホルダを間欠的に回転させる回転駆動機構と、前記薪状燃料ホルダと前記燃焼室との間に筒状に設けられて配されて、前記突出し機構によって突き出された薪状燃料を一旦収納して保持し、該保持された薪状燃料が前記突出し機構で新たに突き出された薪状燃料に押されて前記燃焼室内へスライド移動されるようにガイドする薪状燃料待機筒とを具備する。
【0009】
また、本発明に係る薪状燃料供給装置の一形態によれば、前記薪状燃料待機筒が、前記突出し機構の位置より前記燃焼室に向けて上方へ傾斜して設けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明に係る薪状燃料供給装置の一形態によれば、前記薪状燃料待機筒の薪状燃料の出口部に設けられ、該薪状燃料待機筒に保持された薪状燃料が前記突出し機構で新たに突き出された薪状燃料に押されて前記燃焼室内へスライド移動される際に開き、該薪状燃料が前記燃焼室内へ落下した際に自重で閉じる燃焼遮断扉とを具備することを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明に係る薪状燃料供給装置の一形態によれば、前記薪状燃料ホルダの薪状燃料の出口部に設けられ、前記突出し機構で突き出された薪状燃料が前記薪状燃料待機筒内へスライド移動される際に開き、該薪状燃料が前記薪状燃料待機筒内に収納された際に自重で閉じる第二の燃焼遮断扉を具備することを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る薪状燃料供給装置の一形態によれば、前記燃焼室の中央付近に薪状燃料が投入されるように、該燃焼室内であって前記薪状燃料待機筒の薪の出口部の下側に傾斜案内板が設けられていることを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明に係る薪状燃料供給装置の一形態によれば、前記薪状燃料ホルダが、薪状燃料の長手方向である軸心方向に対して直交するように配設された複数の円盤体と、該円盤体の外周縁に沿って並べて取り付けられ、前記凹部を形成するように径方向外側へ突出するための突出部が設けられた複数の凹部形成部材と、該凹部形成部材と前記複数の円盤体とを貫通して固定し、前記薪状燃料ホルダをドラム状に形成する連結棒とを備えることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る薪状燃料供給装置によれば、薪状燃料を、人手を要さずに順次自動的に、燃焼室へ適切に供給できるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る薪状燃料供給装置と燃焼装置の形態例の概要を示す正面図である。
【
図2】本発明に係る薪状燃料収納部と薪状燃料ホルダの形態例を示す側面図である。
【
図3】薪状燃料ホルダから薪状燃料が突き出された状態を示す正面図である。
【
図4】本発明に係る薪状燃料ホルダの他の形態例を示す正面図である。
【
図5】
図4の形態例の薪状燃料ホルダを示す側面図である。
【
図6】本発明に係る薪状燃料ホルダの他の形態例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る薪状燃料供給装置の形態例を添付図面(
図1乃至3)と共に詳細に説明する。
【0016】
この薪状燃料供給装置は、
図1に示すように、薪状燃料Wを燃焼させる燃焼装置10の燃焼室11に薪状燃料Wを1本ずつ供給する装置であり、薪状燃料収納部20と、薪状燃料ホルダ30と、装填カバー部40と、突出し機構50と、回転駆動機構60と、薪状燃料待機筒70と、燃焼遮断扉80とを備えている。以下、それぞれについて説明する。
なお、ここで、薪状燃料Wとは、前述のとおり、薪の他に、オガ屑やモミガラを固めて円柱状又は円筒状などの長尺状の固形燃料に成形されたものが含まれる。この薪状燃料Wの長さや太さは一定の許容範囲内で同等であればバラツキがあってもよい。本実施形態では、例えば直径が80mmから90mmの範囲内に入る薪状燃料Wが用いられる。
【0017】
薪状燃料収納部20は、薪状燃料Wを、燃焼室11に向けて長さ方向を揃えて水平方向に収納すると共に、薪状燃料Wが1本以上自重で落下するように下部を開口したものである。薪状燃料収納部20は、複数の薪状燃料Wの収納面をV字状やU字状の傾斜面として下部から薪状燃料Wが順次落下するように形成してある。薪状燃料Wは薪状燃料収納部20の上部から収納する。下部の開口部の幅を調整することで同時に落下させることができる薪状燃料Wの本数を選択できる。薪状燃料収納部20の大きさは連続して燃焼させる薪状燃料Wの本数に応じて適宜変えることができる。
【0018】
薪状燃料ホルダ30は、薪状燃料収納部20から落下した薪状燃料Wを、周胴体31の外周部32に1本ずつ並べて取り込んでその周胴体31の軸心と平行な水平方向に長さ方向を揃えて保持する。そのために、薪状燃料ホルダ30は、外周部32に多数の凹部33を有する。この薪状燃料ホルダ30は、前記軸心を中心に後述する回転駆動機構60によって回転するように設けられ、全体の形状がドラム状となる。本実施形態では、燃焼室11に向かって左回転を予定しているが、右回転であっても構わない。
【0019】
凹部33は、径方向の幅が薪状燃料Wの太さより大きく、水平方向の長さが薪状燃料Wより長く形成されている。このため、薪状燃料Wにバラツキがあってもこの凹部33に収納できる大きさであれば許容範囲となり本薪状燃料供給装置で用いることができる。薪状燃料ホルダ30の上部の凹部33によって保持された薪状燃料Wは、薪状燃料ホルダ30の回転によって、突出し機構50によって押圧・突き出されて薪状燃料待機筒70の内部へ移動させるために停止される位置(突出し位置P)へ、移動される。本実施形態では、凹部33の幅は、おおよそ100mmから120mmである。
【0020】
装填カバー部40は、
図2に示すように、薪状燃料ホルダ30の回転によって凹部33で保持された薪状燃料Wが、その回転中に外側方向へ落下しないように薪状燃料ホルダ30の上部から搬送方向の側部の突出し位置Pにかけて覆うように形成される。装填カバー部40は、薪状燃料ホルダ30の回転によって移動中の薪状燃料Wの全体が隠れるように湾曲板で形成してもよく、長い細帯状の抑え板を薪状燃料ホルダ30の曲面に沿って2〜3本程度設けることもできる。
【0021】
突出し機構50は、装填カバー部40と凹部33で保持されている1本の薪状燃料Wの全体を、その薪状燃料Wの長さ方向で燃焼室11に向けて薪状燃料ホルダ30から突き出すように設置されている。突出し機構50としては、エアシリンダなどのアクチュエータが用いられる。エアシリンダの場合、エアシリンダの位置は、薪状燃料ホルダ30を挟んで燃焼室11と反対側において突き出される薪状燃料Wと高さを合わせている。エアシリンダのピストンロッド51は、前方に位置する薪状燃料Wの一端面を押して薪状燃料Wが薪状燃料ホルダ30から完全に離脱する位置にまで移動するように水平運動を行う(
図3)。
これにより、ピストンロッドによって押された薪状燃料Wを後述する薪状燃料待機筒70へ移動させることができる。
【0022】
回転駆動機構60は、突出し機構50の設置された位置に対応して、それぞれの凹部32が順次停止するように薪状燃料ホルダ30を間欠的に回転させる。回転駆動機構60としては、本実施形態では、薪状燃料ホルダ30の下に位置するモータ61と薪状燃料ホルダ30にそれぞれモータ用のタイミングプーリ62、薪状燃料ホルダ30用のタイミングプーリ64を取り付けベルト63を介してモータ61の動きを伝達させるように構成される。なお、モータ61と薪状燃料ホルダ30にそれぞれスプロケットを取り付けたり、そのスプロケットに掛け回されたチェーンを介してモータ61の動きを伝達する機構を採用することも可能である。また、モータ61については、ギアによる減速機構を採用することができる。薪状燃料ホルダ30を間欠的に回転させ突出し機構50の設置された位置に停止させるには、例えば、モータ61としてサーボモータやステッピングモータを用い、シーケンス制御やコンピュータ制御を行う制御装置によって動作させることができる。
【0023】
回転駆動機構60の回転と突出し機構50の動作とは連動するように制御部(図示せず)によって制御される。すなわち、回転駆動機構60によって凹部32が間欠的に停止した際、突出し機構50によって薪状燃料Wが突き出され、その後、突出し機構50の動作が停止したタイミングで、再び回転駆動機構60が薪状燃料ホルダ30を回転させるように動作する。
【0024】
薪状燃料待機筒70は、薪状燃料ホルダ30と燃焼室11との間に筒状に設けられて配されて、突出し機構50によって突き出された薪状燃料Wを一旦収納して保持する。その際に先に薪状燃料待機筒70内に位置していた薪状燃料Wがあれば、それに追突してその薪状燃料Wを燃焼室11へ押し出す。薪状燃料待機筒70は、薪状燃料ホルダ30より突出し機構50によって突き出される薪状燃料Wより大径で薪状燃料Wの全体を収納出来る長さを有している。なお、薪状燃料待機筒70の内径は薪状燃料Wの太さ(外径)の倍以上であってはならない。薪状燃料Wが薪状燃料待機筒70の中で重なるおそれがあり、適切に突き出すことができない可能性があるためである。本実施形態では、薪状燃料ホルダ30の内径は、120mmから130mm程度に設定されている。薪状燃料待機筒70は、薪状燃料ホルダ30から突き出される薪状燃料Wの位置と、燃焼装置100の側部であって、かつ薪状燃料Wの全体が薪状燃料待機筒70の出口部71から完全に離れて燃焼室11の底部に落下できる程度の高さの位置との間に連結される。なお、この薪状燃料待機筒70は燃焼室11と同様の耐火性のある材質で構成される。
【0025】
燃焼遮断扉80は、薪状燃料待機筒70の薪状燃料Wの出口部71に設けられ、上端部が蝶番で出口部71に装着されており、下端側が回動して開閉できるように設けられている。この燃焼遮断扉80によれば、薪状燃料待機筒70に保持された薪状燃料Wが、突出し機構50で新たに突き出された薪状燃料Wに追突されて燃焼室11内へスライド移動される際に、その薪状燃料Wの移動の力で持ち上げられて開き、その薪状燃料Wが燃焼室11内へ落下した際に自重で閉じる。
これにより、燃焼室11の火が、その燃焼室11へ投入前の薪状燃料Wに移ること(逆火)を防ぐことができる。
【0026】
薪状燃料待機筒70は、突出し機構50の位置より燃焼室11に向けて上方へ傾斜して設けることもできる。これによれば、燃焼遮断扉80は、重力が適切に作用し、自重で確実に閉じることができる。
また、薪状燃料待機筒70と薪状燃料ホルダ30との間にゴミなどを落下させることができる断絶開口部72を設けることができる。これによれば、万一、逆火となった場合でも、火が付いた薪状燃料Wが断絶開口部72から落下し、薪状燃料ホルダ30側へ火が至らないようにすることができる。
【0027】
さらに、薪状燃料ホルダ30の薪状燃料Wの出口部34に設けられ、突出し機構50で突き出された薪状燃料Wが薪状燃料待機筒70内へスライド移動される際に開き、その薪状燃料Wが薪状燃料待機筒70内に収納された際に自重で閉じる第二の燃焼遮断扉90を具備することができる。この第二の燃焼遮断扉90は、上端部が蝶番で出口部34に装着されており、下端側が回動して開閉できるように設けられている。
これにより、万一、燃焼室11の火が薪状燃料待機筒70内の薪状燃料Wに燃え移り、その薪状燃料が断絶開口部72で落下しなかった場合でも、薪状燃料ホルダ30及び薪状燃料収納部20に燃え移ることを防ぐことができる。
【0028】
また、燃焼室11の中央付近に薪状燃料Wが投入されるように、燃焼室11内であって薪状燃料待機筒70の薪の出口部71の下側に傾斜案内板73を設けることができる。これによれば、薪状燃料Wを燃焼室11内の燃えやすい中央部へ落下させることができる。
さらに、燃焼室11内の投下された薪状燃焼Wを受けて保持する燃焼ポット12は、上面が解放されて上方へ向かって拡径する逆円錐台形状に形成されており、周壁や底部が格子状に設けられている。その格子状の周壁や底部は、鉄筋などの金属の棒状材を格子状に組んだ形態に溶接によって固定して形成することができる。この燃焼ポット12よれば、薪状燃焼Wを好適に保持できると共に通気性が高いため、薪状燃料Wを好適に燃焼させることができる。
【0029】
次に、薪状燃料ホルダ30の他の形態例について添付図面(
図4、5)と共に説明する。薪状燃料ホルダ30は、薪状燃料Wの長手方向である軸心方向に対して直交するように配設された複数の円盤体35と、円盤体35の外周縁に沿って並べて取り付けられ、凹部33を形成するように径方向外側へ突出するための突出部36が設けられた複数の凹部形成部材37と、凹部形成部材37と複数の円盤体35とを貫通して固定し、薪状燃料ホルダ30をドラム状に形成する連結棒38とを備える。
【0030】
円盤体35は真円で、突出し機構50により突き出される薪状燃料Wが凹部形成部材37によって形成される凹部33によって薪状燃料ホルダ30で水平状態を維持できるように複数枚設けられる。本実施形態では、少なくとも3枚の円盤体35で構成される。
【0031】
凹部形成部材37は薪状燃料ホルダ30が薪状燃料収納部20から落下した薪状燃料Wを保持できる薪状燃料Wの本数に応じて円盤体35の外周縁に複数取り付けられる。突出部36は先端を尖らせて形成されている。これにより、薪状燃料Wが薪状燃料収納部20より落下する際に隣り合う薪状燃料Wの間に進入し易くなる。
【0032】
薪状燃料ホルダ30をこのような円盤体35と凹部形成部材37と連結棒38とによって構成することにより、薪状燃料ホルダ30の重量を軽くすることができ、回転駆動機構60の負担も軽減される。また、凹部形成部材37を円盤体35と別部材で設けることで、突出部36が損傷した際に、凹部形成部材37のみを交換すればよく、メンテナンスコストを低減できる。
【0033】
さらに、薪状燃料ホルダの他の形態例について添付図面(
図6)に基づいて説明する。この薪状燃料ホルダ300は、薪状燃料収納部からの斜面21に沿って重力の作用で供給される薪状燃料Wを、周胴体310の外周部に1本ずつ並べて取り込んでその周胴体310の軸心と平行な水平方向に長さ方向を揃えて保持する。この薪状燃料ホルダ300の外周部の凹部330は、
図6に示すように周胴体310の外周部に等しい間隔を置いて複数が形成されている。この薪状燃料ホルダ300も、前記軸心を中心に後述する回転駆動機構60によって回転するように設けられ、全体の形状がドラム状となる。本実施形態では、燃焼室11に向かって左回転を予定しているが、右回転であっても構わない。
【0034】
また、各凹部330によって保持された薪状燃料Wが、薪状燃料ホルダ300の回転動際によって突き出される位置まで送られたことを検知するように、重量センサー39が配置されている。この重量センサー39によれば、薪状燃料Wが送られたことで、その重量を検出した際には信号を出力する。その検出信号に基づいて、前述した回転駆動機構60が制御装置によって停止され、薪状燃料Wが突き出される位置で留まって保持される。そして、そのように保持された薪状燃料Wが突出し機構50により突き出される。これによれば、薪状燃料Wが突き出される位置に正確に停止させることができる。なお、装填カバー部40によって、薪状燃料Wが適宜に案内されて、その突き出される位置へ正確に送られる。
【0035】
また、本形態例の凹部形成部材370は、板材を折り曲げて設けられた凹部330を形成するための部品であり、周胴体310の外周部に固定されている。この凹部形成部材370による凹部330の形成部分から両側に延びた延設部の折曲端同士が、締結部材371によって連結され、周胴体310の外周部に複数が連続的に配されている。
これによれば、複数の凹部330を、薪状燃料ホルダ300の周胴体310の外周部に間隔を適宜にあけて好適に設けることができる。この形態によって、薪状燃料Wを供給する時間的な間隔を好適に調整し易くなると共に、薪状燃料Wの供給にかかる位置決めの正確性を高め、装置としての信頼性を向上し易くなる。
【0036】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0037】
10 燃焼装置
11 燃焼室
20 薪状燃料収納部
30 薪状燃料ホルダ
31 周胴体
32 外周部
33 凹部
34 出口部
35 円盤体
36 突出部
37 凹部形成部材
38 連結棒
39 重量センサー
40 装填カバー部
50 突出し機構
60 回転駆動機構
61 モータ
62 タイミングプーリ
63 タイミングベルト
64 タイミングプーリ
70 薪状燃料待機筒
71 出口部
72 断絶開口部
73 傾斜案内板
80 燃焼遮断扉
90 第二の遮断扉
W 薪状燃料
P 突出し位置