【実施例】
【0027】
《連結拘束具》
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明に係る一実施例である連結拘束具3の斜視図を
図1に示した。また、その連結拘束具3を第一脚柱1および第二脚柱2に装着する様子を
図2、
図3Aおよび
図3Bに示した。さらに、第一脚柱1および第二脚柱2に装着した連結拘束具3の一部を拡大した断面図を
図4に示した。なお、第一脚柱1および第二脚柱2は、建設現場等で使用される仮設足場の支柱である。
【0028】
連結拘束具3は、ステンレス鋼板からなる短冊状の帯状片Wを冷間で塑性加工してなり、外向きに対向し突出した一対のロックピン31と、これらロックピン31間を架橋する架橋帯33とを備える。なお本明細書では、対称的な一対の部材や部分については、便宜上、その一方のみについて説明する。
【0029】
ロックピン31は、略有底円筒的な凸状をしている。具体的には、円筒部314と、円筒部314から外先端側へ連なる嵌入誘導面312と、円筒部314から外先端側へ連なると共に嵌入誘導面312の左右両側に連なる解除誘導面311と、円筒部314の下面側から外先端側へ連なる断面円弧状の拘束面313とからなる。なお、円筒部314の突き出し量は第一脚柱1に固定された第一連結部11の肉厚と同等程度となっている(
図4参照)。
【0030】
架橋帯33は、中央部にある湾曲部330と、湾曲部330からロックピン31に至る途中に設けられた屈曲部332と、湾曲部330から屈曲部332までを繋ぐ開脚形状の脚部331と、屈曲部332からロックピン31を繋ぐ上下方向(軸方向)に延在した前延部333と、ロックピン31から帯状片Wの先端部まで上下方向に延在する先延部334とからなる。なお、架橋帯33は可撓性や復元性に富んだ弾性体となっている。
【0031】
《作用》
次に連結拘束具3の作用を説明する。連結拘束具3は、第一脚柱1の端部に設けられた第一連結部11内に縮幅されて挿入される(
図2および
図3A参照)。連結拘束具3の縮幅は、高弾性な脚部331を挟圧することにより行える。なお、第一脚柱1および第二脚柱2は、内外径が同一の円管状をしており、第一連結部11は、第一脚柱1および第二脚柱2の内周側に嵌入される円管状をしている。この第一連結部11は、第一脚柱1の端部に嵌合された状態で溶接で固定されている。第二脚柱2のうち、その第一連結部11に嵌合する部分を第二連結部21という。
【0032】
縮幅状態の連結拘束具3を第一連結部11内へ挿入していくと、ロックピン31が第一連結部11の第一係合孔111に到達したときに、ロックピン31が第一係合孔111に嵌通した状態となる。この際、連結拘束具3の前延部333および先延部334は第一連結部11の内周面に当接した状態となり、連結拘束具3が第一連結部11内に安定的に保持される(
図3A参照)。その結果、第一係合孔111から軸直交方向へ突出したロックピン31の姿勢も安定化する。
【0033】
この状態の第一連結部11へ、第二脚柱2の第二連結部21を外嵌していくと、第二連結部21の開口端の内周端縁がロックピン31の嵌入誘導面312に当接し摺動する。この嵌入誘導面312は第二連結部21の進行方向に傾斜した斜面からなるため、第二連結部21の進行により、嵌入誘導面312には屈曲部332を支点とした内向きの回転力が作用する。これにより、ロックピン31はその回転により第二連結部21の内部へ退避動する。そして第二係合孔211の下端部分がロックピン31の拘束面313を通過すると、ロックピン31は復帰動し、ロックピン31は第二係合孔211へも嵌通するようになる(
図3B参照)。こうして第一脚柱1と第二脚柱2が第一連結部11および第二連結部21により連結されると共に、その連結が連結拘束具3のロックピン31と第一係合孔111および第二係合孔211との係合により拘束(ロック)された状態となる。
【0034】
この際、第二連結部21の第二係合孔211は、軸直交方向に延在した拘束面313により上方への移動が確実に規制される。従って、その状態のままでは、第一脚柱1と第二脚柱2が容易に分離されることはない。しかも、第二係合孔211に上向き(第一脚柱1と第二脚柱2が分離する向き)の力が作用しても、先延部334が第一連結部11の内周面に当接する(さらには円筒部314が第一係合孔111に当接する)ことにより、ロックピン31の回転(
図4でいうと左回転)が抑制され、ロックピン31の姿勢は安定的に維持される。従って、第一脚柱1と第二脚柱2の連結拘束状態は容易には解除されない。
【0035】
逆に、第一脚柱1と第二脚柱2の連結を解除する場合は、第二連結部21を右回りまたは左回りに回転させる。すると、第二係合孔211の内周端縁がロックピン31の解除誘導面311に当接して摺動する。解除誘導面311は、第二連結部21の回転方向に傾斜した斜面からなるため、第二連結部21の回転と共に解除誘導面311には内向きの回転力が作用し、ロックピン31はその回転力によって第二連結部21の内部へ退避動を開始する。そして第二係合孔211とロックピン31の係合がなくなるまで第二連結部21を回転させると、第二連結部21の内周面によりロックピン31は退避状態に保持される。こうして第一脚柱1と第二脚柱2は、ロックピン31による連結拘束状態が解除されて、分離可能となる。
【0036】
ところで、このようなロックピン31の絞り成形は、ロックピン31の内形状に沿ったポンチと、ロックピン31の外形状に沿ったキャビティを有するダイスを用いて、帯状片Wを加圧成形すれば容易に行える。架橋帯33の曲げ成形も、その内形状または外形状に沿った成形型を用いて帯状片Wを加圧成形すれば容易に行える。なお、ロックピン31の絞り加工と架橋帯33の曲げ加工の順序は問わないが、通常はロックピン31の絞り加工後に架橋帯33の曲げ加工を行うと効率的である。
【0037】
なお、各塑性加工は冷間状態で行うことができるが、温間状態または熱間状態で行ってもよい。また加工後に、適宜、各種の熱処理を施して、連結拘束具3の機械的特性や金属組織を調整してもよい。
【0038】
このように本発明の連結拘束具を用いれば、製造コストを抑制しつつ、脚柱間同士の連結および拘束を確実に行える。