特許第5912862号(P5912862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912862
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】連結拘束具
(51)【国際特許分類】
   E04G 7/20 20060101AFI20160414BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   E04G7/20 C
   F16B7/04 302A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-120815(P2012-120815)
(22)【出願日】2012年5月28日
(65)【公開番号】特開2013-245500(P2013-245500A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2014年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】306035122
【氏名又は名称】信和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113664
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 正往
(74)【代理人】
【識別番号】110001324
【氏名又は名称】特許業務法人SANSUI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 博
(72)【発明者】
【氏名】青山 敏朗
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−083191(JP,U)
【文献】 実開昭62−189447(JP,U)
【文献】 特開平07−119292(JP,A)
【文献】 特開平07−166695(JP,A)
【文献】 特開平10−183990(JP,A)
【文献】 特開2005−207535(JP,A)
【文献】 米国特許第04891926(US,A)
【文献】 米国特許第04247216(US,A)
【文献】 米国特許第05755641(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 7/20
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一脚柱の端部にある筒状の第一連結部に設けられた一対の対向した第一係合孔と該第一脚柱に連結される該第二脚柱の端部にあり該第一連結部に外嵌される筒状の第二連結部に設けられ該第一係合孔に整合する一対の対向した第二係合孔とに嵌通され得る一対のロックピンと、
該一対のロックピン間を架橋する架橋帯とを備え、
該第一連結部に収容されて該第一脚柱と該第二脚柱の連結を拘束し得る連結拘束具であって、
前記ロックピンは、金属製の帯状片の端部側凸状の突起であり
前記架橋帯は、曲げ形状を有する該帯状片の中央側であり、
前記ロックピンは、円筒部と、該円筒部から該凸状の突起の先端側へ連なる嵌入誘導面と、該円筒部から該凸状の突起の先端側へ連なると共に該嵌入誘導面の両側に連なる解除誘導面とを備え、
該嵌入誘導面は、前記第一連結部に前記第二連結部を嵌入する際に該第二連結部の内周端縁に摺接して該ロックピンを該第一連結部の内側へ退避誘導し、
該解除誘導面は、前記第一係合孔と前記第二係合孔の拘束を解除する際に該第二係合孔の内周端縁に摺接して該ロックピンを該第一連結部の内側へ退避誘導することを特徴とする連結拘束具。
【請求項2】
前記架橋帯は、
略中央で前記帯状片を湾曲させた湾曲部と、
該湾曲部と前記ロックピンの中間で該帯状片を屈曲させた屈曲部と、
を備える請求項1に記載の連結拘束具。
【請求項3】
さらに、前記ロックピンから前記帯状片の先端側へ延在し、前記第一係合孔および前記第二係合孔に嵌通している該ロックピンの姿勢を安定させる先延部を有する請求項1または2に記載の連結拘束具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場の仮設足場等に用いられる脚柱の連結を拘束する連結拘束具に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場の仮設足場等は、管状の脚柱を複数連結して組み立てられることが多い。この脚柱の連結は、一方の脚柱の端部に設けた短管ジョイント(連結部)に、他方の脚柱の端部(連結部)を外嵌してなされる。
【0003】
この際、脚柱間の連結を安定的に維持するために、それらの連結部分にロックピンを嵌通させて、その連結を拘束する連結拘束具が用いられる。この連結拘束具には種々の形態があり、例えば下記の特許文献に関連した記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−166695号公報
【特許文献2】特開平10−183990号公報
【特許文献3】特開2005−207535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、別々に製作された一対のロックピンとそれらを架橋する架橋片を結合した連結拘束具に関する記載がある。この連結拘束具は、複雑な形状のロックピンや架橋片を別々に製作した後に結合して製造されるため、製造コストが高い。
【0006】
特許文献2および特許文献3には、金属板を特有な形状に打抜き(または切断)した板片を、複雑に折曲げてロックピン等を形成した連結拘束具に関する記載がある。この連結拘束具は、板材の打抜形状が特有であるため材料歩留りが悪く、また、複雑な折曲げに多くの工数を要し、やはり製造コストが高い。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、脚柱同士の連結を確実に拘束できるのみならず、従来よりも低コストで製造できる連結拘束具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、短冊状の金属片の端部側を絞り加工してロックピンを形成した後、その中間側を曲げ加工することにより連結拘束具が容易に得られることを思いついた。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
【0009】
《連結拘束具》
(1)本発明の連結拘束具は、第一脚柱の端部にある筒状の第一連結部に設けられた一対の対向した第一係合孔と該第一脚柱に連結される該第二脚柱の端部にあり該第一連結部に外嵌される筒状の第二連結部に設けられ該第一係合孔に整合する一対の対向した第二係合孔とに嵌通され得る一対のロックピンと、該一対のロックピン間を架橋する架橋帯とを備え、該第一連結部に収容されて該第一脚柱と該第二脚柱の連結を拘束し得る連結拘束具であって、前記ロックピンは、金属製の帯状片の端部側凸状の突起であり、前記架橋帯は、曲げ形状を有する該帯状片の中央側であり、前記ロックピンは、円筒部と、該円筒部から該凸状の突起の先端側へ連なる嵌入誘導面と、該円筒部から該凸状の突起の先端側へ連なると共に該嵌入誘導面の両側に連なる解除誘導面とを備え、該嵌入誘導面は、前記第一連結部に前記第二連結部を嵌入する際に該第二連結部の内周端縁に摺接して該ロックピンを該第一連結部の内側へ退避誘導し、該解除誘導面は、前記第一係合孔と前記第二係合孔の拘束を解除する際に該第二係合孔の内周端縁に摺接して該ロックピンを該第一連結部の内側へ退避誘導することを特徴とする。
【0010】
(2)本発明の連結拘束具は、ロックピンを別部材として製作する必要も、複雑な打抜や折曲げをする必要もなく、金属製帯状片の塑性加工により非常に少ない工数で製造可能である。また、その帯状片も、金属板等を短冊状に切断等すれば得られるため、材料を無駄なく使用でき、特殊な打抜型等も不要である。このように本発明によれば、高い材料歩留りを確保しつつ、少ない工数で連結拘束具を製作でき、その製造コストを大幅に抑制できる。
【0011】
《その他》
本発明でいう「第一」または「第二」は、部材や各部に関する便宜的な呼称であり、適宜、それらを省略して呼称する。例えば、第一脚柱と第二脚柱を特に区別する必要がない場合は、それらの一方または両方を単に脚柱という。他部等についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る一実施例である連結拘束具を示す斜視図である。
図2】その連結拘束具と連結される第一脚柱および第二脚柱とを示す斜視図である。
図3A】第一脚柱に連結拘束具が装着された様子を示す断面図である。
図3B】連結拘束具が装着された第一脚柱に第二脚柱が連結されて拘束されている様子を示す断面図である。
図4】第一脚柱および第二脚柱に装着された連結拘束具のロックピン周辺を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で説明する内容は、本発明の連結拘束具のみならず、その製造方法にも適宜該当し得る。製造方法に関する構成要素は、プロダクトバイプロセスクレームとして理解すれば物に関する構成要素ともなり得る。そして上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
【0014】
《連結拘束具》
本発明の連結拘束具は、基本的に一対のロックピンと、その間を架橋する架橋帯からなる。この連結拘束具は金属製の帯状片を塑性加工してなる。特にロックピンは帯状片の絞り加工により得られ、架橋帯はその曲げ加工により得られる。以下、これらの実施形態について具体的に説明する。
【0015】
(1)帯状片
帯状片は、その材質を問わないが、高弾性、高(疲労)強度、高延性等を発揮する材質が好ましい。例えば、帯状片が高弾性材であると、連結拘束具を繰り返し使用しても、ロックピンは架橋帯によって脚柱の内周面側から外周面側へ付勢されて安定した突出状態を維持し得る。また、帯状片が高強度材であると、ロックピンは嵌通した脚柱の係合孔から受ける大きな剪断力にも耐え得る。さらに帯状片が高延性材であると、割れ等を生じることなく絞り加工を行え、高い加工性が得られる。このような材質として、例えば、炭素鋼、ばね鋼等の合金鋼、ステンレス鋼等がある。なお、帯状片は、塑性加工後に適当な熱処理が施されてもよい。
【0016】
帯状片の形状は問わない。短冊状(一方に長い長方形状)等の簡単な形状からなる帯状片を用いることにより、材料歩留りや加工性の向上を図れる。
【0017】
(2)ロックピン
ロックピンは、帯状片の端部付近を凸状に絞り加工して形成された突起である。この絞り加工を、帯状片の両端部の同じ面側から行うことにより、同方向に突出した一対のロックピンが形成される。この絞り加工後の帯状片を、そのロックピンの背面側が内側になるように曲げ加工すると、各ロックピンが外向きに突出した連結拘束具が得られる。
【0018】
本発明に係るロックピンは、その具体的な形態を問わないが、第一係合孔や第二係合孔への係合性(装着性)、係合孔に嵌通している際の姿勢安定性、係合孔からの解除性(抜け性)等に適した形状をしていると好ましい。
【0019】
例えば、ロックピンは、第一連結部に第二連結部を嵌入する際に第二連結部(開口端)の内周端縁に摺接してロックピンを第一連結部の内側へ退避誘導する嵌入誘導面(カム面)を、架橋帯の中央側に備えると好ましい。第二連結部が第一連結部へ嵌入される際、ロックピンは嵌入誘導面を介して自動的に一時退避し、その後に自動的に復帰して、第二係合孔へ自動的に嵌入され、第一脚柱と第二脚柱の連結がロック状態となる。なお、嵌入誘導面は、例えば、適度な勾配を有する平面や曲面により構成できる。その曲面は、第二連結部の内周端縁に沿った曲面であると好ましい。
【0020】
またロックピンは、第一係合孔と第二係合孔の拘束を解除する際に第二係合孔の内周端縁に摺接してロックピンを第一連結部の内側へ退避誘導する解除誘導面を、架橋帯の長手側に備えると好ましい。連結されていた第一脚柱と第二脚柱を分離する際、第二連結部を第一連結部に対して相対回転させると、ロックピンは解除誘導面(カム面)を介して自動的に退避し、その状態が維持される。こうして第一脚柱と第二脚柱のロック状態は解除され、両脚柱を容易に分離できる。なお、嵌入誘導面も、例えば、適度な勾配を有する平面や曲面により構成できる。その曲面は、第二係合孔の内周端縁に沿った曲面であると好ましい。また解除誘導面は、ロックピンの片側のみに設けても両側に設けてもよい。両側に設けると、第二連結部をどちらの方向に回転させても、連結拘束具による拘束を解除可能となる。
【0021】
(3)架橋帯
架橋帯は、ほぼ、ロックピン以外の帯状片の残部を曲げ加工してなる。この曲げ形状は、例えば、矩形状でも湾曲状でもよい。このような架橋帯の形状を適宜、略U字状という。例えば、架橋帯は、略中央に帯状片を湾曲させた湾曲部を有すると形状であるとよい。この湾曲部により架橋帯の可撓範囲が広くなる。また帯状片を湾曲状に曲げる方が、それを矩形状等に曲げるよりも、加工が容易で精度的な許容範囲も広い。
【0022】
さらに架橋帯に湾曲部を設けた場合、その湾曲部とロックピンの中間に帯状片を屈曲させた屈曲部を備えると好ましい。この屈曲部を設けることにより、屈曲部からロックピンに至る部分(この部分を「前延部」という。)は第一連結部の内周面に沿って、第一連結部の軸方向に延在するようになる。この結果、ロックピンはその軸方向に直交する方向(単に「軸直交方向」という。)へ安定した姿勢で付勢されるようになり、第一係合孔のみならず第二係合孔へも係合し易くなる。逆に、ロックピンが第一連結部内へ退避動する場合、屈曲部が支点となるためロックピンの動きは滑らかである。
【0023】
架橋帯は、さらに、ロックピンから帯状片の先端側へ延在し、第一係合孔および第二係合孔に嵌通しているロックピンの姿勢を安定させる先延部を有すると好ましい。先延部も前延部と同様に、第一連結部の内周面に沿って、その軸方向に延在した状態となる。このため、係合孔に嵌通しているロックピンに意図しない外力が作用した場合でも、ロックピンはその先延部により回転等が規制されて、軸直交方向の姿勢が安定的に保持される。この結果、連結拘束具は第一脚柱と第二脚柱の連結状態をより確実に拘束(ロック)し得る。
【0024】
《脚柱》
本発明に係る脚柱は、その具体的な形態を問わない。連結部は筒状(パイプ状)であるが、それに連なる本体部分は必ずしもパイプ状である必要はなく、また連結部の断面形状も円状には限らず方形状等でもよい。もっとも、通常は、全体(連結部および本体)が円管状となっていることが多い。
【0025】
第二連結部は第一連結部に外嵌されるから、第一連結部の外径は第二連結部の内径にほぼ等しいか、僅かに小さくなっている。第一脚柱と第二脚柱の本体が同径円筒状からなる場合なら、それよりも小径のジョイント管を第一脚柱の端部に固定して第一連結部とし、その第一連結部へ第二脚柱の端部(第二連結部)を嵌入して両者を連結すればよい。
【0026】
本発明に係る脚柱はその用途を問わないが、連結、分離が可能であるため、例えば建設現場の仮設足場等に適している。その他、暫定的に設置される種々の建築物(仮設ステージ、仮設テント等)にも利用できる。
【実施例】
【0027】
《連結拘束具》
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明に係る一実施例である連結拘束具3の斜視図を図1に示した。また、その連結拘束具3を第一脚柱1および第二脚柱2に装着する様子を図2図3Aおよび図3Bに示した。さらに、第一脚柱1および第二脚柱2に装着した連結拘束具3の一部を拡大した断面図を図4に示した。なお、第一脚柱1および第二脚柱2は、建設現場等で使用される仮設足場の支柱である。
【0028】
連結拘束具3は、ステンレス鋼板からなる短冊状の帯状片Wを冷間で塑性加工してなり、外向きに対向し突出した一対のロックピン31と、これらロックピン31間を架橋する架橋帯33とを備える。なお本明細書では、対称的な一対の部材や部分については、便宜上、その一方のみについて説明する。
【0029】
ロックピン31は、略有底円筒的な凸状をしている。具体的には、円筒部314と、円筒部314から外先端側へ連なる嵌入誘導面312と、円筒部314から外先端側へ連なると共に嵌入誘導面312の左右両側に連なる解除誘導面311と、円筒部314の下面側から外先端側へ連なる断面円弧状の拘束面313とからなる。なお、円筒部314の突き出し量は第一脚柱1に固定された第一連結部11の肉厚と同等程度となっている(図4参照)。
【0030】
架橋帯33は、中央部にある湾曲部330と、湾曲部330からロックピン31に至る途中に設けられた屈曲部332と、湾曲部330から屈曲部332までを繋ぐ開脚形状の脚部331と、屈曲部332からロックピン31を繋ぐ上下方向(軸方向)に延在した前延部333と、ロックピン31から帯状片Wの先端部まで上下方向に延在する先延部334とからなる。なお、架橋帯33は可撓性や復元性に富んだ弾性体となっている。
【0031】
《作用》
次に連結拘束具3の作用を説明する。連結拘束具3は、第一脚柱1の端部に設けられた第一連結部11内に縮幅されて挿入される(図2および図3A参照)。連結拘束具3の縮幅は、高弾性な脚部331を挟圧することにより行える。なお、第一脚柱1および第二脚柱2は、内外径が同一の円管状をしており、第一連結部11は、第一脚柱1および第二脚柱2の内周側に嵌入される円管状をしている。この第一連結部11は、第一脚柱1の端部に嵌合された状態で溶接で固定されている。第二脚柱2のうち、その第一連結部11に嵌合する部分を第二連結部21という。
【0032】
縮幅状態の連結拘束具3を第一連結部11内へ挿入していくと、ロックピン31が第一連結部11の第一係合孔111に到達したときに、ロックピン31が第一係合孔111に嵌通した状態となる。この際、連結拘束具3の前延部333および先延部334は第一連結部11の内周面に当接した状態となり、連結拘束具3が第一連結部11内に安定的に保持される(図3A参照)。その結果、第一係合孔111から軸直交方向へ突出したロックピン31の姿勢も安定化する。
【0033】
この状態の第一連結部11へ、第二脚柱2の第二連結部21を外嵌していくと、第二連結部21の開口端の内周端縁がロックピン31の嵌入誘導面312に当接し摺動する。この嵌入誘導面312は第二連結部21の進行方向に傾斜した斜面からなるため、第二連結部21の進行により、嵌入誘導面312には屈曲部332を支点とした内向きの回転力が作用する。これにより、ロックピン31はその回転により第二連結部21の内部へ退避動する。そして第二係合孔211の下端部分がロックピン31の拘束面313を通過すると、ロックピン31は復帰動し、ロックピン31は第二係合孔211へも嵌通するようになる(図3B参照)。こうして第一脚柱1と第二脚柱2が第一連結部11および第二連結部21により連結されると共に、その連結が連結拘束具3のロックピン31と第一係合孔111および第二係合孔211との係合により拘束(ロック)された状態となる。
【0034】
この際、第二連結部21の第二係合孔211は、軸直交方向に延在した拘束面313により上方への移動が確実に規制される。従って、その状態のままでは、第一脚柱1と第二脚柱2が容易に分離されることはない。しかも、第二係合孔211に上向き(第一脚柱1と第二脚柱2が分離する向き)の力が作用しても、先延部334が第一連結部11の内周面に当接する(さらには円筒部314が第一係合孔111に当接する)ことにより、ロックピン31の回転(図4でいうと左回転)が抑制され、ロックピン31の姿勢は安定的に維持される。従って、第一脚柱1と第二脚柱2の連結拘束状態は容易には解除されない。
【0035】
逆に、第一脚柱1と第二脚柱2の連結を解除する場合は、第二連結部21を右回りまたは左回りに回転させる。すると、第二係合孔211の内周端縁がロックピン31の解除誘導面311に当接して摺動する。解除誘導面311は、第二連結部21の回転方向に傾斜した斜面からなるため、第二連結部21の回転と共に解除誘導面311には内向きの回転力が作用し、ロックピン31はその回転力によって第二連結部21の内部へ退避動を開始する。そして第二係合孔211とロックピン31の係合がなくなるまで第二連結部21を回転させると、第二連結部21の内周面によりロックピン31は退避状態に保持される。こうして第一脚柱1と第二脚柱2は、ロックピン31による連結拘束状態が解除されて、分離可能となる。
【0036】
ところで、このようなロックピン31の絞り成形は、ロックピン31の内形状に沿ったポンチと、ロックピン31の外形状に沿ったキャビティを有するダイスを用いて、帯状片Wを加圧成形すれば容易に行える。架橋帯33の曲げ成形も、その内形状または外形状に沿った成形型を用いて帯状片Wを加圧成形すれば容易に行える。なお、ロックピン31の絞り加工と架橋帯33の曲げ加工の順序は問わないが、通常はロックピン31の絞り加工後に架橋帯33の曲げ加工を行うと効率的である。
【0037】
なお、各塑性加工は冷間状態で行うことができるが、温間状態または熱間状態で行ってもよい。また加工後に、適宜、各種の熱処理を施して、連結拘束具3の機械的特性や金属組織を調整してもよい。
【0038】
このように本発明の連結拘束具を用いれば、製造コストを抑制しつつ、脚柱間同士の連結および拘束を確実に行える。
【符号の説明】
【0039】
1 第一脚柱
11 第一連結部
111 第一係合孔
2 第二脚柱
21 第二連結部
211 第二係合孔
3 連結拘束具
31 ロックピン
33 架橋帯
330 湾曲部
332 屈曲部
334 先延部
W 帯状片
図1
図2
図3A
図3B
図4