特許第5912905号(P5912905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912905
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】ミスト浴装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/10 20060101AFI20160414BHJP
   F24D 15/00 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   A61H33/10 V
   F24D15/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-141135(P2012-141135)
(22)【出願日】2012年6月22日
(65)【公開番号】特開2014-4095(P2014-4095A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136696
【弁理士】
【氏名又は名称】時岡 恭平
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】向井 達哉
(72)【発明者】
【氏名】安平 幸司
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−071144(JP,A)
【文献】 特開2006−071142(JP,A)
【文献】 特開2000−271187(JP,A)
【文献】 特開2008−110022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/10
A61H 33/06
F24D 15/00
A47K 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井裏に設置されるケーシングと、前記ケーシング内に、内部給水管と、前記内部給水管を流れる水を加熱する加熱手段と、を備え、前記加熱手段により加熱された温水のミストを天井に形成された開口部を介して噴霧するミスト浴装置であって、
前記ケーシングは、一側方を前方とした場合に前方を向く正面壁と、前記正面壁の向かって左右一端側に隣接する一側壁と、を備え、
前記内部給水管には、外部給水管が接続される継手部が、前記内部給水管の上流端となる前方側の端部の結合部において前記内部給水管と着脱自在に設けられるとともに、前記内部給水管は、前記結合部の後方側に設けられ前記一側壁側に突出するフィルタ部を備え、前記内部給水管の前記継手部および前記フィルタ部が設けられた部分および前記結合部が前後に移動可能に形成され、
前記正面壁に前記内部給水管の上流端が挿通可能な正面孔が形成されるとともに、前記一側壁に前記フィルタ部が挿通可能な側壁孔が形成され、前記側壁孔の前後幅は、前記結合部を前記正面壁の後方から前記正面壁の前方に移動させたときに前記フィルタ部が前記側壁孔の中を移動可能な長寸に形成されることを特徴とするミスト浴装置。
【請求項2】
前記一側壁に、ビスからなる固着具が挿通され前後長さが前記固着具の径よりも長い固着具挿通孔が形成され、前記内部給水管に付随する部材に前記固着具が螺着する螺着孔が形成されることを特徴とする請求項1記載のミスト浴装置。
【請求項3】
前記固着具挿通孔に、該固着具挿通孔を挿通する前記固着具の前後の移動を規制する規制部が設けられることを特徴とする請求項2記載のミスト浴装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室等の天井裏に設置されるミスト浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室等の天井裏に設置され、温水のミストを天井に形成された開口部を介して浴室内に噴霧するミスト浴装置が利用されている(例えば特許文献1参照)。このミスト浴装置は、天井裏に設置されるケーシング内に内部給水管および加熱手段を備え、内部給水管には水道等の水源から水を供給する外部給水管が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−71142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなミスト浴装置は、内部給水管に、外部給水管と接続するための継手部やフィルタ部が接続されており、フィルタの取替えや、継手部や外部給水管の交換といったメンテナンス(点検を含む)が作業者により行われる。
【0005】
作業者は、このようなメンテナンスを行うにあたり、狭い天井裏にて作業を行っている。通常、天井裏は空間の上下高さが限られており、ミスト浴装置を上方より見たり上方で作業を行ったりすることが困難で、ミスト浴装置の一側方でのみの作業となる。しかしながら、従来のミスト浴装置においては、このようなフィルタの取替えや、継手部や外部給水管の交換といったメンテナンスを行うにあたり、内部給水管を容易に動かすことができないため、継手部とフィルタ部の連結箇所等の目視したい部分をケーシング外に引出すことができず、また、作業部位を作業者の方へ引き寄せたりすることもできず、メンテナンスが困難であった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、メンテナンスが容易に行えるミスト浴装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成とする。
【0008】
天井80裏に設置されるケーシング1と、前記ケーシング1内に、内部給水管2と、前記内部給水管2を流れる水を加熱する加熱手段30と、を備え、前記加熱手段30により加熱された温水のミストを天井80に形成された開口部83を介して噴霧するミスト浴装置3であって、前記ケーシング1は、一側方を前方Fとした場合に前方Fを向く正面壁11と、前記正面壁11の向かって左右一端側に隣接する一側壁12と、を備え、前記内部給水管2には、外部給水管が接続される継手部5が、前記内部給水管2の上流端となる前方側の端部の結合部において前記内部給水管2と着脱自在に設けられるとともに、前記内部給水管2は、前記結合部の後方側に設けられ前記一側壁12側に突出するフィルタ部60を備え、前記内部給水管2の前記継手部5および前記フィルタ部60が設けられた部分および前記結合部が前後に移動可能に形成され、前記正面壁11に前記内部給水管2の上流端が挿通可能な正面孔13が形成されるとともに、前記一側壁12に前記フィルタ部60が挿通可能な側壁孔14が形成され、前記側壁孔14の前後幅は、前記結合部を前記正面壁11の後方から前記正面壁11の前方に移動させたときに前記フィルタ部60が前記側壁孔14の中を移動可能な長寸に形成されることを特徴とする。
【0009】
これにより、フィルタ部60が側壁孔14を挿通したまま、内部給水管2を前方へ移動させることができて、容易に継手部5と内部給水管2との連結部である結合部における連結状態を目視で確認することが可能となり、作業が容易となるものである。
【0010】
また、前記一側壁12に、ビスからなる固着具17が挿通され前後長さが前記固着具17の径よりも長い固着具挿通孔15が形成され、前記内部給水管2に付随する部材に前記固着具17が螺着する螺着孔が形成されることが好ましい。
【0011】
これにより、固着具17が固着具挿通孔15を挿通したまま、内部給水管2を前方へ移動させることができて、作業が容易となるものである。
【0012】
また、前記固着具挿通孔15に、該固着具挿通孔15を挿通する前記固着具17の前後の移動を規制する規制部が設けられることが好ましい。
【0013】
これにより、固着具17が後方へ移動してしまうのを容易に防止することができ、作業者が自ら内部給水管2を保持する必要がなく、作業が容易となるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のミスト浴装置にあっては、メンテナンスが容易に行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のミスト浴装置の一実施形態の概略断面図である。
図2】同上のミスト浴装置の全体構成を説明する断面図である。
図3】同上のミスト浴装置が設置される浴室の全体斜視図である。
図4】同上のミスト浴装置の制御系を説明するブロック図である。
図5】同上のミスト浴装置の一部構成(ミスト用熱交換ユニットのケーシングの天板)を省略した斜視図である。
図6】同上のミスト浴装置の一部構成(ミスト用熱交換ユニットのケーシングの天板)を省略した平面図である。
図7】同上のミスト浴装置のミスト用熱交換ユニットのケーシングの斜視図である。
図8】同上のミスト浴装置のメンテナンス時における一部構成(ミスト用熱交換ユニットのケーシングの天板、制御ボックス)を省略した斜視図である。
図9】同上のミスト浴装置のメンテナンス時における一部構成(ミスト用熱交換ユニットのケーシングの天板)を省略した図8とは別の角度から見た斜視図である。
図10】同上のミスト浴装置のメンテナンス時における一部構成(ミスト用熱交換ユニットのケーシングの天板)を省略した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0017】
ミスト浴装置3は、温水のミストを噴霧するものであって、本実施形態では図3に示すように、ユニットバスのような浴室8に設置されるミスト機能付浴室暖房乾燥機(以下、単に「ミスト浴装置」という)である。このミスト浴装置3は浴室8内の暖房をしたり、浴室8内を換気したり、浴室8内を乾燥したり、浴室8内に干した洗濯物を乾燥したり、浴室8内に涼風を送風したり、浴室8内に温水のミストを噴霧してミスト浴をしたり、浴室8内に温水のミストを噴霧すると共に温風を吹き出してミストサウナ浴をしたりする機能を有する。なお、本発明におけるミスト浴装置3は、少なくとも温水のミストを噴霧する機能を有していればよい。
【0018】
このミスト浴装置3は、図3に示すように、浴槽81の上方の位置で浴室8の天井80に設置してある。ミスト浴装置3の本体となるケーシング1は天井80裏に設置してあり、吊り金具82にて天井スラブ等に吊り支持してあり、ケーシング1の下面を浴室8の天井80の開口部83に臨ませてある。天井80の下から開口部83を覆うようにグリル板31(図1参照)を配置してあり、グリル板31をケーシング1の下面側に取り付けてある。なお、ミスト浴装置3は、浴槽81が設置された浴室8の天井80ではなく、浴槽81が設置されていない部屋の天井80に設置されてもよい。
【0019】
ケーシング1は、ミスト浴装置3の外殻をなすもので、形状は特に限定されないが、本実施形態では、図1図2図5等に示すように、ミスト用熱交換ユニットのケーシング1aと、温風用熱交換ユニットのケーシング1bの二つのケーシングで構成される。
【0020】
温風用熱交換ユニットのケーシング1b内には、図2に示すように、温風用熱交換器32や送風機33を内装してある。この温風用熱交換器32は内部に温水を通すことで外部を流れる空気、つまり浴室8内に送り込まれる空気と温水とを熱交換して、空気を加熱するものである。この温風用熱交換器32はケーシング1bに配管した暖房用温水管路34の途中に配置してあり、暖房用温水管路34には給湯暖房機のような熱源機84(図3参照)から温水が供給されるようになっている。暖房用温水管路34の途中には温風用熱交換器32への温水の供給を開閉する熱動弁35を設けてあり、暖房用温水管路34の途中にはこの管路を流れる温水の温度を検出する暖房温水サーミスタ36を配置してある。
【0021】
送風機33には、図1に示すように、浴室8内空気を循環させる浴室内循環ファン33aと、浴室8内空気を外部へ排出する換気ファン33bとがある。図1中の符号33cは逆風止めである。またケーシング1bの下面側には浴室内循環ファン33aで送風される空気を吹き出す吹き出し口37を設けてあり、この吹き出し口37には可動ルーバー38を回転自在に装着してあり、可動ルーバー38を回転することにより吹き出し口37を開閉したり、吹き出し口37から吹き出す風向を変えることができるようになっている。グリル板31には浴室8内に空気を吸い込む吸い込み口39を設けてあり、この吸い込み口39の近傍に浴室温度サーミスタ40を配置してある。
【0022】
またミスト浴装置3には、ミスト浴の機能を持たせるためのミスト発生部を組み込んである。ミスト発生部のミストノズル21はグリル板31の部分に配置してあり、内部給水管2をミストノズル21に連通させてある。このミストノズル21としては、図2に示すように、2個のミストノズル21a、21bがあり、各ミストノズル21a、21bは0.5リットル/min程度の流量で温水のミストを噴霧するようになっている。ミストノズル21a、21bの手前には電磁弁のようなミスト開閉弁22a、22bを設けてあり、ミスト開閉弁22a、22bの開閉にてミストノズル21a、21bから選択的に温水のミストが開口部83を介して噴霧されるようになっている。2つのミストノズル21a、21bから温水のミストを噴霧すると、強のミスト量でミストを噴霧でき、一方のミストノズル21a又はミストノズル21bから温水のミストを噴霧すると、弱のミスト量で噴霧できるようになっている。
【0023】
ミスト用熱交換ユニットのケーシング1aに収容される内部給水管2には、例えば水道等の水源から水を供給する外部給水管(不図示)が接続されるもので、図5図6に示すように、その上流端となる結合部に外部給水管が接続される継手部5が設けられる。また、継手部5の後方側にはフィルタ部60を有するフィルタ流路部6が設けられ、その下流側に、内部給水管2に付随する部材として給水電磁弁7が設けられる。図6に示すように、継手部5とフィルタ流路部6、フィルタ流路部6と給水電磁弁7、給水電磁弁7と該給水電磁弁7から加熱手段30へ至る給水管24(内部給水管2の一部)とは、それぞれ連結手段20により連結される。連結手段20としては、例えばいわゆるクイックファスナが好適に用いられるが、特に限定されない。内部給水管2については後で詳述する。本実施形態では、継手部5、フィルタ流路部6、給水電磁弁7、給水電磁弁7から加熱手段30へ至る給水管24により、内部給水管2が構成されている。また、継手部5とフィルタ流路部6との間や、フィルタ流路部6と給水電磁弁7との間に、給水管が介在してもよく、またこの場合、介在する給水管と、継手部5やフィルタ流路部6や給水電磁弁7とが、クイックファスナー等の連結手段20により連結されてもよい。本実施形態では、継手部5とフィルタ流路部6との間に給水管が介在しておらず、フィルタ流路部6の上流端となる前端部が、継手部5が設けられる内部給水管2の結合部となっている。
【0024】
暖房用温水管路34には、図2に示すように、温風用熱交換器32と並列になるようにミスト加熱用管路41を設けてあり、このミスト加熱用管路41の途中にはミスト加熱用管路41を流れる温水の流れを制御する比例弁42を設けてある。またミスト加熱用管路41と内部給水管2との間には液―液熱交換器であるミスト用熱交換器30aを配置してあり、ミスト加熱用管路41を流れる温水で内部給水管2を流れるミスト用の水が加熱されるようになっている。内部給水管2におけるミスト用熱交換器30aとミスト開閉弁22a、22bとの間には、内部給水管2を流れる温水の温度を検出するミスト温度サーミスタ23を配置してある。本実施形態では、ミスト用熱交換器30aが内部給水管2を流れる水を加熱する加熱手段30を構成するが、加熱手段30としては熱交換器でなく電気ヒータ等、他の手段であってもよい。
【0025】
またミスト浴装置3は、図3に示すように、浴室8外の脱衣所に設けた操作器85や浴室8内に設けた操作器86にてリモコン操作されるようになっている。
【0026】
図4はミスト浴装置3の制御部43の一例を示している。制御部43には、メモリ44、演算回路45等が内蔵されている。上記操作器85や操作器86をリモコン操作することで制御部43にてミストを噴霧するなどの制御ができるようになっている。
【0027】
ケーシング1aは、図5に示すように、本実施形態では略矩形箱状をしたもので、一側方(「前方F」とする)を向く正面壁11と、正面壁11の向かって左右一端側(図5では左端側)に隣接する一側壁12と、を備えている。
【0028】
内部給水管2は、その上流端となる前方F側の端部の結合部に継手部5が設けられる。継手部5は、前方Fより、外部給水管が接続されるもので、前後を長手方向とする接続筒部51と、接続筒部51の後端部よりも外周に連設され、正面壁11の前面に取り付けられるフランジ部52と、を備えている。フランジ部52には、固着具挿通孔53(図8参照)が形成されており、ビス等の固着具54が固着具挿通孔53に挿通されて正面壁11に形成される螺着孔(不図示)に螺着されることで、継手部5が正面壁11に取り付けられる。接続筒部51の後端に内部給水管2が接続されており、接続筒部51の前端に外部給水管が着脱自在に接続されるようになっている。
【0029】
内部給水管2の継手部5よりも後方側にフィルタ流路部6が設けられる。フィルタ流路部6は、図6に示すように、内部給水管2の一部をなす本体管部61の側面から、一側壁12側にフィルタ部60が突設されて形成されている。フィルタ部60は、一側壁12側に突出する端部に開閉自在な蓋62が設けられており、この蓋62を開けて内部のフィルタを交換することができるようになっている。フィルタ部60から挿入されたフィルタが、本体管部61の内部に装填され、内部給水管2を流れる水の濾過が行われる。なお、フィルタ部60は、全体が蓋62となっていて、蓋62が一側壁12側に突出するものであってもよい。
【0030】
内部給水管2のフィルタ流路部6よりも後方側に給水電磁弁7が設けられている。この給水電磁弁7は、本実施形態では、一側壁12に取り付けられる(後述する)。
【0031】
内部給水管2は、少なくとも継手部5およびフィルタ部60が設けられた部分(これを「先端部2a」とし、本実施形態では給水電磁弁7が設けられた部分も含む)が前後に移動可能に形成される。本実施形態では、内部給水管2は平面視Z字状に形成されており、その基端部2bがケーシング1aの正面壁11と対向する背面壁16に固定されているミスト用熱交換器30aに取り付けられている。基端部2bよりも先端側が撓むことにより、先端部2aが前後に移動可能となっている。なお、先端部2aの前後の移動は、内部給水管2の撓みによるものの他、蛇腹部や他の手段によるものであってもよく、特に限定されない。また、ケーシング1aの正面壁11には、制御部43を収容した制御ボックス46が取り付けられる。
【0032】
ケーシング1aの正面壁11には、図5に示すように、内部給水管2の上流端となる前端部が挿通可能な正面孔13が形成されるもので、本実施形態では、正面壁11の一側壁12側の端部近傍に正面孔13が形成されている。
【0033】
ケーシング1aの一側壁12には、図5に示すように、フィルタ部60が挿通可能な側壁孔14が形成されるもので、本実施形態では、一側壁12の正面壁11側の部分に側壁孔14が形成されている。この側壁孔14は、その前後幅がフィルタ部60の前後幅よりも長く、継手部5の内部給水管2への結合部(本実施形態ではフィルタ流路部6との連結部)を正面壁11の後方から前方に移動させるときに、フィルタ部60が側壁孔14の中を移動可能な長寸に形成されるもので、本実施形態では前後方向を長手方向とする長孔により形成されているが、略正方形状や他の形状でもよく、形状は特に限定されない。
【0034】
更に本実施形態では、ケーシング1aの一側壁12に、給水電磁弁7を一側壁12に固定するためのビスからなる固着具17が挿通される固着具挿通孔15が形成されている。固着具挿通孔15は、一側壁12の側壁孔14よりも後方に、固着具17の径よりも前後長さが長い長孔として形成されている。給水電磁弁7には、対応する位置に固着具17が螺着する螺着孔(不図示)が形成されている。固着具17は、一側壁12の外方より固着具挿通孔15を介して給水電磁弁7の螺着孔に螺合され、固着具17が締結されることで、固着具17の頭部と給水電磁弁7とで一側壁12が挟持されて給水電磁弁7と一側壁12とが固定される。そして、固着具17による締結が緩められると、固着具17が長孔である固着具挿通孔15を前後に移動可能となるとともに、給水電磁弁7も前後に移動可能となる。
【0035】
通常時(すなわちミスト浴装置3の天井80への設置後、メンテナンス時以外の時)には、図5図7に示すように、内部給水管2の上流端の継手部5が正面孔13を介して正面壁11より前方Fに突出した状態で、フランジ部52が固着具54により正面壁11に固定されている。また、フィルタ部60は側壁孔14を介して一側壁12側に突出しており、この時、フィルタ部60は側壁孔14の後部(本実施形態では後端)に位置している。また、給水電磁弁7は固着具17により一側壁12に固定されており、この時、固着具17は固着具挿通孔15の後部(本実施形態では後端)に固定されている。
【0036】
メンテナンス時には、固着具54が外されることでフランジ部52が正面壁11から取り外されるとともに、固着具17が緩められることで給水電磁弁7の一側壁12への固定が外れる。これにより、内部給水管2の先端部2aが前後に移動可能となるもので、本実施形態では、内部給水管2の先端部2aの前後のストロークが約20mm確保されるように、側壁孔14と固着具挿通孔15が形成される。そして、作業者は、図8図10に示すように、内部給水管2の先端部2aを前方Fへ移動させて、連結手段20を外して継手部5とフィルタ流路部6との連結を解除し、継手部5の取替えや外部給水管の取替え、接続のし直しといった継手部5が関わるメンテナンスを行う。内部給水管2の先端部2aを前方へ移動させる際、フィルタ部60は側壁孔14を前方へ移動することができるとともに、固着具17は固着具挿通孔15を前方へ移動することができ、内部給水管2の先端部2aを前方へ移動の妨げとならない。
【0037】
その後、再び継手部5のフィルタ流路部6への連結や、継手部5と外部給水管の連結等を行い、その連結状態を目視で確認して、内部給水管2の先端部2aを後方へ移動させ、フィルタ部60は側壁孔14を後方へ移動する。そして、フランジ部52を固着具54により正面壁11に固定するとともに、固着具17により給水電磁弁7を一側壁12に固定する。
【0038】
このように、本発明においては、フィルタ部60が側壁孔14を挿通したまま、内部給水管2の先端部2aを前方へ移動させることができて、前方への移動が容易となる。このため、作業者は、容易に継手部5とフィルタ流路部6との連結状態を目視で確認することが可能となり、また、フィルタ部60内のフィルタの取替えや給水電磁弁7の取替えを行う場合にも、作業者側へ引き寄せることができるため作業が容易となる。
【0039】
また、本実施形態では、内部給水管2の先端部2aに付随する部材が給水電磁弁7であるが、他の部材であってもよく、内部給水管2に付随する部材は、内部給水管2の先端部2aに固定されて固着具17が螺着する螺着孔を有していればよい。
【0040】
また、固着具挿通孔15に、該固着具挿通孔15を挿通する固着具17の前後の移動を規制する規制部(不図示)が設けられてもよい。例えば、固着具挿通孔15を、直線状をした本体孔とその前端部から側方に係止孔を連設されてなる側面視L字状に形成し、係止孔を規制部としてもよい。これにより、固着具17を係止孔に位置させることで、固着具17が後方へ移動してしまうのを容易に防止することができ、作業者が自ら内部給水管2を保持する必要がなく、作業が容易となるものである。
【符号の説明】
【0041】
1 ケーシング
1a ミスト用熱交換ユニットのケーシング
1b 温風用熱交換ユニットのケーシング
11 正面壁
12 一側壁
13 正面孔
14 側壁孔
15 固着具挿通孔
16 背面壁
17 固着具
2 内部給水管
2a 先端部
2b 基端部
20 連結手段
21 ミストノズル
24 給水管
3 ミスト浴装置
30 加熱手段
37 吹き出し口
39 吸い込み口
41 ミスト加熱用管路
42 比例弁
5 継手部
51 接続筒部
52 フランジ部
53 固着具挿通孔
54 固着具
6 フィルタ流路部
60 フィルタ部
61 本体管部
62 蓋
7 給水電磁弁
8 浴室
80 天井
83 開口部
F 前方
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10