特許第5912931号(P5912931)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5912931気体処理装置用保持材、気体処理装置及びこれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912931
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】気体処理装置用保持材、気体処理装置及びこれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20160414BHJP
   D04H 1/413 20120101ALI20160414BHJP
   D04H 1/4209 20120101ALI20160414BHJP
   D06M 23/12 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   F01N3/28 311N
   D04H1/413
   D04H1/4209
   D06M23/12
【請求項の数】8
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-150532(P2012-150532)
(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公開番号】特開2014-12905(P2014-12905A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 絢也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 勇美
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 隆弘
【審査官】 斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−206421(JP,A)
【文献】 特開2002−173875(JP,A)
【文献】 特開2004−124722(JP,A)
【文献】 特開2001−279582(JP,A)
【文献】 特開2010−285717(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/016417(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/28
B01J 13/02 − 13/22
D04H 1/00 − 18/04
D06M 10/00 − 16/00
D06M 19/00 − 23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理構造体と、前記処理構造体を収容する金属製のケーシングとを備えた気体処理装置において、前記処理構造体と前記ケーシングとの間に配置される無機繊維製の保持材であって、
液体を内包するカプセル粒子を担持している
ことを特徴とする気体処理装置用保持材。
【請求項2】
処理構造体と、
前記処理構造体を収容する金属製のケーシングと、
前記処理構造体と前記ケーシングとの間に配置される無機繊維製の保持材と
を備えた気体処理装置であって、
前記ケーシングの内表面及び/又は前記保持材に、液体を内包するカプセル粒子を担持している
ことを特徴とする気体処理装置。
【請求項3】
処理構造体と、前記処理構造体を収容する金属製のケーシングとを備えた気体処理装置において、前記処理構造体と前記ケーシングとの間に配置される、無機繊維製の保持材を製造する方法であって、
前記保持材に、液体を内包するカプセル粒子を担持させることを含む
ことを特徴とする気体処理装置用保持材の製造方法。
【請求項4】
処理構造体と、
前記処理構造体を収容する金属製のケーシングと、
前記処理構造体と前記ケーシングとの間に配置される無機繊維製の保持材と
を備えた気体処理装置を製造する方法であって、
液体を内包するカプセル粒子を内表面に担持した前記ケーシング及び/又は前記カプセル粒子を担持した前記保持材を準備することと、
前記処理構造体と前記ケーシングとの間に前記保持材を配置することと
を含む
ことを特徴とする気体処理装置の製造方法。
【請求項5】
前記処理構造体と前記ケーシングとの間に前記保持材を配置する際に前記ケーシングと前記保持材との間で前記カプセル粒子を押圧することにより、又は前記処理構造体と前記ケーシングとの間に前記保持材を配置した後に前記カプセル粒子を加熱することにより、前記カプセル粒子を破壊することをさらに含む
ことを特徴とする請求項4に記載の気体処理装置の製造方法。
【請求項6】
前記処理構造体と前記ケーシングとの間に前記保持材を配置した後に前記カプセル粒子を加熱することにより、前記カプセル粒子を膨張させることをさらに含む
ことを特徴とする請求項4に記載の気体処理装置の製造方法。
【請求項7】
処理構造体と、
前記処理構造体を収容する金属製のケーシングと、
前記処理構造体と前記ケーシングとの間に配置される無機繊維製の保持材と
を備えた気体処理装置を製造する方法であって、
液体を内包するカプセル粒子をテーパ状の内表面に担持した筒状の治具を前記ケーシングの長手方向の一方端側に配置することと、
前記処理構造体の外周に配置された前記保持材を前記治具の前記内表面に沿って前記ケーシングの前記一方端に向けて移動させながら前記内表面と前記保持材との間で前記カプセル粒子を押圧することにより前記カプセル粒子を破壊することと、
破壊された前記カプセル粒子から漏洩した前記液体が外表面に塗布された前記保持材を前記治具の前記内表面に沿ってさらに移動させ前記一方端から前記ケーシング内に圧入することと、
を含む
ことを特徴とする気体処理装置の製造方法。
【請求項8】
請求項2に記載の気体処理装置を使用して、気体を処理する
ことを特徴とする気体処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体処理装置用保持材、気体処理装置及びこれらの製造方法に関し、特に、気体処理装置用保持材及び気体処理装置の特性の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、ガソリンエンジンの排気ガスに含まれる一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物等の有害物質を除去するための触媒コンバータや、ディールエンジンの排気ガスに含まれる粒子を除去するためのDPF(Diesel particulate filter)といった気体処理装置が備えられる。
【0003】
例えば、触媒コンバータとしては、筒状の触媒担体と、当該触媒担体を収容する筒状の金属製ケーシングと、当該触媒担体と当該ケーシングとの間に配置されるマット状の無機繊維製保持材と、を備えたものがある。このような触媒コンバータの保持材としては、従来、例えば、特許文献1において、少なくとも片面に液体潤滑剤が塗布されたアルミナ繊維製の耐熱性マットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−173875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、保持材の表面に液体を塗布する場合には、様々な不都合が生じ得る。すなわち、例えば、複数の保持材を製造する場合には、当該複数の保持材を積層して保管することがある。しかしながら、一方の表面にのみ液体を塗布した複数の保持材を製造する場合、当該複数の保持材を積層すると、各保持材の他方の表面が当該液体の転写により濡れてしまうといった不都合が生じる。
【0006】
また、例えば、保持材の表面に液体を塗布し、当該液体を乾燥させることなく、当該保持材をケーシング内に挿入することにより触媒コンバータを組み立てる場合には、当該液体の塗布を当該挿入の直前に行う必要がある。
【0007】
また、保持材及び触媒コンバータには、その特性や製造時の条件等について様々な要求があるが、従来、当該様々な要求に柔軟に対応できる保持材及び触媒コンバータを実現することは困難であった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであって、様々な要求に対応可能な気体処理装置用保持材、気体処理装置及びこれらの製造方法を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る気体処理装置用保持材は、処理構造体と、前記処理構造体を収容する金属製のケーシングとを備えた気体処理装置において、前記処理構造体と前記ケーシングとの間に配置される無機繊維製の保持材であって、液体を内包するカプセル粒子を担持していることを特徴とする。本発明によれば、様々な要求に対応可能な気体処理装置用保持材を提供することができる。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る気体処理装置は、処理構造体と、前記処理構造体を収容する金属製のケーシングと、前記処理構造体と前記ケーシングとの間に配置される無機繊維製の保持材とを備えた気体処理装置であって、前記ケーシングの内表面及び/又は前記保持材に、液体を内包するカプセル粒子を担持していることを特徴とする。本発明によれば、様々な要求に対応可能な気体処理装置を提供することができる。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る気体処理装置用保持材の製造方法は、処理構造体と、前記処理構造体を収容する金属製のケーシングとを備えた気体処理装置において、前記処理構造体と前記ケーシングとの間に配置される、無機繊維製の保持材を製造する方法であって、前記保持材に、液体を内包するカプセル粒子を担持させることを含むことを特徴とする。本発明によれば、様々な要求に対応可能な気体処理装置用保持材の製造方法を提供することができる。
【0012】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る気体処理装置の製造方法は、処理構造体と、前記処理構造体を収容する金属製のケーシングと、前記処理構造体と前記ケーシングとの間に配置される無機繊維製の保持材とを備えた気体処理装置を製造する方法であって、液体を内包するカプセル粒子を内表面に担持した前記ケーシング及び/又は前記カプセル粒子を担持した前記保持材を準備することと、前記処理構造体と前記ケーシングとの間に前記保持材を配置することとを含むことを特徴とする。本発明によれば、様々な要求に対応可能な気体処理装置の製造方法を提供することができる。
【0013】
また、前記気体処理装置の製造方法は、前記処理構造体と前記ケーシングとの間に前記保持材を配置する際に前記ケーシングと前記保持材との間で前記カプセル粒子を押圧することにより、又は前記処理構造体と前記ケーシングとの間に前記保持材を配置した後に前記カプセル粒子を加熱することにより、前記カプセル粒子を破壊することをさらに含むこととしてもよい。また、前記気体処理装置の製造方法は、前記処理構造体と前記ケーシングとの間に前記保持材を配置した後に前記カプセル粒子を加熱することにより、前記カプセル粒子を膨張させることをさらに含むこととしてもよい。
【0014】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る気体処理装置の製造方法は、処理構造体と、前記処理構造体を収容する金属製のケーシングと、前記処理構造体と前記ケーシングとの間に配置される無機繊維製の保持材とを備えた気体処理装置を製造する方法であって、液体を内包するカプセル粒子をテーパ状の内表面に担持した筒状の治具を前記ケーシングの長手方向の一方端側に配置することと、前記処理構造体の外周に配置された前記保持材を前記治具の前記内表面に沿って前記ケーシングの前記一方端に向けて移動させながら前記内表面と前記保持材との間で前記カプセル粒子を押圧することにより前記カプセル粒子を破壊することと、破壊された前記カプセル粒子から漏洩した前記液体が外表面に塗布された前記保持材を前記治具の前記内表面に沿ってさらに移動させ前記一方端から前記ケーシング内に圧入することと、を含むことを特徴とする。本発明によれば、様々な要求に対応可能な気体処理装置の製造方法を提供することができる。
【0015】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る気体処理装置は、前記いずれかの方法により製造されたことを特徴とする。本発明によれば、様々な要求に対応可能な気体処理装置を提供することができる。
【0016】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る気体処理方法は、前記気体処理装置を使用して、気体を処理することを特徴とする。本発明によれば、様々な要求に対応可能な気体処理装置を使用した気体処理方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、様々な要求に対応可能な気体処理装置用保持材、気体処理装置及びこれらの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る気体処理装置の一例を示す説明図である。
図2】本発明の一実施形態に係る気体処理装置を長手方向に切断した断面の一例を示す説明図である。
図3】本発明の一実施形態に係る気体処理装置を長手方向に直交する方向に切断した断面の一例を示す説明図である。
図4図3に示す一点鎖線IVで囲まれた気体処理装置の断面の一部の一例を拡大して示す説明図である。
図5】本発明の一実施形態に係るカプセル粒子の断面の一例を示す説明図である。
図6】本発明の一実施形態に係る保持材の一例を平面視で示す説明図である。
図7図6に示すVII−VII線で切断した保持材の断面の一例を示す説明図である。
図8図7に示す一点鎖線VIIIで囲まれた保持材の断面の一部の一例を拡大して示す説明図である。
図9図7に示す一点鎖線VIIIで囲まれた保持材の断面の一部の他の例を拡大して示す説明図である。
図10図7に示す一点鎖線Xで囲まれた保持材の断面の一部の一例を拡大して示す説明図である。
図11図6に示すVII−VII線で切断した保持材の断面の他の例を示す説明図である。
図12図11に示す一点鎖線XIIで囲まれた保持材の断面の一部の一例を拡大して示す説明図である。
図13A】本発明の一実施形態に係る気体処理装置の製造方法の一例において、治具を使用して処理構造体及び保持材をケーシング内に圧入する際に、当該治具内に当該処理構造体及び保持材を配置した様子を断面視で示す説明図である。
図13B】本発明の一実施形態に係る気体処理装置の製造方法の一例において、治具を使用して処理構造体及び保持材をケーシング内に挿入する様子を断面視で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は、本実施形態に限られるものではない。
【0020】
まず、本実施形態の概要について説明する。図1は、本実施形態に係る気体処理装置(以下、「本装置1」という。)の一例を示す説明図である。図1に示すように、本装置1は、処理構造体20と、当該処理構造体20を収容する金属製のケーシング30と、当該処理構造体20と当該ケーシング30との間に配置される無機繊維製の保持材10(本実施形態に係る気体処理装置用保持材)とを備えている。なお、図1においては、説明の便宜のため、ケーシング30の一部を省略して、当該ケーシング30に収容されている処理構造体20及び保持材10を露出させて示している。
【0021】
図2は、本装置1を長手方向(図1及び図2に示す矢印Xの指す方向)に切断した断面の一例を示す説明図である。なお、図1及び図2において矢印Xは、本装置1内を、処理の対象とする気体が流通する方向を示す。また、図3は、本装置1を長手方向に直交する方向に切断した断面の一例を示す説明図である。
【0022】
本装置1は、気体の浄化等、気体を処理するために使用される。すなわち、本装置1は、例えば、気体に含まれる有害物質及び/又は粒子を除去するために使用される。具体的に、本装置1は、例えば、排気ガスを浄化する排気ガス処理装置である。この場合、本装置1は、例えば、内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等)から排出される排気ガスに含まれる有害物質及び/又は粒子を除去するために、自動車等の車両に設けられる。
【0023】
すなわち、本装置1は、例えば、自動車等の車両において排気ガスに含まれる有害物質を除去するために使用される触媒コンバータである。また、本装置1は、例えば、ディールエンジンの排気ガスに含まれる粒子を除去するために使用されるDPFである。
【0024】
処理構造体20は、気体を処理する機能を有する構造体である。すなわち、本装置1が触媒コンバータである場合、処理構造体20は、気体を浄化するための触媒と、当該触媒を担持する担体とを有する触媒担持体である。触媒は、例えば、排気ガス等の気体に含まれる有害物質(一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物等)を除去するための触媒である。より具体的に、触媒は、例えば、貴金属触媒(例えば、白金触媒)等の金属触媒である。触媒を担持する担体は、例えば、無機材料(例えば、コージェライト等のセラミックス)製の筒状成形体(例えば、円筒状のハニカム状成形体)である。
【0025】
また、本装置1が、DPF等の気体に含まれる粒子を除去するための装置である場合には、処理構造体20は、当該気体中の当該粒子を捕捉する多孔質体(例えば、フィルター)を有する構造体である。この場合、処理構造体20は、触媒をさらに含むこととしてもよいし、触媒を含まないこととしてもよい。
【0026】
ケーシング30は、内部に処理構造体20を収容可能な空間が形成された金属製の筒状体である。ケーシング30を構成する金属は、特に限られないが、例えば、ステンレス、鉄及びアルミニウムからなる群より選択されることとしてもよい。
【0027】
ケーシング30は、例えば、本装置1の長手方向に沿って2つに分割可能な筒状体であることとしてもよく、分割されない一体型の筒状体であることとしてもよい。本実施形態で示す例において、ケーシング30は、一体型の筒状体である。
【0028】
保持材10は、処理構造体20をケーシング30内に保持するために使用される。すなわち、保持材10は、処理構造体20とケーシング30との間隙に圧入されることにより、当該処理構造体20を当該ケーシング30内に安定して保持する。
【0029】
保持材10には、例えば、本装置1において振動等により処理構造体20がケーシング30に衝突して破損することを回避するよう当該処理構造体20を安全に保持する機能と、未だ浄化されていない気体が当該処理構造体20とケーシング30との間隙から下流側に漏出しないよう当該間隙を封止する機能と、を兼ね備えることが要求される。また、本装置1内に排気ガス等の高温(例えば、200〜900℃)の気体が流通する場合、保持材10には、耐熱性及び断熱性を備えることが要求される。
【0030】
このため、保持材10は、無機繊維製の成形体である。すなわち、保持材10は、無機繊維を主成分として含む。具体的に、保持材10は、例えば、無機繊維を90質量%以上含む。
【0031】
無機繊維は、本装置1の使用(気体の処理)において劣化しない又は劣化しにくい無機繊維であれば特に限られないが、例えば、アルミナ繊維、ムライト繊維、アルミノシリケート繊維、シリカ繊維、溶解性無機繊維、ガラス繊維及びロックウールからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0032】
アルミナ繊維は、アルミナ(Al)を主成分とする非晶質繊維又は多結晶質繊維である。アルミナ繊維は、例えば、アルミナを70質量%以上含むこととしてもよい。アルミナ繊維におけるアルミナの含有量は、例えば、80質量%以上であることとしてもよく、90質量%以上であることとしてもよく、95質量%以上であることとしてもよい。
【0033】
ムライト繊維は、アルミナ(Al)及びシリカ(SiO)を主成分とする非晶質繊維又は多結晶質繊維である。ムライト繊維は、例えば、アルミナ(Al)及びシリカ(SiO)を合計で90質量%以上含むこととしてもよい。また、ムライト繊維は、例えば、アルミナ/シリカの質量比が70/30〜85/15であることとしてもよい。
【0034】
アルミノシリケート繊維は、アルミナ及びシリカを主成分とする非晶質繊維又は多結晶質繊維である。アルミノシリケート繊維は、例えば、アルミナ/シリカの質量比が60/40〜40/60であることとしてもよい。
【0035】
シリカ繊維は、シリカを主成分とする非晶質繊維又は多結晶質繊維である。シリカ繊維は、例えば、シリカを90質量%以上含むこととしてもよい。シリカ繊維におけるシリカの含有量は、例えば、93質量%以上であることとしてもよく、95質量%以上であることとしてもよい。
【0036】
溶解性無機繊維は、生体内での溶解性が付与された人造非晶質無機繊維である。この溶解性無機繊維は、生体内で分解される溶解性(分解性)を有する無機繊維であれば特に限られないが、例えば、40℃における生理食塩水中の溶解率が1%以上であり、1000℃で8時間加熱した場合の加熱収縮率が5%以下である無機繊維であることが好ましい。
【0037】
なお、溶解性無機繊維の生理食塩水の溶解率は、例えば、次のようにして測定することができる。すなわち、まず、溶解性無機繊維を200メッシュ以下に粉砕して調製された試料1g及び生理食塩水150mLを三角フラスコ(容積300mL)に入れ、40℃のインキュベーターに設置する。次に、三角フラスコに、毎分120回転で50時間水平振動を加え、濾過する。そして、濾液に含有されている元素をICP発光分析装置により定量する。この定量された元素含有量と、もとの試料の組成及び重量と、に基づいて当該試料から当該濾液中に溶出した元素量の割合(溶解による試料の重量減少率)を表す溶解度を求める。
【0038】
ガラス繊維は、石英ガラス等の無アルカリガラスを溶解し、牽引することによって繊維化した無機繊維である。ここで、ガラス繊維は、グラスファイバー、グラスウールとも称される。ガラス繊維としては、短繊維及び連続繊維(長繊維)のいずれを使用することとしてもよい。具体的に、ガラス繊維としては、例えば、SiOを52〜56質量%、Alを12〜16質量%、MgOを0〜5質量%、CaOを16〜25質量%、Bを5〜10質量%、NaO及び/又はKOを0〜1質量%、TiOを0〜1質量%含有するEガラス繊維や、SiOを62〜65質量%、Alを20〜25質量%、MgOを10〜15質量%、CaOを0〜1質量%、Bを0〜1質量%、NaO及び/又はKOを0〜1質量%、TiOを0〜1質量%含有するTガラス繊維、SiOを56〜62質量%、Alを9〜15質量%、MgOを0〜5質量%、CaOを17〜25質量%、Bを0〜1質量%、NaO及び/又はKOを0〜1質量%、TiOを0〜4質量%含有するNCRガラス繊維を使用することができる。
【0039】
ロックウールは、二酸化ケイ素(SiO)と、酸化カルシウム(CaO)とを主成分とした人造鉱物無機繊維である。ロックウールは、玄武岩、鉄炉スラグ等に石灰等を混合し、高温で溶解することにより生成される。ロックウールは、原料によっても相違するが、一般的に、SiOを35〜45質量%、Alを10〜20質量%、MgOを4〜8質量%、CaOを20〜40質量%、Feを0〜10質量%、MnOを0〜4質量%含有する。
【0040】
無機繊維(例えば、シリカ繊維、アルミノシリケート繊維)は、予め加熱処理(焼成処理)しておくこととしてもよい。無機繊維を予め加熱処理しておくことによって、当該無機繊維の耐熱性が向上する。具体的に、例えば、シリカ繊維は、ガラス繊維に酸処理を施すことによりアルカリ成分を取り除き、シリカ成分を高めたものであることとしてもよい。このような酸処理が施されたシリカ繊維を予め加熱処理しておくことによって、当該シリカ繊維の製造工程において上記酸処理により生成された微細な空隙が、当該シリカ繊維の熱収縮により埋められ、その耐熱性が向上する。
【0041】
無機繊維の平均繊維径は、例えば、2〜13μmであることが好ましい。保持材10は、無機繊維に加えて、バインダー(有機バインダー及び/又は無機バインダー)を含むこととしてもよく、バインダー及び/又は充填材(例えば、10〜70質量%のバーミキュライト)を含むこととしてもよい。
【0042】
保持材10の嵩密度は、当該保持材10が本装置1に組み込まれた状態(すなわち、当該保持材10が処理構造体20とケーシング30との間に圧入された状態)で所望の範囲となるように適宜設定されればよく、例えば、処理構造体20とケーシング30との隙間(ギャップ)の大きさに応じて適宜設定される。具体的に、ケーシング30内に挿入される前の保持材10の嵩密度は、例えば、0.15〜0.75g/cmであることとしてもよい。
【0043】
保持材10の形状は、処理構造体20をケーシング30内に保持できれば特に限られない。すなわち、保持材10は、例えば、板状体(フィルム、シート、ブランケット、マット等)であることとしてもよく、筒状体であることとしてもよい。
【0044】
なお、板状の保持材10の一方端と他方端とは嵌合可能な対応する形状に形成されることとしてもよい。すなわち、図1に示す例において、保持材10の一方端及び他方端は、対応する凸状及び凹状にそれぞれ形成されて、処理構造体20の外周に配置された当該保持材10の一方端と他方端とは嵌合されている。
【0045】
保持材10を構成する無機繊維製の成形体を製造する方法は、特に限られず、湿式法及び乾式法のいずれを使用することとしてもよい。すなわち、この成形体は、例えば、脱水成形により製造される。この場合、まず、所定の形状を有する脱水成形用型内に、保持材10を構成するための無機繊維と、有機バインダー(例えば、ゴム、水溶性有機高分子化合物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等)とを含む水性スラリーを流し込む。そして、脱水成形を行うことにより、型の形状に対応する形状の無機繊維製の成形体(湿式成形体)が得られる。さらに、この湿式成形体を、その嵩密度及び/又は坪量等の特性が所望の範囲となるように圧縮し、乾燥することにより、最終的に無機繊維製の成形体が得られる。
【0046】
また、保持材10を構成する無機繊維製の成形体は、例えば、集綿された無機繊維をニードル加工する乾式法により製造されることとしてもよい。すなわち、この場合、無機繊維製の成形体は、例えば、いわゆるブランケット、ニードルマット又は縫製マットとして製造される。
【0047】
そして、湿式法又は乾式法で製造された無機繊維製の成形体をそのまま保持材10として使用することとしてもよい。また、この無機繊維製の成形体に繊維シート(例えば、有機繊維及び/又は無機繊維の織布又は不織布)を積層することにより、当該無機繊維製の成形体と当該繊維シートとを有する保持材10を製造することとしてもよい。
【0048】
本装置1は、処理構造体20及び保持材10をケーシング30内に配置することにより組み立てられる。すなわち、例えば、まず、処理構造体20の外周に保持材10を配置して、当該処理構造体20及び保持材10を含む組立体を作製する。具体的に、保持材10が板状である場合には、当該保持材10を処理構造体20の外周に巻き付けることにより、組立体を作製する。また、保持材10が筒状である場合には、当該保持材10の内空に処理構造体20を挿入することにより、組立体を作製する。
【0049】
次いで、この組立体をケーシング30内に配置する。すなわち、ケーシング30が、分割可能でない一体型である場合には、当該ケーシング30の長手方向の一方端の開口部分から、当該ケーシング30内に組立体を圧入する(いわゆるスタッフィング方式)。このとき、処理構造体20は剛性の高い成形体であるため、当該処理構造体20とケーシング30との間に保持材10が圧入されることとなる。
【0050】
一方、ケーシング30が分割可能である場合、分割された当該ケーシング30の一部と他の一部とで組立体を挟み込み、次いで、当該ケーシング30を一体化する(いわゆるクラムシェル方式)。この場合も、処理構造体20とケーシング30との間に保持材10が圧入されることとなる。ケーシング30の一体化は、例えば、ボルト及びナット等の締付け部材の使用及び/又は溶接により行われる。
【0051】
そして、本実施形態に係る気体処理方法(以下、「本方法」という。)においては、上述したような本装置1を使用して、気体を処理する。すなわち、処理の対象となる気体を、本装置1の処理構造体20の内部に流通させることにより、当該気体を処理する。
【0052】
具体的に、図1及び図2に示す本装置1においては、矢印Xで示す方向に、排気ガス等の気体がケーシング30の一方端から流入し、当該気体は処理構造体20の内部を流通する間に浄化され、浄化された気体は当該ケーシング30の他方端から本装置1外に流出する。
【0053】
なお、自動車等の車両に配置された本装置1の一方端及び他方端には、排気ガス等の気体を上流側から本装置1に導く配管、及び浄化された気体を本装置1から下流側に導く配管がそれぞれ接続される。
【0054】
次に、本実施形態の詳細について説明する。図4は、図3に示す一点鎖線IVで囲まれた気体処理装置の断面の一部を拡大して示す説明図である。図5は、本実施形態に係るカプセル粒子40の断面の一例を示す説明図である。
【0055】
図4及び図5に示すように、本装置1において特徴的なことの一つは、本装置1が、ケーシング30の内表面31及び/又は保持材10に、液体41を内包するカプセル粒子40を担持していることである。
【0056】
カプセル粒子40は、図5に示すように、液体41と、当該液体41を内部に収容する殻42とを有する粒子である。液体41の種類、殻42を構成する材料の種類、当該液体41と当該殻42との組み合わせ等、カプセル粒子41の条件は、目的に応じて、それぞれ適宜決定される。
【0057】
液体41は、殻42内に密封可能な液体であれば特に限られない。液体41の具体的な例については、後に詳述する。殻42は、その内部に液体41を密封でき、且つ後述するように破壊可能及び/又は膨張可能であれば特に限られない。
【0058】
殻42を構成する材料は、特に限られず、有機化合物及び/又は無機化合物が使用される。有機化合物としては、例えば、有機高分子が好ましく使用される。有機高分子としては、例えば、樹脂及び/又はゼラチン系高分子が好ましく使用される。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂が使用される。具体的に、有機高分子は、例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、ゼラチン及びゼラチン−ゴムからなる群より選択される1種以上であることとしてもよい。
【0059】
カプセル粒子40を製造する方法は、特に限られず、例えば、公知の方法を使用することとしてもよい。すなわち、有機高分子製の殻42を有するカプセル粒子40は、例えば、液相中における化学的な重合法により製造されることとしてもよいし、いわゆるコアセルベーション法により製造されることとしてもよい。
【0060】
カプセル粒子40のサイズは、特に限られず、目的に応じて適宜決定されるが、例えば、当該カプセル粒子40の平均粒径は、1〜5000μmの範囲内であることとしてもよく、100〜1000μmの範囲内であることとしてもよい。なお、後述するようにカプセル粒子40を押圧により破壊する場合には、例えば、当該カプセル粒子40の殻42の厚さを低減することにより、当該カプセル粒子40をより破壊されやすいものとすることができる。また、例えば、保持材10を構成する繊維間隙を通過しにくい又は通過しない程度にカプセル粒子40のサイズを大きくすることにより、当該カプセル粒子40をより破壊されやすいものとすることもできる。
【0061】
カプセル粒子40の形状は、図5に示す例では球形となっているが、これに限られず、例えば、殻42の外表面及び/又は内表面に凹凸が形成されていてもよく、その他、いびつな形状であってもよい。
【0062】
本装置1において、カプセル粒子40は、ケーシング30の内表面31及び/又は保持材10に担持される。ケーシング30が、その内面31にカプセル粒子40を担持している場合、当該カプセル粒子40は、当該内面31の全体に担持されることとしてもよく、当該表面の一部に担持されることとしてもよい。
【0063】
保持材10がカプセル粒子40を担持している場合、当該カプセル粒子40は、当該保持材10の表面及び/又は内部に担持される。保持材10が、その表面にカプセル粒子40を担持する場合、当該カプセル粒子40は、当該表面の全体に担持されることとしてもよく、当該表面の一部に担持されることとしてもよい。
【0064】
ここで、図6は、保持材10の一例を平面視で示す説明図であり、図7は、図6に示すVII−VII線で切断した保持材の断面の一例を示す説明図である。また、図8及び図9は、図7に示す一点鎖線VIIIで囲まれた保持材の断面の一部の一例及び他の例をそれぞれ拡大して示す説明図であり、図10は、図7に示す一点鎖線Xで囲まれた保持材の断面の一部の一例を拡大して示す説明図である。また、図11は、図6に示すVII−VII線で切断した保持材の断面の他の例を示す説明図であり、図12は、図11に示す一点鎖線XIIで囲まれた保持材の断面の一部の一例を拡大して示す説明図である。
【0065】
カプセル粒子40は、例えば、図8に示すように、保持材10のケーシング30側の表面(外表面11)に担持されることとしてもよく、及び/又は、図10に示すように、当該保持材10の、本装置1に気体が流通する方向(図1及び図2に示す矢印Xが指す方向)における上流側の端面(上流側端面12)(図2も参照)に担持されることとしてもよい。なお、カプセル粒子40は、保持材10の他の表面の全体又は一部に担持されることとしてもよい。また、保持材10は、例えば、図9に示すように、その内部にカプセル粒子40を担持することとしてもよい。
【0066】
保持材10は、図11及び図12に示すように、無機繊維製の成形体からなる基部材10aと、当該基部材10aのケーシング30側に積層された繊維シートからなる表面部材10bとを有することとしてもよい。すなわち、図11及び図12に示す例において、保持材10は、基部材10aと、当該基部材10aのケーシング30側の表面(外表面11a)に積層された表面部材10bとを有している。
【0067】
この繊維シートは、有機繊維及び/又は無機繊維のシートである。繊維シートは、織布であってもよいし、不織布であってもよい。すなわち、繊維シートは、例えば、有機繊維製の織布又は不織布であることとしてもよい。有機繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)からなる群より選択される1種以上の繊維であることとしてもよい。
【0068】
なお、例えば、保持材10が、基部材10aと表面部材10b(例えば、有機繊維のシート)とを有することにより、当該保持材10を処理構造体20とケーシング30との間に圧入する際の当該保持材10とケーシング30との間の摩擦抵抗は、当該保持材10が当該表面部材10bを有しない場合(例えば、当該保持材10が当該基部材10aのみから構成される場合)に比べて低減されることとしてもよい。
【0069】
保持材10が上述したような基部材10a及び表面部材10bを有する場合、カプセル粒子40は、当該基部材10a及び/又は当該表面部材10bに担持される。すなわち、図12に示す例において、カプセル粒子40は、表面部材10bに担持されている。この場合、カプセル粒子40は、表面部材10bの表面(例えば、ケーシング30側の表面である外表面11b)及び/又は内部に担持される。また、カプセル粒子40は、基部材10aの表面(例えば、外表面11a)及び/又は内部に担持されることとしてもよい。
【0070】
カプセル粒子40をケーシング30の内表面31及び/又は保持材10に担持する方法は、特に限られず、目的に応じて適切な方法が採用される。すなわち、カプセル粒子40をケーシング30の内表面31に担持する場合、例えば、当該カプセル粒子40を含む分散液を当該内表面31に塗布して乾燥させることとしてもよく、当該カプセル粒子40の乾燥粉末を当該内表面31に塗布することとしてもよい。
【0071】
また、カプセル粒子40を担持する保持材10は、次のように当該保持材10に当該カプセル粒子40を担持させることを含む方法により製造される。すなわち、カプセル粒子40を保持材10の表面(例えば、外表面11及び/又は上流側端面12)に担持する場合、例えば、当該カプセル粒子40を含む分散液を当該保持材10の表面に塗布して乾燥させることとしてもよい。
【0072】
また、保持材10が上述したような基部材10a及び表面部材10bを有する場合、例えば、カプセル粒子40を含む分散液を当該表面部材10bが積層されていない当該基部材10aの外表面11a及び/又は当該基部材10aに積層された当該表面部材10bの外表面11bに塗布して乾燥させることとしてもよい。
【0073】
また、カプセル粒子40を保持材10の内部に担持する場合、例えば、湿式法において脱水に供されるスラリーに当該カプセル粒子40を添加することとしてもよいし、乾式法において集綿の過程で当該カプセル粒子40を添加することとしてもよい。
【0074】
本装置1の製造方法(以下、「本方法」という。)は、カプセル粒子40を内表面31に担持したケーシング30及び/又は当該カプセル粒子40を担持した保持材10を準備することと、処理構造体20と当該ケーシング30との間に当該保持材10を配置することとを含む。
【0075】
すなわち、本方法においては、ケーシング30の内表面31及び/又は保持材10に予めカプセル粒子40を担持しておき、次いで、当該ケーシング30内に処理構造体20及び当該保持材10を配置する
【0076】
また、本方法は、処理構造体20とケーシング30との間に保持材10を配置する際に当該保持材10と当該ケーシング30との間でカプセル粒子40を押圧することにより、又は当該処理構造体20と当該ケーシング30との間に当該保持材10を配置した後に当該カプセル粒子40を加熱することにより、当該カプセル粒子40を破壊することをさらに含むこととしてもよい。
【0077】
すなわち、この場合、本方法においては、ケーシング30の内表面31及び/又は保持材10に予めカプセル粒子40を担持しておき、次いで、当該ケーシング30の内表面31及び/又は当該保持材10において当該カプセル粒子40を破壊することにより、当該カプセル粒子40に内包されていた液体41を、当該ケーシング30の内表面31及び/又は当該保持材10に接触させる。
【0078】
具体的に、例えば、カプセル粒子40を内表面31に担持したケーシング30及び/又は当該カプセル粒子40を外表面11に担持した保持材10を準備し、処理構造体20と当該ケーシング30との間に当該保持材10を圧入する際に、当該ケーシング30と当該保持材10との間で当該カプセル粒子40を押圧することにより、当該カプセル粒子40を破壊し、当該カプセル粒子40から漏洩した液体41を当該内表面31及び当該外表面11に塗布し、当該内表面31及び当該外表面11に当該液体41が塗布された状態で、当該保持材10を当該処理構造体20と当該ケーシング30との間への圧入をさらに進めることとしてもよい。
【0079】
この場合、カプセル粒子40に内包されている液体41を、処理構造体20とケーシング30との間に保持材10を圧入する際の潤滑剤として利用する。すなわち、ケーシング30の内表面31及び保持材10の外表面11に、破壊されたカプセル粒子40から漏洩した液体41が塗布される結果、当該ケーシング30の内表面31と当該保持材10の外表面11との間の摩擦抵抗が低減される。したがって、処理構造体20とケーシング30との間への保持材10の圧入をスムーズに行うことができる。
【0080】
また、処理構造体20とケーシング30との間に保持材10を圧入する際に、当該保持材10を構成する無機繊維が破壊されることを効果的に防止することにより、本装置1における当該保持材10による保持力を効果的に高めることができる。
【0081】
したがって、例えば、保持材10の嵩密度を低減しつつ(すなわち、保持材10の製造に使用する無機繊維の量を低減しつつ)、本装置1において、従来と同等以上の保持力を発揮することができる。また、例えば、保持材10の嵩密度を低減することなく、本装置1において、従来より高い保持力を発揮することもできる。
【0082】
ここで、例えば、カプセル粒子40を使用することなく、その外表面11にのみ液体41が直接塗布された保持材10を複数製造する場合には、当該複数の保持材10を重ねて保管すると、当該液体41の転写により、当該保持材10の反対側の表面(処理構造体10側の表面)が濡れてしまうといった不都合が生じる。
【0083】
また、例えば、カプセル粒子40を使用することなく、ケーシング30の内表面31及び/又は保持材10の外表面11に液体41を直接塗布する場合には、当該液体41の乾燥を防止するため、処理構造体20と当該ケーシング30との間に当該保持材10を圧入する直前に当該液体41の塗布を行わなければならないといった制限がある。このため、ケーシング30内への保持材10の圧入を行う操作者が液体41の塗布を行う必要が生じる。
【0084】
これに対し、本発明においては、液体41を内包するカプセル粒子40を使用することにより、上述のような不都合を生じることなく、当該液体41を利用することができる。
【0085】
なお、潤滑剤として利用される液体41は、ケーシング30の内表面31及び保持材10の外表面11に塗布されることによって、当該ケーシング30の内表面31と当該保持材10の外表面11との間の摩擦抵抗を低減する液体であれば特に限られない。具体的に、液体41としては、例えば、水、界面活性剤を含有する水溶液、シリコーンオイル及び潤滑オイルからなる群より選択される1種以上を使用することとしてもよく、水又は界面活性剤を含有する水溶液を使用することが好ましい。
【0086】
また、例えば、カプセル粒子40内の液体41が、下記一般式(I)で表される構造単位を有する化合物(以下、「化合物I」という。)を含む場合には、当該カプセル粒子40を内表面31に担持したケーシング31及び/又は当該カプセル粒子40を外表面11に担持した保持材10を準備し、処理構造体20と当該ケーシング30との間に当該保持材10を配置する際に当該ケーシング30と当該保持材10との間で当該カプセル粒子40を押圧することにより、又は当該処理構造体20と当該ケーシング30との間に当該保持材10を配置した後に当該カプセル粒子40を加熱することにより、当該カプセル粒子40を破壊し、当該内表面31と当該外表面11との間に、当該内表面31と当該外表面11と接する、当該化合物Iを含む接着層を形成することとしてもよい。
【化1】
【0087】
なお、一般式(I)において、Rは独立に水素原子、炭素数が1〜5のアルキル基、炭素数が1〜5のアルコキシ基、フェニル基又はヒドロキシル基であり、nは1以上の整数である。複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。すなわち、1つのケイ素原子(Si)に結合する複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、異なるケイ素原子(Si)に結合する複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、一般式(I)において、nの上限値は、化合物Iを含む接着層を形成可能な範囲(例えば、当該化合物I又は当該化合物Iを含む液体41が塗布可能な流動性を有する範囲)であれば特に限られないが、nは、例えば、1〜2000の整数であることとしてもよい。
【0088】
この場合、カプセル粒子40に内包されている液体41を、ケーシング30と保持材10の間の摩擦抵抗を増大させる接着剤として利用する。すなわち、ケーシング30の内表面31及び保持材10の外表面11に、カプセル粒子40から漏洩した化合物Iを含む液体41が塗布される結果、本装置1において、当該内表面31と外表面11とは、当該化合物Iを含む接着層を介して接することとなる。
【0089】
そして、ケーシング30の内表面31と保持材10の外表面11とが化合物Iを含む接着層を介して接した状態で、当該接着層を加熱し、硬化させることにより、当該内表面31と当該外表面11とが接着される。
【0090】
具体的に、例えば、ケーシング30の内表面31及び保持材10の外表面11に、化合物Iを含む液体41(例えば、市販のテトラエトキシシラン(エチルシリケート)の平均5量体(エチルポリシリケート、n=4〜6(平均))をシリカ(SiO)換算で2質量%又は4質量%含む溶液(溶媒として水及びエタノールを含む)及び/又はシリコーンオイル)を塗布し、当該内表面31と当該外表面11とが当該化合物Iを含む接着層を介して接した状態で、当該接着層を加熱し、当該接着層を硬化させることにより、当該内表面31と当該外表面11とが効果的に接着される。したがって、本装置1において、ケーシング30の内表面31と保持材10の外表面11との間の摩擦抵抗を顕著に増大させることができる。
【0091】
なお、このような化合物Iによる接着効果が得られる機構は明らかではないが、例えば、エチルポリシリケートを使用した場合には、次のような化学反応が進行することが考えられる。すなわち、まず、エチルポリシリケートを含む水溶液においては、次のようなエチルポリシリケートの加水分解が起こることが推測される:Si(OC12(エチルポリシリケート(5量体))+12HO(水)→Si(OH)12(シラノール(5量体))+12COH(エチルアルコール)。
【0092】
さらに、加熱によって、次のようにシラノールからシリカが生成する化学反応が起こることも推測される:Si(OH)12(シラノール)→5SiO(シリカ)+6HO(水)。そして、ケーシング30の内表面31と保持材10の外表面11との境界において、このような化学反応が進行することにより、当該内表面31と当該外表面11との間の摩擦抵抗を増加させる効果が得られたと推測される。
【0093】
カプセル粒子40を破壊するために当該カプセル粒子40を加熱する温度は、当該カプセル粒子40が破壊される範囲であれば特に限られない。すなわち、例えば、カプセル粒子40の殻42が樹脂製である場合には、当該樹脂の融点又は分解温度以上の温度で当該カプセル粒子40を加熱することとしてもよい。
【0094】
また、カプセル粒子40を加熱する方法は、当該カプセル粒子40が破壊されれば特に限られない。すなわち、例えば、温度を所定の加熱温度に維持した雰囲気(例えば、電気炉)内で本装置1を加熱する方法、ケーシング30の溶接時の熱を利用する方法(例えば、溶接により、カプセル粒子40と接しているケーシング30の内表面31の温度が所定の加熱温度になる場合)、ヒータ等の加熱機器によってケーシング30を加熱する方法、又はカプセル粒子40が所定の加熱温度で加熱されるように本装置1の処理構造体20内に比較的高い温度(当該加熱温度以上の温度)の気体を流通させる方法(例えば、処理の対象となる気体(排気ガス等)を本装置1に流通させることとしてもよいし、当該気体とは異なる気体を流通させることとしてもよい)を使用することとしてもよい。
【0095】
ケーシング30の内表面31と保持材10の外表面11とを接着するために化合物Iを加熱する温度は、当該化合物Iを含む接着層が硬化する範囲であれば特に限られないが、例えば、150℃以上であることとしてもよく、250℃以上であることとしてもよく、350℃以上であることとしてもよく、450℃以上であることとしてもよく、500℃以上であることとしてもよい。
【0096】
化合物Iを加熱する温度の上限は、本装置1の性能が著しく損なわれない範囲であれば特に限られないが、当該加熱温度は、例えば、1000℃以下であることとしてもよく、900℃以下であることとしてもよい。なお、上述した加熱温度の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
【0097】
また、化合物Iは、例えば、下記一般式(II)で表される化合物(以下、「化合物II」という。)であることとしてもよい。
【化2】
【0098】
なお、一般式(II)において、Rは独立に水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基であり、nは1以上の整数である。
【0099】
この化合物IIは、例えば、次の一般式で表される化合物であるともいえる:Sin−1(OR2n+2(Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基であり、nは1以上の整数である。)。
【0100】
また、一般式(II)において、Rは独立に水素原子又は炭素数が1〜3のアルキル基であることとしてもよい。また、一般式(II)において、nは2以上の整数であることとしてもよい。nが2以上の整数である場合、化合物IIは、重縮合体であり、例えば、単量体に比べて揮発し難いという点で好ましい。
【0101】
一般式(II)において、nの上限値は、化合物IIを含む接着層を形成可能な範囲(例えば、当該化合物II又は当該化合物IIを含む液体41が塗布可能な流動性を有する範囲)であれば特に限られないが、nは、例えば、1〜1000の整数であることとしてもよく、1〜100の整数であることとしてもよい。化合物IIが重縮合体である場合、一般式(II)におけるnは、例えば、2〜1000の整数であることとしてもよく、2〜100の整数であることとしてもよい。
【0102】
一般式(II)において、複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。すなわち、1つのケイ素原子(Si)に酸素原子(O)を介して結合する複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、異なるケイ素原子(Si)に酸素原子(O)を介して結合する複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0103】
一般式(II)において、少なくとも1つのRが水素原子の場合、化合物IIは、シラノール又はその重合体(ポリシラノール)である。すなわち、一般式(II)において、一部のRが水素原子であり、他のRがアルキル基である場合、化合物IIは、アルコキシシラノール又はその重縮合体である。
【0104】
具体的に、化合物IIとしては、例えば、モノアルコキシシラノール又はその重縮合体、ジアルコキシシラノール又はその重縮合体及びトリアルコキシシラノール又はその重縮合体からなる群より選択される1種以上を使用することができる。アルコキシシラノールが複数のアルコキシ基を有する場合、当該複数のアルコキシ基は全て同一であってもよいし、一部のアルコキシ基と他のアルコキシ基とが異なっていてもよい。アルコキシシラノール又はその重縮合体は、後述するアルコキシシラン又はその重縮合体の加水分解により生成されたものであることとしてもよい。
【0105】
一般式(II)において、全てのRがアルキル基の場合、化合物IIは、アルコキシシラン(アルキルシリケート)又はその重縮合体(アルキルポリシリケート)である。すなわち、この場合、化合物IIは、テトラアルコキシシラン又はその重縮合体である。具体的に、化合物IIとしては、例えば、テトラメトキシシラン(メチルシリケート)又はその重縮合体(メチルポリシリケート)及びテトラエトキシシラン(エチルシリケート)又はその重縮合体(エチルポリシリケート)からなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0106】
液体41が、化合物IIを含む溶液である場合、当該液体41は、溶媒としてアルコールを含むことが好ましい。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等、炭素数が1〜3のアルコールを使用することが好ましい。また、液体41は、溶媒として水を含むこととしてもよい。
【0107】
アルコキシシラン又はその重縮合体である化合物IIと水とを含む液体41を使用する場合、当該アルコキシシラン又はその重縮合体に加えて、又は当該アルコキシシラン又はその重縮合体に代えて、当該アルコキシシラン又はその重縮合体の加水分解により生成されたアルコキシシラノール又はその重縮合体を含む接着層を形成することができる。ただし、アルコキシシラン又はその重縮合体の加水分解は、気相(例えば、大気)中の水の存在下でも可能である。また、アルコキシシラン又はその重縮合体の加水分解反応が起こる場合、通常、当該アルコキシシラン又はその重縮合体の重縮合反応も並行して起こる。
【0108】
液体41に含まれる化合物IIの濃度は、当該液体41の塗布に適した範囲で適宜決定されるが、例えば、SiO固形分換算で0.1〜50質量%であることが好ましく、SiO固形分換算で0.5〜20質量%であることがより好ましい。また、化合物IIを含む液体41をケーシング30の内表面31及び/又は保持材10の外表面11に塗布することにより形成された接着層は、ゲル状であることとしてもよい。
【0109】
また、化合物Iは、下記一般式(III)で表される化合物(以下、「化合物III」という。)であることとしてもよい。
【化3】
【0110】
なお、一般式(III)において、Rは独立に水素原子、炭素数が1〜5のアルキル基、炭素数が1〜5のアルコキシ基、フェニル基又はヒドロキシル基であり、Xは独立に水素原子、炭素数が1〜5のアルキル基、炭素数が6〜12のアリール基、炭素数が1〜5のアルコキシ基、フェニル基、ヒドロキシル基又は他の有機基であり、nは1以上の整数であり、mは1以上の整数である。複数のRは同一であってもよく、異なっていてもよい。すなわち、1つのケイ素原子(Si)に結合する複数のRは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なるケイ素原子(Si)に結合する複数のRは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0111】
一般式(III)において、Rは独立に水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基であることとしてもよい。複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは独立に水素原子、炭素数が1〜5のアルキル基、炭素数が6〜12のアリール基、ヒドロキシル基又は他の有機基であることとしてもよい。複数のXは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0112】
一般式(III)において、他の有機基は、化合物IIIによる効果を妨げるものでなければ特に限られず、例えば、アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基、アラルキル基、メルカプト基、カルボキシル基、メタクリル基及びフェノール基を挙げることができる。複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。複数の他の有機基は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0113】
一般式(III)において、n及びmの上限値は、化合物IIIを含む接着層を形成可能な範囲(例えば、当該化合物III又は当該化合物IIIを含む液体41が塗布可能な流動性を有する範囲)であれば特に限られないが、n及びmは、例えば、nとmとの合計が2〜2000の範囲となるような整数であることとしてもよい。nとmとの合計が2000以下である場合、化合物IIIは、ケーシング30の内表面31と保持材10の外表面11とのアンカー効果による強固な接着を実現するために適した流動性(比較的低い粘性)を有する液状とすることができる。一般式(III)において、上述したR、X、n及びmは任意に組み合わせることができる。
【0114】
また、化合物Iは、下記一般式(IV)で表される化合物(以下、「化合物IV」という。)であることとしてもよい。
【化4】
【0115】
なお、一般式(IV)において、Rは独立に水素原子、炭素数が1〜5のアルキル基炭素数が1〜5のアルコキシ基、フェニル基又はヒドロキシル基であり、nは1以上の整数である。一般式(IV)において、Rは独立に水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基であることとしてもよい。複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。すなわち、1つのケイ素原子(Si)に結合する複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、異なるケイ素原子(Si)に結合する複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。複数のRが全てアルキル基である場合、化合物IVは、ジアルキルポリシロキサンである。
【0116】
一般式(IV)において、nの上限値は、化合物IVを含む接着層を形成可能な範囲(例えば、当該化合物IV又は当該化合物IVを含む液体41が塗布可能な流動性を有する範囲)であれば特に限られないが、nは、例えば、1〜2000の整数であることとしてもよい。nが2000以下である場合、化合物IVは、ケーシング30の内表面31と保持材10の外表面11とのアンカー効果による強固な接着を実現するために適した流動性(比較的低い粘性)を有する液状とすることができる。
【0117】
また、化合物Iは、シリコーンオイルであることとしてもよい。すなわち、この場合、化合物Iは、上記一般式(I)で表される構造単位を有するシリコーンオイルである。ここで、一般式(I)において、nの上限値は、シリコーンオイルを含む接着層を形成可能な範囲(例えば、当該シリコーンオイル又は当該シリコーンオイルを含む液体41が塗布可能な流動性を有する範囲)であれば特に限られないが、nは、例えば、1〜2000の整数であることとしてもよい。シリコーンオイルは、例えば、上述の化合物III又は化合物IVであることとしてもよい。シリコーンオイルは、ケーシング30の内表面31と保持材10の外表面11とのアンカー効果による強固な接着を実現するために適した流動性(比較的低い粘性)を有する。なお、シリコーンオイルは、適切な溶媒(例えば、トルエン等の有機系溶媒)と混合することで希釈して使用することとしてもよい。
【0118】
また、例えば、保持材10の外表面11を構成する無機繊維が、溶解性繊維を含み、カプセル粒子40内の液体41が、当該溶解性繊維を溶解させるものである場合には、当該カプセル粒子40を内表面31に担持したケーシング31及び/又は当該カプセル粒子40を外表面11に担持した保持材10を準備し、処理構造体20と当該ケーシング30との間に当該保持材10を配置する際に当該ケーシング30と当該保持材10との間で当該カプセル粒子40を押圧することにより、又は当該処理構造体20と当該ケーシング30との間に当該保持材10を配置した後に当該カプセル粒子40を加熱することにより、当該カプセル粒子40を破壊し、当該外表面11を構成する当該溶解性繊維に、当該カプセル粒子40から漏洩した当該液体41を接触させ、当該溶解性繊維の一部を溶解し、当該外表面11と当該内表面31とを、当該溶解性繊維の溶解物を介して接着することとしてもよい。
【0119】
この場合、保持材10の外表面11を構成する溶解性繊維及びカプセル粒子40に内包されている液体41を、ケーシング30と保持材10の間の摩擦抵抗を増大させる接着剤として利用する。
【0120】
すなわち、ケーシング30の内表面31と保持材10の外表面11とが、溶解性繊維の溶解物を介して接した状態で、当該溶解物を冷却して固化させることにより、当該内表面31と当該外表面11とが接着される。なお、液体41は、溶解性繊維を溶解させるものであれば特に限られないが、例えば、水であることが好ましい。水としては、特に限られず、精製水や水道水を使用することとしてもよいし、生理食塩水を使用することとしてもよく、特に、生理食塩水を使用することが好ましい。
【0121】
また、例えば、カプセル粒子40内の液体41が、ケーシング30の内表面31と接触することにより当該内表面31の表面粗さを増大させる化合物を含む場合には、当該カプセル粒子40を内表面31に担持したケーシング31及び/又は当該カプセル粒子40を外表面11に担持した保持材10を準備し、処理構造体20と当該ケーシング30との間に当該保持材10を配置する際に当該保持材10と当該ケーシング30との間で当該カプセル粒子40を押圧することにより、又は当該処理構造体20と当該ケーシング30との間に当該保持材10を配置した後に当該カプセル粒子40を加熱することにより、当該カプセル粒子40を破壊し、当該内表面31に、当該カプセル粒子40から漏洩した当該液体を接触させ、当該内表面31の表面粗さを増大させる。
【0122】
すなわち、例えば、液体41が、ケーシング30の内表面31を構成する金属を腐食させる化合物を含む場合、当該液体41が当該内表面31に塗布されることにより、当該内表面31が腐食されて、当該内表面31の表面粗さが増大する。その結果、本装置1においては、ケーシング30の内表面31と保持材10の外表面11との間の摩擦抵抗が顕著に増大する。
【0123】
この場合、液体41は、ケーシング30の金属製の内表面31を腐食させる化合物を含むものであれば特に限られないが、例えば、酸(具体的に、例えば、酢酸、希硫酸及び希塩酸からなる群より選択される1種以上)及び塩素含有水溶液(例えば、塩化ナトリウム等の塩化物を溶解した水溶液)からなる群より選択される1種以上を含むこととしてもよい。
【0124】
また、例えば、液体41が、ケーシング30の内表面31において当該内表面31の表面粗さを増大させる固形物を形成する化合物を含む場合、当該液体41が当該内表面31に塗布され、当該内表面31に当該固形物が形成されることにより、当該内表面31の表面粗さが増大する。その結果、本装置1においては、ケーシング30の内表面31と保持材10の外表面11との間の摩擦抵抗が顕著に増大する。
【0125】
この場合、液体41は、ケーシング30の内表面31において当該内表面31の表面粗さを増大させる固形物を形成する化合物を含むものであれば特に限られないが、例えば、金属酸化物ゾル(例えば、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル及びジルコニアゾルからなる群より選択される1種以上)を含むこととしてもよい。この場合、例えば、ケーシング30の内表面31に塗布された液体41が乾燥することにより、当該内表面31に付着した金属酸化物の微粒子が形成され、当該内表面31の表面粗さが増大する。
【0126】
また、例えば、保持材10が、図11に示すように、無機繊維製の基部材10aと、有機繊維製の繊維シートから構成される表面部材10bとを有し、カプセル粒子40内の液体41が、当該表面部材10bを構成する当該有機繊維を溶解させるものである場合には、当該カプセル粒子40を内表面31に担持したケーシング31及び/又は当該カプセル粒子40を当該表面部材10b及び/又は基部材10a(例えば、当該基部材10aの外表面11a)に担持した保持材10(図12参照)を準備し、処理構造体20と当該ケーシング30との間に当該保持材10を配置する際に当該ケーシング30と当該保持材10との間で当該カプセル粒子40を押圧することにより、又は好ましくは当該処理構造体20と当該ケーシング30との間に当該保持材10を配置した後に当該カプセル粒子40を加熱することにより、当該カプセル粒子40を破壊し、当該表面部材10bを構成する当該有機繊維に、当該カプセル粒子40から漏洩した当該液体41を接触させ、当該有機繊維の一部を溶解し、当該表面部材10bに当該基部材10aを構成する当該無機繊維が露出する開口を形成することとしてもよい。
【0127】
この場合、保持材10の表面部材10bに形成された開口を介して、当該保持材10の基部材10aを構成する無機繊維とケーシング30の内表面31とを接触させることにより、当該開口が形成されていない場合に比べて、当該保持材10と当該ケーシング30との間の摩擦抵抗が増大する。
【0128】
すなわち、表面部材10bの外表面11bとケーシング30の内表面31との間の摩擦抵抗が、基部材10aの外表面11aと当該内表面31との間の摩擦抵抗より小さい場合には、保持材10が当該表面部材10bを有することにより、処理構造体20と当該ケーシング30との間に当該保持材10をスムーズに圧入することができ、且つ当該圧入後に当該表面部材10bに開口を形成して当該開口から当該基部材10aを露出させて当該内表面31と接触させることにより、当該保持材10と当該内表面31との摩擦抵抗を効果的に増大させることができる。
【0129】
なお、液体41は、表面部材10bを構成する有機繊維を溶解させるものであれば特に限られないが、例えば、酸(具体的に、例えば、酢酸、希硫酸及び希塩酸からなる群より選択される1種以上)を含むこととしてもよい。
【0130】
また、例えば、カプセル粒子40内の液体41が、保持材10の表面に含浸され硬化することにより当該表面を硬化するものである場合には、図10に示すように、当該カプセル粒子40を上流側端面12に担持した保持材10を準備し、処理構造体20とケーシング30との間に当該保持材10を配置した後に当該カプセル粒子40を加熱することにより、当該カプセル粒子40を破壊し、当該上流側端面12に、当該カプセル粒子から漏洩した当該液体41を塗布し、硬化させることとしてもよい。
【0131】
この場合、本装置1においては、保持材10の耐風食性が効果的に向上する。すなわち、例えば、本装置1を使用して気体を処理する場合において、当該気体が保持材10の上流側端面12に強く吹きつけられる場合には、当該上流側端面12が風食され、その結果、当該保持材10の特性が低下してしまうことがある。これに対し、上述のように、予め保持材10の上流側端面12を硬化させておくことにより、当該上流側端面12の風食が効果的に防止される。
【0132】
液体41は、保持材10の上流側端面12に塗布された後、硬化して、当該上流側端面12を硬化するものであれば特に限られず、例えば、上述した化合物I、化合物II、化合物III、化合物IV、無機バインダー(例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア及びマグネシアからなる群より選択される1種以上)及び窒化チタンからなる群より選択される1種以上を含むこととしてもよい。
【0133】
上流側端面12を硬化する方法は、使用される液体41の種類等の条件に応じて適宜決定されるが、例えば、液体41が、化合物I、化合物II、化合物III又は化合物IVを含む場合、上述したように、当該液体41が塗布された上流側端面12を加熱し、その後、冷却することにより、当該上流側端面12が硬化される。また、例えば、液体41が無機バインダーを含む場合、当該液体41が塗布された上流側端面12を乾燥させることにより、当該上流側端面12が硬化される。この場合、加熱により液体41を乾燥させることとしてもよい。
【0134】
また、本方法は、例えば、処理構造体20とケーシング30との間に保持材10を配置した後にカプセル粒子40を加熱することにより、当該カプセル粒子40を膨張させることをさらに含むこととしてもよい。
【0135】
すなわち、例えば、カプセル粒子40担持した保持材10を準備し、処理構造体20とケーシング30との間に当該保持材10を配置した後に当該カプセル粒子40を加熱することにより、当該カプセル粒子40に内包された液体41の気化を促進し、当該カプセル粒子40を膨張させ、膨張した当該カプセル粒子40を破壊することなく当該保持材10に保持する。
【0136】
この場合、保持材10においてカプセル粒子40を膨張させ、保持することにより、当該保持材10による保持力が効果的に増大する。すなわち、保持材10におけるカプセル粒子10の膨張により、当該保持材10による本装置1の径方向の押圧力、具体的には、ケーシング30を当該径方向外側に押す力、及び処理構造体20を当該径方向内側に押す力が効果的に高められる。
【0137】
なお、カプセル粒子40は、保持材10の表面及び/又は内部に担持されればよいが、例えば、図9に示すように、当該保持材10の少なくとも内部に担持されることが好ましい。
【0138】
カプセル粒子40を膨張させるために当該カプセル粒子40を加熱する温度は、液体41が気化し、殻42が膨張する範囲であれば特に限られず、当該液体41の種類及び/又は当該殻42を構成する材料の種類等の条件に応じて適宜決定される。
【0139】
すなわち、例えば、カプセル粒子40の殻42は樹脂製であり、当該樹脂の融点及び/又は分解温度は当該殻42内の液体41の沸点より高く、当該樹脂は当該沸点以上であって当該融点及び/又は当該分解温度より低い温度で伸長可能である場合には、当該カプセル粒子40を、当該液体41の沸点以上であって当該樹脂の融点及び/又は当該分解温度より低い温度で加熱する。
【0140】
カプセル粒子40の殻42を構成する樹脂は、伸長性のあるものであれば特に限らないが、例えば、ゴム弾性を示す樹脂であることとしてもよい。具体的に、この樹脂は、例えば、ゴム及び/又はエラストマー(例えば、熱可塑性エラストマー)からなる群より選択される1種以上であることとしてもよい。
【0141】
液体41は、その沸点がカプセル粒子40の加熱温度以下の低沸点物質であれば特に限られないが、例えば、沸点が300℃以下の炭化水素(例えば、炭素数が5〜15の炭化水素、より具体的に、例えば、炭素数が5〜15の直鎖状アルカン(ペンタン(C12)〜ペンタデカン(C1532))であることとしてもよい。
【0142】
また、保持材10が有機バインダーを含む場合、例えば、本装置1によって気体の処理を開始した際等、当該有機バインダーが、その融点及び/又は分解温度以上の温度で加熱されて流動化することにより、当該保持材10とケーシング30との間の摩擦抵抗が一時的に低下することがある。
【0143】
これに対し、例えば、カプセル粒子40の殻42を構成する樹脂の融点及び/又は分解温度が、保持材10の有機バインダーの融点及び/又は分解温度より高く、当該カプセル粒子40内の液体41の沸点が、当該有機バインダーの融点及び/又は分解温度以下である場合には、当該有機バインダーの融点及び/又は分解温度以上であって、当該樹脂の融点及び/又は分解温度より低い温度で当該カプセル粒子40を加熱し、当該カプセル粒子40を膨張させることによって、当該保持材10による保持力を増大させ、上述した当該有機バインダーの流動化に伴う保持力の低下を効果的に回避することができる。
【0144】
また、例えば、カプセル粒子40内の液体41が、保持材10に含まれる有機バインダーと接触することにより当該有機バインダーを分解するものである場合には、当該カプセル粒子40を内部に担持した保持材10を準備し、処理構造体20とケーシング30との間に当該保持材10を配置した後に当該カプセル粒子40を加熱することにより、当該カプセル粒子40を破壊し、当該保持材10の内部の有機バインダーに、当該カプセル粒子40から漏洩した当該液体41を接触させ、当該有機バインダーの少なくとも一部を分解することとしてもよい。
【0145】
この場合、有機バインダーの少なくとも一部を分解することにより、保持材10を構成する無機繊維間の当該有機バインダーによる拘束が解除され、当該無機繊維間の反発力によって、当該保持材10による保持力が増大する。
【0146】
液体41は、有機バインダーを分解するものであれば特に限られず、例えば、酸(具体的に、例えば、酢酸、希硫酸及び希塩酸からなる群より選択される1種以上)を含むこととしてもよい。
【0147】
また、例えば、カプセル粒子40として、互いに異なる種類の液体41を内包する複数種類のカプセル粒子40を使用することとしてもよい。すなわち、例えば、混合されることによって、所定の化学反応を開始する及び/又は所定の化学反応の進行を促進する、互いに異なる種類の液体41を内包する複数種類のカプセル粒子40を使用することとしてもよい。
【0148】
すなわち、例えば、第一の液体を内包する第一のカプセル粒子と、当該第一の液体と混合されることによって所定の化学反応を開始する及び/又は当該第一の液体による所定の化学反応の進行を促進する第二の液体を内包する第二のカプセル粒子とを使用することとしてもよい。なお、カプセル粒子40の種類は2種類に限られず、3種類以上のカプセル粒子40を使用することとしてもよい。
【0149】
このような場合、ケーシング30の内表面31及び/又は保持材10に、複数種類のカプセル粒子40を担持し、その後、上述したようなタイミング及び方法で、当該複数種類のカプセル粒子40を破壊することで、当該内表面31及び/又は当該保持材10において、当該カプセル粒子40から漏洩した複数種類の液体41を混合し、所定の化学反応を開始し、及び/又は所定の化学反応の進行を促進する。
【0150】
使用される複数種類の液体41の組み合わせは、特に限られず、目的に応じて適宜決定される。すなわち、例えば、上述した化合物I、化合物II、化合物III及び化合物IVからなる群より選択される1種以上の化合物を含む液体41を内包する第一のカプセル粒子40と、当該化合物の硬化反応(例えば、上述した加水分解反応)を促進する液体41(例えば、水)を内包する第二のカプセル粒子40とを使用することとしてもよい。
【0151】
また、例えば、複数種類の液体41は、混合されると、上述したケーシング30の内表面31と接触することにより当該内表面31の表面粗さを増大させる化合物(例えば、ケーシング30の内表面31を構成する金属を腐食させる化合物、及び/又は当該内表面31において当該内表面31の表面粗さを増大させる固形物を形成する化合物)を生成するものであることとしてもよい。
【0152】
具体的に、複数種類の液体41が、混合されることにより、ケーシング30の内表面31を構成する金属を腐食させる酸を生成するものである場合には、例えば、液体41として金属酸溶液を内包する第一のカプセル粒子40と、液体41としてクエン酸溶液を内包する第二のカプセル粒子40とを使用することとしてもよい。
【0153】
また、本方法においては、図13A及び図13Bに示すように、カプセル粒子40が担持された治具50を使用することとしてもよい。すなわち、本方法は、例えば、図13A及び図13Bに示すように、液体41を内包するカプセル粒子40をテーパ状の内表面51に担持した筒状の治具50をケーシング30の長手方向の一方端側に配置することと、処理構造体20の外周に配置された保持材10を当該治具50の当該内表面51に沿って当該ケーシング30の当該一方端に向けて移動させながら当該内表面51と当該保持材10との間で当該カプセル粒子40を押圧することにより当該カプセル粒子40を破壊することと、破壊された当該カプセル粒子40から漏洩した当該液体41が外表面11に塗布された当該保持材10を当該治具50の当該内表面51に沿ってさらに移動させ当該一方端から当該ケーシング30内に圧入することと、を含むこととしてもよい。
【0154】
すなわち、この場合、図13A及び図13Bに示すように、治具50は、その長手方向に沿って内径が減じられるテーパ状の筒状体である。治具50は、例えば、金属(例えば、ステンレス鋼)製である。この治具50の長手方向一方端の最小内径は、ケーシング30の内径と略同一(例えば、当該治具の最小内径は、当該ケーシング30の内径と同一又は当該ケーシング30の内径より僅かに小さい)となっている。治具50は、図13Aに示すように、その最小内径の長手方向一方端が、ケーシング30の長手方向一方端と対向するように配置される。なお、図1及び図2に示すようなテーパ状の両端部を有するケーシング30を備えた本装置1を製造する場合には、例えば、まず、図13A及び図13Bに示す当該テーパ状の両端部を有しないケーシング30に処理構造体20及び保持材10を挿入し、次いで、当該ケーシング30の長手方向両端に当該テーパ状の両端部を溶接等の手段にて取り付けることとしてもよい。
【0155】
ここで、治具50の内表面51(少なくとも最小内径の長手方向一方端の部分)には、カプセル粒子40が担持されている。カプセル粒子40に内包される液体41は、上述したように潤滑剤として利用できるものであれば特に限られない。治具50の内表面51にカプセル粒子40を担持する方法は、特に限られず、例えば、当該カプセル粒子40を含む分散液を当該内表面51に塗布して乾燥させることとしてもよく、当該カプセル粒子40の乾燥粉末を当該内表面51に塗布することとしてもよい。
【0156】
一方、処理構造体20の外径は、ケーシング30の内径及び治具50の最小内径より小さい。そして、保持材10は、治具50と処理構造体20との間、及びケーシング30と当該処理構造体20との間に配置されることとなる。ここで、ケーシング30に挿入される前の保持材10の厚さは、ケーシング30と処理構造体20との隙間及び治具50と当該処理構造体20との隙間より大きくなっている。
【0157】
したがって、図13Bに示すように、処理構造体20と当該処理構造体20の外周に配置された保持材10とを有する組立体を、治具50の内表面51に沿って、ケーシング30に向けて移動させると、当該保持材10は、まず、当該内表面51の最小内径の部分と当該処理構造体20との間で圧縮される。このとき、治具51の内表面51に担持されているカプセル粒子40は、当該内表面51と保持材10の外表面11との間で押圧され、破壊される。その結果、破壊されたカプセル粒子40から漏洩した液体41は、保持材10の外表面11(特に、ケーシング30側の圧縮されている部分)に塗布される。すなわち、保持材10の外表面11には、潤滑剤として作用する液体41が塗布される。
【0158】
したがって、この場合、図13Bに示すように、圧縮された保持材10を治具50の内表面51に沿ってさらに移動させ、ケーシング30内に圧入するにあたって、液体41の潤滑作用によって、当該内表面51と当該保持材10の外表面11との間の摩擦抵抗が効果的に低減され、処理構造体20と当該ケーシング30との間への当該保持材10の圧入をスムーズに行うことができる。
【0159】
また、この場合も、処理構造体20とケーシング30との間に保持材10を圧入する際に、当該保持材10を構成する無機繊維が破壊されることを効果的に防止することにより、本装置1における当該保持材10による保持力を効果的に高めることができる。
【符号の説明】
【0160】
1 気体処理装置、10 保持材、10a 基部材、10b 表面部材、11,11a,11b 外表面、12 上流側端面、20 処理構造体、21 外表面、30 ケーシング、31 内表面、40 カプセル粒子、41 液体、42 殻、50 治具、51 内表面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B