特許第5912951号(P5912951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912951
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置及び貨物自動車
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   B60P1/44 E
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-158043(P2012-158043)
(22)【出願日】2012年7月13日
(65)【公開番号】特開2014-19226(P2014-19226A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】山田 航
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 貴司
(72)【発明者】
【氏名】水谷 文昭
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4063617(JP,B2)
【文献】 特開2009−248893(JP,A)
【文献】 特開2011−121540(JP,A)
【文献】 特開昭52−073414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/44
F15B 11/00−11/22,21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物自動車に搭載される荷受台昇降装置であって、
荷物を積み下ろしする荷受台を駆動させるための荷受台駆動装置に作動油を供給するパワーユニットと、貨物自動車における前記荷受台以外の可動部分を駆動させる別種駆動装置に作動油を供給する弁機構部とを備え、
前記パワーユニットは、前記弁機構部に作動油を供給するための可撓性の油圧ホースを介して弁機構部に接続され、
前記パワーユニットは、前記荷受台とともに貨物自動車の前後方向に移動するよう構成され、
前記弁機構部は、該弁機構部の位置を前後方向で調節し得る架装部材を介して貨物自動車の車体側に固定されることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
架装部材は、前後方向を長手方向とする板状に形成され、その板面に前後方向に離間した取付用孔が形成され、選択された取付用孔にボルトが挿入されて弁機構部が架装部材に固定されている請求項1記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
弁機構部は、貨物自動車の車体フレームに載置固定された補強フレームに架装部材を介して固定されている請求項1又は請求項2記載の荷受台昇降装置。
【請求項4】
弁機構部は、車体フレームに載置固定されて車両前後方向に沿った複数の縦フレームと、該縦フレームに載置固定されて車両幅方向に沿った複数の横フレームとを備えた補強フレームの、前記横フレームに架装部材を介して固定されている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の荷受台昇降装置。
【請求項5】
油圧ホースの一部を保持する保持部材を備えている請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の荷受台昇降装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の荷受台昇降装置を備えたことを特徴とする貨物自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷受台昇降装置、及び荷受台昇降装置を備えた貨物自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
貨物自動車には、荷箱に左右一対の開閉可能な屋根(以下「ウィング」ともいう)が設けられたものがある。この貨物自動車(ウィング車)は、ウィングを開閉させるための屋根開閉装置(貨物用駆動部の一例)を備えている。また、貨物自動車には、荷受台昇降装置を備えたものがあり、荷受台昇降装置は、荷物を積み下ろしするための荷受台を駆動させる荷受台駆動装置(貨物用駆動部の一例)を備える。
【0003】
このような貨物自動車は、ウィングを開閉させるための屋根用アクチュエータ(油圧シリンダ)、荷受台を昇降させたり前後方向にスライドさせたりするための荷受台用アクチュエータ(油圧シリンダ)、そして、前記各アクチュエータに作動油を供給するためのパワーユニットを備える。
【0004】
特許文献1に係る発明は、従来の貨物自動車において荷受台駆動装置を搭載する場合、ウィング開閉用のパワーユニットの他に、別途、荷受台駆動装置駆動用のパワーユニットが必要であったという問題に対し、共通のパワーユニットを使用して油圧回路を簡素化したものである。
【0005】
この共通のパワーユニットには、可撓性の油圧ホースを介して弁機構部(バルブブロック)が接続されている。この弁機構部にさらに別の油圧ホースが接続されて、該油圧ホースが屋根用アクチュエータに接続されている。
【0006】
ところで、貨物自動車の車体フレームには、補強フレーム(根太)が載置されており、補強フレームは、前後方向(車長方向)に沿う複数本の縦フレームと、縦フレームに載置されて左右方向(車幅方向)に沿う複数本の横フレームとを備えている。
【0007】
共通のパワーユニットは、車体フレームに配置された荷受台駆動装置に取付けられており、荷受台用アクチュエータの駆動に伴って前後方向に移動する。前記荷箱は横フレームに架装されており、弁機構部は所定の横フレームに架装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4063617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記構成の貨物自動車において、弁機構部は横フレームに架装され、パワーユニットは荷受台用アクチュエータの駆動に伴って前後方向に移動する。従って、弁機構部とパワーユニットは、互いに前後方向に相対的に接近離間する構成となっている。また、貨物自動車によっては荷箱の高さが異なり、特に荷箱の高さを高い位置に設定するためには、縦フレームとして高さの高いものが用いられる。これによって、横フレームに載置される荷箱の高さが変更される。従って、弁機構部とパワーユニットとの間の上下方向の離間距離もまた、一定とは限らない。
【0010】
しかしながら、共通のパワーユニットと弁機構部とは、油圧ホースを介して接続されている。このため、その貨物自動車毎に適した長さの油圧ホースを設定したうえで、弁機構部を貨物自動車に架装しなければならないという煩わしさがあった。
【0011】
そこで本発明は、貨物自動車毎に適した長さの油圧ホースを準備する必要がなく、弁機構部の架装を容易に行い得る荷受台昇降装置及び貨物自動車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、貨物自動車に搭載される荷受台昇降装置であって、荷物を積み下ろしする荷受台を駆動させるための荷受台駆動装置に作動油を供給するパワーユニットと、貨物自動車における前記荷受台以外の可動部分を駆動させる別種駆動装置に作動油を供給する弁機構部とを備え、前記パワーユニットは、前記弁機構部に作動油を供給するための可撓性の油圧ホースを介して弁機構部に接続され、前記パワーユニットは、前記荷受台とともに貨物自動車の前後方向に移動するよう構成され、前記弁機構部は、該弁機構部の位置を前後方向で調節し得る架装部材を介して貨物自動車の車体側に固定されることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、貨物自動車の車体(荷箱)の高さが指定される場合や、パワーユニットの前後方向の移動量に応じて、弁機構部を、所定の長さに設定した油圧ホースの長さに過不足が発生しない架装部材上の架装位置に設置し、あるいは、架装部材そのものの架装位置が設定される。
【0014】
本発明の荷受台昇降装置では、架装部材は、前後方向を長手方向とする板状に形成され、その板面に前後方向に離間した取付用孔が形成され、選択された取付用孔にボルトが挿入されて弁機構部が架装部材に固定された構成を採用することができる。
【0015】
上記構成において、貨物自動車の車体(荷箱)の高さや、パワーユニットの前後方向の移動量に応じた取付用孔を選択し、その取付用孔にボルトを挿通することでそのボルトにより弁機構部が架装部材に架装される。
【0016】
本発明の荷受台昇降装置では、弁機構部は、貨物自動車の車体フレームに載置固定された補強フレームに架装部材を介して固定された構成を採用することができる。
【0017】
上記構成において、補強フレームの高さが指定されたとしても、弁機構部を、所定の長さに設定した油圧ホースの長さに過不足が発生しないよう、補強フレームに固定された架装部材上の架装位置に設置し、あるいは、補強フレームに対する架装部材そのものの架装位置を設定する。
【0018】
本発明の荷受台昇降装置では、弁機構部は、車体フレームに載置固定されて車両前後方向に沿った複数の縦フレームと、該縦フレームに載置固定されて車両幅方向に沿った複数の横フレームとを備えた補強フレームの、前記横フレームに架装部材を介して固定された構成を採用することができる。
【0019】
上記構成において、縦フレームの高さが指定されたとしても、弁機構部を、所定の長さに設定した油圧ホースの長さに過不足が発生しないよう、横フレームに固定された架装部材上の架装位置に設置し、あるいは、横フレームに対する架装部材そのものの架装位置を設定する。
【0020】
縦フレームは車両前後方向に長いため、その分だけ変形量(撓み量)が大きかったり、走行中のうねりが大きかったりするが、このような縦フレームに比べて、横フレームは変形量が小さく、弁機構部がこのような変形量の小さい横フレームに架装されることで、その機能低下や故障が抑えられる。
【0021】
本発明の荷受台昇降装置は、油圧ホースの一部を保持する保持部材を備えた構成を採用することができる。該構成によれば、油圧ホースは保持部材によって、不要な動きを与えることなく保持される。
【0022】
本発明の貨物自動車は、上記何れかに記載の荷受台昇降装置を備えたことを特徴としている。該構成の貨物自動車によれば、弁機構部の架装位置の設定が容易である。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、弁機構部は、該弁機構部の架装位置を前後方向で調節し得る架装部材を介して貨物自動車の車体側に架装されるから、貨物自動車の車体の高さが指定される場合や、パワーユニットの前後方向の移動量に応じて、弁機構部を、所定の長さに設定した油圧ホースの長さに過不足が発生しない架装部材上の架装位置に設置し、あるいは、架装部材そのものの架装位置を設定することで、貨物自動車毎に適した長さの油圧ホースを特に設定する必要がなく、また、弁機構部の架装を容易に行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る貨物自動車の、後方からの斜視図である。
図2】同荷受台駆動装置、パワーユニット、及びバルブブロックの配置を表す側面図である。
図3】同荷受台駆動装置、パワーユニット、及びバルブブロックの配置を表す平面図である。
図4】同荷受台駆動装置、パワーユニット、及びバルブブロックの配置を表す正面図である。
図5】同バルブブロックに架装部材を装着した状態の背面図である。
図6】同バルブブロックに架装部材を装着した状態の平面図である。
図7】同コルゲートチューブ内に纏められた可撓性の油圧ホースの一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。まず、本実施形態に係る貨物自動車の基本構成について説明する。図1は本実施形態に係る貨物自動車の後方からの斜視図である。図示の状態は、荷物を収納する荷箱Bの右ウィング(後方から見て右側の屋根)Waが開いて右側面から荷物の積み下ろしが可能な状態であり、さらに後扉Dが開放されて荷受台2を上昇させた状態である。
【0026】
本実施形態に係る貨物自動車である車両Vの荷箱Bの上部には、右ウィングWa及び左ウィングWbが屋根開閉装置により開閉可能に配設される。各ウィングWa,Wbは荷箱Bの上面を覆う天面部Wa1,Wb1と、天面部Wa1,Wb1における車幅方向左右端部から垂下する垂下部Wa2,Wb2を有する。
【0027】
車両Vは、荷受台昇降装置をさらに備え、荷受台昇降装置は、車体フレーム3の後端下方に格納式の荷受台2を駆動させる荷受台駆動装置1、荷受台2、パワーユニット8、バルブブロック(弁機構部)12、可撓性の油圧ホース13、架装部材17、油圧ホース13を保持する保持部材18を備える。
【0028】
なお、この車両Vには、前記屋根開閉装置及び荷受台駆動装置1以外に、当該車両Vが備える前記各装置以外の可動部分を動作させる別種の貨物用駆動部を備えていてもよい。あるいは、前記屋根開閉装置に代えて別種の貨物用駆動部を備えていてもよい。
【0029】
右ウィングWa及び左ウィングWbの開閉動作を行うための屋根開閉装置は、屋根用アクチュエータを備える。また、屋根開閉装置は、弁機構部であるバルブブロック12を備え、バルブブロック12は、荷受台駆動装置1と兼用の部材とされる。屋根用アクチュエータは、図1に示すように、荷箱Bの上部の前後に一対ずつ設けられた開閉用シリンダWS1,WS2により構成されている(図示は後方側のみ)。
【0030】
本実施形態では、アクチュエータとして以下の説明ではシリンダを用いているが、供給された作動油の油圧を機械的な駆動力に変換できる機構であれば、他の機構(例えば油圧モータ等)を用いても良い(荷受台駆動装置も同様)。
【0031】
各開閉用シリンダWS1,WS2は、シリンダ本体が荷箱Bに対して回動可能に取付けられており、ピストンロッドの先端部が各ウィングWa,Wbにおける天面部Wa1,Wb1と垂下部Wa2,Wb2との接続箇所付近に対して回動可能に取付けられている。そして、各ウィングWa,Wbは、天面部における車幅方向中央寄り端部にて荷箱Bに対して回動可能に取付けられている。
【0032】
図2には、荷受台駆動装置1の側面図が表されている。荷受台駆動装置1は、車両Vの車体フレーム3の後部に取付けられており、荷受台2を昇降させることにより車体フレーム3上の荷箱Bと地面との間で荷物の積み降ろしを行う。
【0033】
このために、荷受台駆動装置1は、車体フレーム3に取付けられる本体フレーム4と、荷物を載せる荷受台2と、この荷受台2を本体フレーム4に昇降自在として取付けている上アーム5及び下アーム6と、荷受台2を昇降及び前後移動させるアクチュエータ(後述のリフトシリンダ及びスライドシリンダ)と、これらアクチュエータの動作及び制御を行う動作用機器を、箱本体部7の内部に有したパワーユニット8とを備えている。本実施形態において、前記アクチュエータは油圧シリンダであり、前記動作用機器は、この油圧シリンダを動作させる油圧駆動装置(油圧回路)と、この油圧駆動装置の動作を制御する制御装置とからなる。
【0034】
荷受台駆動装置1は、荷受台2を荷箱Bの床下の格納位置に格納することができる。図2は、荷受台2を格納位置に格納した状態の側面図である。そして、この図2の状態は車両の走行可能状態である。荷受台2は、基部荷受台2Aと、これに対して折り返し(折り畳み)又は展開可能に連結された先部荷受台2Bとを備えている。積荷作業時では、先部荷受台2Bは車両後方へ展開され、荷受台2の上面には、基部荷受台2Aから先部荷受台2Bへ略真っ直ぐに連続した荷受面が構成される。一方、荷受台2を、荷箱Bの床下に格納する格納動作の際及び荷受台2が格納された状態では、先部荷受台2Bは基部荷受台2Aに対して前方へ折り返された状態にある。
【0035】
上アーム5及び下アーム6では、これらの基端部側の支点及び先端部側の作用点を結ぶ四角形が平行四辺形となる平行リンクLとして構成されている。この平行リンクLの先端側に、荷受台2が取付けられている。そして、リフトシリンダ9の伸縮動作により、平行リンクLの先端側を昇降動作させることができるよう構成されている。つまり、荷箱Bの後方において、荷受台2を荷箱Bの床Fに対応させる(つまり、荷箱Bの床面と同じ高さとする)上昇位置と、荷受台2を地面に接地させた接地位置との間を昇降させることができる。
【0036】
荷受台駆動装置1は、荷受台2を車両前後方向に移動させるためのスライドシリンダ(図視せず)を有している。スライドシリンダは、左右一対のレールの間に設けられており、車両前後方向に伸縮する。スライドシリンダが伸縮することによって、荷受台2をレール10に沿って前後方向に移動させることができる。このスライドシリンダにより、先部荷受台2Bが折り返し状態とされた荷受台2を、前後移動させることができ、荷受台2を車両前方側へ移動させることで荷受台2を格納位置とすることができる。
【0037】
荷受台駆動装置1は、その車両前方側端部に、支持部11を一体的に備え、この支持部11にパワーユニット8が架装されている。前述したように、パワーユニット8は、アクチュエータの動作及び制御を行うための動作用機器を、箱本体部7の内部に有している。なお、図示しないが、動作用機器は、ギヤポンプ、ギヤポンプを構成する一対のギヤを収容したギヤポンプ本体、ギヤポンプを駆動させるためのモータ、オイルタンクとこれらの駆動を制御する制御装置等である。そして、パワーユニット8およびバルブブロック12は、制御装置による制御のための電気配線で接続されている。
【0038】
例えば、パワーユニット8の箱本体部7には、作動油をリフトシリンダ9、スライドシリンダへ供給するポート、及び作動油をリフトシリンダ9、スライドシリンダから受ける(戻す)ポートが設けられている。バルブブロック12には、開閉用シリンダWS1,WS2の伸縮を切り換えるソレノイドバルブを内蔵するとともに、作動油をパワーユニット8から受けるポートP1とパワーユニット8に戻すポートP2、作動油を開閉用シリンダWS1に供給し、あるいは作動油を開閉用シリンダWS1から受けるポートP3、作動油を開閉用シリンダWS2に供給し、あるいは作動油を開閉用シリンダWS2から受けるポートP4が設けられている。また、パワーユニット8及びバルブブロック12は、可撓性の油圧ホース(以下、単に油圧ホースと称する)13を介して接続され、油圧ホース13によって作動油が遣り取りされる。
【0039】
油圧ホース13は、パワーユニット8からバルブブロック12へ、バルブブロック12からパワーユニット8へ作動油を供給、あるいは戻すよう、2本設けられている。図7に示すように、これら油圧ホース13はコルゲートチューブ14により一纏めにされている。なお、バルブブロック12内のソレノイドバルブをパワーユニット8の制御装置にて制御するようにし、パワーユニット8とバルブブロック12とを接続する電気配線をコルゲートチューブ14内に一纏めにしてよい。
【0040】
本実施形態の車両Vは、車体フレーム3に補強フレームを架装してなる。補強フレームは、車体フレーム3に架装されて車両前後方向に沿った複数の縦フレーム15と、縦フレーム15に架装されて、車両前後方向と直交する車両幅方向に沿った複数の横フレーム16とを備える。縦フレーム15は、車両幅方向に所定間隔置きに複数本配置され、各縦フレーム15には、型材が用いられている。これら縦フレーム15は同一高さを有する型材である。
【0041】
各横フレーム16には、型材(例えばチャンネル材)が用いられている。そして、バルブブロック12は、所定の横フレーム16に着脱自在な架装部材17を介して、該横フレーム16に架装されている。また、油圧ホース13を直線状に保持する保持部材18が設けられている。
【0042】
図3及び図4に示すように、架装部材17は、左右一対で設けられている。各架装部材17は、横フレーム16の下フランジ16aに、その下面から取付けられる。架装部材17は、車両前後方向を長手方向とする板状に形成されている。
【0043】
さらに具体的には、図4及び図5に示すように、各架装部材17は、横フレーム16の下フランジ16aに上ボルト・ナット19によって架装される上固定部20と、バルブブロック12の天板21の縁部に下ボルト・ナット22によって架装される下固定部23と、上固定部20及び下固定部23を一体に連設する傾斜部24とを備え、これによって架装部材17は断面略S形状、あるいは断面略Z形状に形成されている。
【0044】
特に、図3に示すように、下固定部23には、長手方向に所定間隔だけ離間した取付孔25が複数個形成されており、何れかの取付孔25が選択されて、その取付孔25に下ボルト・ナット22が取付けられることで、架装部材17上(下固定部23の裏面)で、バルブブロック12の、車両前後方向における架装位置を自由に設定することができる。
【0045】
バルブブロック12の天板21の車両幅方向両側が、それぞれ上記構成の架装部材17を介して横フレーム16の下フランジ16aに下方から架装されている。また、架装部材17は、車両前後方向に隣り合う横フレーム16に渡すようにして取付けられている。
【0046】
この架装部材17は、何れの横フレーム16を用いて取付けるかの選択が可能である。このため、各架装部材17の上固定部20には、横フレーム16のピッチに等しいピッチのボルト挿通孔が形成されている。なお、本実施形態では、バルブブロック12とパワーユニット8とは、荷受台2の格納位置において、上下方向で重なる位置に関係付けられている。
【0047】
図4に示すように、前記保持部材18は、ホースステーとも称され、車両前後方向を長手方向とした板状に形成されている。保持部材18は、バルブブロック12に対して車両後方側に配置され、架装部材17に沿うよう、車両前後方向に隣り合う横フレーム16に渡すようにして取付けられている。
【0048】
保持部材18は、横フレーム16の下フランジ16aの下面にボルト・ナット26により架装される上横板部27と、上横板部27の側端部から下方に向けて一体に垂下された垂下部28と、垂下部28から側方に向けて一体に延設されて上横板部27と上下方向で対向する下横板部29とから形成されている。
【0049】
保持部材18は、何れの横フレーム16を用いて取付けるかの選択が可能である。このため、保持部材18の上横板部27には、横フレーム16のピッチに等しいピッチのボルト挿通孔が形成されている。保持部材18は、選択された横フレーム16の下フランジ16aに、ボルト挿通孔用いてボルト・ナット26によって架装されている。
【0050】
本実施形態において、保持部材18の垂下部28に、油圧ホース13の長手方向途中部分を外嵌して保持するためのバンド状の保持金具30が取付けられている。保持金具30は、垂下部28における車両前後方向の2箇所に取付けられている。
【0051】
油圧ホース13では、各保持金具30によって保持部材18の垂下部28に保持された領域部分が、略直線状となる直線状領域部分13Aであり、直線状領域部分13Aに対する車両後方部分に、パワーユニット8側へ下方且つ車両前方側へ向けて湾曲する湾曲状領域部分13Bが形成される。油圧ホース13は、保持部材18によって、パワーユニット8が車両前後方向に移動しても、不要な動きを与えられることなく保持される。
【0052】
図4に示すように、荷受台駆動装置1に、油圧ホース13をパワーユニット8側で保持する保持体31が設けられている。保持体31は、荷受台駆動装置1の後部に設置された保持アングル32と、保持アングル32に設置されたバンド状の保持金具33とを備える。保持アングル32は車両前後方向に沿う板状の保持部34を備えている。保持部34はパワーユニット8の側方に配置され、保持金具33は保持部34に取付けられている。油圧ホース13では、パワーユニット8の側方で保持金具33に保持された部分が直線状領域部分とされている。
【0053】
上記構成において、例えば、パワーユニット8からスライドシリンダに作動油が供給されて、荷受台駆動装置1が、図2に示す荷受台2の格納位置から車両後方向けて移動する動作に伴って(図の仮想線参照)、パワーユニット8がバルブブロック12に対して車両後方側に離れるとする。そうすると、油圧ホース13は、その湾曲状領域部分13Bが直線状に変形する(湾曲状領域部分13Bの湾曲度合が変化する)ことで追従することができる。
【0054】
ところで、車両Vによっては、荷箱Bの床Fの高さ(地面からの高さ)が指定される場合がある。特に、荷箱Bの床Fの高さを、一般的な車両Vにおける荷箱Bの高さに比べて高い位置に設定するよう指定される場合では、指定された高さに応じた高さの縦フレーム15が用いられる。そうなると、バルブブロック12は横フレーム16に取付けられているから、用いられる縦フレーム15に応じてバルブブロック12の高さ位置(地面からの高さ)が変更され、パワーユニット8とバルブブロック12との上下方向での離間距離も変更される。
【0055】
このような場合では、バルブブロック12を図2と同じ架装位置(架装部材17の長手方向中間位置)に設置してあると、荷受台2の格納位置から、荷受台2を地面に接地させる接地位置とするために荷受台2を最も車両後方に移動させた状態までの移動距離によっては、油圧ホース13の長さ(特に、湾曲状領域部分13Bの長さ)が不足する場合が考えられる。そこで、前記移動距離やバルブブロック12の架装高さに応じて、架装部材17上でのバルブブロック12の架装位置が選択される。あるいは、架装部材17を取付ける横フレーム16が選択されることで、決められた長さの油圧ホース13を汎用させることができる。
【0056】
例えば、荷受台2の格納位置において、荷受台2の後端部と車両後端部との前後方向距離を一定とした場合、前記移動量が大きくなるということは、図2の架装位置にあるバルブブロック12に対して、パワーユニット8の架装位置が車両前方に位置することである。従って、このような場合では、架装部材17上でのバルブブロック12の架装位置を、図2の場合に比べて車両前方に配置させる。
【0057】
具体的には、架装部材17の下固定部23に形成された取付孔25のうち、車両前方側の取付孔25を選択して、その取付孔25に下ボルト・ナット22が取付けられることで、架装部材17上でのバルブブロック12の、車両前後方向における架装位置が設定される。このようにすることにより、異なる長さの油圧ホース13を用いることなく、過不足ない長さの油圧ホース13として、荷箱Bの床Fの高さが指定された車両Vに対応させることができる。
【0058】
あるいは、横フレーム16への架装部材17そのものの架装位置を変更することでも、異なる長さの油圧ホース13を特別に準備することなく、油圧ホース13を前記移動距離に対応させることが可能である。具体的には、架装すべき横フレーム16を選択して、該横フレーム16に架装部材17の上固定部20を上ボルト・ナット19によって架装する。このようにすることにより、架装部材17そのものの車両前後方向での架装位置を設定して、異なる長さの油圧ホース13を用いることなく、その車両Vに対応させることができる。
【0059】
あるいは、架装すべき横フレーム16を選択して、該横フレーム16に架装部材17の上固定部20を上ボルト・ナット19によって架装して、さらに、架装部材17の下固定部23に形成された取付孔25のうちの何れかを選択して、その取付孔25を用いて下ボルト・ナット22によってバルブブロック12の、車両前後方向における架装位置を微調節により設定することもできる。
【0060】
保持部材18は、架装部材17の架装位置に応じて、横フレーム16に架装され、油圧ホース13の直線状領域部分13Aを保持する。保持部材18は、その上横板部27を横フレーム16の下フランジ16aの下面にボルト・ナット26により架装することで、横フレーム16に架装される。この場合、保持部材18は、何れの横フレーム16を用いて取付けるかを選択して、保持部材18の上横板部27に形成されたボルト挿通孔を用いて、ボルト・ナット26によって架装される。
【0061】
なお、上記の説明は、バルブブロック12を車両前方に位置ずれさせる場合である。しかしながら、前記移動量やバルブブロック12の架装高さによっては、バルブブロック12を、図2に示す位置に対して、車両後方へ架装する場合があることは、勿論である。
【0062】
以上のように、本実施形態によれば、バルブブロック12の高さ方向における架装位置が指定されたとしても、バルブブロック12とパワーユニット8を接続する油圧ホース13として、異なる長さのものを用いることなく、その車両Vに対応させることができ、従って、車両V毎に異なる長さの油圧ホース13を準備する必要がなく、しかも車両Vへのバルブブロック12の架装を容易に行い得る。
【0063】
この種の車両Vにおいて、縦フレーム15は車両前後方向に長いため、その分だけ変形量(撓み量)も大きくなる。あるいは、走行中のうねりも大きくなる。このような縦フレーム15に比べて、横フレーム16は変形量が小さい。本実施形態では、バルブブロック12は、このような変形量の小さい横フレーム16に架装されることで、機能低下や故障が抑えられる。
【0064】
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態は、架装部材17を横フレーム16に着脱自在に設けた構成とし、また架装部材17の下固定部23に複数の取付孔25を形成した例で説明した。しかしながら、例えば、架装部材として、バルブブロック12を保持して車両前後方向へスライド可能な構成を採用することも考えられる。このような構成では、架装部材は、バルブブロック12を所定の位置に位置決めするための固定機構を備えた構成とする。
【符号の説明】
【0065】
1…荷受台駆動装置、2…荷受台、3…車体フレーム、7…箱本体部、8…パワーユニット、12…バルブブロック、13…油圧ホース、13A…直線状領域部分、13B…湾曲状領域部分、15…縦フレーム、16…横フレーム、16a…下フランジ、17…架装部材、18…保持部材、20…上固定部、21…天板、23…下固定部、24…傾斜部、27…上横板部、28…垂下部、29…下横板部、30…保持金具、B…荷箱、F…床、V…車両
図1
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図3
図4
図5
図6
図7