(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912975
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】作業機のマグネット装置
(51)【国際特許分類】
B66C 13/14 20060101AFI20160414BHJP
B66C 1/06 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
B66C13/14
B66C1/06 Z
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-170724(P2012-170724)
(22)【出願日】2012年8月1日
(65)【公開番号】特開2014-31224(P2014-31224A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】米田 敬
(72)【発明者】
【氏名】的場 信明
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健吾
【審査官】
筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−218548(JP,A)
【文献】
特開2000−120110(JP,A)
【文献】
特開平07−040822(JP,A)
【文献】
特表2005−504493(JP,A)
【文献】
特表2011−524157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00 − 3/20
B66C 13/14
H02K 9/00 −11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機の出力によりマグネットを励磁して荷の吸引・釈放作業を行う作業機のマグネット装置であって、
マグネット装置が、
発電機、発電機を駆動する油圧モータ、および油圧モータを制御するバルブブロックを一体化した発電装置と、
この発電装置のうち少なくとも発電機部分を、発電装置表面から隙間を隔ててトンネル状に囲う制御盤と、を備えている、
ことを特徴とする作業機のマグネット装置。
【請求項2】
制御盤の発電装置を囲う部分に冷却フィンを備え、
発電機に備えた冷却ファンの送風が発電装置と制御盤の隙間を通される、
ことを特徴とする請求項1記載の作業機のマグネット装置。
【請求項3】
制御盤が、発電装置を設置する基台の上に門型に形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の作業機のマグネット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機に装着され、スクラップなどを吸着、釈放するマグネットを有したマグネット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5を参照してマグネット装置を装着した作業機について説明する。この作業機は周知の油圧ショベルをベースにしたもので、油圧ショベル本体1に、作業腕であるフロントアタッチメント2を備え、フロントアタッチメント2の先端にスクラップなどを吸着、釈放するマグネット3を備えている。
【0003】
図4を参照してマグネット装置のシステム構成について説明する。マグネット装置は、マグネット3、作業機のエンジン4、エンジン4によって駆動されるマグネット用の油圧ポンプ5、油圧モータ6、油圧モータ6に供給する油圧を制御するためのバルブブロック7、および油圧モータ6によって駆動される発電機8を備えている。バルブブロック7は、電磁切換弁11、リリーフ弁12、チェック弁13、チェック弁14を備えている。
【0004】
マグネット装置はまた、発電機8から供給される電気を制御してマグネット3を励磁するための制御盤9、制御盤9の制御状態を監視するためのモニタ10、およびマグネット3を操作するマグネット操作スイッチ15を備えている。作業機は、機体コントローラ16およびアクセルダイヤル17を備えている。
【0005】
油圧ポンプ5から吐出される圧油は、バルブブロック7を介して油圧モータ6に供給され、発電機8が駆動される。発電機8によって交流電気が発電され、制御盤9に供給される。制御盤9は、交流電気を直流電気に変換して、マグネット操作スイッチ15の操作によってマグネット3を励磁、逆励磁、非励磁に切換え、スクラップを吸着、釈放する。
【0006】
このマグネット装置の、発電機を駆動するユニットである発電装置と制御盤は、分かれて作業機に搭載されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−62178号公報(
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の作業機のマグネット装置には、次のとおりの解決すべき課題がある。
【0009】
すなわち、マグネット装置が発電装置と制御盤に分かれて機体に搭載されているとともに、制御盤には電気機器を冷却するための冷却ファンを有した冷却室がありこの部分の容積が大きいために制御盤の形状が大きくなっている。したがって、特に油圧ショベルのような作業機に発電装置および制御盤を搭載するには、機体の改造が大掛かりなものになっている。
【0010】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、マグネット装置の発電装置および制御盤をコンパクトにまとめ、作業機への搭載が容易な、作業機のマグネット装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば上記技術的課題を解決する作業機のマグネット装置として、マグネット装置が、発電機
、発電機を駆動する油圧モータ
、および油圧モータを制御するバルブブロックを一体化した発電装置と、この発電装置
のうち少なくとも発電機部分を、発電装置表面から隙間を隔ててトンネル状に囲う制御盤と、を備えている、ことを特徴とする作業機のマグネット装置が提供される。
【0012】
好適には、制御盤の発電装置を囲う部分に冷却フィンを備え、発電機に備えた冷却ファンの送風が発電装置と制御盤の隙間を通される。
【0013】
また、制御盤が、発電装置を設置する基台の上に門型に形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に従って構成された作業機のマグネット装置は、発電機
、発電機を駆動する油圧モータ
、および油圧モータを制御するバルブブロックを一体化した発電装置と、この発電装置
のうち少なくとも発電機部分を、発電装置表面から隙間を隔ててトンネル状に囲う制御盤を備えている。したがって、マグネット装置の発電装置および制御盤をコンパクトにすることができ、また作業機への搭載が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に従って構成された作業機のマグネット装置の(a)は側面図、(b)は(a)の矢印A方向に見た正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に従って構成された作業機のマグネット装置について、好適実施形態を図示している添付図面、
図1〜
図3を参照して、さらに詳細に説明する。なお、
図4、
図5と実質上同一の部分は同一符号で示されている。
【0017】
全体を番号25で示すマグネット装置は、発電機26
、発電機26を駆動する油圧モータ6
、および油圧モータ6を制御するバルブブロック7を一体化した発電装置24と、この発電装置24
のうち少なくとも発電機26部分を、発電装置24表面から隙間を隔ててトンネル状に囲う制御盤27を備えている。
【0018】
発電機26には、一端に冷却ファン26aが備えられ、他端にカップリング21によって油圧モータ6が取付けられている。バルブブロック7は油圧モータ6に取付けられている。一体になった発電装置24は、基台23の上に発電機26が設置され取付けられている。
【0019】
制御盤27は、基台23の上に、一対の縦部およびそれぞれの上部を結ぶ天井部を有した門型に形成されている。門型の一方の開口部にはルーバーを備えた吸気孔28(
図2)が形成されている。発電機26の冷却ファン26aは、この吸気口28に面して位置付けられている。制御盤27の門型は、ほぼ発電機26を囲う長さに形成されている。油圧モータ6およびバルブブロック7は門型の他方の開口部の外に配置されている。
【0020】
主として
図3を参照して説明すると、制御盤27の発電
機26を囲う一対の縦部および天井部にはそれぞれ冷却フィンを27a、27b、27cが備えられている。発電機26は制御盤27に対向する部分に冷却フィン26bを備えている。冷却ファン26aによる送風は、発電
機26と制御盤27の隙間であるこの冷却フィン27a、27b、27cおよび26bの部分を通される。
【0021】
上述したとおりの作業機のマグネット装置の作用効果について説明する。
【0022】
マグネット装置25は、発電機26
、発電機26を駆動する油圧モータ6
、および油圧モータ6を制御するバルブブロック7を一体化した発電装置24と、この発電装置24
のうち少なくとも発電機26部分を、発電装置24表面から隙間を隔ててトンネル状に囲う制御盤27を備えている。したがって、一体化した発電装置24およびそれを囲う形態の制御盤27はマグネット装置25をコンパクトにすることができ、作業機への搭載も容易である。さらに発電装置24を囲う形態の制御盤27は放熱面積を大きくでき効果的に放熱することができる。
【0023】
そして、制御盤27の発電装置24を囲う部分に冷却フィン27a、27b、27cを備え、発電機26に備えた冷却ファン26aの送風が発電装置24と制御盤27の隙間を通される。したがって、発電機26の冷却ファン26aで発電機26と制御盤27を冷却するので、制御盤27の冷却ファンおよび冷却室が不要になり、装置全体をさらにコンパクトすることができる。
【0024】
さらに、制御盤27は、発電装置24を設置する基台23の上に門型に形成されているので、制御盤27をコンパクトに容易に製作することができるとともに、コンパクトなマグネット装置25の作業機への取付けは基台23を載置すればよいので、作業機の改造も少なくすることができる。
【符号の説明】
【0025】
3:マグネット
6:油圧モータ
7:バルブブロック
23:基台
24:発電装置
25:マグネット装置
26:発電機
26a:冷却ファン
26b:冷却フィン
27:制御盤
27a、27b、27c:冷却フィン