(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
<共重合体>
本発明の共重合体は、下記式(I)で表される重合開始剤を用いて共役ジエン化合物及び下記式(II)で表される化合物を重合させて得られる共重合体の活性末端に、下記式(III)で表される化合物、下記式(IV)で表される基を有する化合物及び下記式(V)で表される基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を反応させて得られ、重量平均分子量Mwが1.0×10
5〜2.5×10
6である。
【化17】
[式中、dは0又は1であり、R
1は炭素原子数1〜100のヒドロカルビレン基を表し、R
2及びR
3は、置換基を有してもよいヒドロカルビル基、又は、トリヒドロカルビルシリル基を表すか、あるいは、R
2とR
3とが結合して、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる原子群から選択される少なくとも1種の原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、Mはアルカリ金属原子を表す。]
【化18】
[式中、R
11は水素原子又はヒドロカルビル基を表し、mは0又は1であり、R
12はヒドロカルビレン基を表し、Aは置換アミノ基、又は、含窒素複素環基を表す。]
【化19】
[式中、R
21は、水素原子、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基を表す。nは、1〜10の整数を表し、A
1は、酸素原子又は−NR
22−基(R
22は、水素原子又は炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基を表す。)を表し、A
2は、窒素原子及び/又は酸素原子を有する官能基を表す。]
【化20】
[式中、pは0又は1の整数を表し、Tは、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビレン基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビレン基を表し、A
3は窒素原子を有する官能基を表す。]
【化21】
[式中、mは1〜11の整数を表し、A
4は窒素原子を有する官能基を表す。]
【0022】
上記共重合体をシリカとともに使用することで、上記共重合体に含まれる上記重合開始剤とシリカとの相互作用、上記式(II)で表される化合物とシリカとの相互作用、及び、末端変性剤とシリカとの相互作用により、シリカの分散性が向上するとともに、該共重合体の動きが拘束される。その結果、ヒステリシスロスが低減して低燃費性が改善され、かつ、ウェットグリップ性能も改善された空気入りタイヤを得ることができる。
また、上記共重合体は、開始末端、主鎖、停止末端のそれぞれを特定の化合物の組合せで変性しているため、改善効果(特に低燃費性の改善効果)が相乗的に向上し、低燃費性及びウェットグリップ性能を大きく改善できる。
【0023】
(重合開始剤)
本発明では、重合開始剤として、下記式(I)で表される化合物を使用する。
【化22】
[式中、dは0又は1であり、R
1は炭素原子数1〜100のヒドロカルビレン基を表し、R
2及びR
3は、置換基を有してもよいヒドロカルビル基、又は、トリヒドロカルビルシリル基を表すか、あるいは、R
2とR
3とが結合して、ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる原子群から選択される少なくとも1種の原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基を表し、Mはアルカリ金属原子を表す。]
【0024】
式(I)中のdは0又は1であり、好ましくは1である。
【0025】
式(I)中のR
1は、炭素原子数1〜100のヒドロカルビレン基であり、好ましくは炭素原子数6〜100のヒドロカルビレン基であり、より好ましくは炭素原子数7〜80のヒドロカルビレン基である。R
1の炭素原子数が100を超えると、重合開始剤の分子量が大きくなり、経済性及び重合時の操作性が低下することがある。
なお、式(I)で表される重合開始剤としては、R
1の炭素原子数が異なる化合物を複数種併用してもよい。
【0026】
式(I)中のR
1は、好ましくは下記式(Ia)で表される基である。
【化23】
[式中、R
4は共役ジエン化合物由来の構造単位及び/又は芳香族ビニル化合物由来の構造単位からなるヒドロカルビレン基を表し、nは1〜10の整数を表す。]
【0027】
式(Ia)中、R
4は共役ジエン化合物由来の構造単位及び/又は芳香族ビニル化合物由来の構造単位からなるヒドロカルビレン基を表し、好ましくはイソプレン由来の構造単位からなるヒドロカルビレン基であり、より好ましくはイソプレン由来の構造単位1〜10単位からなるヒドロカルビレン基である。
【0028】
R
4における共役ジエン化合物由来の構造単位及び/又は芳香族ビニル化合物由来の構造単位の数は、1〜10単位であることが好ましく、1〜5単位であることがより好ましい。
【0029】
式(Ia)中、nは1〜10の整数であり、好ましくは2〜4の整数である。
【0030】
R
1としては、イソプレン由来の構造単位1〜10単位とメチレン基とを結合させた基、イソプレン由来の構造単位1〜10単位とエチレン基とを結合させた基、イソプレン由来の構造単位1〜10単位とトリメチレン基とを結合させた基をあげることができ、好ましくはイソプレン由来の構造単位1〜10単位とトリメチレン基とを結合させた基である。
【0031】
式(I)中のR
2及びR
3は、置換基を有してもよいヒドロカルビル基、又は、トリヒドロカルビルシリル基を表すか、あるいは、R
2とR
3とが結合して、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子からなる群より選択される原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基を表す。
【0032】
置換基を有してもよいヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基である。置換ヒドロカルビル基における置換基としては、置換アミノ基又はヒドロカルビルオキシ基をあげることができる。ヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基などの鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの環状アルキル基;フェニル基、ベンジル基などのアリール基をあげることができ、好ましくは鎖状アルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜4の鎖状アルキル基である。置換基が置換アミノ基である置換ヒドロカルビル基としては、N,N−ジメチルアミノメチル基、2−N,N−ジメチルアミノエチル基、3−N,N−ジメチルアミノプロピル基をあげることができる。置換基がヒドロカルビルオキシ基である置換ヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基をあげることができる。これらの中では、ヒドロカルビル基が好ましく、炭素原子数1〜4の鎖状アルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。
【0033】
トリヒドロカルビルシリル基としては、トリメチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基をあげることができ、トリメチルシリル基が好ましい。
【0034】
ケイ素原子、窒素原子及び酸素原子からなる原子群より選択される少なくとも一種の原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基は、ヒドロカルビレン基、又は、ヘテロ原子がケイ素原子、窒素原子、酸素原子からなる原子群より選択される少なくとも一種の原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基である。ヘテロ原子がケイ素原子、窒素原子、酸素原子からなる原子群より選択される少なくとも一種の原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、ヘテロ原子がケイ素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基、ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基、ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基をあげることができる。ヒドロカルビレン基としては、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ペンタン−2−エン−1,5−ジイル基、2,2,4−トリメチルへキサン−1,6−ジイル基などのアルキレン基;ペンタン−2−エン−1,5−ジイル基などのアルケンジイル基をあげることができ、好ましくはアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数4〜7のアルキレン基である。ヘテロ原子がケイ素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−Si(CH
3)
2−CH
2−CH
2−Si(CH
3)
2−で表される基をあげることができる。ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH
2−CH
2−で表される基をあげることができる。ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−で表される基をあげることができる。これらの中では、ヒドロカルビレン基が好ましく、炭素原子数4〜7のアルキレン基がより好ましく、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基がさらに好ましい。
【0035】
R
2及びR
3はヒドロカルビル基であるか、R
2とR
3とが結合してヒドロカルビレン基であることが好ましく、炭素原子数1〜4の鎖状アルキル基であるか、結合して炭素原子数4〜7のアルキレン基であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることがさらに好ましい。
【0036】
式(I)中、Mはアルカリ金属原子を表す。アルカリ金属原子としては、Li、Na、K、Csをあげることができ、好ましくはLiである。
【0037】
式(I)で表される重合開始剤のうち、dが1である化合物としては、アミノアルキルリチウム化合物にイソプレン単位1〜5単位を重合させた化合物をあげることができる。当該アミノアルキルリチウム化合物としては、3−(N,N−ジメチルアミノ)−1−プロピルリチウム、3−(N,N−ジエチルアミノ)−1−プロピルリチウム、3−(N,N−ジ−n−ブチルアミノ)−1−プロピルリチウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ブチルリチウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)−1−ブチルリチウム、4−(N,N−ジ−n−プロピルアミノ)−1−ブチルリチウム,3−(N,N−ジ−n−ブチルアミノ)−1−ブチルリチウムなどのN,N−ジアルキルアミノアルキルリチウム;3−(1−ピロリジノ)−1−プロピルリチウム、3−(1−ピペリジノ)−1−プロピルリチウム、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)−1−プロピルリチウム、3−[1−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジノ)]−1−プロピルリチウムなどのヘテロ原子非含有環状アミノアルキルリチウム化合物;3−(1−モルホリノ)−1−プロピルリチウム、3−(1−イミダゾリル)−1−プロピルリチウム、3−(4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル)−1−プロピルリチウム、3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−1−プロピルリチウムなどのヘテロ原子含有環状アミノアルキルリチウム化合物をあげることができ、N,N−ジアルキルアミノアルキルリチウムが好ましく、3−(N,N−ジメチルアミノ)−1−プロピルリチウム又は3−(N,N−ジエチルアミノ)−1−プロピルリチウムがより好ましい。
【0038】
式(I)で表される重合開始剤のうち、dが0である化合物としては、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジヘキシルアミド、リチウムジヘプチルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチムジ−2−エチルヘキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムメチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミドなどが挙げられる。
【0039】
式(I)で表される重合開始剤のうち、dが0である化合物は、二級アミンとヒドロカルビルリチウム化合物から予備調製して重合反応に用いてもよいし、重合系中で生成させてもよい。ここで、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジイソブチルアミンなどの他、アザシクロヘプタン(即ち、ヘキサメチレンイミン)、2−(2−エチルヘキシル)ピロリジン、3−(2−プロピル)ピロリジン、3,5−ビス(2−エチルヘキシル)ピペリジン、4−フェニルピペリジン、7−デシル−1−アザシクロトリデカン、3,3−ジメチル−1−アザシクロテトラデカン、4−ドデシル−1−アザシクロオクタン、4−(2−フェニルブチル)−1−アザシクロオクタン、3−エチル−5−シクロヘキシル−1−アザシクロヘプタン、4−ヘキシル−1−アザシクロヘプタン、9−イソアミル−1−アザシクロヘプタデカン、2−メチル−1−アザシクロヘプタデセ−9−エン、3−イソブチル−1−アザシクロドデカン、2−メチル−7−t−ブチル−1−アザシクロドデカン、5−ノニル−1−アザシクロドデカン、8−(4−メチルフェニル)−5−ペンチル−3−アザビシクロ[5.4.0]ウンデカン、1−ブチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、8−エチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1−プロピル−3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、3−(t−ブチル)−7−アザビシクロ[4.3.0]ノナン、1,5,5−トリメチル−3−アザビシクロ[4.4.0]デカンなどの環状アミンが挙げられる。
【0040】
式(I)で表される重合開始剤としては、dが1である化合物が好ましく、N,N−アミノアルキルリチウムにイソプレン単位1〜5単位を重合させた化合物がより好ましく、3−(N,N−ジメチルアミノ)−1−プロピルリチウム又は3−(N,N−ジエチルアミノ)−1−プロピルリチウムにイソプレン単位1〜5単位を重合させた化合物が更に好ましい。
【0041】
上記共重合体において、式(I)で表される重合開始剤由来の構造単位の含有量は、低燃費性及びウェットグリップ性能をバランス良く高める観点から、重合体単位質量あたり、好ましくは、0.0001mmol/g重合体以上、より好ましくは0.001mmol/g重合体以上であり、好ましくは0.15mmol/g重合体以下、より好ましくは、0.1mmol/g重合体以下である。
【0042】
(モノマー成分)
本発明では、モノマー成分として、共役ジエン化合物と下記式(II)で表される化合物と、必要に応じて芳香族ビニル化合物とを使用する。
【化24】
[式中、R
11は水素原子又はヒドロカルビル基を表し、mは0又は1であり、R
12はヒドロカルビレン基を表し、Aは置換アミノ基、又は、含窒素複素環基を表す。]
【0043】
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン、ミルセンが挙げられ、これらは1種でもよく、2種以上でもよい。入手容易性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンであることが好ましい。
【0044】
上記共重合体における共役ジエン化合物の含有量は特に限定されず、他の成分の含有量に合わせて適宜調整すればよいが、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。上記範囲内であれば、本発明の効果が良好に得られる。
なお、上記共重合体における共役ジエン化合物の含有量は、後述する実施例の方法で測定できる。
【0045】
上記式(II)のR
11は水素原子又はヒドロカルビル基を表す。
【0046】
R
11のヒドロカルビル基としては、アルキル基、アルケニル基をあげることができる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基をあげることができ、好ましくはメチル基である。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基をあげることができ、好ましくはビニル基である。
【0047】
R
11として、好ましくは、水素原子、メチル基、ビニル基である。
【0048】
R
12のヒドロカルビレン基としては、アルキレン基、アリレーン基、アリレーン基とアルキレン基とが結合した基をあげることができる。
【0049】
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基をあげることができる。好ましくは、メチレン基又はエチレン基である。
【0050】
アリレーン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基をあげることができる。好ましくはフェニレン基である。
【0051】
アリレーン基とアルキレン基とが結合した基としては、フェニレン基とアルキレン基とが結合した基、ナフチレン基とアルキレン基とが結合した基、ビフェニレン基とアルキレン基とが結合した基をあげることができ、好ましくはフェニレン基とアルキレン基が結合した基である。
【0052】
また、アリレーン基とアルキレン基とが結合した基は、式(II)のR
11が結合している炭素原子に、アリレーン基の炭素原子が結合することが好ましい。
【0053】
フェニレン基とアルキレン基とが結合した基(フェニレン−アルキレン基)では、水素原子が除かれたベンゼン環上の炭素原子とアルキレン基が結合するフェニレン基との位置によって、パラ−フェニレン−アルキレン基(例えば、下式(IIa)で表される基。)、メタ−フェニレン−アルキレン基(例えば、下式(IIb)で表される基。)、オルト−フェニレン−アルキレン基(例えば、下式(IIc)で表される基。)をあげることができる。
【化25】
【化26】
【化27】
[式中、sは1〜10の整数を表す。]
【0054】
アリレーン基とアルキレン基とが結合した基としては、好ましくは、フェニレン基とアルキレン基とが結合した基であり、より好ましくは、上式(IIa)で表される基、上式(IIb)で表される基であり、更に好ましくは、パラ−フェニレン−メチレン基(s=1である式(IIa)で表される基)、メタ−フェニレン−メチレン基(s=1である式(IIb)で表される基)、パラ−フェニレン−エチレン基(s=2である式(IIa)で表される基)、メタ−フェニレン−エチレン基(s=2である式(IIb)で表される基)である。
【0055】
R
11が水素原子又はメチル基であり、mが1である場合、R
12は、好ましくは、アリレーン基とアルキレン基とが結合した基又はアリレーン基であり、より好ましくは、フェニレン基とアルキレン基とが結合した基又はフェニレン基であり、更に好ましくは、下記式(II−Y)で表される基であり、特に好ましくは、下記式(II−Ya)で表される基又は下記式(II−Yb)で表される基である。また、式中rは0〜5であり、好ましくは0〜2である。
【化28】
[式中、rは0〜5の整数を表し、rが1〜5の整数である場合、(CH
2)
rはベンゼン環上の置換基であり、(CH
2)
rがAと結合し、rが0である場合、(CH
2)
rはベンゼン環とAとの結合を表す。]
【化29】
【化30】
[式中、rは0〜5の整数を表し、rが1〜5の整数である場合、(CH
2)
rがAと結合し、rが0である場合、(CH
2)
rはベンゼン環とAとの結合を表す。]
【0056】
R
11がビニル基であり、mが1の場合、R
12は、好ましくはアルキレン基であり、より好ましくはメチレン基又はエチレン基である。
【0057】
Aは、置換アミノ基、又は、含窒素複素環基を表す。
【0058】
Aの置換アミノ基としては、好ましくは下記式(II−X)で表される基である。
【化31】
[式中、R
13及びR
14は、それぞれ、ヒドロカルビル基、又は、トリヒドロカルビルシリル基、あるいは、R
13とR
14とが結合して、窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基、又は、R
13とR
14は1つの基であって、窒素原子に二重結合で結合する基を表す。]
【0059】
R
13及びR
14のヒドロカルビル基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基をあげることができる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基をあげることができる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基をあげることができる。アルキニル基としては、エチニル基、プロパギル基をあげることができる。アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基をあげることができる。アラルキル基としては、ベンジル基をあげることができる。
【0060】
R
13及びR
14のヒドロカルビル基の炭素原子数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜4であり、更に好ましくは1〜2である。
【0061】
R
13及びR
14のヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基、アルケニル基であり、より好ましくは、アルキル基であり、更に好ましくは、直鎖アルキル基である。
【0062】
R
13及びR
14のトリヒドロカルビルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基をあげることができる。
【0063】
R
13及びR
14のトリヒドロカルビルシリル基としては、好ましくは、炭素原子数が3〜9のトリアルキルシリル基であり、より好ましくは、ケイ素原子に結合したアルキル基が炭素原子数1〜4のアルキル基であるトリアルキルシリル基であり、更に好ましくは、トリメチルシリル基である。
【0064】
R
13及びR
14が結合した窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基としては、ヒドロカルビレン基、窒素原子を有するヒドロカルビレン基、酸素原子を有するヒドロカルビレン基などをあげることができる。ヒドロカルビレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基をあげることができる。窒素原子を有するヒドロカルビレン基としては、−CH
2CH
2−NH−CH
2−で表される基、−CH
2CH
2−N=CH−で表される基、−CH=CH−N=CH−で表される基、−CH
2CH
2−NH−CH
2CH
2−で表される基をあげることができる。酸素原子を有するヒドロカルビレン基としては、−CH
2CH
2−O−CH
2CH
2−で表される基をあげることができる。
【0065】
R
13及びR
14が結合した窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜7であり、更に好ましくは4〜6である。
【0066】
R
13及びR
14が結合した窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基としては、好ましくはヒドロカルビレン基であり、より好ましくはアルキレン基であり、更に好ましくはポリメチレン基である。
【0067】
R
13及びR
14が窒素原子に二重結合で結合する1つの基としては、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基、1−メチルエチリデン基、1−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基などのヒドロカルビリデン基をあげることができる。
【0068】
R
13及びR
14が窒素原子に二重結合で結合する1つの基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜6である。
【0069】
R
13及びR
14としては、好ましくは、ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、R
13とR
14とが結合したヒドロカルビレン基である。
【0070】
式(II−X)で表される基としては、非環状アミノ基、環状アミノ基をあげることができる。
【0071】
非環状アミノ基としては、ジアルキルアミノ基、ビス(トリアルキルシリル)アミノ基をあげることができる。ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、エチルメチルアミノ基をあげることができる。ビス(トリアルキルシリル)アミノ基としては、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ基をあげることができる。
【0072】
該非環状アミノ基としては、エチリデンアミノ基、1−メチルプロピリデンアミノ基、1,3−ジメチルブチリデンアミノ基、1−メチルエチリデンアミノ基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデンアミノ基をあげることができる。
【0073】
環状アミノ基としては、1−アジリジニル基、1−アゼチジニル基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジニル基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基、1−ピロリル基、1−ピラゾリル基、1−イミダゾリジニル基、1−ピペラジニル基、モルホリノ基をあげることができる。
【0074】
式(II−X)で表される基としては、好ましくは、R
13及びR
14がヒドロカルビル基である基、R
13及びR
14がトリヒドロカルビルシリル基である基、R
13及びR
14が結合したヒドロカルビレン基である。より好ましくは、R
13及びR
14が直鎖アルキル基である基、R
13及びR
14がトリアルキルシリル基である基、R
13及びR
14が結合したポリメチレン基である。
【0075】
式(II−X)で表される基としては、更に好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジニル基、1−ヘキサメチレンイミノ基であり、特に好ましくは、1−ピロリジニル基である。
【0076】
Aの含窒素複素環基としては、含窒素脂肪族複素環基、含窒素芳香族複素環基をあげることができる。本明細書では、含窒素脂肪族複素環基は、含窒素脂環族複素環を有する化合物の複素環の炭素原子から1つの水素原子を除いた基を表し、含窒素脂環族複素環は、環を構成するヘテロ原子として窒素原子を有する脂環族複素環を表す。また、含窒素芳香族複素環基は、含窒素芳香族複素環を有する化合物の複素環の炭素原子から1つの水素原子を除いた基を表し、含窒素芳香族複素環は、環を構成するヘテロ原子として窒素原子を有する芳香族複素環を表す。
【0077】
Aの含窒素脂肪族複素環基としては、環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを有する基、環を構成するヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する基、環を構成するヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する基などをあげることができる。
【0078】
環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを有する含窒素脂肪族複素環基としては、アジリジン環を有する基、アゼチジン環を有する基、ピロリジン環を有する基、ピペリジン環を有する基、ヘキサメチレンイミン環を有する基、イミダゾリジン環を有する基、ピペラジン環を有する基、ピラゾリジン環を有する基などをあげることができる。
【0079】
アジリジン環を有する基としては、N−アルキル−2−アジリジニル基をあげることができる。
アゼチジン環を有する基としては、N−アルキル−2−アゼチジニル基、N−アルキル−3−アゼチジニル基をあげることができる。
ピロリジン環を有する基としては、N−アルキル−2−ピロリジニル基、N−アルキル−3−ピロリジニル基をあげることができる。
ピペリジン環を有する基としては、N−アルキル−2−ピペリジニル基、N−アルキル−3−ピペリジニル基、N−アルキル−4−ピペリジニル基をあげることができる。
ヘキサメチレンイミン環を有する基としては、N−アルキル−2−ヘキサメチレンイミノ基、N−アルキル−3−ヘキサメチレンイミノ基、N−アルキル−4−ヘキサメチレンイミノ基をあげることができる。
イミダゾリジン環を有する基としては、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジル基、1,3−ジアルキル−4−イミダゾリジル基をあげることができる。
ピペラジン環を有する基としては、1,4−ジアルキル−2−ピペラジニル基をあげることができる。
ピラゾリジン環を有する基としては、1,2−ジアルキル−3−ピラゾリジル基、1,2−ジアルキル−4−ピラゾリジル基をあげることができる。
【0080】
環を構成するヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する含窒素脂肪族複素環基としては、モルホリン環を有する基、イソオキサゾリジン環を有する基などをあげることができる。
【0081】
モルホリン環を有する基としては、N−アルキル−2−モルホリノ基、N−アルキル−3−モルホリノ基をあげることができる。
イソオキサゾリジン環を有する基としては、N−アルキル−3−イソオキサゾリジニル基、N−アルキル−4−イソオキサゾリジニル基、N−アルキル−5−イソオキサゾリジニル基をあげることができる。
【0082】
環を構成するヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する含窒素脂肪族複素環基としては、チオモルホリン環を有する基、イソチアゾリジン環を有する基をあげることができる。
【0083】
チオモルホリン環を有する基としては、N−アルキル−2−チオモルホリノ基、N−アルキル−3−チオモルホリノ基をあげることができる。
イソチアゾリジン環を有する基としては、N−アルキル−3−イソチアゾリジニル基、N−アルキル−4−イソチアゾリジニル基、N−アルキル−5−イソチアゾリジニル基をあげることができる。
【0084】
Aの含窒素脂肪族複素環基としては、好ましくは、環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを有する基である。また、含窒素脂肪族複素環基の炭素原子数は、好ましくは4〜10である。
【0085】
Aの含窒素芳香族複素環基としては、環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを有する基、環を構成するヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する基、環を構成するヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する基などをあげることができる。
【0086】
環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを有する含窒素芳香族複素環基としては、ピロール環を有する基、イミダゾール環を有する基、ピラゾール環を有する基、ピリジン環を有する基、ピリダジン環を有する基、ピリミジン環を有する基、ピラジン環を有する基、キノリン環を有する基、イソキノリン環を有する基、シンノリン環を有する基、キナゾリン環を有する基、フタラジン環を有する基などをあげることができる。
【0087】
ピロール環を有する基としては、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−(N−メチルピロリル)基、3−(N−メチルピロリル)基をあげることができる。
イミダゾール環を有する基としては、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、5−イミダゾリル基、2−(N−メチルイミダゾリル)基、4−(N−メチルイミダゾリル)基、5−(N−メチルイミダゾリル)基をあげることができる。
ピラゾール環を有する基としては、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基、5−ピラゾリル基、3−(N−メチルピラゾリル)基、4−(N−メチルピラゾリル)基、5−(N−メチルピラゾリル)基をあげることができる。
ピリジン環を有する基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基をあげることができる。
ピリダジン環を有する基としては、3−ピリダジル基、4−ピリダジル基をあげることができる。
ピリミジン環を有する基としては、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基をあげることができる。
ピラジン環を有する基としては、2−ピラジル基をあげることができる。
キノリン環を有する基としては、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基をあげることができる。
イソキノリン環を有する基としては、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基をあげることができる。
シンノリン環を有する基としては、3−シンノリニル基、4−シンノリニル基、5−シンノリニル基、6−シンノリニル基、7−シンノリニル基、8−シンノリニル基をあげることができる。
キナゾリン環を有する基としては、2−キナゾリニル基、4−キナゾリニル基、5−キナゾリニル基、6−キナゾリニル基、7−キナゾリニル基、8−キナゾリニル基をあげることができる。
フタラジン環を有する基としては、1−フタラジニル基、5−フタラジニル基、6−フタラジニル基をあげることができる。
環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを有する含窒素芳香族複素環基としては、好ましくは、イミダゾール環を有する基、ピリジン環を有する基、キノリン環を有する基である。
【0088】
環を構成するヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する含窒素芳香族複素環基としては、オキサゾール環を有する基、イソオキサゾール環を有する基をあげることができる。
【0089】
オキサゾール環を有する基としては、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基をあげることができる。
イソオキサゾール環を有する基としては、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基をあげることができる。
環を構成するヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する含窒素芳香族複素環基としては、好ましくは、オキサゾール環を有する基である。
【0090】
環を構成するヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する含窒素芳香族複素環基としては、チアゾール環を有する基、イソチアゾール環を有する基などをあげることができる。
【0091】
チアゾール環を有する基としては、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基をあげることができる。
イソチアゾール環を有する基としては、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基をあげることができる。
環を構成するヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する含窒素芳香族複素環基としては、好ましくは、チアゾール環を有する基である。
【0092】
Aの含窒素複素環基としては、好ましくは、含窒素芳香族複素環基であり、より好ましくは、環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを有する含窒素芳香族複素環基であり、更に好ましくは、イミダゾール環を有する基、ピリジン環を有する基、キノリン環を有する基であり、特に好ましくはピリジン環を有する基である。
【0093】
式(II)で表される化合物としては、R
11が水素原子であり、mが0であり、Aが置換アミノ基である化合物として、次の化合物をあげることができる。
【0094】
1−ビニルピロリジン、
1−ビニルピペリジン、
1−ビニルヘキサメチレンイミン、
1−ビニルピペラジン、
1−ビニルピロール、
1−ビニルイミダゾール、
1−ビニルピラゾール、
ビニルキノリン。
【0095】
式(II)で表される化合物としては、R
11が水素原子であり、mが1であり、R
12が式(II−Y)で表される基であり、Aが置換アミノ基である化合物として、次の化合物をあげることができる。
【0096】
式(II−Y)のrが0である化合物:
4−N,N−ジメチルアミノスチレン、
3−N,N−ジメチルアミノスチレン、
4−N,N−ジエチルアミノスチレン、
3−N,N−ジエチルアミノスチレン、
4−N,N−ジ−n−プロピルアミノスチレン、
3−N,N−ジ−n−プロピルアミノスチレン、
4−N,N−ジ−n−ブチルアミノスチレン、
3−N,N−ジ−n−ブチルアミノスチレン、
4−N,N−ジアリルアミノスチレン、
3−N,N−ジアリルアミノスチレン、
4−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノスチレン、
3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノスチレン、
4−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノスチレン、
3−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノスチレン、
4−(1−アジリジニル)スチレン、
3−(1−アジリジニル)スチレン、
4−(1−ピロリジニル)スチレン、
3−(1−ピロリジニル)スチレン、
4−(1−ピペリジニル)スチレン、
3−(1−ピペリジニル)スチレン、
4−(1−ヘキサメチレンイミノ)スチレン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)スチレン。
【0097】
式(II−Y)のrが1である化合物:
4−N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、
3−N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、
4−N,N−ジエチルアミノメチルスチレン、
3−N,N−ジエチルアミノメチルスチレン、
4−N,N−ジ−n−プロピルアミノメチルスチレン、
3−N,N−ジ−n−プロピルアミノメチルスチレン、
4−N,N−ジ−n−ブチルアミノメチルスチレン、
3−N,N−ジ−n−ブチルアミノメチルスチレン、
4−N,N−ジアリルアミノメチルスチレン、
3−N,N−ジアリルアミノメチルスチレン、
4−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノメチルスチレン、
3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノメチルスチレン、
4−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノメチルスチレン、
3−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノメチルスチレン、
4−(1−アジリジニル)メチルスチレン、
3−(1−アジリジニル)メチルスチレン、
4−(1−ピロリジニル)メチルスチレン、
3−(1−ピロリジニル)メチルスチレン、
4−(1−ピペリジニル)メチルスチレン、
3−(1−ピペリジニル)メチルスチレン、
4−(1−ヘキサメチレンイミノ)メチルスチレン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)メチルスチレン。
【0098】
式(II−Y)のrが2である化合物:
4−N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、
3−N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、
4−N,N−ジエチルアミノエチルスチレン、
3−N,N−ジエチルアミノエチルスチレン、
4−N,N−ジ−n−プロピルアミノエチルスチレン、
3−N,N−ジ−n−プロピルアミノエチルスチレン、
4−N,N−ジ−n−ブチルアミノエチルスチレン、
3−N,N−ジ−n−ブチルアミノエチルスチレン、
4−N,N−ジアリルアミノエチルスチレン、
3−N,N−ジアリルアミノエチルスチレン、
4−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルスチレン、
3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルスチレン、
4−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノエチルスチレン、
3−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノエチルスチレン、
4−(1−アジリジニル)エチルスチレン、
3−(1−アジリジニル)エチルスチレン、
4−(1−ピロリジニル)エチルスチレン、
3−(1−ピロリジニル)エチルスチレン、
4−(1−ピペリジニル)エチルスチレン、
3−(1−ピペリジニル)エチルスチレン、
4−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチルスチレン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチルスチレン。
【0099】
式(II)で表される化合物としては、R
11がメチル基であり、mが0であり、Aが置換アミノ基である化合物として、次の化合物をあげることができる。
【0100】
1−イソプロペニルピロリジン、
1−イソプロペニルピペリジン、
1−イソプロペニルヘキサメチレンイミン、
1−イソプロペニルピペラジン、
1−イソプロペニルピロール、
1−イソプロペニルイミダゾール、
1−イソプロペニルピラゾール、
イソプロペニルキノリン。
【0101】
式(II)で表される化合物としては、R
11がメチル基であり、mが1であり、R
12が式(II−Y)で表される基であり、Aが置換アミノ基である化合物として、次の化合物をあげることができる。
【0102】
式(II−Y)のrが0である化合物:
4−N,N−ジメチルアミノイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジメチルアミノイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ジエチルアミノイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジエチルアミノイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ジ−n−プロピルアミノイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジ−n−プロピルアミノイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ジ−n−ブチルアミノイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジ−n−ブチルアミノイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ジアリルアミノイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジアリルアミノイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノイソプロペニルベンゼン、3−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノイソプロペニルベンゼン、4−(1−アジリジニル)イソプロペニルベンゼン、
3−(1−アジリジニル)イソプロペニルベンゼン、
4−(1−ピロリジニル)イソプロペニルベンゼン、
3−(1−ピロリジニル)イソプロペニルベンゼン、
4−(1−ピペリジニル)イソプロペニルベンゼン、
3−(1−ピペリジニル)イソプロペニルベンゼン、
4−(1−ヘキサメチレンイミノ)イソプロペニルベンゼン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)イソプロペニルベンゼン。
【0103】
式(II−Y)のrが1である化合物:
4−N,N−ジメチルアミノメチルイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジメチルアミノメチルイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ジエチルアミノメチルイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジエチルアミノメチルイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ジ−n−プロピルアミノメチルイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジ−n−プロピルアミノメチルイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ジ−n−ブチルアミノメチルイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジ−n−ブチルアミノメチルイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ジアリルアミノメチルイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジアリルアミノメチルイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノメチルイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノメチルイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノメチルイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノメチルイソプロペニルベンゼン、
4−(1−アジリジニル)メチルイソプロペニルベンゼン、
3−(1−アジリジニル)メチルイソプロペニルベンゼン、
4−(1−ピロリジニル)メチルイソプロペニルベンゼン、
3−(1−ピロリジニル)メチルイソプロペニルベンゼン、
4−(1−ピペリジニル)メチルイソプロペニルベンゼン、
3−(1−ピペリジニル)メチルイソプロペニルベンゼン、
4−(1−ヘキサメチレンイミノ)メチルイソプロペニルベンゼン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)メチルイソプロペニルベンゼン。
【0104】
式(II−Y)のrが2である化合物:
4−N,N−ジメチルアミノエチルイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジメチルアミノエチルイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ジエチルアミノエチルイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジエチルアミノエチルイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ジ−n−プロピルアミノエチルイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジ−n−プロピルアミノエチルイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ジ−n−ブチルアミノエチルイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジ−n−ブチルアミノエチルイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ジアリルアミノエチルイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ジアリルアミノエチルイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルイソプロペニルベンゼン、
4−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノエチルイソプロペニルベンゼン、
3−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノエチルイソプロペニルベンゼン、
4−(1−アジリジニル)エチルイソプロペニルベンゼン、
3−(1−アジリジニル)エチルイソプロペニルベンゼン、
4−(1−ピロリジニル)エチルイソプロペニルベンゼン、
3−(1−ピロリジニル)エチルイソプロペニルベンゼン、
4−(1−ピペリジニル)エチルイソプロペニルベンゼン、
3−(1−ピペリジニル)エチルイソプロペニルベンゼン、
4−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチルイソプロペニルベンゼン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチルイソプロペニルベンゼン。
【0105】
式(II)で表される化合物としては、R
11がビニル基であり、mが0であり、Aが置換アミノ基である化合物として、次の化合物をあげることができる。
【0106】
2−N,N−ジメチルアミノ−1,3−ブタジエン、
2−N,N−ジエチルアミノ−1,3−ブタジエン、
2−N,N−ジ−n−プロピルアミノ−1,3−ブタジエン、
2−N,N−ジ−n−ブチルアミノ−1,3−ブタジエン、
2−N,N−ジアリルアミノ−1,3−ブタジエン、
2−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ−1,3−ブタジエン、
2−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ−1,3−ブタジエン、
2−(1−アジリジニル)−1,3−ブタジエン、
2−(1−ピロリジニル)−1,3−ブタジエン、
2−(1−ピペリジニル)−1,3−ブタジエン、
2−(1−ヘキサメチレンイミノ)−1,3−ブタジエン、
2−(1−ピロリル)−1,3−ブタジエン、
2−(1−イミダゾリル)−1,3−ブタジエン、
2−(1−ピラゾリル)−1,3−ブタジエン。
【0107】
式(II)で表される化合物としては、R
11がビニル基であり、mが1であり、R
12がアルキレン基であり、Aが置換アミノ基である化合物として、次の化合物をあげることができる。
【0108】
R
12がメチレン基である化合物:
2−N,N−ジメチルアミノメチル−1,3−ブタジエン、
2−N,N−ジエチルアミノメチル−1,3−ブタジエン、
2−N,N−ジ−n−プロピルアミノメチル−1,3−ブタジエン、
2−N,N−ジ−n−ブチルアミノメチル−1,3−ブタジエン、
2−N,N−ジアリルアミノメチル−1,3−ブタジエン、
2−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノメチル−1,3−ブタジエン、
2−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノメチル−1,3−ブタジエン、
2−(1−アジリジニル)メチル−1,3−ブタジエン、
2−(1−ピロリジニル)メチル−1,3−ブタジエン、
2−(1−ピペリジニル)メチル−1,3−ブタジエン、
2−(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル−1,3−ブタジエン、
1−(2−メチレン−3−ブテニル)ピロール、
1−(2−メチレン−3−ブテニル)イミダゾール、
1−(2−メチレン−3−ブテニル)ピラゾール。
【0109】
R
12がエチレン基である化合物:
5−N,N−ジメチルアミノ−3−メチレン−1−ペンテン、
5−N,N−ジエチルアミノ−3−メチレン−1−ペンテン、
5−N,N−ジ−n−プロピルアミノ−3−メチレン−1−ペンテン、
5−N,N−ジ−n−ブチルアミノ−3−メチレン−1−ペンテン、
5−N,N−ジアリルアミノ−3−メチレン−1−ペンテン、
5−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ−3−メチレン−1−ペンテン、
5−N,N−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ−3−メチレン−1−ペンテン、
5−(1−アジリジニル)−3−メチレン−1−ペンテン、
5−(1−ピロリジニル)−3−メチレン−1−ペンテン、
5−(1−ピペリジニル)−3−メチレン−1−ペンテン、
5−(1−ヘキサメチレンイミノ)−3−メチレン−1−ペンテン、
1−(3−メチレン−4−ペンテニル)ピロール、
1−(3−メチレン−4−ペンテニル)イミダゾール、
1−(3−メチレン−4−ペンテニル)ピラゾール。
【0110】
式(II)で表される化合物としては、R
11が水素原子であり、mが1であり、R
12が式(II−Y)で表される基であり、Aが含窒素脂肪族複素環基である化合物として、次の化合物をあげることができる。
【0111】
式(II−Y)のrが0である化合物:
4−N−メチル−2−アジリジニルスチレン、
4−N−メチル−2−ピロリジニルスチレン、
4−N−メチル−3−ピロリジニルスチレン、
4−N−メチル−2−ヘキサメチレンイミノスチレン、
4−N−メチル−3−ヘキサメチレンイミノスチレン、
4−N−メチル−4−ヘキサメチレンイミノスチレン。
【0112】
式(II−Y)のrが1である化合物:
4−N−メチル−2−アジリジニルメチルスチレン、
4−N−メチル−2−ピロリジニルメチルスチレン、
4−N−メチル−3−ピロリジニルメチルスチレン、
4−N−メチル−2−ヘキサメチレンイミノメチルスチレン、
4−N−メチル−3−ヘキサメチレンイミノメチルスチレン、
4−N−メチル−4−ヘキサメチレンイミノメチルスチレン。
【0113】
式(II−Y)のrが2である化合物:
4−N−メチル−2−アジリジニルエチルスチレン、
4−N−メチル−2−ピロリジニルエチルスチレン、
4−N−メチル−3−ピロリジニルエチルスチレン、
4−N−メチル−2−ヘキサメチレンイミノエチルスチレン、
4−N−メチル−3−ヘキサメチレンイミノエチルスチレン、
4−N−メチル−4−ヘキサメチレンイミノエチルスチレン。
【0114】
式(II)で表される化合物としては、R
11がメチル基であり、mが1であり、R
12が式(II−Y)で表される基であり、Aが含窒素脂肪族複素環基である化合物として、次の化合物をあげることができる。
【0115】
式(II−Y)のrが0である化合物:
4−N−メチル−2−アジリジニルイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−2−ピロリジニルイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−3−ピロリジニルイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−2−ヘキサメチレンイミノイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−3−ヘキサメチレンイミノイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−4−ヘキサメチレンイミノイソプロペニルベンゼン。
【0116】
式(II−Y)のrが1である化合物:
4−N−メチル−2−アジリジニルメチルイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−2−ピロリジニルメチルイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−3−ピロリジニルメチルイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−2−ヘキサメチレンイミノメチルイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−3−ヘキサメチレンイミノメチルイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−4−ヘキサメチレンイミノメチルイソプロペニルベンゼン。
【0117】
式(II−Y)のrが2である化合物:
4−N−メチル−2−アジリジニルエチルイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−2−ピロリジニルエチルイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−3−ピロリジニルエチルイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−2−ヘキサメチレンイミノエチルイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−3−ヘキサメチレンイミノエチルイソプロペニルベンゼン、
4−N−メチル−4−ヘキサメチレンイミノエチルイソプロペニルベンゼン。
【0118】
式(II)で表される化合物としては、R
11がビニル基であり、mが0であり、Aが含窒素脂肪族複素環基である化合物として、次の化合物をあげることができる。
【0119】
N−メチル−2−(1−メチレン−2−プロペニル)アジリジン、
N−メチル−2−(1−メチレン−2−プロペニル)ピロリジン、
N−メチル−3−(1−メチレン−2−プロペニル)ピロリジン、
N−メチル−2−(1−メチレン−2−プロペニル)ヘキサメチレンイミン、
N−メチル−3−(1−メチレン−2−プロペニル)ヘキサメチレンイミン、
N−メチル−4−(1−メチレン−2−プロペニル)ヘキサメチレンイミン。
【0120】
式(II)で表される化合物としては、R
11がビニル基であり、mが1であり、R
12がアルキレン基であり、Aが含窒素脂肪族複素環基である化合物として、次の化合物をあげることができる。
【0121】
R
12がメチレン基である化合物:
N−メチル−2−(2−メチレン−3−ブテニル)アジリジン、
N−メチル−2−(2−メチレン−3−ブテニル)ピロリジン、
N−メチル−3−(2−メチレン−3−ブテニル)ピロリジン、
N−メチル−2−(2−メチレン−3−ブテニル)ヘキサメチレンイミン、
N−メチル−3−(2−メチレン−3−ブテニル)ヘキサメチレンイミン、
N−メチル−4−(2−メチレン−3−ブテニル)ヘキサメチレンイミン。
【0122】
R
12がエチレン基である化合物:
N−メチル−2−(3−メチレン−4−ペンテニル)アジリジン、
N−メチル−2−(3−メチレン−4−ペンテニル)ピロリジン、
N−メチル−3−(3−メチレン−4−ペンテニル)ピロリジン、
N−メチル−2−(3−メチレン−4−ペンテニル)ヘキサメチレンイミン、
N−メチル−3−(3−メチレン−4−ペンテニル)ヘキサメチレンイミン、
N−メチル−4−(3−メチレン−4−ペンテニル)ヘキサメチレンイミン。
【0123】
式(II)で表される化合物としては、R
11が水素原子であり、mが0であり、Aが含窒素芳香族複素環基である化合物として、次の化合物をあげることができる。
【0124】
N−メチル−2−ビニルイミダゾール、
N−メチル−4−ビニルイミダゾール、
N−メチル−5−ビニルイミダゾール、
2−ビニルピリジン、
3−ビニルピリジン、
4−ビニルピリジン、
2−ビニルキノリン、
3−ビニルキノリン、
4−ビニルキノリン。
【0125】
式(II)で表される化合物としては、R
11がメチル基であり、mが0であり、Aが含窒素芳香族複素環基である化合物として、次の化合物をあげることができる。
【0126】
N−メチル−2−イソプロペニルイミダゾール、
N−メチル−4−イソプロペニルイミダゾール、
N−メチル−5−イソプロペニルイミダゾール、
2−イソプロペニルピリジン、
3−イソプロペニルピリジン、
4−イソプロペニルピリジン、
2−イソプロペニルキノリン、
3−イソプロペニルキノリン、
4−イソプロペニルキノリン。
【0127】
式(II)で表される化合物としては、R
11がビニル基であり、mが0であり、Aが含窒素芳香族複素環基である化合物として、次の化合物をあげることができる。
【0128】
N−メチル−2−(1−メチレン−2−プロペニル)イミダゾール、
N−メチル−4−(1−メチレン−2−プロペニル)イミダゾール、
N−メチル−5−(1−メチレン−2−プロペニル)イミダゾール、
2−(1−メチレン−2−プロペニル)ピリジン、
3−(1−メチレン−2−プロペニル)ピリジン、
4−(1−メチレン−2−プロペニル)ピリジン、
2−(1−メチレン−2−プロペニル)キノリン、
3−(1−メチレン−2−プロペニル)キノリン、
4−(1−メチレン−2−プロペニル)キノリン。
【0129】
式(II)で表される化合物としては、R
11がビニル基であり、mが1であり、R
12がアルキレン基であり、Aが含窒素芳香族複素環基である化合物として、次の化合物をあげることができる。
【0130】
R
12がメチレン基である化合物:
N−メチル−2−(2−メチレン−3−ブテニル)イミダゾール、
N−メチル−4−(2−メチレン−3−ブテニル)イミダゾール、
N−メチル−5−(2−メチレン−3−ブテニル)イミダゾール、
2−(2−メチレン−3−ブテニル)ピリジン、
3−(2−メチレン−3−ブテニル)ピリジン、
4−(2−メチレン−3−ブテニル)ピリジン、
2−(2−メチレン−3−ブテニル)キノリン、
3−(2−メチレン−3−ブテニル)キノリン、
4−(2−メチレン−3−ブテニル)キノリン。
【0131】
R
12がエチレン基である化合物:
N−メチル−2−(3−メチレン−4−ペンテニル)イミダゾール、
N−メチル−4−(3−メチレン−4−ペンテニル)イミダゾール、
N−メチル−5−(3−メチレン−4−ペンテニル)イミダゾール、
2−(3−メチレン−4−ペンテニル)ピリジン、
3−(3−メチレン−4−ペンテニル)ピリジン、
4−(3−メチレン−4−ペンテニル)ピリジン、
2−(3−メチレン−4−ペンテニル)キノリン、
3−(3−メチレン−4−ペンテニル)キノリン、
4−(3−メチレン−4−ペンテニル)キノリン。
【0132】
式(II)で表される化合物としては、好ましくは、R
11が水素原子であり、mが1であり、R
12が式(II−Y)で表される基であり、Aが置換アミノ基である化合物である。より好ましくは、R
11が水素原子であり、mが1であり、R
12が式(II−Y)で表される基であり、Aが式(II−X)で表される基である化合物である。更に好ましくは、式(II−X)のR
13及びR
14が炭素原子数1〜2の直鎖アルキル基である化合物、式(II−X)のR
13及びR
14がトリメチルシリル基である化合物、式(II−X)のR
13及びR
14が結合した基であって、当該基が炭素原子数4〜6のポリメチレン基である化合物である。
【0133】
式(II)で表される化合物としては、特に好ましくは、
4−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノスチレン、
3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノスチレン、
4−N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、
3−N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、
4−(1−ピロリジニル)エチルスチレン、
3−(1−ピロリジニル)エチルスチレン、
4−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチルスチレン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチルスチレン
である。
【0134】
上記共重合体における上記式(II)で表される化合物の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは35質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。0.05質量%未満では低燃費性及びウェットグリップ性能の改善効果が得られにくく、一方、35質量%を超えると高コストになる傾向がある。
なお、上記共重合体における上記式(II)で表される化合物の含有量は、後述する実施例の方法で測定できる。
【0135】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどを使用でき、スチレンを好適に使用できる。
上記共重合体が芳香族ビニル化合物を含有する場合、上記共重合体中の芳香族ビニル化合物の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは55質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。0.1質量%未満ではウェットグリップ性能が悪化する傾向があり、一方、55質量%を超えると低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、上記共重合体における芳香族ビニル化合物の含有量は、後述する実施例の方法で測定できる。
【0136】
(末端変性剤)
本発明の共重合体は、下記式(III)で表される化合物、下記式(IV)で表される基を有する化合物及び下記式(V)で表される基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物(末端変性剤(末端を変性する変性剤))により末端が変性されている。
【0137】
以下、下記式(III)で表される化合物について説明する。
【化32】
[式中、R
21は、水素原子、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基を表す。nは、1〜10の整数を表し、A
1は、酸素原子又は−NR
22−基(R
22は、水素原子又は炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基を表す。)を表し、A
2は、窒素原子及び/又は酸素原子を有する官能基を表す。]
【0138】
式(III)のnは、1〜10の整数を表す。低燃費性及びウェットグリップ性能をバランス良く高める観点から、好ましくは2以上であり、製造時の経済性を高める観点から、より好ましくは4以下である。更に好ましくは3である。
【0139】
式(III)のR
21は、水素原子、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基を表す。
【0140】
R
21のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基をあげることができる。
【0141】
R
21の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基などのトリアルキルシリルアルキル基;t−ブチルジメチルシリロキシメチル基などのトリアルキルシリロキシアルキル基;トリメトキシシリルプロピル基などのトリアルコキシシリルアルキル基などをあげることができる。
【0142】
R
21のヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基であり、より更に好ましくは、メチル基である。また、R
21の置換ヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルコキシアルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基であり、更に好ましくは、メトキシメチル基、エトキシエチル基であり、より更に好ましくは、メトキシメチル基である。
【0143】
R
21としては、低燃費性及びウェットグリップ性能をバランス良く高める観点及び経済性から、好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、炭素原子数が1〜4のアルキル基、炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子、メチル基、メトキシメチル基であり、より更に好ましくは水素原子、メチル基である。
【0144】
式(III)のA
1は、酸素原子又は−NR
22−基を表し、R
22は、水素原子又は炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基を表す。
【0145】
R
22のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基をあげることができる。
【0146】
R
22のヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0147】
R
22としては、好ましくは、水素原子、アルキル基であり、より好ましくは、水素原子、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基であり、より更に好ましくは、水素原子、メチル基である。
【0148】
式(III)のA
2は、窒素原子及び/又は酸素原子を有する官能基を表す。窒素原子を有する官能基としては、アミノ基、イソシアノ基、シアノ基、ピリジル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリノ基などをあげることができる。
【0149】
酸素原子を有する官能基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブドキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基;メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;メトキシフェニル基、エトキシフェニル基などのアルコキシアリール基;エポキシ基、テトラヒドロフラニル基などのアルキレンオキシド基をあげることができる。また、トリメチルシリロキシ基、トリエチルシリロキシ基、t−ブチルジメチルシリロキシ基などのトリアルキルシリロキシ基をあげることができる。また、水酸基をあげることができる。
【0150】
A
2としては、下式(IIIa)で表される基又は水酸基が好ましく、下式(IIIa)で表される基がより好ましい。
【化33】
[式中、R
23及びR
24は、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜6の基を表し、R
23及びR
24は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよく、R
23及びR
24は窒素に二重結合で結合する同一の基であってもよい。]
【0151】
式(IIIa)のR
23及びR
24としては、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、置換シリル基などをあげることができる。
【0152】
R
23及びR
24のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などをあげることができる。
【0153】
R
23及びR
24の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;エポキシ基、テトラヒドロフラニル基などのアルキレンオキシド基;グリシジル基、テトラヒドロフルフリル基などのアルキレンオキシドアルキル基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基などのトリアルキルシリルアルキル基などをあげることができる。なお、本明細書において、アルキレンオキシド基は、環状エーテル化合物の環から水素原子を除いた1価の基を表す。また、アルキレンオキシドアルキル基は、アルキル基の1つ以上の水素原子がアルキレンオキシド基で置換されている基を表す。
【0154】
R
23及びR
24の置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基;トリメトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基などをあげることができる。
【0155】
R
23及びR
24が結合した基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシジアルキレン基;−CH
2CH
2−NH−CH
2−で表される基、−CH
2CH
2−N=CH−で表される基などの含窒素基などをあげることができる。
【0156】
R
23及びR
24が結合した基としては、含窒素基が好ましく、−CH
2CH
2−NH−CH
2−で表される基、−CH
2CH
2−N=CH−で表される基がより好ましい。
【0157】
R
23及びR
24の窒素に二重結合で結合する同一の基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、エチリデン基、1−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基、1−メチルエチリデン基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン基などをあげることができる。
【0158】
R
23及びR
24のヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基であり、より更に好ましくは、メチル基、エチル基である。R
23及びR
24の置換ヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルコキシアルキル基、アルキレンオキシド基、アルキレンオキシドアルキル基である。R
23及びR
24の置換シリル基としては、好ましくは、トリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基であり、より好ましくは、トリアルキルシリル基であり、更に好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基である。
【0159】
R
23及びR
24としては、好ましくは、R
23及びR
24が結合した含窒素基、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキレンオキシド基、アルキレンオキシドアルキル基、置換シリル基であり、より好ましくは、アルキル基、アルキレンオキシド基、アルキレンオキシドアルキル基、トリアルキルシリル基である。
【0160】
式(IIIa)で表される基としては、非環状アミノ基、環状アミノ基をあげることができる。
該非環状アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、ジ(ネオペンチル)アミノ基、エチルメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジ(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシエチル)アミノ基、ジ(エトキシメチル)アミノ基、ジ(エトキシエチル)アミノ基などのジ(アルコキシアルキル)アミノ基;ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ基などのジ(トリアルキルシリル)アミノ基などをあげることができる。また、ジ(エポキシ)アミノ基、ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ基などのジ(アルキレンオキシド)アミノ基;ジ(グリシジル)アミノ基、ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ基などのジ(アルキレンオキシドアルキル)アミノ基をあげることができる。更には、エチリデンアミノ基、1−メチルプロピリデンアミノ基、1,3−ジメチルブチリデンアミノ基、1−メチルエチリデンアミノ基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデンアミノ基などもあげることができる。
なお、本明細書において、ジ(アルキレンオキシド)アミノ基は、窒素原子に結合している2つの水素原子が2つのアルキレンオキシド基に置換されたアミノ基を表し、ジ(アルキレンオキシドアルキル)アミノ基は、窒素原子に結合している2つの水素原子が2つのアルキレンオキシドアルキル基に置換されたアミノ基を表す。
【0161】
該環状アミノ基としては、1−ピロリジニル基、1−ピペリジノ基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−ヘプタメチレンイミノ基、1−オクタメチレンイミノ基、1−デカメチレンイミノ基、1−ドデカメチレンイミノ基などの1−ポリメチレンイミノ基をあげることができる。また、環状アミノ基としては、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基、1−イミダゾリジニル基、1−ピペラジニル基、モルホリノ基などもあげることができる。
【0162】
式(IIIa)で表される基としては、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、化合物の長期安定性及び入手容易性から、好ましくは、非環状アミノ基であり、より好ましくは、ジアルキルアミノ基、ジ(アルキレンオキシド)アミノ基、ジ(アルキレンオキシドアルキル)アミノ基、ジ(トリアルキルシリル)アミノ基である。
【0163】
式(IIIa)で表される化合物としては、A
1が二級アミノ基である化合物として、アクリルアミド化合物、メタクリルアミド化合物などをあげることができる。
【0164】
A
2が窒素原子含有の基であるアクリルアミド化合物としては、
N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、
N−(2−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、
N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、
N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、
N−(4−ジメチルアミノブチル)アクリルアミド、
N−(4−ジエチルアミノブチル)アクリルアミド、
N−(3−モルホリノプロピル)アクリルアミド、
N−(3−シアノプロピル)アクリルアミドなどがあげられる。
【0165】
A
2が窒素原子含有の基であるメタクリルアミド化合物としては、
N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、
N−(2−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、
N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
N−(3−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
N−(4−ジメチルアミノブチル)メタクリルアミド、
N−(4−ジエチルアミノブチル)メタクリルアミド、
N−(3−モルホリノプロピル)メタクリルアミド、
N−(3−シアノプロピル)メタクリルアミドなどがあげられる。
【0166】
A
2が酸素原子含有の基であるアクリルアミド化合物としては、
N−(3−メトキシプロピル)アクリルアミド、
N−(3−エトキシプロピル)アクリルアミド、
N−(プロポキシメチル)アクリルアミド、
N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、
N−グリシジルアクリルアミド、
N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミドなどがあげられる。
【0167】
A
2が酸素原子含有の基であるメタクリルアミド化合物としては、
N−(3−メトキシプロピル)メタクリルアミド、
N−(3−エトキシプロピル)メタクリルアミド、
N−(プロポキシメチル)メタクリルアミド、
N−(ブトキシメチル)メタクリルアミド、
N−グリシジルメタクリルアミド、
N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミドなどがあげられる。
【0168】
A
2が窒素原子及び酸素原子含有の基であるアクリルアミド化合物としては、
N−(3−ジ(グリシジル)アミノプロピル)アクリルアミド、
N−(3−ジ(テトラヒヒドロフルフリル)アミノプロピル)アクリルアミドなどがあげられる。
【0169】
A
2が窒素原子及び酸素原子含有の基であるメタクリルアミド化合物としては、
N−(3−ジ(グリシジル)アミノプロピル)メタクリルアミド、
N−(3−ジ(テトラヒヒドロフルフリル)アミノプロピル)メタクリルアミドなどがあげられる。
【0170】
また、式(III)で表される化合物としては、A
1が酸素原子である化合物として、アクリレート化合物、メタクリレート化合物などをあげることができる。
【0171】
A
2が窒素原子含有の基であるアクリレート化合物としては、
2−ジメチルアミノエチルアクリレート、
2−ジエチルアミノエチルアクリレート、
3−ジメチルアミノプロピルアクリレート、
3−ジエチルアミノプロピルアクリレート、
4−ジメチルアミノブチルアクリレート、
4−ジエチルアミノブチルアクリレートなどがあげられる。
【0172】
A
2が窒素原子含有の基であるメタクリレート化合物としては、
2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、
3−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、
3−ジエチルアミノプロピルメタクリレート、
4−ジメチルアミノブチルメタクリレート、
4−ジエチルアミノブチルメタクリレートなどがあげられる。
【0173】
A
2が酸素原子含有の基であるアクリレート化合物としては、
2−エトキシエチルアクリレート、
2−プロポキシエチルアクリレート、
2−ブトキシエチルアクリレート、
3−メトキシプロピルアクリレート、
3−エトキシプロピルアクリレート、
グリシジルアクリレート、
テトラヒドロフルフリルアクリレートなどがあげられる。
【0174】
A
2が酸素原子含有の基であるメタクリレート化合物としては、
2−エトキシエチルメタクリレート、
2−プロポキシエチルメタクリレート、
2−ブトキシエチルメタクリレート、
3−メトキシプロピルメタクリレート、
3−エトキシプロピルメタクリレート、
グリシジルメタクリレート、
テトラヒドロフルフリルメタクリレートなどがあげられる。
【0175】
A
2が窒素原子及び酸素原子含有の基であるアクリレート化合物としては、
3−ジ(グリシジル)アミノプロピルアクリレート、
3−ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノプロピルアクリレートなどがあげられる。
【0176】
A
2が窒素原子及び酸素原子含有の基であるメタクリレート化合物としては、
3−ジ(グリシジル)アミノプロピルメタクリレート、
3−ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノプロピルメタクリレートなどがあげられる。
【0177】
式(III)で表される化合物としては、低燃費性及びウェットグリップ性能をバランス良く高める観点から、好ましくは、A
2が式(IIIa)で表される基である化合物であり、より好ましくは、A
1がアミノ基であり、A
2が式(IIIa)で表される基である化合物であり、更に好ましくは、A
1が二級アミノ基(−NH−)であり、A
2が式(IIIa)で表される基である化合物である。
【0178】
A
1が二級アミノ基であり、A
2が式(IIIa)で表される基である化合物としては、
好ましくは、
N−(3−ジアルキルアミノプロピル)アクリルアミド、
N−(3−ジアルキルアミノプロピル)メタクリルアミドであり、
より好ましくは、
N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、
N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、
N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
N−(3−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミドである。
【0179】
以下、下記式(IV)で表される基を有する化合物について説明する。
【化34】
[式中、pは0又は1の整数を表し、Tは、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビレン基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビレン基を表し、A
3は窒素原子を有する官能基を表す。]
【0180】
式(IV)中、pは0又は1の整数を表す。Tは、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビレン基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビレン基を表す。A
3は窒素原子を有する官能基を表し、アミノ基、イソシアノ基、シアノ基、ピリジル基、ピペリジル基、ピラジニル基、モルホリノ基などをあげることができる。
【0181】
式(IV)で表される基を有する化合物としては、式(IV)のpが0であり、A
3がアミノ基である下式(IVa)で表される基を有する化合物をあげることができる。
【化35】
【0182】
式(IVa)で表される基を有する化合物としては、ホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミドなどのカルボン酸アミド化合物をあげることができる。また、イミダゾリジノン及びその誘導体、ラクタム類などの環状化合物をあげることができる。
【0183】
式(IVa)で表される基を有する化合物としては、下式(IVa−1)で表されるカルボン酸アミド化合物をあげることができる。
【化36】
[式中、R
31は、水素原子、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基、又は、窒素原子及び/若しくは酸素原子をヘテロ原子として有するヘテロ環基を表し、R
32及びR
33は、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜10の基を表し、R
32及びR
33は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよく、R
32及びR
33は窒素に二重結合で結合する同一の基であってもよい。]
【0184】
R
31のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基をあげることができる。
【0185】
R
31の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基及び酸素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。
【0186】
R
31の窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有するヘテロ環基とは、窒素原子及び/又は酸素原子を環内に含む複素環式化合物残基を表し、該基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−フリル基などをあげることができる。
【0187】
R
31としては、好ましくは、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基である。
【0188】
式(IVa−1)のR
32及びR
33としては、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基などをあげることができる。R
32及びR
33のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基をあげることができる。
【0189】
R
32及びR
33の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基及び酸素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。
【0190】
R
32及びR
33が結合した基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜20の2価の基があげられる。例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシジアルキレン基;−CH
2CH
2−NH−CH
2−で表される基、−CH
2CH
2−N=CH−で表される基などの含窒素基などをあげることができる。
【0191】
R
32及びR
33の窒素に二重結合で結合する同一の基としては、窒素原子及び酸素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、エチリデン基、1−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基、1−メチルエチリデン基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン基などをあげることができる。
【0192】
R
32及びR
33としては、好ましくは、ヒドロカルビル基であり、より好ましくは、アルキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基である。
【0193】
式(IV)で表されるカルボン酸アミド化合物としては、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド化合物;アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、アミノアセトアミド、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルアミノアセトアミド、N,N−ジメチルアミノアセトアミド、N−エチルアミノアセトアミド、N,N−ジメチル−N’−エチルアミノアセトアミド、N,N−ジメチルアミノアセトアミド、N−フェニルジアセトアミド等のアセトアミド化合物;
プロピオンアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド等のプロピオンアミド化合物;4−ピリジルアミド、N,N−ジメチル−4−ピリジルアミド等のピリジルアミド化合物;
ベンズアミド、N,N−ジメチルベンズアミド、N’,N’−(p−ジメチルアミノ)ベンズアミド、N’,N’−(p−ジエチルアミノ)ベンズアミド、N,N−ジメチル−N’,N’−(p−ジメチルアミノ)ベンズアミド、N,N−ジメチル−N’,N’−(p−ジエチルアミノ)ベンズアミドなどのベンズアミド化合物;
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなどのアクリルアミド化合物;
N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミドなどのメタクリルアミド化合物;
N,N−ジメチルニコチンアミド、N,N−ジエチルニコチンアミド、N,N−ジエチルイソニコチンアミドなどのニコチンアミド化合物;
N,N,N’,N’−テトラメチルフタルアミド、N,N,N’,N’−テトラエチルフタルアミドなどのフタルアミド化合物;
N−メチルフタルイミド、N−エチルフタルイミドなどのフタルイミド化合物などをあげることができる。
【0194】
また、式(IVa)で表される基を有する環状化合物としては、下式(IVa−2)又は下式(IVa−3)で表される化合物をあげることができる。
【化37】
[式中、hは0〜10の整数を表し、R
34及びR
35は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビル基を表す。]
【化38】
[式中、iは0〜10の整数を表し、R
36は、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビル基を表す。]
【0195】
式(IVa−2)又は下式(IVa−3)のR
34、R
35及びR
36は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビル基を表す。R
34、R
35及びR
36のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基をあげることができる。
【0196】
R
34、R
35及びR
36の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;メトキシフェニル基、エトキシフェニル基などのアルコキシアリール基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基、t−ブチルジメチルシリロキシメチル基、トリメトキシシリルプロピル基などをあげることができる。
【0197】
式(IVa−2)のR
34及びR
35としては、好ましくはヒドロカルビル基であり、より好ましくはアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。
【0198】
式(IVa−3)のR
36としては、好ましくはヒドロカルビル基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基であり、更に好ましくはメチル基、フェニル基である。
【0199】
式(IVa−2)又は式(IVa−3)のh及びiは、それぞれ0〜10の整数を表す。低燃費性及びウェットグリップ性能をバランス良く高める観点から、好ましくは2以上であり、製造時の経済性を高める観点から、好ましくは7以下である。
【0200】
式(IVa−2)で表される化合物としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(t−ブチル)−2−イミダゾリジノン、1,3−ジフェニル−2−イミダゾリジノンなどの1,3−ヒドロカルビル置換−2−イミダゾリジノンをあげることができる。好ましくは、1,3−置換−2−イミダゾリジノンであり、より好ましくは、1,3−ヒドロカルビル置換−2−イミダゾリジノンであり、更に好ましくは、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンである。1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンとしては、好ましくは、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノンであり、より好ましくは、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである。
【0201】
式(IVa−3)で表される化合物としては、N−メチル−β−プロピオラクタム、N−(t−ブチル)−β−プロピオラクタム、N−フェニル−β−プロピオラクタム等のβ−プロピオラクタム化合物;
1−メチル−2−ピロリドン、1−(t−ブチル)−2−ピロリドン、1−フェニル−2−ピロリドン、1−(p−メチルフェニル)−2−ピロリドン、1−(p−メトキシフェニル)−2−ピロリドン、1−ベンジル−2−ピロリドン、1−ナフチル−2−ピロリドン、1−フェニル−5−メチル−2−ピロリドン、1−(t−ブチル)−5−メチル−2−ピロリドン、1−(t−ブチル)−1,3−ジメチル−2−ピロリドン等の2−ピロリドン化合物;
1−(t−ブチル)−2−ピペリドン、1−フェニル−2−ピペリドン、1−(p−メチルフェニル)−2−ピペリドン、1−(p−メトキシフェニル)−2−ピペリドン、1−ナフチル−2−ピペリドン等の2−ピペリドン化合物;
N−メチル−ε−カプロラクタム、N−エチル−ε−カプロラクタム、N−(n−プロピル)−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタム、N−(p−メトキシフェニル)−ε−カプロラクタム、N−ベンジル−ε−カプロラクタム等のε−カプロラクタム化合物;
N−フェニル−ω−ラウリロラクタム等のω−ラウリロラクタム化合物をあげることができる。
【0202】
式(IVa−3)で表される化合物としては、好ましくは、2−ピロリドン化合物、ε−カプロラクタム化合物であり、より好ましくは、1−ヒドロカルビル置換−2−ピロリドン、N−ヒドロカルビル置換−ε−カプロラクタムであり、更に好ましくは、1−アルキル置換−2−ピロリドン、1−アリール置換−2−ピロリドン、N−アルキル置換−ε−カプロラクタム、N−アリール置換−ε−カプロラクタムであり、特に好ましくは1−フェニル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタムである。
【0203】
式(IV)で表される基を有する化合物としては、式(IV)のpが1であり、Aがアミノ基である下式(IVb)で表される基を有する化合物をあげることができる。
【化39】
[式中、Tは、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビレン基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビレン基を表す。]
【0204】
式(IVb)で表される基を有する化合物としては、ベンズアルデヒド化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾフェノン化合物をあげることができる。
【0205】
式(IVb)で表される基を有する化合物としては、下式(IVb−1)で表される化合物をあげることができる。
【化40】
[式中、R
37は、水素原子、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基、又は、窒素原子及び/若しくは酸素原子をヘテロ原子として有するヘテロ環基を表し、R
38及びR
39は、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜10の基を表し、R
38及びR
39は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよく、R
38及びR
39は窒素に二重結合で結合する同一の基であってもよく、Tは、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビレン基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビレン基を表す。]
【0206】
R
37のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基をあげることができる。
【0207】
R
37の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基及び酸素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。
【0208】
R
37の窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有するヘテロ環基とは、窒素原子及び/又は酸素原子を環内に含む複素環式化合物残基を表し、該基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−フリル基などをあげることができる。
【0209】
R
37としては、好ましくは、水素原子、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基である。炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基としては、好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基及びフェニル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、フェニル基である。また、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基としては、好ましくは、窒素原子を有する基を置換基として有するアリール基であり、より好ましくは、ジアルキルアミノフェニル基、4−モルホリノフェニル基である。
【0210】
式(IVb−1)のR
38及びR
39としては、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基などをあげることができる。
【0211】
R
38及びR
39のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基をあげることができる。
【0212】
R
38及びR
39の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基及び酸素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。
【0213】
R
38及びR
39が結合した基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜20の2価の基があげられる。例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシジアルキレン基;−CH
2CH
2−NH−CH
2−で表される基、−CH
2CH
2−N=CH−で表される基などの含窒素基などをあげることができる。
【0214】
R
38及びR
39の窒素に二重結合で結合する同一の基としては、窒素原子及び酸素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、エチリデン基、1−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基、1−メチルエチリデン基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン基などをあげることができる。
【0215】
R
38及びR
39としては、好ましくは、ヒドロカルビル基であり、より好ましくは、アルキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基である。
【0216】
Tのヒドロカルビレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;フェニレン基、メチルフェニレン基、エチルフェニルレン基、ナフチレン基等のアリーレン基をあげることができる。
【0217】
Tの置換ヒドロカルビレン基としては、窒素原子を有する基及び酸素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビレン基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチレン基、ジエチルアミノエチレン基などのジアルキルアミノアルキレン基;ジメチルアミノフェニレン基、ジエチルアミノフェニレン基などのジアルキルアミノアリーレン基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチレン基、メトキシエチレン基、エトキシメチレン基、エトキシエチレン基などのアルコキシアルキレン基をあげることができる。
【0218】
Tとしては、好ましくは、ヒドロカルビレン基であり、より好ましくは、アリーレン基であり、更に好ましくは、フェニレン基である。
【0219】
式(IVb−1)で表される化合物としては、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド、3,5−ビス(ジヘキシルアミノ)−ベンズアルデヒド等のジアルキルアミノ置換ベンズアルデヒド化合物;4’−アミノアセトフェノン等のアミノ置換アセトフェノン化合物;4’−ジメチルアミノアセトフェノン、4’−ジエチルアミノアセトフェノン等のジアルキルアミノ置換アセトフェノン化合物;4−モルホリノアセトフェノン、4’−イミダゾール−1−イル−アセトフェノン、4−ピラゾリルアセトフェノン等のヘテロ環基置換アセトフェノン化合物;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジエチルアミノベンゾフェノン、3−ジメチルアミノベンゾフェノン、3−ジエチルアミノベンゾフェノン等のジアルキルアミノ置換ベンゾフェノン化合物;4−モルホリノベンゾフェノン、4’−(イミダゾール−1−イル)−ベンゾフェノン、4−ピラゾリルベンゾフェノン等のヘテロ環基置換ベンゾフェノン化合物をあげることができる。
【0220】
式(IVb−1)で表される化合物としては、好ましくは、置換アセトフェノン化合物、置換ベンゾフェノン化合物であり、下式(IVb−1−1)又は下式(IVb−1−2)で表される化合物をあげることができる。
【化41】
[式中、jは1又は2の整数を表し、Y
1はベンゼン環上の置換基であって、窒素原子を有する官能基を表し、Y
1が複数ある場合、複数あるY
1は、同一でも異なっていてもよい。]
【化42】
[式中、sは1又は2の整数を表し、tは0〜2の整数を表し、Y
2及びY
3は、ベンゼン環上の置換基であって、窒素原子を有する官能基を表し、Y
2が複数ある場合、複数あるY
2は、同一でも異なっていてもよく、Y
3が複数ある場合、複数あるY
3は、同一でも異なっていてもよい。]
【0221】
式(IVb−1−1)又は式(IVb−1−2)のY
1、Y
2及びY
3は、窒素原子を有する官能基を表し、アミノ基、イソシアノ基、シアノ基、ピリジル基、ピペリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリノ基などをあげることができる。好ましくは、ジアルキルアミノ基、イミダゾリル基、モルホリノ基である。また、ジアルキルアミノ基のアルキル基としては、炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましい。
【0222】
式(IVb−1)で表される化合物としては、より好ましくは、ヘテロ環基置換アセトフェノン化合物、ジアルキルアミノ置換ベンゾフェノン化合物、ヘテロ環基置換ベンゾフェノン化合物であり、特に好ましくは、4’−イミダゾール−1−イル−アセトフェノン、4−モルホリノアセトフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4−モルホリノベンゾフェノンである。
【0223】
以下、下記式(V)で表される基を有する化合物について説明する。
【化43】
[式中、mは1〜11の整数を表し、A
4は窒素原子を有する官能基を表す。]
【0224】
mは、1〜11の整数を表す。低燃費性及びウェットグリップ性能をバランス良く高める観点から、好ましくは1以上であり、製造時の経済性を高める観点から、好ましくは4以下である。A
4は窒素原子を有する官能基であり、アミノ基、イソシアノ基、シアノ基、ピリジル基、ピペリジル基、ピラジニル基、モルホリノ基などをあげることができる。
【0225】
式(V)で表される基を有する化合物としては、下式(V−1)で表される化合物をあげることができる。
【化44】
[式中、kは0〜10の整数を表し、R
41は炭素原子数が1〜5のヒドロカルビル基を表し、R
42、R
43、R
44及びR
45は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数が1〜5のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜5の置換ヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜5のヒドロカルビルオキシ基を表し、R
42及びR
43が複数ある場合は、複数あるR
42及び複数あるR
43はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、R
46及びR
47は、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜6の基を表し、R
46及びR
47は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよく、R
46及びR
47は窒素に二重結合で結合する同一の基であってもよい。]
【0226】
式(V−1)のkは、0〜10の整数を表す。経済性を高める観点から、好ましくは3以下であり、より好ましくは0である。
【0227】
式(V−1)のR
41は炭素原子数が1〜5のヒドロカルビル基を表す。R
41のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基をあげることができる。
【0228】
R
41のヒドロカルビル基としては、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0229】
式(V−1)のR
42〜R
45は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数が1〜5のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜5の置換ヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜5のヒドロカルビルオキシ基を表し、R
42及びR
43が複数ある場合は、複数あるR
42及び複数あるR
43はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0230】
R
42〜R
45のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基をあげることができる。
【0231】
R
42〜R
45の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基及び酸素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基などをあげることができる。
【0232】
R
42〜R
45のヒドロカルビルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基をあげることができる。
【0233】
R
42〜R
45のヒドロカルビル基としては、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0234】
R
42〜R
45の置換ヒドロカルビル基としては、好ましくはアルコキシアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基であり、更に好ましくは、メトキシメチル基、エトキシエチル基である。
【0235】
R
42〜R
45のヒドロカルビルオキシ基としては、好ましくはアルコキシ基であり、より好ましくは炭素原子数が1〜3のアルコキシ基であり、更に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基である。
【0236】
低燃費性及びウェットグリップ性能をバランス良く高める観点及び経済性から、R
44及びR
45の一方が水素原子であることが好ましい。より好ましくは、R
44及びR
45の一方が水素原子であり、もう一方がアルキル基またはアルコキシ基である。更に好ましくは、R
44及びR
45の一方が水素原子であり、もう一方がアルコキシ基である。特に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基である。
【0237】
式(V−1)のR
46及びR
47は、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜6の基を表し、R
46及びR
47は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよく、R
46及びR
47は窒素に二重結合で結合する同一の基であってもよい。
【0238】
式(V−1)のR
46及びR
47としては、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、置換シリル基などをあげることができる。
【0239】
R
46及びR
47のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などをあげることができる。
【0240】
R
46及びR
47の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;エポキシ基、テトラヒドロフラニル基などのアルキレンオキシド基;グリシジル基、テトラヒドロフルフリル基などのアルキレンオキシドアルキル基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基などのトリアルキルシリルアルキル基などをあげることができる。なお、本明細書において、アルキレンオキシド基は、環状エーテル化合物の環から水素原子を除いた1価の基を表す。また、アルキレンオキシドアルキル基は、アルキル基の1つ以上の水素原子がアルキレンオキシド基で置換されている基を表す。
【0241】
R
46及びR
47の置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基;トリメトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基などをあげることができる。
【0242】
R
46及びR
47が結合した基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシジアルキレン基;−CH
2CH
2−NH−CH
2−で表される基、−CH
2CH
2−N=CH−で表される基などの含窒素基などをあげることができる。
【0243】
R
46及びR
47が結合した基としては、含窒素基が好ましく、−CH
2CH
2−NH−CH
2−で表される基、−CH
2CH
2−N=CH−で表される基がより好ましい。
【0244】
R
46及びR
47の窒素に二重結合で結合する同一の基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、エチリデン基、1−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基、1−メチルエチリデン基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン基などをあげることができる。
【0245】
R
46及びR
47のヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基であり、より更に好ましくは、メチル基、エチル基である。R
46及びR
47の置換ヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルコキシアルキル基、アルキレンオキシド基、アルキレンオキシドアルキル基である。R
46及びR
47の置換シリル基としては、好ましくは、トリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基であり、より好ましくは、トリアルキルシリル基であり、更に好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基である。
【0246】
R
46及びR
47としては、好ましくは、アルキル基、アルコキシアルキル基、置換シリル基又はR
46及びR
47が結合した含窒素基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基であり、より更に好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0247】
R
46及びR
47が窒素原子に結合したアミノ基としては、非環状アミノ基、環状アミノ基をあげることができる。
該非環状アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、ジ(ネオペンチル)アミノ基、エチルメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジ(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシエチル)アミノ基、ジ(エトキシメチル)アミノ基、ジ(エトキシエチル)アミノ基などのジ(アルコキシアルキル)アミノ基;ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ基などのジ(トリアルキルシリル)アミノ基などをあげることができる。また、ジ(エポキシ)アミノ基、ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ基などのジ(アルキレンオキシド)アミノ基;ジ(グリシジル)アミノ基、ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ基などのジ(アルキレンオキシドアルキル)アミノ基をあげることができる。更には、エチリデンアミノ基、1−メチルプロピリデンアミノ基、1,3−ジメチルブチリデンアミノ基、1−メチルエチリデンアミノ基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデンアミノ基などもあげることができる。
【0248】
該環状アミノ基としては、1−ピロリジニル基、1−ピペリジノ基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−ヘプタメチレンイミノ基、1−オクタメチレンイミノ基、1−デカメチレンイミノ基、1−ドデカメチレンイミノ基などの1−ポリメチレンイミノ基をあげることができる。また、環状アミノ基としては、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基、1−イミダゾリジニル基、1−ピペラジニル基、モルホリノ基などもあげることができる。
【0249】
R
46及びR
47が窒素原子に結合したアミノ基としては、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、化合物の長期安定性及び入手容易性から、好ましくは、非環状アミノ基であり、より好ましくは、ジアルキルアミノ基であり、更に好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基である。
【0250】
式(V−1)で表される化合物としては、N,N−ジアルキル置換カルボン酸アミドジアルキルアセタール化合物をあげることができる。
【0251】
N,N−ジアルキル置換カルボン酸アミドジアルキルアセタール化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)ホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)ホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)ホルムアミドエチルメチルアセタールなどのN,N−ジアルキルホルムアミドジアルキルアセタール;
【0252】
N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、N,N−ジエチルアセトアミドジメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)アセトアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルアセトアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルアセトアミドジエチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)アセトアミドジエチルアセタール、N,N−ジメチルアセトアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジエチルアセトアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)アセトアミドエチルメチルアセタールなどのN,N−ジアルキルアセトアミドジアルキルアセタール;
【0253】
N,N−ジメチルプロピオンアミドジメチルアセタール、N,N−ジエチルプロピオンアミドジメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)プロピオンアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルプロピオンアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルプロピオンアミドジエチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)プロピオンアミドジエチルアセタール、N,N−ジメチルプロピオンアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジエチルプロピオンアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)プロピオンアミドエチルメチルアセタールなどのN,N−ジアルキルプロピオンアミドジアルキルアセタールなどがあげられる。
【0254】
これらの中では、低燃費性及びウェットグリップ性能をバランス良く高める観点から、好ましくは、
N,N−ジアルキルホルムアミドジアルキルアセタールであり、
より好ましくは、
N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、
N,N−ジエチルホルムアミドジメチルアセタール、
N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、
N,N−ジエチルホルムアミドジエチルアセタールである。
【0255】
(重量平均分子量Mw)
上記共重合体の重量平均分子量Mwは、1.0×10
5〜2.5×10
6である。Mwが1.0×10
5未満の場合は低燃費性が悪くなる傾向があり、一方、Mwが2.5×10
6を超えると加工性が悪くなる傾向がある。Mwの下限は、好ましくは2.0×10
5以上、より好ましくは3.0×10
5以上であり、上限は、好ましくは1.5×10
6以下、より好ましくは1.0×10
6以下である。
なお、Mwは、重合時に使用する重合開始剤の量を変更するなどの方法により適宜調節することができ、後述の実施例の方法で測定できる。
【0256】
<共重合体の製造方法>
開始末端、主鎖及び停止末端が変性された本発明の共重合体は、式(I)で表される重合開始剤を用いて共役ジエン化合物及び式(II)で表される化合物を重合させて得られる共重合体の活性末端に、式(III)で表される化合物、式(IV)で表される基を有する化合物及び式(V)で表される基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を反応させて製造することができ、具体的には、以下の製造方法で製造できる。
【0257】
(重合方法)
上記共重合体の重合方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができ、ハンドリングの容易性の観点から、溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
【0258】
溶液重合法を用いた場合には、溶液中のモノマー濃度(共役ジエン化合物、式(II)で表される化合物、芳香族ビニル化合物などの合計)は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。溶液中のモノマー濃度が5質量%未満では、得られる共重合体の量が少なく、高コストになる傾向がある。また、溶液中のモノマー濃度は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。溶液中のモノマー濃度が50質量%を超えると、溶液粘度が高くなりすぎて撹拌が困難となり、重合しにくくなる傾向がある。
【0259】
(アニオン重合の方法)
式(I)で表される重合開始剤を用い、アニオン重合によって共重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、式(I)で表される重合開始剤などを重合開始剤とし、必要に応じてランダマイザーの存在下で、共役ジエン化合物と式(II)で表される化合物と、必要に応じて芳香族ビニル化合物などとをアニオン重合させればよい。
なお、必要に応じて、n−ブチルリチウムなどの他の重合開始剤を併用してもよい。
【0260】
式(I)で表される重合開始剤の使用量は、重合で使用されるモノマー成分100gあたり0.01〜15mmolであることが好ましく、0.1〜10mmolであることがより好ましい。
【0261】
(アニオン重合における炭化水素系溶剤)
上記炭化水素系溶剤としては、炭素原子数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。
【0262】
(アニオン重合におけるランダマイザー)
また、上記ランダマイザーとは、共重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造制御(例えば、ブタジエンにおける1、2−結合の増加など)や、共重合体におけるモノマー単位の組成分布の制御(例えば、ブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化など)などの作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを用いることができる。例えば、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタンなどのエーテル類及び第三級アミン類などを挙げることができる。また、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシドなどのカリウム塩類、ナトリウム−t−アミレートなどのナトリウム塩類も用いることができる。
【0263】
ランダマイザーの使用量は使用するランダマイザーの種類により異なるが、重合開始剤1モル当たり、0.01モル当量以上が好ましく、0.05モル当量以上がより好ましい。ランダマイザーの使用量が0.01モル当量未満では、添加効果が小さく、ランダム化しにくい傾向がある。また、ランダマイザーの使用量は、重合開始剤1モル当たり1000モル当量以下が好ましく、500モル当量以下がより好ましい。ランダマイザーの使用量が1000モル当量を超えると、モノマーの反応速度が大きく変化してしまい、逆にランダム化しにくくなる傾向がある。
【0264】
変性剤による変性方法は、アニオン重合で開始末端及び主鎖が変性された共重合体を合成した後、該共重合体と変性剤とを接触させる方法が挙げられ、これらにより共重合体末端部のアニオンと変性剤の官能基とが反応する。その結果、開始末端、主鎖及び停止末端が変性された共重合体が得られる。変性剤を反応させる量は、通常、共重合体100質量部に対して0.01〜10質量部とすればよい
【0265】
本発明においては、上記変性剤による変性反応を行った後に、必要に応じて、公知の老化防止剤や、重合反応を停止する目的でアルコールなどを加えてもよい。
【0266】
<ゴム組成物>
(ゴム成分)
上記共重合体はゴム組成物のゴム成分として使用できる。ゴム成分100質量%中の共重合体の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。5質量%未満であると、低燃費性及びウェットグリップ性能の改善効果が得られにくい傾向がある。また、共重合体の含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。90質量%を超えると、高コストになる傾向がある。
【0267】
上記共重合体は、他のゴム成分と併用してもよい。他のゴム成分としては、ジエン系ゴムを用いることが好ましい。ジエン系ゴムは、天然ゴム(NR)、ジエン系合成ゴムを使用でき、ジエン系合成ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。なかでも、低燃費性及びウェットグリップ性能をバランス良く示すことから、NR、BR、SBRが好ましい。これらのゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0268】
本発明のゴム組成物がNRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。上記範囲内であれば、低燃費性及びウェットグリップ性能がバランス良く得られる。
【0269】
本発明のゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。上記範囲内であれば、低燃費性及びウェットグリップ性能がバランス良く得られる。
【0270】
本発明のゴム組成物がSBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは35質量%以上、より好ましくは45質量%以上であり、また、好ましくは85質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは65質量%以下である。上記範囲内であれば、低燃費性及びウェットグリップ性能がバランス良く得られる。
【0271】
(シリカ)
本発明のゴム組成物は、補強剤としてシリカを配合することが好ましい。上記共重合体によってシリカの分散が促進され、低燃費性及びウェットグリップ性能の向上効果を高めることができる。使用できるシリカとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。また、シリカは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0272】
シリカのチッ素吸着比表面積(N
2SA)は、好ましくは50m
2/g以上、より好ましくは80m
2/g以上、更に好ましくは150m
2/g以上であり、また、好ましくは300m
2/g以下、より好ましくは250m
2/g以下である。チッ素吸着比表面積が50m
2/g未満のシリカでは補強効果が小さく耐摩耗性が低下する傾向があり、300m
2/gを超えるシリカでは分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し、低燃費性が低下する傾向がある。
なお、シリカのN
2SAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
【0273】
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは50質量部以上であり、また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。シリカの含有量が5質量部未満であると耐摩耗性が充分でない傾向があり、一方、シリカの含有量が150質量部を超えると、シリカが分散しにくくなり、加工性、低燃費性が悪化する傾向がある。
【0274】
(シランカップリング剤)
本発明では、シリカとともに、シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤としては特に限定されず、従来からタイヤ分野において汎用されているものを使用でき、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられる。なかでも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィド系を好適に使用できる。
補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが特に好ましい。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0275】
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。シランカップリング剤の含有量が1質量部未満では、未加硫ゴム組成物の粘度が高く、加工性が悪くなる傾向がある。また、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対し、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。シランカップリング剤の含有量が20質量部を超えると、その含有量ほどのシランカップリング剤の配合効果が得られず、高コストになる傾向がある。
【0276】
(カーボンブラック)
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。使用できるカーボンブラックとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。また、カーボンブラックは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0277】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N
2SA)は、好ましくは30m
2/g以上、より好ましくは70m
2/g以上であり、好ましくは250m
2/g以下、より好ましくは150m
2/g以下、更に好ましくは120m
2/g以下である。また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、好ましくは5ml/100g以上、より好ましくは80ml/100g以上、更に好ましくは100ml/100g以上であり、好ましくは300ml/100g以下、より好ましくは180ml/100g以下、更に好ましくは150ml/100g以下である。カーボンブラックのN
2SAやDBP吸収量が上記範囲の下限未満では、補強効果が小さく耐摩耗性が低下する傾向があり、上記範囲の上限を超えると、分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し低燃費性が低下する傾向がある。該窒素吸着比表面積は、ASTM D4820−93に従って測定され、該DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される。
【0278】
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。1質量部未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。カーボンブラックの含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。50質量部を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
【0279】
(老化防止剤)
本発明のゴム組成物は、老化防止剤を含むことができる。老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩、ワックスなどを適宜選択して使用することが可能である。
【0280】
(軟化剤)
本発明のゴム組成物は、軟化剤を含むことができる。軟化剤としては、石油系軟化剤、脂肪油系軟化剤、脂肪酸などが挙げられる。軟化剤の含有量は、ウェットグリップ性能を低下させる危険性が少ないという理由から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。また、好ましくは10質量部以上である。
【0281】
(加硫剤)
本発明のゴム組成物は、加硫剤を含むことができる。加硫剤としては、有機過酸化物、硫黄系加硫剤などを使用できる。なかでも、本発明の効果が良好に得られるという点から、硫黄系加硫剤が好ましく、硫黄がより好ましい。
【0282】
(加硫促進剤)
本発明のゴム組成物は、加硫促進剤を含むことができる。加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系加硫促進剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0283】
(加硫助剤)
本発明のゴム組成物は、加硫助剤を含むことができる。加硫助剤としては、ステアリン酸、酸化亜鉛(亜鉛華)などを使用することができる。
【0284】
(その他の成分)
本発明のゴム組成物には、その他の補強剤、各種オイル、可塑剤、カップリング剤などのタイヤ用又は一般のゴム組成物用に配合される各種配合剤及び添加剤を配合することができる。また、これらの配合剤、添加剤の含有量も一般的な量とすることができる。
【0285】
<ゴム組成物の製造方法>
本発明のゴム組成物は、従来公知の製造方法により製造することができ、その製造方法が限定されるものではない。例えば、上記各成分をバンバリーミキサーや混練ロールなどの混練機を用いて、通常の方法及び条件で混練することによって製造することができる。
【0286】
このようにして得られた本発明のゴム組成物を用いることで、低燃費性及びウェットグリップ性能がバランス良く改善された空気入りタイヤが得られる。上記ゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、トレッド、サイドウォールなどに好適に使用できる。
【0287】
<空気入りタイヤ>
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより空気入りタイヤを得る。
【実施例】
【0288】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0289】
以下、合成、重合時に用いた各種薬品について、まとめて説明する。なお、薬品は必要に応じて定法に従い精製を行った。
シクロヘキサン:関東化学(株)製
ピロリジン:関東化学(株)製
ジビニルベンゼン:シグマアルドリッチ社製のp−Divinylbenzene
ヘキサメチレンイミン:関東化学(株)製
n−ブチルリチウム:関東化学(株)製の1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液
n−ヘキサン:関東化学(株)製
スチレン:関東化学(株)製
1,3−ブタジエン:東京化成工業(株)製
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製
AI−200CE2:FMC社製AI−200CE2(3−(N,N−ジメチルアミノ)−1−プロピルリチウムにイソプレン由来の構造単位が2単位結合した化合物(下記式で表される化合物))(0.9M)
【化45】
変性剤A−1:東京化成工業(株)製のN−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド
変性剤A−2:東京化成工業(株)製の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
変性剤A−3:東京化成工業(株)製の1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
変性剤A−4:東京化成工業(株)製の1−フェニル−2−ピロリドン
変性剤A−5:東京化成工業(株)製のN−メチル−ε−カプロラクタム
変性剤A−6:東京化成工業(株)製のN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール
変性剤A−7:東京化成工業(株)製の4−(ジメチルアミノ)ブチルアルデヒドジメチルアセタール
変性剤A−8:東京化成工業(株)製のN,N−ジメチルベンズアミド
変性剤A−9:東京化成工業(株)製の4’−アミノアセトフェノン
2,6−tert−ブチル−p−クレゾール:大内新興化学工業(株)製のノクラック200
【0290】
<上記式(II)で表される化合物の合成>
(化合物A)
十分に窒素置換した100ml容器に、シクロヘキサン50ml、ピロリジン4.1ml(3.6g)、ジビニルベンゼン8.9ml(6.5g)を加え、0℃にてn−ブチルリチウム0.7mlを加えて攪拌した。1時間後、イソプロパノールを加えて反応を停止させ、抽出・精製を行うことで化合物A(下記式で表される化合物)を得た。
【化46】
【0291】
(化合物B)
十分に窒素置換した100ml容器に、シクロヘキサン50ml、ヘキサメチレンイミン5.6ml(4.9g)、ジビニルベンゼン8.9ml(6.5g)を加え、0℃にてn−ブチルリチウム0.7mlを加えて攪拌した。1時間後、イソプロパノールを加えて反応を停止させ、抽出・精製を行うことで化合物B(下記式で表される化合物)を得た。
【化47】
【0292】
<共重合体の分析>
下記により得られた共重合体の分析は以下の方法で行った。
【0293】
(重量平均分子量Mwの測定)
共重合体の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
【0294】
(共重合体の構造同定)
共重合体の構造同定は、日本電子(株)製JNM−ECAシリーズの装置を用いて行った。測定結果から、共重合体中のスチレン、1,3−ブタジエン、及び式(II)で表される化合物(化合物A、化合物B)の含有量を算出した。
【0295】
<共重合体の合成>
(共重合体(1))
十分に窒素置換した耐熱容器にn−ヘキサン1500ml、スチレン100mmol、1,3−ブタジエン800mmol、化合物A 5mmol、テトラメチルエチレンジアミン0.2mmol、AI−200CE2 0.12mmolを加えて、0℃で48時間攪拌した。その後、変性剤A−1 0.15mmolを加えて0℃で15分間撹拌した。その後、アルコールを加えて反応を止め、反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、再沈殿精製により共重合体(1)を得た。得られた共重合体(1)の重量平均分子量は470,000、上記式(II)で表される化合物の含有量(化合物A成分含有率)は1.1質量%、スチレン含有量(スチレン成分含有率)は20質量%であった。
【0296】
(共重合体(2)〜(19))
表1のレシピにて共重合体(1)と同様の方法で合成した。得られた共重合体(2)〜(19)の特性を表1に示す。
【0297】
【表1】
【0298】
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B
SBR:JSR(株)製のSL574
共重合体(1)〜(19):上記方法で合成
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(N
2SA:175m
2/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN339(N
2SA:96m
2/g、DBP吸収量:124ml/100g)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のX−140
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
加硫促進剤(2):大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
【0299】
(実施例及び比較例)
表2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃で10分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
得られた加硫ゴム組成物及び試験用タイヤを以下に示す試験方法により評価した。
【0300】
(低燃費性)
(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度50℃でtanδを測定した。そして、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示す。
(低燃費性指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
【0301】
(ウェットグリップ性能(1))
(株)上島製作所製フラットベルト式摩擦試験機(FR5010型)を用いてウェットグリップ性能を評価した。上記加硫ゴム組成物からなる幅20mm、直径100mmの円筒形のゴム試験片をサンプルとして用い、速度20km/時間、荷重4kgf、路面温度20℃の条件で、路面に対するサンプルのスリップ率を0〜70%まで変化させ、その際に検出される摩擦係数の最大値を読みとった。そして、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能(1)指数)=(各配合の摩擦係数の最大値)/(比較例1の摩擦係数の最大値)×100
【0302】
(ウェットグリップ性能(2))
水を撒いて湿潤路面としたテストコースにて、上記試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、速度70km/hで制動し、タイヤに制動をかけてから停車するまでの走行距離(制動距離)を測定した。そして、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能(2)指数)=(比較例1の制動距離)/(各配合の制動距離)×100
【0303】
【表2】
【0304】
特定の官能基を有する重合開始剤を用いて共役ジエン化合物及び特定の化合物を重合させて得られる共重合体の活性末端に、特定の官能基を有する化合物を反応させて得られ、重量平均分子量Mwが特定の範囲内である共重合体を用いた実施例では、低燃費性及びウェットグリップ性能がバランス良く改善された。
【0305】
実施例7、比較例4〜7の比較により、上記共重合体は、開始末端、主鎖、停止末端のそれぞれを特定の化合物の組合せで変性しているため、低燃費性を相乗的に改善できることが分かった。