特許第5912985号(P5912985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通コンポーネント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5912985-タッチパネル及びその製造方法 図000002
  • 特許5912985-タッチパネル及びその製造方法 図000003
  • 特許5912985-タッチパネル及びその製造方法 図000004
  • 特許5912985-タッチパネル及びその製造方法 図000005
  • 特許5912985-タッチパネル及びその製造方法 図000006
  • 特許5912985-タッチパネル及びその製造方法 図000007
  • 特許5912985-タッチパネル及びその製造方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912985
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】タッチパネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   G06F3/041 400
   G06F3/041 430
   G06F3/041 662
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-177297(P2012-177297)
(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-35686(P2014-35686A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 展也
【審査官】 松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−209590(JP,A)
【文献】 特開2011−113461(JP,A)
【文献】 特開2012−27404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
3/041−3/047
G02F 1/1345
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に引き出される配線が接続された本体部と、
加飾印刷が施されたシート部材と、
前記本体部に前記シート部材を接着すると共に前記シート部材と同一の大きさである接着剤と、
前記接着剤と前記配線との間に形成される非接着膜と
を備えることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記非接着膜は、非接着剤を含有したインクを前記接着剤に印刷すること、又は当該インクを前記接着剤に吹き付けることによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記非接着膜は、前記配線と対向する接着剤上の領域を含む、前記接着剤の外周部に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記非接着膜の膜厚は、3〜5μmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項5】
シート部材に加飾印刷を施す工程と、
前記加飾印刷が施されたシート部材に接着剤を貼り合わせる工程と、
タッチパネルの本体部に接続される配線と対向する前記接着剤の位置に非接着膜を形成する工程と、
前記非接着膜が形成されたシート部材を所望の形状に切断する工程と、
当該切断されたシート部材を前記本体部に貼り付ける工程と備えるタッチパネルの製造方法。
【請求項6】
シート部材に加飾印刷を施す工程と、
タッチパネルの本体部に接続される配線と対向する前記加飾印刷上に非接着膜を形成する工程と、
前記非接着膜が形成されたシート部材に接着剤を貼り合わせる工程と、
前記接着剤が貼り合わされたシート部材を所望の形状に切断する工程と、
当該切断されたシート部材を前記本体部に貼り付ける工程と備えるタッチパネルの製造方法。
【請求項7】
前記非接着膜は、非接着剤を含有したインクを前記接着剤に印刷すること、又は当該インクを前記接着剤に吹き付けることによって形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のタッチパネルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、操作面上に保護シートが貼り付けられるタッチパネルが知られている(例えば、特許文献1参照)。このタッチパネルでは、タッチパネルの振動をユーザに効果的に伝達するために、保護シートの周縁部にタッチパネルの周縁部と接着されていない非接着部が形成されている。
【0003】
図1は、従来のタッチパネルの分解図である。図2(A)は、上方から見た場合の従来のタッチパネルの模式図であり、図2(B)は、図2(A)のA−A線の断面図である。図2(B)は、図2(A)のタッチパネルを反転させた状態(即ち、操作面が最下位置にある状態)を示す。
【0004】
図1において、タッチパネル1は、タッチパネル本体部2と、透明電極用配線を含むFPC(Flexible Printed Circuit)3と、加飾フィルム5をタッチパネル本体部2に接着するためのOCA(Optical Clear Adhesive)4と、外観の意匠性を向上させる加飾フィルム5と備えている。加飾フィルム5は、PET(Polyethylene terephthalate)フィルム5aで構成されており、そのフィルム5aの外周部に外観デザインのための加飾印刷5bが施されている。
【0005】
OCA4は、FPC3と対向する位置に切り欠け部4aを有しており、FPC3上に配置されない構成となっている。これは、OCA4が切り欠け部4aを有しない場合、FPC3の接続部6(即ちタッチパネル本体部2に接続されているFPC3の配線部分)において、OCA4が接続部6の凹凸に追従し、操作面(つまり加飾フィルム5)のフラット性が損なわれるためであり、さらに、FPC3の接続部6及び加飾フィルム5がOCA4に固定され、OCA4や加飾フィルム5の熱収縮により接続部6がダメージを受けるためである。
【0006】
図1及び図2(A),(B)に示すタッチパネル1の製造方法を図3に示す。タッチパネルの製造装置としては公知の装置を利用する。
【0007】
まず、加飾印刷5bがPETフィルム5aの外周部に施される(ステップS1)。そして、OCA4が型抜き加工により、図1に示すような形状に加工される(ステップS2)。ここでは、図2(A)及び図3に示すように、型抜き加工により、FPC3の接続部6及び外周部に対応するOCA4bが削除される。
【0008】
次に、加工されたOCA4が、加飾印刷5bが施されたPETフィルム5a上に貼り合わされる(ステップS3)。その後、OCA4が貼り合わされたPETフィルム5aを適切な形状に切断し(ステップS4)、その切断されたPETフィルム5aをタッチパネル本体部2に貼り付ける(ステップS5)。尚、ステップS4のOCA4が貼り合わされたPETフィルム5aからは、複数のタッチパネル用PETフィルムが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−113461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、OCA4は型抜き加工する必要があるので、型抜き用の金型を作成するための費用が必要であり、製造コストが高くなる。一方で、型抜き加工を行わない場合には、上述したように、FPC3の接続部6(FPC3の配線部分)が破損するおそれがある。
【0011】
本発明の目的は、配線の破損を回避すると共に製造コストを低減できるタッチパネル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、明細書に開示されたタッチパネルは、外部に引き出される配線が接続された本体部と、加飾印刷が施されたシート部材と、前記本体部に前記シート部材を接着すると共に前記シート部材と同一の大きさである接着剤と、前記接着剤と前記配線との間に形成される非接着膜とを備える。
【0013】
明細書に開示されたタッチパネルの製造方法は、シート部材に加飾印刷を施す工程と、前記加飾印刷が施されたシート部材に接着剤を貼り合わせる工程と、タッチパネルの本体部に接続される配線と対向する前記接着剤の位置に非接着膜を形成する工程と、前記非接着膜が形成されたシート部材を所望の形状に切断する工程と、当該切断されたシート部材を前記本体部に貼り付ける工程と備える。
【0014】
明細書に開示されたタッチパネルの製造方法は、シート部材に加飾印刷を施す工程と、タッチパネルの本体部に接続される配線と対向する前記加飾印刷上に非接着膜を形成する工程と、前記非接着膜が形成されたシート部材に接着剤を貼り合わせる工程と、前記接着剤が貼り合わされたシート部材を所望の形状に切断する工程と、当該切断されたシート部材を前記本体部に貼り付ける工程と備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、配線の破損を回避すると共に製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来のタッチパネルの分解図である。
図2】(A)は、上方から見た場合の従来のタッチパネルの模式図である。(B)は、図2(A)のA−A線の断面図である。
図3】従来のタッチパネルの製造方法を示す図である。
図4】(A)は、第1の実施の形態に係るタッチパネルの分解図である。(B)は、図4(A)のB−B線の断面図である。
図5】第1の実施の形態に係るタッチパネルの製造方法を示す図である。
図6】第2の実施の形態に係るタッチパネルの断面図である。
図7】第2の実施の形態に係るタッチパネルの製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図4(A)は、本実施の形態に係るタッチパネルの分解図である。図4(B)は、図4(A)のB−B線の断面図である。図4(B)は、図4(A)のタッチパネルを反転させた状態(即ち、操作面が最下位置にある状態)を示す。
【0019】
図4(A)において、タッチパネル11は、公知の抵抗膜方式又は投影型静電容量方式(プロジェクテッドキャパシティブ方式)のタッチパネル本体部12と、透明電極用配線を含むFPC(Flexible printed circuit)13と、加飾フィルム15をタッチパネル本体部12に接着するためのOCA(optical clear adhesive)14と、外観の意匠性を向上させる加飾フィルム15と備えている。
【0020】
加飾フィルム15は、タッチパネル本体部12に対する操作を入力する操作面であり、PET(Polyethylene terephthalate)フィルム15aで構成されている。PETフィルム15aの外周部には、外観デザインのための加飾印刷15bが施されている。尚、加飾フィルム15は、PETフィルムに代えて、ポリカーボネート(Polycarbonate)又はガラスで構成されていてもよい。
【0021】
FPC13の接続部16と対向するOCA14上の領域17aを含むOCA14の外周部17には、非接着膜18が形成される。これにより、接着剤やシート部材の熱収縮により生じる応力がタッチパネル本体部12の操作面に均等にかかる。
【0022】
非接着膜18は、シリコン等の非接着剤を含有したインクをOCA14の外周部17に印刷すること、又は当該インクをスプレー等によりOCA14の外周部17に吹き付けることによって形成されている。非接着膜18の膜厚、即ち、非接着剤を含有したインクの膜厚は、3〜5μmである。これは、公知の装置を利用して、非接着剤を含有したインクを印刷した場合又は吹き付けた場合に、最小の膜厚が3〜5μmになるからである。尚、非接着膜18は、シリコン等の非接着成分を含有したフィルムで形成されてもよい。また、非接着膜18は、図4(B)に示すように、OCA14のタッチパネル本体部12側に形成されている。
【0023】
FPC13は、タッチパネル本体部12の一端に接続されている。FPC13の接続部16、即ち、タッチパネル本体部12に接続されているFPC13の配線部分は、図4(B)に示すように、非接着膜18に接している。これにより、例えば、加飾フィルム15の収縮により、OCA14に中心方向に向かう応力(図4(B)の矢印)が作用しても、FPC13の接続部16には応力が作用することがない。従って、加飾フィルム15の収縮によりFPC13の接続部16がダメージを受けることを回避できる。
【0024】
図5は、タッチパネル11の製造方法を示す図である。タッチパネル11の製造装置としては、公知の装置を利用する。
【0025】
まず、加飾印刷15bがPETフィルム15aの外周部17に施される(ステップS11)。次に、OCA14が、加飾印刷15bが施されたPETフィルム15a上に貼り合わされる(ステップS12)。次いで、OCA14の外周部17に非接着剤を含有したインクが印刷される又はスプレー等により吹き付けられる(ステップS13)。これにより、非接着膜18がOCA14の外周部17に形成される。
【0026】
その後、OCA14が貼り合わされたPETフィルム15aを所望の形状に切断する(ステップS14)。従って、OCA14は平面視でPETフィルム15aと同一の大きさになる。尚、OCA14が貼り合わされたPETフィルム15aからは、複数のタッチパネル用PETフィルムが得られる。また、所望の形状とは、タッチパネル本体部12よりも一回り大きい形状である。最後に、切断されたPETフィルム15aをタッチパネル本体部12に貼り付ける(ステップS15)。
【0027】
このように、図5のタッチパネル11の製造方法によれば、OCA14の型抜き加工が不要なので、型抜き用の金型を作成するための費用が不要である。従って、従来のタッチパネルの製造方法を比べて、製造コストを低減できる。また、OCA14の型抜き加工が行われる場合には、OCA14を加飾フィルム15に高精度で貼り合わせる必要があるが、図5のタッチパネル11の製造方法では、OCA14の型抜き加工が行われないので、高精度の貼り合わせが要求されることがなく、製造しやすいというメリットがある。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態によれば、タッチパネル11は、外部に引き出される配線、即ちFPC13が接続されたタッチパネル本体部12と、加飾印刷が施された加飾フィルム15と、タッチパネル本体部12に加飾フィルム15を接着すると共に加飾フィルム15と同一の大きさであるOCA14と、OCA14とFPC13との間に形成される非接着膜18とを備える。
【0029】
よって、FPC13の配線が接着剤やシート部材の熱収縮に応じた応力を受けることがないので、配線の破損を回避することができる。OCA14が加飾フィルム15と同一の大きさであるので、OCA14の型抜き用の金型が不要であり、製造コストを低減できる。
【0030】
また、タッチパネル11では、加飾フィルム15とタッチパネル本体部12との間に空間が形成されることがないので、OCA14に異物が付着し、製造の歩留まりが悪化するという問題が解消する。さらに、非接着膜18は印刷又はスプレーの吹き付けにより形成される薄膜なので、操作面、即ち加飾フィルム15のフラット性に影響を与えることがない。
【0031】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、非接着膜18が形成される位置が第1の実施の形態と異なる。以下、主として第1の実施の形態と異なる特徴について説明する。
【0032】
図6は、タッチパネル11の変形例の断面図である。
【0033】
非接着膜18は、シリコン等の非接着剤を含有したインクを加飾印刷15bに印刷すること、又は当該インクをスプレー等により加飾印刷15bに吹き付けることによって形成されている。さらに、非接着膜18上にOCA14が貼り合わされ、FPC13の接続部16がOCA14に接着されている。この場合、例えば、加飾フィルム15の熱収縮により、OCA14に中心方向に向かう応力(図6の矢印)が作用しても、非接着膜18がその応力を削減するように機能するので、FPC13の接続部16には応力が作用することが少ない。従って、加飾フィルム15の熱収縮によりFPC13の接続部16がダメージを受けることを抑制できる。
【0034】
図7は、タッチパネル11の製造方法を示す図である。タッチパネル11の製造装置としては、公知の装置を利用する。
【0035】
まず、加飾印刷15bがPETフィルム15aの外周部17に施される(ステップS21)。次に、加飾印刷15b上に非接着剤を含有したインクが印刷される又はスプレー等により吹き付けられる(ステップS22)。これにより、非接着膜18が加飾印刷15b上に形成される。
【0036】
次いで、OCA14が、加飾印刷15b及び非接着膜18が積層されたPETフィルム15a上に貼り合わされる(ステップS23)。その後、OCA14が貼り合わされたPETフィルム15aを所望の形状に切断する(ステップS24)。従って、OCA14は平面視でPETフィルム15aと同一の大きさになる。尚、OCA14が貼り合わされたPETフィルム15aからは、複数のタッチパネル用PETフィルムが得られる。また、所望の形状とは、タッチパネル本体部12よりも一回り大きい形状である。最後に、切断されたPETフィルム15aをタッチパネル本体部12に貼り付ける(ステップS25)。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態によれば、非接着膜18が、OCA14と加飾印刷15bとの間に形成される。よって、FPC13の配線が接着剤やシート部材の熱収縮に応じた応力を受けることが少ないので、配線の破損を回避することができる。
【0038】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
11 タッチパネル
12 タッチパネル本体部
13 FPC
14 OCA
15 加飾フィルム
15a PETフィルム
15b 加飾印刷
16 接続部
18 非接着膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7