(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように組み合わせたモップ及び吸引床ツールは、利点を有するが、このような床ツールが硬質床面上にあるときの清掃機能が損なわれる傾向があり、これらの汎用性が制限される。本発明は、このような欠点に対処することを目的として考案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本発明は、真空掃除機と一体化するか、又は取り外し可能に接続することができる床ツールを提供し、該床ツールは、清掃シートを支持するよう適合された支持部材と、使用時には真空掃除機に結合された導管と連通した少なくとも1つの吸引ノズルと、を備え、支持部材には床ツールを制御するネックが結合され、少なくとも1つの吸引ノズルは、ネックに対して浮動するよう構成されている。
【0007】
従って、本発明は、二重の機能を有する真空掃除機に関連する床ツールを提供する。第1に、床ツールは、吸引清掃機能を提供し、第2に、床ツールは、床面をバキュームすると同時に、床面をワイプするための清掃シートを担持する機能を有する。吸引ノズルは、床ツールの接続ネックに対して浮動するよう構成され、これは複数の利点を提供する。第1に、ネックを介してユーザに加えられる下向きの力は、支持部材に直接伝達されるが、吸引ノズルには伝達されず、この下向きの圧力により支持部材上に担持されたワイプシートの清掃性能が向上する。第2に、吸引ノズルには極めて小さな下向きの力が加わるので、吸引ノズルが床面にわたって軽く載ることができ、これは、吸引ノズルの捕捉性能に利点をもたらす。
【0008】
本発明の床ツールは、支持部材の前縁又は後縁に隣接して配置される単一の吸引ノズルを含むことができるが、代替の実施形態は、第1及び第2の吸引ノズルを含み、各ノズルが支持部材の前縁と後縁のそれぞれに隣接して配置される。
【0009】
好ましい実施形態において、吸引ノズルは、支持部材に対して中央位置に配置することができるマニホールドと連通し、吸引ノズルの各々は、流体担持アームによってマニホールドに連結されている。従って、流体担持アームは、支持部材の上に「上架式」構造で構成される。マニホールドは、床ツールのネックの一部を通って延びることができ、マニホールドがネックに対し相対移動し、吸引ノズルに「浮動」機能を提供することが可能にされるような寸法にすることができる。ユーザが床ツールを操縦できるようにするために、ネックは、第1の軸線の周りで支持部材に枢動可能に取り付けられる第1の部分を定めることができる。第1の部分は、周囲の周りに少なくとも部分的に配列されるレール装置を定める円筒形状とすることができ、該レール装置は、支持部材上で相補的なランナ構造体と係合して、該レール装置がランナに沿って載る/滑動することができるようになる。円筒形ベース部分の周縁のみが支持部材と係合するので、円筒形ベース部分の中央体積部には実質的に障害物が存在せず、マニホールドが通過して該マニホールドを支持部材に結合できるようになる。
【0010】
操縦性の程度を更に向上させるために、ネックは、第1の軸線に垂直な第2の軸線の周りでベース部分に枢動可能に接続される第2の部分を含むことができる。これにより、ネックを回転させることで床ツールを床面に平行な平面で旋回させることができ、床ツールに「操向」性能を提供する。
【0011】
例示の実施形態において、マニホールドは、ネックの第2の部分を通って接続部分に延びて、マニホールドからネックを介して関連の真空掃除機まで空気をダクトで送る役割を果たす可撓性ホースと連通している。
【0012】
第2の態様において、本発明は、真空掃除機用の床ツールを提供し、吸引ノズルを含む本体と、
前記第1の軸線「A」の周りで本体に対し枢動するように本体に結合されたネックとを備え、ネックは、周囲の周りに少なくとも部分的に配置されたレール構造体を定めるベース部分を含み、本体は、レール構造体の個別部分と係合されるランナ構造体を含み、
前記レール構造体は、ランナ構造体に対して滑動可能であり、これによりベース部分を本体に結合するが、ベース部分が本体に対して枢動できるようにする。より具体的には、レール構造体は、ベース部分のリムを含むことができ、本体上のランナ構造体は、リムと重なり合って相対的に滑動可能な突出部を含むことができる。このようにして、本体は、リム上の個別点にてネックのベース部を保持し、これは、ベース部分の中心部を開放したままにすることができることを意味する。従って、ベース部分の開放中央区域は、床ツールの導管を受けることができる。ベース部分に対する導管の寸法を選択することによって、導管は、ベース部分に対して平坦であるよう構成することができる。
【0013】
ネックの枢動運動は、フランジがリムから限定的な部分の周りで内向きに延びることにより制限することができ、フランジの端点は、ベース部分の枢動運動の限界停止部を定める。
【0014】
上述の床ツールは、デブリを床から吸引すること、更に湿潤又は乾燥清掃ワイプにより床を清掃することの二重の機能ツールを提供する。しかしながら、ユーザは、床をワイプすることを必要とせずに床を吸引することを望むことも可能である。従って、第3の態様において、本発明は、清掃シートを支持するよう適合された支持部材と、導管と連通した少なくとも1つの吸引ノズルとを備えた、真空掃除機用の床ツールを提供し、支持部材は、該支持部材から分離可能な取り外し可能パッドと、支持部材から垂下した転動構造とを含む。
【0015】
本発明は、吸引ノズルが取り外し可能パッドと機能的に組み合わせた「吸引及びワイプ」モードと、床面の清掃に吸引ノズルのみが関与する「吸引のみ」モードとで床ツールを使用できるので、床ツールの汎用性を向上させる。実際に、このような構成は、床面が湿気使い捨てワイプシートによるワイプを必要とするよりも頻繁にバキュームを必要とすることが想起されるので、多くの場合、ユーザが硬質床掃除機として使用することができる。従って、床ツールは、バキューム機構と組み合わせた床パッドの使用に限定されない。
【0016】
支持部材は、取り外し可能パッドが分離可能にされるキャリアプレートを含むことができ、転動構造がキャリアプレートの下面に設けられる。
【0017】
転動構造は、ローラ、球体、キャスター、又は低摩擦スキッドによって具現化することができるが、1つの選択肢は、転動構造が、支持部材から下方に垂下して床面に平行な接触平面を定める複数のホイール又はローラを含むことである。
【0018】
ホイール又はローラは、取り外し可能パッドがキャリアプレートに結合されたときに該取り外し可能パッド内に定められるアパーチャに少なくとも部分的に延びることができる。
【0019】
上述のような床ツールにおいて、吸引ノズル及び流体流導管のかなり曲がりくねった幾何形状により、ツールの流体流経路内でデブリが捕捉される危険がある。この危険は軽減する必要があり、従って、第4の態様において、本発明は、清掃シートを支持するよう適合された支持部材と、導管と連通した少なくとも1つの吸引ノズルとを備えた、真空掃除機用の床ツールを提供し、導管は、導管内に設けられたそれぞれのソケットと係合可能な1つ又はそれ以上のプラグ要素を含み、該プラグは、導管内部にアクセスできるようソケットから取り外し可能である。従って、本発明は、ユーザの保守性が改善された、吸引及びワイプ清掃機能を組み合わせた床ツールを提供する。
【0020】
プラグ要素は、これらが堅固に装着されるように圧入又はネジ嵌めによりそれぞれのソケットに固定することができる。任意選択的に、プラグ要素は、ソケットが取り外されたときに該ソケットに近接した所定位置にプラグ要素を保持し、プラグ要素が誤った位置に配置される可能性を低減する係留部を含むことができる。或いは、プラグ要素は、導管に対してヒンジ接続することができ、プラグ要素がソケットから離れてヒンジ移動して、導管に取り付けられたままであるようにする。
【0021】
好ましい実施形態において、マニホールドは、支持部材の中心位置において構成され、第1及び第2の吸引ノズルは、移動方向で支持部材の前縁及び後縁に接して配置される。この実施形態において、導管に対して中央アクセスポイントを提供する1つ又は複数のプラグ要素をマニホールド上に設けることができ、閉塞物を取り除くことができる容易さを向上させる。1つの実施形態において、第1及び第2のプラグ要素が実質的に管状のマニホールドの対向端部に設けられる。従って、マニホールドの各端部においてアクセスが可能となり、また、清掃器具をマニホールドに押し通すことが可能となる。
【0022】
本発明の床ツールの1つの利点は、床面から塵埃、綿毛及び他のデブリを取り込む床ツールの能力が向上することである。この恩恵の一部は、ワイプ支持部材の両側に第1及び第2の吸引チャンバを配列することによって達成されるが、性能の改善はまた、吸引ノズル自体の構成によっても達成される。従って、第5の態様によれば、本発明は、真空掃除機用の床ツールを提供し、該床ツールは、吸引チャンバ出口を有する吸引チャンバの外周を定めるよう垂下した表面係合スカートを有する吸引ノズルを含む主本体を備え、表面係合スカートは、前縁と、後縁と、該前縁及び後縁間に延びる側縁とを含み、後縁は、吸引ノズルから第1の距離だけ下方に垂下し、前縁は、吸引ノズルから第2の距離だけ下方に垂下し、該第2の距離は、第1の距離よりも小さく、使用時に床面と所定のギャップを定めるようにする。
【0023】
従って実際には、吸引ノズル構成は、実質的にノズルの全幅にわたって狭いギャップを提供するが、全幅ギャップは必須ではなく、このギャップにより吸引ノズルに、従って関連の真空掃除機に多量のデブリを吸い込むことが可能となる。理論的には、スカート部材は、床面を係合するためにストリップ状部材を提供し、主として前縁ギャップを通って空気流が吸引ノズルに到達するよう床面とシールを形成するようなあらゆる材料から形成することができる。例えば、ブリストルの壁は好適なストリップを提供することができる。しかしながら、表面係合スカートは、床面に適合することができるように可撓性があり、好ましくはゴムのようなプラスチック材料のストリップであることが好ましい。
【0024】
スカートは、複数の要素から形成され、各々が実質的に切れ目のないスカートを形成することができるが、単一の材料ストリップから形成されてもよい。好ましくは、材料のストリップは、吸引ノズルの主本体上にオーバモールドされ、これにより、吸引ノズルの下面に1つ又は複数の可撓性ストリップを取り付けることが要求されるようなより複雑な技術が回避される。
【0025】
ギャップの正確な寸法は、ある程度は、床ツールが使用される真空清掃装置の吸引力によって決まる。しかしながら、現在のところ、1mm〜4mmのギャップ幅が、幅広い範囲のデブリをギャップを通じて床ツールに流入させながら、ギャップを通過する好適な高速空気流をもたらすことが想起される。最も好ましいのは、約3mmのギャップ幅であり、前縁は、床面と3mmのギャップを定めるように後縁の距離よりも小さい3mmの間の距離だけ吸引ノズルから下方に垂下していると言える。
【0026】
1つの実施形態において、長手方向壁が吸引チャンバに沿って長手方向に延びて、吸引チャンバを前側及び後側吸引チャンネルに分割している。1つ又はそれ以上の開口が長手方向壁に、又はその端部に設けられ、前側及び後側吸引チャンネル間で開口を通って流体が流れることができるようにすることができる。
【0027】
スカートはまた、後縁と前縁との間、又は後縁と長手方向壁との間に延びて、吸引チャンバを各々が関連する吸引チャンバ出口を有する第1及び第2のサブチャンバに分割するようにする横方向壁を含むことができる。横方向壁は、スカートの後縁と同じ量だけ、或いは、スカートの前縁と同じ量だけ下方に垂下することができる。
【0028】
上述のように、吸引ノズルの構成は、小さなデブリ、特に重要なことには、床板ギャップなどのような床面の隙間に存在する汚れ及びデブリを取り込む床ツールの能力を向上させる。しかしながら、本発明の第4の態様は、吸引機能と硬質床ワイプ機能とを組み合わせた二重機能の床ツールに関して特に有用性がある。このように、主本体は、清掃シートを支持するよう適合された支持部材を含むことができ、吸引ノズルは支持部材の第1の縁部に隣接して位置する。
【0029】
このような床ツールは、単一の吸引ノズルで十分とすることができるが、第1の縁部に平行な支持部材の第2の縁部に隣接して位置する別の吸引ノズルを設けることが好ましい。
【0030】
2つの吸引ノズルが設けられた場合には、第1の吸引ノズルの長手方向壁の開口は、第2の吸引ノズルの長手方向壁の開口の流れ面積とは異なる流れ面積を有して構成することができる。この作用は、真空掃除機によって発生する「吸引力」を前方吸引ノズル又は後方吸引ノズルにより多く加えることである。
【0031】
上述のように、本発明の床ツールは、吸引型ツールの機能と硬質床ワイプ器具の機能を組み合わせる。マジックテープ(登録商標)タイプの締結システムによってワイプをベースプレートに取り付けること、また、ワイプシートの縁部がワイプシートの上部に定められるスリット構造内に押し込むことができるように、ベースプレートの周りにワイプシートを巻き付けることは公知である。しかしながら、このような取り付け機構は、ワイプシートを堅固に保持することができない可能性があり、床ツールの前後の移動中にワイプシートが、取り付け機構から引き離される傾向になる場合がある。ワイプシートを吸引型床ツールに取り付けることを可能にする手段を改善する目的で、本発明は、第6の態様において、清掃シートを支持するよう適合された支持部材と、該支持部材に隣接した少なくとも1つの吸引ノズルとを備えた真空掃除機用床ツールを提供し、該支持部材は、キャリアプレート及び床係合パッドを含み、これらは、クランプ構造により共に解放可能に保持されて、清掃シートの縁部をキャリアプレートと床パッドとの間でクランプして清掃シートをパッド上で堅固に保持するようにする。
【0032】
このような構成は、ユーザが清掃シートを床ツールに取り付けるのに特に有用な機構を提供し、使用時に緩むことができないように清掃シートを堅固に締結する。1つの実施形態において、清掃シートが床パッドの周りに巻かれると、クランプ手段は、床パッドがキャリアプレートに押し付けられたときに床パッドをキャリアプレートに自動的にロックするよう動作する。このようにして、ユーザは、単にキャリアプレートをパッド上に押し付けるだけで2つの部品が共にロックされ、直立位置を形成することができる。これは、ユーザの観点から特に好都合である。
【0033】
クランプ手段は、キャリアプレートから床パッドを解放するようユーザが作動させることができる少なくとも1つのボタンを含むことができる。ボタンは、枢動点の周りの床パッドの上面に装着され、キャリアプレート上に設けられたキャッチ面と協働するラッチ面を定めることができる。ボタン構造の自動ラッチは、上面と、床パッドがプレートと接触したときにボタンの面に衝突する傾斜下面とを含むキャッチ面によって具現化することができ、床パッドがプレートと接触することにより、傾斜下面がボタンを付勢してキャッチから離れて枢動し、床パッドがキャリアプレートと完全に係合できるようになり、ボタンが所定位置に枢動して戻り、床パッドをキャリアプレートにロックするようになる。
【0034】
パッドの片側を解放させるようにする単一のボタンが設けられているが、好ましい実施形態では、第1及び第2のユーザ作動ボタンが床パッドの上面の各端部に配置されて、キャリアプレート上のそれぞれのキャッチと係合するようにする。
【0035】
キャリアプレートと床パッドとの間に清掃シートを挟み込むことによって、キャリアプレートと床パッドとの間で清掃シートを堅固に捕捉するのに十分な力を提供することができる。しかしながら、床ツールがシート上で有する保持力を向上させるため、キャリアプレート/床パッドは更に、床パッドとキャリアプレートとの間に清掃シートが係合されたときに清掃シートの縁部を外周で把持するよう構成された把持構造を含むことができる。把持構造は、床パッド上に設けられた少なくとも1つのリブによって定めることができ、リブは、キャリアプレート上に設けられたそれぞれのチャンネルと係合可能である。
【0036】
本発明の第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の態様の好ましい及び/又は任意選択の特徴は、必要に応じて互いに組み合わせることができる点は理解されたい。
【0037】
本発明の実施形態を例証として添付図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
最初に
図1を参照すると、いわゆる「スティック真空掃除機」型の真空掃除機2は、ユーザの手で運ぶことができる手持ち型の真空掃除機4を備える。
【0040】
細長いワンド6は、ワンド6の端部に設けられた床ツール8まで下方に達する手持ち型真空掃除機4に取り付けられ、床ツール8は通常の使用時には床面に置かれる。床面自体は、
図1には明示していないが、その存在は示唆されている点に留意されたい。
【0041】
手持ち型真空掃除機4は、モータ駆動式のファンユニット(図示しない)を備え、該ファンユニットは、モータケース10の内部に配置され且つ手持ち型真空掃除機4の前部に位置付けられた入口ノズル12を通して空気を引き込む。細長いワンド6は、空気入口ノズル12に接続され、床ツール8は、ワンド6の下端部に接続される。使用時には、汚れ空気が床ツール8を通して引き込まれ、ワンド8を通して空気入口12にダクトで送られる。入口ノズル12に入る汚れ空気は、汚れを空気から分離するサイクロン分離システム14を通過し、次いで、比較的清浄な空気が、後部に配置された排気部16から大気環境に排出される。サイクロン分離システム14内で空気流から分離された汚れは、容器18に集められて廃棄される。手持ち型真空掃除機4は、バッテリパック20内に収納された多セル充電バッテリから給電される。
【0042】
床ツール8は、キャッチ21によりワンド6から取り外し可能である。ワンド6は、別のキャッチ23により手持ち型真空掃除機4から取り外し可能である。従って、手持ち型掃除機4は、ワンドを外すことにより独立したユニットとして単独で使用可能であり、又は代替として、手持ち型真空掃除機4、ワンド6及び床ツール8を組み合わせて、吸引機能を有する硬質床用清掃装置として使用することができる。
【0043】
図1の真空掃除機2は、本発明の床ツール8を使用することができる1つの実施可能な構造を例示している点に留意されたい。スティック型真空掃除機の関連では、床ツール8は、特に硬質の床を清掃するのに好都合な可搬の方法を提供する。しかしながら、床ツール4はまた、例えば、シリンダ又は直立した真空掃除機のワンド及びホース組立体に接続された他の形式の真空掃除機と共に使用することができる。床ツールは関連する真空掃除機に接続可能であることが望ましいが、これは本発明にとって必須ではなく、床ツールが一体構成要素でもよく、例えば、
図1の手持ち型真空掃除機のワンドと一体化することができる。
【0044】
また、床ツール8をより詳細に示す
図3及び
図4を参照すると、床ツール8は、主本体22と、枢動可能なネック24とを備え、該ネックは、床ツール8を真空掃除機に接続する役割を果たし、ユーザが清掃されることになる床面にわたる床ツールの操縦を可能にする。
【0045】
主本体22は、吸引ノズル組立体26と、シート状の清掃要素(図示しない)を担持可能なほぼ横長の支持部材28とを備える。吸引ノズル組立体26は、
第1の細長い吸引ノズル30と、第2の細長い吸引ノズル32とを含み、第1の吸引ノズル30及び第2の吸引ノズル32は、支持部材28のそれぞれの長辺に隣接して配置される。
【0046】
図2において、床ツール8は、その「前部」が図面の左側に面するような向きにされる。従って、
第1の吸引ノズル30、第2の吸引ノズル32は、それぞれ前側吸引ノズル30
、後側吸引ノズル32と考えることができ、以後そのように呼ぶことにする。
【0047】
吸引ノズル組立体26は、支持部材28の上面に装着された中央空気マニホールド34を含む。
第1の吸引ノズル30、第2の吸引ノズル32の各々は、マニホールド34の両端部にて反対方向に離れて延びる
第1の接続アーム36及び第2の接続アーム36によってマニホールド34に対して支持される。接続アーム36の各々は中空であり、従って、それに沿って空気を
第1の吸引ノズル30、第2の吸引ノズル32からマニホールド34にダクトで送られる流体通路として機能する。
【0048】
マニホールド34は、ネック24がマニホールド34の中央部分の周りに枢動するようにネック24に結合され、
前記中央部分は、両接続アーム36がマニホールド34と接する連結部38の間に配置される。しかしながら、以下で明らかになるように、ネックはマニホールドの周りを枢動することができるが、マニホールドは、ネックに対して上下に浮動することができる。ネック24は、
図2にマークされるように
第1の軸線Aの周りを枢動する。
【0049】
ネック24は、マニホールド34からネック24の上側接続部分42に延びる可撓性ホース40を収容する開放構造を有する。従って、ネック24は、
第1の吸引ノズル30、第2の吸引ノズル32から接続部分42を介して関連する真空掃除機に空気をダクトで送る役割を果たす。明確化のためにネック24の一部を取り除いた
図4に明確に示されるように、可撓性ホース40は、ネックの接続部分42からT字形の連結パイプ44に延び、
前記連結パイプは、マニホールド34の両側に接続され、従って、マニホールド34を通って流れる空気を可撓性ホース40内に合流させるよう機能する。T字形パイプ44は、
前記第1の軸線Aの周りを角度方向に移動可能であるようにマニホールド34に接続される。
【0050】
図5a及び
図5bにおいて、ネック24が支持部材28に枢動可能に接続される様態を明示的に示すために、吸引ノズル組立体26が取り除かれている。概して、ネック24は、互いに協働して自在継手を定める第1のネックセクション46及び第2のネックセクション48を備える。このように、第1(下側)のネックセクション46により、ネックが主本体22に対して
前記第1の軸線Aの周りで上方及び下方に揺動することが可能となり、第2(上側)のネックセクション48により、接続部分42が第1のセクション46に対して
前記第1の軸線Aに直交する
第2の軸線Bの周りで枢動することが可能となる。これにより、ユーザが床ツール8を容易に操縦することができ、ワンドの回転運動の結果として、ネックと床ツールとの間の広い角度範囲にわたって床に平行な平面で床ツールが回転するようになる。
【0051】
このことを考慮すると、第1のネックセクション46は、形状がほぼ円筒状であり、支持部材28と係合して
前記第1の軸線Aの周りに回転できるようになる。第1のネックセクション46はまた、垂直方向に離れるように延び且つアパーチャ部52を定める直線的又は箱様の延長部50を含み、
前記アパーチャ部を通って可撓性ホース40がネック24の内部を通って上方に延びる。第2のネックセクション48は、箱様の延長部50に軸支されて
前記第1の軸線Aに直交する
前記第2の軸線Bの周りで左右方向に搖動可能になる2つの平行フォーク54を含む。
【0052】
第1のネックセクション46、より具体的にはその円筒状部分は、レール構造体56により支持部材28と係合される。第1のネックセクション46の各外側端部又は「リム」は、内側に突出するフランジ60の中間でその周囲の一部の周りにレール部分58を含み、該フランジは周囲の残りの部分の周りに延びる。レール部分58は、支持部材28により定められたタブ又は歯状部の形態の突出部62の下に保持される。突出部62は、レール部分58の個別部分と係合し、ネック24が支持部材28に対して上下に傾斜するときにレール部分58に沿って動作する。従って、突出部62は、レール部分58と係合し且つこれと協働してネック24が枢動できるようにする「ランナ構造体」として機能する。用語「個別部分」は、レール部分58がレール部分58のサブセクションだけで係合することを意味するのに使用され、この配置により、マニホールドが通過できるようにネックセクション46が実質的に開放されたままであることが可能になる。
【0053】
図5a及び
図5bは傾斜位置にあるネックを示しており、この位置は、突出部/ランナ62がフランジ60の先端と係合することによって制限され、一方、
図6a及び
図6bは、リクライニング位置にあるネックを示しており、この位置は、ランナ62がフランジ60の他の先端と係合することにより制限される点に留意されたい。
【0054】
ネック24と支持部材28との間のレール装置56は、清掃中にネックが支持部材28に対し下向きの力を加えることができるように、これらの2つの構成要素間の直接的な接続を可能にする。しかしながら、この連結はまた、マニホールド34を包みこんで保持し、マニホールドが支持部材28に対して、従ってネック24に対しても浮動できるようにする。この点に関して、第1のネックセクション46の直径は、マニホールド34が第1のネックセクションに対して移動可能なようにマニホールド34の直径よりも大きい。このことは、ネックを通して下向きの力を支持部材28に作用させることができるので特に有利であり、これにより支持部材28のワイプ動作を促進すると同時に、マニホールド34と関連する吸引ノズルが、過度に強く押し付けられることなく床面上に軽く載ることができるようになる。吸引ノズルは、床面と物理的に軽く接触するので、床面の隙間から汚れを除去する床ツールの能力が改善される。
【0055】
この実施形態では、マニホールド34は、支持部材28に対して約5mmの垂直方向の直線移動が許容され、この移動量は、マニホールド34とネック24との間の直径の差違によって決まるが、この5mmの値は本明細書では単に例証として与えられ、限定を意図するものではない点に留意されたい。従って、当業者であれば、マニホールドとネックの相対的寸法を適切に選択することによって、異なる浮動度が可能であることは理解されるであろう。
【0056】
浮動吸引ノズル30、32の作用が以下の図に示され、すなわち、
図7a及び
図7bは、支持部材28に対して下降位置にある吸引ノズル30、32を示し、
図8a及び
図8bは、支持部材28に対して上昇位置にある吸引ノズル30、32を示す。支持部材28に対するマニホールド34の移動は、マニホールド34の下側に形成されたポスト64により案内され、該ポストは、支持部材28の上面に設けられた相補的形状の案内アパーチャ34と滑動可能に係合する。従って、吸引ノズル及びマニホールドは、垂直方向、すなわち床面に直交する方向で上下に移動可能である。従って、使用時には、吸引ノズルは常に、ツール上で使用されている清掃シートの厚みに関係なく床面上に軽く載る。よって、支持部材28は、吸引ノズルの最低地上高(ride height)を変更することなく、異なる厚みの清掃シートに適応することができる。このようにして、床ツール8の捕捉性能は、支持部材に固定されるワイプのタイプに関係なく維持される。
【0057】
ここで、
図9を参照し、この実施形態における吸引ノズル組立体の「上架式」構造は、比較的急激な方向変化を有する空気流通路を構成し、当業者であれば、吸引ノズル組立体の一部にデブリが捕捉される可能性があることは理解されるであろう。この問題は、ツールの角度付き通路の周りで捕まえられる可能性がある毛髪及び綿毛のような長いデブリに対して特に起こる。これに対する解決策を提供するために、マニホールド34は、該マニホールド34の反対側の先端部に第1及び第2のキャップ68を有するアクセス手段を備える。キャップ68は、円形状であり、ラグ70によりマニホールド34の開放端部69において係合可能であり、該ラグ70は、マニホールド34の開放端部69の相補的チャンネル72と嵌合して捻れ嵌め係合を形成する。現行では、ユーザがキャップを除去する積極的な動作に依存するので、このような捻れ嵌め係合は好ましい。代替案は、滑り嵌めを確保するために場合によってはゴムOリングを含む単純圧入であるが、キャップ68が偶発的にマニホールド34から取り除かれるリスクがある。別の代替案として、キャップ68は、ユーザにより完全には取り除くことができないように、好適な保持手段によりマニホールド34に結合することができる。これを達成する1つの方法は、キャップ68がマニホールド34に対して枢動するようにキャップを装着することであり、このようにして、ユーザは、単にキャップをマニホールドから離れるように枢動させるだけで、その内部通路にアクセスすることができる。別の代替案は、ある種の係留部でキャップを保持して、マニホールド34とキャップ68との間の限定的な分離度を許容することになる。
【0058】
勿論、単一のキャップがマニホールド34の一方の端部に設けられさえすれば、ユーザはマニホールドからごみを除去することができる。しかしながら、マニホールドの何れかの端部にキャップを有することにより、マニホールドの各端部内及びこれらの位置の理由から接続アーム36内にアクセスできるので、吸引ノズル組立体26を容易に維持することができる。更に、マニホールド34は、管状及びほぼ直線状であるので、両方のキャップ68を除去することにより、マニホールド34の長さに沿った目視検査が可能となり、ブラシのような清掃器具をマニホールドに押し通すことができ、マニホールドの内面に張り付く場合があるデブリの除去に役立つ。
【0059】
これまで説明したように、一般に、床ツール8は二重の機能を有し、すなわち、第1に、支持部材28は、市販のポリマーベースの使い捨てワイプのような湿気含有のシート材料を担持するよう適合されており、その結果、床ツール8は、床面から頑固な染み及び汚れを擦り落とすのに使用することができ、第2に、吸引ノズル30、32は、床面から遊離した汚れ及びデブリを除去して、床ツールを通して吸い込まれる汚れ含有空気流にのせて、関連付けられた真空掃除機へ運ぶ。ワイプ要素を担持するために、支持部材28は、解除可能に共に保持された床パッド74及びパッドキャリアプレート76を備え、以下で説明するように、ワイプシートを2つの部分が係合されたときにこれらの間に固定できるようする。
【0060】
図9は、互いに分離された床パッド74及びパッドキャリアプレート76を示す。床パッド74は、ほぼ横長の形状であり、その上側に定められてキャリアプレート76を受けることができる横長凹部78を有する。使用時には、清掃シートは、床パッド74の周りに巻き付けられ、清掃シートの端部が上方に延びて床パッド74の長い縁部80を超えて凹部78内に置かれるようにすることができる。次いで、床パッド74は、キャリアプレート76と係合してここに固定され、該キャリアプレートが清掃シートを所定位置にクランプする。
【0061】
床パッド74は、クランプ構造82によりキャリアプレート76に固定される。クランプ構造82は、床バッド74のそれぞれの端部に配置された第1のラッチ84及び第2のラッチ86を備える。ラッチ84、86は、キャリアプレートの各短辺において凹部により定められたそれぞれの第1のキャッチ88及び第2のキャッチ90と係合可能である。
【0062】
各ラッチ84、86は、ほぼ長円形の上面92を有するユーザ操作可能なボタンを備え、該上面は、ユーザの指の接触部として作用する浅い円形の凹部94により定められる。ボタン84、86は、好ましくは、ポリカーボネート/ポリブチレン・テレフタレート配合物(PC+PBT)のようなエンジニアリングプラスチックであり、優れた強度特性及び化学的不活性を有し、周辺の構成要素に対してコントラストを付けるために着色され、ユーザにとって視覚的に際立つようにすることができる。ボタンは、繰り返し作動し、使用時には家庭内の清掃シートに通常見られる清掃化学製品に曝されることになるので、ボタンにとってPC+PBTの優れた強度特性及び化学的不活性は好ましいが、これらの特性は必須ではない。
【0063】
ボタン84、86は、
図7bに明確に示されており、ここで図の左側のボタン86は押下げた位置にあり、図の右側のボタン86は休止位置にある。この実施形態では両ボタンは同一であるので、簡潔にするために、単一のボタンについて参照する。各ボタン84、86は、床パッド74上に定められた枢動点96の周りに枢動可能であり、床パッド74の中心に向かって延びるラッチ面98を定める。ボタンを休止位置に付勢するため、バネの形態の付勢手段100が設けられる。ラッチ面98は、床パッド74によって定められる直立レッジ104上に設けられた協働キャッチ面102と係合可能であり、ボタンのラッチ面98と床パッド74上のキャッチ面102は、両方の構成要素が共に堅固に押圧されたときに協働してキャリアプレート76を床パッド74にロックする。
【0064】
クランプ構造82の1つの恩恵は、ボタン84、86がキャッチ88、90と自動的にロックすることであり、これは、ユーザが構成要素を組み立てるのを容易にする。このために、キャッチ88、90は、上向きに傾斜することによりカム面を定める下側面106を含む。床パッド74がキャリアプレート76と接触すると、キャッチのカム面106は、ボタンの上面92に接触する。この接触により、ボタン84、86は、その枢動点の周りに角度方向に移動する。床パッド74がキャリアプレート76に向かって更に移動するとことにより、ボタンは、キャッチ面106を外れて押し出され、次いで、ラッチ面98が上側キャッチ面102にロックして、これにより床パッド74がキャリアプレート76に固定されるようになる。
【0065】
キャリアプレート76及び床パッド74は、一体化してこれらの間にワイプを固定し、必須ではないが、係合手段がパッドとキャリアプレートとの間に設けられて、ワイプ要素に対するクランプ効果を強化することが好ましい。この実施形態において、係合手段は、床パッド74上の凹部78のそれぞれの長辺に隣接して設けられた2つの細長いワンドリブ108を備え、これらは、キャリアプレート76の下側に設けられた対応するチャンネル110内に突出している。従って、ワイプ要素は、使用時には、床ツールの往復動作用を受けてワイプの緩みが生じる可能性を低減する位置に効果的にクランプされる。
【0066】
硬質床ワイプ掃除機と硬質床バキュームツールとの機能性を組み合わせることに加えて、本発明の床ツール8は、純粋なバキュームモードで使用される機能を有する。これは、ユーザが床面をバキュームすることを望むが、床をワイプすることまで必要ではないと考えるときに有用とすることができる。このために、キャリアプレート76は、床パッド74がないときに支持部材28を床面上に支持する転動構造112を含む。
【0067】
この実施形態では、
図10に明確に示すように、転動構造112は2つのペアのホイール114を含むが、これらはまたローラ又はスキッドとして具現化することができる。各ホイール114は、それぞれのホイールカップ116内に保持され、床ツール8の長手軸線(軸線A)に平行に延びて、使用時にホイール114が床ツールの進行方向に向くようになる転動軸線を有する。図示するように、ホイール114はペアの状態で配列され、各ペアは、床ツールの軸線Aに直交する平面内に整列され、このようにして、キャリアプレート76に対する安定した転動接触点を提供し、ネック24を介して床ツール8に印加される力を担持する。
【0068】
これは
図11に特に明確に示されており、
図11ではキャリアプレート76は、ネックを介して加えられる力Fにより下降位置にあり、ホイール114は、キャリアプレート76を床面S上に担持し、他方、吸引ノズル30、32は、キャリアプレート76に対して自由に浮動することができる。この機構の要点は、ホイール114がキャリアプレートに対する担持点として機能するので、この関連においては、適切なスキッド及びレールのセットもまた同じ機能を実行し、従って、用語「転動構造」に包含されるとみなされる点に留意されたい。
【0069】
実際には、このようなツールは、床面が湿気使い捨てワイプシートによるワイプを必要とするよりも頻繁にバキュームを必要とすることが想起されるので、多くの場合、ユーザにより硬質床掃除機として使用することができる。従って、床ツールは、床ツールの汎用性を強化する真空掃除機構と組み合わせた床パッドの使用に限定されない。
【0070】
図12に示すように、床パッド74がキャリアプレート76に取り付けられた状況において、ホイールキャップは、床パッド74に設けられたそれぞれのアパーチャ118内に受けられる。
【0071】
本発明の床ツール8の更に有利な特徴は、硬質床に対して特に優れたデブリ捕捉性能を床ツール8に提供する吸引ノズル30、32の構造であり、以下で説明する。
【0072】
特に
図10から
図12を参照して、前側及び後側吸引ノズル30、32の各々は、吸引ノズルの堅固な上側部分又は「背骨部」122から垂下するほぼ矩形状の床係合スカート120を含む。別の部材又は「分割壁」124が、吸引ノズルの2つの端部間のほぼ中間でスカート120の長辺間を横断して延び、従って、吸引ノズルを並んで配置されて第1の吸引チャンバ126及び第2の吸引チャンバ128に分割する。
【0073】
この実施形態では、吸引チャンバ126、128の外周スカート/壁120、及び分割壁124は、プラスチック材料で作られた一体型本体であるが、スカート120は、複数の個々のストリップから形成されてもよいことは想起される。好ましい実施形態では、スカート120は、熱可塑性のエラストマであり、吸引ノズルの背骨部122上にオーバモールドされるが、これは必須ではなく、スカートはまた吸引ノズルに定められたスロット内に挿入可能とすることができる点に留意されたい。別の代替案として、スカート120はまたブリストルから形成することができるが、現行では、耐久性を求めて、及びブリストルで生じる可能性があるデブリを取り込む傾向にないことに起因して、可撓性のプラスチック又はゴムストリップが好ましい。
【0074】
各スカート120は、床パッド74のそれぞれの長辺80に直接隣接して配置された後縁130と、床パッド74から離れた前縁132とを含むと考えられる。更に、側縁134が前縁132と後縁130との間に延び、これにより横長のシールスカート120が完成する。
【0075】
優れたデブリ捕捉性能を促進するために、スカート120の実質的に前縁132全体が後縁130よりも短く、使用時に前縁が床面「S」から離間されるようになる。これは、寸法「L」として空間を示す
図11に明確に示される。この実施形態では、空間又はギャップ「L」は3mmであるが、より大きな又はより小さなギャップでも効果をもたらす。主な考慮事項は、有効な寸法範囲のデブリが吸引チャンバ126、128内に依然として侵入可能にしながら、床ツール8に加わる吸引を考慮すると、空間Lは、吸引ノズル30、32を通る流速を最大にするように選択されることである。
【0076】
このように吸引ノズルの前縁132を床面Sから離間するように構成することにより、既存の硬質床でしばしば見られるアパーチャ付き又は「胸壁付き」の前縁を有する既知の床ツールで生じる場合がある清掃中の吸引ノズルの前部における「除雪」デブリが排除される。更に、前後の吸引ノズル両方をこのように構成することにより、床ツールの前方及び後方ストローク中で同じ利点が得られるが、これは必須ではない。
【0077】
反対に、吸引ノズル30、32の後縁130は、リップシール又は「スキージー」のように床面と係合し、清掃シート上に堆積するデブリを保護する直線状縁部を定める。有利には、これにより床面に跡が付くのが回避されると共に、清掃シートの寿命が延びる。
【0078】
隣接する吸引チャンバ126、128の各々は、同様にゴムストリップの形態で追加的な床係合部材136を更に備え、それぞれの吸引チャンバ126、128内で長手方向に延びる内部壁を定める。内部壁又は「長手方向ストリップ」は、第1及び第2の吸引チャンバ126、128の内部を第1の長手方向吸引チャンネル138と、第2の長手方向吸引チャンネル140(それぞれ、前側及び後側吸引チャンネル)とに分割し、これら吸引チャンネルは、ストリップ136内に形成されたアパーチャ又はノッチ142、144により流体的に連結され、これにより「接続チャンネル」を定める。
図12において明確に分かるように、各吸引ノズル30、32は、接続アーム36につながる2つの吸引出口146を含み、1つの出口146が各吸引チャンバ126、128内で吸引チャンネル140の後部に現れる。
【0079】
使用時には、床ツールを床面上に配置した状態で、関連する真空掃除機により床ツール8に吸引を作用させると、各吸引ノズル30、32の各吸引チャンバ126、128内に2つの異なる圧力領域が発生する。後縁130及び側縁136により後側吸引チャンネル140の周りに形成された比較的緊密なシールに起因して、後側吸引チャンネル140内に相対的に高い真空が得られる。これにより比較的高速の空気流が作られ、床面内の隙間内にあるデブリが後側吸引チャンネル140を通る空気流内に同伴される利点をもたらす。更に、後縁130が直線状で一様であるので、これによりデブリが後縁の下を通過する可能性が低くなり、ワイプ要素及び床パッドをデブリ捕捉から保護する。
【0080】
接続チャンネル142、144を設けることによって、前側吸引チャンネル138内に相対的に低い真空が得られ、床面上にある塵埃及び相対的に大きなデブリを前縁ギャップLを通って前側吸引チャンネル内に吸い込まれる流体流内に捕捉できるようになる。次いで、この汚れ含有流体流は、前側吸引チャンネル138から接続チャンネル142、144を介して後側吸引チャンネル140に、次に、吸引ノズル組立体の接続アーム36に運ばれる。ここから、空気流は、続いてマニホールド及び可撓性ホースに進む。
【0081】
前側吸引ノズル30及び後側吸引ノズル32の長手方向のストリップ136内に定められたアパーチャ142、144は等しいサイズではない点に留意されたい。より具体的には、前側吸引ノズル30のアパーチャ142は、半円形形態であり、矩形形態の後側吸引ノズル32におけるアパーチャ144よりも大きな流れ面積を有する。この特定の実施形態において、前側吸引ノズル30のアパーチャ142は、半径5mmの半円形であり、半径の中心はストリップ136の下側縁部に配置され、従って、流れ面積が約40mm
2となり、他方、後側吸引チャンネル32のアパーチャ144の寸法は9mm×3mmであり、約27mm
2の流れ面積となる。これらの値は単に例証である点に留意されたい。
【0082】
後側吸引ノズル32のアパーチャ144によって定められる下側流れ面積は、後側吸引ノズル32の空気流に対する抵抗を増大させ、相対的に前側吸引ノズル30を通る流れを増大させる効果がある。従って、床ツールに加えられる吸引「パワー」は、前側吸引ノズル30に向けて押し付けられ、これにより前側ノズル30における捕捉性能が向上し、これは、ユーザが床面に沿ってツールを押したときに先導となる前側吸引ノズルであるので、有利である。
【0083】
吸引ノズルを2つの別個のチャンバ126、128に分割し、チャンバの各々がそれぞれの前側及び後側吸引チャンネル138、140を有することにより、吸引チャンバを通る高速流体流れを床ツールの全幅にわたって確実に生じさせ、これによりデブリの同伴及び捕捉が大幅に促進される。更に、凹状の前縁132は除雪状のデブリを低減させ、従って床ツールの捕捉性能が更に向上する。
【0084】
図12の実施形態の分割壁148のあるセクションを除去することにより、更なる利点を実現することができる。
図13はこのことを示しており、
図12の分割壁148の前方セクションが除去され、長手方向ストリップ163とスカート120の間に延びる分割壁の後方セクション150だけが残されていることが分かる。従って、単一の前側吸引チャンネル138が、吸引ノズルの実質的に全幅にわたって延びている。分割壁の前方セクションを除去することにより、デブリが留まり又は固着する、前側吸引チャンネル内の「デッドスペース」が排除される。
【0085】
或いは、
図10の分割壁124の前方セクションは、
図13の実施形態のように完全に除去される必要はない。1つの実施形態において、分割壁124の前方セクションは、後方セクションよりもより浅く構成することができる。これにより分割壁の前方セクションの下側縁部と床面との間に小さなギャップが残され、このことは、空気流が前方の2つのチャンバ126、128間のギャップを通って抽気することができることを意味する。これは、前方チャンバ126、128内の何れかのデッドスポットを防ぐことによりデブリ捕捉を改善するが、長手方向壁136に対する構造支持を依然として提供している。
【0086】
請求項によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上述の特定の実施形態に対する種々の変形形態が可能である。例えば、支持部材は、上記で矩形として説明したが、当業者であれば、他の形状もまた実施可能であり、該支持部材は、吸引ノズルが適切に修正されていれば三角形、菱形、又は長円であってもよい点は理解されるであろう。
【0087】
また、支持部材は、非ポリマーベースの不織清掃シートと共に使用するのに特に好適であるように説明したが、本発明にとってこれは必須ではなく、織成の清掃布のような他のタイプのワイプ部材と共に使用してもよい点は理解されたい。更に代替として、支持部材は、例えば、マジックテープ(登録商標)タイプの締結システムによって下面に固定されるか、又は一体的に形成されたスポンジパッドのような多孔性清掃部材を担持することができる。
【0088】
床ツールは、原則的には広範囲な材料から作ることができるが、現在のところは、例えば、インジェクションモールドによって部品をほぼあらゆる所望の形状に形成できるので、コスト効果及び製造容易性の点でプラスチックであるのが好ましい。本発明の床ツールの関連において、一部のプラスチックに対して有害な影響をもたらす可能性がある様々な化学製品を含むワイプと共に使用するように設計されていることに起因して、プラスチックの選択は、床ツールの有効性並びに長期耐久性に影響を及ぼす。
【0089】
好ましくは、第1及び第2のネック部分は、強度だけでなく化学的作用に対し耐性がある理由からインジェクションモールドPC−PBTから作られる。ネックコネクタは、ワンドを介して加わる力に耐えるようにこの部品に対する強度向上させると共に、PC−PBTよりもコスト効果が高いので、タルク充填ポリプロピレン(PP)であるのが好ましい。
【0090】
吸引ノズル組立体は、主成分としてポリプロピレンから形成されるが、これとは別に、スカートは、吸引ノズルのそれぞれの背骨部上にオーバモールド成形されるのが好ましい熱可塑性エラストマ(TPE)である。
【0091】
支持部材に移ると、現在のところは、キャリアは、強度を高めるためにインジェクションモールドされたタルク充填ポリプロピレンであり、床パッドは、強度を与えるために上側表面のポリプロピレンと、床面との接触を向上させるような弾性度を提供するために床パッド本体として熱可塑性エラストマに発泡剤を加えたものとの組み合わせである。