(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5913229
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
B60C13/00 C
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-166790(P2013-166790)
(22)【出願日】2013年8月9日
(65)【公開番号】特開2015-33983(P2015-33983A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2015年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】向井 友幸
【審査官】
田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−191745(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0174928(US,A1)
【文献】
特開2013−103631(JP,A)
【文献】
特開平07−164831(JP,A)
【文献】
特開2009−143488(JP,A)
【文献】
米国特許第05728242(US,A)
【文献】
特開2003−175707(JP,A)
【文献】
特開平09−039518(JP,A)
【文献】
米国特許第05303758(US,A)
【文献】
特開2003−182317(JP,A)
【文献】
特開平08−318716(JP,A)
【文献】
特開2012−162177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドウォール部の表面に、タイヤ半径方向にのびるリッジがタイヤ周方向に並列されたセレーション部を具える空気入りタイヤであって、
前記セレーション部は、タイヤ周方向の複数のリッジ群に区分され、
各リッジ群をなすリッジは、リッジ群のタイヤ周方向の両外側に配されかつリッジの全長に亘って直線でのびる第1のリッジと、前記第1のリッジ間に配されかつ直線の途中に変形部分が局部的に形成されかつタイヤ周方向に隣り合って配される複数本の第2のリッジとからなるとともに、
各リッジ群は、タイヤ周方向に隣り合う第2のリッジの変形部分が、タイヤ半径方向に順次位置ずれすることにより、各変形部分がタイヤ半径方向に対して傾いて並ぶ傾斜模様を有し、
しかも、前記リッジ群は、前記傾斜模様が連続して右上がりに傾斜するリッジ群と、前記傾斜模様が連続して右下がりに傾斜するリッジ群とが、タイヤ周方向に交互に配置されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記変形部分は、途切れ部分又は屈曲部分であることを特徴とする請求1記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記第2のリッジは、前記変形部分として屈曲部分が形成された屈曲リッジであり、該屈曲リッジは、半径方向内側に配される内リッジ部と、半径方向外側に配される外リッジ部と、その間を斜めに継ぐ継ぎリッジ部とからなる略Z字状をなすとともに、
前記内リッジ部と外リッジ部との間の、タイヤ軸心廻りの中心角度αは0.5°以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
各リッジ群において、第1のリッジの本数は1〜15本、かつ第2のリッジの本数は5〜25本であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
各リッジ群において、第2のリッジのうちで両側に配されるリッジ間のタイヤ軸心廻りの中心角度θは、5°以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
各リッジ群において、各リッジの配置ピッチは、タイヤ軸心廻りの中心角度βに換算して0.2〜0.5°の範囲であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
各リッジ群において、各リッジの配置ピッチは一定であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
各リッジ群において、各リッジの配置ピッチは、最小ピッチと最大ピッチとを含み、かつ最小ピッチは、タイヤ軸心廻りの中心角度βに換算して0.2〜0.3°、最大ピッチは、タイヤ軸心廻りの中心角度βに換算して0.5°以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドウォール部の外表面にセレーション部を設けた空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤのサイドウォール部の表面には、カーカスプライのタイヤ周方向の重ね継ぎが原因して、半径方向(ラジアル方向)にのびる帯状かつ凹凸状の外観不良(以下「バルジデント」と呼ぶ。)が発生する。このようなバルジデントを目立ち難くするために、例えば
図8に示されるように、小高さの凸条のリッジaをタイヤ周方向に並列させたセレーション部bを、サイドウォール部の表面に形成することが提案されている。
【0003】
従来のセレーション部bでは、前記リッジaとして、例えばタイヤ半径方向にのびるラジアルリッジ(例えば特許文献1参照)、或いはタイヤ半径方向に対して一定角度で傾斜する傾斜リッジ(例えば特許文献2参照)が一般的に用いられている。
【0004】
しかしこのような従来のセレーション部bでは、模様が単調となる。そのため、標章の視認性を高めるのには役立つものの、特にサイドウォール部のゴム厚さが薄くバルジデントが大きいタイヤでは、前記バルジデントが模様の歪みとして容易に認識されてしまい、充分な隠匿効果を発揮できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−143488号公報
【特許文献2】特開2003−182317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで発明は、ラジアルリッジを用いながらもセレーション模様に変化を与えることができ、バルジデントの隠匿効果を高めうる空気入りタイヤを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、サイドウォール部の表面に、タイヤ半径方向にのびるリッジがタイヤ周方向に並列されたセレーション部を具える空気入りタイヤであって、前記セレーション部は、タイヤ周方向の複数のリッジ群に区分され、各リッジ群をなすリッジは、
リッジ群のタイヤ周方向の両外側に配されかつリッジの全長に亘って直線でのび
る第1のリッジと、
前記第1のリッジ間に配されかつ直線の途中に変形部分が局部的に形成されかつタイヤ周方向に隣り合って配される複数本の第2のリッジとからなるとともに、各リッジ群は、タイヤ周方向に隣り合う第2のリッジの変形部分が、タイヤ半径方向に順次位置ずれすることにより、各変形部分がタイヤ半径方向に対して傾いて並ぶ傾斜模様を有
し、しかも、前記リッジ群は、前記傾斜模様が連続して右上がりに傾斜するリッジ群と、前記傾斜模様が連続して右下がりに傾斜するリッジ群とが、タイヤ周方向に交互に配置されていることを特徴と
する。
【0008】
本発明に係る前記空気入りタイヤでは、前記変形部分は、途切れ部分又は屈曲部分であることが好ましい。
【0009】
本発明に係る前記空気入りタイヤでは、前記第2のリッジは、前記変形部分として屈曲部分が形成された屈曲リッジであり、該屈曲リッジは、半径方向内側に配される内リッジ部と、半径方向外側に配される外リッジ部と、その間を斜めに継ぐ継ぎリッジ部とからなる略Z字状をなすとともに、
前記内リッジ部と外リッジ部との間の、タイヤ軸心廻りの中心角度αは0.5°以下であることが好ましい。
【0010】
本発明に係る前記空気入りタイヤでは、各リッジ群において、第1のリッジの本数は1〜15本、かつ第2のリッジの本数は5〜25本であることが好ましい。
【0011】
本発明に係る前記空気入りタイヤでは、各リッジ群において、第2のリッジのうちで両側に配されるリッジ間のタイヤ軸心廻りの中心角度θは、5°以下であることが好ましい。
【0012】
本発明に係る前記空気入りタイヤでは、各リッジ群において、各リッジの配置ピッチは、タイヤ軸心廻りの中心角度βに換算して0.2〜0.5°の範囲であることが好ましい。
【0013】
本発明に係る前記空気入りタイヤでは、各リッジ群において、各リッジの配置ピッチを一定とすることができる。各リッジの配置ピッチとして、最小ピッチと最大ピッチとを含ませることができ、この場合、最小ピッチは、タイヤ軸心廻りの中心角度βに換算して0.2〜0.3°、最大ピッチは、タイヤ軸心廻りの中心角度βに換算して0.5°以下であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は叙上の如く、タイヤ半径方向にのびるリッジからなるセレーション部を、タイヤ周方向の複数のリッジ群に区分している。そして、各リッジ群をなすリッジを、直線のみからなる第1のリッジと、直線の途中に変形部分が局部的に形成された複数本の第2のリッジとで形成している。第2のリッジは、タイヤ周方向に隣り合い、又その変形部分は、タイヤ半径方向に順次位置ずれしている。これにより、各変形部分がタイヤ半径方向に対して傾いて並ぶ傾斜模様が、各リッジ群内に形成される。
【0015】
この変形部分からなる傾斜模様は、単調なセレーション模様に変化を与える。その結果、標章の視認性を確保しながら、バルジデントの隠匿効果を高めて、タイヤの外観品質を向上させることができる。又リッジ自体、半径方向の直線を基調として形成されるため、設計や金型加工が容易であり、かつリッジ間の泥落ち性も高く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の空気入りタイヤの一実施例を示す部分側面図である。
【
図3】(A)はリッジ群内におけるリッジ配列を示す側面図、(B)は屈曲リッジを拡大して示す側面図である。
【
図4】セレーション部の他の実施例を示す部分側面図である。
【
図5】リッジ群を構成するリッジの他の配列状態を示す部分側面図である。
【
図6】リッジ群を構成するリッジのさらに他の配列状態を示す部分側面図である。
【
図7】第2のリッジの変形部分が途切れ部分である場合のセレーション部を示す部分側面図である。
【
図8】従来タイヤのセレーション部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ1は、少なくとも一方のサイドウォール部2の表面2Sに、タイヤ周方向にのびる帯状又は円環状のセレーション部3を具える。本例では、前記セレーション部3が、タイヤと同心な円環状をなす場合が示されるが、セレーション部3としては、タイヤ周方向両端が途切れる帯状であっても良い。又複数の帯状のセレーション部3を、タイヤ周方向に隔設することもできる。
【0018】
前記セレーション部3は、タイヤ半径方向にのびるリッジ4が、タイヤ周方向に所定の配置ピッチで並列することにより形成される。前記リッジ4は、
図2に示されるように、本例ではサイドウォール部2の表面2Sから小高さで隆起する小巾の凸条体として形成される。各リッジ4の断面形状は互いに等しく、この断面形状として、頂角γが例えば70±20°程度の断面2等辺三角形状のものが好適に採用される。しかし要求により、例えば不等辺三角形状、或いは三角形の頂部を切除した台形形状など種々な断面形状が採用しうる。又前記リッジ4の高さHr(便宜上「リッジ高さHr」という場合がある。)としては、従来的な範囲が好適に採用でき、本例ではリッジ高さHrを0.4±0.2mmの範囲とした場合が示される。便宜上、
図1、3〜7には、その頂部4Pの稜線のみが描かれている。なおサイドウォール部2の表面2Sに複数の凹溝を形成することにより、凹溝の溝底から立ち上がる小巾の凸条体として前記リッジ4を形成することもできる。この場合には、前記リッジ4の頂部4Pが前記サイドウォール部2の表面2Sと同高さとなる。
【0019】
図1、3(A)に示すように、前記セレーション部3は、タイヤ周方向の複数のリッジ群5に区分される。即ちセレーション部3は、リッジ群5の繰り返し模様として現れる。
【0020】
各前記リッジ群5をなすリッジ4は、少なくとも1本の第1のリッジ4Aと、複数本の第2のリッジ4Bとから構成される。第1のリッジ4Aが複数本ある場合、各第1のリッジ4Aはタイヤ周方向に互いに隣り合って配され、これにより第1リッジ領域Yaを形成する。各前記第1のリッジ4Aは、その全長に亘り、タイヤ半径方向に沿って直線でのびる直線リッジ10として形成される。
【0021】
又前記第2のリッジ4Bも、タイヤ周方向互いに隣り合って配され、これにより第2リッジ領域Ybを形成する。又前記第2のリッジ4Bは、直線の途中に変形部分6が局部的に形成されている。前記変形部分6として、直線の途中が途切れる途切れ部分6a、又は屈曲する屈曲部分6bが好適に採用される。本例では、第2のリッジ4Bが屈曲リッジ11として形成される場合が示される。この屈曲リッジ11は、前記変形部分6として屈曲部分6bが形成されたリッジを意味する。詳しくは、
図3(B)に示すように、前記屈曲リッジ11は、半径方向内側に配される内リッジ部11iと、半径方向外側に配される外リッジ部11oと、その間を斜めに継ぐ継ぎリッジ部11mとからなる略Z字状をなす。このとき、前記屈曲部分6bの屈曲の大きさ、即ち、内リッジ部11iと外リッジ部11oとの間のタイヤ軸心廻りの中心角度αは0.5°以下であるのが好ましい。
【0022】
そして、各リッジ群5では、タイヤ周方向に隣り合う第2のリッジ4B(本例では、屈曲リッジ11)の変形部分6(本例では、屈曲部分6b)が、タイヤ半径方向に順次位置ずれする。これにより、各変形部分6(本例では、屈曲部分6b)がタイヤ半径方向に対して傾いて並ぶ傾斜模様13が、各前記リッジ群5内に形成される。
【0023】
本例では、第2リッジ領域Ybにおいて、周方向一端側(例えば
図3において左側端側)に配される屈曲リッジ11では、継ぎリッジ部11mが屈曲リッジ11の半径方向内端部に位置し、従って、屈曲リッジ11が、継ぎリッジ部11mと外リッジ部11oとのみで形成されるように示される。しかしこの場合、継ぎリッジ部11mの半径方向内端点を、内リッジ部11iと見なすことができ、従って、この場合も屈曲リッジ11と見なされる。なお継ぎリッジ部11mが屈曲リッジ11の半径方向外端部に位置する場合も、継ぎリッジ部11mの半径方向外端点を、外リッジ部11oと見なすことができ、従って、この場合も屈曲リッジ11と見なされる。
【0024】
このようなセレーション部3は、各リッジ群5が、変形部分6による傾斜模様13を具えるため、セレーション模様に変化を与えることができる。その結果、標章の視認性を確保しながら、バルジデントの隠匿効果を高め、タイヤの外観品質を向上させることができる。又リッジ4自体、半径方向の直線を基調として形成されるため、設計や金型加工が容易であり、かつリッジ4、4間の泥落ち性を高く維持することができる。
【0025】
本例では、各リッジ群5の傾斜模様13が、それぞれ同方向に傾斜する場合が示される。しかし、
図4に示すように、周方向で隣り合うリッジ群5間で、傾斜模様13の傾斜の向きを相違させることもできる。この場合、セレーション模様の変化が大きくなるため、バルジデントの隠匿効果に有利となる。
【0026】
ここで、各リッジ群5において、第1のリッジ4Aの本数naは1〜15本、かつ第2のリッジ4Bの本数nbは5〜25本であるのが好ましい。前記本数nbが5本を下回ると、傾斜模様13の傾斜が半径方向に近づき過ぎとなり、逆に25本を越えると、傾斜模様13の傾斜が周方向に近づき過ぎとなる。何れの場合も、セレーションの模様変化が小となって、バルジデントの隠匿効果が低下する。又本数naが15本を越えると、傾斜模様13、13間の周方向の間隔が広くなって、バルジデントの隠匿効果の低下を招く。
【0027】
同等の観点から、各リッジ群5において、第2のリッジ4Bのうちで両側に配されるリッジ4B、4B間のタイヤ軸心廻りの中心角度θは5°以下であることが好ましい。前記中心角度θが5°を越えると、傾斜模様13の傾斜が周方向に近づき過ぎとなってバルジデントの隠匿効果の低下を招く。
【0028】
又各リッジ群5において、各リッジ4の配置ピッチPは、タイヤ軸心廻りの中心角度βに換算して0.2〜0.5°の範囲が好ましい。配置ピッチPが0.2°を下回ると、セレーション模様が密となって全体が暗くなり、模様のコントラストが十分に強調されなくなる。逆に配置ピッチPが0.5°を越えると、セレーション模様が疎となって全体が明る過ぎとなり、模様のコントラストが十分に強調されなくなる。何れの場合も、バルジデントの隠匿効果が低下する。なお屈曲部分6bにおける前記角度αは、配置ピッチPよりも小に設定されるのが好ましい。
【0029】
なお本例では、各リッジ群5において、リッジ4の配置ピッチPが一定である場合が示される。しかしながら
図5、6に示すように、リッジ4の配置ピッチPが、最小ピッチP1と最大ピッチP2とを含む複数種類のピッチから構成されていても良い。この場合、セレーション模様に明暗部分が周方向に繰り返されるため、前記傾斜模様13との相乗作用によって、バルジデントの隠匿効果をさらに高めることができる。前記最小ピッチP1は0.2〜0.3°が好ましく、又最大ピッチP2は0.5°以下が好ましい。なお最小ピッチP1が0.3°を越えると、最大ピッチP2との差が過小となって、配置ピッチPを複数種類とした効果が発揮されなくなる。なお、最大ピッチP2と最小ピッチP1との差(P2−P1)は0.1°以上が好ましい。
【0030】
図5には、配置ピッチPが、最小ピッチP1と、最大ピッチP2との二種類から構成される場合が示され、
図6には、配置ピッチPが、最小ピッチP1と、最大ピッチP2と、中間ピッチPmとの三種類から構成される場合が示される。なお配置ピッチPの種類数が多すぎると、このピッチ配列の疎密によって形成される明暗が不明確となって効果が発揮されなくなる。従って配置ピッチPの種類数は2乃至3が好ましい。又配置ピッチPの順序は特に規制されるものではなく、適宜設定しうる。
【0031】
図7に、リッジ群5のさらに他の実施例を示す。本例では、第2のリッジ4Bが、途切れリッジ12として形成される場合が示される。この途切れリッジ12は、前記変形部分6として途切れ部分6aが形成されたリッジを意味する。この場合にも、各途切れ部分6aがタイヤ半径方向に対して傾いて並ぶ傾斜模様13を形成する。
【0032】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0033】
表1の仕様に基づくセレーション部を両側のサイドウォール部に形成した空気入りタイヤ(195/65R15)が試作され、各タイヤにおけるバルジデントの隠匿性、及び標章の視認性についてテストされた。表1に記載以外は実質的に同仕様である。リッジの断面形状は同一であり、断面形状として、頂角γ=60°、リッジ高さHr=0.4mmの2等辺三角形状のものが採用された。
【0034】
<バルジデントの隠匿性>
各試供タイヤに内圧230kPaを充填した状態にて、サイドウォール部の表面に生じるバルジデントの目立ち具合を、目視による官能評価により、比較例3を100とする指数で表示した。数値が大きいほど、バジルデントが目立ちにくく隠匿性に優れている。
【0035】
<標章の視認性>
前記充填状態にて、標章の目立ち具合を、目視による官能評価により、比較例3を100とする指数で表示した。数値が大きいほど、標章が目立ち易く視認性に優れている。
【0036】
【表1】
【0037】
表に示されるように、実施例のタイヤは、ラジアルリッジを用いながらもセレーション模様に変化を与えることができ、バルジデントの隠匿効果を高めうるのが確認できる。
【符号の説明】
【0038】
1 空気入りタイヤ
2 サイドウォール部
2S 表面
3 セレーション部
4 リッジ
4A 第1のリッジ
4B 第2のリッジ
5 リッジ群
6 変形部分
6a 途切れ部分
6b 屈曲部分
11 屈曲リッジ
11i 内リッジ部
11o 外リッジ部
11m 継ぎリッジ部
13 傾斜模様