【文献】
CHENG C L et al,The healing effects of Centella extract and asiaticoside on acetic acid induced gastric ulcers in rats,Life Sci,2004年,Vol.74, No.18,Page.2237-2249
【文献】
CHENG C L et al,Effects of Centella asiatica on ethanol induced gastric mucosal lesions in rats.,Life Sci,2000年,Vol.67, No.21,Page.2647-2653
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
脂肪族アルコールが、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、及びブチルアルコールを含む群から選択され、水に対する脂肪族アルコールの比は、60%〜99%の範囲内にある、請求項1又は2に記載の方法。
アルコールが、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、及びそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
組成物が、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、軟膏、パッチ、ゲル、ローション、歯磨剤、カプセル、エマルション、クリーム、噴霧剤、ドロップ、分散性粉末又は顆粒、硬質又は軟質ゲルカプセル中のエマルション、シロップ、エリキシル剤、植物医薬、栄養補助食品及び食料品、又はそれらの任意の組み合わせに製剤化される、請求項2に記載の方法。
必要とする対象において、炎症性腸疾患、痔、裂肛、瘻、及びヘリコバクター・ピロリの根絶、又はそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される疾患の治療に使用するための、少なくとも99%純度のアジアチコサイドと医薬として許容される賦形剤(単数又は複数)とを含む医薬組成物。
医薬として許容される賦形剤が、造粒剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、流動促進剤、抗接着剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗酸化剤、ゴム、被覆剤、着色剤、風味剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤、及び球形化剤、又はそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
【背景技術】
【0002】
センテラ・アジアティカから抽出されるアジアチコサイドは、例えば、HPLCによってアジアチコサイド純度を92.8%とするYick−Vic社、HPLCによって97%とするTauto Biotech社、及び98%を超えるアジアチコサイドアッセイを有するBaoji herbest Biotech社などの企業とともに、市販可能な分析用参照標準材料である。しかしながら、これらの製造物は、研究所における研究目的のための参照標準として使用されるように具体的に適合され、植物のセンテラ・アジアティカの抽出物であることは見出されていない。これらのアジアチコサイド製造物は、医薬組成物として用いられるように市販可能ではない。
【0003】
センテラ・アジアティカ由来のアジアチコサイドの調製に適合される方法は、従来技術において50%〜97%の範囲の純度を要求する。例えば、米国出願公開第2008/0194499号は、15〜50%の範囲のアジアチコサイド組成物を含む医薬としての5環性テルペノイドグリコシドを教示する。また、米国出願公開第2006/0177516は、アジアチコサイド組成物を約40%有するテルペン混合物を開示する。さらに、米国特許第6,417,349号は、抽出物の97%以上を構成する、4:6〜6:4の範囲を有するセンテラ・アジアティカ抽出物を提供する。また、中国特許第CN1520824号は、92.8%の純度を有するアジアチコサイドの抽出及び分離方法を開示する。しかしながら、従来技術のいずれも、センテラ・アジアティカから高純度のアジアチコサイドの排他的抽出を試みたものはない。
【0004】
センテラ・アジアティカ又はアジアチコサイドの伝統的な使用は、創傷治癒の促進、皮膚疾患、皮膚障害及び慢性炎症疾患の治療を含む。例えば、中国特許第CN101129393号は、創傷治癒におけるアジアチコサイド液の使用を開示する。さらに、米国出願公開第2009/0060985号は、皮膚障害治療用の薬剤物質として、センテラ・アジアティカのアーバン(urban)抽出物の使用を教示している。アジアチコサイド又はセンテラ・アジアティカが非伝統的使用のために採用される当該技術分野においては試みが多くは見られない。例えば、米国出願公開第2008/0194499号は、うつ病の管理のために、場合により賦形剤とともに、テルペノイドグリコシド、好ましくはアジアチコサイド及びマデカソシド(madecassoside)の使用を教示する。また、米国出願公開第2006/0177516号は、貧血状態の治療のためにアジアチコサイドの使用を示す栄養補助食品を提供する。
【0005】
しかしながら、炎症性腸疾患及びヘリコバクター・ピロリなどの胃腸管に関連した疾患の管理のためのアジアチコサイド又はセンテラ・アジアティカの使用は、比較的知られていない。アジアチコサイドが肝疾患の治療のために使用される当該技術分野において見られる試みは多くない。例えば、中国特許第1439376号及び第1520824号は、肝臓の線維化を予防及び治療するためのアジアチコサイドの使用を開示する。さらに、米国特許出願公開第2004/0097463号は、肝臓、結腸及び膵臓と関連した癌を治療するためのアジアチコサイドの使用を開示する。加えて、Chengら,2004,(“The healing effects of Centella extract and asiaticoside on acetic acid induced gastric ulcers in rats”,Life Sciences,vol.74,pp.2237−2249)は、ラットにおける酢酸誘導の胃潰瘍におけるセンテラ・アジアティカの治癒効果を検討している。また、Chengら,2000,(“Effects of Centella asiatica on ethanol induced gastric mucosal lesions in rats”,Life Sciences,vol.67,pp.2647−2653)は、エタノール誘導の胃粘膜病変のエクスビボ実験におけるセンテラ・アジアティカの水抽出物の予防効果を教示する。しかしながら、当該技術分野において言われている胃潰瘍は、化学物質又は薬物誘導の腫瘍モデルに限定されている。さらに、これらのモデルは、炎症性腸疾患などの結腸の疾患に必ずしも向けられていなくてもよい胃における刺激物(酢酸)の局所適用による病変を具体的に作製する。さらに、当該技術分野におけるアジアチコサイド生成物は、潰瘍の治療を要求するが、潰瘍を予防するためにアジアチコサイドの使用を特定していない。
【0006】
炎症性腸疾患は、難治性であり、慢性炎症性状態によって特徴付けられ、例えば、腹痛、下痢、嘔吐、血便(排便中の血液)、食欲の減退、体重減少、発熱及び種々の関連した合併症、例えば、裂肛、瘻、直腸周囲膿瘍、痔の苦痛な症状を示す潰瘍性大腸炎及びクローン病が挙げられる。潰瘍性大腸炎及びクローン病は、通常、疾患活動係数によって評価され、これには、排便頻度、排便中の血液の存在、内視鏡的所見、及び医師の全体的評価が含まれる。上記状態の持続は、慢性炎症へと導き、続いて、結腸癌の発症に関する原因要素となる。炎症性腸疾患を治療するための既存の方法は、腹痛、下痢、疲労、貧血、栄養不足、粘膜炎症、過剰な腸管症状、入院、手術、及び合併症、例えば、膿瘍、瘻、感染、及び悪性が挙げられる。
【0007】
炎症性腸疾患の治療は、スルファサラジン、免疫抑制剤及びコルチコステロイドの経口投与からなる。通常、スルファサラジンは、潰瘍性大腸炎及びクローン病を抑えるために、軽度な好ましい一次治療である。しかしながら、薬物不耐性、葉酸吸収障害、腎弊害などの副作用は、スルファサラジンを炎症性腸疾患に望ましくないものにする。さらに、結腸でのスルファサラジンの利用可能性は、胃でのその吸収、及びその後の尿への排出に起因して制限される。潰瘍性大腸炎及びクローン病は、急性状態において、コルチコステロイドによる治療を必要とするが、これらの薬物は寛解を防ぐことができない。コルチコステロイドの長期使用は、皮膚の菲薄化、裂傷への感受性、体重増加、血圧上昇、糖尿病及び関連する悪条件と関係がある。免疫抑制剤は、潰瘍性大腸炎及びクローン病の長期治療に効果的である。また、これらの薬物は、骨髄抑制、リンパ腫(腎臓移植患者における)、皮膚癌及び膵炎などの重大な悪い反応を有する。炎症性腸疾患は、いくつかの症例において、腸切除、狭窄形成又は一時的若しくは永続的な結腸瘻造設術又は回腸造瘻術などの外科手術を必要とし、これは、全身麻酔の使用及び術後回復の合併症を伴う。粘膜損傷による胃腸管の潰瘍形成は、炎症性腸疾患の関連した合併症である。炎症性腸疾患の慢性特性、及び関連した炎症疾患は、長期の管理療法を必要とする。炎症性腸疾患の現在の治療法は、持続的な治療の悪副作用とこの疾患の寛解の高リスクの制限を有する。
【0008】
ヘリコバクター・ピロリ(helicobacter pylori)などの病原性最近によって誘導される炎症は、炎症性腸疾患の症状の悪化をさらに促進させる。さらに、ストレス、食事及びアルコール消費などの環境因子は、ヘリコバクター・ピロリの活性を増幅させる。世界保健機関(WHO)は、胃癌腫を促進するI群の癌腫としてヘリコバクター・ピロリを分類している。ヘリコバクター・ピロリ感染は、内皮細胞を損傷する慢性炎症反応、続く、最終的に胃癌腫をもたらす胃萎縮の誘導を誘発する。胃癌腫又は胃癌の治療は、非常に致死的な治療選択を有し、例えば、胃切除術による癌腫組織の外科的除去、部分的/全体的な胃の除去、化学療法、放射線療法及び化学放射線療法が挙げられる。しかしながら、これらの治療は、患者に乏しい生活の質をもたらす実質的に高い副作用を有する。また、これらの治療は、癌腫の再発の高い可能性があるため、完全な回復を保証してない。感染した胃粘膜からのヘリコバクター・ピロリの根絶のための適時診断及び治療は、胃癌腫の危険を一般的に減少させる場合がある。ユーザーは、ヘリコバクター・ピロリ感染の根絶のための有効な手段を認識することもあり、これは、ヘリコバクター・ピロリ感染によって誘導される胃癌腫の予防を間接的に手助けすることができる。
【0009】
センテラ・アジアティカ由来のアジアチコサイドを抽出するための商業的に実現可能な方法は、医薬組成物として句丘的に使用されるために非常に高純度を有することが必要とされる。さらに、アジアチコサイド組成物は、ヘリコバクター・ピロリとともに、炎症性腸疾患の有効な長期管理のためのより本質的であり穏やかな方法を提供することが必要とされる。さらに、アジアチコサイド組成物は、炎症性腸疾患に起因して誘導される胃疾患及び結腸癌を予防することが必要とされる。さらに、アジアチコサイド組成物は、胃癌腫を予防する、ヘリコバクター・ピロリ感染の効果的な根絶が必要とされる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に照らして、本明細書に開示されているアジアチコサイド化合物は、以下の構造を有する。
【0019】
本開示は、少なくとも99%純度のアジアチコサイドを得るためのプロセスに関し、該プロセスは以下の行為:
a)アジアチコサイドの粉砕された供給源材料を第1溶媒で処理し;
b)該処理された粉砕された材料を第2溶媒で抽出して、抽出物又は濾過物を得て;
c)蒸留し、第3溶媒に、該抽出物又は濾過物を溶解して、溶液を得て;
d)該溶液を吸着体に通過させ、アルコール溶媒で溶出して、溶媒溶出物を得て;
e)該溶媒溶出物を真空濃縮して、アジアチコサイドの粉末を得て;及び
f)該粉末をアルコールに溶解し、結晶化して、少なくとも99%純度のアジアチコサイドを得る
を含む。
また、本開示は、少なくとも99%純度のアジアチコサイド、及び医薬として許容される賦形剤(単数又は複数)を含む医薬組成物を製造するプロセスに関し、該プロセスは以下の行為:
a)アジアチコサイドの粉砕された供給源材料を第1溶媒で処理し;
b)該処理された粉砕された材料を第2溶媒で抽出して、抽出物又は濾過物を得て;
c)蒸留し、第3溶媒に、該抽出物又は濾過物を溶解して、溶液を得て;
d)該溶液を吸着体に通過させ、アルコール溶媒で溶出して、溶媒溶出物を得て;
e)該溶媒溶出物を真空濃縮して、アジアチコサイドの粉末を得て;
f)該粉末をアルコールに溶解し、結晶化して、アジアチコサイドを得て;
g)医薬として許容される賦形剤(単数又は複数)を該アジアチコサイドに添加して、少なくとも99%純度のアジアチコサイドを含む医薬組成物を得る
を含む。
本開示の一態様において、アジアチコサイドの供給源材料は、植物及び動物を含む群から選択される。
本開示の別の態様において、植物供給源は、センテラ・アジアティカである。
本開示のなお別の態様において、抽出は、約20℃〜約30℃の範囲の温度にて、約8時間〜約24時間の時間行われる。
本開示のさらに別の態様において、第1溶媒は、脂肪族化合物、ケトン、アルコール、亜硝酸塩、エステル、エーテル、又はそれらの任意の混合物を含む群から選択され、好ましくは石油エーテル又はメチルイソブチルケトンである。
本開示のさらに別の態様において、第2溶媒は、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、及びブチルアルコールを含む群から選択される脂肪族アルコールであり、これらは、単独で又は60%〜99%の範囲の比で水を併用する。
本開示のさらに別の態様において、抽出物は、脱塩水に溶解される。
本開示のさらに別の態様において、第3溶媒は、ヘキサン、メチルイソブチルケトン及び石油エーテル、又はそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される。
本開示のさらに別の態様において、吸着体は樹脂床である。
本開示のさらに別の態様において、脂肪族溶媒は、メタノール及びイソプロピルアルコール又はそれらの任意の組み合わせを含む群から選択されるC−1〜C−4の範囲の炭素原子を含む。
本開示のさらに別の態様において、該真空濃縮は、約50℃〜65℃の範囲の温度にて行われる。
本開示のさらに別の態様において、水性アルコールは、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、及びそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される。
本開示のさらに別の態様において、結晶化は、約−15℃〜約0℃の範囲の温度にて行われる。
本開示のさらに別の態様において、組成物は、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、軟膏、パッチ、ゲル、ローション、歯磨剤、カプセル、エマルション、クリーム、噴霧剤、ドロップ、分散性粉末又は顆粒、硬質又は軟質ゲルカプセル中のエマルション、シロップ、エリキシル剤、植物医薬、栄養補助食品及び食料品、又はそれらの任意の組み合わせに製剤化される。
また、本開示は、炎症性腸疾患、痔、裂肛、瘻、胃疾患、胃癌腫及びヘリコバクター・ピロリの根絶、又はそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される疾患を治療するための方法に関し、該方法は、必要とする対象に、ある投薬量のアジアチコサイド、場合により医薬として許容される賦形剤(単数又は複数)を投与する行為を含む。
また、本開示は、結腸癌、胃疾患、胃癌腫、及び薬物の潰瘍誘発作用、又はそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される疾患を予防する方法に関し、該方法は、必要とする対象に、ある投薬量のアジアチコサイド、場合により医薬として許容される賦形剤(単数又は複数)を投与する行為を含む。
本開示の態様では、医薬として許容される賦形剤は、造粒剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、流動促進剤、抗接着剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗酸化剤、ゴム、被覆剤、着色剤、風味剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤、及び球形化剤、又はそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される。
本開示の別の態様において、対象は、ヒトを含む動物である。
本開示のなお別の態様において、組成物は、約1mg/kg〜約360mg/kgの範囲の投薬量で動物に投与される。
本開示のさらに別の態様において、組成物は、約1mg/kg〜約60mg/kgの範囲の投薬量でヒトに投与される。
好ましい態様において、本発明は、少なくとも99%純度を有するアジアチコサイドの高純度組成物、及びその製造法を提供する。本発明のアジアチコサイドは、分子式C
48H
78O
19を有する。アジアチコサイドは、この1つの好ましい態様において、植物供給源であるセンテラ・アジアティカから得られるが、しかしながら、アジアチコサイドは、本発明の他の代替態様において、動物供給源から得ることができることは理解される。
【0020】
具体的には、本発明は、99%以上のアジアチコサイドを有する組成物を製造するための方法又はプロセスを提供し、ここで、該方法は、以下の工程:
a)センテラ・アジアティカの植物材料を粉砕し;
b)粉砕した材料を第1溶媒で処理し、脂肪性物質、クロロフィル及び他の染料を除き;
c)第2溶媒を用いて生物活性分子を抽出し;
d)抽出物を蒸留して、溶媒を除去し、ペーストを形成し;
e)蒸留したペーストを第3溶媒に溶解し、溶液を得て;
f)第3溶媒で抽出し、酸性不純物を除去し;
g)精製された抽出物を吸着体に通過させ、透明な溶液を得て;
h)樹脂床をアルコール溶媒を用いて溶出し、溶媒溶出物を得て;
i)溶媒溶出物を真空濃縮し、粉末を得て;及び
j)粉末を水性アルコールに溶解し、及び結晶化して、少なくとも99%のHPLC純度を有するアジアチコサイド組成物を得る
ことを含む。
【0021】
99%以上のアジアチコサイド組成物を製造するための詳細な方法又はプロセスは、以下に説明される。
【0022】
本発明に従って、茎を含むセンテラ・アジアティカの乾燥葉は、40メッシュサイズに粉砕にされる。粉砕された材料は、濾布を装着している容器の上部及び底部で多孔板を有する抽出器内で集められる。
【0023】
次の工程において、第1溶媒は、20℃〜30℃の温度範囲、最も好ましくは30℃にて、8時間〜24時間の時間範囲、最も好ましくは12時間、逆流的に抽出器を通じて循環させる。この1つの好ましい態様において、使用された第1溶媒は、60℃〜80℃の沸点範囲を有する石油エーテルである。しかしながら、第1溶媒は、本発明の他の態様において、脂肪族化合物、ケトン、アルコール、亜硝酸塩、エステル、エーテル、及びそれらの1以上の混合物を含む群から選択され得ることは理解される。次の工程において、クロロフィル及び他の脂質は、抽出物から除去され、塊は、溶媒を含まないように乾燥させる。
【0024】
次の工程において、乾燥された塊は、第2溶媒を用いて逆流的に抽出させる。この1つの好ましい態様における第2溶媒は、水を併用して又は水を含まないで、直鎖及び分岐鎖アルコールの炭素原子が1〜4である脂肪族アルコールの組み合わせである。本発明の他の代替態様において、第2溶媒は、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、及びブチルアルコールから選択されてもよく、これらは、単独で又は60%〜99%の範囲の比で水を併用してもよい。
【0025】
次の工程において、透明な抽出物を減圧蒸留し、溶媒を蒸発させ、ペーストを形成する。次の工程において、ペーストを脱塩水に溶解し、濾過して、不溶物を除く。次の工程において、透明な水層を繰り返して抽出し、第3溶媒で洗浄して、酸性材料を取り除き、透明な水性抽出物を得る。この1つの好ましい態様における第3溶媒は、メチルイソブチルケトンである。本発明のなお別の態様において、溶媒は、ヘキサン及び石油エーテルを含む群から選択され得る。
【0026】
次の工程において、透明な水性抽出物層は、吸着等級樹脂の床を通過させるように適合され、洗浄されて、5体積以上、好ましくは8体積の脱イオン水を用いて、床から全ての染料及び汚染物を取り除く。
【0027】
次の工程において、水で洗浄された床は、炭素原子がC−1〜C−4の範囲である脂肪族溶媒、好ましくはメタノール若しくはイソプロピルアルコール又はそれらのアルコールの混合物を用いて溶出される。溶出された溶媒を回収し、床を繰り返して洗浄し、床から全てのセンテロサポニン(centellosaponin)を得る。
【0028】
次の工程において、溶媒溶出物は、低温、好ましくは50℃〜65℃の間にて真空下で濃縮し、粉末にする。粉末を水性アルコールに再溶解し、溶液を形成する。この1つの好ましい態様において使用される水性アルコールはメチルアルコールである。しかしながら、水性アルコールは、エチル、プロピルアルコール又はイソプロピルアルコールから選択されてもよく、これらは単独で又はアルコールの50%〜99%の範囲の比で水を併用してもよいことは理解される。
【0029】
次の工程において、溶液は、0℃未満、好ましくは−15℃以下に冷却し、アジアチコサイドを結晶化させる。次の工程において、得られた純粋なアジアチコサイド結晶を濾過し、塩が無くなるまで冷却水で洗浄し、真空下で乾燥させて、アッセイのためにHPLCを用いてその純度について分析され得る自由流粉末を得る。
【0030】
最も好ましい方法の概要は以下の通りである:
a)幹を含むセンテラ・アジアティカの乾燥葉を40メッシュサイズに粉砕した。
b)粉砕された材料は、濾布を有する容器の上部及び底部で多孔板を有する抽出器に集められる。
c)60℃〜80℃の沸点範囲を有する石油エーテルは、20℃〜30℃の範囲の温度、好ましくは30℃の温度にて、8時間〜24時間の範囲の時間、好ましくは24時間、逆流的に循環される。
d)クロロフィル及び他の脂質からなる得られた抽出物を取り出し、塊を溶媒が無くなるように乾燥させた。
e)乾燥された塊は、水を併用して又は水を含まないで、直鎖及び分岐鎖アルコールの炭素原子が1〜4個である脂肪族アルコールの組み合わせを用いて、逆流的に再度抽出される。これらのアルコールは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルアルコールであってもよく、これらは単独で又はアルコールの60%〜99%の範囲の比で水を併用してもよい。
f)透明な抽出物は、溶媒を蒸発させ、減圧蒸留することによってペーストにされる。
g)ペーストを脱塩水に溶解し、メチルイソブチルケトンを用いて繰り返し洗浄する。
h)次に、透明な水性抽出物は、吸着等級樹脂の床を通過され、5体積以上、より好ましくは8体積の脱イオン水を用いて、床から全ての染料及び汚染物を含まないように洗浄される。水で洗浄された床は、炭素原子がC−1〜C−4の範囲である脂肪族溶媒、好ましくはメタノール若しくはイソプロピルアルコール又はそれらのアルコールの混合物を用いて溶出された。
j)溶出された溶媒を回収し、床を繰り返し洗浄して、床から全てのセンテロサポニンを得る。
k)溶媒溶出物は、低温、好ましくは50℃〜65℃の間にて真空下で濃縮し、粉末にした。
l)粉末を水性アルコールに再溶解し、ここで、使用されたアルコールは、エチル、メチル、プロピル又はイソプロピルアルコールであり、アルコールの50%〜99%の範囲の比で水と併用され、0℃未満、好ましくは−15℃以下に冷却して、アジアチコサイドを結晶化させる。
m)このようにして形成された純粋なアジアチコサイドを濾過し、塩が無くなるまで冷却水で洗浄し、真空下で乾燥され、自由流粉末を得る。
n)このようにして単離された材料は、アッセイ及び不純物のためにHPLC法を用いて、以下のようにして、その純度について分析される。
【0032】
本発明のさらに別の態様において、アジアチコサイド組成物は、場合により、限定されないが、造粒剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、流動促進剤、抗接着剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗酸化剤、ゴム、被覆剤、着色剤、風味剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤及び球形化剤などの群から選択される医薬として許容される賦形剤とともに利用可能である。
【0033】
本発明のさらに別の態様において、アジアチコサイド組成物は、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、軟膏、パッチ、ゲル、ローション、歯磨剤、カプセル、エマルション、クリーム、噴霧剤、ドロップ、分散性粉末又は顆粒、硬質又は軟質ゲルカプセル中のエマルション、シロップ、エリキシル剤、植物医薬、栄養補助食品及び食料品などの群から選択される授受の剤形に製剤化され得る。
【0034】
本発明のさらに別の態様において、組成物は、粉末又は液体のいずれかであり、副作用は最少であり、ここで、組成物は、動物において1〜360mg/kgの投薬量範囲、ヒトにおいて1〜60mg/kgの投薬量範囲である。アジアチコサイド組成物は、患部の効果的な治療のために治療的又は予防的投薬として投与されるように適合される。
【0035】
好ましい態様において、本発明は、さらに、炎症性腸疾患(以下、IBD)、例えば、潰瘍性大腸炎(以下、UC)、クローン病(以下、CD)、及び痔、裂肛、瘻の関連した合併症を治療し、並びに上記状態によって誘導される結腸癌の予防のためのインビボ法を提供する。
【0036】
好ましい態様において、本発明はまた、ヘリコバクター・ピロリ(以下、H.ピロリ)を治療するためにインビボ法を提供する。さらに、本発明はまた、NSAID誘導性潰瘍におけるH.ピロリの根絶のインビボ法を提供する。
【0037】
好ましい態様において、本発明はまた、胃疾患及び胃癌腫を予防するためのインビボ法を提供する。
【0038】
したがって、本発明に照らして、抗炎症活性、治癒活性を解明するために行われる試験、アジアチコサイド組成物(以下、試験薬物)使用及びその作用の様式の確立のための方法は、以下において詳細に説明される:
a)薬物動態研究において、試験薬物は、投与され、その血液中の生物利用可能性及び尿及び糞便への排出が分析される。アジアチコサイドは血液に吸収されないが、無変化形態で糞便材中に完全に排出することが観察される。試験薬物のこの特性は、IBD及び関連疾患を治療するために更なる調査を促進した。
b)トリニトロベンゼン硫酸(TNBS)誘導性IBDモデルにおいて、TNBS投与後の10日間の処置後の試験薬物は、結腸重量、及び結腸重量/長さの比を有意に減少させた。さらに、体重増加、潰瘍係数及びミエロペルオキシダーゼ活性の減少が観察される。また、直腸出血は、試験薬物投与の3日目の後に有意に減少される。
c)酢酸誘導性IBDモデルにおいて、処置の10日後の試験薬物は、結腸重量、結腸長、結腸幅、結腸重量/長さの比、及び結腸の顕微鏡スコアを有意に減少させた。また、試験薬物は、潰瘍係数の減少、及びミエロペルオキシダーゼ活性の有意な減少を示した。
d)非ステロイド性抗炎症性剤(以下、NSAID)誘導性潰瘍を用いたH.ピロリ感染させたラットのインビボモデルは、試験薬物の潜在的な抗H.ピロリ及び抗潰瘍活性について試験される。試験薬物は、H.ピロリ感染の完全な根絶とともに、潰瘍領域における投薬量依存性及び時間依存性の減少を示した。
e)ストレス誘導性潰瘍のモデルにおいて、ヒスタミンをラットに投与し、潰瘍状態を誘導し、ストレス誘導性潰瘍の予防における試験薬物の効果は、試験薬物を用いた動物の前処理によって確認される。試験薬物は、ヒスタミン誘導性潰瘍の予防に効果的であることが見出される。
f)アルコール誘導性潰瘍のモデルにおいて、エタノールを試験薬物で前処理されたラットに投与し、潰瘍状態を誘導する。試験薬物は、エタノール誘導性潰瘍に対して予防効果を示した。
【0039】
本発明は、以下の実施例の助けによりさらに詳述される。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するように構築されるべきでないことが理解される。
【実施例】
【0040】
実施例1
10キログラムのセンテラ・アジアティカ葉は、ハンマーミルを用いて40メッシュサイズに粉砕された。粉砕された材料は、30℃にて8時間かけて、繰り返して、固定された床逆流抽出器において50リットルの石油エーテルにより抽出された。クロロフィル及び脂質を含まない抽出された塊は、床中に空気を循環させることによって乾燥された。乾燥された塊は、30℃にて8時間、75リットルのイソプロピルアルコールにより抽出される。抽出後の透明な濾過物を真空下で濃縮し、ペーストを得た。ペーストを25リットルの脱塩水に溶解し、不溶物を除くように濾過した。透明な水層を繰り返して抽出し、メチルイソブチルケトンで洗浄し、全ての酸性材料を取り除いた。この操作は、TLCを用いて酸性成分の不存在をモニターし、ここで、TLC移動相は、4:1:5の比率のn−ブタノール:酢酸エチル:水の混合物の上層からなっていた。透明層は、250mlのAmberlite(登録商標)XAD−4を含む垂直カラムを有する吸着クロマトグラフィーカラムを通過させ、水で洗浄し、全ての付着性染料及び粒子を取り除いた。これに続いて溶出サイクルを行い、ここで、カラムは、メチルアルコールで溶出され、溶媒溶出物は真空下で濃縮されて、500グラムの粉末を得た。この粉末は、80%メチルアルコールと20%水から構成される2500mlの水性アルコールに溶解され、透明な溶液を得た。この養鶏を−15℃に冷却し、アジアチコサイド結晶を得た。塊を濾過し、水で洗浄して、80℃にて乾燥させた。収量はアジアチコサイドが158グラムであり、HPLC純度は99.6%であった。
【0041】
実施例2
10キログラムのセンテラ・アジアティカ葉は、ハンマーミルを用いて40メッシュサイズに粉砕された。粉砕された材料は、30℃にて8時間かけて、繰り返して、固定された床逆流抽出器において50リットルの石油エーテルにより抽出された。クロロフィル及び脂質を含まない抽出された塊は、床中に空気を循環させることによって乾燥された。乾燥された塊は、30℃にて8時間、75リットルの80%水性エチルアルコールにより抽出された。抽出後の透明な濾過物を真空下で濃縮し、ペーストを得た。ペーストを25リットルの脱塩水に溶解し、不溶物を除くように濾過した。透明な水層を繰り返して抽出し、メチルイソブチルケトンで洗浄し、全ての酸性材料を取り除いた。この操作は、TLCを用いて酸性成分の不存在をモニターし、ここで、TLC移動相は、4:1:5の比率のn−ブタノール:酢酸エチル:水を有する混合物の上層からなっていた。透明層は、250mlのAmberlite(登録商標)XAD−4を含む垂直カラムを有する吸着クロマトグラフィーカラムを通過させ、水で洗浄し、全ての付着性染料及び粒子を取り除いた。これに続いて溶出サイクルを行い、ここで、カラムは、メチルアルコールで溶出され、得られた溶媒溶出物は真空下で濃縮されて、500グラムの粉末を得た。この粉末は、80%メチルアルコールと20%水から構成される2500mlの水性アルコールに溶解され、透明な溶液を得た。この養鶏を−15℃に冷却し、アジアチコサイド結晶を得た。塊を濾過し、水で洗浄して、80℃にて乾燥させた。収量はアジアチコサイドが150グラムであり、HPLC純度は99.2%であった。
【0042】
実施例3
10キログラムのセンテラ・アジアティカ葉は、ハンマーミルを用いて40メッシュサイズに粉砕された。粉砕された材料は、30℃にて8時間かけて、繰り返して、固定された床逆流抽出器において50リットルの石油エーテルにより抽出された。クロロフィル及び脂質を含まない抽出された塊は、床中に空気を循環させることによって乾燥された。乾燥された塊は、30℃にて8時間、75リットルのメチルアルコールにより抽出された。抽出後に得られた透明な濾過物を真空下で濃縮し、ペーストを得た。ペーストを25リットルの脱塩水に溶解し、不溶物を除くように濾過した。透明な水層を繰り返して抽出し、メチルイソブチルケトンで洗浄し、酸性材料を取り除いた。酸性成分の不存在に関するこの操作は、TLCを用いてモニターされた。透明層は、250mlのAmberlite(登録商標)XAD−4を含む垂直カラムを有する吸着クロマトグラフィーカラムを通過させ、水で洗浄し、全ての付着性染料及び粒子を取り除いた。これに続いて溶出サイクルを行い、ここで、カラムは、メチルアルコールで溶出され、溶媒溶出物を得た。この溶媒溶出物は真空下で濃縮されて、500グラムの粉末を得た。この粉末は、80%メチルアルコールと20%水から構成される2500mlの水性アルコールに溶解され、透明な溶液を得た。この養鶏を−15℃に冷却し、アジアチコサイド結晶を得た。塊を濾過し、水で洗浄して、80℃にて乾燥させた。収量はアジアチコサイドが145グラムであり、HPLC純度は99.8%であった。
【0043】
実施例4
10キログラムのセンテラ・アジアティカ葉は、ハンマーミルを用いて40メッシュサイズに粉砕された。粉砕された材料は、30℃にて8時間かけて、繰り返して、固定された床逆流抽出器において50リットルの石油エーテルにより抽出された。クロロフィル及び脂質を含まない抽出された塊は、床中に空気を循環させることによって乾燥された。乾燥された塊は、30℃にて8時間、75リットルの80%イソプロピルアルコールと20%水を含むイソプロピルアルコールにより抽出された。抽出後の透明な濾過物を真空下で濃縮し、ペーストを得た。ペーストを25リットルの脱塩水に溶解し、不溶物を除くように濾過した。透明な水層を繰り返して抽出し、メチルイソブチルケトンで洗浄し、全ての酸性材料を取り除いた。この操作は、TLCを用いて、酸性成分の不存在についてモニターされた。透明層は、250mlのAmberlite(登録商標)XAD−4を含む垂直カラムを有する吸着クロマトグラフィーカラムを通過させ、水で洗浄し、全ての付着性染料及び粒子を取り除いた。これに続いて溶出サイクルを行い、ここで、カラムは、メチルアルコールで溶出され、得られた溶媒溶出物は真空下で濃縮されて、500グラムの粉末を得た。この粉末は、80%メチルアルコールと20%水から構成される2500mlの水性アルコールに溶解され、透明な溶液を得た。この養鶏を−15℃に冷却し、アジアチコサイド結晶を得た。アジアチコサイド塊を濾過し、水で洗浄して、80℃にて乾燥させた。収量はアジアチコサイドが158グラムであり、HPLC純度は99.6%であった。
【0044】
実施例5
10キログラムのセンテラ・アジアティカ葉は、ハンマーミルを用いて40メッシュサイズに粉砕された。粉砕された材料は、30℃にて8時間かけて、繰り返して、固定された床逆流抽出器において50リットルの石油エーテルにより抽出された。クロロフィル及び脂質を含まない抽出された塊は、床中に空気を循環させることによって乾燥された。乾燥された塊は、30℃にて8時間、75リットルの30%水を含む70%イソプロピルアルコールにより抽出された。抽出後の透明な濾過物を真空下で濃縮し、ペーストを得た。ペーストを25リットルの脱塩水に溶解し、不溶物を除くように濾過した。透明な水層を繰り返して抽出し、メチルイソブチルケトンで洗浄し、全ての酸性材料を取り除いた。この操作は、TLCを用いて、酸性成分の不存在についてモニターされた。透明層は、250mlのAmberlite(登録商標)XAD−4を含む垂直カラムを有する吸着クロマトグラフィーカラムを通過させ、水で洗浄し、全ての付着性染料及び粒子を取り除いた。これに続いて溶出サイクルを行い、ここで、カラムは、メチルアルコールで溶出され、得られた溶媒溶出物は真空下で濃縮されて、500グラムの粉末を得た。この粉末は、80%メチルアルコールと20%水から構成される2500mlの水性アルコールに溶解され、透明な溶液を得た。この養鶏を−15℃に冷却し、アジアチコサイド結晶を得た。塊を濾過し、水で洗浄して、80℃にて乾燥させた。収量はアジアチコサイドが157グラムであり、HPLC純度は99.8%であった。
【0045】
実施例6:作用部位での試験薬物の利用可能性
試験薬物の薬物動態パラメータは、試験薬物の生物利用可能性を決定するために、健常ラットにおいて研究された。
手法:本研究では、動物は、実験前の一晩、絶食され、250mg/kgの試験薬物の単回経口投薬を与えられた。血液試料は、投薬後の0、0.25、0.50、1、2、3、4、5、及び6時間に回収された。血清は、7000rpm、15分間、4℃にて血液を遠心分離することによって得られた。動物は、尿及び糞便を回収するために代謝ケージに保持された。逆相HPLC法は、血漿、尿及び糞便において、試験薬物の検出のために開発された。尿及び糞便による試験薬物の排除は、0〜4時間、4〜8時間、及び8〜24時間で決定された。
【0046】
観察:250mg/kgの高投薬量でさえ、薬物が全身的に血液に吸収されないことが観察された。これは、尿におけるアジアチコサイドの不存在によって再確認された。試験薬物は、胃腸管を通じて、未変化の形態で通過し、糞便材を通じて完全に排出される。さらに、試験薬物は、患部においてアジアチコサイド組成物の生物利用可能性を実質的に増加させる血液に吸収されないことが観察された。これに関連して行われた実験において、約81.42%の薬物が糞便材から回収された。したがって、IBD及び関連疾患の治療において試験薬物の潜在性があることが確認された。
【0047】
実施例7:ラットにおけるTNBS誘導性大腸炎における試験薬物の効果
トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)誘導性大腸炎は、IBDについて使用される標準的な動物モデルの1つである。このモデルにおいて、TNBSの単回結腸内投与は、結腸上皮に損傷を与え、長期の慢性炎症を誘導する。結腸の貫壁性肉芽腫性炎症は、クローン病において示される病理組織学的特徴に類似している。
【0048】
手法:本研究において、雄性Wistarラット(280〜291g)を48時間絶食させ、麻酔下に設置した。3mm径のカニューレを深さ8cmまで肛門に挿入し、0.25mlの30%エタノール溶液に溶解させた25mgのTNBSを各ラットに注射した。ラットは、1分間、尻尾を持ち上げて配置された。1日後、試験薬物は、10日間、1日1回経口投与された。健常な対照群は、生理食塩水のみを受けたが、TNBSは維持されなかった。第11日目、各群のラットは、頸椎脱臼によって屠殺され、身体検査のために結腸を単離した。結腸試料は、病理組織学的評価のために10%中性ホルマリン溶液に保存された。
【0049】
観察:実施された実験において、TNBS誘導性IBD状態、例えば、結腸重量の増加、結腸の重量/長さ比、及びミエロペルオキシダーゼ活性は、10日、50mg/kg(p.o.)の投薬量にて1日1回の試験薬物による処置によって有意に回復に向かわせた。また、試験薬物は、顕微鏡スコア及び結腸潰瘍係数の減少から分かるように、TNBSによって誘導された病変を治癒した。試験薬物によるミエロペルオキシダーゼ活性の逆転(reversal)は、IBDにおいて見られた結腸病変の治癒におけるその潜在性を確認した。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
TNBS誘導性IBDにおける試験薬物の効果は、IBDの処置及び管理における試験薬物の治療価値を強く指示した。
【0054】
実施例8:ラットにおける酢酸誘導性大腸炎に対する試験薬物の効果
酢酸誘導性大腸炎は、急性ヒト腸炎に対して、炎症性メディエータの類似性を有するIBDのモデルである。
【0055】
手法:本モデルにおいて、初期損傷は上皮壊死及び浮腫であり、これは、酢酸への暴露の濃度及び長さに依存した、固有層、粘膜下層、又は外部筋層に可変的に拡張される。雄性Wistarラット(280〜291g)は、大腸炎の誘導前の72時間に開始して、50mg/kgの投薬量で1日1回の試験薬物(p.o.)を与えられた。ラットは、24時間絶食され、麻酔され、3mm径のカニューレは、結腸内に2mlの3%酢酸を30病間注入するために、8cmの深さまで肛門に挿入された。24時間後、動物は、頸椎脱臼によって屠殺され、結腸を単離し、大腸炎のパラメータを測定した。
【0056】
観察:試験薬物の3日間のラットにおける前処置は、酢酸誘導性大腸炎症状の有意な逆転効果を有した。結腸重量及び結腸重量/長さ比の増加などの酢酸誘導性状態の逆転は、大腸炎における試験薬物の優位な効果を指示した。さらに、これらの効果は、結腸組織における顕微鏡病変スコア及びミエロペルオキシダーゼ活性の減少によって確認された。
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
酢酸誘導性大腸炎における試験薬物の効果は、IBDの管理における試験薬物の治療価値を強く指示した。
【0060】
実施例9:H.ピロリ感染した胃疾患における試験薬物の効果
H.ピロリの根絶における試験薬物の効果は、9週間の長期間投与後のラットにおけるNSAID誘導性潰瘍において試験された。H.ピロリ感染は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び迅速ウレアーゼ試験(RUT)によってモニターされ、長期間処置を評価した。
【0061】
手法:雄性Wistarラット(200〜230g)は、24時間絶食され、連続3日間、30mg/kgの投薬量でNaproxen(p.o.)を与えられた。24時間後、生きたH.ピロリ(ATCC26695、MS−5菌株、10
8CFU)のブルセラ菌ブロス溶液は、連続して3日間投与(1ml/動物)された。1週間後、試験薬物は、120mg/kg(p.o.)を1日2回、240mg/kg(p.o.)を1日1回、又は360mg/kg(p.o.)を1日1回で投与された。動物は、9週間の処置の完了時に屠殺された。屠殺された動物の胃を単離し、胃粘膜を生理食塩水で洗浄し、幽門をRUTのために解剖した。ミエロペルオキシダーゼ評価のために粘膜をバラバラにし、PCRによりDNAを増幅し、2つの非突然変異遺伝子の16S rRNA及びhrgAについてゲル電気泳動した。
【0062】
観察:感染状態は、処置の4、6及び9週後に、2つのH.ピロリ遺伝子のRUT及びPCR増幅によってラットの胃においてモニターされた。360mg/kg投薬量の試験薬物(p.o.)は、第3週に迅速な抗菌活性を示し、続く9週においてH.ピロリ感染の根絶を示す。しかしながら、低投薬量である120mg/kg(p.o.)(1日2回)及び240mg/kg(p.o.)(1日1回)で投与された試験薬物は、H.ピロリ根絶に効果的でなかった。試験薬物の効果は、高投薬量で、H,ピロリ感染の根絶において治療価値を強く指示し、また、H.ピロリ関連の胃疾患及び胃癌腫の治療に治療的潜在性に薬学的証拠を提供した。
【0063】
実施例10:薬物誘導性胃疾患における試験薬物の予防効果
NaproxenなどのNSAID薬物によって誘導される胃病変は、GI管において炎症反応を悪化させ得る。薬物誘導性胃病変の予防における試験薬物の潜在性は、Naproxen誘導性潰瘍の動物モデルにおいて研究された。
【0064】
手法:雄性Wistarラット(220〜230g)は、30mg/kg(p.o.)、又は60mg/kg(p.o.)、又は120mg/kg(p.o.)の投薬量での試験薬物により前処置され、次に、Naproxenは、30mg/kg(p.o.)の投薬量で投与された。潰瘍の形成及び潰瘍形成領域は、試験薬物での前処置を受けないNaproxen対照群と比較された。
【0065】
観察:試験薬物は、投薬量依存的に潰瘍形成を予防したことが観察された。120mg/kgの最高投薬量は、Naproxenの潰瘍誘発作用に対する保護において最も有効であることが見出された。したがって、この試験は、薬物の潰瘍誘発作用に対して潜在的な予防効果を示した。
【0066】
【表7】
【0067】
実施例11:ストレス誘導性胃疾患における試験薬物の予防効果
ストレス誘導性胃病変は、GI管における炎症反応を引き起こす又は悪化させ得る状態である。ストレス誘導性胃病変の予防における試験薬物の潜在性は、ヒスタミン誘導性潰瘍の動物モデルにおいて試験された。
【0068】
手法:雄性Wistarラット(220〜230g)は、30mg/kg(p.o.)、又は60mg/kg(p.o.)、又は120mg/kg(p.o.)の投薬量で試験薬物により前処理され、次に、ヒスタミンを300mg/kg(i.p.)の投薬量で投与した。潰瘍の形成及び潰瘍形成の領域は、試験薬物による前処置を受けていない対照群と比較された。
【0069】
観察:試験薬物による前処置は、投薬量依存的に潰瘍形成を予防することが観察された。最高量の120mg/kgは、ヒスタミンの潰瘍誘発作用に対する保護において最も有効であった。したがって、試験薬物は、ストレス誘導性潰瘍に対して潜在的な予防効果を有することが確認された。
【0070】
【表8】
【0071】
実施例12:ラットにおけるアルコール誘導性胃疾患に対する試験薬物の予防効果
アルコール消費は、胃病変に帰着する別の主な因子である。したがって、動物におけるアルコール誘導性潰瘍の予防における試験薬物の潜在性を試験した。
【0072】
手法:雄性Wistarラットは、30mg/kg(p.o.)、又は60mg/kg(p.o.)、又は120mg/kg(p.o.)の投薬量で試験薬物により前処理され、次に、エタノールを8ml/kg(i.p.)の投薬量で投与した。潰瘍の形成及び潰瘍形成の領域は、試験薬物による前処置を受けていない対照群と比較された。本研究における平均潰瘍領域は、対照群において174.4mm
2±5.814mm
2として測定され、エタノールの潰瘍誘発作用効果を指示した。
【0073】
観察:試験薬物による前処置は、投薬量依存的に潰瘍形成を予防することが観察された。最高量の120mg/kgは、エタノールの潰瘍誘発作用に対する保護において最も有効であった。したがって、アルコール消費によって誘導される潰瘍に対する試験薬物の有意な予防効果が確認された。
【0074】
【表9】
【0075】
実施例13:ヒトにおけるIBDの治療における試験薬物の効果
IBD患者における試験薬物の有効性を評価するための見込み研究を行った。
【0076】
手法:本研究では、炎症性腸疾患の慢性症状を被っている3人の患者に、300mgの投薬量で6カ月間、1日2回、試験薬物を与えた。その後、試験薬物の有効性は、研究期間の開始と終了時に行われた患者の記録結果に基づいて分析された。
【0077】
観察:全ての患者は、腹痛、下痢、直腸出血、発熱、吐き気及び嘔吐などのIBD関連症状からの軽減の体験をしていたことが観察された。さらに、トイレへの訪問頻度、下痢薬への依存及び排便と関連した疼痛の減少から観察される、排便管理における有意な改善が見られることが観察された。さらに、関節痛、皮膚疾患又は眼に関連した合併症の兆候がないことが観察された。さらに、試験薬物は、十分に許容され、IBD治療における有効性を示したことが観察された。
【0078】
【表10】
【0079】
実施例14:ヒトでの痔の治療における試験薬物の効果
痔の患者における試験薬物の有効性を評価するための見込みの制御されていない試験的研究を行った。
【0080】
手法:本研究では、直腸出血、排便中の疼痛及び直腸刺激の慢性的痔症状を被っている5人の患者に、300mgの投薬量で1日2回、15日間試験薬物を与えた。試験薬物の効果は、研究期間の開始と終了時に行われた患者による記録結果に基づいて分析された。
【0081】
観察:試験薬物は、痔及び裂肛の症状から迅速な軽減の提供に効果を有することが観察された。さらに、全ての患者は、試験薬物での処置の第3日目に直腸出血から軽減されたことが観察された。さらに、処置期間の終了までに、排便と関連した疼痛及び刺激の有意な軽減があったことが観察された。
【0082】
【表11】
【0083】
本発明は、例示的なやり方で説明され、使用された技術は、限定というよりはむしろ説明の性質であると意図されることが理解されるべきである。
【0084】
包括的であり、開示された正確な形態に本発明を限定することを意図していない。多数の修飾及び実証は、上記教示に照らして可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ添付される特許請求の範囲によって限定されることが意図される。また、以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載されている発明の一般的特徴及び特定の特徴の全てをカバーすることを意図することも理解されるべきである。