(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パージ流と関連した熱交換器を更に有し、前記熱交換器は、前記パージ流の温度を250°F(121.1℃)〜300°F(148.9℃)に減少させるよう構成された交差交換型熱交換器である、
請求項2記載のシステム。
前記再生コラムに流体結合され、前記再生炭酸カリウム溶剤の一部分を受け入れてこれを加熱し、そして加熱された再生炭酸カリウム溶剤を生じさせるよう構成された再沸器を更に有する、
請求項1記載のシステム。
溶剤再生を完了する前に前記再生コラムから前記重炭酸塩溶剤溶液の一部分を取り出し、前記取り出した重炭酸塩溶剤溶液を前記吸収器コラム中に下方に送り込むステップを更に有する、
請求項16記載の方法。
前記再生コラムに流体結合され、前記再生炭酸カリウム溶剤の一部分を受け入れてこれを加熱し、そして加熱された再生炭酸カリウム溶剤を生じさせるよう構成された再沸器を更に有し、前記加熱された再生炭酸カリウム溶剤は、再循環して前記再生コラムに戻され、それにより重炭酸塩溶剤溶液を沸騰させる流れが生じる、
請求項22記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明の項において、本発明の特定の実施形態を好ましい実施形態と関連して説明する。しかしながら、以下の説明が本発明の特定の実施形態又は特定の使用に特有である範囲まで、これは、例示目的にのみ行われ、例示の実施形態についての説明を提供するに過ぎない。したがって、本発明は、以下に説明する特定の実施形態には限定されず、それどころか、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるあらゆる変形例、改造例及び均等例を含む。
【0016】
本明細書において用いられる種々の用語について以下に定義する。特許請求の範囲の記載に用いられている用語が以下において定義されていない場合、関連分野における当業者が少なくとも1つの印刷された刊行物又は発行された特許に反映されているようにその用語には最も広い定義が与えられるべきである。
【0017】
本明細書で用いられている「天然ガス」という用語は、原油田(随伴ガス)又は地下ガス貯留地層(非随伴ガス)から得られた他成分ガスを意味している。天然ガスの組成及び圧力は、千差万別であると言える。典型的な天然ガス流は、主要成分としてメタン(CH
4)を含み、即ち、天然ガス流の50mol%以上がメタンである。天然ガス流は、エタン(C
2H
6)、これよりも分子の高い炭化水素(例えば、C
3〜C
20炭化水素)、1種類又は2種類以上の酸性ガス(例えば、硫化水素、二酸化炭素)又はこれらの任意の組み合わせを更に含む場合がある。天然ガスは、微量の汚染要因物、例えば水、窒素、硫化鉄、蝋、原油又はこれらの任意の組み合わせを更に含む場合がある。
【0018】
本明細書で用いられる「化学量論的燃焼」という用語は、燃料及び酸化剤を含む所与の量の反応体及び反応体の全体積が生成物を形成するために用いられる場合、反応体を燃焼させることによって生じる所与の量の生成物を有する燃焼反応を意味している。本明細書で用いられる「実質的に化学量論的燃焼」という表現は、燃焼用燃料と化学量論的比に必要な酸素の約±10%又はより好ましくは化学量論的比に必要な酸素の約±5%の範囲の酸素のモル比を有する燃焼反応を意味している。例えば、メタンに関する燃料と酸素の化学量論比は、1:2(CH
4+2O
2>CO
2+2H
2O)である。プロパンの燃料と酸素の化学量論比は、1:5であろう。実質的に化学量論的燃焼を測定する別のやり方は、供給される酸素と化学量論的燃焼に必要な酸素の比としてであり、例えば、約0.9:1から約1.1:1であり、より好ましくは約0.95:1から約1.05:1である。
【0019】
本明細書において開示されるシステム及びプロセスの実施形態は、超低エミッション発電を行うと共に石油・原油の回収増進(EOR)又は隔離用途のためのCO
2を生じさせるために利用されるのが良い。本明細書において開示する実施形態によれば、空気と燃料の混合物を化学量論的に又は実質的に化学量論的に燃焼させて再循環排ガスの流れと混合するのが良い。一般に燃焼生成物、例えばCO
2を含む再循環排ガスの流れは、化学量論的燃焼及び次の膨張機に入る排ガスの温度を制御し又は違ったやり方で加減する希釈剤として使用可能である。
【0020】
排ガスを冷却すると共に流れから水を凝縮することによって、比較的高い含有量のCO
2流を生じさせることができる。再循環排ガスの一部分を閉鎖ブレイトンサイクルにおける温度加減のために利用することができるが、残りのパージ流をEOR用途に用いることができ、大気中に放出されるSO
X、NO
X又はCO
2がほとんどなく又は全くない状態で動力を生じさせることができる。
【0021】
再循環のために圧縮される前に排ガスの圧力のブースト又は排ガスの質量流量の他の増加と組み合わせられる燃料の化学量論的又は実質的に化学量論的燃焼により、CO
2分圧を従来型ガスタービン排出物中のCO
2分圧よりも極めて高くすることができる。その結果、CO
2分離器における炭素捕捉は、エネルギーをそれほど用いない溶剤、例えば炭酸カリウム(K
2CO
3)又は炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)を用いて実施することができる。排ガス中における酸素(O
2)、SO
X及びNO
Xの存在により、圧力は高く且つCO
2含有量が多い場合であってもアミン溶剤(例えば、MEA、DEA、MDEA及び関連溶剤)の使用が困難になる。というのは、アミン溶剤は、これらの存在下において劣化する場合があるからである。炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム溶剤は、劣化しないで本発明の最小限の酸素含有量を許容する。さらに、炭酸カリウムは、容易にSO
X又はNO
Xを吸収し、これを単純な肥料、例えば硫化カリウム(K
2SO
3)及び硝酸カリウム(KNO
3)に変換する。これら肥料を環境的に無害な仕方で容易に放出することができる。
【0022】
次に図を参照すると、
図1は、1つ又は2つ以上の実施形態に従ってコンバインドサイクル構成を用いて発電及びCO
2回収を行う例示の一体型システム100の略図である。少なくとも1つの実施形態では、発電システム100は、動力を生じさせる閉鎖ブレイトンサイクルとして特徴付けられるガスタービンシステム102を有するのが良い。ガスタービンシステム102は、シャフト108を介して膨張機106に結合された第1の又は主圧縮機104を有するのが良い。シャフト108は、任意の機械的、電気的又は他の動力結合手段であって良く、それにより、膨張機106により生じた機械的エネルギーの一部分が主圧縮機104を駆動することができる。少なくとも1つの実施形態では、ガスタービンシステム102は、標準型ガスタービンであって良く、この場合、主圧縮機104及び膨張機106は、それぞれ、圧縮機側端部及び膨張機側端部を形成する。しかしながら、他の実施形態では、主圧縮機104及び膨張機106は、システム102内における個別化されたコンポーネントであっても良い。
【0023】
ガスタービンシステム102は、ライン114内の圧縮酸化体と混合されたライン112内の燃料を燃焼させるよう構成された燃焼チャンバ110を更に有するのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、ライン112内の燃料は、任意適当な炭化水素ガス又は液体、例えば天然ガス、メタン、エタン、ナフサ、ブタン、プロパン、合成ガス、ディーゼル、ケロシン、航空燃料、石炭由来燃料、生物燃料、酸素化炭化水素供給原料又はこれらの組み合わせを含むのが良い。ライン114内の圧縮酸化体は、燃焼チャンバ110に流体結合されていて、供給酸化体120を圧縮するようになった第2の又は入口圧縮機118から導かれるのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、供給酸化体120は、酸素を含有した任意適当なガス(気体)、例えば空気、酸素に富んだ空気、酸素が乏しい空気、純粋酸素又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0024】
以下に詳細に説明するように、燃焼チャンバ110は、主としてCO
2及び窒素成分を有する排ガスを含む圧縮再循環流144も又受け入れるのが良い。圧縮再循環流144を主圧縮機104から導くのが良く、このような圧縮再循環流は、ライン114内の圧縮酸化体及びライン112内の燃料の化学量論的又は実質的に化学量論的燃焼を容易にするのに役立ち、更に排ガス中のCO
2濃度を増大させるようになっている。ライン116内の排ガスを圧縮再循環流144の存在下においてライン112内の燃料及びライン114内の圧縮酸化体の燃焼生成物として生じさせることができる。排ガス116を膨張機106の入口に差し向ける。少なくとも1つの実施形態では、ライン112中の燃料は、主として天然ガスであるのが良く、それにより蒸発した水、CO
2、窒素、窒素酸化物(NO
X)及び硫黄酸化物(SO
X)の体積部分を含む排ガスがライン116内に生じる。幾つかの実施形態では、未燃焼燃料又は他の化合物の僅かな部分も又、燃焼平衡上の問題に起因してライン116内の排ガス中に存在する場合がある。ライン116内の排ガスが膨張機106中で膨張すると、それにより主圧縮機104、発電機又は他の設備を駆動するための機械的動力が生じると共に更にライン144内の圧縮再循環排ガスの流れ込みに起因して生じる増大したCO
2含有量を有するガス状排出物がライン122内に生じる。
【0025】
発電システム100は、排ガス再循環(EGR)システム124を更に有するのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、EGRシステム124は、蒸気ガスタービン128に流体結合された排熱回収蒸気発生器(排熱回収ボイラ又は排熱回収熱交換器とも言う)(HRSG)126又はこれに類似した装置を有するのが良い。少なくとも1つの実施形態では、HRSG126と蒸気ガスタービン128の組み合わせは、閉鎖ランキンサイクルとして特徴付けることができる。HRSG126及び蒸気ガスタービン128は、ガスタービンシステム102と組み合わさった状態で、コンバインドサイクル発電プラント、例えば天然ガスコンバインドサイクル(NGCC)プラントの一部をなすことができる。ライン122内のガス状排出物をHRSG126に送るのが良く、その目的は、ライン130内に蒸気を発生させると共にライン132内に冷却排ガスを生じさせることにある。一実施形態では、ライン130内の蒸気を蒸気ガスタービン128に送って追加の電力を発生させるのが良い。
【0026】
ライン132内の冷却排ガスを主圧縮機104に戻る再循環ループをなして様々な装置及び/又は設備のうちの任意のものに送ることができる。図示の具体化例では、冷却ユニット及び/又はブースタ圧縮機が図示されていると共に様々な順序及び形態で説明され、これらは各々、冷却排ガスの質量流量を増大させるよう構成されているものとして理解できる。主圧縮機に流入する冷却排ガスの質量流量を増大させることによって、高い出力圧力を主圧縮機から得ることができる。
【0027】
幾つかの具体化例では、
図1に示されているように、再循環ループは、ライン132内の冷却排ガスの温度を減少させて冷却再循環ガス流140を発生させるよう構成された少なくとも1つの冷却ユニット134を含むのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、冷却ユニット134は、直接接触型冷却器、トリム冷却器、機械的冷凍ユニット又はこれらの組み合わせであるのが良い。冷却ユニット134は又、水ドロップアウト流138を介して凝縮水の一部分を除去するよう構成されているのが良く、水ドロップアウト流は、少なくとも1つの実施形態では、ライン141を介してHRSG126に送られるのが良く、それによりライン130内に追加の蒸気の発生のための水源が得られる。1つ又は2つ以上の実施形態では、冷却再循環ガス流140は、冷却ユニット134に流体結合されたブースト圧縮機142に差し向けられるのが良い。ライン132内の冷却排ガスを冷却ユニット134で冷却することにより、ブースト圧縮機142内の冷却再循環ガス流140を圧縮するのに必要な動力を減少させることができる。
【0028】
ブースタ圧縮機142は、冷却再循環ガス流140を主圧縮機104内に導入する前に冷却再循環ガス流140の圧力を増大させるよう構成されているのが良い。従来型ファン又はブロワシステムとは対照的に、ブースト圧縮機142は、冷却再循環ガス流140の全体的密度を増大させ、それにより体積流量が同一の状態で増大した質量流量を主圧縮機104に差し向ける。主圧縮機104は代表的には体積流量が制限されているので、より多くの質量流量を主圧縮機104中に差し向けると、その結果として、主圧縮機104から高い吐き出し圧力が得られ、それにより、このような高い吐き出し圧力は、膨張機106前後の高い圧力比に変わる。膨張機106前後に生じた高い圧力比により、入口温度を高くすることができ、従って、膨張機106の出力及び効率を増大させることができる。これは、ライン116内のCO
2に富んだ排ガスが一般に高い比熱容量を維持するので有利であることが分かる。
【0029】
主圧縮機104は、ブースト圧縮機142から受け取った冷却再循環ガス流140を圧縮して名目的に燃焼チャンバ110の圧力よりも高い圧力に圧縮するよう構成されているのが良く、それにより圧縮された再循環流144が生じる。少なくとも1つの実施形態では、パージ流146を圧縮再循環流144から取り出し、次にCO
2分離器148内で処理し、それによりライン150を介して高い圧力状態にあるCO
2を捕捉するのが良い。ライン150内の分離されたCO
2を販売のために利用することができ、二酸化炭素を必要とする別のプロセスに用いることができ且つ/或いは圧縮して石油・原油の回収増進(EOR)、隔離又は別の目的のための陸上リザーバ中に注入することができる。
【0030】
本質的にCO
2が減少し、主として窒素から成る残留流151をCO
2分離器148から導くのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、残留流151をCO
2分離器148に流体結合されているガス膨張機152、例えば動力発生窒素膨張機で膨張させるのが良い。
図1〜
図3に示されているように、ガス膨張機152は、オプションとして、共通シャフト154又は他の機械的、電気的若しくは他の動力結合手段を介して入口圧縮機118に結合されても良く、それにより、ガス膨張機152により生じた動力の一部分が入口圧縮機118を駆動することができる。ガス膨張機152内での膨張後、主として窒素から成るライン156内の排ガスを大気中に逃がし又は当該技術分野において知られている他の下流側の用途に具体化するのが良い。例えば、膨張後の窒素流を蒸発式冷却プロセスに用いることができ、このような蒸発式冷却プロセスは、一般に同日出願の米国特許出願(発明の名称:Stoichiometric Combustion with Exhaust Gas Recirculation and Direct Contact Cooler)に説明されているように排ガスの温度を一段と減少させるよう構成されており、この米国特許出願を参照により引用し、本発明の開示内容と矛盾しない程度までその記載内容を本明細書の一部とする。少なくとも1つの実施形態では、ガス膨張機152、入口圧縮機118及びCO
2分離器の組み合わせは、開放ブレイトンサイクル又はシステム100の第3の動力発生コンポーネントとして特徴付けることができる。
【0031】
しかしながら、他の実施形態では、ガス膨張機152は、化学量論的圧縮機118に直接結合されない状態で、動力を他の用途に提供するよう利用できる。例えば、膨張機152により生じる動力と圧縮機118の要件との間に相当な不一致が存在する場合がある。このような場合、膨張機152は、必要とする動力が少ない小型圧縮機(図示せず)を駆動するようになっているのが良い。追加的に又は代替的に、膨張機152は、適宜他の機器を駆動するようになっていても良い。さらに別の実施形態では、
図8に示されているように、ガス膨張機152に代えて下流側圧縮機188を用いても良く、この下流側圧縮機は、残留流151を圧縮してライン190内に圧縮排ガスを発生させるよう構成されている。1つ又は2つ以上の実施形態では、ライン190内の圧縮排ガスは、圧力維持用途のためのリザーバ内に注入されるのに適していると言える。メタンガスが一般に、坑井内圧力を維持するために炭化水素坑井内に再注入される用途では、残留流151を圧縮することは、有利であることが分かる。例えば、これとは異なり、ライン190内の加圧窒素ガスを炭化水素坑井内に注入し、任意の残留メタンガスを販売し又は関連用途における燃料として用いても良く、例えば、ライン112内に燃料を提供する。
【0032】
特にブースト圧縮機142が追加された本明細書において説明するEGRシステム124は、発電システム100の排ガス中にCO
2の高い濃度を達成するよう具体化されるのが良く、それにより次の隔離、圧力維持又はEOR用途のための効果的なCO
2分離が可能である。例えば、本明細書において開示する実施形態は、排ガス流中のCO
2の濃度を約10体積%以上に効果的に増大させることができる。これを達成するため、燃焼チャンバ110は、ライン112内の燃料とライン114内の圧縮酸化体の流入混合物を化学量論的に燃焼させるようになっているのが良い。膨張機106の入口温度及びコンポーネント冷却要件に適合するよう化学量論的燃焼の温度を加減するために圧縮再循環流144から導いた排ガスの一部分を希釈剤として燃焼チャンバ110中に注入するのが良い。本発明の実施形態は、本質的に、排ガスから過剰酸素をなくすことができ、それと同時にそのCO
2濃度を増大させることができる。したがって、ライン122内のガス状排出物は、約3.0体積%以下の酸素、約1.0体積%以下の酸素、約0.1体積%以下の酸素又はそれどころか約0.001体積%以下の酸素を有することができる。
【0033】
次に、システム100の例示の作動の詳細について説明する。理解できるように、本明細書において開示する実施形態においての任意のものの種々のコンポーネントで達成され又は生じる特定の温度及び圧力は、多くの要因のうちでとりわけ、用いられる酸化体の純度及び膨張機、圧縮機、冷却器等の特定の製造メーカ及び/又はモデルに応じて変わる場合がある。したがって、本明細書において説明する特定のデータは、例示に過ぎず、本発明の唯一の解釈として認識されるべきでないことは理解されよう。一実施形態では、入口圧縮機118は、約280psia
(約1931KPa)〜約300psia
(約2069KPa)の圧力でライン114内に圧縮酸化体を提供する化学量論的圧縮機として構成されるのが良い。しかしながら、最高約750psia
(約5172KPa)以上の圧力を生じさせると共に消費することができる航空機転用形ガスタービン技術も又本発明に含まれる。
【0034】
主圧縮機104は、再循環排ガスを再循環させると共にこれを圧縮して名目上、燃焼チャンバ110の圧力よりも高い圧力又は燃焼チャンバ110の圧力の状態の圧縮再循環流144にし、この再循環排ガスの一部分を燃焼チャンバ110内における希釈剤として用いるよう構成されているのが良い。燃焼チャンバ110内で必要な希釈剤の量は、膨張機106の化学量論的燃焼又はモデルに用いられる酸化体の純度に依存する場合があるので、リング状に配置された熱電対及び/又は酸素センサ(図示せず)を燃焼チャンバ及び/又は膨張機と関連して配置するのが良い。例えば、熱電対及び/又は酸素センサは、燃焼チャンバ110の出口、膨張機106の入口及び/又は膨張機106の出口に設けられるのが良い。作用を説明すると、熱電対及びセンサは、燃焼生成物を所要の膨張機入口温度まで冷却する希釈剤としての排ガスの所要量を求める際に使用できるよう1つ又は2つ以上の流れの組成及び/又は温度を測定するようになっているのが良い。追加的に又は代替的に、熱電対及びセンサは、燃焼チャンバ110中に注入されるべき酸化体の量を測定するようになっているのが良い。熱電対により検出された熱要件及び酸素センサにより検出された酸素レベルに応答して、需要にマッチするようライン144内の圧縮再循環ガス及び/又はライン114内の圧縮酸化体の体積質量流量を操作し又は制御することができる。熱電対及び/又は酸素センサと電気的連絡状態にあるのが良い任意適当な流量制御システムによって体積質量流量を制御することができる。
【0035】
少なくとも1つの実施形態では、約12
psia(約83KPa)〜13psia
(約90KPa)の圧力降下が化学量論的燃焼中、燃焼チャンバ110の前後に生じる場合がある。ライン112内の燃料及びライン114内の圧縮酸化体の燃焼により、約2000°F(1093℃)〜約3000°F(1649℃)の温度及び250psia
(約1725KPa)〜約300psia
(約2069KPa)の圧力を生じさせることができる。圧縮再循環流144から導き出されたCO
2に富む排ガスの質量流量の増大及び比熱容量の増大に鑑みて、膨張機106前後に高い圧力比を達成することができ、それにより入口温度を高くすると共に膨張機106の出力を増大させることができる。
【0036】
膨張機106から出るライン122内のガス状排出物は、周囲圧力又は周囲圧力に近い圧力を有することができる。少なくとも1つの実施形態では、ライン122内のガス状排出物は、約15.2psia
(約105KPa)の圧力を有するのが良い。ライン122内のガス状排出物の温度は、約1180°F(638℃)から約1250°F(677℃)までの範囲にあり、その後このガス状排出物は、HRSG126を通過し、それによりライン130内に蒸気が生じると共にライン132内に冷却された排ガスが生じる。ライン132内の冷却排ガスは、約190°F(88℃)から約200°F(93℃)までの範囲の温度を有することができる。1つ又は2つ以上の実施形態では、冷却ユニット134は、ライン132内の冷却排ガスの温度を減少させることができ、それにより主として特定の場所及び特定の季節の間の湿球温度に応じて、約32°F(0℃)〜120°F(49℃)の温度を有する冷却再循環ガス流140が生じる。
【0037】
1つ又は2つ以上の実施形態によれば、ブースト圧縮機142は、冷却再循環ガス流140の圧力を約17.1psia
(約118KPa)から約21psia
(約145KPa)までの範囲の圧力に高めるよう構成されているのが良い。追加的に又は代替的に、冷却再循環ガス流の質量流量を他の手段、例えば冷却によって増大させても良い。結果的に、主圧縮機104は、密度が増大すると共に質量流量が増大した再循環排ガスを受け取ってこれを圧縮し、それにより圧力比を同一に又はほぼ同じに維持しながら実質的に高い吐き出し圧力を生じさせることができる。少なくとも1つの実施形態では、主圧縮機104から吐き出された圧縮再循環流144の温度は、800°F(427℃)であり、その圧力は、約280psia
(約1931KPa)であるのが良い。
【0038】
以下の表は、本明細書において説明したブースト圧縮機142の追加の利点を有する又は有していないコンバインドサイクルガスタービンに基づく試験結果及び性能評価を提供している。
表1
【0039】
表1から明らかなはずであるように、ブースト圧縮機142を含む実施形態により、圧縮比の増大に起因して膨張機106の動力(即ち、「ガスタービン膨張機動力」)の増大が得られる。主圧縮機104の動力需要が増大する場合があるが、その増大分は、膨張機106の動力出力の増大によって埋め合わされる以上のものがあり、その結果、約1%lhv(低位発熱量)の全体的熱力学的性能効率の向上が得られる。
【0040】
さらに、排ガス再循環システム中へのブースト圧縮機142又は冷却作用の追加によって、窒素膨張機152の動力出力を増大させることができると共にパージ流146ライン内のCO
2パージ圧力を増大させることができる。パージ流146のパージ圧力の増大により、高いCO
2分圧に起因してCO
2分離器148の溶剤処理性能を向上させることができる。このような性能向上としては、溶剤抽出プロセスに関して機器サイズの減少の形での資本的支出全体の減少が挙げられるが、これには限定されない。
【0041】
次に
図2を参照すると、システム200として具体化されると共に説明する
図1の発電システム100の変形実施形態が示されている。したがって、
図2は、
図1を参照すると最も良く理解できる。
図1のシステム100と同様、
図2のシステム200は、排ガス再循環(EGR)システム124に結合され又は違ったやり方でこれによって支持されたガスタービンシステム102を有している。しかしながら、
図2のEGRシステム124は、ブースタ圧縮機142がHRSG126の次に配置され又は違ったやり方でこれに流体結合された実施形態から成るのが良い。したがって、ライン132内の冷却された排ガスをブースタ圧縮機142で圧縮し、その後、冷却ユニット134でその温度を減少させることができる。冷却ユニット134は、ブースト圧縮機142によって生じた圧縮熱を除去するようになった後置冷却器(アフタークーラ)としての役目を果たすことができる。先に開示した実施形態の場合と同様、水ドロップアウト流138は、ライン130内に追加の蒸気を生じさせるようHRSG126に送られても良く、或いは送られなくても良い。
【0042】
次に、冷却再循環ガス流140を主圧縮機104に差し向けるのが良く、このような冷却再循環ガス流は、上述したようにここで更に圧縮され、それにより圧縮された再循環流144が生じる。理解できるように、ブースト圧縮機142での圧縮後にライン132内の冷却排ガスを冷却ユニット134で冷却することにより、冷却再循環ガス流140を次の主圧縮機104内の所定の圧力まで圧縮するのに必要な動力の大きさを減少させることができる。
【0043】
図3は、システム300として具体化された
図1の低エミッション発電システム100の別の実施形態を示している。したがって、
図3は、
図1及び
図2を参照すると最も良く理解できる。
図1及び
図2にそれぞれ記載されているシステム100,200と同様、システム300は、EGRシステム124により支持され又は違ったやり方でこれに結合されたガスタービンシステム102を有している。しかしながら、
図3のEGRシステム124は、第1の冷却ユニット134及び第2の冷却ユニット136を有するのが良く、これら冷却ユニット相互間には、ブースト圧縮機142が流体結合されている。左記の実施形態の場合と同様、各冷却ユニット134,136は、当該技術分野で知られている直接接触型冷却器、トリム冷却器等であるのが良い。
【0044】
1つ又は2つ以上の実施形態では、HRSG126から放出されたライン132内の冷却排ガスを第1の冷却ユニット134に送って凝縮水ドロップアウト流138及び冷却再循環ガス流140を生じさせるのが良い。冷却再循環ガス流140をブースト圧縮機142に差し向けるのが良く、その目的は、冷却再循環ガス流140の圧力を上昇させることにあり、次に、この冷却再循環ガス流を第2の冷却ユニット136に差し向けることにある。第2の冷却ユニット136は、ブースト圧縮機142により生じた圧縮熱を除去し、更に水ドロップアウト流143を介して追加の凝縮水を除去するようになった後置冷却器としての役目を果たすことができる。1つ又は2つ以上の実施形態では、各水ドロップアウト流138,143は、ライン130内に追加の流れを生じさせるようHRSG126に送られても良く、或いは送られなくても良い。
【0045】
次に、冷却再循環ガス流140を主圧縮機104中に導入して名目上、燃焼チャンバ110の圧力よりも高い圧力状態にあり又はこの燃焼チャンバ圧力の状態にある圧縮再循環流144を生じさせるのが良い。理解できるように、ライン132内の冷却排ガスを第1の冷却ユニット134で冷却することにより、冷却再循環ガス流140をブースト圧縮機142で圧縮するのに必要な動力の大きさを減少させることができる。さらに、排出物を第2の冷却ユニット136で一段と冷却することにより、冷却再循環ガス流140を次の主圧縮機104内の所定の圧力まで圧縮するのに必要な動力の大きさを減少させることができる。
【0046】
燃焼チャンバ110内における化学量論的燃焼と冷却ユニット134,136による水の除去の組み合わせによって、排ガス(例えば、流れ122,132,140及び/又は144)中のCO
2含有量は、約10体積%以上に増加することができ、これは、従来型コンバインドサイクルシステムの排ガスの場合よりも高い。これら効果にブースト圧縮機142及び/或いは冷却ユニットの具体化及び作用効果に起因して得られる高い質量流量の影響が加わることにより、CO
2分圧が従来型ガスタービン排出物よりも極めて高くなる。その結果、これにより、エネルギーをそれほど必要としない溶剤、例えば炭酸カリウム(K
2CO
3)溶剤技術を利用してCO
2分離器148内における炭素捕捉を行うことができる。
【0047】
酸素(O
2)、SO
X及びNO
Xの存在により、圧力が高く且つCO
2含有量が多い場合であってもアミン溶剤(例えば、MEA、DEA、MDEA及び関連溶剤)の使用が困難になる。というのは、これらガスは、アミン劣化を引き起こす場合があるからである。しかしながら、炭酸カリウムは、非反応性であり、酸素の影響を何ら受けない。燃焼チャンバ110内で行われる反応は、化学量論的であるが、それにもかかわらず、ほんの僅かな酸素が燃焼平衡上の問題に起因してパージ流146中に存在する場合がある。MEA溶剤をこの用途に用いるには、相当な溶剤再生及び複雑な処分が必要であるが、炭酸カリウム溶剤の使用により、酸素を利用した溶剤の劣化がなくなる。
【0048】
炭酸カリウムは、排ガス中のSO
X又はNO
Xを容易に吸収し、これら化合物を簡単な肥料、例えば硫化カリウム(K
2SO
3)及び硝酸カリウム(KNO
3)に変換する。特に、SO
2、SO
3及びNO
2は全て、水中でかなり強い酸となり、CO
2よりも極めて強い酸性を示す。これら化合物は、優先的には溶剤溶液中に吸収されるが、熱安定性のある塩(HSS)になり、再生によっては除去されない。他方、NO及びN
2Oは、低い溶解性を有し、NO
2よりも吸収されるのが困難であり、低い濃度で生じる傾向がある。単純な肥料として、硫化カリウム及び硝酸カリウムを環境的に無害な仕方で容易に放出することができる。ただし、溶剤系に他の毒性化合物、例えば腐食防止剤、活性剤等が添加されていないことを条件とする。硫酸塩及び硝酸塩化合物を除去すると、水酸化カリウム(KOH)を溶剤補充のために追加するのが良い。水酸化カリウムは、かなり安価な化学物質なので、これは、かなり経済的に達成できる。
【0049】
図4を参照すると、本明細書において説明している炭酸カリウム溶剤技術を利用することができるCO
2分離システム400の例示の実施形態が示されている。CO
2分離システム400は、
図1〜
図3を参照して本明細書において概要説明したようにCO
2分離器148の少なくとも一部分であるのが良く又はこれを形成するのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、システム400は、約800°F(427℃)の温度及び約270psia
(約1863KPa)〜約280psia
(約1931KPa)の圧力で圧縮再循環流144(
図1〜
図3)から取り出されたパージ流146を受け入れるよう構成されているのが良い。
【0050】
主として窒素、CO
2及び過剰燃焼水を含むパージ流146を熱交換器402で約250°F(121℃)から約300°F(149℃)までの範囲にある温度まで冷却するのが良く、それにより、ライン404内に冷却パージ流が生じる。一実施形態では、熱交換器402は、HRSG126(
図1〜
図3)からの蒸気流130と合流すべき流を生じさせることができる。CO
2分離システム400でパージ流146からCO
2を取り出すことにより、パージ流146の高い圧力状態又はこれに近い圧力状態にあると共に約150°F(66℃)の温度状態にある窒素に富んだ残留流151が生じる。少なくとも1つの実施形態では、熱交換器402は、残留流151に流体結合されると共に残留流151を再熱するためにパージ流146の冷却と関連した熱エネルギーを抽出するよう構成されている交差熱交換型熱交換器であるのが良い。主として温度が約750°F(399℃)圧力が約270
psia(約1863KPa)〜280
(約1931KPa)psiaの窒素蒸気から成る残留流151をいったん再熱すると、次に、これを膨張させると、全体として上述したように機械的動力を発生させることができる。
【0051】
ライン404内の冷却パージ流を吸収器コラム406に差し向けるのが良く、ここでライン408からの溶剤を循環させ、残留流151をそれと同時に上方に放出し、次の下流側の処理を行う。一実施形態では、溶剤は、炭酸カリウムの水性塩溶液である。競合する溶剤、例えばMEAと比較すると、炭酸カリウム溶剤は、温度許容性が極めて高い。その結果、パージ流146の冷却を必要に応じて最小限に抑えることができ、温度の高いパージ流146は、熱的劣化に関する懸念が高くなることなく吸収器コラム406に入るようにすることができる。したがって、パージ流146の冷却度は、熱的劣化を回避するために冷却ではなく、プロセス熱要件にマッチするよう変更することができる。
【0052】
CO
2を吸収器コラム406内で炭酸カリウムにより吸収すると、CO
2は、水と反応して炭酸(H
2CO
3)を生じ、次に重炭酸イオン(HCO
3-)を生じる。炭酸の酸性部分(H
+)は、炭酸イオン(CO
3-2)と反応することができ、それにより追加の重炭酸イオンが生じる。全体的反応は、次の通りであるのが良い。
【0053】
その結果、濃厚(リッチ)重炭酸塩溶剤をライン410を介して吸収器コラム406の底部から放出し、そして再生コラム412に差し向けることができる。一実施形態では、ライン410内に設けられた第1の又は中間弁414が再生コラム412への導入に先立って、重炭酸塩溶剤を低い大気圧に近い圧力に向かって迸り出させるよう構成されているのが良い。少なくとも1つの実施形態では、第1の弁414は、余剰の動力を発生させるよう構成された水車であるのが良い。
【0054】
少なくとも1つの実施形態では、再生コラム412は、水の通常の沸点を超える温度で動作するのが良い。例えば、再生コラム412は、約220°F(104℃)、約230°F(110℃)又は約240°F(116℃)から約280°F(138℃)、約290°F(143℃)又は約300°F(149℃)の範囲にある温度で動作するのが良い。再生コラム412は、約0psigから約10psigの範囲にある圧力で動作するのが良い。少なくとも1つの実施形態では、再生コラム412は、約3psigの圧力で動作するよう構成されているのが良い。再生コラム412は、この中で循環する蒸気を用いて重炭酸塩溶剤を沸騰させて吸収器コラム406内で行われる反応を逆にし、それにより以下において説明するライン416を介する再循環に適した再生希薄炭酸カリウム溶剤を生じさせるよう構成されているのが良い。少なくとも1つの実施形態では、インライン型ポンプ418等がライン420を介して希薄炭酸カリウム溶剤の少なくとも一部分を吸収器コラム406に戻すのが良い。
【0055】
吸収器コラム406への途中で、希薄(リーン)炭酸カリウム溶剤の一部分がライン423を介して熱安定性塩(HSS)として取り出されるのが良い。上述したように、ライン423を介して取り出される例示のHSSは、化合物としての肥料、例えば硫化カリウム及び/又は硝酸カリウムを含むのが良いが、これには限定されない。ライン423を介して取り出された炭酸カリウム含有量の損失を補うと共に全体的溶液強度を維持するために、次に、ライン425を経て水酸化カリウムの流れを添加するのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、水酸化カリウムは、溶剤補充手段として働く。次に、ライン420内の希薄炭酸カリウム溶剤をオプションとして第1の冷却ユニット422中に差し向けるのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、第1の冷却ユニット422は、例えば、溶剤の温度を減少させるよう構成された空気冷却器又はラジエータ型熱交換器であるのが良い。第1の冷却ユニット422は、用いられる場合、希薄炭酸カリウム溶剤を約230°F(110℃)〜約60°F(16℃)の温度まで減少させるよう構成されているのが良い。理解できるように、少なくとも1つの実施形態では、HSSを変形例として、第1の冷却ユニット422並びに水酸化カリウムの添加の次に肥料として取り出しても良い。
【0056】
再生コラム412内で循環する蒸気を発生させると共に所要の再生熱を維持するため、ライン416内の希薄炭酸カリウム溶剤の少なくとも一部分をライン417経由で再沸器419に差し向けるのが良い。再沸器419は、ライン417内の希薄炭酸カリウム溶剤の温度を増大させ、そして加熱された再生炭酸カリウム溶剤をライン421経由で再生コラムに戻すよう構成されているのが良い。少なくとも1つの実施形態では、再熱器419にはHRSG126(
図1〜
図3)から熱が供給されるのが良い。しかしながら、他の実施形態では、再沸器419には蒸気ガスタービン128(
図1〜
図3)の排出部から熱が供給されるのが良い。
【0057】
パージ流146に含まれている水は、凝縮して吸収器コラム406内の溶剤溶液になることができ、次に、再生コラム412内で沸騰蒸発する。その結果、再生コラム412は、オーバーヘッドライン424を介してCO
2蒸気及び残留水を更に放出することができる。少なくとも1つの実施形態では、CO
2蒸気及び残留水を第2の冷却ユニット426、例えば空気冷却器又はラジエータ型熱交換器中に差し向けるのが良く、その後凝縮器428内に導入する。凝縮器428は、回収したCO
2から残留水を分離し、分離した水をライン430中に下方に差し向けると共に回収したCO
2をライン150中に上方に送り込むよう構成されているのが良い。理解できるように、ライン150は、
図1〜
図3を参照して上述したのと同じライン150であるのが良い。少なくとも1つの実施形態では、ライン150内の分離CO
2を次に例えばCO
2隔離、石油・原油の回収増進、CO
2販売、炭素捕捉及び/又はこれらの組み合わせのような用途向きに圧縮するのが良い。
【0058】
一実施形態では、ライン430内の分離した水の少なくとも一部分をポンプ432の使用によりライン434を介して再循環させて再生コラム412に戻すのが良く、それによりシステム内の水のバランスを一定に保つことができる。水は、流れ404を介して常時溶剤中に導入され、その後、ライン436,150,151を経て取り出される。溶剤の条件及び強度を維持するため、水は、システム400内においてバランスが取れた状態のままでなければならない。したがって、ライン434内の再循環水により、水を戻してライン421内の昇圧蒸気をこの水のバランスとは別個独立に制御することができる。換言すると、この再循環水を再生コラム412内における蒸気の再生のための給水として用いることができ又は供給物冷却からの低圧蒸気を増圧するよう使用できる。他の実施形態では、ライン430内の残留水の一部分をライン436を介して新鮮なプロセス水として処分することができる。例えば、ライン436内の水は、溶解CO
2の一部分を含んでいるが、灌漑用の水に使用することができ、ボイラ給水及び/又は他のプロセス水に使用されるよう処理することができる。
【0059】
次に
図5を参照すると、
図4のシステム400と幾つかの点においてほぼ同じCO
2分離システム500の別の例示の実施形態が示されている。したがって、システム500全体を詳細には説明せず、このようなシステム500は、
図4を参照すると最も良く理解できる。
図4のシステム400を、単一段炭酸カリウムプロセスとして特徴付けることができるが、
図5のシステム500を少なくとも一実施形態では、2段炭酸カリウムプロセスとして特徴付けることができる。図示のように、CO
2分離システム500は、「半希薄」溶剤再循環ループを有するのが良く、このようなループでは、再生を完了する前にライン502を介して溶剤の一部分を再生コラム412から取り出すことができる。少なくとも1つの実施形態では、ライン502を介して取り出された溶剤の一部分は、再生コラム412を通って循環する溶剤全量のうちの約50%以上であるのが良い。再生コラム412内に残っている溶剤溶液の残部を上述したように完全に再生することができ、そしてライン416を介してその下に放出することができる。
【0060】
ライン502内に設けられたポンプ504が半希薄溶剤溶液を吸収器コラム406に差し向けることができる。一実施形態では、半希薄溶剤溶液を吸収器コラム406内に下部506のところで送り込むのが良い。ライン502内の半希薄溶剤は、部分的に再生されるに過ぎず、吸収器コラム406内よりも多量に低濃度ガスからCO
2を吸収することができない。その代わりに、半希薄溶剤を吸収器コラム406内に送り込むことができ、ここで、半希薄溶剤は、最大量のCO
2を吸収することができ、ライン408を介して吸収器コラム406に流入する完全希薄溶剤を希釈することはない。
【0061】
システム500におけるこの変更には、
図4のシステム400よりも高い溶剤循環流量を必要とする場合があるが、CO
2を除去するのに要求される外部熱エネルギーは少なくてすむ。熱効率のこの向上により、システム500は、パージ流146中に含まれる場合よりも必要とする再沸器419のヒートデューティが少なくてすむ。換言すると、流入パージ流146の熱は、再沸器419の熱的要件の全てを満たすことができる場合がある。その結果、残留流151がEORのために注入された場合、システム500は、熱的に自給自足状態であることが可能であり、動力タービンHRSG126からの補給熱を必要としない。
【0062】
次に
図6を参照すると、
図4及び
図5のそれぞれのシステム400,500と幾つかの点においてほぼ同じCO2分離システム600の別の例示の実施形態が示されている。したがって、システム600全体について詳細に説明せず、このようなシステム600は、
図4及び
図5を参照すると最も良く理解できる。図示のように、濃厚重炭酸塩溶剤をライン410経由で吸収器コラム406の底部から放出することができ、第1の弁602を用いて減圧することができ、その後分離器604中に導入される。一実施形態では、第1の弁602は、重炭酸塩溶剤の圧力をパージ流146の圧力(例えば、約270psia
(約1863KPa)〜280psia
(約1931KPa))から中間圧力レベルまで減少させるよう構成されているのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、中間圧力レベルは、約20psia
(約138KPa)から約50psia
(約345KPa)までの範囲であるのが良い。
【0063】
分離器604は、減圧溶液を受け入れてオーバーヘッドライン606を経てCO
2の少なくとも一部分を除去するよう構成されているのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、ライン606内の除去したCO
2を冷却ユニット608で冷却するのが良く、次に下流側の圧縮システム607に送り込むのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、冷却ユニット608は、直接接触型冷却器、トリム冷却器、機械的冷凍ユニット又はこれらの組み合わせであるのが良い。ライン606内のCO
2の除去部分は、パージ流146の圧力と大気圧との間の中間圧力状態であるが高い圧力状態にあるので、このような除去部分を下流側圧縮システム607の中間段中に注入することができ、それにより圧縮システム607に加わる所要の圧縮負荷を減少させることができる。
【0064】
分離器604内に残っているCO
2及び重炭酸塩溶剤の残部をライン610経由で分離器604から放出し、第2の弁612を用いて流611中の低い大気圧に近い圧力に向かって迸り出させ、その後再生コラム412中に差し向けるのが良い。システム600の幾つかの実施形態では、次に、溶剤再生全体が
図4又は
図5にそれぞれ示されたシステム400又はシステム500を参照して上述したように行われるのが良い。例えば、上述したように、CO
2の分離部分をライン150経由で凝縮器428から大気圧の状態で又は大気圧に近い圧力状態で取り出して下流側圧縮システム607の第1の圧縮段に差し向けるのが良い。その結果、下流側圧縮システム607は、実質的に捕捉CO
2を含む少なくとも2つの供給流、即ち、中間圧縮段に注入されるライン606内の高圧CO
2を含む第1の供給流及び第1の圧縮段のところで注入されるライン150内の低圧CO
2を含む第2の供給流を受け取ることができる。理解できるように、このような構成により、再生コラム412の熱的負荷の増大が事実上なしの状態でEOR又は隔離に備えてCO
2圧縮のための動力需要を減少させることができる。
【0065】
システム600から得られる少なくとも1つの利点は、再生コラム412から純粋又はほぼ純粋CO
2流を生じさせることができるということにある。ライン410内のCO
2流中に存在する汚染要因物としては、水や循環中の溶剤中に溶解した何種類かの揮発性ガス(例えば、N
2、CO、Ar等)が挙げられる。システム600は、これら揮発性ガスの本質的に全てを除去するようになっているのが良く、後には高純度CO
2及び水だけを含む再生コラム412オーバーヘッド流424が残される。1つ又は2つ以上の実施形態では、オーバーヘッドライン424内のCO
2濃度は、システム600内のCO
2全流量の約2/3であるのが良い。ライン150内のCO
2の一部分は、水からいったん分離されると、パージライン614中に差し向けられて非EOR使用、例えば化学薬品供給原料、食品生産等のために捕捉されるのが良い。
【0066】
理解できるように、
図5及び
図6を参照して開示した実施形態及び特徴を本発明の範囲から逸脱することなく組み合わせることができる。したがって、以下の表及び補足的情報は、上述の実施形態及び/又は特徴の組み合わせのための例示のプロセスデータを提供している。表に示されている溶剤流及びガス流の参照符号については
図5及び
図6を参照されたい。
【0067】
次に
図7を参照すると、CO
2分離システム700の別の例示の実施形態が示されている。システム700は、幾つかの点において上述のシステム400,500とほぼ同じなので、システム700全体については詳細に説明せず、このようなシステム700は、
図4及び
図5を参照すると最も良く理解できる。システム700は、ライン150内の残留流151及び捕捉CO
2がEOR用途に再注入されるべき実施形態においては特に有利であることが分かる。以下に説明するように、システム700は、再生コラム412及び再沸器419のプロセスを熱的要件と関連してパージ流146の冷却の優れた一体化を可能にするよう構成されているのが良い。
【0068】
システム700内の残留流151を次にEORのために圧縮することができるので、熱交換器402は、必ずしも残留流151と交差熱交換される必要がなく、これとは異なり、その熱エネルギーは、他の使用に利用することができる。例えば、1つ又は2つ以上の実施形態では、熱交換器402は、ライン702内に低圧流を生じさせるためにライン436から回収した燃焼水又は廃水の少なくとも一部分を受け入れるよう構成されているのが良い。ライン702内の結果として生じる蒸気は、約50psig以上の圧力を有するのが良く、このような蒸気をライン702a,702bに分流して1つ又は2つ以上のエダクタ704a,704bのための原動力ガスとして用いるのが良い。2本のライン702a,702b及び2つのエダクタ704a,704bが
図7に示されているが、理解されるように、これらよりも多く又はこれらよりも少なくても良く、これは、本発明の範囲から逸脱しない。
【0069】
一実施形態では、エダクタ704a,704bは、再生コラム412からライン416内に放出された希薄炭酸カリウム溶剤に加わる圧力を減少させるようになった蒸気エゼクタとして構成されているのが良い。これを達成するため、ライン416内の希薄溶剤を直列に配置されると共にエダクタ704a,704bにそれぞれ流体結合された1つ又は2つ以上の混合チャンバ706a,706b内に差し向けるのが良い。一実施形態では、第1の混合チャンバ706aは、次の処理のために第2の混合チャンバ706bへの供給を行うことができる。しかしながら、他の実施形態では、混合チャンバ706a,706bは、並列に配置されても良く、これは、本発明の範囲から逸脱しない。
【0070】
作用を説明すると、エダクタ704a,704bは、ライン702内の蒸気を加速させて、混合チャンバ706a,706b内の希薄溶剤を瞬間沸騰させるよう構成された真空条件又はこれに近い条件の低圧ゾーンを形成するようになっているのが良い。希薄溶剤を沸騰させることにより、オーバーヘッドライン424を経て回収されなかった追加の水及びCO
2を放出することができ、そして結果として得られるガス状排出物をライン708a,708b中に引き込むことができる。ライン708a,708b内の結果として生じた排出物を再生コラム412中に注入してオーバーヘッドライン424を経て過剰のCO
2を除去すると共に捕捉するのが良い。排出物は、その蒸気含有量に鑑みて、ストリッピング蒸気としての役目を果たすことができ、それにより一般に再沸器419により供給される再生沸騰ヒートデューティのうちの少なくとも幾分かを補充し又は完全に取って代わる。したがって、システム700により、希薄溶剤中に保たれている熱の何割かが混合チャンバ706a,706b内の蒸気の流れを駆動し、それにより溶剤再生に必要な正味の熱及び再沸器419の全体サイズが減少する。
【0071】
また、混合チャンバ706a,706b内の追加の水及びCO
2を瞬間沸騰させることにより、それと同時に残りの希薄溶剤の圧力を約3psigから約10psig真空に減少させることによって残りの希薄溶剤を冷却することができる。1つ又は2つ以上の実施形態では、希薄溶剤の温度を約240°F(116℃)、約230°F(110℃)又は約220°F(104℃)から約210°F(98℃)、約200°F(92℃)又は約190°F(86℃)に減少させることができる。次に、冷却状態の希薄溶剤をライン710経由で混合チャンバ706bから放出し、次に、インライン型ポンプ418に差し向けることができ、このインライン型ポンプは、上述したように、ライン420を経て溶剤を駆動してこれを吸収器コラム406に戻すことができる。希薄溶剤の温度を、混合チャンバ706a,706b内で減少させることができるので、冷却ユニット422のサイズを減少させることができる。
【0072】
エダクタ704a,704bにそれぞれ通じるライン702a,702b内の低圧蒸気が再生コラム412中に注入されるので、その結果、ライン434内の分離水から引き出された給水の少なくとも一部分が消費される場合がある。したがって、オーバーヘッドライン424を介して追加の廃水として追加の水を再生コラム412から回収するのが良い。その結果、過剰の水が連続してシステム700内に蓄積することができ、このような過剰の水を廃水ライン436を経て取り出すことができる。理解できるように、水還流量を変化させると、溶剤水バランス又は炭酸カリウム溶剤強度を維持することができる。
【0073】
理解できるように、
図5〜
図7を参照して開示した実施形態及び特徴を本発明の範囲から逸脱することなく組み合わせることができる。したがって、以下の表及び補足的情報は、上述の実施形態及び/又は特徴の組み合わせのための例示のプロセスデータを提供している。表に示されている溶剤流及びガス流の参照符号については
図5〜
図7を参照されたい。
【0074】
本発明の技術には種々の改造及び変形形態が可能であるが、上述の例示の実施形態は、例示として示されているに過ぎない。再度確認的に理解されるべきこととして、本発明は、本明細書において開示された特定の実施形態に限定されるわけではない。もっとはっきりと言えば、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲に含まれる全ての改造例、均等例及び変形例を含む。