(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5913380
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】鉄道車両の運行密度を向上させ、かつ正面衝突及び追突を防ぐ方法
(51)【国際特許分類】
B61L 23/22 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
B61L23/22
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-554770(P2013-554770)
(86)(22)【出願日】2011年8月9日
(65)【公表番号】特表2014-506543(P2014-506543A)
(43)【公表日】2014年3月17日
(86)【国際出願番号】CN2011001307
(87)【国際公開番号】WO2012113123
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2014年6月6日
(31)【優先権主張番号】201110046202.6
(32)【優先日】2011年2月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513029828
【氏名又は名称】バイ ウェイ
【氏名又は名称原語表記】BAI Wei
(73)【特許権者】
【識別番号】513029839
【氏名又は名称】バイ ジン
【氏名又は名称原語表記】BAI Jing
(73)【特許権者】
【識別番号】513029840
【氏名又は名称】バイ チン
【氏名又は名称原語表記】BAI Qing
(73)【特許権者】
【識別番号】513029851
【氏名又は名称】フェン バオロン
【氏名又は名称原語表記】FENG Baolong
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(72)【発明者】
【氏名】バイ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】バイ ジン
(72)【発明者】
【氏名】バイ チン
(72)【発明者】
【氏名】フェン バオロン
【審査官】
相羽 昌孝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−362366(JP,A)
【文献】
特開平01−238402(JP,A)
【文献】
特開平07−257377(JP,A)
【文献】
特開2000−108903(JP,A)
【文献】
米国特許第04166599(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の運行密度を向上させ、かつ正面衝突及び追突を防ぐ方法であって、鉄道線路を、等距離の電子的区間に分割し、それぞれの区間に機関車通過検出警報装置(Mi)を設置し、前記区間の長さが、走行中の2車両間の最短安全距離よりも長く、前記機関車通過検出警報装置(Mi)が、この区間内に配置された全範囲センサ構成要素と、前記センサ構成要素の信号出力端子に接続された信号処理回路と、前記信号処理回路の出力端子に接続された警報信号送信回路(IC3)とを備え、隣接する区間内の前記機関車通過検出警報装置(Mi)の前記信号処理回路が互いに信号を送信し、機関車がある区間(Li)を使用しているときに、前記区間(Li)に対応する前記機関車通過検出警報装置(Mi)の前記全範囲センサ構成要素が、前記機関車の存在を感知し、前記信号処理回路が「使用中」信号を生成することを可能にし、機関車が前記区間Liを出て、前方に隣接する区間(Li+1)に入ったときに、前記前方に隣接する区間(Li+1)に対応する前記機関車通過検出警報装置(Mi+1)の前記信号処理回路が同様に「使用中」信号を生成し、この「使用中」信号を、後方に隣接する区間(Li)に対応する前記機関車通過検出警報装置(Mi)の前記信号処理回路に送信し、それによってこの信号処理回路が生成した前記「使用中」信号を「空き」信号に変更し、前記隣接する2つの区間(Li)及び(Li+1)がともに前記機関車によって使用されているときに、これらの隣接する2つの区間(Li)及び(Li+1)に対応する前記機関車通過検出警報装置(Mi)及び(Mi+1)が、そのそれぞれの「使用中」信号を同時に相手方機関車通過検出警報装置へ送信し、それによって、これらの隣接する2つの区間に対応する前記機関車通過検出警報装置(Mi)及び(Mi+1)の前記信号処理回路が、前記警報信号送信回路を開始して対応する前記区間内の前記機関車に警報信号を送るためのトリガ信号を同時に出力するようにし、前記機関車内に配置された警報信号受信及び応答装置がこの警報信号を受け取って、警告するか、さもなければ対策をとる、方法。
【請求項2】
鉄道車両の運行密度を向上させ、かつ正面衝突及び追突を防ぐ、請求項1に記載の方法であって、機関車通過検出警報装置(Mi)の信号処理回路が、全範囲センサ構成要素の信号出力端子に接続された機関車通過誘導信号生成回路(IC1)、及び「1」優先設定双安定回路(IC2)を備え、前記「1」優先設定双安定回路(IC2)の「1」設定端子が、前記機関車通過センサ信号生成回路(IC1)の出力端子に接続され、前記「1」優先設定双安定回路(IC2)の「0」設定端子が第1のORゲートに接続され、前記「1」優先設定双安定回路(IC2)の出力端子が「AND」ゲートの入力端子に接続され、前記「AND」ゲートの他方の入力端子が第2のORゲートに接続され、前記「AND」ゲートの出力端子が、警報信号送信回路(IC3)のトリガ端子に接続され、前記第1のORゲート及び前記第2のORゲートの2つの入力端子がそれぞれ、前方に隣接する機関車通過検出警報装置(Mi+1)内の前記「1」優先設定双安定回路(IC2)の出力端子、及び後方に隣接する機関車通過検出警報装置(Mi−1)内の前記「1」優先設定双安定回路(IC2)の出力端子に接続される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は早期警告技法に関し、具体的には、鉄道車両の正面衝突及び追突を防ぐための早期警告技法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速で走行している鉄道車両の安全運行を保証するのに、自動信号機による閉塞、無線スケジューリング、非常事態発生時の手動サイレン警報など、伝統的な配車及び制御の方法及び技術は不可欠である。しかしながら、同じレール上を高速で走行している複数の車両に対して適用すると、このような早期警告技法は非常に限定的且つ不十分になる。事故においては、車両間の正面衝突又は追突の可能性があり、それらの衝突は、生命又は財産に対して甚大な損害を生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車両の衝突を回避するため及び運行密度を増大させて運行効率を向上させるために、本発明は、鉄道車両の運行密度を向上させ、かつ正面衝突及び追突を防ぐ方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決策を採用する。この解決策は、鉄道線路を、等距離の複数の電子的区間に分割し、それぞれの区間に機関車通過検出警報装置Miを設置し、1つの区間の長さが、走行中の2車両間の最短安全距離よりも長く、機関車通過検出警報装置Miが、この区間内に配置された全範囲センサ構成要素と、センサ構成要素の信号出力端子に接続された信号処理回路と、信号処理回路の出力端子に接続された警報信号送信回路IC3とを備え、隣接する区間内の機関車通過検出警報装置Miの信号処理回路が互いに対して信号を送信し、機関車がある区間Liを使用しているときに、区間Liに対応する機関車通過検出警報装置Miの全範囲センサ構成要素が、機関車の存在を感知し、信号処理回路が「使用中」信号を生成することを可能にし、機関車が区間Liを出て、隣接する前方の区間Li+1に入ったときに、隣接する区間Li+1に対応する機関車通過検出警報装置Mi+1の信号処理回路が同様に「使用中」信号を生成し、この「使用中」信号を、隣接する後方の区間Liを以前に出た機関車通過検出警報装置Miの信号処理回路に送信し、それによってこの信号処理回路が生成した「使用中」信号を「空き」信号に変更し、隣接する2つの区間Li及びLi+1がともに機関車によって使用されているときに、これらの隣接する2つの区間Li及びLi+1に対応する機関車通過検出警報装置Mi及びMi+1が、そのそれぞれの「使用中」信号を同時に相手方機関車通過検出警報装置へ送信し、それによって、これらの隣接する2つの区間に対応する機関車通過検出警報装置Mi及びMi+1の信号処理回路が、警報信号送信回路を開始して対応する区間内の機関車に警報信号を送るためのトリガ信号を同時に出力するようにし、機関車内に配置された警報信号受信/応答装置がこの警報信号を受け取って、警告するか、さもなければ対策をとる。具体的な対策及び解決策に関しては、中国特許「Electronic Zone-Based Network Operation Scheduling System for Rail Vehicles」、出願番号201210307124.5を参照されたい。
【0005】
前述の機能を実現するための信号処理回路は当業者には容易であり、さまざまな種類の構造をとる。本明細書に記載された技術的解決策は以下の課題を解決することを目指す。すなわち、同じレール上を走行している複数の機関車が互いに対してある安全距離を保ち、ある2両の機関車が、それらの機関車が保つべき距離よりも近づいている場合に、その電子的線路区間内に配置された警報信号送信回路が、正面衝突又は追突を回避するための対策をそれぞれが同時にとることをそれらの2両の機関車に通知する警報信号を発する。
【発明の効果】
【0006】
本明細書に記載された方法は、機関車の正面衝突及び追突を回避することができ、同時に、車速及び車両間隔に基づく輸送密度を増大させることができ、したがって輸送効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中国特許出願CN201210307124.5号明細書
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の原理を示す図であり、図中、Miは機関車通過検出警報装置を表し、IC1はセンサ信号生成回路を表し、IC2は「1」優先設定双安定回路を表し、IC3は警報信号送信回路を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、添付図面を利用して本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明は、鉄道車両の運行密度を向上させ、かつ正面衝突及び追突を防ぐ方法を開示する。この方法は、鉄道線路を、等距離の複数の電子的区間に分割し、それぞれの区間に機関車通過検出警報装置Miを設置し、1つの区間の長さが、走行中の2車両間の最短安全距離よりも長く、機関車通過検出警報装置Miが、この区間内に配置された全範囲センサ構成要素と、センサ構成要素の信号出力端子に接続された信号処理回路と、信号処理回路の出力端子に接続された警報信号送信回路IC3とを備え、隣接する区間内の機関車通過検出警報装置Miの信号処理回路が互いに対して信号を送信し、機関車がある区間Liを使用しているときに、区間Liに対応する機関車通過検出警報装置Miの全範囲センサ構成要素が、機関車の存在を感知し、信号処理回路が「使用中」信号を生成することを可能にし、機関車が区間Liを出て、隣接する前方の区間Li+1に入ったときに、隣接する区間Li+1に対応する機関車通過検出警報装置Mi+1の信号処理回路が同様に「使用中」信号を生成し、この「使用中」信号を、隣接する後方の区間Liを以前に出た機関車通過検出警報装置Miの信号処理回路に送信し、これらの信号処理回路が異なる場合には特定の信号入力端子も異なり、それによって、この信号処理回路が生成した「使用中」信号が「空き」信号に変更され、隣接する2つの区間Li及びLi+1がともに機関車によって使用されているときに、これらの隣接する2つの区間Li及びLi+1に対応する機関車通過検出警報装置Mi及びMi+1が、そのそれぞれの「使用中」信号を同時に相手方機関車通過検出警報装置へ送信し、それによって、これらの隣接する2つの区間に対応する機関車通過検出警報装置Mi及びMi+1の信号処理回路が、警報信号送信回路を開始して対応する区間内の機関車に警報信号を送るためのトリガ信号を同時に出力するようにし、機関車内に配置された警報信号受信/応答装置がこの警報信号を受け取って、警告するか、さもなければ対策をとる。
【0011】
機関車通過検出警報装置Miの前記全範囲信号処理回路は、センサ構成要素の信号出力端子に接続された機関車通過センサ信号生成回路IC1、及び「1」優先設定双安定回路IC2を備え、「1」優先設定双安定回路IC2の「1」設定端子は、機関車通過センサ信号生成回路IC1の出力端子に接続され、「1」優先設定双安定回路IC2の「0」設定端子は第1のORゲートに接続され、「1」優先設定双安定回路IC2の出力端子は「AND」ゲートの入力端子に接続され、前記「AND」ゲートのもう一方の入力端子は第2のORゲートに接続され、前記「AND」ゲートの出力端子は、警報信号送信回路IC3のトリガ端子に接続され、前記第1のORゲート及び前記第2のORゲートの2つの入力端子はそれぞれ、隣接する前方の機関車通過検出警報装置Mi+1内の「1」優先設定双安定回路IC2の出力端子、及び隣接する後方の機関車通過検出警報装置Mi−1内の「1」優先設定双安定回路IC2の出力端子に接続される。
【0012】
本発明の基本的な発想は、機関車間の十分な安全距離を保証するためには、線路上の隣接する2つの区間を機関車が同時に使用してはならないということ、すなわち隣接する2つの区間内に配置された機関車通過検出警報装置Mi及びMi+1内の「1」優先設定双安定回路IC2の出力端子が同時に「1」に設定されてはならないということである。
【0013】
機関車がある区間「Li」を使用しているときには、対応する機関車通過検出警報装置Mi内の「1」優先設定双安定回路IC2の出力端子が1に設定され、すなわち「使用中」信号を生成し、機関車が区間「Li」を出た後は、機関車通過検出警報装置Mi内の「1」優先設定双安定回路IC2の出力端子が「0」に設定され、すなわち「空き」信号を生成する。
【0014】
レール上を高速で走行しているとき、機関車は、その機関車が使用している区間Liに対応する機関車通過検出警報装置Mi内の「1」優先設定双安定回路IC2の出力端子を「1」に設定し続け、同時に、前方及び後方の隣接する2つの区間Li−1及びLi+1に問い合わせ、判定を実施する。前方及び後方の隣接する2つの区間が他の機関車によって使用されている場合、Mi内の「1」優先設定双安定回路IC2の出力端子は1に設定され、同時に、Mi−1及び/又はMi+1内の「1」優先設定双安定回路IC2も1に設定され、前記信号は、隣接する区間内の機関車通過検出警報装置の第2のORゲートに渡されて、同時に警報信号送信回路を開始して対応する区間内の機関車に警報信号を送り、前記警報信号は、他の機関車が近づいてきていることを指示し、その機関車内に配置された警報信号受信/応答装置は、この警報信号を受け取って、警告するか、さもなければ対策をとる。
【0015】
機関車がある区間Liを完全に通過し、次の区間Li+1に入ると、機関車通過検出警報装置Mi+1内の「1」優先設定双安定回路IC2の出力端子が「1」に設定され、この信号が、この出力端子に接続されたMiの第1のORゲートに返され、その結果、前方の区間機関車通過検出警報装置Mi内の「1」優先設定双安定回路IC2の出力端子が「0」に設定され、リセットされ、このことは、区間Li内においてその線路が使用可能であり、正常な状態に復帰したことを指示し、この時、警報信号送信回路IC3は警報信号を発しない。
【0016】
本明細書に記載された技術的解決策は、前述のハードウェア接続による方法だけに限定されず、当業者が容易に実施することができる他のさまざまな方法が存在し、例えば、コンピュータ制御システムを使用して全ての区間のセンサ回路を接続することができ、隣接する区間内において機関車が近づいてきているかどうかを判定するために、さまざまな区間内の誘導回路の信号がコンピュータによって処理され、機関車が近づいてきている場合には、コンピュータが警報信号命令を発する。