(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記停電時出庫運転モードでは、前記制御部は、前記蓄電装置の蓄電量の停電時出庫運転における停電時下限値を設定し、前記蓄電装置の蓄電量が前記停電時下限値を下回るときに、前記車両の出庫運転を開始せずに、外部電源から前記蓄電装置に給電し、
前記停電時下限値は、1台の車両の出庫運転の間、少なくとも前記制御部の作動を維持可能な蓄電量よりも大きい値に設定されることを特徴とする請求項1に記載の駐車装置。
前記駐車室に配置され、前記駐車室と前記昇降空間との間を往復動し、前記昇降リフトとの間で前記車両を受渡し可能な横行トレイと、前記横行トレイを往復動させる横行モータとをさらに備え、
前記停電時出庫運転モードでは、前記蓄電装置が前記横行モータに給電することを特徴とする請求項1又は2に記載の駐車装置。
前記通常時入出庫運転モードでは、前記駆動モータは、車両積載状態の前記昇降リフトを上昇させるときに力行運転を行い、前記蓄電装置の蓄電量が通常時入出庫運転における通常時下限値を上回るときに前記蓄電装置が少なくとも部分的に前記駆動モータに給電し、前記蓄電装置の蓄電量が前記通常時下限値を下回るときに前記電源のみが前記駆動モータに給電し、他方、車両積載状態の前記昇降リフトを下降させるときに前記駆動モータが回生運転を行って前記蓄電装置に蓄電することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の駐車装置。
車両を櫛歯状の載置面に積載し、昇降空間内で昇降する昇降リフトと、前記載置面とすれ違い可能に形成された櫛歯状の横行トレイを収容する前記昇降空間に連設された駐車室と、を備えるフォーク式立体駐車装置であって、
駆動モータと、
前記駆動モータによって回転駆動される滑車に巻回された索状体の一端に前記昇降リフトを接続するとともに該索状体の他端にバランスウェイトを接続し、前記バランスウェイトの重量が前記昇降リフトの重量よりも重く、且つ、前記昇降リフトと載置車両との合計重量よりも軽い、昇降駆動部と、
前記横行トレイを前記駐車室と前記昇降空間との間で往復動させる横行モータと、
前記駆動モータを力行運転させるべく前記駆動モータに電力を供給可能に接続された電源と、
前記車両の入出庫の運転を制御するための制御部と、
少なくとも前記制御部及び前記駆動モータに電気的に接続され、前記駆動モータの回生運転で発生した回生電力で蓄電される蓄電装置と、
を備え、
前記電源からの電力供給が切断された場合に前記少なくとも1つの駐車室に駐車された車両を全て出庫させるために、前記制御部が通常時入出庫運転モードを停電時出庫運転モードに手動式又は自動式に切り替え、
前記停電時出庫運転モードでは、前記制御部は、前記蓄電装置から受電し、前記駐車室の車両を出庫させるべく、前記駆動モータを回生運転させて空車状態の前記昇降リフトを所定位置に上昇させ、前記蓄電装置から前記横行モータに給電するとともに前記横行モータを駆動して前記横行トレイを前記昇降空間に移動させ前記横行トレイから前記車両を前記昇降リフトに移載した後、前記駆動モータを回生運転させて車両積載状態の前記昇降リフトを下降させるとともに前記横行トレイを前記駐車室に横行させるように制御し、前記駆動モータの回生運転による回生電力で前記蓄電装置を充電することを特徴とするフォーク式立体駐車装置。
前記蓄電装置は、第1蓄電装置及び第2蓄電装置を備え、前記通常時入出庫運転モードにおいて前記制御部が前記第1蓄電装置のみを前記制御部及び前記駆動モータに電気的に接続させ、前記停電時出庫運転モードにおいて前記制御部が前記第2蓄電装置のみを前記制御部及び前記駆動モータに電気的に接続させることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の駐車装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の駐車装置では、災害等により停電し、商用電源からの電源の供給が切断された場合、蓄電装置の電力だけでは、駐車室に駐車された複数の車両を出庫するのに不十分であり、商用電源が復旧するまで、車両を出庫できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、停電時において蓄電装置の電力を効率的に使用して、車両を出庫可能な駐車装置、フォーク式駐車装置及び車両の出庫方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の駐車装置は、車両を積載し、昇降空間内で昇降する昇降リフトと、前記昇降空間に連設された少なくとも1つの駐車室とを備える駐車装置であって、
駆動モータと、
前記駆動モータによって回転駆動される滑車に巻回された索状体の一端に前記昇降リフトを接続するとともに該索状体の他端にバランスウェイトを接続し、前記バランスウェイトの重量が前記昇降リフトの重量よりも重く、且つ、前記昇降リフトと載置車両との合計重量よりも軽い、昇降駆動部と、
前記駆動モータを力行運転させるべく前記駆動モータに電力を供給可能に接続された電源と、
前記車両の入出庫の運転を制御するための制御部と、
少なくとも前記制御部及び前記駆動モータに電気的に接続され、前記駆動モータの回生運転で発生した回生電力で蓄電される蓄電装置と、
を備え、
前記電源からの電力供給が切断された場合に
前記少なくとも1つの駐車室に駐車された車両を全て出庫させるために、前記制御部が通常時入出庫運転モードを停電時出庫運転モードに手動式又は自動式に切り替え、
前記停電時出庫運転モードでは、前記制御部は、前記蓄電装置から受電し、前記駐車室の車両を出庫させるべく、前記駆動モータを回生運転させて空車状態の前記昇降リフトを所定位置に上昇させ、前記駐車室から前記車両を前記昇降リフトに積載した後、前記駆動モータを回生運転させて車両積載状態の前記昇降リフトを下降させるように制御し、前記駆動モータの回生運転による回生電力で前記蓄電装置を充電することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の駐車装置は、請求項1の駐車装置において、前記停電時出庫運転モードでは、前記制御部は、前記蓄電装置の蓄電量の停電時出庫運転における停電時下限値を設定し、前記蓄電装置の蓄電量が前記停電時下限値を下回るときに、前記車両の出庫運転を開始せずに、外部電源から前記蓄電装置に給電し、前記停電時下限値は、1台の車両の出庫運転の間、少なくとも前記制御部の作動を維持可能な蓄電量よりも大きい値に設定されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の駐車装置は、請求項1又は2の駐車装置において、前記駐車室に配置され、前記駐車室と前記昇降空間との間を往復動し、前記昇降リフトとの間で前記車両を受渡し可能な横行トレイと、前記横行トレイを往復動させる横行モータとをさらに備え、前記停電時出庫運転モードでは、前記蓄電装置が前記横行モータに給電することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の駐車装置は、請求項1から3のいずれか一項の駐車装置において、前記通常時入出庫運転モードでは、前記駆動モータは、車両積載状態の前記昇降リフトを上昇させるときに力行運転を行い、前記蓄電装置の蓄電量が通常時入出庫運転における通常時下限値を上回るときに前記蓄電装置が少なくとも部分的に前記駆動モータに給電し、前記蓄電装置の蓄電量が前記通常時下限値を下回るときに前記電源のみが前記駆動モータに給電し、他方、車両積載状態の前記昇降リフトを下降させるときに前記駆動モータが回生運転を行って前記蓄電装置に蓄電することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載のフォーク式立体駐車装置は、車両を櫛歯状の載置面に積載し、昇降空間内で昇降する昇降リフトと、前記載置面とすれ違い可能に形成された櫛歯状の横行トレイを収容する前記昇降空間に連設された駐車室と、を備えるフォーク式立体駐車装置であって、
駆動モータと、
前記駆動モータによって回転駆動される滑車に巻回された索状体の一端に前記昇降リフトを接続するとともに該索状体の他端にバランスウェイトを接続し、前記バランスウェイトの重量が前記昇降リフトの重量よりも重く、且つ、前記昇降リフトと載置車両との合計重量よりも軽い、昇降駆動部と、
前記横行トレイを前記駐車室と前記昇降空間との間で往復動させる横行モータと、
前記駆動モータを力行運転させるべく前記駆動モータに電力を供給可能に接続された電源と、
前記車両の入出庫の運転を制御するための制御部と、
少なくとも前記制御部及び前記駆動モータに電気的に接続され、前記駆動モータの回生運転で発生した回生電力で蓄電される蓄電装置と、
を備え、
前記電源からの電力供給が切断された場合に
前記少なくとも1つの駐車室に駐車された車両を全て出庫させるために、前記制御部が通常時入出庫運転モードを停電時出庫運転モードに手動式又は自動式に切り替え、
前記停電時出庫運転モードでは、前記制御部は、前記蓄電装置から受電し、前記駐車室の車両を出庫させるべく、前記駆動モータを回生運転させて空車状態の前記昇降リフトを所定位置に上昇させ、前記蓄電装置から前記横行モータに給電するとともに前記横行モータを駆動して前記横行トレイを前記昇降空間に移動させ前記横行トレイから前記車両を前記昇降リフトに移載した後、前記駆動モータを回生運転させて車両積載状態の前記昇降リフトを下降させるとともに前記横行トレイを前記駐車室に横行させるように制御し、前記駆動モータの回生運転による回生電力で前記蓄電装置を充電することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の駐車車両の出庫方法は、
車両を積載し、昇降空間内で昇降する昇降リフトと、
前記昇降空間に連設された駐車室と、
駆動モータと、
前記駆動モータによって回転駆動される滑車に巻回された索状体の一端に前記昇降リフトを接続するとともに該索状体の他端にバランスウェイトを接続し、前記バランスウェイトの重量が前記昇降リフトの重量よりも重く、且つ、前記昇降リフトと載置車両との合計重量よりも軽い、昇降駆動部と、
前記駆動モータを力行運転させるべく前記駆動モータに電力を供給可能に接続された電源と、
前記車両の入出庫の運転を制御するための制御部と、
少なくとも前記制御部及び前記駆動モータに電気的に接続され、前記駆動モータの回生運転で発生した回生電力で蓄電される蓄電装置と、を備える駐車装置において停電時に前記駐車室から駐車車両を出庫する方法であって、
前記電源からの給電が切断されたことを検知して
、前記少なくとも1つの駐車室に駐車された車両を全て出庫させるために、前記制御部で通常時入出庫運転モードから停電時出庫運転モードに切り替えるステップと、
前記蓄電装置から前記制御部に給電するステップと、
前記駆動モータを回生運転させて空車状態の前記昇降リフトを所定位置に上昇させるとともに、前記駆動モータの回生運転による回生電力を前記蓄電装置に給電するステップと、
前記駐車室から前記車両を前記昇降リフトに積載するステップと、
前記駆動モータを回生運転させて車両積載状態の前記昇降リフトを下降させるとともに、前記駆動モータの回生運転による回生電力で前記蓄電装置に給電するステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の駐車装置は、請求項1から4のいずれか一項の駐車装置において、前記蓄電装置は、第1蓄電装置及び第2蓄電装置を備え、前記通常時入出庫運転モードにおいて前記制御部が前記第1蓄電装置のみを前記制御部及び前記駆動モータに電気的に接続させ、前記停電時出庫運転モードにおいて前記制御部が前記第2蓄電装置のみを前記制御部及び前記駆動モータに電気的に接続させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、停電時に電源からの電力供給が切断された場合、蓄電装置から制御部に給電することにより制御部の作動を維持可能とする。次に、該制御部が、駆動モータを回生運転させつつ空車状態の昇降リフトを所定位置に上昇させる。このとき、バランスウェイトの重量が空車状態の昇降リフトの重量よりも大きいのでバランスウェイトが自重で降下し、駆動モータを力行運転させずに回生運転させて蓄電装置の蓄電量を増加させることができる。そして、駐車室から駐車車両を昇降リフトに積載した後、該制御部が、駆動モータを回生運転させつつ車両積載状態の昇降リフトを下降させるように制御する。このとき、積載状態の昇降リフトの重量がバランスウェイトの重量よりも大きいので昇降リフトが自重で降下し、駆動モータを力行運転させずに回生運転させて蓄電装置の蓄電量を増加させることができる。すなわち、停電時出庫運転モードでは、蓄電装置からの比較的低い電力で制御部の作動を維持し、該制御部からの信号により駆動モータを回生運転させつつ昇降リフトを上下動させて駐車車両を出庫することができる。したがって、本発明は、電源からの電力供給がないような停電時であっても、蓄電装置の電力及び回生電力を効率的に用いることにより、複数の駐車室から駐車車両を出庫することを可能としたものである。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、蓄電装置の蓄電量が停電時出庫運転における停電時下限値を下回るときに、車両の出庫運転を開始せずに、外部電源から蓄電装置に給電することにより、車両の出庫運転中に蓄電装置からの給電が切断されて出庫運転が制御不能に陥ることを防止することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の発明の効果に加えて、蓄電装置から横行モータに(駆動モータと比べて)比較的低い電力を供給することにより、横行トレイを水平移動させて、横行トレイに載置された駐車車両を昇降リフトに移載することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から3のいずれかの発明の効果に加えて、通常時入出庫運転モードにおいて、回生電力を効果的に回収するとともに蓄電装置からの電力で駆動モータを力行運転させる、又は、該力行運転を補助することにより、電源からの電力供給量を削減し、入出庫の省エネルギー化に貢献することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、停電時に電源からの電力供給が切断された場合、蓄電装置から制御部に給電することにより制御部の作動を維持する。次に、該制御部が、駆動モータを回生運転させつつ空車状態の昇降リフトを所定位置に上昇させる。このとき、バランスウェイトの重量が空車状態の昇降リフトの重量よりも大きいのでバランスウェイトが自重で降下し、駆動モータを力行運転させずに回生運転させて蓄電装置の蓄電量を増加させることができる。そして、蓄電装置から横行モータに(駆動モータと比べて)比較的低い電力を供給することにより、横行トレイを水平移動させるように横行モータを制御し、横行トレイに載置された駐車車両を昇降リフトに移載することができる。駐車室から駐車車両を昇降リフトに積載した後、該制御部が、駆動モータを回生運転させつつ車両積載状態の昇降リフトを下降させるように制御する。このとき、積載状態の昇降リフトの重量がバランスウェイトの重量よりも大きいので昇降リフトが自重で降下し、駆動モータを力行運転させずに回生運転させて蓄電装置の蓄電量を増加させることができる。すなわち、停電時出庫運転モードでは、蓄電装置からの比較的低い電力で制御部及び横行モータを作動させ、該制御部からの信号により、横行モータを作動させるとともに駆動モータを回生運転させつつ昇降リフトを上下動させて駐車車両を出庫することができる。したがって、本発明は、電源からの電力供給がないような停電時であっても、蓄電装置の電力及び回生電力を効率的に用いることにより、複数の駐車室から駐車車両を出庫することを可能としたものである。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、停電時に電源からの電力供給が切断された場合、蓄電装置から制御部に給電することにより制御部の作動を維持可能とする。次に、該制御部が、駆動モータを回生運転させつつ空車状態の昇降リフトを所定位置に上昇させる。このとき、バランスウェイトの重量が空車状態の昇降リフトの重量よりも大きいのでバランスウェイトが自重で降下し、駆動モータを力行運転させずに回生運転させて蓄電装置の蓄電量を増加させることができる。そして、駐車室から駐車車両を昇降リフトに積載した後、該制御部が、駆動モータを回生運転させつつ車両積載状態の昇降リフトを下降させるように制御する。このとき、積載状態の昇降リフトの重量がバランスウェイトの重量よりも大きいので昇降リフトが自重で降下し、駆動モータを力行運転させずに回生運転させて蓄電装置の蓄電量を増加させることができる。すなわち、停電時出庫運転モードでは、蓄電装置からの比較的低い電力で制御部を作動させ、該制御部からの信号により駆動モータを回生運転させつつ昇降リフトを上下動させて駐車車両を出庫することができる。したがって、本発明は、電源からの電力供給がないような停電時であっても、蓄電装置の電力及び回生電力を効率的に用いることにより、複数の駐車室から駐車車両を出庫することを可能としたものである。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から4のいずれかの発明の効果に加えて、蓄電装置を第1蓄電装置及び第2蓄電装置に分離したことにより、日常的な通常運転時に、第1蓄電装置の使用を優先して、第2蓄電装置を温存することができる。そして、日常的な使用により第2蓄電装置の性能が劣化することを抑えるとともに故障のリスクを軽減し、非常時の停電時出庫運転モードにおいて、より確実に給電機能を発揮することを可能にする。したがって、本発明は、停電時出庫運転における該駐車装置の出庫動作の信頼性を改善する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)
図1は、本発明の一実施形態の駐車装置10の斜視図であり、
図2は該駐車装置10の概略正面図である。
図1に示すとおり、本実施形態の駐車装置10は、フォーク式立体駐車場(装置)である。
図1及び
図2を参照して、一実施形態のフォーク式立体駐車装置10の機械的な構成及び動作を説明する。
【0024】
図1及び
図2に示すとおり、駐車装置10は、地上面に配置された乗込場11と、該乗込場11から垂直上方に連設された昇降空間13と、該昇降空間13の左右に複数階に連設された複数の駐車室20と、を備える機械式立体駐車場である。乗込場11は、車両Vが乗り入れ又は出庫可能に地上階に配置されており、乗込台11aと該乗込台11aの下方の凹設部11bとを備える。乗込台11aは、中央フレームから左右外方に櫛歯が延びる櫛歯形状を有している(図示せず)。
【0025】
また、昇降空間13は、垂直に延びる4本のガイドレール13aによって定められ、昇降リフト12が昇降するための空間である。昇降空間13(ガイドレール13a)の高さは、所望の駐車室20の数、すなわち、駐車塔の階数によって任意に設定される。昇降リフト12は、車両Vを積載するための載置面12aを有する。該載置面12aは、左右一対に分割されたフレームからなり、外側フレームから内側へ櫛歯が延びている。該載置面12aの櫛歯と乗込台11aの櫛歯とが互いにすれ違い可能に形成されており、載置面12aは乗込場11の凹設部11b内に移動可能である。つまり、乗込台11a及び昇降リフト12は車両Vを互いに受け渡し可能である。
【0026】
そして、昇降空間13には、昇降リフト12を昇降させるための昇降駆動部14が設けられている。該昇降駆動部14は、駆動モータ15、滑車16、索状体17及びバランスウェイト18で構成される。駆動モータ15及び滑車16は昇降空間13の頂部に設置されており、駆動モータ15は滑車16を回転駆動可能に配置されている。該滑車16には、複数本の長尺の索状体17が巻回されている。該索状体17は、4本のガイドレール13aの内部に配設されており、ガイドレール13aに沿って鉛直方向に吊り下げられている。該索状体17の一端が昇降リフト12に連結されているとともに該索状体17の他端がバランスウェイト18に連結されている。すなわち、滑車16が一方向に回転すると、索状体17を介して、昇降リフト12が上昇するとともにバランスウェイト18が下降する。他方、滑車16が他方向に回転すると、索状体17を介して、昇降リフト12が下降するとともにバランスウェイト18が上昇する。該昇降リフト12は、昇降空間13内で最上階から地上階まで昇降可能である。
【0027】
バランスウェイト18の重量は、昇降リフト12の重量よりも重く、且つ、昇降リフト12と載置車両Vとの合計重量よりも軽くなるように定められている。なお、本実施形態では、昇降リフト12の重量が約500kg〜約700kgであり、バランスウェイト18の重量が約1200kg〜約1700kgである。他方、軽自動車の重量は、約700kg〜約1000kgである。バランスウェイト18の重量は、昇降リフト12の重量と軽自動車の重量の合計を越えないように定められている。すなわち、本実施形態の駐車装置10は、軽自動車の入出庫に対応可能に構成されている。しかしながら、バランスウェイト18の重量は、駐車する車両Vの車種等に応じて任意に最適化可能である。
【0028】
また、各駐車室20は、各階において昇降空間13に隣接して配置されている。各駐車室20は、1台の車両Vを駐車可能な空間である。該駐車室20には、車両Vが載置される横行トレイ21が配置されている。横行トレイ21は、中央フレームから左右外方に櫛歯が延びる櫛歯形状を有しており、上述の昇降リフト12の櫛歯状の載置面12aとすれ違い可能に形成されている。つまり、昇降リフト12及び横行トレイ21は車両Vを互いに受け渡し可能である。そして、横行レール22が昇降空間13と各駐車室20との間に延設されている。横行トレイ21は、横行レール22に沿って、駐車室20と昇降空間13との間を往復動する。横行トレイ21の前後端は、横行レール22に形成された複数の駆動ローラ22aで支持され、該駆動ローラ22aの回転で横行駆動される。そして、複数の駆動ローラ22aは、横行モータ23によって回転駆動される。
【0029】
次いで、駐車装置10に車両Vを入庫して所定の駐車室20に駐車する一連の機械的動作を説明する。当初状態において昇降リフト12が地上階に位置するとき、その載置面12aが乗込場11の凹設部11bに収容されている。そして、車両Vが乗込場11に乗り込み、乗込台11a上に載置された状態で、昇降リフト12が上昇すると、櫛歯状の載置面12aと櫛歯状の乗込台11aとが互いにすれ違い、車両Vが乗込台11aから載置面12aへと移載される。車両Vを搭載した積載状態の昇降リフト12が所定の駐車室20の横行レール22よりも上方に引き上げられ、横行トレイ21が昇降空間13内に横行して昇降リフト12の下方に配置される。そして、昇降リフト12が下降し、櫛歯状の載置面12aと櫛歯状の横行トレイ21とが互いにすれ違うことにより、昇降リフト12から横行トレイ21へと車両Vが移載される。移載後、車両Vを搭載した横行トレイ21が横行レール22に沿って駐車室20に横行することにより、車両Vが駐車室20に収容される。
【0030】
他方、車両Vを所定の駐車室20から出庫する場合、車両Vを搭載した横行トレイ21が駐車室20から昇降空間13に横行するとともに、空車状態の昇降リフト12が上昇する。そして、昇降リフト12の載置面12aが横行トレイ21とすれ違うように上昇して横行トレイ21の上方で停止し、横行トレイ21から載置面12aに車両Vが移載される。次に、空の横行トレイ21が横行して駐車室20に収容される。続いて、積載状態の昇降リフト12が地上階まで下降して、車両Vが乗込場11に配置される。そして、載置面12aが乗込台11aとすれ違って凹設部11bに収容されることにより、車両Vが載置面12aから乗込台11aに移載される。
【0031】
本実施形態では、昇降リフト12を昇降させる際、駆動モータ15は力行運転又は回生運転を行うように構成されている。駆動モータ15は、力行運転をするときに電源31又は蓄電装置32による電力の供給を必要とする。他方、駆動モータ15は、滑車16によって逆駆動されて回生運転を行う。この回生運転では、駆動モータ15が発電機の働きをし、回生電力が発生する。該駆動モータ15の回生電力は蓄電装置32に蓄電可能である。
【0032】
そして、車両Vを搭載した積載状態の昇降リフト12を上昇させる場合、積載状態の昇降リフト12の重量とバランスウェイト18の重量との差を補うべく、駆動モータ15が力行運転を行って滑車16を回転駆動し、昇降リフト12を引き上げる。また、車両Vを搭載しない空車状態の昇降リフト12を上昇させる場合、(昇降リフト12より重い)バランスウェイト18が自重(重力)で鉛直方向に下降することにより、昇降リフト12の上昇とともに滑車16の回転が駆動モータ15を駆動させ、該駆動モータ15が回生運転を行う。さらに、車両Vを搭載した積載状態の昇降リフト12を下降させる場合、(バランスウェイト18より重い)積載状態の昇降リフト12が自重で鉛直方向に下降することにより、滑車16の回転が駆動モータ15を駆動させ、該駆動モータ15が回生運転を行う。そして、車両Vを搭載しない空車状態の昇降リフト12を下降させる場合、バランスウェイト18の重量と空車状態の昇降リフト12の重量との差を補うべく、駆動モータ15が力行運転を行って滑車16を回転駆動し、バランスウェイト18を引き上げる。
【0033】
図3は、駐車装置10の概略構成図である。
図3を参照して、駐車装置10の制御系統について説明する。
【0034】
本実施形態の駐車装置10は、交流200Vの商用電源31によって給電される。該商用電源31は、所定の許容電力量を供給可能であり、該許容電力量は電力会社との契約によって定められる。該商用電源31は、コンバータ36aに接続され、該コンバータ36aによって交流電力を直流電力に一旦変換する。コンバータ36aはDCバスラインを介してインバータ36b、インバータ36c、DC/DCコンバータ36d、抵抗器36eに電気的に接続されている。そして、停電により商用電源31からの電力供給が切断されたときに、接点31aで接続が途切れる(実線)。また、通常の商用電源31が電力を供給可能な状態は、点線の接点31aで示される。なお、後述するとおり、電力供給が切断された場合、制御部35に情報が送られて、通常時入出庫運転モードから停電時出庫運転モードに手動又は自動で切り替えられる。
【0035】
駐車装置10において、インバータ36bは、コンバータ36aからの直流電力を所定の交流電力に変換し、所定の交流電力を駆動モータ15に供給する。インバータ36cは、コンバータ36aからの直流電力を所定の交流電力に変換し、所定の交流電力を横行モータ23に供給する。また、インバータ36bには抵抗器36eが接続されている。本実施例では、蓄電装置32の蓄電量が通常時上限値に到達した場合、駆動モータ15からの回生電力が抵抗器36eで消費される。
【0036】
また、DC/DCコンバータ36dには、蓄電装置32が接続されている。この蓄電装置32は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛電池、角型電池、電気二重層コンデンサ等であり、蓄電機能を有するものから選択される。この蓄電装置32は、回生運転状態の駆動モータ15から発生した回生電力をDC/DCコンバータ36dを介して受電し、蓄電する。本実施例では、該蓄電装置32は、通常時入出庫運転における省エネルギー用途及び非常(停電)時の給電用途の両方を兼ねている。なお、図示しないが、蓄電装置32には電流計及び電圧計が接続され、該電流計及び電圧計が蓄電装置32の蓄電量を検出し、制御部35にその情報が送られる。また、蓄電装置32は外部電源33に接続可能であり、外部電源33から蓄電装置32に給電可能である。外部電源33は、例えば、発電機、ソーラー電源、電気自動車等である。
【0037】
さらに、駐車装置10の制御手段として制御部35がDC/DCコンバータ36dに接続されている。該制御部35は、該駐車装置10における車両Vの入出庫運転の一連の動作を制御するものである。該制御部35は、DC/DCコンバータ36dを介して商用電源31及び蓄電装置32の両方から受電することができる。また、制御部35には、ユーザーが操作可能な操作部(図示しないが操作盤等)からの信号が入力される。そして、制御部35は、商用電源31からの給電状況、昇降リフト12の位置情報、各モータの作動状況、保全情報、蓄電装置32の蓄電量等の各種情報を集約して、車両Vの入出庫運転を安全且つ確実に行うよう駐車装置10の動作を制御する。
【0038】
なお、制御部35や横行モータ23を作動させるのに必要な電力は、駆動モータ15を力行運転させるのに必要な電力と比べて非常に小さい。よって、制御部35及び横行モータ23を作動させるには、蓄電装置32からの電力で十分に賄うことができる。
【0039】
次に、車両Vの入出庫運転における駐車装置10の制御の流れをフローチャートに基づいて説明する。なお、昇降リフト12等の機械的動作は上述したとおりである。
【0040】
図4は、商用電源31からの給電が途切れていない(日常的な給電状態の)通常時入出庫運転モードにおける車両Vの入庫運転の制御の流れを説明するフローチャートである。
図4に示すとおり、ユーザーが制御部35に入庫の指示を入力して、入庫運転を開始する。該通常時入出庫運転モードでは、車両Vの入庫運転において、主に、車両Vを搭載した昇降リフト12を上昇させるべく駆動モータ15を力行運転させるように駆動モータ15に商用電源31及び蓄電装置32の少なくとも一方から電力を供給する。
【0041】
まず、入庫運転開始直後、制御部35は、蓄電装置32の蓄電量が通常時下限値以上であるか否かを判断する(ステップS01)。通常時下限値は、駆動モータ15を数秒から数十秒の時間(任意)、力行運転を継続できる電力量として制御部35に予め設定された値である。例えば、車両Vを搭載した昇降リフト12を最上階まで上昇させるのに必要な電力が蓄電装置32の最大蓄電容量の約30%であれば、通常時下限値を蓄電容量の30%より大きい35〜40%に設定する。このような情報は、制御部35に集約可能であり、入庫する駐車室の階ごとに個別に設定することも可能である。
【0042】
ステップS01において、蓄電装置32の蓄電量が通常時下限値以上である場合、商用電源31を補助するように又は商用電源31の代わりに、駆動モータ15、横行モータ22及び/又は制御部35に蓄電装置32から電力を供給して入庫運転を実施する(ステップS02)。蓄電装置32の給電を利用したステップS02のような運転を電力補償運転と称する。そして、電力補償運転中においても、蓄電装置32の蓄電量をモニタリングして、該蓄電量が通常時下限値に到達するか否かを判断する(ステップS03)。蓄電装置32の蓄電量が通常時下限値に到達しない場合、蓄電装置32からの電力を利用した電力補償運転が継続され、入庫運転が完了する。他方、電力補償運転の開始前の判断(ステップS01)及び電力補償運転中の判断(ステップS03)で蓄電装置32の蓄電量が通常時下限値を下回った場合、蓄電装置32からの給電を切断し、商用電源31からの電力のみで商用電源運転を実施して(ステップS04)、入庫運転を完了させる。
【0043】
図5は、商用電源31からの給電が途切れていない(通常時の給電状態の)通常時入出庫運転モードにおける車両Vの出庫運転の制御の流れを説明するフローチャートである。
図5に示すとおり、ユーザーが制御部35に操作部を介して出庫の指示を入力し、出庫運転を開始する。該通常時入出庫運転モードでは、主に、車両Vの出庫運転において、車両Vを搭載した昇降リフト12を下降させるべく駆動モータ15を回生運転させる。そして、制御部35及び横行モータ23は、蓄電装置32及び/又は商用電源31から受電する。
【0044】
まず、入庫運転開始直後、制御部35は、蓄電装置32の蓄電量が通常時上限値に到達しているか否かを判断する(ステップS11)。通常時上限値は、蓄電装置32にこれ以上蓄電できない上限値として制御部35に予め設定された値(例えば、満充電量値)である。この通常時上限値は、例えば、蓄電容量の95〜100%に設定される。
【0045】
ステップS11において、蓄電装置32の蓄電量が通常時上限値に到達していない場合、回生運転を行う駆動モータ15からの回生電力をDC/DCコンバータ36dを介して蓄電装置32に蓄電する(ステップS12)。蓄電装置32を蓄電するステップS12のような運転を回生蓄電運転と称する。そして、回生蓄電運転中においても、蓄電装置32の蓄電量をモニタリングして、該蓄電量が通常時上限値に到達するか否かを判断する(ステップS13)。蓄電装置32の蓄電量が通常時上限値に到達しない場合、回生蓄電運転が継続されつつ、出庫運転が完了する。他方、回生蓄電運転の開始前の判断(ステップS11)及び回生蓄電運転中の判断(ステップS13)で蓄電装置32の蓄電量が通常時上限値に到達した場合、ステップS14で、駆動モータ15からの回生電力を抵抗器で消費する(実施例1、3)か、あるいは、商用電源31に返電しつつ(実施例2、4)、出庫運転を完了させる。
【0046】
図6は、停電により商用電源31からの給電が途切れた停電時出庫運転モードにおける車両Vの出庫運転の制御の流れを説明するフローチャートである。制御部35で商用電源31からの給電が切断されたことを検知したら、自動又は手動(例えば、ユーザーが操作盤に入力する)で制御部35が該駐車装置10の動作を通常時入出庫運転モードから停電時出庫運転モードに切り替える。このとき、制御部35は、蓄電装置32から受電して作動状態を維持する。
図6に示すとおり、ユーザーが制御部35に出庫の指示を入力し、非常時出庫運転を開始する。該停電時出庫運転モードでは、主に、車両Vの出庫運転において、車両Vを搭載した昇降リフト12を下降させるべく駆動モータ15を回生運転させる。そして、制御部35及び横行モータ23は、蓄電装置32から受電する。
【0047】
まず、出庫運転開始直後、制御部35は、蓄電装置32の蓄電量が停電時下限値以上であるか否かを判断する(ステップS21)。蓄電装置32の蓄電量が停電時下限値を下回った場合、外部電源33が蓄電装置32に給電して蓄電する(ステップS22)。停電時下限値は、操作部35や横行モータ23等の駆動モータ15以外の要素を作動させて少なくとも1台の車両Vを出庫完了させることが可能な電力量に定められ、制御部35に予め設定された値である。この停電時下限値は、通常時下限値よりも小さい。なぜなら、制御部35や横行モータ23を作動させる電力消費量は、駆動モータ15を力行運転させる電力消費量よりも非常に小さいからである。例えば、1台の車両Vを出庫させる間、少なくとも制御部35及び横行モータ23を作動させるのに必要な電力が蓄電装置32の最大蓄電容量の約5%程度であれば、停電時下限値を蓄電容量の5%より大きい8〜15%に設定すればよい。
【0048】
ステップS22おいて、蓄電装置32の蓄電量が停電時下限値以上である場合、制御部35が(制御不能とならずに)通常の出庫運転を可能であると判断し、出庫運転を実施する。続いて、空車状態の昇降リフト12を(バランスウェイト18の自重で)所定の駐車室20の高さまで上昇させるとともに、駆動モータ15の回生電力を蓄電装置32に充電する(ステップS23及び
図7(a)参照)。蓄電装置32から小電力消費の横行モータ23に電力を供給し、車両Vを搭載した横行トレイ21を昇降空間13に横行させる(ステップS24及び
図7(a)参照)。次に、横行トレイ21から昇降リフト12に車両Vを移載させて(ステップS25及び
図7(b)参照)、横行トレイ21を駐車室20に横行させる。続いて、車両Vを搭載した積載状態の昇降リフト12を下降させるとともに、駆動モータ15の回生電力を蓄電装置32に充電する(ステップS26及び
図7(c)参照)。これにより、回生電力により蓄電装置32の蓄電量を出庫運転実施前(ステップS23の直前)よりも増加させて、車両Vの出庫を完了する(ステップS27)。次に、制御部35が他の駐車室20に車両Vが残っているか否かを判断し(ステップS28)、車両Vが残っている場合、ステップ21、22を経ずに再び出庫動作(ステップS23)を実施する。これらを繰り返すことで、停電時においても、蓄電装置32及び回生電力を効率的に利用し、複数の駐車室20に駐車された車両Vを全て出庫させることができる。
【0049】
なお、本実施形態では、横行トレイ21から昇降リフト12に車両Vを移載させるときに、昇降リフト12を横行トレイ21の上方にすれ違い移動させるべく、駆動モータ15を力行運転させる。しかしながら、該駆動モータ15の力行運転の距離は僅か(数cm〜数10cm程度)であるため、蓄電装置32の電力で十分に賄うことができる。
【0050】
以下、本発明に係る一実施形態の駐車装置10の作用効果について説明する。
【0051】
本実施形態の駐車装置10では、停電時に商用電源31からの電力供給が切断された場合、蓄電装置32から制御部35に給電することにより制御部35の作動を維持する。次に、該制御部35が、駆動モータ15を回生運転させつつ空車状態の昇降リフト12を所定位置に上昇させる。このとき、バランスウェイト18の重量が空車状態の昇降リフト12の重量よりも大きいのでバランスウェイト18が自重で降下し、駆動モータ15を力行運転させずに回生運転させて蓄電装置32の蓄電量を増加させることができる。そして、蓄電装置32から横行モータ23に(駆動モータ15と比べて)比較的低い電力を供給することにより、横行トレイ21を水平移動させるように横行モータ23を制御し、横行トレイ21に載置された駐車車両Vを昇降リフト12に移載することができる。駐車室20から駐車車両Vを昇降リフト12に積載した後、該制御部35が、駆動モータ15を回生運転させつつ車両積載状態の昇降リフト12を下降させるように制御する。このとき、積載状態の昇降リフト12の重量がバランスウェイト18の重量よりも大きいので昇降リフト12が自重で降下し、駆動モータ15を力行運転させずに回生運転させて蓄電装置32の蓄電量を増加させることができる。すなわち、停電時出庫運転モードでは、蓄電装置32からの比較的低い電力で制御部35及び横行モータ23を作動させ、該制御部35からの信号により、横行モータ23を駆動するとともに駆動モータ15を回生運転させつつ昇降リフト12を上下動させて駐車車両Vを出庫することができる。
【0052】
また、停電時出庫運転モードでは、蓄電装置32の蓄電量が停電時下限値以上であるかどうかを判断し(ステップS21)、蓄電量が停電時下限値未満であるときに車両Vの出庫運転を開始せずに、外部電源33から蓄電装置32に給電することにより、1台目の出庫運転中に蓄電装置32からの給電が切断されて出庫運転が制御不能に陥ることを防止する。そして、蓄電装置32の蓄電量が停電時下限値以上であれば、出庫運転の機械的動作(ステップS23)を開始し、1台目の車両Vの出庫運転を終えれば、発生した回生電力によって蓄電装置32の蓄電容量が運転開始(ステップS23)前よりも増加する。したがって、本実施形態では、商用電源31からの電力供給がないような停電時であっても、蓄電装置32の電力及び駆動モータ15の回生電力を効率的に用いることにより、複数の駐車室20から全ての駐車車両Vを連続して出庫させることが可能である。
【0053】
(実施例2)
図8は、別実施形態(実施例2)の駐車装置の概略構成図である。
図8に示すとおり、実施例2の駐車装置では、
図3のブロック図と比べて、コンバータ36aの代わりに回生コンバータ36a’が配置され、且つ、抵抗器36eが省略されている。すなわち、実施例2では、蓄電装置32の蓄電量が上限値以上である場合、回生電力を抵抗器で消費せずに、回生コンバータ36a’を介してモータ15からの回生電力を商用電源31に返電する(ステップS14)。
【0054】
(実施例3)
図9は、別実施形態(実施例3)の駐車装置の概略構成図である。
図9に示すとおり、実施例3の駐車装置の蓄電装置32’は、
図3のブロック図と比べて、1つの(非常時兼省エネ用)蓄電装置32でなく、目的別に2つに分けられた省エネ用の第1蓄電装置32a及び非常(停電)時用の第2蓄電装置32bを備える。第1蓄電装置32a及び第2蓄電装置32bは、それぞれ第1スイッチ32c及び第2スイッチ32dを介してDC/DCコンバータ36dに接続される。すなわち、第1蓄電装置32aは、通常時入出庫運転における省エネルギー用に構成されている。他方、第2蓄電装置32bは、停電時の給電用に構成されている。これら第1及び第2蓄電装置32a、32bは、発電機、ソーラー電源、電気自動車等の外部電源33に接続されており、同時又は個別に受電可能である。
【0055】
実施例3において、通常時入出庫運転モードでは、第1スイッチ32cがオンになり、且つ、第2スイッチ32dがオフとなるように制御部35によって制御される。そして、第1蓄電装置32aのみがDC/DCコンバータ36dに接続される。他方、停電時出庫運転モードでは、第1スイッチ32cがオフになり、且つ、第2スイッチ32dがオンとなるように制御部35によって制御される。そして、第2蓄電装置32bのみがDC/DCコンバータ36dに接続される。すなわち、蓄電装置32を第1蓄電装置32a及び第2蓄電装置32bに分離したことにより、日常的な通常時入出庫運転において、省エネ用の第1蓄電装置32aの使用を優先して、非常時用の第2蓄電装置32bを温存することができる。このようにして、日常的な使用により第2蓄電装置32bの性能が劣化することを抑えるとともに故障のリスクを軽減し、非常時における停電時出庫運転モードにおいて、より確実に給電機能を発揮することを可能にする。したがって、本実施例の駐車装置は、停電時出庫運転における該駐車装置の出庫動作の信頼性を改善するものである。
【0056】
(実施例4)
図10は、別実施形態(実施例4)の駐車装置の概略構成図である。
図10に示すとおり、実施例4の駐車装置では、
図9のブロック図と比べて、コンバータ36aの代わりに回生コンバータ36a’が配置され、且つ、抵抗器36eが省略されている。すなわち、実施例4では、蓄電装置32の蓄電量が上限値以上である場合、回生電力を抵抗器で消費せずに、回生コンバータ36a’を介してモータ15からの回生電力を商用電源31に返電する(ステップS14)。
【0057】
(実施例5)
一実施形態の駐車装置10は、フォーク式立体駐車場であるが、本実施形態の
図6の制御方法をパレット式立体駐車場に採用することも可能である。
図11(a)〜(c)を参照して、パレット式立体駐車装置10’で停電時出庫運転モードで車両を出庫する工程を説明する。パレット式立体駐車装置10’では、バランスウェイト18’の重量は、パレットP及び昇降リフト12’の合計重量よりも大きく、パレットP、昇降リフト12’及び車両Vの合計重量よりも小さい。
【0058】
図11(a)に示すとおり、空車状態のパレットPを搭載した昇降リフト12’を回生運転で所定の駐車室20’の高さに上昇させ、空のパレットPを空いた駐車室20’に戻す。次いで、出庫する車両Vの駐車室20’まで回生運転で上昇させる。そして、
図11(b)に示すとおり、駐車車両Vを搭載したパレットPを昇降空間13’に横行移動させ、昇降リフト12’に積載する。続いて、
図11(c)に示すとおり、(パレットP及び車両Vを搭載した)積載状態の昇降リフト12’を回生運転で下降させる。すなわち、パレット式立体駐車装置10’の出庫工程は、
図6に対応している。よって、本発明は、フォーク式立体駐車場に限定されず、種々の形式の駐車装置に応用可能である。
【0059】
(変形例)
一実施形態のフォーク式立体駐車場10は、各階で1つの昇降空間13に2つの駐車室20を連設させた標準的(基本的)な構成を有している。しかしながら、本発明の駐車装置は、一実施形態に限定されることなく、種々の形態に応用可能である。例えば、各階で1つの昇降空間に3以上の駐車室を隣接させるように配置してもよい。また、一実施形態の基本構成を複数並列させてビル等の構造物に組み込んでもよい。さらに、乗込口や昇降リフトにターンテーブルを設けて、車両を方向転換可能に入出庫してもよい。
【0060】
したがって、本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。