特許第5913415号(P5913415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スカイ アーバン アイピー ピーティーイー リミテッドの特許一覧

特許5913415植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム及び植物の栽培方法
<>
  • 特許5913415-植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム及び植物の栽培方法 図000002
  • 特許5913415-植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム及び植物の栽培方法 図000003
  • 特許5913415-植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム及び植物の栽培方法 図000004
  • 特許5913415-植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム及び植物の栽培方法 図000005
  • 特許5913415-植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム及び植物の栽培方法 図000006
  • 特許5913415-植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム及び植物の栽培方法 図000007
  • 特許5913415-植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム及び植物の栽培方法 図000008
  • 特許5913415-植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム及び植物の栽培方法 図000009
  • 特許5913415-植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム及び植物の栽培方法 図000010
  • 特許5913415-植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム及び植物の栽培方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5913415
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム及び植物の栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/00 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   A01G9/00 C
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-71903(P2014-71903)
(22)【出願日】2014年3月31日
(62)【分割の表示】特願2013-527041(P2013-527041)の分割
【原出願日】2010年9月3日
(65)【公開番号】特開2014-131518(P2014-131518A)
(43)【公開日】2014年7月17日
【審査請求日】2014年4月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512267461
【氏名又は名称】スカイ アーバン アイピー ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】エヌジー, ジャック
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第2366981(GB,A)
【文献】 特開2009−100700(JP,A)
【文献】 実開平3−652(JP,U)
【文献】 実公昭49−294(JP,Y1)
【文献】 特開昭60−130318(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3134137(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00 − 9/10
A01G 31/00 − 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物栽培用の回転垂直ラッキングシステムであって、
前記回転垂直ラッキングシステムは、
フレームと、
前記フレームに連結された駆動機構と、
前記駆動機構に連結され、それぞれが少なくとも1つの植物を支持することができる複数のラッキングトレイと、
を備え、
前記駆動機構は、前記複数のラッキングトレイを回転させるように構成されるとともに、導管を経た水源により駆動され運用される水力駆動輪をさらに備え、
前記水源から供給される水の少なくとも一部が前記水力駆動輪を駆動するのに使用可能であるよう構成され、
さらに前記水源から供給される水は、放水口を介して、前記複数のラッキングトレイに支持された少なくとも1つの植物に供給されるよう構成されていることを特徴とする回転垂直ラッキングシステム。
【請求項2】
前記ラッキングトレイが、回転時に実質的に水平方向に維持されていることを特徴とする請求項1に記載の回転垂直ラッキングシステム。
【請求項3】
前記駆動機構が、
前記フレームの一方側に連結され、第1の駆動要素を受容し、駆動するように構成されている第1の複数のスプロケットと、
前記フレームの反対側に連結され、第2の駆動要素を受容し、駆動するように構成されている第2の複数のスプロケットと、
水力を使用して前記スプロケットの少なくとも1つを駆動するように構成されている前記水力駆動輪と、
をさらに備え、
前記複数のラッキングトレイのそれぞれが、前記第1の駆動要素及び前記第2の駆動要素に連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転垂直ラッキングシステム。
【請求項4】
前記第1の駆動要素及び前記第2の駆動要素が、第1のローラーチェーン及び第2のローラーチェーンを含むことを特徴とする請求項に記載の回転垂直ラッキングシステム。
【請求項5】
前記駆動機構が、前記ラッキングトレイを所望の速度で回転させるように構成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の回転垂直ラッキングシステム。
【請求項6】
前記植物が回転する間に、前記植物に自動的に水を与える手段をさらに含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の回転垂直ラッキングシステム。
【請求項7】
少なくとも1つのチェーンガイドが、1つ以上の支持用のクロスバーを介して前記フレームに接続されることで、前記ローラーチェーンおよび前記ラッキングトレイが支持されることを特徴とする請求項に記載の回転垂直ラッキングシステム。
【請求項8】
前記回転垂直ラッキングシステムが、
その長手面が東/西の方向に向くように方向付けられ運用されることを特徴とする請求項1に記載の回転垂直ラッキングシステム。
【請求項9】
前記回転垂直ラッキングシステムが、
コンピュータにより遠隔運用できることを特徴とする請求項1に記載の回転垂直ラッキングシステム。
【請求項10】
前記コンピュータが、
前記ラッキングトレイの回転速度、および、栽培される植物に提供される水の量を制御するために、運用されることを特徴とする請求項に記載の回転垂直ラッキングシステム。
【請求項11】
植物の栽培方法であって、
前記植物の栽培方法は、
植物栽培用の回転垂直ラッキングシステムを設ける工程からなり、
前記回転垂直ラッキングシステムを設ける工程は、
フレームを設ける工程と、
前記フレームに連結された駆動機構を設ける工程と、
前記駆動機構に連結され、それぞれが少なくとも1つの植物を支持することができる複数のラッキングトレイを設ける工程と、
前記複数のラッキングトレイに支持された少なくとも1つの植物に、前記フレームに載置された導管を介して水源からの水を搬送する放水口を設ける工程と、
を含み、
前記駆動機構が水力駆動輪を備え、前記水力駆動輪は、前記導管を経た水源からの水によって前記複数のラッキングトレイを回転させるように駆動されることを特徴とする植物の栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、あらゆるタイプの植物を栽培するための、空間の効率的活用を可能にする、回転垂直ラッキングシステム及び植物の栽培方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
従来の農業方法は、通常は、広大な区画の肥沃な土地を使用する植物栽培に関与するものである。これらの方法を使用する場合は、広範囲の土地を耕作しなければならない。例えば、様々なタイプの野菜または他の農産物が、何ヘクタールもの土地にわたって、長い列をなして植え付けられる場合がある。
【0003】
これらの従来の農業方法には、多くの欠点がある。第1に、世界の多くの地域では、地形の問題によって、かつ/または、例えば住居、製造業などの他の用途に、土地が使用されているという事実によって、広域の耕地を利用することができない場合がある。
【0004】
さらには、これらの耕作地の生産性は、天候に左右される場合が多い。十分な雨と太陽光との組み合わせに恵まれた年には、豊作となる可能性がある。それ以外の、天候があまり思わしくない年には、収穫量は、乏しいものとなるか、または皆無となる恐れさえある。最新の肥料及び灌漑をもってしても、生産性の大幅な改善がもたらされる可能性は低い。
【0005】
これらの方法では、農産物の生産を、広域の土地に依存しているため、耕地の供給が限られている大都市及び/または大国に住む人々は、十分な食料の供給を他者に依存しなければならない。そのような依存は望ましくない場合があり、それは、これらの人々が、自らの食料供給を他者(栽培者及び流通業者の双方)の手に委ねる立場に置かれることになるためである。
【0006】
さらには、従来の農業方法は、多くの場合、多大な労働力を必要とする。その仕事は極めて困難であり、経済的な報酬は非常に不安定である。それゆえ若い世代には、農業は、望ましくない職業選択と見なされる。
【0007】
商業的農業の作業では、必要とされる労力を低減するために、非常に大型の機械が利用される。しかしながら、これらの機械の使用は、非常に危険な場合がある。これらの機械は、一般的にディーゼル駆動であるために、その稼動の際に膨大な汚染を生み出す恐れがある。
【0008】
これらの問題の一部に対する様々な解決策が、屋内クリーンルーム及び屋外環境の双方で試みられている。例えば、農業方法としての水耕法は、ある程度制御された環境を通じて、植物にとって必須な無機栄養素を確実に摂取させることによって、従来の農業よりも高い収穫量を提供することが可能であると喧伝されている。
【0009】
他の方法としては、温室型の環境内で栽培される、様々なタイプの植物の、多重式の棚の使用を挙げることができる。これらの方法では、植物の成長に不可欠な人工光を生成するために、大量のエネルギーが必要とされる。
【0010】
これらの方法はまた、極めて多大な労働力及び資源を必要とする場合もある。例えば、従来の農業技術から生み出される収穫量は、1ヘクタール当たり年間約90トンとすることができる。これらの収穫量を生み出すための費用には、一般値を割り当てることができる。
【0011】
多重式の棚システムからの収穫量は、1ヘクタール当たり年間240トンにも達する場合がある。しかしながら、これらの方法を実施するためには、環境制御、照明などが必要となるため、その費用は、従来の農業に関連する費用の50倍となる恐れがある。
【0012】
したがって、上述の問題のうちの1つ以上に対処するシステム及び方法を開発することが可能であれば、当該技術分野において大きな改善となるであろう。
【発明の概要】
【0013】
本発明の一態様は、植物栽培用の回転垂直ラッキングシステムを提供し、この回転垂直ラッキングシステムは、
フレームと、
前述のフレームに連結された駆動機構と、
前述の駆動機構に連結され、それぞれが少なくとも1つの植物を支持することができる複数のラッキングトレイと、
を備え、
前述の駆動機構は、前述の複数のラッキングトレイを回転させるように構成されている。
【0014】
代替的実施形態では、ラッキングトレイは、回転時に実質的に水平方向に維持することができる。
【0015】
駆動機構は、水力、電力及び太陽エネルギーの少なくとも1つを動力源とすることができる。
【0016】
さらなる実施形態では、駆動機構は、
前述のフレームの一方側に連結され、第1の駆動要素を受容し、駆動するように構成されている第1の複数のスプロケットと、
前述のフレームの反対側に連結され、第2の駆動要素を受容し、駆動するように構成されている第2の複数のスプロケットと、
水力を使用して前述のスプロケットの少なくとも1つを駆動するように構成されている水力駆動輪と、
をさらに備えることができ、
前述の複数のラッキングトレイのそれぞれは、前述の第1の駆動要素及び第2の駆動要素に連結されている。
【0017】
第1の駆動要素及び第2の駆動要素は、第1のローラーチェーン及び第2のローラーチェーンを含み得る。
【0018】
代替的実施形態では、このシステムは、
外部から流れる水を動力源とするように配置されているメイン水車と、
前述のメイン水車の回転を動力源とする発電機と、
前述の発電機に電気的に接続され、高架水槽へと水を送り出すように構成されている水力ポンプと、
をさらに含み得る。
【0019】
この高架水槽は、
前述の水力駆動輪を駆動し、前述の植物に水を与えるための水源を提供することができる。
【0020】
駆動機構は、前述のトレイを所望の速度で回転させるように構成することができる。
【0021】
このシステムはまた、前述の植物が回転する間に、前述の植物に自動的に水を与える手段も含み得る。
【0022】
本発明のさらなる態様は、植物の栽培方法を提供し、この植物の栽培方法は、
フレームと、前述のフレームに連結された駆動機構と、前述の駆動機構に連結され、それぞれが少なくとも1つの植物を支持することができる複数のラッキングトレイと、を備える植物栽培用の回転垂直ラッキングシステムを設ける工程と、
前述の駆動機構を駆動させて前述の複数のラッキングトレイを回転させる工程と、
を含む。
【0023】
代替的実施形態では、この植物の栽培方法は、
前述の植物が回転する間に、前述の植物に自動的に水を与える工程をさらに含み得る。
【0024】
前述の駆動機構の動力源は、水力、電力、及び太陽エネルギーの少なくとも1つによって提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の実施形態は、単に例として以下に記載される説明から、また以下の図面と併せて、当業者には、より良好に理解され、容易に明らかとなるであろう。
図1】本発明の一実施形態による、植物栽培用の回転垂直ラッキングシステムの平面図である。
図2図1に示される「Y」軸に沿ってとった、植物栽培用の回転垂直ラッキングシステムの前方平面図である。
図3図1に示される「X」軸に沿ってとった、植物栽培用の回転垂直ラッキングシステムの一部分の側方平面図である。
図4図2の植物栽培用の回転垂直ラッキングシステムの一部分の拡大前方平面図である。
図5図3の植物栽培用の回転垂直ラッキングシステムの一部分の拡大側方平面図である。
図6図1に示される植物栽培用の回転垂直ラッキングシステムの、点線のボックス「6」として示される一部分の拡大平面図である。
図7図2に示される植物栽培用の回転垂直ラッキングシステムの、点線のボックス「7」として示される一部分の拡大側方平面図である。
図8図1〜7のシステムと共に使用することができる、ラッキングトレイの一実施形態の側面図である。
図8a図8のラッキングトレイの一方の端部の平面図である。
図9図1〜8に示される植物栽培用の回転垂直ラッキングシステムを制御するために使用することができる、コンピュータシステムの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態は、あらゆるタイプの植物を栽培するための、空間及びエネルギー資源の双方の効率的活用を可能にする、回転垂直ラッキングシステム及び植物の栽培方法を提供する。
【0027】
好ましい実施形態では、このシステムは、例えば、河川または水路から流れる水を全ての動力源とする。それゆえ、以下でより詳細に説明されるように、このシステム及び方法の好ましい実施形態は、あらゆる点で「環境に優しい」ものとみなすことができる。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態による、植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム100の平面図を示す。図2は、図1に示される「Y」軸に沿ってとった、植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム100の前方平面図を示す。図3は、図1に示される「X」軸に沿ってとった、植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム100の一部分の側方平面図を示す。図4は、図2の植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム100の一部分の拡大前方平面図を示す。図5は、図3の植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム100の一部分の拡大側方平面図を示す。図6は、図1に示される植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム100の、点線のボックス「6」として示される一部分の拡大平面図を示す。図7は、図2に示される植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム100の、点線のボックス「7」として示される一部分の拡大側方平面図を示す。図8は、図1〜7のシステム100と共に使用することができる、ラッキングトレイ260の一実施形態の側面図を示す。図8aは、図8のラッキングトレイ260の一方の端部の平面図を示す。
【0029】
引き続き図1〜8aを参照すると、システム100は、1つ以上のラックアセンブリ200、及び1つ以上の水力アセンブリ300を含む。ラックアセンブリ200は、支持フレーム210、1つ以上の駆動機構220、及び駆動機構220に連結された複数のラッキングトレイ260を含む。
【0030】
以下でより詳細に説明されるように、複数のラッキングトレイ260のそれぞれは、少なくとも1つの植物を支持するように構成することができる。システム100の例示的実施形態では、各ラックアセンブリは、2つの駆動機構220を含み、それぞれが別個に、複数のラッキングトレイ260を支持する。しかしながら、単一の駆動機構220、または3つ以上の駆動機構220を、単一のラックアセンブリ200内に設けることができる点が理解されよう。
【0031】
システム100は、水路、河川などから流れる水を動力源とするとして、以下で説明されるが、システム100はまた、水力を提供する風力タービン/ポンプのアセンブリを、動力源とすることもできる点が理解されよう。あるいは、太陽光を動力源とするポンプを使用することもできる。
【0032】
それゆえ、これらの実施形態では、システム100は、完全な自立供給型である。外部エネルギー源は必要とされない。他の代替的実施形態では、システム100は、電気を動力源とするか、あるいは水力、風力、太陽光、及び電力の任意の組み合わせを動力源とすることができる。
【0033】
(支持フレーム)
支持フレーム210は、複数の垂直支持体212、及びその垂直支持体212に連結された複数の水平クロスバー214を含み得る。図示の実施形態では、支持フレーム210は、四隅の垂直支持体212、及び4つの垂直支持体216を含む。同様に、図示の実施形態では、支持フレーム210は、4つの下部水平クロスバー214a、4つの中央水平クロスバー214b、及び4つの上部水平クロスバー214cを含む。
【0034】
さらには、この支持フレームは、4つの駆動機構水平クロスバー215、並びにそれらの駆動機構水平クロスバー215及び/または1つ以上の水平クロスバー214に接続することができる、4つの垂直駆動機構支持体219を含む。
【0035】
これらの様々な支持体は、例えば限定するものではないが、様々なタイプの機械的締結具、ブラケット、溶接、ろう付けなどを使用して、一体に接合することができる。チェーンガイド218を、水平クロスバー214a、214b、214c、及び水平クロスバー215の1つ以上に接続して、ローラーチェーン222及びラッキングトレイ260を支持することができる。
【0036】
ラックアセンブリ200のサイズ、及び駆動機構220の数に応じて、支持フレーム210に関する様々な構成を使用することができる点が理解されよう。
【0037】
図示の実施形態では、支持フレーム210は高さ約6.3m×縦横約3.2mである。この実施形態では、ラッキングトレイ260は約3m×約0.3m×約0.075mとすることができる。各ラッキングトレイ260は、植物を受容するように構成されている、1つ以上の区画264を有し得る(例えば図8を参照)。
【0038】
好ましい実施形態では、植物はポリスチレントレイ262の内部に収容することができる。個別のトレイ262に関して、他の材料を使用することもできる点が理解されよう。各ポリスチレントレイ262は、個別の植物を保持するための複数の区画を含んでもよい。
【0039】
しかしながら、以下でより詳細に説明されるように、栽培される植物のタイプ、利用可能な空間などに応じて、支持フレーム210、ラッキングトレイ260、及びポリスチレントレイ262は、任意の所望の寸法/構成(図示の実施形態よりも大きいもの、及び小さいものの双方)を有し得る。
【0040】
支持フレーム210は、ラックアセンブリ200の様々な構成要素の重量を支持することが可能な、任意の材料から作製することができる。例えば、限定するものではないが、支持フレーム210は様々な金属、硬質プラスチック、複合材料、木材などから作製することができる。
【0041】
好ましい実施形態では、四隅の垂直支持体212、及び4つの駆動機構垂直支持体216は、100mm×100mm×厚さ6mmの鋼鉄の正方形中空形材から作製することができる。
【0042】
水平クロスバー214a、214b、214c及び水平クロスバー215は、100mm×50mm×厚さ6mmの、鋼鉄の正方形中空形材から作製することができる。
【0043】
図示の支持フレームの実施形態は、支持フレーム210に関して、実質的な立方構造を提供するが、他の形状を使用することもできる点が理解されよう。例えば、限定するものではないが、支持フレーム210は必要に応じて平行四辺形、台形の形状、あるいは他の形状及び構成とすることができる。
【0044】
図8は、本発明のシステム100と共に使用することができる、ラッキングトレイ260の一実施形態の側面図を示す。図8aは、図8のラッキングトレイ260の一方の端部の平面図を示す。
【0045】
この実施形態では、ラッキングトレイ260は、単一の区画264を含み、この区画264は、複数のトレイ262を受容するための下部プレート269を含み得る。
【0046】
ラッキングトレイ260は、実質的に矩形の形状とすることができるが、他の形状を使用することもできる点が理解されよう。ラッキングトレイ260は、その長い矩形のいずれか上にプレート266を有し得る。プレート266は、穴268を介して、ラッキングトレイ260をローラーチェーン222に接続させる。
【0047】
図8aで最良に示されるように、トレイ支持体275が、穴268を介して、各ラッキングトレイ260の各端部に連結される。ローラーチェーン222を、各トレイ支持体275に連結することができる。補強プレート276を使用することにより、ラッキングトレイ260の重量を支持するための十分な構造的剛性を提供することができる。
【0048】
一部の実施形態では、ラッキングトレイ260はまた、下部プレート269の下方に、1つ以上の支持溝270を含むことにより、植物の重量を支持する際の曲げ剛性も提供することができる。
【0049】
同様に、ラッキングトレイ260は、1つ以上の上部フランジ271を含むことにより、さらなる曲げ剛性を提供することができる。様々な数、タイプ、及びサイズの溝270、並びに様々な構成の上部フランジ271を使用することができる点が理解されよう。同様に、このラッキングトレイは、溝270または上部フランジ271を必要としないような、十分な剛性の材料で構成することができる。
【0050】
好ましい実施形態では、ラッキングトレイ260は、このトレイ及び溝270の一般的形状を形成するように曲げ加工されたアルミニウムから作製することができる。限定するものではないが、木材、プラスチック、他のタイプの金属、及び/または合金を含めた、他の材料も、本発明の範囲から逸脱することなく、使用することができる点が理解されよう。
【0051】
(ラックアセンブリに対する駆動機構)
以下の考察では、支持フレーム210に連結された単一の駆動機構220に焦点を合わせる。しかしながら、この考察は、支持フレーム210に連結することができる駆動機構220のそれぞれに等しく適用されることが理解されよう。
【0052】
同様に、以下の考察は、水を動力源とする駆動機構220に焦点を合わせる。しかしながら、本明細書で提供される教示を前提とすれば、当業者には既知であるような、電気的手段または他の駆動手段を使用する同様の構造を適用して、複数のラッキングトレイ260を駆動することができる点が理解されよう。
【0053】
図7は、図2に示される植物栽培用の回転垂直ラッキングシステム100の、点線のボックス「7」として示される一部分の、拡大側方平面図を示す。図2〜7で最良に示されるように、駆動機構220は、一対のローラーチェーン222を含み得る。各ラッキングトレイ260は、ローラーチェーン222に対して、そのローラーチェーン222間で連結することができる。
【0054】
図示の実施形態では、駆動機構220は、ハブ232を中心として回転する水力駆動輪230(図3)を含む。水力駆動輪230の具体的な機能に関する詳細は、以下に記載される。代替的実施形態では、電動モーター(図示せず)を、水力駆動輪230の代わりに使用することができる。
【0055】
一対の1枚歯スプロケット234a、234bが、ハブ232に連結されている。チェーン236aが、スプロケット234aを、直歯傘歯車237に取り付けられている対応するスプロケット237aに接続する。
【0056】
一方、直歯傘歯車237は、長い中間シャフト239に接続されている。中間シャフト239は、下部直歯傘歯車237bに接続されている。下部直歯傘歯車237bに接続される分離可能クランクハンドル239aにより、水力駆動輪230のバイパス手動制御が可能になる。
【0057】
図7で最良に示されるように、チェーン236bが、スプロケット234aを、減速装置240の入力部に取り付けられている対応するスプロケット240aに接続される。この実施形態では、減速装置240は、上部駆動機構水平クロスバー215に取り付けられている。減速装置240は、駆動スプロケット242aに連結されている駆動チェーン242に連結された出力スプロケット240bを含み、一方、駆動スプロケット242aは、メイン駆動チェーン244aを介して、ローラーチェーン222を駆動するメインチェーンスプロケット244を駆動する。
【0058】
この実施形態では、メインチェーンスプロケット244は、垂直駆動機構支持体219に接続されている。ローラーチェーン222は、さらに上部スプロケット246、及び一対の下部スプロケット248a、248b(図2)の周りに、経路付けされる。
【0059】
上部スプロケット246は、上部水平クロスバー214cに接続することができる。メインチェーンスプロケット244、上部スプロケット246、及び下部スプロケット248a、248bは、ラッキングトレイ260の回転時に、ラッキングトレイ260の十分な離隔距離をもたらすように構成されている。
【0060】
上記の考察は、駆動機構220の一方側に配置される様々な駆動構成要素(メインチェーンスプロケット244、ローラーチェーン222、上部スプロケット246、及び下部スプロケット248a、248b)に焦点を合わせているが、同様の構造を、反対側に設けることができる点が理解されよう。
【0061】
それゆえ、駆動機構220の様々な構成要素は、一体となって、ラッキングトレイ260を回転させるために必要とされる回転エネルギーを提供するように構成されている。
【0062】
それゆえ、各ラッキングトレイ260は、フレーム210の反対側に配置されるローラーチェーン222に接続されている。ラッキングトレイ260の端部プレート266内の穴268を、ラッキングトレイ260の重心よりも上方に、十分な距離で配置することにより、ラッキングトレイ260が360°にわたって回転する際の、ラッキングトレイ260の安定性を提供することができる。
【0063】
好ましい実施形態では、それら各種のスプロケットは、鋼鉄または他の好適な材料から作製される。それら各種のスプロケットは、当業者には既知であるような、様々な直径及び様々な歯数で、サイズ及び構成を決定することができる。しかしながら、駆動機構220の様々な構成要素は、当業者には既知であるような種々の材料から作製することができる点が理解されよう。
【0064】
同様に、その駆動要素は、チェーン222、236a、236b、242、及びチェーン244aとして説明されているが、例えば、限定するものではないが、滑車及びベルトを含めた他の駆動要素も、システム100のサイズに応じて使用することができる点が理解されよう。
【0065】
(水力アセンブリ)
上述のように、図示の実施形態は、外部(図示せず)から流れる水を、全ての動力源とすることができる。この実施形態では、水力アセンブリ300は、水路、河川などのような外部の水源によって回転させられるメイン水車310を含み得る。
【0066】
メイン水車310は、ハブ312上に載置され、このハブ312により、メイン水車310は、自由に回転することが可能になる。一実施形態では、メイン水車310は、発電機330及び/または水力ポンプ340を駆動するように構成することができる。発電機330を使用して、例えば、限定するものではないが、システム100に関する照明を提供することができ、また、システム100を制御するために使用可能なコンピュータ700に電力を提供することができる。
【0067】
水力アセンブリ300はまた、水力駆動輪230を駆動する水源を提供するために、水力駆動輪230よりも高い位置に掲げられている貯水槽350も含み得る。このことは、以下でより詳細に説明される。貯水槽350は、例えば、限定するものではないが、複数の水槽支柱352上に載置することができる。この実施形態では、貯水槽350は、吸水管路342を介して、水力ポンプ340によって充填することができる。代替的実施形態では、商業的水源を使用して、メイン水車310を駆動することができる。
【0068】
図示の実施形態では、水力ポンプ340は、ベルトまたはチェーン344を動力源とすることができる。ベルト/チェーン344は、メイン水車310上のハブ312の一方の端部に連結されたスプロケット316と、水力ポンプ340上の入力ハブ348に接続されたポンプ入力スプロケット346と、に連結されている。
【0069】
メイン水車310が回転すると、チェーン344が、水力ポンプ340上の入力ハブ348を回転させることにより、この水力ポンプ340が、吸水管路342を介して、貯水槽350へと水を送り出す。
【0070】
メイン水車310は、様々な材料から作製することができ、その材料としては、様々なタイプの木材、プラスチック、金属複合材料などが挙げられるがこれらに限定されない。好ましい実施形態では、メイン水車310は、アルミニウムまたは軟鋼から作製することができる。
【0071】
図示の実施形態では、メイン水車は約2mの直径を有する。しかしながら、フレーム210及び駆動機構220に関連して上述されたように、栽培作業の規模に応じて、メイン水車310のサイズ、及びシステム100の他の構成要素のサイズを、必要に応じて拡大縮小することができる点が理解されよう。
【0072】
貯水槽350は、水力駆動輪230に水を提供するように構成され、経路付けされた第1の出口管360を有し得る。好ましい実施形態では、水が水力駆動輪230を通過して、その水力駆動輪230を回転させた後、その水を回収して、返流管362に経路付けすることができる。返流管362は、貯水槽350から延びる第2の出口管364に接続することができる。第2の出口管364の出口366を、メイン水車310の上方に配置して、さらなる駆動力をメイン水車310にもたらすことにより、システム100の効率を向上させることができる。
【0073】
好ましい実施形態では、システム100はまた、返流管362に接続される放水口370も含み、植物の回転時に、その植物に水を提供することができる。あるいは、この放水口は、第1の出口管360に接続することもできる。1つ以上の制御弁を使用して、植物、水車、及びこのシステムの他の部分への、水の流れを制御することができる。
【0074】
(システム運用)
システム100の効率的な運用を提供するために考慮することができる設計考慮事項が、システム100の寸法に応じて様々に存在する。例えば、限定するものではないが、そのような設計考慮事項としては、栽培される植物のタイプ、ラッキングトレイ260間の間隔、ラッキングトレイ260の重量、システム100が設置される特定の場所で利用可能な太陽光の量などを挙げることができる。システム100は、非常に柔軟性が高く、いずれの種類の植物の栽培にも適合可能であるように設計される。
【0075】
図1〜9、及び上記の考察を参照して、システム100の運用の一実施例を、ここで考察する。説明の目的のため、植物の一例としてレタスを用いて、システム100の運用を説明する。しかしながら、必要に応じて、任意のタイプの植物を栽培するように、システム100を適合させることができる点が理解されよう。
【0076】
例えば、限定するものではないが、システム100を使用して、任意のタイプの食物、ハーブ、花などを栽培することができる。さらには、上述のように、この運用の考察は、単一のフレーム210上に載置された単一の駆動アセンブリ220に焦点を合わせるが、システム100は、必要に応じて、複数のフレーム/駆動アセンブリを使用して構成することができる点が理解されよう。
【0077】
大規模な運用では、システム100は、数百個の駆動アセンブリ、または数千個もの駆動アセンブリを含み得る。そのような拡張性のあるシステムの全ては、添付の請求項の範囲内に含まれるものと見なされる。
【0078】
この実施形態では、ラッキングトレイ260は、約3m×約0.3m×約0.075mであり、約0.4mの垂直距離で離隔することができる。このことにより、収穫前のレタスの成長に適応可能であり、かつレタスが十分な光を受けることも可能にする十分な空間が確保される。
【0079】
この構成を使用する場合には、ラッキングトレイ260の重量は、それぞれ、約50kgとすることができる。このタワーの寸法は高さ約6.3m×幅約3.2m×深さ約0.95mである。この構成では、各支持フレーム210は、各駆動機構220によって駆動される、合計28個のラッキングトレイを含み得る。
【0080】
各ラッキングトレイ260は、ポリスチレントレイ262内部に収容することができるレタスを受容するように構成される1つ以上の区画264を有し得る。ポリスチレントレイは、それぞれ、レタスを栽培するための複数の区画262aを有し得る。例えば、限定するものではないが、各ポリスチレントレイ262は、6つの別個の区画を含む場合があり、各ラッキングトレイ260は、ポリスチレントレイ262を受容するための1つ以上の区画264を含み得る。
【0081】
各ラッキングトレイ260は、両端部で、トレイ支持体275を介して、ローラーチェーン222に接続される(図8a)。第1の出口管360からの水が、水力駆動輪230上を通過すると、水力駆動輪が回転することにより、上述の様々なチェーン及びベルトを作動させて、ラッキングトレイ260をゆっくりと回転させる。
【0082】
水の流量は、上述の様々な設計考慮事項に応じて決定することができる。例えば、このシステムは、12時間に3回の完全回転の周期を提供することが所望されるものと想定する。この目標を達成するためには、駆動チェーン222の望ましい回転速度を判定しなければならない。
【0083】
この実施形態では、駆動チェーンは、長さが約12.24mである。各12時間内に、3回の完全回転を提供するためには、1回転を4時間で完了しなければならない。それゆえ、駆動チェーン222の速度は、次式を使用して計算することができる。
【0084】
速度=チェーン長さ(mm)/時間(分)・・・(1)
式1で与えられるチェーン長さ及び時間の値を使用すると、確実に4時間ごとに1回転させるためには、チェーン222は、51mm/分で移動しなければならない。
【0085】
図示のシステム100では、その様々な歯車比及び減速装置240を前提とすると、チェーン222を毎分51mmの速度で移動させるために、水車230が、毎分約24回転で回転する。ラッキングトレイ260の重量及び間隔、並びに所望の回転速度率に応じて、水車230を駆動する水の流れを調整することにより、この回転速度(毎分24回転)を提供することができる。この実施形態では、その流れは毎分約19リットルとなるように調整される。
【0086】
この実施形態では、駆動機構220は、例えば、限定するものではないが、ラッキングトレイ260を推定毎秒1mmで移動させるように構成することができる。
【0087】
システム100の図示の実施形態に関しては、このことは一方で、ラッキングトレイ260の12時間で3回の完全周期/完全回転を結果的にもたらす。このことは、通常の天候条件を想定すると、全てのラッキングトレイ260(及び内部に収容される植物)に、自然太陽光を受ける十分な機会を提供する。
【0088】
代替的実施形態では、システム100を屋内で使用して、人工照明用光源を提供することができる。他の代替的実施形態では、弱光条件が、長期間にわたって存在する場合(すなわち、より高緯度で、1年のうちの一時期の間)に、人工照明用光源を、屋外のシステム100内に提供することができる。
【0089】
システム100の一定期間内の回転数に関しては、様々な範囲を使用することができる点が理解されよう。例えば、限定するものではないが、システム100は、24時間に0.5〜20回転が提供されるように構成することができる。
【0090】
同様に、水の流量、ラッキングトレイ260の重量及び間隔、システム100の様々な寸法、利用可能な太陽光の量などは全て、ユーザーによって必要に応じて変更することができる。
【0091】
上術のように、この実施形態では、単一の支持フレーム210は、4.5m2(3m×1.5m)の推定土地面積を占める。レタスの栽培で説明される支持フレーム210に関する収穫量の結果は、年12,000個と推定される。
【0092】
背景技術の欄で考察されたような従来の農業技術では、同じ面積に関して、年300個の推定収穫量が提供されるのみである。それゆえ、その収穫量は40倍も増加している。背景技術の欄で考察されたシステムの観点からは、本システムに関する収穫量は、1ヘクタール当たり年間1000〜4000トンの範囲とすることができる。
【0093】
さらには、システム100は、水力で動作するように構成されているため、このシステムが使用するのは、従来の農業を実行するために必要とされる資源の5分の1である。それゆえ、システム100は、背景技術の欄で考察されたトレイシステムの250倍の効率である。
【0094】
システム100のサイズは、栽培される植物のタイプに応じて、調整することができる点が理解されよう。それゆえ、支持フレーム210の高さ及び幅、ラッキングトレイ260間の距離、特定のシステム100内で使用される支持フレーム210の数などは全て、必要に応じて調整することができる。
【0095】
同様に、歯車装置、水車のサイズなどもまた、必要に応じて調整することができる。好ましい実施形態では、システム100は、植物に提供される太陽光の量を最大にするために、その長手面が東/西の方向に向くように方向付けることができる。
【0096】
好ましい実施形態では、システム100は、コンピュータを使用して制御することができる。様々なアルゴリズムを実装して、例えば、限定するものではないが、ラッキングトレイ260の回転速度、栽培される植物に提供される水の量などを制御することができる。
【0097】
例えば、システム100内にセンサーを設けて、チェーン222の速度を測定することができる。コンピュータ制御弁を利用して、水車230への水流量を調整することにより、所望のチェーン速度を提供することができる。
【0098】
それゆえ、上記の説明の一部分は、コンピュータメモリ内のデータに対する演算の、アルゴリズム及び関数的表現若しくは記号的表現の観点から、明示的または暗示的に提示される。これらのアルゴリズム的記述、及び関数的表現若しくは記号的表現は、データ処理分野の当業者が、その作業内容を、他の当業者に最も効率的に伝達するために使用する手段である。
【0099】
アルゴリズムは、本明細書では、また一般的には、所望の結果を導き出す諸工程の自己無撞着シーケンスであると考えられる。それらの工程は、記憶、転送、結合、比較、及び他の方法で操作することが可能な、電気信号、磁気信号、または光信号などの物理量の物理的操作が必要とされる工程である。
【0100】
他に具体的に指示されない限り、また以下から明らかとなるように、本明細書の全体を通じて、「走査」、「計算」、「判定」、「置換」、「生成」、「初期化」、「出力」などのような用語を用いる考察は、コンピュータシステム若しくは同様の電子装置の動作及び処理を指し、それらは、コンピュータシステム内の物理量として表されるデータを、そのコンピュータシステム、または他の情報記憶装置、伝送装置、若しくは表示装置内の同様に物理量として表される他のデータへと、操作及び変換することが理解されるであろう。
【0101】
本明細書はまた、この方法の運用を実行するための装置も開示する。そのような装置は、必要とされる目的のために特別に構成することができ、あるいは、コンピュータ内に記憶されたコンピュータプログラムによって、選択的に起動若しくは再構成される汎用コンピュータまたは他の装置を備える場合もある。
【0102】
本明細書で提示されるアルゴリズム及びディスプレイは、いずれの特定のコンピュータまたは他の装置にも、固有に関連するものではない。様々な汎用機器を、本明細書の教示によるプログラムと共に使用することができる。あるいは、必要とされる方法工程を実行するための、より特化された装置を構築することが適切な場合もある。従来の汎用コンピュータの構造が以下の説明により示される。
【0103】
さらには、本明細書で説明される方法の個別工程は、コンピュータコードによって実行可能であることが、当業者には明らかであるという点で、本明細書はまた、コンピュータプログラムも暗黙的に開示する。
【0104】
このコンピュータプログラムは、いずれの特定のプログラム言語及びその実装にも限定されるものではない。様々なプログラミング言語及びそのコーディングを使用して、本明細書に含まれる本開示の教示を実施することができる点が理解されよう。
【0105】
さらには、このコンピュータプログラムは、いずれの特定の制御フローにも限定されるものではない。本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、種々の制御フローを使用することができるこのコンピュータプログラムの他の多くの変異型が存在する。
【0106】
さらには、このコンピュータプログラムの1つ以上の工程は、順次的にではなく、並列的に実行することができる。そのようなコンピュータプログラムは、任意のコンピュータ可読媒体上に記憶させることができる。コンピュータ可読媒体としては、磁気ディスク若しくは光ディスク、メモリチップなどの記憶装置、または汎用コンピュータとのインターフェースに関して好適な他の記憶装置を挙げることができる。
【0107】
コンピュータ可読媒体としてはまた、インターネットシステムなどで例示されるような結線媒体、またはGSM携帯電話システムなどで例示されるような無線媒体を挙げることができる。このコンピュータプログラムが、そのような汎用コンピュータ上に読み込まれ、実行される場合、この好ましい方法の工程を実施する装置が効率的にもたらされる。
【0108】
本発明はまた、ハードウェアモジュールとしても実装することができる。より具体的には、ハードウェアの意味では、モジュールは、他の構成要素または他のモジュールと共に使用するために設計される機能ハードウェアユニットである。
【0109】
例えば、モジュールは、個別の電子構成要素を使用して実装することができ、またはモジュールは、特定用途向け集積回路(ASIC)などの電子回路全体の一部分を形成することもできる。他の数多くの可能性が存在する。
【0110】
このシステムはまた、ハードウェアモジュールとソフトウェアモジュールとの組み合わせとして実装することもできる点が、当業者には理解されるであろう。
【0111】
例示的実施形態の方法及びシステムは、図9に概略的に示されるコンピュータシステム700上で実装することができる。この方法及びシステムは、コンピュータシステム700内で実行されて、コンピュータシステム700に、例示的実施形態の方法を遂行するように命令するコンピュータプログラムなどのソフトウェアとして実装することができる。
【0112】
コンピュータシステム700は、コンピュータモジュール702、キーボード704及びマウス706などの入力モジュール、並びにディスプレイ708及びプリンター710などの複数の出力装置を含み得る。
【0113】
コンピュータモジュール702は、好適なトランシーバ装置714を介して、コンピュータネットワーク712に接続され、例えば、インターネットへのアクセス、または構内通信網(LAN)若しくは広域通信網(WAN)などの他のネットワークシステムへのアクセスを可能にすることができる。
【0114】
この実施例でのコンピュータモジュール702は、プロセッサ718、ランダムアクセスメモリ(RAM)720、及び読み取り専用メモリ(ROM)722を含む。コンピュータモジュール702はまた、多数の入力/出力(I/O)インターフェース、例えば、ディスプレイ708へのI/Oインターフェース724、及びキーボード704へのI/Oインターフェース726を含む。コンピュータモジュール702の構成要素は、典型的には、相互接続バス728を介して当業者には既知の方式で通信する。
【0115】
CD−ROMまたはフラッシュメモリキャリアなどのデータ記憶媒体にエンコードされ、データ記憶装置730の、対応するデータ記憶媒体ドライブを利用して読み取られるアプリケーションプログラムを、コンピュータシステム700のユーザーに供給することができる。
【0116】
このアプリケーションプログラムは、プロセッサ718によって読み取られ、その実行を制御される。プログラムデータの中間記憶は、RAM720を使用して達成することができる。
【0117】
上術のような本発明の実施形態は、従来技術に勝るいくつかの利点を提供する。成長及び受光のための十分な空間を間に備えて、垂直方式で積み重ねられるラッキングトレイは、従来の農業方法を使用する同様のサイズの土地に比べて、収穫量を劇的に向上させる。
【0118】
このラッキングトレイは、例えば、限定するものではないが、アルミニウムから作製することができ、このアルミニウムは、再利用可能であり、このシステム内の、環境に優しい構想の主要概念を強化する。一実施形態では、6063アルミニウムを使用することができる。しかしながら、限定するものではないが、木材、プラスチック、複合材料、金属、及び合金を含めた、様々なタイプの材料を使用することができる点が理解されよう。
【0119】
このシステムは、適応性があり、かつ柔軟性も高い。トレイ間の高さの差異は、種々の植物/作物/野菜に適合するように、調整することができる。ラッキングトレイの深さもまた、より深いか、またはより広い間隔を必要とする他の植物のために、容易に仕様を変更することができる。植物に対する給水もまた、最適な成長パターンが保証されるように、制御することができる。
【0120】
人工照明を使用して、天候のいかなる予期せぬ変化(すなわち、野菜/植物/作物にとって、自然太陽光が得難く貴重な、曇天または雨天の日)も相殺することができる。同様に、フレームのサイズは、具体的な用途に応じて調整することができる。例えば、非常に大型のフレーム(高さ10m以上)を、商業的用途で使用することができ、その一方で、住宅のバルコニー環境には、1mのフレームを提供することができる。
【0121】
説明されるような本発明の実施形態はまた、システム全体での「環境に優しい」動力の取り込みも提供する。水を使用して、このシステムを駆動することによって、いずれの所望の植物を生産する際にも、商用電力を消費する必要がない。それゆえ、このシステムは無公害性であり、また作物収穫量の観点からも非常に効率的である。
【0122】
本発明の実施形態を、本明細書で説明されるように使用することによって、高品質な野菜及び/または他の生産物の一定供給を提供するための十分な照明、適切な水の供給、効率的な土壌組成などが確保されるように、農業環境を管理及び制御することができる。
【0123】
従来の農作業の方法と比較して、本実施形態は、植物の栽培に近代的な工場生産の概念を導入する。本実施形態は、収穫量及び生産性の大幅な改善を提供し、管理に必要とされる作業者の数を低減する。本実施形態は、基本的な自給農業が、通常、ほぼ例外なく、いずれかの都市のどこか遠方の郊外で行われるという古い考えとは対照的に、ほとんど場所を選ばずに行われることを可能にする。
【0124】
本実施形態は、その概念が、従来の農業よりも遙かに小さい土地に基づくものであるため、農耕可能な土地が世界からなくなりつつあるという緊急問題に対する解決策を提供する。
【0125】
本実施形態はまた、この異常なまでにインターネットが支配的である時代に、教育を目的とする構造化された訪問プログラムを通じて、若い世代の自然との触れ合いを、手ほどき/奨励するための好ましい手段としても役立つ。
【0126】
保守管理が容易であるため、本実施形態は、住宅、ビル、及び/または他の構造物内に組み入れることができる。これらの場所で、本実施形態を使用して、例えば、多種多様な花を栽培することができ、これまでの一般的な田園都市の概念を全く新しい水準へと導くことができる。本実施形態はまた「環境に優しい」メッセージを推進するものであるため、都市再開発に関して補完性の高い手段も提供する。
【0127】
広範に説明される本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、数多くの変更及び/または修正を、具体的な実施形態に示される本発明に対して実施することができる点が、当業者には理解されるであろう。したがって、本実施形態は、あらゆる点で例示的なものであり、限定的ではないものと見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図8a
図9