特許第5913421号(P5913421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5913421
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブル
(51)【国際特許分類】
   G21C 3/326 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   G21C3/32 N
   G21C3/32 G
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-84728(P2014-84728)
(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公開番号】特開2015-125144(P2015-125144A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2014年4月24日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0163426
(32)【優先日】2013年12月26日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0031399
(32)【優先日】2014年3月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592127149
【氏名又は名称】韓国科学技術院
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(73)【特許権者】
【識別番号】506102765
【氏名又は名称】韓国電力技術株式会社
【氏名又は名称原語表記】KEPCO ENGINEERING & CONSTRUCTION COMPANY,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンエ
(72)【発明者】
【氏名】ユ ワンイル
(72)【発明者】
【氏名】モハド シュクリ ビン ヤーヤ
(72)【発明者】
【氏名】リ カンウォン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヨンジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン インホ
(72)【発明者】
【氏名】ベ インホ
【審査官】 青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−237390(JP,A)
【文献】 特開昭62−063891(JP,A)
【文献】 特開昭58−137788(JP,A)
【文献】 特開2001−215290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 3/326
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核燃料棒とともに正方格子をなすように配置されて燃料集合体を構成し、炉心の反応度の制御のために設けられる制御棒の上下移動をガイドする制御棒案内シンブルであって、
前記正方格子において、相互に直交する2方向の格子線が交差する格子点のそれぞれに、前記核燃料棒または前記制御棒案内シンブルの中心が配置され、前記制御棒案内シンブルを頂点の1つとし、前記2方向の格子線に沿って隣接する格子点の間隔を1辺の長さとして4方向に設定される4つの正方形のそれぞれにおいて、該制御棒案内シンブルが配置された以外の3つの頂点には前記核燃料棒が配置されて、該3つの頂点に配置された3本の核燃料棒がL字形に並んでおり、
前記制御棒案内シンブルは可燃性吸収体を含
前記制御棒案内シンブルの内側面は制御棒をガイドするように円形の形状を有し
前記制御棒案内シンブルの外側面は前記可燃性吸収体が設けられる空間を確保した4個のコーナー部を有し
前記燃料集合体において前記制御棒案内シンブルと前記核燃料棒とに占められていない領域として形成される冷却水が通過するようにする空間において、前記制御棒案内シンブルの任意の1本が配置された格子点および該制御棒案内シンブルを頂点の1つとする前記4つの正方形のそれぞれにおいて3本の核燃料棒が前記L字形に配置された3つの格子点までの距離が等しくなっている点を中心とし、該1本の制御棒案内シンブルおよび該3本の核燃料棒を内包し、他の制御棒案内シンブルおよび核燃料棒を内包しない円内の領域を、前記格子に平行な方向である上下左右に4個の領域に分け、該3本の核燃料棒に隣接した第1の領域〜第3の領域と制御棒案内シンブルに隣接した第4の領域に区分したときに
前記制御棒案内シンブルの外側面の前記4個のコーナー部のそれぞれは、前記制御棒案内シンブルを頂点の1つとして4方向に設定された前記4つの正方形のそれぞれに対応して設定される前記第4の領域に配置され、前記外周面における該それぞれのコーナー部以外の部位よりも、前記制御棒案内シンブルの中心から該それぞれの正方形の対角に向かう方向に突出した形状を有することを特徴とする制御棒案内シンブル。
【請求項2】
前記可燃性吸収体は、前記制御棒案内シンブルに固定される方式で装填されるか、装填および除去ができるように脱付着型に設けられることを特徴とする、請求項に記載の制御棒案内シンブル。
【請求項3】
前記可燃性吸収体は、ホウ素(B)、ガドリニウム(Gd)、エルビウム(Er)、カドミウム(Cd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)のうちいずれか1つを用いるか、これらの物質を混用して用いることを特徴とする、請求項に記載の制御棒案内シンブル。
【請求項4】
前記可燃性吸収体は、制御棒案内シンブルと合金形式で装填されることを特徴とする、請求項に記載の制御棒案内シンブル。
【請求項5】
前記可燃性吸収体は、制御棒案内シンブルに微粉末形状に分散して用いられることを特徴とする、請求項に記載の制御棒案内シンブル。
【請求項6】
前記可燃性吸収体は、制御棒案内シンブルの内側面または外側面に層(layer)の形態で設けられることを特徴とする、請求項に記載の制御棒案内シンブル。
【請求項7】
前記可燃性吸収体層を保護するための金属保護層がさらに設けられることを特徴とする、請求項に記載の制御棒案内シンブル。
【請求項8】
前記可燃性吸収体は非均質的に分布することを特徴とする、請求項に記載の制御棒案内シンブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御棒案内シンブルに関し、より詳しくは、炉心の反応度および出力分布を制御する可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルに関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉は核燃料の核分裂を利用してエネルギーを得る炉であり、前記原子炉内においては核分裂時に放出される中性子がまた他の核分裂を引き起こす連鎖反応によってエネルギーが得られる。この時、原子炉をより安全で経済的に運転するために炉心の反応度および原子炉の出力分布を適切に制御する必要がある。軽水(HO)を冷却材として用いる加圧式軽水炉(Pressurized Water Reactor)の場合、炉心の反応度の制御のための主な手段として冷却材に中性子吸収物質であるホウ素(Boron)を均一に混合して用いており、また、反応度および出力分布の制御の補助的な手段として可燃性吸収体(Burnable Absorber)を用いている。それのみならず、加圧式軽水炉においては、原子炉内部の核分裂反応に参加する中性子の密度および反応度を制御するために中性子吸収物質からなる制御棒(Control Rods)も用いられている。
【0003】
制御棒を用いた炉心の反応度の制御は、中性子吸収物質からなる制御棒を炉心の上段から挿入して炉心の中性子を吸収することにより、炉心において核燃料の核分裂を抑制する方式で行われる。制御棒による炉心の反応度の制御は、冷却水に含まれた中性子吸収物質であるホウ素の濃度を調節する方式に比べて、制御棒の挿入や引き出し速度が速いので炉心の反応度を迅速に制御できるという長所がある。しかし、一般的に、制御棒は炉心に局部的に挿入されるため、制御棒だけでは炉心の反応度および出力分布を同時に成功的に制御し難いという問題点がある。このような理由により、加圧式軽水炉の場合、正常な運転中の炉心の反応度の制御は、冷却材に含まれたホウ素の濃度調節を通じて大半が行われる。一方、原子炉内部の出力分布をより平坦にし、ホウ酸水を用いて制御するための反応度の大きさを低減するために、様々な種類の可燃性吸収体が核燃料集合体に用いられている。
【0004】
一般的に、可燃性吸収体は強い中性子吸収物質として作用するが、一旦中性子を吸収して他の核種に変換されれば、中性子吸収断面積が大幅に減少する特性を有する。代表的な可燃性吸収体として、ガドリニウム(Gadolinium、Gd)、エルビウム(Erbium、Er)、ホウ素(Boron、B)などが用いられる。加圧式軽水炉においては、一般的に、ガドリニウム(Gd)とエルビウム(Er)は、GdおよびErの形態でUO核燃料と適切に混合して用いられる。一方、前記希土類可燃性吸収体のうちエルビウムは残存毒作用が比較的に大きいという問題点があるためにそれほど用いられないが、周期の長さが非常に長い炉心の場合、比較的に効率的な可燃性吸収体として用いられることができる。ガドリニウムの場合は残存毒作用が少ないために可燃性吸収体としてよく用いられるが、ガドリニウムを核燃料と混合する場合に核燃料の熱伝導度が減少し、ガドリニウムが混合された核燃料は一般的に出力密度が非常に低く設計されるという短所がある。したがって、現在のようにガドリニウムを用いる場合に多量のガドリニウムを用いることができない。また、現在のように核燃料とGdを混合する場合、ガドリニウムの燃焼が非常に速いので炉心の周期の長さが長い場合は適用し難い。
【0005】
ホウ素の場合、ZrBを非常に薄めにUO燃料棒に被覆して用いる、いわゆるIFBA(Integrated Fuel Burnable Absorber)と呼ばれる概念としてよく用いられる。また、ホウ素の場合、BCのようなホウ素化合物を特殊な形状に製作して制御棒案内シンブルの内部に装填する方式で用いられたりもし、代表的な概念としてWABA(Wet Annular Burnable Absorber)が挙げられる。ホウ素の場合、中性子を吸収すればヘリウムガスが生成されるため、核燃料と混合して用い難いため、IFBAのような方式で用いられたり、WABAのように案内シンブルに装填する方式が用いられる。ホウ素の場合、中性子吸収断面積が比較的に少ないため、IFBA形態で用いる場合に相対的に遥かに多くの数の燃料棒にIFBAを装填しなければならない。また、WABAのように制御棒案内シンブルに可燃性吸収体を装填すれば、制御棒の挿入を制限する問題点を引き起こし、WABAの場合に可燃性吸収体の使用は制限的である。したがって、上述したように様々な種類の可燃性吸収体が核燃料集合体に用いられているが、その使用において相当に制限的に用いられていることが分かる。
【0006】
冷却水に含まれているホウ素の濃度を調節して炉心の反応度を制御する場合、ホウ素が原子炉の冷却材に均一に混合し用いられるため、炉心の出力分布歪みを最小化しつつ反応度を制御できるという長所がある。しかし、冷却材にホウ素の注入と希釈に多くの時間が必要となるため、炉心の反応度を迅速に制御する必要がある場合は、ホウ酸を用いた炉心の反応度の制御を使用できないという問題があり、また、ホウ素を用いた炉心の反応度の制御の場合、ホウ素の濃度を下げる過程は多量の放射性の液体廃棄物を生じさせるという問題もある。一方、一次冷却材系の水溶性ホウ素の濃度を制御するためには、「化学体積制御系(CVCS)」という高価で複雑な装置が要求される。また、酸性を帯びているホウ素を含む冷却水(ホウ酸水)は、原子炉の一次冷却材系をなす構造材および核燃料被覆管などの腐食を誘発して原子炉の運転性能を低下させる結果を招くと知られている。それのみならず、冷却材内部のホウ素の濃度が非常に高い場合、冷却材の温度係数がゼロ(Zero)に非常に近いか正数になり、このような正の冷却材温度係数は安全性の観点で好ましくないため、これを解決することは加圧式軽水炉の安全性に関連した懸案の1つである。
【0007】
従来のホウ酸水を用いた炉心の反応度の制御は、上述したような様々な問題点のため、可燃性吸収体をより多く積極的に活用してホウ素の使用を低減しようとする努力が続いており、究極的には加圧式軽水炉においてホウ酸水自体を除去しようとする研究も行われている。原子炉において冷却材に含まれるホウ素を大幅に低減するかまたは完全に除去できるのであれば、ホウ素関連の様々な問題点を大幅に緩和または除去してより経済的で安全な原子炉の運転が可能になり得る。しかし、冷却材に含まれるホウ素の量を減らしつつ炉心の反応度および出力分布を成功的に制御するためには可燃性吸収体に対する依存度がより増加するべきであり、この場合、原子炉の性能は可燃性吸収体の性能に大きく左右されるため、上述したような可燃性吸収体の短所を補完できる技術が要求される。
【0008】
したがって、本発明の出願人は、より効果的に炉心の反応度および出力分布を制御できる新概念の可燃性吸収体の概念を講じるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国公開特許公報第2010−0040189号(2010.02.18.公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の実施形態は、上述したようなホウ酸水および従来の可燃性吸収体と関連した様々な問題を解消するために、原子炉の炉心の反応度および出力分布の制御に効果的に用いることができる可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルを提供しようとする。
【0011】
また、前記制御棒案内シンブルに含まれる可燃性吸収体は装填および除去ができるように設計されることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面によれば、炉心の反応度の制御のために設けられる制御棒の上下移動をガイドする制御棒案内シンブルであって、前記制御棒案内シンブルは可燃性吸収体を含んで形成される可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルが提供される。
【0013】
前記制御棒案内シンブルの内側面は制御棒をガイドするように円形に形成し、外側面は可燃性吸収体が設けられるように拡張して形成することができる。前記制御棒案内シンブルは、可燃性吸収体が設けられる4個のコーナー部を有するように外側面が拡張して形成されることができる。
【0014】
また、前記制御棒案内シンブルと周辺に設けられる核燃料棒との間に形成される冷却水が通過するようにする空間を図2に示すように上下左右4個の領域に分け、核燃料棒に隣接した1領域、2領域、3領域と制御棒案内シンブルに隣接した4領域に形成するが、前記制御棒案内シンブルの外側面は前記4領域までに拡張して設置することができる。
【0015】
また、前記可燃性吸収体は前記制御棒案内シンブルの拡張されたコーナー領域に設けられる。前記制御棒案内シンブルの拡張領域に取り付けられる可燃性吸収体は、必要な場合、核燃料の再装填周期ごとに交替できるように設けられることができる。
【0016】
また、前記制御棒案内シンブルの内面に薄いコーティング(Coating)あるいは層(Layer)の形態で可燃性吸収体が装填されることができ、制御棒案内シンブルの内部は依然として制御棒の駆動のために用いられることができる。この場合、可燃性吸収体層の保護のために可燃性吸収体層の外部には金属保護層がさらに設けられることができる。このように制御棒案内シンブルの内部に装填される可燃性吸収体は必要な場合に燃料の再装填期間に交替できるように設けられることができる。
【0017】
また、前記制御棒案内シンブルは直接可燃性吸収体を含むように製造されることもできる。すなわち、可燃性吸収体と合金形式で制御棒案内シンブルを製造することもでき、粉末形式の可燃性吸収体を制御棒案内シンブルの内部に分散させる方法で可燃性吸収体を装填することもできる。勿論、この場合、可燃性吸収体の再装填のためには制御棒案内シンブルそのものを交換する概念が必要である。
【0018】
前記可燃性吸収体は、ホウ素、ガドリニウム、エルビウム、カドミウム(Cd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)など、従来の可燃性吸収体として用いられる物質のうちいずれか1つで形成することができる。前記可燃性吸収体は適切な形式の化学的組成を有することができる。例えば、ホウ素はBC、Gd、Erなどのように炭化物あるいは酸化物も必要に応じて用いられることができる。また、前記可燃性吸収体は、ホウ素、ガドリニウム、エルビウム、カドミウム、サマリウムなどの組み合わせ形式で用いられることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施形態による可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルを備える原子炉は、固有の方式でより効果的な炉心の反応度および出力分布の制御を可能にする。
【0020】
また、本発明による可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルは、核燃料と完全に分離して独立に製作されるため、製作過程が単純であり、安価であり、核燃料の性能に悪影響を及ぼすことなく、核燃料棒領域に核燃料装填量を最大化することができる。
【0021】
また、本発明による可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルは、制御棒の駆動を妨害しないように可燃性吸収体が制御棒案内シンブルの内面に取り付けられ、可燃性吸収体の脱/付着ができるようにことができ、その結果、ホウ酸水を用いることなく非常に効果的に炉心の反応度と出力分布の制御を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1a】従来技術による核燃料集合体を図示する。
図1b】従来技術による核燃料集合体を図示する。
図2a図1aに示されたA部分を拡大した図である。
図2b図1bに示されたB部分を拡大した図である。
図3a】本発明の一実施形態による可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルが設けられた核燃料集合体を図示する。
図3b】本発明の一実施形態による可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルが設けられた核燃料集合体を図示する。
図4】本発明の一実施形態による可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルを図示する。
図5】本発明の他の実施形態による可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルを図示する。
図6】本発明のまた他の実施形態による可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルを図示する。
図7】本発明のまた他の実施形態による可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルを図示する。
図8】本発明の一実施形態による可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルを用いた核燃料集合体の燃焼に応じた反応度の変化実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参考に本発明の一実施形態による可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルを説明する。本発明により新たに開発された可燃性吸収体の概念はBigT(Burnable absorber−Integrated Guide Thimble)と称する。なお、下記に添付される図面は本発明による様々な実施形態の一部を示すだけのものであって、円滑な説明のために実際より拡大して示しており、本発明の技術的な特徴がこれに限定されるものではない。
【0024】
加圧式軽水炉の核燃料集合体は制御棒案内シンブルの設計に従って大きく2種類に区分することができ、一般的な2種類の核燃料集合体の概念を図1aと図1bに示す。図1aおよび図1bは、多数の核燃料棒10と、前記核燃料棒10の間に設けられ、炉心の反応度を制御するために設けられる制御棒の上下運動をガイドするようにする従来の一般的な制御棒案内シンブル20,20’を含む核燃料集合体を図示する。図1aに示された核燃料集合体は核燃料棒10より若干大きい多数の制御棒案内シンブル20が用いられる概念であり、図1bに示された核燃料集合体は核燃料棒10より遥かに大きい少数の制御棒案内シンブル20’が用いられる核燃料集合体の概念である。前記図面において、多数の核燃料棒10と制御棒案内シンブル20,20’との間の空間は冷却水30が流れるように形成される空間である。従来の一般的な核燃料集合体は、炉心の反応度の制御および核燃料集合体内部の出力分布の制御のために、従来技術において、上述したように従来の可燃性吸収体を核燃料領域および制御棒案内シンブル20,20’の内部に装填する方式を採択している。また、既に記述したように、冷却水30に含まれるホウ素の濃度は原子炉の運転中に徐々に調節される。
【0025】
しかし、本発明の従来技術で説明したように、現在用いられている様々な可燃性吸収体の場合、核燃料の性能に良くない影響を及ぼし得るし、または、制御棒の挿入を妨害し得るという問題がある。特に、冷却材と混合して用いるホウ素による色々な問題点を緩和するためには可燃性吸収体をより多く用いる必要性が増加しているが、上述したような問題のため、効果的に可燃性吸収体を増加させることが難しいという問題がある。また、ホウ酸水を完全に除去した未来型加圧式軽水炉の炉心の開発のためには、装着と除去が可能でありつつも制御棒の駆動に影響を与えない非常に高性能の可燃性吸収体の概念が要求される。
【0026】
本発明の出願人は、上述したような問題を制御棒案内シンブル20,20’の簡単な構成の変化を通じて解決できるようにしており、より詳しくは、制御棒をガイドするように設けられる制御棒案内シンブル20,20’自体に追加の可燃性吸収体を設けるようにすることにより、上述したような技術的な目的を達成できるようにする。このような技術的な目的を達成するためには、何よりも前記制御棒案内シンブル20,20’自体に追加的に可燃性吸収体が設けられる空間を形成する必要があり、このような空間を確保するためには、前記制御棒案内シンブル20,20’の形状をより大きくあるいは厚く変更する必要がある。しかし、図1aおよび1bに示すように、前記制御棒案内シンブル20,20’とその周辺に設けられる多数の核燃料棒10との間の空間は冷却水30が流れるように形成される空間であるということから、前記制御棒案内シンブル20,20’の形状を大きくすることは前記冷却水30が流れる空間と直接な関連があることが分かる。また、可燃性吸収体の設置のために制御棒案内シンブル20,20’をより厚くして内部直径を減少させることは制御棒の設計を相当変更しなければならないという問題を引き起こす。
【0027】
本発明の出願人は、従来の核燃料集合体および制御棒の設計に及ぼす影響を最小化し、且つ、可燃性吸収体を制御棒案内シンブルに装填するために次のような方式の制御棒案内シンブルの設計変更を発明した。図2aおよび図2bに示す図面のように、制御棒案内シンブル20,20’とその周辺に設けられる多数の核燃料棒10との間に形成される冷却水30が流れる空間を上下左右4個の領域に分ける場合、前記核燃料棒10に隣接する1領域〜3領域31,32,33の冷却水30は前記核燃料棒10に直接な影響を及ぼす反面、制御棒案内シンブル20,20’に隣接する4領域34,34’に沿って流れる冷却水30は前記核燃料棒10に大きい影響は及ぼさない。したがって、本発明の出願人は、前記4領域34,34’の一部を含むように制御棒案内シンブル20,20’の形状を拡張することにより、前記制御棒案内シンブル20,20’に追加の可燃性吸収体を設置できる空間を確保可能であるということを確認した。
【0028】
図3aおよび図3bには本発明の一実施形態による可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルを備える核燃料集合体が示されており、図4には可燃性吸収体を含む制御棒案内シンブルが示されており、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。図面に示すように、本発明は、制御棒案内シンブル200,200’内に可燃性吸収体500を追加的に設けたことを技術的な特徴とする。前記制御棒案内シンブル200,200’は従来の制御棒をガイドするようにするための機能を有するということから、内側面210は従来の制御棒をガイドするための形状の通りに円形に形成され、外側面220は前記制御棒案内シンブル200,200’内に可燃性吸収体500が設けられるように外部に拡張して形成されることができる。より詳しくは、前記制御棒案内シンブル200,200’は、4個のコーナー部230に可燃性吸収体500が挿入される可燃性吸収体挿入空間250を各々形成し、前記可燃性吸収体挿入空間250内に可燃性吸収体500を各々挿入できるようにする。また、前記4個のコーナー部230は、図2a、図2bに示すように、前記制御棒案内シンブル200,200’と周辺の核燃料棒100との間に形成される冷却水300が流れる空間を上下左右4個の領域に分け、核燃料棒100に隣接した1領域〜3領域と制御棒案内シンブル200に隣接した4領域に区分する場合、前記4個のコーナー部230は前記4領域までに拡張できるようにする。すなわち、本発明は、従来の核燃料集合体を構成する核燃料棒100と冷却水300および制御棒の機能をそのまま維持しつつ、核燃料棒100から生成される熱の除去に大きい役割を果たせない余剰空間を積極的に活用し、炉心内に追加的に可燃性吸収体を挿入できるようにした技術を特徴とする。
【0029】
一方、図4に示された制御棒案内シンブル200は、前記4個のコーナー部230に各々パッド(Pad)形状の可燃性吸収体500を設けることができる。しかし、前記可燃性吸収体500の形状および大きさは一定の形状に限定されることなく、必要とする様々な形状および適切な大きさで設けることができる。一例として、図5には本発明の他の実施形態による制御棒案内シンブル200が示されており、前記図面に示すように、4個のコーナー部230の各々に形成される可燃性吸収体挿入空間250’内に棒(Rod)形状の可燃性吸収体500’を設けることもできる。すなわち、本発明の実施形態による可燃性吸収体500,500’を含む制御棒案内シンブル200,200’は、形状の変更を通じて得ることができる追加の空間である4個のコーナー部230に炉心の反応度の制御および出力分布の制御をより効果的にするために要求される可燃性吸収体500,500’を追加的に設けることを可能にする。一方、本発明の実施形態による制御棒案内シンブル200,200’は外側面220を長方形の形状に形成しているが、本発明の技術的特徴はそれに限定されず、図6に示すように4個のコーナー部230だけを拡張した形態に形成することもできる。すなわち、前記4個のコーナー部230以外の部分は冷却水の流れを妨害しない適切な形状に形成することができる。上記で説明した実施形態は、制御棒案内シンブルの内部に可燃性吸収体を装填する概念を示しているが、本発明の技術的な特徴はこれに限定されない。
【0030】
図7には、本発明のまた他の実施形態の1つとして、制御棒案内シンブル200’’の内側面に可燃性吸収体500’’が別途の可燃性吸収体層600に装填される概念を示す。制御棒案内シンブル200’’の内部の大半を占めて装填される従来の可燃性吸収体とは異なり、本発明の実施形態においては、可燃性吸収体500’’が制御棒案内シンブル200’’内に装填可能であり、且つ、制御棒が駆動できるように非常に薄い可燃性吸収体層600が制御棒案内シンブル200’’の内側面に沿って装填され、その外部に薄い金属保護層700を設計して制御棒の駆動時に可燃性吸収体層600を保護できるようにする。図7において、可燃性吸収体層600は100%の可燃性吸収体500’’で構成されても良く、可燃性吸収体500’’を含む物質で構成されても良い。このように薄層形式で可燃性吸収体500’’を制御棒案内シンブル200’’の内側面に装填することによって制御棒の挿入および引き出しを可能にし、且つ、制御棒案内シンブル200’’の内側面に可燃性吸収体500’’を装填できるようにする。
【0031】
図7に示すように、制御棒案内シンブル200’’の内側面に層形式で可燃性吸収体500’’を装填しても制御棒の円滑な駆動のために制御棒の直径を若干減少させる必要性はあるが、既存の関連設計から大きな変更は要求されない。このように制御棒案内シンブル200’’の内側面に可燃性吸収体500’’の装填および除去ができるようにするためには、図7の可燃性吸収体層600と制御棒案内シンブル200’’の内側面との間には若干の空間が必要である。しかし、交替しない固定式可燃性吸収体500’’の場合は、制御棒案内シンブル200’’の内側面と可燃性吸収体層600との間に追加の空間が必要なく、物理的に接触する形式で構成されることができる。必要によっては、このような層形式の可燃性吸収体500’’を制御棒案内シンブル200’’の外部表面に適用することもできる。図7のように薄層形式の可燃性吸収体500’’を制御棒案内シンブル200’’の内側面に取り付ける場合、制御棒の反応度の減少に及ぼす影響は前述した本発明の他の実施形態と大きな差はなく、これは可燃性吸収体層600が非常に薄く形成されるためである。
【0032】
上述したように、本発明による可燃性吸収体500,500’,500’’を含む制御棒案内シンブル200,200’,200’’を備える炉心は、核燃料の性能に影響を与えることなく追加の可燃性吸収体の装填方式を提供し、炉心の反応度の制御および出力分布の制御をより効果的に行うことができる。特に、本発明による可燃性吸収体500,500’,500’’は前記制御棒案内シンブル200,200’,200’’内に装填および除去を可能にすることができる。勿論、既に燃焼した可燃性吸収体の除去および装填は図6のように制御棒案内シンブル200の内部に可燃性吸収体500を装填する場合にも可能である。この場合、既に用いられたBigT概念の可燃性吸収体500,500’,500’’を除去し、新しい可燃性吸収体500,500’,500’’を既に燃焼した核燃料集合体にも装填して可燃性吸収体500,500’,500’’の使用を極大化することができる。
【0033】
本発明の一実施形態として、前記可燃性吸収体500,500’,500’’は、前記制御棒案内シンブル200,200’,200’’に炉心の核燃料再装填周期ごとに交替を行うこともできる。したがって、本発明による可燃性吸収体500,500’,500’’を含む制御棒案内シンブル200,200’,200’’を備える炉心は、従来の可燃性吸収体およびホウ酸が混合された冷却水300による炉心反応度の制御に追加して、制御棒案内シンブル200内に設けられる可燃性吸収体500,500’,500’’を介した炉心の反応度の制御が可能であるということから、原子炉の反応度および出力分布の制御を従来より遥かに容易にすることができる。
【0034】
図8には本発明の一実施形態による可燃性吸収体が含まれた制御棒案内シンブルを図3aに示された多数の制御棒案内シンブル200が用いられた核燃料集合体の概念に適用した結果を示す。本数値分析においては、典型的な加圧式軽水炉の炉心特性を考慮し、周期長さが510日である炉心を仮定した。図8には2種類のBigT概念のガドリニウム可燃性吸収体の結果を示しており、’Pad’は図4で説明したパッド(Pad)形状のガドリニウムが用いられた場合であり、他の1つは図5で説明した棒(Rod)形状の金属ガドリニウムが適用された結果である。前記数値分析において、棒形状のガドリニウム可燃性吸収体の半径は0.48mmであり、パッド形状のガドリニウム可燃性吸収体の厚さおよび幅は各々0.68mmと〜1.17mmである。
【0035】
図8に示すように、非常に少ないBigT概念のガドリニウム可燃性吸収体を用いて約10,000pcm程度の大きい余剰反応度を初期に抑制することができ、510日後に残っているガドリニウムの残存毒作用は約1,000pcm以下として比較的に少ないことが分かる。図8の結果から分かるように、BigT概念の場合、可燃性吸収体の形状に応じて反応度変化の特性が異なることが分かり、これは、同一の可燃性吸収体を用いる場合にも可燃性吸収体の形状に応じて、いわゆる自己遮蔽現象(Selfshielding)程度が異なるためである。したがって、本発明によるBigT可燃性吸収体の形態の最適化を通じて反応度の制御特性を改善することができる。
【0036】
本発明で提案するBigT概念の可燃性吸収体は、制御棒案内シンブルに直接に取り付けられるので制御棒の反応度価値を大幅に減少させる恐れがある。図8に示された結果に用いられた核燃料集合体モデルについて、一般的なBC中性子吸収体を活用する制御棒の反応度価値を下記表1に示す。また、表1には前記図8に用いられた核燃料集合体において核燃料の燃焼に応じた尖頭出力の変化も提示する。
【0037】
【表1】
【0038】
*effective full power day
【0039】
表1に示すように、本発明による棒形状およびパッド形状のBigT可燃性吸収体の全てにおいて、制御棒価値は40,000pcmを遥かに上回り、BigT概念の可燃性吸収体を用いても非常に高い制御棒価値を達成できることが分かる。このように制御棒案内シンブル200,200’に直接に強い可燃性吸収体500,500’を装填したにもかかわらず、非常に高い制御棒価値を達成できる理由は、可燃性吸収体500,500’が変形された制御棒案内シンブル200,200’の頂点近所にのみ装填されるためである。
【0040】
一方、表1に示すように、本発明による強いBigT可燃性吸収体が装填された状態で核燃料集合体内部の尖頭出力は周期初の最大条件で約1.08程度であり、核燃料が燃焼するに伴って順次減少して510日後には約1.05程度に減少するが、このような大きさの尖頭出力は実際炉心設計の尖頭出力と類似する。表1の尖頭出力に用いられる核燃料集合体の場合、ウラニウムの濃縮度は全ての燃料棒100において4.5%として一定である。実際核燃料集合体の場合、尖頭出力を低減するために若干低いウラニウム濃縮度を一部領域に用いることができる。したがって、本発明によるBigT概念においても、尖頭出力の発生領域に若干低い濃縮度を適用すれば、尖頭出力はより低くなることができる。
【0041】
一方、本発明の実施形態に用いられる可燃性吸収体500,500’,500’’は中性子吸収断面積が非常に大きい物質であり、中性子を吸収して中性子吸収断面積が小さい物質に変換される物質である。このような可燃性吸収体500,500’,500’’は原子炉に挿入され、原子炉の運転中に中性子を吸収して燃焼するようにすることにより、原子炉の反応度を調節することを可能にする。本発明の実施形態に用いられる可燃性吸収体500,500’,500’’は、ホウ素、ガドリニウム、エルビウム、カドミウム、サマリウム、ユーロピウムなど、従来の可燃性吸収体として用いられる物質のうちいずれか1つで形成することができる。また、前記可燃性吸収体は、ホウ素、ガドリニウム、エルビウム、カドミウム、サマリウム、ユーロピウムなどを適切な化学的組成で混合して最適に用いることもできる。
【0042】
また、本発明のまた他の実施形態として、前記可燃性吸収体を拡張された制御棒案内シンブル200,200’,200’’領域の内部に分散して装填するか、ガドリニウム、エルビウムのような金属性物質を制御棒案内シンブル200,200’,200’’材料と合金形式で用いることもできる。また、本発明で提案しているBigT概念の可燃性吸収体の軸方向の構成は一般的であると言える。すなわち、軸方向に可燃性吸収体は核燃料が存在する活性領域の全体をカバーするか、上下部の一部領域には可燃性吸収体を装填しない領域を考慮することもできる。
【0043】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当技術分野で通常の知識を有した者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱いない範囲内で構成要素の付加、変更、削除または追加などによって本発明を様々に修正および変更することができ、これもまた本発明の権利範囲内に含まれると言える。
【符号の説明】
【0044】
100 ・・・核燃料棒
200,200’,200’’ ・・・制御棒案内シンブル
300 ・・・冷却水
500,500’,500’’ ・・・可燃性吸収体
600 ・・・可燃性吸収体層
700 ・・・金属保護層
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8