特許第5913423号(P5913423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5913423
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/91 20060101AFI20160414BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20160414BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   A61K8/91
   A61K8/02
   A61Q19/00
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-90071(P2014-90071)
(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2014-237628(P2014-237628A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2015年2月3日
(31)【優先権主張番号】特願2013-99994(P2013-99994)
(32)【優先日】2013年5月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】銭谷 幸雄
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−290811(JP,A)
【文献】 特開2011−256154(JP,A)
【文献】 特開2000−143547(JP,A)
【文献】 特開昭51−125468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/91
A61K 8/02
A61Q 19/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多糖類(A)と、(メタ)アクリル酸(B1)及び架橋剤(B2)とを構成単位とする吸水性樹脂からなる樹脂粒子(C)を含有する化粧料であって、
前記吸水性樹脂を構成する(B1)の中和度が60〜80モル%であって、(C)が水不溶性であり、(C)の純水に対する吸水量が300〜1000g/gであり、(C)の体積平均粒子径が1〜50μmであり、化粧料の性状がクリーム状又はゲル状である化粧料。
【請求項2】
樹脂粒子(C)の体積平均粒子径が5〜12μmである請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
(メタ)アクリル酸(B1)の重量に対して、架橋剤(B2)の割合が、0.05〜1重量%である請求項1または2記載の化粧料。
【請求項4】
多糖類がデンプンである請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料。
【請求項5】
樹脂粒子(C)が、デンプンに(メタ)アクリル酸(B1)及び架橋剤(B2)をグラフト重合することにより、前記(B1)及び前記(B2)とが結合されてなる吸水性樹脂からなる樹脂粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の化粧料。
【請求項6】
樹脂粒子(C)の含有量が化粧料の重量を基準として0.1〜3重量%である請求項1〜5のいずれかに記載の化粧料。
【請求項7】
純水中に樹脂粒子(C)を1.0重量%分散させた吸水膨潤体の下記測定条件における粘度(25℃)が10〜60Pa・sである請求項1〜6のいずれかに記載の化粧料。
[粘度測定条件]
B型粘度計、4号ローター、12rpm
試験液:純水(電気伝導率1.0μS/cm以下)
【請求項8】
純水中に樹脂粒子(C)を1.0重量%分散させた吸水膨潤体の下記測定条件における光沢度が60〜130である請求項1〜7のいずれかに記載の化粧料。
[光沢度測定条件]
光沢計、入射角=反射角=60°
【請求項9】
多糖類(A)と、(メタ)アクリル酸(B1)及び架橋剤(B2)とがラジカル重合開始剤(B3)の存在下に水溶液重合して得られる吸水性樹脂からなる樹脂粒子(C)を含有する化粧料であって、
前記吸水性樹脂を構成する(B1)の中和度が60〜80モル%であって、(C)が水不溶性であり、(C)の純水に対する吸水量が300〜1000g/gであり、(C)の体積平均粒子径が1〜50μmであり、化粧料の性状がクリーム状又はゲル状である化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料(スキンケア用途等)においては、顔や首等の皮膚に塗布したときの伸び状態や、塗布したときのべたつきのないなめらかな感触、ツヤ、保湿性が重要であり、商品価値に大きく影響する。スキンケア用途の化粧料としては、従来、カルボキシビニルポリマー等を使用した化粧料が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−209156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のカルボキシビニルポリマー等を使用した化粧料は、皮膚に塗布したときの伸びやべたつきのないなめらかな感触及びツヤが十分でなく、必ずしも満足できるものではない。
そこで、本発明は、皮膚への塗布時の伸び、べたつきのないなめらかな感触及びツヤに優れた化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の吸水性樹脂を含む化粧料が、皮膚への塗布時の伸び、べたつきのないなめらかな感触及びツヤに優れていることを見出した。すなわち、本発明の化粧料は、多糖類(A)と、(メタ)アクリル酸(B1)及び架橋剤(B2)とがラジカル重合開始剤(B3)の存在下に水溶液重合して得られる吸水性樹脂からなる樹脂粒子(C)を含有する化粧料であって、(C)が水不溶性であり、(C)の純水に対する吸水量が300〜1000g/gであり、(C)の体積平均粒子径が1〜50μmであり、化粧料の性状がクリーム状又はゲル状である化粧料である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の化粧料は、塗布時の伸び、べたつきのないなめらかな感触及びツヤに優れた化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の化粧料は、多糖類(A)と、(メタ)アクリル酸(B1)及び架橋剤(B2)とがラジカル重合開始剤(B3)の存在下に水溶液重合して得られる吸水性樹脂からなる樹脂粒子(C)を含有する化粧料であって、(C)が水不溶性であり、(C)の純水に対する吸水量が300〜1000g/gであり、(C)の体積平均粒子径が1〜50μmであり、化粧料の性状がクリーム状又はゲル状である化粧料である。
【0008】
本発明に用いられる樹脂粒子(C)は、多糖類(A)と、(メタ)アクリル酸(B1)及び架橋剤(B2)とがラジカル重合開始剤(B3)の存在下に水溶液重合して得られる吸水性樹脂からなる樹脂粒子である。
【0009】
本発明において多糖類(A)としては、ガラクトマンナン、カルボキシルメチルデンプン、カルボキシルメチルセルロース、カルボキシルエチルセルロース、グルコマンナン、デンプン、キサンタンガム、プルラン、デキストラン、カードラン、カラギーナン、アラビアゴム及びキトサン等が挙げられる。
(A)として、化粧料の塗布時の伸び及びべたつきのないなめらかな感触の化粧料とする観点から、好ましくはデンプンである。
【0010】
デンプンについてさらに説明する。デンプンには、生デンプン及び加工デンプンが含まれる。
生デンプンは、サツマイモデンプン、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、コメデンプン及びタピオカデンプン等が挙げられる。
【0011】
加工デンプンは、上記生デンプンに化学処理を施したものであり、アセチル化デンプン、オクテニルコハク酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、酢酸デンプン、酸化デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン等が挙げられる。
【0012】
デンプンは水と加熱することによりデンプン分子の規則性を失い、糊状のα化デンプンなる。このα化処理をしてから使用することが好ましい。α化において、熱処理の温度は、デンプンの種類によって異なるが、べたつきのないなめらかな感触の化粧料とする観点から、40〜100℃が好ましい。
【0013】
デンプンの中でも化粧料の塗布時の伸び及びべたつきのないなめらかな感触の化粧料とする観点から、酸化デンプンが好ましく、さらに好ましくはα化処理した酸化デンプンである。
【0014】
吸水性樹脂を構成する多糖類(A)の割合は、化粧料の塗布時の伸び及びべたつきのないなめらかな感触の化粧料とする観点から、(メタ)アクリル酸(B1)100重量部に対して、多糖類(A)が5〜500重量部であることが好ましく、さらに好ましくは8〜300重量部で、さらに好ましくは10〜200である。5重量部より多いことで、べたつきのないなめらかな感触の化粧料を得ることができる。また、500重量部より少なくすることで、吸水性樹脂の吸水量が適度となり、化粧料の塗布時の伸びがよくなる。
【0015】
本発明において(メタ)アクリル酸(B1)とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
吸水性樹脂を構成する(メタ)アクリル酸(B1)において、一部又は全部のカルボキシル基は中和剤で中和されていてもよい。なお、カルボキシル基が中和剤で中和されていてもよいとは「・・・酸」及び/又は「・・・酸塩」を意味する。
中和剤としては、カリウム、ナトリウム及びリチウム等のアルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩(炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウム等)、カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、オニウムカチオンの水酸化物並びにオニウムカチオンの炭酸塩{1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウムモノメチル炭酸塩等}等が含まれる。
これらの中和剤のうち、吸水量及び化粧料塗布時の伸びの観点から、アルカリ金属の水酸化物が好ましい。
【0016】
本発明において架橋剤(B2)とは、少なくとも2個の重合性二重結合を有しカルボキシル基との反応性を有する官能基を有さない架橋剤(b1)、少なくとも1個の重合性二重結合と少なくとも1個のカルボキシル基との反応を有する官能基とを有する架橋剤(b2)並びに重合性二重結合を有さず少なくとも2個のカルボキシル基と反応性を有する官能基を有する架橋剤(b3)が挙げられる。
【0017】
重合性二重結合としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、ビニルエステル基、アリルエーテル基及びビニルエーテル基等が挙げられる。
カルボキシル基との反応性を有する官能基とは、カルボキシル基と反応してエステル結合やアミド結合を形成する官能基が含まれ、水酸基、エポキシ基及びアミノ基等が挙げられる。
【0018】
(b1)としては、少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するもの(b11)、少なくとも2個のビニルエーテル基を有するもの(b12)及び少なくとも2個のアリルエーテル基を有するもの(b13)が含まれる。これらの(b1)は単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
【0019】
(b11)としては、炭素数(以下Cと略記することがある)4〜80、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(以下TMPと略記することがある)トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(以下PEと略記することがある)テトラ(メタ)アクリレートおよびポリグリセリン(以下GRと略記することがある)(重合度3〜13)ポリ(メタ)アクリレート等の、分子内に2〜10(好ましくは2〜3)個の(メタ)アクリロイル基を有する共重合性のものが挙げられる。
【0020】
(b12)としては、C6〜100、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオール(以下BDと略記することがある)ジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオール(以下HDと略記することがある)ジビニルエーテル、ポリエチレングリコール(以下PEGと略記)ジビニルエーテル(重合度2〜5)、ビスフェノールAジビニルエーテル、およびポリGR(重合度3〜13)ポリビニルエーテル等の、分子内に2〜10(好ましくは2〜3)個のビニルエーテル基を有する共重合性のものが挙げられる。
【0021】
(b13)としては、分子内にアリルエーテル基を2個有するもの(b131)、分子内にアリルエーテル基を3〜10個有するもの(b132)等が挙げられる。
(b131)としては、C6以上かつMn(数平均分子量)4,000以下、例えばジアリルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアリルエーテル、アルキレン(C2〜5)グリコールジアリルエーテル、およびPEG(Mn100〜4,000)ジアリルエーテル等が挙げられる。
(b132)としては、TMPトリアリルエーテル、GRトリアリルエーテル、PEテトラアリルエーテルおよびテトラアリルオキシエタン等が挙げられる。
【0022】
(b1)としては、化粧料の塗布時の伸び及びべたつきのないなめらかな感触の化粧料とする観点から、N,N−メチレンビスアクリルアミド及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0023】
(b2)としては、特開平1−103615号公報及び特開2000−26510号公報等に記載されているものが使用でき、非イオン性基を有するもの(b21)およびカチオン性基を有するもの(b22)等が挙げられる。これらの(b2)は単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
【0024】
(b21)としては、分子内にアリルエーテル基を1個以上有しかつ水酸基を1〜5個有するもの(b211)、分子内にアリルエーテル基を3〜10個有しかつ水酸基を1〜3個有するもの(b212)、分子内に(メタ)アクリロイル基を1個以上有しかつ水酸基を1個以上有するもの(b213)、及び分子内に(メタ)アクリロイル基を1個以上有しかつエポキシ基を1個以上有するもの(b214)等が挙げられる。
【0025】
(b211)としては、C8〜40のものが含まれ、例えばGRジアリルエーテル、TMPジアリルエーテル、PEジアリルエーテル、ポリGR(重合度2〜5)ジアリルエーテル等が挙げられる。
(b212)としては、C9〜100のものが含まれ、例えばPEトリアリルエーテル、ジGRトリアリルエーテル、ソルビトール(以下SOと略記することがある)トリアリルエーテル、ポリGR(重合度3〜13)ポリアリルエーテル等が挙げられる。
(b213)としては、C4〜10のものが含まれ、例えばN−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(b214)としては、C6〜20のものが含まれ、例えばグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
(b22)としては、C7〜20のものが含まれ、例えば第4級アンモニウム塩を有するもの[N,N,N−トリメチル−N−(メタ)アクリロイロキシエチルアンモニウム塩(炭酸塩、カルボン酸塩等)、N,N,N−トリエチル−N−(メタ)アクリロイロキシエチルアンモニウム塩(炭酸塩、カルボン酸塩等)等]、第3級アミノ基を有するもの[(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等]等が挙げられる。
【0027】
架橋剤(b2)としては、化粧料の塗布時の伸び及びべたつきのないなめらかな感触の化粧料とする観点から、PEトリアリルエーテル及びSOトリアリルエーテルが好ましい。
【0028】
(b3)としては、特開平1−103615号公報及び特開2000−26510号公報等に記載されているものが使用できる。
(b3)としては、例えば、多価(2〜10またはそれ以上)グリシジル化合物(b31)、多価(2〜3またはそれ以上)イソシアネート(b32)、多価(2〜10またはそれ以上)アミン(b33)および多価(2〜10またはそれ以上)アルコール(b34)が挙げられる。これらの(b3)は単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
【0029】
(b31)としては、C4以上かつMn4,000以下のものが含まれ、例えば、EGジグリシジルエーテル、GRジグリシジルエーテル、SOポリグリシジルエーテル、PEG(Mn100〜4,000)ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(以下PPGと略記)(Mn100〜4,000)ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0030】
(b32)としては、C(NCO基中の炭素を除く)2〜12のものが含まれ、例えば脂肪族ポリイソシアネート(以下PIと略記)[C2〜12、例えばエチレンジイソシアネート(ジイソシアネートは以下DIと略記)、ヘキサメチレンDI(HDI)等]、脂環含有PI[C4〜15、例えばイソホロンDI(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンDI(HMDI)等]、芳香脂肪族PI[C8〜12、例えばキシリレンジイソシアネート(XDI)等]、芳香族PI[2,4−および/または2,6−トリレンDI(TDI)、4,4’−及び/又は2,4’−ジフェニルメタンDI(MDI)等]等が挙げられる。
【0031】
多価アミン(b33)としては、C2〜20のものが含まれ、例えばエチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びテトラエチレンペンタミンが挙げられる。
【0032】
多価アルコール(b34)としては、C3〜100のものが含まれ、例えばポリ(重合度2〜50)アルキレン(C2〜4)グリコール、PG、GR、SO、ジエチレングリコール、TEG、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジPG、1,4−BD、1,5−ペンタンジオール及び1,6−HD等が挙げられる。
【0033】
(b3)としては、化粧料の塗布時の伸び及びべたつきのないなめらかな感触の化粧料とする観点から、エチレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
【0034】
架橋剤(B2)としては、化粧料の塗布時の伸び及びべたつきのないなめらかな感触の化粧料を得る観点から、(b1)及び(b2)が好ましい。
これらの架橋剤(B2)は単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
【0035】
吸水性樹脂を構成する架橋剤(B2)の割合は、化粧料の塗布時の伸び及びべたつきのないなめらかな感触の化粧料を得る観点から、(メタ)アクリル酸(B1)の重量に対して、0.05〜1重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.8重量%である。
【0036】
吸水性樹脂の一般的な重合方法として、水溶液重合と逆相懸濁重合がある。本発明において、吸水性樹脂は水溶液重合で得られるものであり、水以外の有機溶剤を使用しないため、吸水性樹脂中には有機溶剤を含有しないので、化粧料のように肌に直接接触するような用途には好ましい。
一方、逆相懸濁重合は特開2012−241000に記載のように重合時にn−ヘキサンのような石油系炭化水素分散媒が必須であり、重合後に脱溶剤工程があるものの、吸水性樹脂中に残存溶剤が含まれるため本用途には好ましくない。
【0037】
本発明においてラジカル重合開始剤(B3)としては、特許文献(特開2002−282627号公報)に記載の重合開始剤を用いることができ、例えば、アゾ化合物[アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等]、レドックス開始剤[アルカリ金属塩の亜硫酸塩又は重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム及びL−アスコルビン酸等の還元剤と、アルカリ金属塩の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム及び過酸化水素水等の過酸化物との組み合わせ]等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0038】
重合温度は使用する開始剤(B3)の種類等によっても異なるが、重合度の観点から、好ましくは−10℃〜100℃、さらに好ましくは−10℃〜80℃である。
開始剤(B3)の使用量は、特に限定はないが、(メタ)アクリル酸(B1)の重量に対して、重合度の観点から、0.000001〜3.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.000001〜0.5重量%である。
【0039】
重合時の(メタ)アクリル酸(B1)の中和度は、重合度の観点から、0〜30モル%で重合をおこない、必要により重合後に更に中和するのが好ましい。(メタ)アクリル酸を中和する場合、上記中和剤を混合して中和物を得る。
【0040】
水溶液重合により得た架橋重合体は水を含むゲル(含水ゲル)として得られる。含水ゲルは、必要により中和及び破断した上で、乾燥、粉砕した後に吸水性樹脂として使用することができる。
含水ゲルの中和を行う場合には、架橋重合体の含水ゲルに上記中和剤を混合して、含水ゲルの中和物を得る。この工程で得られる含水ゲルの中和度は、含水ゲルの粘着性及び吸水性樹脂の人体の皮膚に対する安全性の観点から、含水ゲル中のカルボキシル基の60〜80モル%が好ましく、さらに好ましくは65〜78モル%である。
【0041】
含水ゲルの上記中和剤との中和及び破断を行う場合は、従来この工程で用いられているカッター刃を備えた縦切り型スリッター、カッター刃を備えた横切り型スリッター、回転刃を備えたカッター式の砕断機、所定の口径の目皿と回転刃を備えたミートチョッパー等が使用できる。
混合する際の温度としては、従来この工程で行われる範囲でよく、好ましくは10〜80℃である。また、混合するシア(剪断)も、従来公知の方法でよく、機器の回転数は、好ましくは20〜100rpmである。
【0042】
含水ゲルの乾燥方法に関しては、含水ゲルをミートチョッパーやカッター式の粗砕機でゲルをある程度細分化(細分化のレベルは0.5〜20mm角程度)あるいはヌードル化し、必要により水酸化アルカリ金属等を添加して含水ゲルの中和を行った後、透気乾燥(パンチングメタルやシクリーン上に含水ゲルを積層し、強制的に50〜200℃の熱風を通気させて乾燥する等)や通気乾燥(含水ゲルを容器中に入れ、熱風を通気・循環させ乾燥、ロータリーキルンの様な機械で更にゲルを細分化しながら乾燥する)や接触乾燥(ドラムドライヤー上に含水ゲルを圧縮延伸して乾燥する等)等の方法がある。
乾燥温度としては、使用する乾燥機や乾燥時間等により種々異なるが、好ましくは、50〜180℃、より好ましくは80〜150℃である。乾燥温度が180℃以下であると乾燥時の熱によりポリマーが架橋しにくく、熱架橋により架橋度が上がりすぎることがなく、吸収量が低下しない。50℃以上であると乾燥に長時間を要さず効率的である。
乾燥時間に関しても、使用する乾燥機の機種及び乾燥温度等により異なるが、樹脂粒子の含水率及び変色の観点から、好ましくは5〜300分、より好ましくは5〜120分である。
【0043】
本発明において、含水ゲルの砕断時及び乾燥時の含水ゲル同士の付着及び混合装置、乾燥機への含水ゲルの付着を防ぐ目的で、必要により離型剤を混合してもよい。
離型剤としては、無機粉末[炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化チタン等]、天然物由来の粉末[小麦粉、デンプン、カルボキシメチルセルロース等]、合成高分子若しくは合成樹脂の粉末[ポリビニルアクコール、シリコン樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレン等]、アニオン性界面活性剤[ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル燐酸ナトリウム等]、非イオン性界面活性剤[1:1型椰子油脂肪酸ジエタノールアミド、モノステアリン酸グリセリン、ノニルフェノールポリオキシエチレン等]、カチオン性界面活性剤[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等]、両性活性剤[椰子油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等]、高分子活性剤[カチオン化セルロース、ポリエチレングリコール等]、シリコン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤等を例示できる。
離型剤の添加料量は、離型剤が粉末状の場合は、含水ゲルに対して0〜30重量%が好ましい。
【0044】
得られた吸水性樹脂は必要により公知の表面架橋反応を適用することができる。つまり、カルボキシル基及び/又はカルボン酸塩と反応しうる基を少なくとも2個有する化合物でさらに後架橋せしめることができる。
【0045】
本発明における樹脂粒子(C)は、上記吸水性樹脂からなり、体積平均粒子径が1〜50μmの樹脂粒子である。樹脂粒子(C)は、上記吸水性樹脂を粉砕したものであっても良い。
粉砕方法は、通常の方法でよく、例えば、衝撃粉砕機(ピンミル、カッターミル、スキレルミル及びACMパルペライザー等)や空気粉砕機(ジェット粉砕機等)等で行うことができる。
樹脂粒子(C)の体積平均粒子径は、1〜50μmであるが、ツヤに優れる化粧料を得る観点から、好ましくは5〜12μmである。1μmより小さいと吸湿性が大きくなり取扱いが難しく、水への分散性が悪い。50μmより大きいと吸水ゲルのなめらかな感触が得られなく、またツヤが悪くなる。
【0046】
樹脂粒子(C)の純水に対する吸水量は、300〜1000g/gが好ましく、さらに好ましくは400〜600g/gである。300g/g以上であると吸水ゲルがやわらかくなめらかな感触が得られるので好ましい。1000g/g以下であると吸水ゲルが適度な硬さとなり塗布したときに流れにくくなるので好ましい。
【0047】
化粧料における樹脂粒子(C)の含有量は、化粧料の重量を基準として、0.1〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1重量%である。0.1重量%以上であることで、なめらかな感触が得られる。3重量%以下であることで、塗布性が良好となる。
【0048】
純水中に樹脂粒子(C)を1.0重量%分散させたときの吸水膨潤体の粘度(25℃)[B型粘度計、4号ローター、12rpm]は10〜60Pa・sが好ましい。
10Pa・s以上であることで塗布性が良好であるので好ましい。60Pa・s以下であることで攪拌したときの脱泡性が良く作業性が良いので好ましい。
なお、純水とは、電気伝導率1.0μS/cm以下の水である。
【0049】
純水中に樹脂粒子(C)を1.0重量%分散させたときの吸水膨潤体の光沢度(入射角=反射角=60°)は60〜130が好ましい。
該光沢度は60〜130であることでツヤが良くなり美的効果が得られ好ましい。光沢度はさらに100〜130がより好ましい。
【0050】
本発明の化粧料には、上記樹脂粒子(C)以外に、水、油剤成分、界面活性剤、水混和性有機溶剤、増粘剤、無機粉体、酸、アルカリ及び糖等を含んでも良い。
【0051】
本発明の化粧料において、水の含有量は、塗布時の伸びやなめらかな感触の観点から、40〜85重量%が好ましく、さらに好ましくは50〜70重量%である。
【0052】
油剤成分としては、オイル・ワックス類、炭化水素類、高級脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類を挙げることができる。
オイル・ワックス類としては、アーモンド油、オリーブ油、硬化油、ツバキ油、ヒマシ油、ヤシ油、シリコーン油、ミツロウ、ラノリン、カルナウバロウ、等が挙げられる。
【0053】
炭化水素油としては、直鎖状又は分岐状の炭化水素油が含まれ、具体的には、スクワラン、セレシン、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン等が挙げられる。
【0054】
高級脂肪酸類としては、炭素数12〜30の脂肪酸が含まれ、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0055】
高級アルコールとしては、炭素数6〜30のアルコールが含まれ、具体的には、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。
【0056】
エステル類としては、炭素数3〜100のエステル油が含まれ、具体的には、ステアリン酸ブチル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、モノステアリン酸グリセリン、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン等が挙げられる。
【0057】
本発明の化粧料において、油剤成分の含有量は、なめらかな感触の観点から、5〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは8〜25重量%である。
【0058】
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が含まれる。
【0059】
ノニオン性界面活性剤としては、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)[オレイルアルコールエチレンオキサイド11モル付加物等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)グリコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)及びジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=30)等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノラウリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール及びモノラウリン酸ソルビタン等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル(ポリ)アルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜8,重合度=1〜100)[ソルビタンモノラウレートエチレンオキサイド(重合度=10)付加物及びメチルグルコースジオレエートエチレンオキサイド(重合度=50)付加物等]、脂肪酸N−ヒドロキシアルキルアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド及び1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、アルキル(炭素数1〜22)(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)フェニルエーテル、アルキル(炭素数8〜24)(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)−アミノアルキル(炭素数8〜24)−エーテル及びアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
【0060】
アニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜24のアルキルエーテルカルボン酸又はその塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレンエーテルカルボン酸又はその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキル硫酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレン硫酸エステル塩[ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)硫酸ナトリウム及びラウリル(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)硫酸−トリエタノールアミン塩等]、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸スルホン酸ナトリウム、炭素数8〜24のアルキルフェニルスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキルリン酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレンリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
【0061】
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]及びアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]等が挙げられる。
【0062】
両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
【0063】
本発明の化粧料において、界面活性剤の含有量は、なめらかな感触の観点から、0〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは2〜5重量%である。
【0064】
水混和性有機溶剤としては、具体的には、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等が挙げられる。
本発明の化粧料において、水混和性有機溶剤の含有量は、なめらかな感触の観点から、0〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜10重量%である。
【0065】
増粘剤としては、グアガム、デンプン、カルボキシメチルセルロース、セチルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の化粧料において、増粘剤の含有量は、ハンドリングの観点から、0〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜1.0重量%である。
【0066】
無機粉体としては、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、雲母、ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、アルミナ、シリカ及びシリル化シリカ等が挙げられる。
本発明の化粧料において、無機粉体の含有量は、なめらかな感触の観点から、0〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜15重量%である。
【0067】
酸としては、クエン酸、酒石酸、乳酸、リン酸等が挙げられる。
本発明の化粧料において、酸の含有量は、なめらかな感触の観点から、0〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜2重量%である。
【0068】
アルカリとしては、アルカリ金属(ナトリウム及びカリウム等)又はアルカリ土類金属(カルシウム等)の水酸化物、アンモニア水、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等が挙げられる。
本発明の化粧料において、アルカリの含有量は、肌への刺激低減の観点から、0〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜2重量%である。
【0069】
糖としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、乳糖、マルトース、キシロース及びトレハロース等が挙げられる。
本発明の化粧料において、糖の含有量は、なめらかな感触の観点から、0〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜2重量%である。
【0070】
本発明の化粧料は、上記以外に、通常の化粧料に使用される成分{最新化粧品科学(薬事日報社発行)に記載の色素、香料、ホルモン類、ビタミン類、感光素、植物・動物抽出成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、防腐・殺菌剤、制汗・消臭剤等}等を添加することができる。
本発明の化粧料において、上記成分の含有量は、なめらかな感触の観点から、0〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜5重量%である。
【0071】
本発明の化粧料は、上記樹脂粒子(C)を含有する化粧料であって、化粧料の性状がクリーム状又はゲル状である化粧料である。
化粧料がクリーム状又はゲル状とは、化粧料の粘度(25℃)[B型粘度計、4号ローター、12rpm]が5〜100Pa・sであるものが含まれる。
化粧料の粘度(25℃)は、塗布時の伸びやなめらかな感触の観点から、10〜60Pa・sが好ましい。
【0072】
本発明の化粧料は、上記樹脂粒子(C)とその他の成分とを上記割合で混合することにより得られる。
混合する温度は、なめらかな感触の観点から、20〜90℃が好ましく、さらに好ましくは30〜80℃である。
【0073】
混合の方法については特に限定はなく、化粧料を作成する際の通常の方法を用いることができる。
一例としては、下記工程1〜3により乳化する方法が挙げられる。
工程1:水相(水、界面活性剤、水混和性有機溶剤、増粘剤、酸、アルカリ及び糖等)を調整後、30〜80℃に加熱、攪拌し、その中に樹脂粒子(C)を徐々に投入し均一に分散させる工程。
工程2:油相(油剤成分、無機粉体及び界面活性剤等)を調整後、30〜80℃に加熱、攪拌する工程。
工程3:作成した油相を水相に攪拌しながら加えて乳化させる工程。なお、攪拌機はホモジナイザー等を使用できる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%、純水は電気伝導率1.0μS/cm以下の水を示す。
以下の各実施例及び比較例において、各物性測定方法及び評価の基準は次の通りである。
【0075】
[吸水量]
250メッシュナイロンネット製、サイズ10×20cm、ヒートシール幅5mmのティーバッグ状袋と、純水を準備する。吸水性樹脂をJIS標準篩いでふるい分けし、30〜100メッシュの粒径のものを採取して測定試料とする。
試料0.1gをティーバッグ状袋へ投入し、それを純水中に、ティーバッグ状袋の底から約15cmを浸す。1時間放置後にティーバッグ状袋を引き上げ、垂直に吊るして15分間水切りする。重量(Ag)を測定する。試料を入れない空のティーバッグ状袋を使用して同様の操作を行い重量(Bg)を測定する。吸水量は次式から計算する。これを樹脂粒子の吸水量とした。
吸水量(g/g)=(A−B)/0.1
【0076】
[体積平均粒子径]
樹脂粒子をメタノールに分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラック(日機装株式会社製))により測定する。
【0077】
[粘度]
100mlトールビーカーに試料1.00gを精秤、純水を加えて100.00gとする。攪拌棒にて極力空気をかまないように攪拌して均一分散液とし、25℃に温調する。B型粘度計で4号ローター、12rpmで測定し、回転開始60秒後の指数を読み取る。
【0078】
[光沢度]
100mlトールビーカーに試料1.00gを精秤、純水を加えて100.00gとする。攪拌棒にて攪拌して均一分散液とした後、減圧脱泡して空気をかまないようにする。この吸水膨潤体をガラス板に展ばして厚み約0.2mmの薄膜に調整し、光沢計で測定する。(入射角=反射角=60°)(JIS Z 8741準拠)
【0079】
製造例1
酸化デンプン(王子コーンスターチ社製)50部及び純水283部からなる懸濁液を作成した後、75℃で60分間加熱しながら攪拌して酸化デンプン糊状溶液を作成した。
続いて、別の断熱重合槽に、アクリル酸40.9部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.2部及び酸化デンプン糊状溶液260部を仕込み、攪拌・混合しながら内容物の温度を1〜2℃に保った。
次いで内容物の液相中に窒素を1リットル/分で30分間流入した後、密閉下1%過酸化水素水溶液1部、0.2%アスコルビン酸水溶液1.2部及び2%の2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド水溶液2.8部を添加・混合してグラフト重合を開始させた。このときの内容物の温度は約5℃であった。
重合と共に温度が上昇し約40℃に達するが、引き続き、密閉下で40℃に約8時間温度管理しながら重合して、含水ゲルを得た。含水ゲルの含水率は72.5%であった。
ブロック状の架橋された含水ゲルを断熱重合槽から取り出し、小型ミートチョッパー(ローヤル社製)を用いてゲルを室温下、60rpmで3〜10mmの太さのヌードル状になるように細分化した後、48重量%水酸化ナトリウム水溶液34.1部を加え、前記小型ミートチョッパー、同一条件で架橋重合体中のアクリル酸のカルボキシル基を中和した(中和度72モル%)。
この含水ゲルを、目開き850μmのSUS製のスクリーンの上に、厚さ5cmで積層し、小型透気乾燥機(八光電機製作所社製)を用い、供給風温160℃、風速1.5m/秒の条件下で、40分間含水ゲルに透気させて、含水ゲルを加熱乾燥し、水分含有量が約4%の乾燥物を得た。
この乾燥物を家庭用ミキサーを用いて粗粉砕後、ピンミルで微粉砕をおこない体積平均粒子径8.0μmの樹脂粒子(C1)を得た。
得られた樹脂粒子(C1)の吸水量は550g/gであった。また、樹脂粒子(C1)を1.0重量%分散させたときの吸水膨潤体の粘度(25℃)[B型粘度計、4号ローター、12rpm]は25Pa・s、光沢度(入射角=反射角=60°)は111であった。
【0080】
製造例2
ピンミルで体積平均粒子径15μmとなるように微粉砕をおこなう以外は製造例1と同様にして樹脂粒子(C2)を得た。得られた樹脂粒子(C2)の吸水量は550g/gであった。また、樹脂粒子(C2)を1.0重量%分散させたときの吸水膨潤体の粘度(25℃)[B型粘度計、4号ローター、12rpm]は42Pa・s、光沢度(入射角=反射角=60°)は65であった。
【0081】
製造例3
ピンミルで体積平均粒子径50μmとなるように微粉砕をおこなう以外は製造例1と同様にして樹脂粒子(C3)を得た。得られた樹脂粒子(C3)の吸水量は550g/gであった。また、樹脂粒子(C3)を1.0重量%分散させたときの吸水膨潤体の粘度(25℃)[B型粘度計、4号ローター、12rpm]は46Pa・s、光沢度(入射角=反射角=60°)は30であった。
【0082】
製造例4
ピンミルで体積平均粒子径6μmとなるように微粉砕をおこなう以外は製造例1と同様にして樹脂粒子(C4)を得た。得られた樹脂粒子(C4)の吸水量は550g/gであった。また、樹脂粒子(C4)を1.0重量%分散させたときの吸水膨潤体の粘度(25℃)[B型粘度計、4号ローター、12rpm]は21Pa・s、光沢度(入射角=反射角=60°)は115であった。
【0083】
製造例5
N,N’−メチレンビスアクリルアミドの量を0.5部として重合をおこなう以外は製造例1と同様にして樹脂粒子(C5)を得た。得られた樹脂粒子(C5)の吸水量は300g/gであった。また、樹脂粒子(C5)を1.0重量%分散させたときの吸水膨潤体の粘度(25℃)[B型粘度計、4号ローター、12rpm]は16Pa・s、光沢度(入射角=反射角=60°)は112であった。
【0084】
製造例6
N,N’−メチレンビスアクリルアミドの量を0.12部として重合をおこなう以外は製造例1と同様にして樹脂粒子(C6)を得た。得られた樹脂粒子(C6)の吸水量は1000g/gであった。また、樹脂粒子(C6)を1.0重量%分散させたときの吸水膨潤体の粘度(25℃)[B型粘度計、4号ローター、12rpm]は53Pa・s、光沢度(入射角=反射角=60°)は110であった。
【0085】
製造例7
酸化デンプン(王子コーンスターチ社製)の量を5部として重合をおこなう以外は製造例1と同様にして樹脂粒子(C7)を得た。得られた樹脂粒子(C7)の吸水量は500g/gであった。また、樹脂粒子(C7)を1.0重量%分散させたときの吸水膨潤体の粘度(25℃)[B型粘度計、4号ローター、12rpm]は22Pa・s、光沢度(入射角=反射角=60°)は112であった。
【0086】
比較製造例1
ピンミルで体積平均粒子径60μmとなるように微粉砕をおこなう以外は製造例1と同様にして樹脂粒子(C’1)を得た。得られた樹脂粒子(C’1)の吸水量は550g/gであった。また、樹脂粒子(C’1)を1.0重量%分散させたときの吸水膨潤体の粘度(25℃)[B型粘度計、4号ローター、12rpm]は48Pa・s、光沢度(入射角=反射角=60°)は18であった。
【0087】
実施例1〜7
下記表1の配合割合に従って、混合・攪拌して、乳化型(クリーム状)の化粧料(バニシングクリーム)を調整した。
【0088】
比較例1
下記表1の配合割合に従って、混合・攪拌して、乳化型(クリーム状)の比較用化粧料(バニシングクリーム)を調整した。
【0089】
【表1】
【0090】
実施例8〜14
下記表2の配合割合に従って、混合・攪拌して、乳化型(クリーム状)の化粧料(ファンデーション)を調整した。
【0091】
比較例2
下記表2の配合割合に従って、混合・攪拌して、乳化型(クリーム状)の比較用化粧料(ファンデーション)を調整した。
【0092】
【表2】
【0093】
[評価]
実施例及び比較例で得られたバニシングクリーム及びファンデーションの使用感を、10名の評価パネラーが顔面に塗布し、そのときの伸び、感触性(べたつき感、なめらか感、ツヤ)についての感想を集計し、以下の基準で評価した。結果を表3に示した。
評価基準
◎;非常に良い(10人全てが良いと感じた)
○;良い(10人中8〜9人が良いと感じた)
△;少し悪い(10人中6〜7人が良いと感じた)
×;悪い(10人中0〜5人が良いと感じた)
【0094】
【表3】
【0095】
表3の結果から、樹脂粒子(C)を含む本発明の化粧料は、比較のものに比べ、塗布時の伸び、べたつきのないなめらかな感触、及びツヤに優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の化粧料は、皮膚への塗布時の伸び、べたつきのないなめらかな感触及びツヤに優れており、クリーム状又はゲル状の化粧料として有用である。