特許第5913522号(P5913522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5913522平行な磁石間に磁束集束器を有するMEMS加速度計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5913522
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】平行な磁石間に磁束集束器を有するMEMS加速度計
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/13 20060101AFI20160414BHJP
   G01P 15/125 20060101ALI20160414BHJP
   G01P 15/08 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   G01P15/13 C
   G01P15/125 Z
   G01P15/08 101B
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-221128(P2014-221128)
(22)【出願日】2014年10月30日
(62)【分割の表示】特願2009-294607(P2009-294607)の分割
【原出願日】2009年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-42990(P2015-42990A)
(43)【公開日】2015年3月5日
【審査請求日】2014年10月30日
(31)【優先権主張番号】12/349,681
(32)【優先日】2009年1月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100107696
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 文俊
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ダブリュー・ドワイヤー
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴ・ベッカ
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−523393(JP,A)
【文献】 特開2007−232718(JP,A)
【文献】 特開2002−350459(JP,A)
【文献】 特表平9−512904(JP,A)
【文献】 特開平9−243658(JP,A)
【文献】 特開平6−194383(JP,A)
【文献】 米国特許第4495815(US,A)
【文献】 特開平5−133976(JP,A)
【文献】 国際公開第91/19988(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15/00−15/18
H01L29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの捻れ屈曲体の回転軸を有する試験質量、前記回転軸の両側に拡張するように配置された前記試験質量上の再平衡用のコイル、少なくとも1つの磁石、少なくとも1つの磁極片、そして少なくともひとつの磁束集束器、を含み、前記少なくとも1つの磁石と前記磁極片および前記磁束集束器は、磁束場が前記磁極片と前記磁束集束器の間の前記コイルを横切って前記回転軸にほぼ直交するように配置され、前記少なくとも1つの磁石は前記試験質量の第1の側の近くに配置されている、微小電気機械(MEMS)加速度計より加速度を検出する方法であって、
前記MEMS加速度計におけるピックオフの容量の変化を検出するステップと、
前記磁極片と前記磁束集束器の間の前記コイルを通して電流を送ることにより前記MEMS加速度計を再平衡するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記試験質量は前記少なくとも1つの捻れ屈曲体よってウジング内に懸架され、前記少なくとも1つの捻れ屈曲体は前記試験質量を回転軸のまわりに回転させるように構成され前記少なくとも1つの磁極片は前記再平衡コイルの外側に置かれ、前記磁束集束器は前記少なくとも1つの磁極片に対向する前記コイル内部に設置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの磁石は第1の磁石を含み、前記試験質量の第2の側の近くに配置された第2の磁石さらに含み、前記少なくとも1つの磁極片は、前記試験質量の第1の端部に設置された第1の磁極片、前記試験質量の第2の端部に設置された第2の磁極片を含み、前記少なくとも1つの磁束集束器は、前記第1の磁極片に対向する前記コイル内部に配置された第1の磁束集束器、前記第2の磁極片に対向する前記コイル内部に配置された第2の磁束集束器を含む、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一部の力平衡式加速度計は、磁場の存在下でトルクを与えたコイルに電流を通過させることによって磁気再平衡を利用する。これらの加速度計は振動を受けると、所望の加速度信号とは無関係な出力の変化を表示する可能性がある。この出力誤差の1つの出処は、入力振動に反応して移動するフォーシング・コイルにより占有される領域内の磁束変動によって生じるサーボ・フォーシング効率の変化に関係する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、微小電気機械(MEMS)加速度計および加速度検知方法を含む。MEMS加速度計の一例は、ハウジングと、少なくとも1つの捻れ屈曲体によってハウジング内で懸架される試験質量と、試験質量上のコイルと、試験質量の第1の側の近くに配置された第1の磁石と、コイルの外部に設置された少なくとも1つの磁極片と、少なくとも1つの磁極片のうちの少なくとも1つと対向するコイル内部に設置された少なくとも1つの磁束集束器とを含む。磁極片および磁束集束器は、一組の磁石のまわりのシールドを変えるために設置され、コイル位置とは関係なくコイルを横切るほぼ一様な磁束を生成させる。このより一様な磁束により、例示的一実施形態において振動整流誤差を低減させる。
【0003】
本発明の一態様によれば、加速度計は、試験質量の第2の側近くに配置された第2の磁石と、試験質量の第1の端部に設置された第1の磁極片と、試験質量の第2の端部に設置された第2の磁極片とを含む。第1の磁束集束器は、第1の磁極片と対向してコイル内部に設置され、第2の磁束集束器は、第2の磁極片と対向してコイル内部に設置される。
【0004】
本発明の更なる態様によれば、第1の磁束集束器は、第1の磁極片の凹面に面する凹面を含み、第2の磁束集束器は、第2の磁極片の凹面に面する凹面を含む。
本発明の他の態様によれば、方法は、MEMS加速度計内のピックオフの静電容量の変化を検知するステップと、第1の磁束集束器と第1の磁極片との間、さらに第2の磁束集束器と第2の磁極片との間で平面状コイルを通して電流を送ることによってMEMS加速度計を再平衡させるステップとを含む。
【0005】
本発明の好ましい代替実施形態を以下の図面を参照して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態により形成された微小電気機械(MEMS)加速度計システムのブロック図である。
図2】本発明の追加実施形態により形成されたMEMS加速度計の部分上面X線図である。
図3】本発明の例示的一実施形態により形成されたMEMS加速度計の側面の断面図である。
図4】本発明の他の実施形態により形成された磁極片および磁束集束器の側面の断面図である。
図5】本発明の他の実施形態により形成された磁極片および磁束集束器の側面の断面図である。
図6】本発明の追加実施形態により形成されたMEMS加速度計の側面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明の一実施形態により形成された微小電気機械(MEMS)加速度計システム20のブロック図である。MEMS加速度計システム20は、加速度計22および制御ユニット24を含む。制御ユニット24は、双方共にMEMS加速度計22と信号連絡された、検知電子機器構成要素26および駆動電子機器構成要素28を含む。制御ユニット24は、検知電子機器構成要素26および駆動電子機器構成要素28と信号連絡された制御器30も含む。加速度計22は、一般に、ハウジング内で少なくとも1つの捻れ屈曲体によって懸架される試験質量と、少なくとも1つの捻れ屈曲体の周りの試験質量を再平衡させるための捻れ磁気再平衡構成要素とを含む。例示的一実施形態において、捻れ磁気再平衡構成要素は、磁束場内で試験質量の回転軸の両側上にあるコイルに電流を通過させることによるローレンツ力を利用して、回転軸の周りのダルソンバール型運動が加速度計22を再平衡させるのに使用される。磁極片は、コイルループ内部に設置された磁束集束器と反対側のコイルループの外部に配置され、コイルを横切る磁束場の線型性を高める。磁極片および磁束集束器は、透磁性材料で形成される。例示的一実施形態において、磁極片および磁束集束器は合金39で形成される。加速度計22の例示的一実施形態の更なる詳細は、図2〜5に関して考察される。
【0008】
図2は、本発明の一実施形態により形成されたMEMS加速度計40の部分上面X線図である。一部の実施形態では、加速度計システム20において、加速度計22に代わって加速度計40を使用することができる。加速度計40は、第1の捻れ屈曲体46と、第2の捻れ屈曲体48と、第3の捻れ屈曲体50と、第4の捻れ屈曲体52とによってハウジング44内で懸架される試験質量42を含む。捻れ屈曲体46〜52は、それらと平行な回転軸の周りに試験質量42を回転させることができる。試験質量42は、回転軸の一方側と回転軸の他方側との間の質量不均衡を含むように構成される。示された例では、試験質量のより大きい部分が回転軸の一方側にあるように回転軸が配置される。しかし、他の実施形態では、質量不均衡は、たとえば、試験質量の一方側に孔または空洞を形成するなど他の方法で作り出すことができる
第1のパッド54を有する第1の容量性ピックオフは、試験質量42の第1の側の第1の端部に配置される。第1の導電性トレース56は、第1の捻れ屈曲体46上で、パッド54を図1に示された検知電子機器構成要素26などの検知電子機器に接続する。第1の容量性ピックオフのための第2のパッド(図示せず)は、試験質量42の上に配置されたハウジング44の一部分(図示せず)の内側表面に取り付けられる。第2の導電性ピックオフトレース58は、試験質量42の第2の側で第3の捻れ屈曲体50を横切って第2の容量性ピックオフ(第1のピックオフの後で見えない)へ延びる。試験質量42の同じ端部のそれぞれの側で容量性ピックオフを使用することにより差分測定値をとることができる。試験質量42の第2の側、および/または回転軸の反対側上の試験質量42の他方端部に設置される更なる容量性ピックオフも一部の実施形態では存在し得る。
【0009】
平面状コイル60は、試験質量42の第1の側に設置され、試験質量42の回転軸の両側上に延在する。コイル60は、例示的一実施形態において単一層の螺旋コイルである。例示的一実施形態において、コイル60は約10巻きを含み、巻と巻の隔間が約15ミクロンで1巻きが約45マイクロメートル(ミクロン)幅で約0.5ミクロンの厚さである。しかし、コイル60に対して異なる巻き数、幅、間隔および厚みを使用してもよい。コイル60は、それぞれ、第2の捻れ屈曲体48および第4の捻れ屈曲体52を超えて延びる、第1の導電性コイルトレース62および第2の導電性トレース64によって図1に示された駆動電子機器構成要素28などの駆動電子機器に接続される。他の例示的実施形態において、コイル60まで延びるトレースは、同相効果を実現するために、単一屈曲体の最上部および底部の上を通る。これは、屈曲体材料と導電性トレース材料の膨張係数の違いに基づく温度に関係する曲げ効果を低減するのに役立ち得る。図が見やすいように単一のコイル60だけが示されるが、試験質量42の第2の側に設置された第2のコイルなどのコイルをさらに使用することもできる。
【0010】
試験質量の第1の側の第1の磁石(図示せず)は、第1の磁石の南北軸が試験質量の回転軸にほぼ直交する向きとなるように配置される。第1の磁石と同じやり方で向き付けられた、試験質量42の第2の側に設置された第2の磁石などの磁石もさらに使用することができる。例示的一実施形態において、第1および第2の磁石は、第1の磁石の南極が、第1の磁極片100の少なくとも一部分上にあり、第1の磁石の北極が、第2の磁極片102の少なくとも一部分上にあるように配置される。第2の磁石が、同じやり方で向き付けられるが、第1の磁極片100および第2の磁極片102の下にする。
【0011】
第1の磁極片100は、試験質量42の第1の端部でコイル60の外部に設置され、第2の磁極片102は、試験質量42の第2の端部でコイル60の外部に設置される。第1の磁束集束器104は第1の磁極片100の反対側のコイル60内部に配置され、第2の磁束集束器106は第2の磁極片102の反対側のコイル60内部に配置される。例示的一実施形態において、第1の磁極片100は、コイル60に向けて突出するタブ108を含み、第2の磁極片102は、コイル60に向けて突出するタブ110を含む。磁極片100、102および磁束集束器104、106は、磁極片100、102と磁束集束器104、106とのそれぞれの間のコイル60を横切る磁束場が、ほぼ直線状になるように形成され、配置される。磁束集束器104、106は、試験質量42によって画定された孔内に懸架される。例示的一実施形態において、この孔は試験質量42全体にわたり延びて、磁束集束器104、106はハウジングの上方部分(図示せず)およびハウジングの下方部分(図示せず)に延びる支持構造体によって定位置に保持される。
【0012】
図3は、本発明の例示的一実施形態により形成されるMEMS加速度計200の側面の断面図である。MEMS加速度計200は、図2で示された加速度計40に類似しているが、ハウジングの内部上に容量性ピックオフの第2のパッドおよび試験質量の第2の側にコイルがさらにある。一部の実施形態において、加速度計200は、図1に示された加速度計システム20内の加速度計22に代わって使用することができる。
【0013】
加速度計200は、第1の捻れ屈曲体204および第2の捻れ屈曲体206によって懸架される試験質量202を有するウェーハデバイス層201を含む。ウェーハデバイス層201は、第1のハウジング構成要素212を収納するハウジングと第2のハウジング構成要素214との間に挟まれた外側の帯鋼(図示せず)を含む。試験質量202は、第1の屈曲体204および第2の屈曲体206によって外側の帯鋼内部のハウジング内に懸架される。第1の屈曲体204および第2の屈曲体206は、ウェーハデバイス層201内の外側帯鋼の別の部分(図示せず)に接続する。捻れ屈曲体(図示せず)が、さらに試験質量202の別の部分(図示せず)にあってもよい。
【0014】
平面状の第1のコイル215は、試験質量202の第1の側にある。第1のコイル215は、屈曲体204、206の周りの試験質量202の回転軸の第1の側216および第2の側217上に延びる。絶縁層218は、導電性トレース219が、第1のコイル215のある内側部分を、たとえば、図1に示された駆動電子機器28などの外側構成要素(図示せず)に接続することができるように第1のコイル215の一部分にわたって延びる。第1のコイル215と同じ様式で、平面状の第2のコイル220が、試験質量202の第2の側にある。第2のコイル220は、試験質量202の回転軸の第1の側221および第2の側222に延びる。絶縁層223は、導電性トレース224が、第2のコイル220のある内側部分を駆動電子機器28などの外側構成要素(図示せず)に接続することができるように第2のコイル220の一部分にわたって延びる
第1の容量性ピックオフ225は、試験質量202の第1の側の第1の端部上にある。第1の容量性ピックオフ225は、試験質量202上の第1のパッド226と、第1のパッド226と対向する、第1のハウジング構成要素212の内側表面上の第2のパッド228とを含む。第2の容量性ピックオフ229は、試験質量202の第1の側の第2の端部上に設置される。第2の容量性ピックオフ229は、試験質量202上の第3のパッド230と、第3のパッド230と対向する、第1のハウジング構成要素212の内側表面上の第4のパッド232とを含む。第3の容量性ピックオフ233は、試験質量202の第2の側の第1の端部上に設置される。第3の容量性ピックオフ233は、試験質量202上の第5のパッド234と、第5のパッド234と対向する、第2のハウジング構成要素214の内側表面上の第6のパッド236とを含む。第4の容量性ピックオフ235は、試験質量202の第2の側の第2の端部上に設置される。第4の容量性ピックオフ235は、試験質量202上の第7のパッド238と、第7のパッド238と対向する、第2のハウジング構成要素214の内側表面上の第8のパッド240とを含む。例示的一実施形態において、試験質量の低下効果を防止するために第1の容量性ピックオフ225と第4の容量性ピックオフ235とが接続され、第2の容量性ピックオフ229と第3容量性ピックオフ233とが接続される。
【0015】
第1の磁石260は、磁石260の南北軸が、試験質量202の回転軸にほぼ直交する向きとなるように配置される。試験質量202の第2の側の第2の磁石262は、試験質量202の回転軸が、磁石262の南北軸とほぼ直交する向きとなる状態で磁石260と同じやり方で向き付けられる。例示的一実施形態において、第1の磁石260および第2の磁石262は、それらが互いで平行であるように設置される。
【0016】
平行な磁石の特定形状のために、磁束密度の特性変動が、(長さに沿う)Xと(磁石の長軸に垂直な)Y軸の両方において発生する。磁石の構成の有限要素解析の支援により、磁束勾配がどのように見えるかを示すことができる。透磁性材料で作られたシールドが、2個の平行な磁石の外側にそれらを大きく取り囲み、磁石対の起磁力(mmf)によって生成される何らの磁束を引き込みつつ設置される。磁束の量および分布は、磁石対に対するシールドの形状および近接度により変動させられる。磁場を変更するための好ましい方法は、シールドの形状が変更された幾つかの事例を得て、そのように生成された場の分布を定義する曲率係数を解析することである。これらの比較により、所望の場の分布を達成するべくシールドの形状を変更する方向ベクトルに到達する。加速度計200などの捻れモード湾曲加速度計の場合、望ましい状態は、コイル電流と磁束が相互に作用する場所のY軸方向の曲率係数が出来るだけゼロに近いことである。例示的一実施形態において、シールドは、磁極片および磁束集束器を含み得る。
【0017】
第1の磁極片280は、磁石260、262の南極に隣接して設置され、第2の磁極片282は、磁石260、262の北極に隣接して設置される。磁極片280、282は、コイル215および220の内側に設置されたそれぞれの第1の磁束集束器284および第2の磁束集束器286と反対側のコイル215および220の外部に設置される。第1の磁極片280は、第1の磁束集束器284の対応する凹面296の方に向き付けられた凹面290を備えたタブ288を有する。同じ様式で、第2の磁極片282は、第2の磁束集束器286の対応する凹面298の方に向き付けられた凹面296を備えたタブ294を有する。第1の磁束集束器284は、第1のハウジング構成要素212に取り付けられた第1の支持構造体300によって懸架される。第2の磁束集束器298は、第1のハウジング構成要素212に取り付けられた第2の支持構造体302によって懸架され、第2のハウジング構成要素214に取り付けられた第3の支持構造体304によって懸架される。例示的一実施形態において、支持構造体300、302、304は、Pyrex(登録商標)などの磁気的に透過性がない材料である。
【0018】
図4図5は、本発明の他の実施形態により形成された磁極片および磁束集束器の側面の断面図である。図4は、磁極片400から突出するタブ402を有する磁極片400を示す。タブ402は、W字型の断面を持つ表面404を有する。磁極片400は、第1のコイル406および第2のコイル408の外部に設置される。磁束集束器410は、コイル406、408の内部上に設置される。磁束集束器410は、磁極片400の表面404に面する、W字型の断面を持つ表面412を有する。例示的一実施形態において、このW字型の断面は、スプライン適合形態を有する。
【0019】
図5は、タブ502を備えた磁極片500を示す。タブ502は、磁極片500から突出しないが、磁極片500により画定された凹部によって磁極片500の他の部分から分けられた磁極片500の特定部分である。タブ502は、凹面504を含む。磁極片500は、試験質量508の表面にあるコイル506の外側に設置される。磁束集束器510は、コイル506の内側に設置される。磁束集束器510は、磁極片500の凹面504に面する凹面512を有する。磁束集束器510は、試験質量508によって画定される凹部に配置される。図3に示された試験質量202全体にわたって貫通する孔とは対照的に、試験質量508の凹部は、試験質量508を部分的に通って延在するだけである。
【0020】
図4および図5は、磁極片および磁束集束器が見やすいように設置された加速度計の全ての部分を示すわけではない。しかし、それらの部分は、図2および図3に示された加速度計40または加速度計200などの加速度計内に設置されることを理解されたい。対応する第2の磁極片および第2の磁束集束器もまた存在することを理解されたい。
【0021】
図6は、本発明の例示的一実施形態により形成されたMEMS加速度計600の側面の断面図である。MEMS加速度計600は、図3で示された加速度計200と同様であるが、コイル内部、および磁極片と磁束集束器との間ではない領域に設置された容量性ピックオフを含む。これにより、磁極片および磁束集束器は、間隔をより近づけて設置でき、コイルを横切る磁場の磁気抵抗を減少させることができる。一部の実施形態において、加速度計600は、図1に示された加速度計システム20内で加速度計22に代わって使用することができる。
【0022】
加速度計600は、第1の捻れ屈曲体604および第2の捻れ屈曲体606によって懸架される試験質量602を有するウェーハデバイス層601を含む。ウェーハデバイス層601は、第1のハウジング構成要素612を収納するハウジングと第2のハウジング構成要素614との間に挟まれた外側の帯鋼(図示せず)を含む。試験質量602は、第1の屈曲体604および第2の屈曲体606によって外側の帯鋼内部のハウジング内に懸架される。第1の屈曲体604および第2の屈曲体606は、ウェーハデバイス層601内の外側帯鋼の別の部分(図示せず)に接続する。捻れ屈曲体(図示せず)が、さらに試験質量602の別の部分(図示せず)にあってもよい。
【0023】
平面状の第1のコイル615が、試験質量602の第1の側にある。第1のコイル615は、屈曲体604、606の周りの試験質量602の回転軸の第1の側616および第2の側617上に延びる。絶縁層618は、導電性トレース619が、第1のコイル615のある内側部分を、たとえば、図1に示された駆動電子機器28などの外側構成要素(図示せず)に接続することができるように第1のコイル615の一部分にわたって延びる。第1のコイル615と同じ様式で、平面状の第2のコイル620が、試験質量602の第2の側にある。第2のコイル620は、試験質量602の回転軸の第1の側621および第2の側622に延びる。絶縁層623は、導電性トレース624が、第2のコイル620のある内側部分を駆動電子機器28などの外側構成要素(図示せず)に接続することができるように第2のコイル620の一部分にわたって延びる。
【0024】
第1の容量性ピックオフ625は、試験質量602の第1の側の屈曲体604、606の第1の側にある。第1の容量性ピックオフ625は、試験質量602上の第1のパッド626と、第1のパッド626と対向する、第1のハウジング構成要素612の内側表面上の第2のパッド628とを含む。第2の容量性ピックオフ629は、試験質量602の第1の側の屈曲体604、606の第2の側にある。第2の容量性ピックオフ629は、試験質量602上の第3のパッド630と、第3のパッド630と対向する、第1のハウジング構成要素612の内側表面上の第4のパッド632とを含む。第3の容量性ピックオフ633は、試験質量602の第2の側の屈曲体604、606の第1の側に設置される。第3の容量性ピックオフ633は、試験質量602上の第5のパッド634と、第5のパッド634と対向する、第2のハウジング構成要素614の内側表面上の第6のパッド636とを含む。第4の容量性ピックオフ635は、試験質量602の第2の側の屈曲体604、606の第2の側に設置される。第4の容量性ピックオフ635は、試験質量602上の第7のパッド638と、第7のパッド638と対向する、第2のハウジング構成要素614の内側表面上の第8のパッド640とを含む。例示的一実施形態において、試験質量の低下効果を防止するために第1の容量性ピックオフ625と第4の容量性ピックオフ635とが接続され、第2の容量性ピックオフ629と第3容量性ピックオフ633とが接続される。
【0025】
第1の磁石660は、磁石660の南北軸が、試験質量602の回転軸にほぼ直交する向きとなるように配置される。試験質量602の第2の側の第2の磁石662は、試験質量602の回転軸が磁石662の南北軸とほぼ直交する向きとなる状態で磁石660と同じやり方で向き付けられる。例示的一実施形態において、第1の磁石660および第2の磁石662は、それらが互いで平行であるように設置される。
【0026】
平行な磁石の特定形状のために、磁束密度の特性変動が、(長さに沿う)Xと(磁石の長軸に垂直な)Y軸の両方において発生する。磁石の構成の有限要素解析の支援により、磁束勾配がどのように見えるかを示すことができる。透磁性材料で作られたシールドが、2個の平行な磁石の外側にそれらを大きく取り囲み、磁石対の起磁力(mmf)によって生成される何らの磁束を引き込みつつ設置される。磁束の量および分布は、磁石対に対するシールドの形状および近接度により変動させられる。磁場を変更するための好ましい方法は、シールドの形状が変更された幾つかの事例を獲得して、そのように生成された場の分布を定義する曲率係数を解析することである。これらの比較により、所望の場の分布を達成するべくシールドの形状を変更する方向ベクトルに到達する。加速度計600などの捻れモード湾曲加速度計の場合、望ましい状態は、コイル電流と磁束が相互に作用する場所のY軸方向の曲率係数が出来るだけゼロに近いことである。例示的一実施形態において、シールドは、磁極片および磁束集束器を含み得る。
【0027】
第1の磁極片680は、磁石660、662の南極に隣接して設置され、第2の磁極片682は、磁石660、662の北極に隣接して設置される。磁極片680、682は、コイル615および620の内側に設置された第1の磁束集束器684および第2の磁束集束器686と反対側のそれぞれのコイル615および620の外部に設置される。例示的一実施形態において、第1の磁束集束器684および第2の磁束集束器686は、第1のピックオフ625、第2のピックオフ629、第3のピックオフ633、および第4のピックオフ635の外部に設置される。第1の磁極片680は、第1の磁束集束器684の対応する凹面696の方へ向きを定められる凹面690で、タブ688を有する。同じ様式で、第2の磁極片682は、第2の磁束集束器686の対応する凹面698の方に向き付けられた凹面696を備えたタブ694を有する。第1の磁束集束器684は、第1のハウジング構成要素612に取り付けられた第1の支持構造体700によって懸架される。第2の磁束集束器698は、第1のハウジング構成要素612に取り付けられた第2の支持構造体702によって懸架され、第2のハウジング構成要素614に取り付けられた第3の支持構造体704によって懸架される。例示的一実施形態において、支持構造体700、702、704は、Pyrex(登録商標)などの磁気的に透過性がない材料である。図4および図5に示されたような磁極片および磁束集束器の他の形状も使用できることを理解されたい。
【0028】
一般に、加速度計22、40、200および600は、捻れ屈曲体が支持構造体に取り付けられたいくつかの懸垂試験質量要素を作成するためにパターニングし、エッチングされるシリコンウェーハから開始して形成される。次いでウェーハは、酸化されて誘電層を生成し金属化を支援する。更なるパターニングおよび金属化のステップにより、種々の容量性ピックオフおよび螺旋コイル用の基本要素が生成される。螺旋コイルにわたって誘電層を設置することによりコイルの内側トレースが引き出され、この後に第2の金属化のステップを行う。シリコンウェーハと同一直径のガラスウェーハが、パターニングされ、エッチングされ、金属化されて、種々の容量性ピックオフの第2のプレートとして動作し、さらにデバイスの減衰を制御する働きをする、表面内の凹部を生成する。次いで、第1のガラスのウェーハがシリコンウェーハと整合され、陽極接合されて、低容量コンデンサのプレートを形成する。次いで、このアセンブリが、第2のガラスウェーハに陽極接合され、種々の容量性ピックオフ用の高容量コンデンサを形成する。磁石が、上部および下部のガラスプレートに取り付けられ、螺旋コイルが相互作用する磁場を生成する。次いでウェーハアセンブリは、個々の加速度計が、パッケージング、テスト、および加速度計システムへの組込みに利用できるようにダイシングされる。
【0029】
例示的一実施形態において、図1〜3および図6の加速度計22、40、200および600は、パターンを酸化させ、シリコンウェーハ上で試験質量および捻れ屈曲体を深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)することによって形成される。次に、螺旋コイルおよびピックオフが、試験質量上で金属化される。螺旋コイルおよびピックオフは、たとえば、金で形成することができる。次いで、絶縁層が、コイルの一部分にわたってスパッタリングされる。次に、更なるトレースが絶縁層を横切って金属化され、コイルの内側部分との接続をもたらす。次いで、たとえば、ホウケイ酸塩Pyrex(登録商標)などのガラス製にできる第1のハウジング部分がエッチングされ、コンデンサ用の凹部および試験質量上のトレースへ導通する貫通孔が作られる。次いで、第1のハウジング部分が金属化され、容量性ピックオフの一部分を形成する。同じやり方で、第2のハウジング部分がエッチングされ、金属化される。第1および第2のハウジング部分は、たとえば、ハウジング部分をウェーハ層に陽極接合することによって試験質量を含むウェーハ層に取り付けられる。次いで磁石が、試験質量の両側の第1および第2のハウジング部分に実装される。第1および第2のハウジング構成要素がウェーハデバイス層に取り付けられた後に磁石を実装することによって、さもなければ磁石の取り付け中に生じ得る微粒子汚染からデバイスを密閉する。
【0030】
例示的一実施形態において、加速度計22、40、200および600は、陽極接合された密封側壁を有する、たとえば、Pyrex(登録商標)でできたガラスハウジング層を通る貫通孔を含めることによっても形成される。第1の磁石は、たとえば、Pyrex(登録商標)でできたガラスのスタンドオフをその磁石に接合させることによって準備され、磁束集束器を磁石上のそのスタンドオフへ接合させて第1の磁石/磁束集束器のアセンブリを形成する。貫通孔を有するガラス−シリコン−ガラスウェーハの積層は、次いで個々のデバイスにダイシングされる。次いで各ダイは、磁束集束器がきちんと整列するように第1の磁石/磁束集束器のアセンブリ上に設置される。次いで、第1の磁石/磁束集束器のアセンブリは、そのダイに接合される。次いで第2の磁石は、整列され、第1の磁石/磁束集束器のアセンブリを含むダイに接合される。次いで外部磁極片は、整列され、接合される。一部の実施形態は、対称性および構造的な整合性を向上させるために、第2の磁石を内部の磁束集束器に接合するガラスのスタンドオフも含む。
【0031】
上記のように、本発明の好ましい実施形態が例示され、説明されたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの変更を加えることができる。たとえば、W字型または凹断面以外の形状を備えた表面を有する磁極片および磁束集束器を使用することができる。異なるコイル構成およびピックオフパッド構成を使用することもできる。
【0032】
独占的所有物または権利が主張される本発明の実施形態が、添付の特許請求の範囲の通りに定義される。
【符号の説明】
【0033】
20 加速度計システム
24 制御ユニット
26 検知電子機器構成要素
28 駆動電子機器構成要素
30 制御器
40 加速度計
42 試験質量
44 ハウジング
46 第1の捻れ屈曲体
48 第2の捻れ屈曲体
50 第3の捻れ屈曲体
52 第4の捻れ屈曲体
60 平面状コイル
100 第1の磁極片
102 第2の磁極片
104 第1の磁束集束器
106 第2の磁束集束器
200 加速度計
202 試験質量
204 第1の捻れ屈曲体
206 第2の捻れ屈曲体
212 第1のハウジング構成要素
214 第2のハウジング構成要素
280 第1の磁極片
282 第2の磁極片
284 第1の磁束集束器
286 第2の磁束集束器
600 加速度計
660 第1の磁石
662 第2の磁石
680 第1の磁極片
682 第2の磁極片
684 第1の磁束集束器
686 第2の磁束集束器
図1
図2
図3
図4
図5
図6