【実施例】
【0021】
以下、本発明によるコンタクト成形装置の実施例を示す。
図3乃至
図6に示すコンタクト成形装置は、ハウジング2に植設したコンタクト1に曲げ成形を施すコンタクト成形手段Aと、前記コンタクト1に対する曲げ動作時にハウジング2を保持するホルダBと、当該ホルダBを曲げ成形が行われる位置に移動する位置決め手段(図示省略)と、コンタクト成形前のハウジング2をホルダBへ供給しコンタクト成形後のハウジング2をホルダBから排出する給排手段(例えば搬送チャックや所謂ロボットアームなど)を備える。
【0022】
前記コンタクト成形手段Aは、前記曲げ機構を備える。
前記曲げ機構は、前記ハウジング2に植設したコンタクト1の曲げ位置の曲げ方向側面を支持する前記曲げダイ3と、前記ハウジング2に植設したコンタクト1の曲げ位置の先端側を曲げ方向の反対側から曲げ方向へ加圧する前記曲げパンチ4を備える。
【0023】
この例において、前記曲げ機構は、前記曲げダイ3、前記曲げパンチ4、前記曲げダイ3及び前記曲げパンチ4を支持する前記操作フレーム5と、前記操作フレーム5を揺動可能に支持する成形ベースを備える。
前記曲げ機構の動作及び前記操作フレーム5の揺動は、当該コンタクト成形装置の制御手段14で調整する。
【0024】
前記成形ベースは、例えば、前記ホルダBを成形対象のハウジング2に理想的に植設したコンタクト1が水平となる様に配置した前記操作フレーム5を、前記コンタクト1の曲げ方向(例えば上下方向)及び前記コンタクト1の長手方向に対して直角の方向(例えば水平方向)へ揺動させる揺動軸6を鉛直方向に起立する状態で支持する。
【0025】
前記操作フレーム5は、前記揺動軸6に沿って起立し、前記曲げ機構を構成する前記曲げダイ3と前記曲げパンチ4等を、前記揺動軸6を含む平面上に、当該揺動軸6を挟む位置関係で配置し支持する。
上記構成により、前記操作フレーム5並びにそれに支持される前記曲げダイ3及び前記曲げパンチ4は、前記曲げダイ3の支持縁と成形対象のコンタクト1との接点付近の曲げ位置を中心として、前記揺動軸6の法面に沿って揺動する。
【0026】
前記操作フレーム5を上記のごとく揺動させるために、例えば、前記操作フレーム5は、前記揺動軸6の支承部を支点とし、当該支点自体をフレーム駆動軸として正逆転させて揺動させる構成を採っても良いし、当該支点を中心として揺動する動点に、他のフレーム駆動軸で進退するクランク機構を連結して揺動させる構成を採っても良い。
上記構成は、前記フレーム駆動軸を回転させるアクチュエータと共に、前記動点を前記操作フレーム5の支点に対して左右に揺動する駆動手段として機能する。
【0027】
前記曲げダイ3は、例えば、成形対象であるコンタクト1の側面に向かって進退する支持ロッド7に固定する。
前記支持ロッド7の進退における軌道は、個々のコンタクト1に対する曲げ動作に際して、前記曲げダイ3が、他のコンタクト1の干渉を受けることなく一本ずつ支持できるような軌道を描くように設定する。
【0028】
前記支持ロッド7は、例えば、前記操作フレーム5に支持されたダイ駆動軸8の偏心箇所に、前記ダイ駆動軸8が回転しても常に一定の姿勢が保たれるように支持する。
例えば、
図3乃至
図6に示す前記支持ロッド7は、常に鉛直下方向を向くように前記ダイ駆動軸8に支持する。
【0029】
前記支持ロッド7は、例えば、その上部に前後に伸びる一定幅のガイド孔を備え、当該ガイド孔は、前記ダイ駆動軸8の偏心箇所に設けた円柱状の支軸を安定軌道で略遊びなく直線的に進退するように装填する。
この例では、前記操作フレーム5に鉛直方向に向かう昇降ガイド11を固定し、前記支持ロッド7を当該昇降ガイド11で上下動自在に支持し、前記ダイ駆動軸8の回転により前記支軸に支持された前記支持ロッド7が、その上部において前記支軸を前後に移動させながら上下に進退する直線運動機構を採用する(
図5参照)。
【0030】
前記曲げパンチ4は、例えば、成形対象であるコンタクト1の側面に向かい、当該コンタクト1に曲げ応力を与えるように進退する成形ロッド9に固定する。
前記成形ロッド9の進退における軌道は、個々のコンタクト1に対する曲げ動作に際して、前記曲げパンチ4が、他のコンタクト1の干渉を受けることなく一本ずつ曲げ成形を行えるような軌道を描くように設定する。
同時に、当該曲げパンチ4は、その曲げ動作に伴い当該曲げパンチ4の加圧面4bに成形対象のコンタクト1と前記加圧部4aとの接点Pがそれぞれ等量ずつ移動する転がりを生じさせる軌道を採るように設定する。
【0031】
前記成形ロッド9は、例えば、前記支持ロッド7と同様に、前記操作フレーム5に支持されたパンチ駆動軸10の偏心箇所に、前記パンチ駆動軸10が回転しても常に一定の姿勢が保たれるように支持する。
この例では、その様な支持を可能とする構成として、前記操作フレーム5に鉛直方向に向かう昇降ガイド12を固定し、当該昇降ガイド12に水平方向に向かう走行ガイド13を上下動自在に支持し、当該走行ガイド13に前記成形ロッド9を水平動自在に支持し、前記パンチ駆動軸10の回転によりその偏心箇所に支持された前記成形ロッド9が前後上下に進退する平行運動機構を採用する(
図6参照)。
【0032】
この例において、前記コンタクト1の直径をdとし、半径rの円弧状の加圧面4bを採用しているとすれば、前記成形ロッド9の進退ストロークに関わらず、90度の曲げ成形を施す際には、成形対象のコンタクト1の側面における接点Pの移動量Lは、πr/2となる。
前記移動量Lが前記曲げ角の単位量に対して均一に増加するには、前記円弧状の中心の軌跡を、前記コンタクト1の中心の延長線上における当該コンタクト1の曲げ位置の手前r+d/2を中心Oとする円軌道とし、曲げ動作の始点(前記円弧状の中心位置)を、前記コンタクト1の中心から下方r+d/2とし、曲げ動作の終点を前記中心Oの真上前記円軌道の半径と同距離の位置とする(
図1参照)。
【0033】
前記制御手段14は、例えば、そのコンタクト1が成形対象となるハウジング2に植設されている全てのコンタクト1を、それらの成形前に正面(植設されたコンタクト1本来の向き)から撮影する撮像手段15を備える(画像制御)。
また、前記制御手段14は、前記撮像手段15で得た全コンタクト1各々の正面像の面積が変形直前に最小となるように、前記操作フレーム5の補正角及び前記ダイ駆動軸8の補正角を導く演算手段16を備える。
【0034】
当該演算手段16は、それと同時に、前記補正角を用いて、全コンタクト1の成形後の先端を整列せしめるに適したな曲げ角と、全コンタクト1の前記位置決め手段の原点に対する当該ハウジング2に植設された相対的な植設位置座標などを導くと共に、当該相対的な植設位置座標などから前記曲げダイ3による支持位置を導く。
前記制御手段14は、前記演算手段16によって導かれた情報をデータテーブルとして保持する記録手段17を備える。
【0035】
更に、前記制御手段14は、前記演算手段16で導いた前記操作フレーム5及び前記ダイ駆動軸8の補正角を解消する(正面像の面積を変形直前に最小にする)曲げ方向(又は支持方向)及び前記曲げダイ3による支持位置を実現する制御データと、前記適正な曲げ角を実現する制御データを、前記操作フレーム5、前記曲げダイ3及び前記曲げパンチ4並びに前記位置決め手段の駆動手段へ出力する。
【0036】
前記制御手段14は、前記曲げ方向(又は支持方向)を実現する制御データで前記操作フレーム5の駆動手段を制御し、前記成形ベースに対する前記操作フレーム5の向きを、成形対象のコンタクト1について一本ごとに実現する。
また、当該制御手段14は、前記支持位置を実現する制御データで前記曲げダイ3を支持する前記ダイ駆動軸8の揺動角を制御することによって支持縁の位置制御を行い、前記曲げ角を実現する制御データで前記曲げパンチ4を支持する前記パンチ駆動軸10の揺動角を制御することによってコンタクト1の曲げ角を実現する(
図3又は
図4参照)。
【0037】
前記位置決め手段は、前記ハウジング2に植設された各コンタクト1の曲げ位置が曲げ成形を行う順序に副って曲げ成形地点に正確に配置されるよう、前記ハウジング2を保持したホルダBを、当該ホルダBの向きを維持しつつ移動させる。
前記位置決め手段は、例えば、前記ホルダBが、前記制御データに従って相互に直行する三軸方向へそれぞれ移動するように、当該三軸それぞれに前記制御手段14で制御された駆動手段を備える。
前記駆動手段は、ベルト、ワイヤ又はギヤなどを採用した駆動機構と、サーボモータ等のアクチュエータからなる既存の技術を適宜採用すればよい。
前記駆動手段を選択する場合は、走行時及び静止時(植設時)においてガタつきやブレが生じない様に、安定した軌道を確保できるものを採用することが求められる。
【0038】
前記三軸の一つは、前記ハウジング2に植設される前記コンタクト1の理想的な植設方向と平行になるように設定する。他の二軸は、当該ハウジング2におけるコンタクト1(又はコンタクト1が植設される孔)の配列に対して平行となる様に配置することが望ましい。
直線的に配列したコンタクト列が上下に複数段配列されている場合には、各コンタクト1の成形は、例えば、上段から下段へ又は下段から上段へ成形開始コンタクトから成形終了ンタクトまで順に行う。
【0039】
その際、前記制御手段14は、前記曲げ成形地点に配置するコンタクト1が決まると、前記各コンタクト1の前記植設位置座標及び前記支持位置を実現する制御データから、当該コンタクト1における曲げ位置を決定し、当該曲げ位置を前記曲げ成形地点に配置する制御データを、前記各軸の駆動手段に対して出力する。
【0040】
前記制御データを、前記操作フレーム5、前記曲げダイ3及び前記曲げパンチ4並びに前記位置決め手段の駆動手段へ出力する手法は、上記画像制御の他に、予め、データベースに保持した各種コネクタの仕様や特質に基づいて行うこともできる(規格制御)。
【0041】
前記規格制御を採用する場合、前記制御手段14は、登録されている各ハウジング2について、各コンタクト1の平均的な植設状態の傾向に基づく全コンタクト1の曲げ角及び曲げ方向(曲げ仕様)、全コンタクト1の支持位置及び支持方向(支持仕様)、並びに全コンタクト1の前記植設位置座標(ハウジング仕様)を適宜記録したデータテーブルを保持し、それらをコネクタのハウジング毎に及びそのコンタクト毎に参照可能に体系化したインデックスを備える構成としてもよい。
【0042】
前記制御手段14は、例えば、そのコンタクト1が成形対象となるハウジング2の成形開始コンタクトから成形終了コンタクトまでの前記曲げ仕様及び支持仕様並びにハウジング仕様を参照し、前記操作フレーム5、前記曲げダイ3及び前記曲げパンチ4並びに前記位置決め手段の駆動手段へ、当該曲げ仕様及び支持仕様を実現する制御データや、前記ハウジング仕様に副った制御データを出力する。
サーボモータ等の各アクチュエータは、前記制御データによって正転又は逆転を繰り返しつつ各々所定の役割を果たす。