(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5913613
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】自動車用タンク、特に自動車用の燃料タンク又は補助流体タンク、及びこれらタンクの製造方法
(51)【国際特許分類】
B60K 15/03 20060101AFI20160414BHJP
B29C 49/04 20060101ALI20160414BHJP
B29C 49/20 20060101ALI20160414BHJP
B29C 49/48 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
B60K15/03 B
B29C49/04
B29C49/20
B29C49/48
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-540335(P2014-540335)
(86)(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公表番号】特表2015-504386(P2015-504386A)
(43)【公表日】2015年2月12日
(86)【国際出願番号】EP2012004146
(87)【国際公開番号】WO2013068064
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2014年7月4日
(31)【優先権主張番号】102011117999.6
(32)【優先日】2011年11月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598001467
【氏名又は名称】カウテックス テクストロン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
(72)【発明者】
【氏名】ゲーベルト,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ヒルト,ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュッツェン,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】メーレン,クリストフ
【審査官】
川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−093408(JP,A)
【文献】
特開2003−159950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/03
B29C 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに相補的な2つのシェルから構成される自動車用のタンク(1)、特に、自動車用の燃料タンクまたは補助流体タンクであって、前記シェルが、前記タンク(1)の対向する壁領域(3a、3b)同士を接続する少なくとも1つの支柱によって互いに支持され、前記支柱が中空支柱(4)として構成され、前記中空支柱(4)が2つの要素で構成され、前記中空支柱(4)の前記要素同士がプラグ接続を介して互いに掛止され、掛止接続部が少なくとも1つの閉止体(12)によって固定されているものであり、
前記中空支柱(4)の前記要素(4a、4b)のそれぞれが、関連する前記シェルの壁に溶接および/またはリベット止めされており、
前記中空支柱(4)の前記要素(4a、4b)が、互いの中に掛止されるスリーブ端部(7)およびプラグ端部(8)を有することを特徴とするタンク(1)。
【請求項2】
前記固定位置にある閉止体が、少なくとも前記掛止接続部と同じ高さで少なくとも部分的に前記中空支柱(1)の横断面を塞ぐものであることを特徴とする請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記シェルおよび前記中空支柱(4)が好ましくは熱可塑性プラスチック材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載のタンク。
【請求項4】
少なくとも1つの掛止ばね(10)が前記プラグ端部(8)に設けられ、前記掛止ばねが、前記スリーブ端部(7)の対応して構成された掛止凹部(11)に係合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンク。
【請求項5】
前記閉止体(12)は、伸長された位置にて、関連する掛止凹部(11)に係合している前記掛止ばね(10)を保持することを特徴とする請求項4に記載のタンク。
【請求項6】
前記閉止体(12)が、固定位置で前記掛止接続部の背後に係合するシリンダとして構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のタンク。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のタンクを製造するための方法において、
−互いに相補的な2つのシェルを熱可塑性プラスチック材料から製造する工程と、
−中空支持要素の形態の取付部品を、該中空支持要素のそれぞれが溶接および/またはリベット止めによって前記シェルに接続されるように、各シェルに導入する工程であって、前記支持要素のそれぞれが、互いの中に掛止可能な相補的スリーブ端部およびプラグ端部を有し、一方の支持要素内にシリンダ状の閉止体が支持要素に変位可能に配置されているものと、
−前記支持要素同士が互いに係合して前記中空支柱を形成するように、前記シェル同士を接合する工程と、
−前記閉止体を、掛止接続部の背後に係合する位置内に移動させる工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記シェルが成形金型内で成形され、そして前記支持要素が前記成形の間および直後に前記シェルに導入されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記閉止体が、外側から塑性変形されて堅固に陥入されているタンク壁によって、前記掛止接続部の背後に係合する位置内に移動されることを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記タンクが押出ブロー成形によって製造され、かつ前記タンク壁が前記ブロー成形金型内でプランジャによって陥入されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シェルの成形、前記支持要素の導入、および陥入部の形成が、押出成形されたプラスチック材料からの可塑化熱を利用して行われることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用タンクに関し、詳しくは、自動車用の燃料タンクまたは補助流体タンクであって、互いに相補的な2つのシェルから構成され、これらのシェルが、タンクを貫通すると共にタンクの対向する壁領域同士を接続する少なくとも1つの支柱によって互いに支持されるタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなタンクは、例えば、(特許文献1)に開示されている。(特許文献1)は、熱可塑性プラスチック材料からなる中空体の製造方法であって、可塑化されたプラスチック材料からなるウェブ状またはシート状の予備成形物が、鋳型キャビティを形成する多分割金型内で、該予備成形物を鋳型キャビティの内部形状に延伸させて張り付けることによって成形されるものであり、最初に、互いに相補的であるシェルの形態の2つの中間生成物の形成工程を含み、設置位置で互いに面するシェルのそれぞれの内面に各支柱要素が固定される方法に関する。互いに相補的であるシェルの支柱要素同士は、互いに接合されてタンクを補強する支柱を形成するように結合されるという意味で、それぞれ互いに相補的に形成される。支柱の互いに相補的な要素が互いに係合するように、シェル同士が互いに接合される。支柱のこれらの要素は、掛止ピンとスリーブ状の掛止受入部とからなるタイロッドを形成する。2つの支柱要素は、中空体の製造中に、シェル同士が互いに正反対に配置されるように、これらのシェルのそれぞれの内壁で互いに対して位置決めされる。次に、シェル同士が金型内で互いに接合されて溶接されると、支柱の一要素の掛止ピンは、支柱の異なる要素の対応する掛止受入部に係合し、タイロッドに掛止される。このようにして、完成したタンクの対向する壁同士が互いにほぼ取り外し不能に支持される。
【0003】
特に、燃料タンクは、一般的に、タンクの寿命のために補強支持部がタンク内部に留まるように設計されている。このことは、例えば充填レベルセンサ、燃料ポンプ、通気弁等のような、その中に配置された機能構成要素を備える完成したタンクが、自動車全体の寿命のためにメンテナンスフリーであるように設計されることを意味する。これは、自動車の他の補助流体タンクにも関連する。
【0004】
このようなタンクの寿命中、前記タンクは、一方では温度変化および/または燃料のサージングにより、他方ではドライビングダイナミクスによって生じるタンク内のサージング運動により、多かれ少なかれ内部圧力変動を受ける。最後に、部品は、特に熱可塑性プラスチック材料からなる場合にタンクの内部に配置され、燃料の作用を継続的に受け、これは、材料組成に応じて、例えばHDPEベースのプラスチックの場合に、膨張、反りおよび変形をもたらす可能性がある。潜在的に、このような膨張および変形は掛止接続部またはスナップ接続部の確実な接続を損なうかもしれない。掛止接続が、すべての考えられる負荷条件下でタンクの寿命全体にわたって保持しているかどうかについては、一般にはタンク製造後にタンク内部にはもはやアクセス不能であるので、長期間にわたる複雑なテストによって、理論上でのみ決定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2006 031 902 A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、機械的耐荷重性能に関して、冒頭に述べた種類の壁同士間の支柱および/または壁同士間の支持部を有する燃料タンクを改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、互いに相補的な2つのシェルから構成され、これらのシェルが
、タンクの対向する壁領域同士を接続する少なくとも1つの支柱によって互いに支持され、前記支柱が中空支柱として構成され、該中空支柱が2つの要素で構成され、中空支柱のこれらの要素がプラグ接続を介して互いに掛止され、掛止接続部が少なくとも1つの閉止体によって固定される自動車用タンク、特に、自動車用の燃料タンクまたは補助流体タンクによって達成される。
【0008】
本発明は、タンクの製造中にタイロッドの要素同士の掛止を伴う2部品タイロッドの概念を使用し、タンクの製造中に生じた「見えない」掛止を閉止体によって固定するという前記発明に要約され得るものであり、その結果、タンク内の張力および/または圧力が変化した場合にまたは掛止フックの膨張、反りおよび変形によって、通常の掛止ロックが動作中にロック解除および/または動作中に故障することができなくなる。
【0009】
閉止体は、例えば、少なくとも掛止接続部と同じ高さで、中空支柱の横断面を少なくとも部分的に塞ぐことができる。
【0010】
あるいは、閉止体は、中空支柱を外側から囲んで掛止部を固定するリングとして構成されてもよく、掛止部は、例えば、張り出し位置にある1つ以上の掛止ばねの下方に係合する固定位置で、リングによって固定される。
【0011】
タンクのシェル同士の接合プロセス中に完成する多部品タイロッドを使用することにより、タンクの従来の壁同士溶接または一部品タイロッドと比較して、前記タイロッドのためにタンク内のより小さな容積損失を考慮するだけでよいという利点が得られる。
【0012】
本発明によるタンクの好ましい変形形態では、熱可塑性プラスチック材料からなるシェルおよび中空支柱が設けられている。好ましくは一つの熱可塑性プラスチック材料が使用され得る。シェルおよび中空支柱はHDPEベースのプラスチックから構成されるものでもよい。
【0013】
中空支柱の接続部が上記のように固定されている場合、燃料および/またはアルコールまたは他の化学物質に対する、中空支柱のために使用される材料の耐性は、それほど重要ではない役割を果たす。
【0014】
中空支柱の各要素は、対応するシェルの壁にそれぞれ溶接および/またはリベット止めされることが好適である。本出願の意味において「溶接」という用語は、圧力および熱を使用することによる相溶性プラスチック材料の互いの接続として理解される。さらに、中空支柱の各要素はシェルの内壁にそれぞれリベット止めされ得る。このリベット止めは、例えば、いわゆる「その場(イン・サイチュ)」リベット止めとして実行されてもよく、このことは、例えば、中空支柱をシェル内に取り付けるかまたは挿入するときに、シェルの熱溶融材料が中空支柱の基部の孔または貫通穴を通って、それらの背後に流れ、係合することを意味する。
【0015】
本発明によるタンクの特に有利な変形形態においては、中空支柱の各要素が、互いの中に掛止されおよび/または互いの中に掛止できる一つのスリーブ端部および一つのプラグ端部を有するように設けられている。言い換えれば、中空支柱の一方の要素には一つのスリーブ端部が設けられ、そのスリーブ端部に相補的な中空支柱の要素には一つのプラグ端部が設けられている。
【0016】
少なくとも1つの掛止ばねがプラグ端部に設けられ、前記掛止ばねが、それに対応して構成されたスリーブ端部の掛止凹部に係合することが好都合である。もちろん、複数の掛止バネがプラグ端部にその外周にわたって分散させて設けてもよく、これら掛止ばねのそれぞれはスリーブ端部の対応する掛止凹部と協働する。
【0017】
閉鎖位置の閉止体は、掛止ばねが対応する掛止凹部に係合している張り出し位置において該掛止ばねを保持することが好ましい。
【0018】
閉止体は、例えば、固定位置で掛止接続部背面に係合するシリンダとして構成され得る。このようなシリンダは、例えば、中空支柱の一方に、好ましくはプラグ端部を有する中空支柱の一方に変位可能に配置されてもよい。シリンダが掛止ばねの背後に係合する位置内に移動されると、掛止ばねを偏向することはもはや不可能であり、したがって、掛止接続部は取り外し不能に固定される。
【0019】
中空支柱および閉止体は、必ずしもシリンダ状である必要はなく、その代わりに、他の正方形または多角形の輪郭も考えられる。
【0020】
上記の目的はまた、以下の工程、即ち、
−互いに相補的な2つのシェルを熱可塑性プラスチック材料から製造する工程と、
−中空支持要素の形態の取付部品を、該中空支持要素のそれぞれが材料接合および/または形状嵌合によってシェルに接続されるように、各シェルに導入する工程であって、支持要素のそれぞれが、互いに掛止可能な相補的プラグ端部を有し、一方の支持要素内にシリンダ状の閉止体が変位可能に配置されているものと、
−支持要素同士が互いに係合してタンクを貫通する中空支柱を形成するように、シェル同士を接合する工程と、
−閉止体を、掛止接続部の背後に係合する位置内に移動させる工程と、
を有することで特徴付けられる、上述した種類のタンクを製造するための方法によって達成される。
【0021】
好ましくは、シェルは成形金型内で成形され、そして支持要素はその成形中又は成形直後にシェルに導入されるように設けられる。
【0022】
これらのシェルは、例えば熱可塑性プラスチック材料の射出成形によって得ることができ、各支持要素は、その完成したシェルに別の工程で個別に射出成形または溶接される。
【0023】
本方法の特に好適かつ有利な変形形態では、閉止体が、外側から塑性変形され堅固に陥入されているタンク壁によって、掛止接続部の背後に係合する位置内に移動されるように設けられている。
【0024】
このために、例えば、タンク壁を加熱し、タンク壁の対応する箇所で外側からタンク壁の中にパンチを押し込むようにしてもよく、その結果、閉止体が掛止接続部の背後に係合する位置内へ押しやられるように、タンク壁が関連する中空支柱内へ変位される。
【0025】
あるいは、タンク壁のこのような変形は、シェルの成形中に、すなわち、前記シェルが未だ暖かい塑性状態にあるときに、既に行われているようにしてもよい。
【0026】
タンクが押出ブロー成形によって製造される場合は、タンク壁がブロー成形金型内でプランジャによって陥入されることが有利である。この場合、シェルの成形、支持要素の導入、および陥入部の形成は、押出成形されたプラスチック材料の可塑化熱を利用することによって行われる。
【0027】
タンクは、例えば、複数のウェブ状の予備成形物、または2つのウェブに分割される管状の予備成形物の押出ブロー成形によって製造され得る。次に、予備成形物は、差圧を加えることによって多分割ブロー成形金型の内部形状に対して張り付けられ得る。ブロー成形金型のキャビティで成形された予備成形物の未だ暖かい塑性状態において、例えばマニピュレータによってまたは別の金型部分によって、互いに対面するまたは互いに向き合う各シェルの側面に、中空支柱の各要素が、対応する箇所で溶接される。成形金型が閉じられたときに、中空支柱のスリーブ端部およびプラグ端部が互いに貫入して掛止接続部を形成するように、中空支柱の各要素が好適に設計される。当該金型が閉じられ、シェル同士がブロー成形金型内の対応する箇所で互いに接合されるとき、これらシェルはまた縁部で互いに溶接されており、プランジャまたはラムが、シェルのタンク壁を中空支柱内へ陥入するよう伸長される。閉止体が掛止接続部を固定する位置に配置されるまで、シリンダまたはピストンの形態で中空支柱内に移動可能に装着さた閉止体が、この場合、中空支柱の内部に変位された壁材によって中空支柱内にさらに押し込まれる。ここで、中空支柱および閉止体の両方が、必ずしも円形断面を有する必要がないことに留意されたい。
【0028】
このようにして形成された壁の陥入部は、完成したタンクに残存する。材料が完全に凝固した後に、閉止体の位置が最後的に設定される。
【0029】
既に上述したように、タンクは、HDPEベースの熱可塑性プラスチック材料の単層または多層の押出物から得られていてもよい。タンクは、炭化水素、酸素等のバリア特性を有することが可能である。実施形態を参照して、本発明について以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】非固定状態におけるタンク内部の中空支柱の部分断面図を示す。
【
図3】固定状態における本発明によるタンクの中空支柱の部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
既に上述したように、本発明によるタンク1は、例えば、燃料タンク用の通常の取付部品を有する自動車用燃料タンクとして提供され得る。
図1に示したタンク1は、非常に簡略化して概略的に示されている。タンク1は熱可塑性プラスチック材料から一体に形成されており、任意の外形を有しても良く、特に、簡略化のために図示されていない給油管および吐出口を備えることができる。タンク1のタンク壁2は、対向する2つの大面積壁領域3a及び3b、ならびに対向する2つの小面積壁領域3c及び3dを備える。
【0032】
本発明の意味において「一体の」という用語は、タンクが2つの相補的シェルから構成されるという事実を排除するものではない。前記シェルは周辺フランジの縁部で互いに完全に溶接されていることが可能であり、その結果、タンクは実質的に密閉され、一体に形成される。
【0033】
本発明によるタンク1は、好ましくは、押出ブロー成形によって、例えば、特許文献1に記載されているような方法によって得られており、この場合、本発明の開示の目的で(特許文献1)の全内容を参照されたい。
【0034】
図1から判るように、タンク1の対向する大面積壁領域3a、3bは中空支柱4によって互いに支持されている。
【0035】
本発明の意味において、「中空支柱」という用語は、支柱が少なくとも部分的に中空であることを理解されたい。
【0036】
中空支柱4は2つの要素4aおよび4bから構成され、その中空支柱の各要素4a、4bは、材料接合および/または形状嵌合によってタンク壁2に接続された基部5を有している。
【0037】
既に上述されているように、中空支柱の要素4a、4bは、ブロー成形金型6内で熱可塑性プラスチック材料の予備成形物をシェルに形成した直後のタンク壁2に取り付けられおよび/または成形されている。
【0038】
図2および
図3は、ブロー成形金型6内の未だ暖いプラスチックタンク壁2に中空支柱の各要素4a、4bが基部5の領域で接続された後の、当該ブロー成形金型内部のタンク1の部分断面図を示しており、ブロー成形金型6は、基部5から離れた中空支柱の要素4a、4bの端部が互いに係合し、掛止されるように閉じられている。
【0039】
中空支柱の要素4aには、拡径されたスリーブ端部7が設けられているのに対し、他方の要素には、そのスリーブ端部7に相補的なプラグ端部8が設けられている。
【0040】
全体的にほぼ同じ直径を有する中空支柱4を得られることができるようにするため、掛止状態にて互いに当接するストッパを形成する径方向段部/肩部9のそれぞれがスリーブ端部7およびプラグ端部8に設けられるように、スリーブ端部7は他部分の横断面に対して拡径されるが、プラグ端部8は他部分の横断面に対して縮径されている。
【0041】
プラグ端部8には、押し込めることができる複数の掛止ばね10が設けられることが好ましく、これらの掛止ばね10は掛止状態にて跳ね返り、スリーブ端部7の対応する掛止凹部11に嵌入する。
【0042】
シリンダ状の閉止体12は中空支柱の要素4bの内部に変位可能に配置されている。閉止体12はまた直径が階段状になっており、その閉止体12の一端はプラグ端部8の内径に対応し、そして閉止体12の直径は中空支柱の残り部分の横断面の内径よりも僅かに小さい。
【0043】
既述したように、
図2は、中空支柱4の掛止状態を示しており、ここでは、閉止体12はその初期位置にあり、中空支柱4の掛止部は固定されていない。プランジャはブロー成形金型6内において13で示されており、前記プランジャは、
図3において、ブロー成形金型6の壁から伸長された位置に示されている。この位置において、プランジャ13は、タンク壁2の材料を、タンク壁2に向かって開口した中空支柱の要素4bの断面内に変位させ、このようにタンク壁2の外側に形成された窪みが、固定された中空支柱4に対して閉止体12を軸方向に変位させている。
【0044】
閉止体12の移動に関して、閉止体12の大直径領域が掛止ばね10の背後に係合する位置に、閉止体12が当接するように、縮径された閉止体のガイド端部が、縮径された中空支柱の要素4bのプラグ端部8に貫入している。掛止ばね10は、押し込まれ、その結果として解除がもはや不可能とされる位置に固定されている。
【0045】
図3に示した位置において、タンク1の完成後、閉止体12は、ここで図示した位置に永続的に留まるように、タンク壁2が凝固される。
【0046】
本発明の重要な利点は、内部からの掛止ばねの支持機能にある。結果として、掛止部の機械的安定性を著しく向上させることができる。特に、本発明によるタンクが、炭化水素に対するバリア層を備えた多層タンク壁で燃料タンクとして製造されている場合、二部材構成の中空支柱を用いた本発明によるタンクの安定化は、多層システムの透過性能に悪影響を与えることなく、タンクの機械的安定性を向上させるための簡単なオプションを提供する。特に、燃料膨潤および温度の影響による掛止ばねまたは他の掛止フックのクリープ変形が大幅に低減されおよび/または完全に排除される。
【0047】
本タンクの特に好ましい用途は、例えば、ガソリンハイブリッド車の加圧タンクとしての適用である。
【0048】
当然、本発明によるタンクは、任意の箇所に設けられた1つ以上の支柱/中空支柱を有してもよく、これらはタンク壁2の壁領域間に対応して固定される。
【符号の説明】
【0049】
1 タンク
2 タンク壁
3a、b 大面積壁領域
3c、d 小面積壁領域
4 中空支柱
4a、b 中空支柱の要素
5 基部
6 ブロー成形金型
7 スリーブ端部
8 プラグ端部
9 肩部
10 掛止ばね
11 掛止凹部
12 閉止体
13 プランジャ