(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0014】
本明細書において、ポリ(ADPリボシル)トランスフェラーゼ(PARP)阻害剤であり得、かつ、例えば、がん、卒中、頭部外傷、および神経変性疾患を治療する際に有用でありうる化合物を開示する。がん治療剤として、本明細書に記載の化合物/薬学的に許容される塩を、DNA損傷細胞毒性剤、例えば、シスプラチン、トポテカン、イリノテカン、もしくはテモゾロミド、および/または放射線との併用で用いてもよい。
【0015】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物を提供する:
式中、
Yは、それぞれの場合で、-CR
1R
2-、-R
3C=CR
4-、-NR
5-、-O-、および-S-から独立に選択され;
pは、2から5などの、さらには2から4などの、2から12の範囲の整数であり、例えば、pは2または3の整数であり;
Zは、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-CN、-NO
2、-OR
6、-NR
6R
7、-NR
6COR
7、-NR
6-NR
7COR
8、-NR
6SO
2R
7、-CONR
6R
7、-COOR
6、および-SO
2R
6から独立に選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
nは、0から2などの、0から3の範囲の整数であり、例えば、nは0または1の整数であり;
R
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-NR
6R
7、-OR
6、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、-NR
6CONR
7R
8、-NR
6CO
2R
7、-NR
6SO
2R
7、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;かつ(Y)
pが-CR
1R
2-CR
1R
2-を含む場合、2個の炭素のそれぞれに
おいて置換され
たR
1またはR
2は、それらが結合している該2個の炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい3から8員の環を形成し
てもよく、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-および-SO
2-から独立に選択される0、1または2個のヘテロ原子を有していて、飽和または部分不飽和であり;
R
3およびR
4は同じでも、もしくは異なっていてもよく、それぞれ水素およびアルキルから選択されるか、またはR
3およびR
4は、それらが結合している炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい5、6、7、もしくは8員の環を形成し、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-および-SO
2-から独立に選択される0、1もしくは2個のヘテロ原子を有していて、部分不飽和もしくは完全不飽和であり;
R
5は、それぞれの場合で、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、SO
2NR
6R
7および-SO
2R
6から独立に選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
6、R
7およびR
8は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
9は、それぞれの場合で、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキニル、オキソ、-CN、-OR'、-NR'R''、-COR'、-CO
2R'、-CONR'R''、-C(=NR')NR''R'''、-NR'COR''、-NR'CONR'R''、-NR'CO
2R''、-SR'、-SOR'、-SO
2R'、-NR'SO
2NR''R'''、およびNR'SO
2R''から独立に選択され、ここでR'、R''、およびR'''は水素、ハロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから独立に選択され;かつ
R
10は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される。
【0016】
少なくとも1つの薬学的に許容される担体と、本明細書に記載の式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物とを含む薬学的組成物も提供する。
【0017】
PARPを阻害する方法であって、PARPを、該PARPを阻害するのに有効な量の、本明細書に記載の式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物と接触させる段階を含む方法も提供する。
【0018】
PARPの阻害に反応性の少なくとも1つの疾患を処置する方法であって、少なくとも1つの疾患に対するそのような処置を必要としていると認められる対象に、該少なくとも1つの疾患を処置するのに有効な量の、本明細書に記載の式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物を投与する段階を含む方法も提供し、ここで該少なくとも1つの疾患は、例えば、がん(白血病、大腸がん、神経膠芽腫、リンパ腫、黒色腫、乳がん、および子宮頸がんなど)、細胞毒性がん(cytotoxic cancer)、虚血再灌流傷害(限定されないが、心不全、心筋梗塞、卒中、他の神経外傷、および臓器移植に関連するものなど)、再灌流(眼、腎臓、腸管および骨格筋の再灌流など)、炎症疾患(関節炎、痛風、炎症性腸疾患、CNS炎症、多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎、敗血症、敗血症性ショック、出血性ショック、肺線維症、およびブドウ膜炎など)、免疫疾患または障害(関節リウマチおよび敗血症性ショックなど)、変性疾患(糖尿病およびパーキンソン病など)、低血糖症、レトロウイルス感染症、アセトアミノフェン過量投与後の肝毒性、ドキソルビシンおよび白金系抗悪性腫瘍剤による心および腎毒性、サルファマスタードに続発する皮膚損傷から選択される。
【0019】
PARPを阻害するための医薬の製造における、本明細書に記載の式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物の使用も提供する。
【0020】
例えば、がん(白血病、大腸がん、神経膠芽腫、リンパ腫、黒色腫、乳がん、および子宮頸がんなど)、細胞毒性がん、虚血再灌流傷害(限定されないが、心不全、心筋梗塞、卒中、他の神経外傷、および臓器移植に関連するものなど)、再灌流(眼、腎臓、腸管および骨格筋の再灌流など)、炎症疾患(関節炎、痛風、炎症性腸疾患、CNS炎症、多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎、敗血症、敗血症性ショック、出血性ショック、肺線維症、およびブドウ膜炎など)、免疫疾患または障害(関節リウマチおよび敗血症性ショックなど)、変性疾患(糖尿病およびパーキンソン病など)、低血糖症、レトロウイルス感染症、アセトミノフェン過量投与後の肝毒性、ドキソルビシンおよび白金系抗悪性腫瘍剤による心および腎毒性、サルファマスタードに続発する皮膚損傷から選択される少なくとも1つの疾患を処置するための医薬の製造における、本明細書に記載の式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物の使用も提供する。
[本発明1001]
式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される、少なくとも1つの化合物:
式中、
Yは、それぞれの場合で、-CR
1R
2-、-R
3C=CR
4-、-NR
5-、-O-、および-S-から独立に選択され;
pは2から12の範囲の整数であり;
Zは、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-CN、-NO
2、-OR
6、-NR
6R
7、-NR
6COR
7、-NR
6-NR
7COR
8、-NR
6SO
2R
7、-CONR
6R
7、-COOR
6、および-SO
2R
6から独立に選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
nは0から3の範囲の整数であり;
R
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-NR
6R
7、-OR
6、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、-NR
6CONR
7R
8、-NR
6CO
2R
7、-NR
6SO
2R
7、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;かつ(Y)
pが-CR
1R
2-CR
1R
2-を含む場合、2個の炭素のそれぞれに
おいて置換され
たR
1またはR
2は、それらが結合している該2個の炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい3から8員の環を形成し
てもよく、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-および-SO
2-から独立に選択される0、1または2個のヘテロ原子を有していて、飽和または部分不飽和であり;
R
3およびR
4は同じでも、もしくは異なっていてもよく、それぞれ水素およびアルキルから選択されるか、またはR
3およびR
4は、それらが結合している炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい5、6、7、もしくは8員の環を形成し、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-および-SO
2-から独立に選択される0、1もしくは2個のヘテロ原子を有していて、部分不飽和もしくは完全不飽和であり;
R
5は、それぞれの場合で、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、SO
2NR
6R
7および-SO
2R
6から独立に選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
6、R
7およびR
8は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
9は、それぞれの場合で、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキニル、オキソ、-CN、-OR'、-NR'R''、-COR'、-CO
2R'、-CONR'R''、-C(=NR')NR''R'''、-NR'COR''、-NR'CONR'R''、-NR'CO
2R''、-SR'、-SOR'、-SO
2R'、-NR'SO
2NR''R'''、およびNR'SO
2R''から独立に選択され、ここでR'、R''、およびR'''は水素、ハロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから独立に選択され;かつ
R
10は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される。
[本発明1002]
式(II)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される、本発明1001の少なくとも1つの化合物:
式中、
pは2から12の範囲の整数であり;
Zは、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-CN、-NO
2、-OR
6、-NR
6R
7、-NR
6COR
7、-NR
6-NR
7COR
8、-NR
6SO
2R
7、-CONR
6R
7、-COOR
6、および-SO
2R
6から独立に選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
nは0から3の範囲の整数であり;
R
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-NR
6R
7、-OR
6、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、-NR
6CONR
7R
8、-NR
6CO
2R
7、-NR
6SO
2R
7、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;かつ2個の隣接した炭素のそれぞれに
おいて置換され
たR
1またはR
2は、それらが結合している該2個の隣接した炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい3から8員の環を形成し
てもよく、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-および-SO
2-から独立に選択される0、1または2個のヘテロ原子を有していて、飽和または部分不飽和であり;
R
6、R
7およびR
8は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
9は、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキニル、オキソ、-CN、-OR'、-NR'R''、-COR'、-CO
2R'、-CONR'R''、-C(=NR')NR''R'''、-NR'COR''、-NR'CONR'R''、-NR'CO
2R''、-SR'、-SOR'、-SO
2R'、-NR'SO
2NR''R'''、およびNR'SO
2R''から独立に選択され、ここでR'、R''、およびR'''はH、ハロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より独立に選択され;かつ
R
10は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される。
[本発明1003]
式(II-1)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される、本発明1001の少なくとも1つの化合物:
式中、
pは2から12の範囲の整数であり;
Zは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-CN、-NO
2、-OR
6、-NR
6R
7、-NR
6COR
7、-NR
6-NR
7COR
8、-NR
6SO
2R
7、-CONR
6R
7、-COOR
6、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-NR
6R
7、-OR
6、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、-NR
6CONR
7R
8、-NR
6CO
2R
7、-NR
6SO
2R
7、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;かつ2個の隣接した炭素のそれぞれに
おいて置換され
たR
1またはR
2は、それらが結合している該2個の隣接した炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい3から8員の環を形成し
てもよく、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-および-SO
2-から独立に選択される0、1または2個のヘテロ原子を有していて、飽和または部分不飽和であり;
R
6、R
7およびR
8は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
9は、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキニル、オキソ、-CN、-OR'、-NR'R''、-COR'、-CO
2R'、-CONR'R''、-C(=NR')NR''R'''、-NR'COR''、-NR'CONR'R''、-NR'CO
2R''、-SR'、-SOR'、-SO
2R'、-NR'SO
2NR''R'''、およびNR'SO
2R''から独立に選択され、ここでR'、R''、およびR'''は水素、ハロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから独立に選択され;かつ
R
10は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される。
[本発明1004]
式(II-2)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される、本発明1001の少なくとも1つの化合物:
式中、
pは、2から5などの、さらには2から4などの、さらには2から3などの、2から12の範囲の整数であり;
Zは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-CN、-NO
2、-OR
6、-NR
6R
7、-NR
6COR
7、-NR
6-NR
7COR
8、-NR
6SO
2R
7、-CONR
6R
7、-COOR
6、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-NR
6R
7、-OR
6、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、-NR
6CONR
7R
8、-NR
6CO
2R
7、-NR
6SO
2R
7、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;かつ2個の隣接した炭素のそれぞれに
おいて置換され
たR
1またはR
2は、それらが結合している該2個の隣接した炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい3から8員の環を形成し
てもよく、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-および-SO
2-から独立に選択される0、1または2個のヘテロ原子を有していて、飽和または部分不飽和であり;
R
6、R
7およびR
8は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
9は、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキニル、オキソ、-CN、-OR'、-NR'R''、-COR'、-CO
2R'、-CONR'R''、-C(=NR')NR''R'''、-NR'COR''、-NR'CONR'R''、-NR'CO
2R''、-SR'、-SOR'、-SO
2R'、-NR'SO
2NR''R'''、およびNR'SO
2R''から独立に選択され、ここでR'、R''、およびR'''は水素、ハロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから独立に選択され;かつ
R
10は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される。
[本発明1005]
式(II-3)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される、本発明1001の少なくとも1つの化合物:
式中、
p'は0〜10の範囲の整数であり;
Zは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-CN、-NO
2、-OR
6、-NR
6R
7、-NR
6COR
7、-NR
6-NR
7COR
8、-NR
6SO
2R
7、-CONR
6R
7、-COOR
6、および-SO
2R
6からなる群より選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-NR
6R
7、-OR
6、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、-NR
6CONR
7R
8、-NR
6CO
2R
7、-NR
6SO
2R
7、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
6、R
7およびR
8は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
9は、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキニル、オキソ、-CN、-OR'、-NR'R''、-COR'、-CO
2R'、-CONR'R''、-C(=NR')NR''R'''、-NR'COR''、-NR'CONR'R''、-NR'CO
2R''、-SR'、-SOR'、-SO
2R'、-NR'SO
2NR''R'''、およびNR'SO
2R''から独立に選択され、ここでR'、R''、およびR'''は水素、ハロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから独立に選択され;かつ
R
10は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される。
[本発明1006]
式(III)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される、本発明1001の少なくとも1つの化合物:
式中、
Yは、それぞれの場合で、CR
1R
2-、-R
3C=CR
4-、-NR
5-、-O-、および-S-から独立に選択され;
p''は、1から4などの、さらには1から3などの、1から11の範囲の整数であり、例えば、p''は1または2の整数であり;
Zは、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-CN、-NO
2、-OR
6、-NR
6R
7、-NR
6COR
7、-NR
6-NR
7COR
8、-NR
6SO
2R
7、-CONR
6R
7、-COOR
6、および-SO
2R
6から独立に選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
nは、0から2などの、0から3の範囲の整数であり、例えば、nは0または1の整数であり;
R
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-NR
6R
7、-OR
6、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、-NR
6CONR
7R
8、-NR
6CO
2R
7、-NR
6SO
2R
7、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;かつ(Y)
p''が-CR
1R
2-CR
1R
2-を含む場合、2個の炭素のそれぞれに
おいて置換され
たR
1またはR
2は、それらが結合している該2個の炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい3から8員の環を形成し
てもよく、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-および-SO
2-から独立に選択される0、1または2個のヘテロ原子を有していて、飽和または部分不飽和であり;
R
3およびR
4は同じでも、もしくは異なっていてもよく、それぞれ水素およびアルキルから選択されるか、またはR
3およびR
4は、それらが結合している原子と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい5、6、7、もしくは8員の環を形成し、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-、および-SO
2-から独立に選択される0、1もしくは2個のヘテロ原子を有していて、部分不飽和もしくは完全不飽和であり;
R
5は水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、SO
2NR
6R
7および-SO
2R
6から独立に選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
6、R
7およびR
8は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
9は、それぞれの場合で、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキニル、オキソ、-CN、-OR'、-NR'R''、-COR'、-CO
2R'、-CONR'R''、-C(=NR')NR''R'''、-NR'COR''、-NR'CONR'R''、-NR'CO
2R''、-SR'、-SOR'、-SO
2R'、-NR'SO
2NR''R'''、およびNR'SO
2R''から独立に選択され、ここでR'、R''、およびR'''は水素、ハロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから独立に選択され;かつ
R
10は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される。
[本発明1007]
以下の化合物
およびその薬学的に許容される塩から選択される、少なくとも1つの化合物。
[本発明1008]
PARP酵素アッセイにおいて1uM以下のIC
50に対応するPARP阻害活性を有する、本発明1001〜1007のいずれかの少なくとも1つの化合物。
[本発明1009]
少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含み、かつ本発明1001〜1007のいずれかの少なくとも1つの化合物の治療的有効量を活性成分として含む、薬学的組成物。
[本発明1010]
PARPの阻害に反応性のがんを処置する方法であって、それを必要としていると認められる対象に、PARPを阻害するのに有効な量の本発明1001〜1007のいずれかの少なくとも1つの化合物を投与する段階を含む方法。
[本発明1011]
PARPの阻害に反応性の少なくとも1つの疾患を処置するための医薬の製造における、本発明1001〜1007のいずれかの少なくとも1つの化合物の使用。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書において用いられる以下の単語、語句および記号は一般に、それらが用いられる文脈がそうではないと示す範囲を除き、以下に示す意味を有することが意図される。以下の略語および用語は終始示した意味を有する。
【0022】
本明細書における「アルキル」なる用語は、1から12個などの、さらには1から6個などの、1から18個の炭素原子を含む、直鎖および分枝飽和炭化水素基から選択される炭化水素基を意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、1-プロピルまたはn-プロピル(「n-Pr」)、2-プロピルまたはイソプロピル(「i-Pr」)、1-ブチルまたはn-ブチル(「n-Bu」)、2-メチル-1-プロピルまたはイソブチル(「i-Bu」)、1-メチルプロピルまたはs-ブチル(「s-Bu」)、および1,1-ジメチルエチルまたはt-ブチル(「t-Bu」)から選択されうる。アルキル基の他の例は、1-ペンチル(n-ペンチル、--CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2-ペンチル(--CH(CH
3)CH
2CH
2CH
3)、3-ペンチル(--CH(CH
2CH
3)
2)、2-メチル-2-ブチル(--C(CH
3)
2CH
2CH
3)、3-メチル-2-ブチル(--CH(CH
3)CH(CH
3)
2)、3-メチル-1-ブチル(--CH
2CH
2CH(CH
3)
2)、2-メチル-1-ブチル(--CH
2CH(CH
3)CH
2CH
3)、1-ヘキシル(--CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2-ヘキシル(--CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3)、3-ヘキシル(--CH(CH
2CH
3)(CH
2CH
2CH
3))、2-メチル-2-ペンチル(--C(CH
3)
2CH
2CH
2CH
3)、3-メチル-2-ペンチル(--CH(CH
3)CH(CH
3)CH
2CH
3)、4-メチル-2-ペンチル(--CH(CH
3)CH
2CH(CH
3)
2)、3-メチル-3-ペンチル(--C(CH
3)(CH
2CH
3)
2)、2-メチル-3-ペンチル(--CH(CH
2CH
3)CH(CH
3)
2)、2,3-ジメチル-2-ブチル(--C(CH
3)
2CH(CH
3)
2)および3,3-ジメチル-2-ブチル(--CH(CH
3)C(CH
3)
3基から選択されうる。
【0023】
本明細書における「アルケニル」なる用語は、少なくとも1つのC=C二重結合および2から6個などの、2から18個の炭素原子を含む、直鎖および分枝炭化水素基から選択される炭化水素基を意味する。アルケニル基の例は、エテニルまたはビニル(--CH=CH
2)、プロパ-1-エニル(--CH=CHCH
3)、プロパ-2-エニル(--CH
2CH=CH
2)、2-メチルプロパ-1-エニル、ブタ-1-エニル、ブタ-2-エニル、ブタ-3-エニル、ブタ-1,3-ジエニル、2-メチルブタ-1,3-ジエン、ヘキサ-1-エニル、ヘキサ-2-エニル、ヘキサ-3-エニル、ヘキサ-4-エニル、およびヘキサ-1,3-ジエニル基から選択されうる。
【0024】
本明細書における「アルキニル」なる用語は、少なくとも1つのC≡C三重結合および2から6個などの、2から18個の炭素原子を含む、直鎖および分枝炭化水素基から選択される炭化水素基を意味する。アルキニル基の例には、エチニル(--C≡CH)、1-プロピニル(-C≡CCH
3)、2-プロピニル(プロパルギル、-CH
2C≡CH)、1-ブチニル、2-ブチニル、および3-ブチニル基が含まれる。
【0025】
本明細書における「シクロアルキル」なる用語は、単環式および多環式(例えば、二環式および三環式)基を含む、飽和および部分不飽和環式炭化水素基から選択される炭化水素基を意味する。例えば、シクロアルキル基は、3から8個などの、さらには3から6個、3から5個、または3から4個などの3から12個の炭素原子を含みうる。さらには、例えば、シクロアルキル基は、3から8個、3から6個などの3から12個の炭素原子を含む、単環式基から選択されうる。単環式シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペンタ-1-エニル、1-シクロペンタ-2-エニル、1-シクロペンタ-3-エニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキサ-1-エニル、1-シクロヘキサ-2-エニル、1-シクロヘキサ-3-エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル基が含まれる。二環式シクロアルキル基の例には、[4,4]、[4,5]、[5,5]、[5,6]および[6,6]環系から選択される二環式環として、またはビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタ、およびビシクロ[3.2.2]ノナンから選択される架橋二環式環として配置された、7から12個の環原子を有するものが含まれる。環は飽和であってもよく、または少なくとも1つの二重結合を有していてもよいが(すなわち、部分不飽和)、完全に共役ではなく、かつ芳香族はではなく、芳香族は本明細書において定義される。
【0026】
本明細書における「アリール」なる用語は、下記から選択される基を意味する:
5および6員の芳香族炭素環、例えば、フェニル;
少なくとも1つの環が、例えば、ナフタレン、インダン、および1,2,3,4-テトラヒドロキノリンから選択される、炭素環式および芳香族である、7から12員の二環式環系などの二環式環系;および
少なくとも1つの環が、炭素環式および芳香族、例えば、フルオレンである、10から15員の三環式環系などの三環式環系。
【0027】
例えば、アリール基は、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい5から7員の複素環またはシクロアルキルに縮合した5および6員の芳香族炭素環から選択され、ただし、芳香族炭素環が複素環と縮合している場合、結合点は芳香族炭素環にあり、芳香族炭素環がシクロアルキル基と縮合している場合、結合点は芳香族炭素環またはシクロアルキル基にありうる。置換ベンゼン誘導体から形成され、環原子に自由原子価を有する二価の基は、置換フェニレン基と呼ばれる。自由原子価を有する炭素原子から1個の水素原子を除去することにより、名前が「-イル」で終わる一価の多環式炭化水素基から誘導される二価の基は、対応する一価の基の名前に「-イデン」を加えて呼ばれ、例えば、2つの結合点を有するナフチル基はナフチリデンと呼ばれる。しかし、アリールは、以下に別に定義されるヘテロアリールを包含することはなく、またはいかなる様式でも重複することはない。したがって、1つまたは複数の芳香族炭素環が芳香族複素環と縮合している場合、生じる環系は、本明細書において定義されるヘテロアリールであって、アリールではない。
【0028】
本明細書における「アリールアルキル」なる用語は、前述の定義のとおりのアリール基で置換された、前述の定義のとおりのアルキル基を意味する。
【0029】
本明細書における「ハロゲン」または「ハロ」なる用語は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0030】
本明細書における「ヘテロアリール」なる用語は、下記から選択される基を意味する:
N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子、例えば、1から4個、または、いくつかの態様において、1から3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素である、5から7員の芳香族単環式環;
N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子、例えば、1から4個、または、いくつかの態様において、1から3個、または、他の態様において、1もしくは2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素である、8から12員の二環式環であって、少なくとも1つの環は芳香族であり、かつ芳香環に少なくとも1つのヘテロ原子が存在する環;および
N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子、例えば、1から4個、または、いくつかの態様において、1から3個、または、他の態様において、1もしくは2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素である、11から14員の三環式環であって、少なくとも1つの環は芳香族であり、かつ芳香環に少なくとも1つのヘテロ原子が存在する環。
【0031】
例えば、ヘテロアリール基には、5から7員のシクロアルキル環に縮合した5から7員の芳香族複素環が含まれる。環の1つだけが少なくとも1つのヘテロ原子を含む、そのような縮合二環式ヘテロアリール環系について、結合点は芳香族複素環またはシクロアルキル環にあってもよい。
【0032】
ヘテロアリール基におけるSおよびO原子の総数が2以上である場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接しない。いくつかの態様において、ヘテロアリール基におけるSおよびO原子の総数は2以下である。いくつかの態様において、ヘテロアリール基におけるSおよびO原子の総数は1以下である。
【0033】
ヘテロアリール基の例には、(優先順位1に割り当てられた連結位置から番号付けた)ピリジル(2-ピリジル、3-ピリジル、または4-ピリジルなど)、シンノリニル、ピラジニル、2,4-ピリミジニル、3,5-ピリミジニル、2,4-イミダゾリル、イミダゾピリジニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、チエニル、トリアジニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、フタラジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル、トリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ピラゾリル、ピロロピリジニル(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イルなど)、ピラゾロピリジニル(1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イルなど)、ベンゾキサゾリル(ベンゾ[d]オキサゾール-6-イルなど)、プテリジニル、プリニル、1-オキサ-2,3-ジアゾリル、1-オキサ-2,4-ジアゾリル、1-オキサ-2,5-ジアゾリル、1-オキサ-3,4-ジアゾリル、1-チア-2,3-ジアゾリル、1-チア-2,4-ジアゾリル、1-チア-2,5-ジアゾリル、1-チア-3,4-ジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、フロピリジニル、ベンゾチアゾリル(ベンゾ[d]チアゾール-6-イルなど)、インダゾリル(1H-インダゾール-5-イルなど)および5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0034】
本明細書における「複素環式」または「複素環」または「ヘテロシクリル」なる用語は、酸素、硫黄、および窒素から選択される、1〜4個のヘテロ原子などの、さらには1〜3個などの、またはさらには1もしくは2個のヘテロ原子などの、少なくとも1つのヘテロ原子に加えて、少なくとも1つの炭素原子を含む、4から12員の単環式、二環式および三環式、飽和および部分不飽和環から選択される環を意味する。本明細書における「複素環」は、5、6、および/または7員のシクロアルキル、芳香族炭素環または芳香族複素環と縮合した、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5から7員の複素環であって、ただし、複素環が芳香族炭素環または芳香族複素環と縮合している場合、結合点は複素環にあり、複素環がシクロアルキルと縮合している場合、結合点はシクロアルキルまたは複素環にありうる環も意味する。本明細書における「複素環」は、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む脂肪族スピロ環であって、ただし、結合点が複素環にある環も意味する。環は飽和であってもよく、または少なくとも1つの二重結合を有していてもよい(すなわち、部分不飽和)。複素環はオキソで置換されていてもよい。結合点は複素環中の炭素またはヘテロ原子であってもよい。複素環は、本明細書において定義されるヘテロアリールではない。複素環の例には、(優先順位1に割り当てられた連結位置から番号付けた)1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、2,4-イミダゾリジニル、2,3-ピラゾリジニル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、2,5-ピペラジニル、ピラニル、2-モルホリニル、3-モルホリニル、オキシラニル、アジリジニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、1,2-ジチエタニル、1,3-ジチエタニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、1,4-オキサチアニル、1,4-ジオキセパニル、1,4-オキサチエパニル、1,4-オキサアゼパニル、1,4-ジチエパニル、1,4-チアゼパニルおよび1,4-ジアゼパン1,4-ジチアニル、1,4-アザチアニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1-ピロリニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、1,4-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ジチアニル、ジチオラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、ピリミジノニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニルおよびアザビシクロ[2.2.2]ヘキサニルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。置換複素環には、ピペリジニルN-オキシド、モルホリニル-N-オキシド、1-オキソ-1-チオモルホリニルおよび1,1-ジオキソ-1-チオモルホリニルなどの、1つまたは複数のオキソ部分で置換された環系も含まれる。
【0035】
本明細書に記載の化合物は不斉中心を含んでいてもよく、したがって鏡像異性体として存在してもよい。本明細書に記載の化合物が複数の不斉中心を有する場合、それらはさらにジアステレオマーとして存在してもよい。鏡像異性体およびジアステレオマーはより広いクラスの立体異性体に入る。実質的に純粋な分割された鏡像異性体、そのラセミ混合物、ならびにジアステレオマーの混合物などの、すべての可能な立体異性体は、含まれることが意図される。本明細書において開示する化合物のすべての立体異性体および/またはその薬学的に許容される塩は、含まれることが意図される。特に記載がないかぎり、1つの異性体への言及は任意の可能な異性体に適用される。異性体組成が明記されていない場合はいつも、すべての可能な異性体が含まれる。
【0036】
本明細書において用いられる「実質的に純粋な」なる用語は、目的の立体異性体が、30重量%以下などの、さらには25重量%以下などの、さらには20重量%以下などの、35重量%以下の任意の他の立体異性体を含むことを意味する。いくつかの態様において、「実質的に純粋な」なる用語は、目的の立体異性体が、10重量%以下、例えば、1重量%以下などの5重量%以下の任意の他の立体異性体を含むことを意味する。
【0037】
本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合を含む場合、特に記載がないかぎり、そのような二重結合はEおよびZ両方の幾何異性体を含むことになる。
【0038】
本明細書に記載の化合物のいくつかは、互変異性体と呼ばれる、水素結合点が異なる状態で存在してもよい。例えば、カルボニル-CH
2C(O)-基(ケト型)を含む化合物は互変異性を起こしてヒドロキシル-CH=C(OH)-基(エノール型)を生成しうる。ケト型およびエノール型の両方は、個別にならびにその混合物が、該当する場合には含まれることが意図される。
【0039】
反応生成物を互いに、および/または出発原料から分離することは有利でありうる。各段階または一連の段階の所望の生成物を、当技術分野において一般的な技術により、所望の程度の均質性まで分離および/または精製(以下分離)する。典型的にはそのような分離は多相抽出、溶媒もしくは溶媒混合物からの結晶化、蒸留、昇華、またはクロマトグラフィを含む。クロマトグラフィは、例えば:逆相および順相;サイズ排除;イオン交換;高圧、中圧および低圧液体クロマトグラフィ法および機器;小規模分析;疑似移動床(「SMB」)および調製用薄層または厚層クロマトグラフィ、ならびに小規模薄層およびフラッシュクロマトグラフィの技術を含む任意の数の方法を含みうる。当業者であれば、所望の分離を最も達成しそうな技術を適用するであろう。
【0040】
ジアステレオマー混合物を、それらの物理化学的な差に基づき、クロマトグラフィおよび/または分別結晶などの当業者には周知の方法によって、それらの個々のジアステレオマーに分離することができる。鏡像異性体は、鏡像異性体混合物を適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコールまたはモッシャーの酸塩化物などのキラル補助剤)との反応によりジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋な鏡像異性体に変換(例えば、加水分解)することによって分離することができる。鏡像異性体は、キラルHPLCカラムの使用によって分離することもできる。
【0041】
単一の立体異性体、例えば、実質的に純粋な鏡像異性体を、光学活性分割剤を用いてジアステレオマーを生成するなどの方法を用いての、ラセミ混合物の分割によって得てもよい(Eliel, E. and Wilen, S. Stereochemistry of Organic Compounds. New York: John Wiley & Sons, Inc., 1994;Lochmuller, C. H., et al. ''Chromatographic resolution of enantiomers: Selective review.'' J. Chromatogr., 113(3) (1975): pp. 283-302)。本発明のキラル化合物のラセミ混合物を、下記を含む任意の適切な方法によって分離および単離することができる:(1)キラル化合物とのイオン性ジアステレオマーの塩の生成および分別結晶または他の方法による分離、(2)キラル誘導体化試薬とのジアステレオマー化合物の生成、ジアステレオマーの分離、および純粋な立体異性体への変換、ならびに(3)実質的に純粋または濃縮された立体異性体のキラル条件下での直接分離。Wainer, Irving W., Ed. Drug Stereochemistry: Analytical Methods and Pharmacology. New York: Marcel Dekker, Inc., 1993を参照されたい。
【0042】
「薬学的に許容される塩」には、例えば、塩酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、スルフィン酸塩、および硝酸塩から選択される、無機酸との塩;ならびに、例えば、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、酢酸塩などのアルカン酸塩、およびnが0から4から選択されるHOOC-(CH
2)
n-COOHとの塩から選択される、有機酸との塩が含まれるが、それらに限定されるわけではない。同様に、薬学的に許容されるカチオンの例には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム、およびアンモニウムが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0043】
加えて、本明細書において開示する化合物が酸付加塩として得られる場合、遊離塩基は酸性塩の溶液を塩基性化することにより得ることができる。反対に、生成物が遊離塩基である場合、薬学的に許容される付加塩などの付加塩は、塩基性化合物から酸付加塩を調製するための通常の手順に従い、遊離塩基を適切な有機溶媒に溶解し、溶液を酸で処理することによって生成してもよい。当業者であれば、非毒性の薬学的に許容される付加塩を調製するために、過度の実験を行うことなく用いうる様々な合成法を理解するであろう。
【0044】
本明細書において定義される「その薬学的に許容される塩」は、式I、II(II-1、II-2またはII-3を含む)およびIIIの少なくとも1つの化合物の塩、ならびに鏡像異性体の塩、および/またはジアステレオマーの塩などの、式I、II(II-1、II-2またはII-3を含む)およびIIIの少なくとも1つの化合物の立体異性体の塩を含む。
【0045】
「処置すること」、「処置する」、または「処置」あるいは「軽減」とは、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩を、例えば、がんおよび/もしくは炎症疾患を有する、または、例えば、がんおよび/もしくは炎症疾患の症状を有する、または、例えば、がんおよび/もしくは炎症疾患に対する素因を有する、それを必要としていると認められる対象に、例えば、がんおよび/もしくは炎症疾患、例えば、がんおよび/もしくは炎症疾患の症状、または、例えば、がんおよび/もしくは炎症疾患に対する素因を治癒させる、治す、軽減する、緩和する、変化させる、矯正する、寛解させる、改善する、またはそれらに影響をおよぼすために、投与することを意味する。
【0046】
「有効量」なる用語は、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩の、対象の疾患または障害を前述の定義のとおり「処置する」ために有効な量を意味する。がんの場合、有効量は、前述の「処置すること」、「処置する」、「処置」および「軽減」の定義において記載する、対象における観察可能または測定可能な任意の変化を引き起こしうる。例えば、有効量は、がんもしくは腫瘍細胞の数を減らす;腫瘍サイズを低減させる;例えば、腫瘍の軟部組織および骨への拡散を含む、腫瘍細胞の末梢器官への浸潤を阻害もしくは阻止する;腫瘍転移を阻害もしくは阻止する;腫瘍成長を阻害もしくは阻止する;がんに関連する症状の1つもしくは複数をある程度緩和する、罹患率および死亡率を低下させる;生活の質を改善する;またはそのような効果の組み合わせを実現することができる。有効量は、PARPの阻害に反応性の疾患の症状を低減させるのに十分な量でありうる。がん療法のために、インビボでの有効性は、例えば、生存の期間、疾患進行までの時間(TTP)、反応率(RR)、反応の持続期間、および/または生活の質を評価することによって測定することができる。有効量は、当業者には理解されるとおり、投与経路、賦形剤の使用、および他の剤の同時使用に応じて変動しうる。
【0047】
「阻害」なる用語は、生物学的活性またはプロセスの、基準活性の低下を示す。「PARPの阻害」とは、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩の非存在下でのPARPの活性に比べての、少なくとも1つの化合物および/または少なくとも1つの薬学的に許容される塩の存在に対する直接または間接的反応としてのPARPの活性の低下を意味する。活性の低下は理論に縛られることなく、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/もしくはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩の、PARPとの直接相互作用による、または本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/もしくは少なくとも1つの薬学的に許容される塩の、次にPARP活性に影響をおよぼす1つもしくは複数の他の因子との相互作用によると考えられる。例えば、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩の存在は、PARPに直接結合することにより、(直接または間接的に)別の因子がPARP活性を低下させる原因となることにより、または細胞もしくは生物中に存在するPARPの量を(直接または間接的に)低減させることにより、PARP活性を低下させうる。
【0048】
本明細書において開示する「少なくとも1つの置換基」なる用語は、例えば、1つから3つなどの、さらには1つまたは2つなどの、1つから4つの置換基を含む。例えば、本明細書において開示する「少なくとも1つの置換基R
9」は、本明細書に記載のR
9のリストから選択される、1つから3つなどの、さらには1つまたは2つなどの、1つから4つの置換基を含む。
【0049】
第一の局面において、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物を提供する:
式中、
Yは、それぞれの場合で、-CR
1R
2-、-R
3C=CR
4-、-NR
5-、-O-、および-S-から独立に選択され;
pは、2から5などの、さらには2から4などの、2から12の範囲の整数であり、例えば、pは2または3の整数であり;
Zは、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-CN、-NO
2、-OR
6、-NR
6R
7、-NR
6COR
7、-NR
6-NR
7COR
8、-NR
6SO
2R
7、-CONR
6R
7、-COOR
6、および-SO
2R
6から独立に選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
nは、0から2などの、0から3の範囲の整数であり、例えば、nは0または1の整数であり;
R
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-NR
6R
7、-OR
6、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、-NR
6CONR
7R
8、-NR
6CO
2R
7、-NR
6SO
2R
7、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;かつ(Y)
pが-CR
1R
2-CR
1R
2-を含む場合、2個の炭素のそれぞれに
おいて置換され
たR
1またはR
2は、それらが結合している該2個の炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい3から8員の環を形成し
てもよく、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-および-SO
2-から独立に選択される0、1または2個のヘテロ原子を有していて、飽和または部分不飽和であり;
R
3およびR
4は同じでも、もしくは異なっていてもよく、それぞれ水素およびアルキルから選択されるか、またはR
3およびR
4は、それらが結合している炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい5、6、7、もしくは8員の環を形成し、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-および-SO
2-から独立に選択される0、1もしくは2個のヘテロ原子を有していて、部分不飽和もしくは完全不飽和であり;
R
5は、それぞれの場合で、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、SO
2NR
6R
7および-SO
2R
6から独立に選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
6、R
7およびR
8は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
9は、それぞれの場合で、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキニル、オキソ、-CN、-OR'、-NR'R''、-COR'、-CO
2R'、-CONR'R''、-C(=NR')NR''R'''、-NR'COR''、-NR'CONR'R''、-NR'CO
2R''、-SR'、-SOR'、-SO
2R'、-NR'SO
2NR''R'''、およびNR'SO
2R''から独立に選択され、ここでR'、R''、およびR'''は水素、ハロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから独立に選択され;かつ
R
10は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される。
【0050】
いくつかの態様において、式(I)のYは、それぞれの場合で、CR
1R
2-、-R
3C=CR
4-、および-NR
5-から独立に選択される。
【0051】
いくつかの態様において、式(I)のR
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、およびアリールから選択され、ここでアルキルまたはアリールのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい。いくつかの態様において、式(I)のR
1およびR
2は両方とも水素である。いくつかの態様において、式(I)のR
1およびR
2の少なくとも1つの対はアルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)である。
【0052】
いくつかの態様において、式(I)のnは1の整数である。いくつかの態様において、式(I)のZは、ハロゲン(F、Cl、BrまたはIなど)およびアルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)から独立に選択される。
【0053】
いくつかの態様において、式(I)のpは2の整数であり;式(I)のR
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)、およびアリール(フェニルなど)から選択され;式(I)のZは、ハロゲン(F、Cl、BrまたはIなど)およびアルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)から独立に選択される。
【0054】
いくつかの態様において、式(I)のpは3の整数であり;式(I)のR
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)、およびアリール(フェニルなど)から選択され;式(I)のZは、ハロゲン(F、Cl、BrまたはIなど)およびアルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)から独立に選択される。
【0055】
いくつかの態様において、式(I)のpは4の整数であり;式(I)のR
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)、およびアリール(フェニルなど)から選択され;式(I)のZは、ハロゲン(F、Cl、BrまたはIなど)およびアルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)から独立に選択される。
【0056】
いくつかの態様において、式(I)のpは5の整数であり;式(I)のR
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)、およびアリール(フェニルなど)からなる群より選択され;式(I)のZは、ハロゲン(F、Cl、BrまたはIなど)およびアルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)から独立に選択される。
【0057】
いくつかの態様において、式(I)のpは6、7、8、9、10、11または12の整数であり;式(I)のR
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)、およびアリール(フェニルなど)から選択され;式(I)のZは、ハロゲン(F、Cl、BrまたはIなど)およびアルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)から独立に選択される。
【0058】
いくつかの態様において、式(I)の-(Y)
p-部分は-R
3C=CR
4-CH
2-の構造を有し、ここでR
3およびR
4は同じでも、もしくは異なっていてもよく、それぞれ水素およびアルキルから選択されるか、またはR
3およびR
4は、それらが結合している炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい5、6、7、もしくは8員の環を形成し、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-、および-SO
2-から独立に選択される0、1もしくは2個のヘテロ原子を有していて、部分不飽和もしくは完全不飽和である。
【0059】
いくつかの態様において、式(I)の-(Y)
p-部分は-R
3C=CR
4-CH
2-の構造を有し、ここでR
3およびR
4は、それらが結合している炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい5、6、7、または8員の環を形成し、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-、および-SO
2-から独立に選択される0、1または2個のヘテロ原子を有していて、部分不飽和または完全不飽和であり;ここでR
9は、それぞれの場合で、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキニル、オキソ、-CN、-OR'、-NR'R''、-COR'、-CO
2R'、-CONR'R''、-C(=NR')NR''R'''、-NR'COR''、-NR'CONR'R''、-NR'CO
2R''、-SR'、-SOR'、-SO
2R'、-NR'SO
2NR''R'''、およびNR'SO
2R''から独立に選択され、ここでR'、R''、およびR'''は水素、ハロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから独立に選択される。
【0060】
いくつかの態様において、式(I)の-(Y)
p-は-R
3C=CR
4-CH
2-の構造を有し、ここでR
3およびR
4は、それらが結合している炭素と一緒に、部分不飽和または完全不飽和である6員の炭素環を形成する。
【0061】
第二の局面において、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、以下の式(II)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される:
式中、
pは、2から5などの、さらには2から4などの、さらには2から3などの、2から12の範囲の整数であり;
Zは、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-CN、-NO
2、-OR
6、-NR
6R
7、-NR
6COR
7、-NR
6-NR
7COR
8、-NR
6SO
2R
7、-CONR
6R
7、-COOR
6、および-SO
2R
6から独立に選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
nは、0から2などの、さらには0から1などの、0から3の範囲の整数であり;
R
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-NR
6R
7、-OR
6、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、-NR
6CONR
7R
8、-NR
6CO
2R
7、-NR
6SO
2R
7、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;かつ2個の隣接した炭素のそれぞれに
おいて置換され
たR
1またはR
2は、それらが結合している該2個の隣接した炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい3から8員の環を形成し
てもよく、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-および-SO
2-から独立に選択される0、1または2個のヘテロ原子を有していて、飽和または部分不飽和であり;
R
6、R
7およびR
8は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
9は、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキニル、オキソ、-CN、-OR'、-NR'R''、-COR'、-CO
2R'、-CONR'R''、-C(=NR')NR''R'''、-NR'COR''、-NR'CONR'R''、-NR'CO
2R''、-SR'、-SOR'、-SO
2R'、-NR'SO
2NR''R'''、およびNR'SO
2R''から独立に選択され、ここでR'、R''、およびR'''はH、ハロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より独立に選択され;かつ
R
10は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される。
【0062】
いくつかの態様において、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、以下の式(II-1)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される:
式中、
pは、2から5などの、さらには2から4などの、さらには2から3などの、2から12の範囲の整数であり;
Zは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-CN、-NO
2、-OR
6、-NR
6R
7、-NR
6COR
7、-NR
6-NR
7COR
8、-NR
6SO
2R
7、-CONR
6R
7、-COOR
6、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-NR
6R
7、-OR
6、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、-NR
6CONR
7R
8、-NR
6CO
2R
7、-NR
6SO
2R
7、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;かつ2個の隣接した炭素のそれぞれに
おいて置換され
たR
1またはR
2は、それらが結合している該2個の隣接した炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい3から8員の環を形成し
てもよく、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-および-SO
2-から独立に選択される0、1または2個のヘテロ原子を有していて、飽和または部分不飽和であり;
R
6、R
7およびR
8は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
9は、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキニル、オキソ、-CN、-OR'、-NR'R''、-COR'、-CO
2R'、-CONR'R''、-C(=NR')NR''R'''、-NR'COR''、-NR'CONR'R''、-NR'CO
2R''、-SR'、-SOR'、-SO
2R'、-NR'SO
2NR''R'''、およびNR'SO
2R''から独立に選択され、ここでR'、R''、およびR'''は水素、ハロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから独立に選択され;かつ
R
10は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される。
【0063】
いくつかの態様において、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、以下の式(II-2)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される:
式中、
pは、2から5などの、さらには2から4などの、さらには2から3などの、2から12の範囲の整数であり;
Zは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-CN、-NO
2、-OR
6、-NR
6R
7、-NR
6COR
7、-NR
6-NR
7COR
8、-NR
6SO
2R
7、-CONR
6R
7、-COOR
6、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-NR
6R
7、-OR
6、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、-NR
6CONR
7R
8、-NR
6CO
2R
7、-NR
6SO
2R
7、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;かつ2個の隣接した炭素のそれぞれに
おいて置換され
たR
1またはR
2は、それらが結合している該2個の隣接した炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい3から8員の環を形成し
てもよく、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-および-SO
2-から独立に選択される0、1または2個のヘテロ原子を有していて、飽和または部分不飽和であり;
R
6、R
7およびR
8は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
9は、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキニル、オキソ、-CN、-OR'、-NR'R''、-COR'、-CO
2R'、-CONR'R''、-C(=NR')NR''R'''、-NR'COR''、-NR'CONR'R''、-NR'CO
2R''、-SR'、-SOR'、-SO
2R'、-NR'SO
2NR''R'''、およびNR'SO
2R''から独立に選択され、ここでR'、R''、およびR'''は水素、ハロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから独立に選択され;かつ
R
10は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される。
【0064】
いくつかの態様において、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、式(II-3)の化合物から選択される:
式中、
p'は、0から3などの、さらには0から2などの、0〜10の範囲の整数であり、例えば、pは0または1の整数であり;
Zは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-CN、-NO
2、-OR
6、-NR
6R
7、-NR
6COR
7、-NR
6-NR
7COR
8、-NR
6SO
2R
7、-CONR
6R
7、-COOR
6、および-SO
2R
6からなる群より選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-NR
6R
7、-OR
6、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、-NR
6CONR
7R
8、-NR
6CO
2R
7、-NR
6SO
2R
7、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
6、R
7およびR
8は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
9は、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキニル、オキソ、-CN、-OR'、-NR'R''、-COR'、-CO
2R'、-CONR'R''、-C(=NR')NR''R'''、-NR'COR''、-NR'CONR'R''、-NR'CO
2R''、-SR'、-SOR'、-SO
2R'、-NR'SO
2NR''R'''、およびNR'SO
2R''から独立に選択され、ここでR'、R''、およびR'''は水素、ハロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから独立に選択され;かつ
R
10は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される。
【0065】
いくつかの態様において、式(II)、(II-1)、(II-2)および(II-3)のそれぞれにおけるR
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、およびアリールから選択され、ここでアルキルまたはアリールのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい。いくつかの態様において、式(II)、(II-1)、(II-2)および(II-3)のそれぞれにおけるR
1およびR
2は両方とも水素である。いくつかの態様において、式(II)、(II-1)、(II-2)および(II-3)のそれぞれにおけるR
1およびR
2の少なくとも1つの対はアルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)である。
【0066】
いくつかの態様において、式(II)のnは1の整数である。いくつかの態様において、式(II)、(II-1)、(II-2)および(II-3)のそれぞれにおけるZは、ハロゲン(F、Cl、BrまたはIなど)およびアルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)から独立に選択される。
【0067】
いくつかの態様において、式(II)、(II-1)、および(II-2)のそれぞれにおけるpは2の整数であり;かつ式(II-3)のp'は0の整数であり;式(II)、(II-1)、(II-2)および(II-3)のそれぞれにおけるR
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)、およびアリール(フェニルなど)から選択され;式(II)、(II-1)、(II-2)および(II-3)のそれぞれにおけるZは、ハロゲン(F、Cl、BrまたはIなど)およびアルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)から独立に選択される。
【0068】
いくつかの態様において、式(II)、(II-1)、および(II-2)のそれぞれにおけるpは3の整数であり;かつ式(II-3)のp'は1の整数であり;式(II)、(II-1)、(II-2)および(II-3)のそれぞれにおけるR
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)、およびアリール(フェニルなど)から選択され;式(II)、(II-1)、(II-2)および(II-3)のそれぞれにおけるZは、ハロゲン(F、Cl、BrまたはIなど)およびアルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)から独立に選択される。
【0069】
いくつかの態様において、式(II)、(II-1)、および(II-2)のそれぞれにおけるpは4の整数であり;かつ式(II-3)のp'は2の整数であり;式(II)、(II-1)、(II-2)および(II-3)のそれぞれにおけるR
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)、およびアリール(フェニルなど)から選択され;式(II)、(II-1)、(II-2)および(II-3)のそれぞれにおけるZは、ハロゲン(F、Cl、BrまたはIなど)およびアルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)から独立に選択される。
【0070】
いくつかの態様において、式(II)、(II-1)、および(II-2)のそれぞれにおけるpは5の整数であり;かつ式(II-3)のp'は3の整数であり;式(II)、(II-1)、(II-2)および(II-3)のそれぞれにおけるR
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)、およびアリール(フェニルなど)から選択され;式(II)、(II-1)、(II-2)および(II-3)のそれぞれにおけるZは、ハロゲン(F、Cl、BrまたはIなど)およびアルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)から独立に選択される。
【0071】
いくつかの態様において、式(II)、(II-1)、および(II-2)のそれぞれにおけるpは6、7、8、9、10、11または12の整数であり;かつ式(II-3)のp'は4、5、6、7、8、9、または10の整数であり;式(II)、(II-1)、(II-2)および(II-3)のそれぞれにおけるR
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)、およびアリール(フェニルなど)から選択され;式(II)、(II-1)、(II-2)および(II-3)のそれぞれにおけるZは、ハロゲン(F、Cl、BrまたはIなど)およびアルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)から独立に選択される。
【0072】
第三の局面において、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物は、以下の式(III)の化合物および/またはその薬学的に許容される塩から選択される:
式中、
Yは、それぞれの場合で、CR
1R
2-、-R
3C=CR
4-、-NR
5-、-O-、および-S-から独立に選択され;
p''は、1から4などの、さらには1から3などの、1から11の範囲の整数であり、例えば、p''は1または2の整数であり;
Zは、それぞれの場合で、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-CN、-NO
2、-OR
6、-NR
6R
7、-NR
6COR
7、-NR
6-NR
7COR
8、-NR
6SO
2R
7、-CONR
6R
7、-COOR
6、および-SO
2R
6から独立に選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
nは、0から2などの、0から3の範囲の整数であり、例えば、nは0または1の整数であり;
R
1およびR
2は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-NR
6R
7、-OR
6、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、-NR
6CONR
7R
8、-NR
6CO
2R
7、-NR
6SO
2R
7、および-SO
2R
6から選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;かつ(Y)
p''が-CR
1R
2-CR
1R
2-を含む場合、2個の炭素のそれぞれに
おいて置換され
たR
1またはR
2は、それらが結合している該2個の炭素と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい3から8員の環を形成し
てもよく、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-および-SO
2-から独立に選択される0、1または2個のヘテロ原子を有していて、飽和または部分不飽和であり;
R
3およびR
4は同じでも、もしくは異なっていてもよく、それぞれ水素およびアルキルから選択されるか、またはR
3およびR
4は、それらが結合している原子と一緒に、少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよい5、6、7、もしくは8員の環を形成し、ここで該環は、-NR
10-、-O-、-S-、-SO-、および-SO
2-から独立に選択される0、1もしくは2個のヘテロ原子を有していて、部分不飽和もしくは完全不飽和であり;
R
5は水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-COR
6、-CO
2R
6、-CONR
6R
7、SO
2NR
6R
7および-SO
2R
6から独立に選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
6、R
7およびR
8は同じでも、または異なっていてもよく、それぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;
R
9は、それぞれの場合で、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキニル、オキソ、-CN、-OR'、-NR'R''、-COR'、-CO
2R'、-CONR'R''、-C(=NR')NR''R'''、-NR'COR''、-NR'CONR'R''、-NR'CO
2R''、-SR'、-SOR'、-SO
2R'、-NR'SO
2NR''R'''、およびNR'SO
2R''から独立に選択され、ここでR'、R''、およびR'''は水素、ハロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから独立に選択され;かつ
R
10は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される。
【0073】
いくつかの態様において、式(III)のp''は2の整数である。いくつかの態様において、式(III)のp''は2の整数であり、かつYはCR
1R
2-であり、R
1およびR
2は式(III)に対して定義されている。いくつかのさらなる態様において、式(III)のp''は2の整数であり、かつYはCR
1R
2-であり、ここでR
1およびR
2は水素である。
【0074】
いくつかの態様において、式(III)のR
5は、水素、アルキル、-COR
6、および-CO
2R
6から選択され、ここでC
1-6アルキルなどのアルキルは、アリール基などの、さらにはフェニル基などの少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよく;かつここでR
6は、-NR'CO
2R''および-NR'R''などの少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよいアルキル基(C
1-6アルキル基など)であり、ここでR'およびR''は水素、アルキル(C
1-6アルキルなど)およびアリールアルキル(アリール-C
1-6アルキル-など、さらにはフェニル-C
1-6アルキルなど)から独立に選択され;またはR
6は、アルキル(C
1-6アルキルなど、さらにはメチルなど)などの少なくとも1つの置換基R
9で置換されていてもよいシクロアルキル基(C
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8シクロアルキルなど、さらにはC
3シクロアルキルなど)である。
【0075】
いくつかの態様において、式(III)のR
5は水素である。
【0076】
いくつかの態様において、式(III)のnは1の整数であり、かつ式(III)のZは、F、ClまたはBrなどのハロゲンからなる群より選択される。
【0077】
いくつかの態様において、式(I)、(II)または(III)はそれぞれ、それらの位置異性体(I')、(II')または(III')の形で表してもよい。
【0078】
本明細書において、以下の化合物および/またはその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの化合物も提供する。
【0079】
PARPの活性を阻害する方法も本明細書において提供する。方法は、PARPを、該PARPの活性を阻害するのに有効な量の本明細書に記載の少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩と接触させる段階を含む。
【0080】
PARPの阻害に反応性の少なくとも1つの疾患を処置する方法であって、少なくとも1つの疾患に対するそのような処置を必要としていると認められる哺乳動物またはヒトなどの対象に、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩の一定量を投与する段階を含む方法も、本明細書において提供する。
【0081】
少なくとも1つの疾患は、例えば、卵巣がん、乳がん、大腸がん、白血病、神経膠芽腫、リンパ腫、黒色腫、子宮頸がんおよび他の細胞毒性がんから選択されうる。
【0082】
本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩は、例えば、がん細胞のアポトーシスを増大させること、腫瘍成長を制限すること、転移を低減させること、および腫瘍を有する哺乳動物の生存を延長することにより、単独で、または放射線および化学療法との組み合わせで用いてもよい。
【0083】
いくつかの態様において、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩を、少なくとも1つの追加の化学療法剤などの少なくとも1つの追加の治療剤との組み合わせで用いることができる。
【0084】
「化学療法剤」は、作用機作に関係なく、がんの処置において有用な化学化合物である。化学療法剤には、「標的療法」および通常の化学療法において用いられる化合物が含まれる。適切な化学療法剤は、例えば、下記から選択することができる:アポトーシスを誘導する剤;ポリヌクレオチド(例えば、リボザイム);ポリペプチド(例えば、酵素);薬物;生物学的模倣物;アルカロイド;アルキル化剤;抗腫瘍抗生物質;代謝拮抗剤;ホルモン;白金化合物;抗がん薬、毒素、および/または放射性核種とコンジュゲートしたモノクローナル抗体;生物学的応答調節物質(例えば、IFN-aなどのインターフェロンおよびIL-2などのインターロイキン);養子免疫療法剤;造血成長因子;腫瘍細胞分化を誘導する剤(例えば、全トランス型レチノイン酸);遺伝子療法試薬;アンチセンス療法試薬およびヌクレオチド;腫瘍ワクチン;ならびに血管新生阻害剤。
【0085】
化学療法剤の例には、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.);ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.);フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、AstraZeneca);スニチニブ(SUTENT(登録商標)、Pfizer);レトロゾール(FEMARA(登録商標)、Novartis);メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Novartis);PTK787/ZK 222584(Novartis);オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標)、Sanofi);5-FU(5-フルオロウラシル);ロイコボリン;ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth);ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline);ロナファルニブ(SCH 66336);ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、Bayer);イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標)、Pfizer)およびゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、AstraZeneca);AG1478、AG1571(SU 5271、Sugen);チオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロスホスファミド(cyclosphosphamide)などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのアルキルスルホナート;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロメラミンなどのエチレンイミンおよびメチラメラミン(methylamelamine);アセトゲニン(ブラタシンおよびブラタシノンなど);カンプトテシン(合成類縁体トポテカンなど);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065およびそのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類縁体;クリプトフィシン(クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8など);ドラスタチン;デュオカルマイシンならびにKW-2189およびCB1-TM1などのその合成類縁体;エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロマファジン(chlomaphazine)、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムヌスチン(ranimnustine)などのニトロス尿素(nitrosurea);エンジイン抗生物質(例えば、カリケアミシンガンマ1IおよびカリケアミシンオメガI1などのカリケアミシン(Angew Chem. Intl. Ed. Engl. (1994) 33:183-186)などの抗生物質;ジネミシンAなどのジネミシン;クロドロナートなどのビスホスホナート;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)(ドキソルビシン)、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類縁体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類縁体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジンなどのピリミジン類縁体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジコン;エルフォルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシンおよびアンサミトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products, Eugene, Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(T-2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンAおよびアングイジンなど);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOL(登録商標)(パクリタキセル;Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)、ABRAXANE(登録商標)(Cremophorを含まない)、パクリタキセルのアルブミン改変ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Ill.)、およびTAXOTERE(登録商標)(ドキセタキセル(doxetaxel);Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類縁体;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン);ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標));イバンドロナート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;および上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸および誘導体が含まれる。
【0086】
「化学療法剤」は、例えば、下記からも選択することができる:(i)腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するようにはたらく抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標);クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミファイン(toremifine))を含む、抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM);(ii)副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素であるアロマターゼを阻害する、アロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、ホルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;Novartis)、およびARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca);(iii)抗アンドロゲン、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン;ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類縁体);(iv)タンパク質キナーゼ阻害剤;(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-アルファ、RalfおよびH-Ras;(vii)リボザイム、例えば、VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))およびHER2発現阻害剤;(viii)ワクチン、例えば、遺伝子療法ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、およびVAXID(登録商標);PROLEUKIN(登録商標)rIL-2;トポイソメラーゼ1阻害剤、例えば、LURTOTECAN(登録商標);ABARELIX(登録商標)rmRH;(ix)抗血管新生剤、例えば、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech);および(x)上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸および誘導体。
【0087】
「化学療法剤」は、例えば、治療用抗体、例えば、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech);セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone);パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、ペルツズマブ(OMNITARG(登録商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia)、および抗体薬物コンジュゲート、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth)からも選択することができる。
【0088】
本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩との組み合わせで化学療法剤としての治療上の可能性を有するヒト化モノクローナル抗体は、例えば、下記から選択してもよい:アレムツズマブ、アポリズマブ、アセリズマブ(aselizumab)、アトリズマブ、バピネオズマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セルトリズマブペゴール、シドフシツズマブ(cidfusituzumab)、シドツズマブ(cidtuzumab)、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ(motovizumab)、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ(nolovizumab)、ヌバビズマブ(numavizumab)、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ(pecfusituzumab)、ペクツズマブ(pectuzumab)、ペルツズマブ、パキセリズマブ、ラリビズマブ(ralivizumab)、ラニビズマブ、レスリビズマブ(reslivizumab)、レスリズマブ、レシービズマブ(resyvizumab)、ロベリズマブ(rovelizumab)、ルプリズマブ(ruplizumab)、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ(sontuzumab)、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ(tadocizumab)、タリズマブ、テフィバズマブ(tefibazumab)、トシリズマブ、トラリズマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブ(tucotuzumab)セルモロイキン、ツクシツズマブ(tucusituzumab)、ウマビズマブ(umavizumab)、ウルトキサズマブ、およびビジリズマブ。
【0089】
本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む組成物も本明細書において提供する。
【0090】
本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩を含む組成物は、経口、局所、直腸、非経口、吸入噴霧、または埋め込みレザバーなどの、様々な公知の様式で投与することができるが、任意の所与の症例において最も適した経路は、特定の宿主、ならびに活性成分を投与している対象となる状態の性質および重症度に依存することになる。本明細書において用いられる「非経口」なる用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術を含む。本明細書において開示する組成物は、単位剤形で都合よく提示し、当技術分野において周知の任意の方法によって調製してもよい。
【0091】
本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩は、カプセル剤、錠剤、トローチ、糖衣丸、顆粒剤および散剤などの固体剤形、またはエリキシル剤、シロップ剤、乳剤、分散剤、および懸濁剤などの液体剤形で経口投与することができる。本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩は、分散剤、懸濁剤または液剤などの滅菌液体剤形で非経口投与することもできる。局所投与用の軟膏、クリーム、滴剤、経皮パッチもしくは散剤として、眼への投与用の眼用液剤もしくは懸濁剤製剤、すなわち点眼剤として、吸入もしくは鼻内投与用のエアロゾル噴霧剤もしくは粉末組成物として、または直腸もしくは膣投与用のクリーム、軟膏、噴霧剤もしくは坐剤として、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩を投与するために他の剤形も用いることができる。
【0092】
本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩ならびに乳糖、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などの粉末担体を含むゼラチンカプセル剤も用いることができる。同様の希釈剤を用いて圧縮錠剤を作製することもできる。錠剤およびカプセル剤はいずれも、ある期間にわたって薬剤の持続的放出を提供するための徐放性製品として製造することができる。圧縮錠剤は、任意の不快な味をマスクし、錠剤を環境から保護するために、糖コーティングもしくはフィルムコーティングすることができ、または胃腸管における選択的崩壊のために、腸溶コーティングすることもできる。
【0093】
経口投与用の液体剤形は、患者の受容を高めるために、着色剤および着香剤から選択される少なくとも1つの作用物質をさらに含むことができる。
【0094】
一般に、水、適切な油、生理食塩水、水性デキストロース(グルコース)、および関連する糖溶液ならびにプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコールは、非経口液剤に適した担体の例でありうる。非経口投与用の液剤は、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物の水溶性塩、少なくとも1つの適切な安定化剤、および必要があれば、少なくとも1つの緩衝化物質を含んでいてもよい。亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、またはアスコルビン酸などの抗酸化剤は、単独または組み合わせのいずれかで、適切な安定化剤の例でありうる。クエン酸およびその塩ならびにEDTAナトリウムも、適切な安定化剤の例として用いうる。加えて、非経口液剤は、例えば、塩化ベンザルコニウム、メチルおよびプロピルパラベン、ならびにクロロブタノールから選択される少なくとも1つの保存剤をさらに含みうる。
【0095】
薬学的に許容される担体は、例えば、組成物の活性成分と適合性であり(かつ、いくつかの態様において、活性成分を安定化することができ)、治療する対象に対して有害でない担体から選択される。例えば、シクロデキストリン(これは本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/または少なくとも1つの薬学的に許容される塩と共に、特定の、より可溶性の複合体を形成しうる)などの可溶化剤を、活性成分の送達のための薬学的賦形剤として用いることができる。他の担体の例には、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、およびD&C Yellow # 10などの色素が含まれる。適切な薬学的に許容される担体は、当技術分野において標準的な参照テキストであるRemington's Pharmaceutical Sciences, A. Osolに記載されている。
【0096】
適切なインビトロアッセイを用いて、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩の、PARPの活性の阻害における有効性を予備的に評価することができる。本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩を、がんの処置における有効性について、インビボアッセイによりさらに試験することができる。例えば、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩を、がんを有する動物(例えば、マウスモデル)に投与し、その治療的有効性を評価することができる。そのような試験の1つまたは複数において陽性結果が得られれば、科学的知識の宝庫を増大させるのに十分で、したがって試験した化合物および/または塩の実用性を示すのに十分である。結果に基づき、ヒトなどの動物に対する適切な用量範囲および投与経路も決定することができる。
【0097】
吸入による投与のために、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩を、エアロゾル噴霧剤の形態で圧縮パックまたはネブライザーから都合よく送達してもよい。本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩を、製剤化されていてもよい散剤として送達してもよく、粉末組成物を吹送粉末吸入装置を利用して吸入してもよい。吸入のための1つの例示的送達系は、定量吸入(MDI)エアロゾルでありえ、これは本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩の、例えば、フッ化炭化水素および炭化水素から選択される少なくとも1つの適切な噴射剤中の懸濁液または溶液として製剤化してもよい。
【0098】
眼への投与のために、眼用製剤は、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩を眼表面と十分な期間接触させ続けて、化合物を眼の角膜および内部領域に浸透させるように、適切な眼用媒体中の適切な重量パーセンテージの本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩の溶液または懸濁液を用いて製剤化してもよい。
【0099】
本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩の投与のために有用な薬学的剤形には、ゼラチン硬および軟カプセル剤、錠剤、非経口注射剤、ならびに経口懸濁剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0100】
投与する用量は、受容者の年齢、健康および体重、疾患の程度、併用処置があればその種類、処置の頻度、ならびに所望の効果の性質などの因子に依存することになる。一般に、活性成分の1日用量は、例えば、1日に0.1から2000ミリグラムまで変動しうる。例えば、所望の結果を得るために1日に10〜500ミリグラムを1回または複数回が有効でありうる。
【0101】
いくつかの態様において、標準の2部分からなるゼラチン硬カプセルにそれぞれ、例えば、粉末の本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩100ミリグラム、乳糖150ミリグラム、セルロース50ミリグラム、ならびにステアリン酸マグネシウム6ミリグラムを充填することにより、多数の単位カプセル剤を調製することができる。
【0102】
いくつかの態様において、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩の、ダイズ油、綿実油またはオリーブ油などの可消化油中の混合物を調製し、容積式ポンプによってゼラチン中に注入して、活性成分100ミリグラムを含むゼラチン軟カプセル剤を形成することができる。カプセル剤を洗浄して乾燥する。
【0103】
いくつかの態様において、用量単位が、例えば、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩100ミリグラム、コロイド状二酸化ケイ素0.2ミリグラム、ステアリン酸マグネシウム5ミリグラム、微結晶セルロース275ミリグラム、デンプン11ミリグラムおよび乳糖98.8ミリグラムを含むように、通常の手順によって、多数の錠剤を調製することができる。嗜好性を高める、または吸収を遅らせるために、適切なコーティングを適用してもよい。
【0104】
いくつかの態様において、注射による投与に適した非経口組成物は、10体積%プロピレングリコール中1.5重量%の本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩を撹拌することにより調製することができる。溶液を注射用水で望まれる量にして、滅菌する。
【0105】
いくつかの態様において、経口投与用に水性懸濁剤を調製することができる。例えば、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩の微粒子100ミリグラム、カルボキシメチルセルロースナトリウム100ミリグラム、安息香酸ナトリウム5ミリグラム、ソルビトール溶液U.S.P. 1.0グラム、ならびにバニリン0.025ミリリットルを含む水性懸濁剤各5ミリリットルを用いることができる。
【0106】
本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩を、少なくとも1つの他の治療剤と段階的に、または共に投与する場合、同じ剤形を一般に用いることができる。薬物を物理的組み合わせで投与する場合、剤形および投与経路は組み合わせた薬物の適合性に応じて選択すべきである。したがって、「同時投与」なる用語は、少なくとも2つの剤の同時もしくは逐次投与、または少なくとも2つの活性成分の固定用量の組み合わせとしての投与を含むと理解される。
【0107】
本明細書において開示する少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの薬学的に許容される塩は、唯一の活性成分として、または、例えば、患者のがんを処置するのに有用であることが公知の他の活性成分から選択される少なくとも1つの第二の活性成分との組み合わせで投与することができる。
【0108】
一般合成スキーム
本明細書において開示する化合物および/またはその薬学的に許容される塩は、本明細書における開示と一緒にして、市販の出発原料から合成することができる。以下のスキームは、本明細書において開示する化合物のいくつかの調製法を例示する。
【0109】
スキーム1
式中、Z、Y、pは式(I)と同様に定義され;
n'は0、1、または2の整数であり;
R
5およびp''は式(III)と同様に定義される。
【0110】
このスキームにおいて、式1の3-アミノ-4-ブロモ-安息香酸アルキルを式2の環式ケトエステルと反応させて、式3のブロモキノリノンカルボン酸を得る。続くアルコールによるエステル化およびパラジウムなどの触媒を用いた水素化分解条件下での脱ブロム化により、式5の4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-5-カルボン酸アルキルを得、これを続いてヒドラジンで環化して、式(I)のピリジノフタラジノン誘導体を得る。式(I)の-(Y)p-部分が-(Y)p''-NH-である場合、NHはハロゲン化アルキルおよび塩基による典型的なアルキル化、ケトン/アルデヒドおよび還元剤による還元的アルキル化、塩化アシルもしくは酸およびカップリング剤による、カップリング試薬を利用してのアシル化、または塩化スルホニルおよび塩基によるスルホニル化を起こして、式(III)の最終化合物を生じる。
【0111】
このスキームの第一段階を、PPAおよびジオキサンまたはエタノールなどの溶媒中で実施する。得られた式3のブロモキノリノンカルボン酸をフラッシュカラムで精製するか、または反応溶液から直接沈澱させる。
【0112】
このスキームの第二段階は、塩化トリメチルシリル/メタノールまたは塩化チオニル/メタノールの混合物を用い、室温または還流下で実施することができる。得られたエステル4を、反応混合物から沈澱させるか、またはクロマトグラフィで精製することができる。
【0113】
このスキームの第三段階は、炭素担持パラジウムなどの触媒を用いて、水素化分解条件下で実施する。この反応は、メタノール、エタノールなどの溶媒中、水素風船化、室温で、5〜12時間で完了する。得られた脱ブロモエステル5は、通常は精製せずにさらなる反応のために用いるか、または分析目的のためにクロマトグラフィで精製する。
【0114】
式(I)または(II)の新規化合物の合成の第四段階は、スキーム1に示すとおり、式5の化合物の環化反応で、式(I)のピリドフタラジノン誘導体を得る。この環化反応は、典型的には1〜2当量の含水ヒドラジンおよび溶媒として適切なアルコールを用いて行うことができる。環化反応は、典型的には50℃から溶媒の還流温度までの範囲の温度で行うことができ、例えば、1から12時間で完了しうる。式(I)または(II)の化合物は、反応混合物から沈澱させるか、またはクロマトグラフィで分離することができる。再結晶をジオキサンまたはメタノール/ジクロロメタンなどの溶媒または溶媒混合物中で実施することができる。
【0115】
式(III)の化合物は、式(I)のNHの位置を誘導体化することによって調製する。例えば、式(I)の化合物の酸との直接カップリングは、ジクロロメタンなどの溶媒中、EDC/DIEAなどの適切な試薬下で達成することができる。
【0116】
上記スキームにおいて、中間体3、4、5はそれぞれ、それらの位置異性体3'、4'、および5'の形で表してもよい。
【0117】
上記スキームにおいて、最終化合物(I)、(II)および(III)はそれぞれ、位置異性体(I')、(II')および(III')の形で表してもよい。
【0118】
特定の例において、最終化合物(I)の代替合成をスキーム2に記載する。
【0120】
スキーム2において、式6の3-ニトロフタル酸ジエチルを式7の3-アミノフタル酸ジエチルに、水素化条件下で変換する。続くルイス酸条件下での環式ケトン8との縮合により、式9のキノリノンカルボン酸を得る。キノリノンカルボン酸9をヨウ化メチルおよび炭酸カリウムにより二重メチル化して、式10のエステルを得、これを続いてヒドラジンで環化して、式(I)のピリジノフタラジノン誘導体を得る。または、キノリノンカルボン酸9をトリクロロホスホキシドで処理し、次いで得られた中間体11をただちにヒドラジンで処理して、式(I)の最終化合物を得る。
【実施例】
【0121】
以下の実施例は、純粋に例示的であることが意図され、いかなる様式でも限定的であると考えられるべきではない。用いる数値(例えば、量、温度など)に関して正確さを保証するよう努力してきたが、幾分の実験誤差および偏りが含まれるであろう。特に記載がないかぎり、温度は摂氏度である。試薬はSigma-Aldrich、Alfa Aesar、またはTCIなどの商業的供給業者から購入し、特に記載がないかぎり、それ以上精製せずに用いた。
【0122】
特に記載がないかぎり、以下に示す反応は窒素もしくはアルゴンの陽圧下で、または無水溶媒中、乾燥チューブを用いて実施し;反応フラスコには基質および試薬をシリンジから導入するためのゴム栓を取り付け;ガラス器具は乾燥器で乾燥および/または熱乾燥した。
【0123】
特に記載がないかぎり、カラムクロマトグラフィ精製は、シリカゲルカラムを有するBiotageシステム(製造者:Dyax Corporation)もしくはシリカSepPakカートリッジ(Waters)で行うか、またはTeledyne Isco Combiflash精製システムであらかじめ充填されたシリカゲルカートリッジを用いて行った。
【0124】
1H NMRスペクトルはVarian機器で400MHzで操作して記録した。
1H NMRスペクトルは溶媒としてCDCl
3、CD
2Cl
2、CD
3OD、D
2O、d
6-DMSO、d
6-アセトンまたは(CD
3)
2COおよび参照標準としてテトラメチルシラン(0.00ppm)または残留溶媒(CDCl
3:7.25ppm;CD
3OD:3.31ppm;D
2O:4.79ppm;d
6-DMSO:2.50ppm;d
6-アセトン:2.05;(CD3)2CO:2.05)を用いて得た。ピーク多重度を報告する場合、以下の略語を用いる:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、qn(五重線)、sx(六重線)、m(多重線)、br(幅広)、dd(二重線の二重線)、dt(三重線の二重線)。カップリング定数を示す場合、ヘルツ(Hz)で報告する。試薬以外のすべての化合物名はChemdrawバージョン12.0で作成した。
【0125】
以下の実施例において、以下の略語を用いる。
AcOH 酢酸
Aq 水性
食塩水 塩化ナトリウム飽和水溶液
CH
2Cl
2 ジクロロメタン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
Dppf 1,1''-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン
DIEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-N,N-ジメチルアミノピリジン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
Et
2Oまたはエーテル ジエチルエーテル
G グラム
hまたはhr 時間
HATU 2-(1H-7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートメタンアミニウム
HCl 塩酸
HPLC 高性能液体クロマトグラフィ
IPA 2-プロパノール
i-PrOH イソプロピルアルコール
Mg ミリグラム
mL ミリリットル
Mmol ミリモル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
Min 分
msまたはMS マススペクトル
Na
2SO
4 硫酸ナトリウム
PPA ポリリン酸
Rt 保持時間
Rtまたはrt 室温
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィ
TMSCl 塩化トリメチルシリル
μL マイクロリットル
【0126】
実施例
1
【0127】
段階1:2-ヒドロキシ-5,5-ジメチルシクロヘキサ-1-エンカルボン酸メチル
無水THF(600mL)中の炭酸ジメチル(31.5g、350mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(14.4g、360mmol)を0℃で分割して加えた。得られた混合物を0℃で30分間撹拌し、次いでTHF(150mL)中の4,4-ジメチルシクロヘキサノン(15g、119mmol)の溶液を30分かけて滴加した。得られた混合物を60℃〜80℃で3時間加熱した後、室温まで冷却した。反応混合物を飽和NaHCO
3溶液に加え、石油エーテル中33%酢酸エチルの混合物で抽出した。有機層を水、食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮して、26.5gの粗製2-ヒドロキシ-5,5-ジメチルシクロヘキサ-1-エンカルボン酸メチルを得、これをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。
【0128】
段階2:4-ブロモ-7,7-ジメチル-9-オキソ-5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロアクリジン-1-カルボン酸メチル
2-ヒドロキシ-5,5-ジメチルシクロヘキサ-1-エンカルボン酸メチル(26g、0.141mol)、3-アミノ-4-ブロモ安息香酸メチル(25g、0.109mol)、ポリリン酸(220g)およびジオキサン(220mL)の混合物を130℃で5時間加熱した。冷却後、混合物を水で希釈した。得られた沈殿をろ取し、乾燥した。固体をメタノール(400mL)に懸濁し、TMSCl(90mL)を加えた。混合物を還流温度で5時間撹拌し、濃縮し、水(80mL)で処理し、酢酸エチル(250mL)で抽出した。有機層を分離し、濃縮し、メタノールで再結晶して、所望の化合物(10.6g、27%)を得た。
【0129】
段階3:7,7-ジメチル-9-オキソ-5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロアクリジン-1-カルボン酸メチル
4-ブロモ-7,7-ジメチル-9-オキソ-5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-アクリジン-1-カルボン酸メチル(4.0g、11mmol)、酢酸エチル(300mL)、Pd/C(5%炭素担持Pd、50%水、4.0g)の混合物を水素雰囲気下、室温で6時間撹拌した。メタノール(100mL)およびPd/C(5%炭素担持Pd、50%水、8.0g)を混合物に加え、さらに1時間撹拌した。混合物をセライトを通してろ過し、ろ液を濃縮して、所望の生成物(3.3g、粗製)を得、これをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。
【0130】
段階4:10,10-ジメチル-8,9,10,11-テトラヒドロ-2H-ピリダジノ[5,4,3-kl]アクリジン-3(7H)-オン
DMA(22mL)中の7,7-ジメチル-9-オキソ-5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロアクリジン-1-カルボン酸エステル(3.3g、11.6mmol)およびヒドラジン水和物(15mL)の溶液を110℃で1.5時間加熱し、酢酸(30mL)を加え、混合物を130℃でさらに4時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、NaHCO
3水溶液(80ml)を混合物に加え、ろ過した。次いでろ過ケークを水(50mL)およびメタノール(30mL)で交互に複数回洗浄した。溶媒を減圧下で除去して、10,10-ジメチル-8,9,10,11-テトラヒドロ-2H-ピリダジノ[5,4,3-kl]アクリジン-3(7H)-オンを黄色固体で得た(1.50g、49%)。
【0131】
実施例2
8,9,10,11-テトラヒドロ-2H-ピリダジノ[5,4,3-kl]アクリジン-3(7H)-オン
2-オキソシクロヘキサンカルボン酸メチル(1.70g、10mmol)、3-アミノ-4-ブロモ安息香酸(2.16g、10mmol)、ポリリン酸(15g)およびジオキサン(12mL)の混合物を130℃で5時間加熱した。室温まで冷却した後、NaOAc・3H
2O(27g)を加え、pH約3とした。次いで、混合物を水で希釈し、得られた沈殿をろ取し、乾燥した。固体をメタノール(80mL)に懸濁し、SOCl
2(16mL)を0〜15℃で加え、混合物を還流温度で5時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を濃縮し、水(100mL)で処理し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、有機層を分離し、濃縮して、粗生成物を得た。次いで、混合物をシリカゲルのクロマトグラフィカラム(CH
2Cl
2/MeOHで溶出)で精製して、4-ブロモ-9-オキソ-5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロアクリジン-1-カルボン酸メチル(2.20g)を得た。MS (ESI) m/e [M+1]
+336。
【0132】
4-ブロモ-9-オキソ-5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロアクリジン-1-カルボン酸メチル(0.19g、0.56mmol)、MeOH(20mL)、およびPd/C(5%炭素担持Pd、50%水、0.05g)の混合物を水素雰囲気下、室温で6時間撹拌した。混合物をセライトを通してろ過し、ろ液を濃縮して、粗製9-オキソ-5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロアクリジン-1-カルボン酸メチル(0.22g)を得、これをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。
【0133】
DMA(4mL)中の粗製9-オキソ-5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロアクリジン-1-カルボン酸メチルの溶液に、ヒドラジン水和物(4mL)を室温で加え、混合物を130℃で4.0時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、さらに12時間撹拌した。次いで、混合物をろ過し、MeOHから再結晶(2回)して、生成物(20mg、15%)を黄色固体で得た。
【0134】
実施例3
【0135】
段階1:2-オキソシクロオクタンカルボン酸メチル
無水THF(600mL)中の炭酸ジメチル(30mL、0.36mol)の溶液に、水素化ナトリウム(15g、0.36mol)を5〜10℃で分割して加えた。得られた混合物をこの温度で30分間撹拌し、次いでTHF(100mL)中のシクロオクタノン(15.0g、0.12mol)の溶液を30分かけて滴加した。得られた混合物を還流温度で4時間撹拌した後、室温まで冷却した。反応混合物を飽和NaHCO
3溶液(100mL)および氷(500g)に加え、次いで混合物をPE/EA(4:1、400mL×2)で抽出した。有機層を食塩水(400mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。次いで、目的生成物(19.3g、88%)を減圧下、60℃での蒸留により精製した。
【0136】
段階2:3-アミノ-4-ブロモ安息香酸メチル
4-ブロモ-3-ニトロ安息香酸(42g;170mmol)をMeOH(100ml)に溶解する。濃H
2SO
4(10mL)を0℃で滴加する。溶液を還流温度で4.0時間撹拌した後、室温まで冷却する。次いで、冷水(100mL)を加え、沈澱をろ過し、水で洗浄して、白色固体(48g)を得、これをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。
【0137】
次いで、粗生成物(48g)およびNa
2S
2O4(88g)をMeOH/水(565mL/170mL)に溶解し、混合物を還流温度で出発原料が消費されるまで(約4時間)撹拌した。室温まで冷却した後、溶媒を蒸発させ、粗製反応混合物をNa
2CO
3水溶液(10%、200mL)およびEtOAc(3×100mL)で処理し、二層を分液漏斗中で分離した。有機層を水(100mL)、食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥し、蒸発させて、粗生成物(13g)を得、これをそれ以上精製せずに用いた。
【0138】
段階3:4-ブロモ-12-オキソ-5,6,7,8,9,10,11,12-オクタヒドロシクロオクタ[b]キノリン-1-カルボン酸メチル
2-オキソシクロオクタンカルボン酸メチル(32.0g、174mmol)、3-アミノ-4-ブロモ安息香酸メチル(20.0g、87mmol)およびエタノール(120mL)の混合物を、130℃の油浴で加熱還流し、酢酸(1.5mL)を加え、混合物を1.5時間還流した。熱PPA(200g、120℃)を反応混合物に注意深く加えた。反応混合物を130℃の油浴で3時間加熱した。しばらく冷却した後、氷(200g)、酢酸エチル(60mL)および石油エーテル(60mL)を反応混合物に加え、混合物を200mLの溶媒が除去されるまで濃縮した。次いで、水(600mL)および酢酸エチル(60mL)を加え、得られた混合物を室温で終夜放置した。淡褐色固体がゆっくり生成した。混合物をろ過し、ろ過ケークを乾燥して、淡褐色固体を得、これをメタノール(90mL)中に加えた。SOCl
2(30mL)を氷浴で冷却しながら滴加した。得られた混合物を4時間加熱還流し、濃縮し、飽和NaHCO
3溶液(60mL)および酢酸エチル(30mL)で処理し、ろ過し、ろ過ケークを乾燥して、所望の生成物(6.6g)を青白い固体で得た(21%)。
【0139】
段階4:8,9,10,11,12,13-ヘキサヒドロ-2H-シクロオクタ[5,6]ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン
4-ブロモ-12-オキソ-5,6,7,8,9,10,11,12-オクタヒドロシクロオクタ[b]キノリン-1-カルボン酸メチル(6.0g、15.9mmol)、MeOH(120mL)、酢酸エチル(180mL)、およびPd/C(5%炭素担持Pd、50%水、3.0g)の混合物を水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。混合物をセライトを通してろ過し、ろ液を濃縮して、褐色固体(6.3g)を得、これをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。固体をDMA(72mL)に溶解し、ヒドラジン水和物(48mL)を加え、110℃で3時間加熱し、酢酸(96mL)を加え、混合物を130℃の油浴でさらに6.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、NaHCO
3水溶液(400ml)に注意深く加え、ろ過し、ろ過ケークをメタノール(60mL)中で40分間超音波処理し、ろ過した。ろ過ケークの音波処理およびろ過をさらに6回繰り返した。ろ過ケークを乾燥して、所望の生成物(2.9g、68%)を黄色固体で得た。
【0140】
実施例4
7,8,9,10,11,12-ヘキサヒドロシクロヘプタ[5,6]ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(2H)-オン
実施例4を、3-アミノ-4-ブロモ安息香酸メチルおよび2-オキソシクロヘプタンカルボン酸メチルから、実施例3に記載のものと同じ手順に従って調製した。
【0141】
実施例5
【0142】
段階1:4-メチル-9-オキソ-5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロアクリジン-1-カルボン酸メチル
2-オキソシクロヘキサンカルボン酸メチル(1.0g、6.4mmol)、3-アミノ-4-メチル安息香酸メチル(1.06g、6.4mmol)、ポリリン酸(4mL)およびジオキサン(6mL)の混合物を130℃で2時間加熱した。室温まで冷却した後、混合物を水(100mL)で希釈し、得られた沈殿をろ取し、乾燥した。固体をメタノール(100mL)に懸濁し、SOCl
2(10mL)を加えた。混合物を還流温度で5時間撹拌し、濃縮し、水(80mL)で処理し、酢酸エチル(3×80mL)で抽出した。有機層を分離し、濃縮して、粗生成物を得た。次いで、混合物をシリカゲルのクロマトグラフィカラム(CH
2Cl
2/MeOHで溶出)で精製して粗生成物を得、溶媒としてMeOHを用いての再結晶から最終生成物(0.55g)を得た。
【0143】
段階2:6-メチル-8,9,10,11-テトラヒドロ-2H-ピリダジノ[5,4,3-kl]アクリジン-3(7H)-オン
DMA(4mL)中の9-ヒドロキシ-7,7-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロアクリジン-1-カルボン酸メチル(0.18g、0.63mmol)およびヒドラジン水和物(2.5mL)の溶液を130℃で4時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、得られた沈殿をろ取し、MeOH(冷、5mL)および水(30mL)で洗浄した。次いで、沈澱をMeOHで再結晶して、黄色固体(95mg)を得た。
【0144】
実施例6
6-ブロモ-7,8,9,10,11,12-ヘキサヒドロシクロヘプタ[5,6]ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(2H)-オン
実施例6を、3-アミノ-4-ブロモ安息香酸メチルおよび2-オキソシクロヘプタンカルボン酸メチルから、実施例5に記載のものと同じ手順に従って調製した。
【0145】
実施例7
6-ブロモ-8,9,10,11-テトラヒドロ-2H-ピリダジノ[5,4,3-kl]アクリジン-3(7H)-オン
実施例7を、3-アミノ-4-ブロモ安息香酸メチルおよび2-オキソシクロヘキサンカルボン酸メチルから、実施例5に記載のものと同じ手順に従って調製した。
【0146】
実施例8
6-クロロ-7,8,9,10,11,12-ヘキサヒドロシクロヘプタ[5,6]ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(2H)-オン
実施例8を、3-アミノ-4-クロロ安息香酸メチルおよび2-オキソシクロヘプタンカルボン酸メチルから、実施例5に記載のものと同じ手順に従って調製した。
【0147】
実施例9
6-クロロ-8,9,10,11-テトラヒドロ-2H-ピリダジノ[5,4,3-kl]アクリジン-3(7H)-オン
実施例9を、3-アミノ-4-クロロ安息香酸メチルおよび2-オキソシクロヘキサンカルボン酸メチルから、実施例5に記載のものと同じ手順に従って調製した。
【0148】
実施例
10
【0149】
段階1:9-オキソ-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]キノリン-8-カルボン酸
MeOH(10mL)中の3-アミノ安息香酸メチル(302mg、2.0mmol)および2-オキソシクロペンタンカルボン酸メチル(284mg、2.0mmol)の溶液にMgSO4(240mg)および濃HCl(2滴)を加え、混合物を60℃で4.0時間加熱した。室温まで冷却した後、溶媒を減圧下で蒸発させた。混合物をろ過し、EtOAc(15mL)で洗浄し、溶媒を蒸発させ、それ以上精製せずに次の段階で用いた。粗製混合物をPPA(4.0mL)に溶解し、130℃で3時間撹拌した。室温まで冷却した後、水(20mL)を加え、混合物をEtOAc(50mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮して混合物を得、これを調製用HPLCで精製して、9-オキソ-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]キノリン-8-カルボン酸を白色固体で得た。MS (ESI) m/e [M+1]
+230.0
【0150】
段階2:7,8,9,10-テトラヒドロシクロペンタ[5,6]ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(2H)-オン
9-オキソ-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]キノリン-8-カルボン酸(46mg)をMeOH(2.0mL)に溶解し、SOCl
2(0.3mL)を加え、混合物を70℃で4.0時間加熱した。室温まで冷却した後、溶媒を蒸発させ、粗生成物をDMA(2.0mL)に溶解し、次いでNH
2NH
2・H
2O(2.0mL)およびCH
3COOH(1.0mL)を加えた。混合物を続いて130℃で3.0時間撹拌した。室温まで冷却した後、水(10mL)を加え、混合物をEtOAc(15mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、食塩水(15mL)で洗浄し、乾燥し、濃縮して粗生成物を得、これを調製用HPLCで精製して、8mgの7,8,9,10-テトラヒドロシクロペンタ[5,6]ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(2H)-オンを得た。
【0151】
実施例
11
【0152】
段階1:3-アミノ-5-フルオロ安息香酸メチル
3リットルの丸底フラスコに500mlのH
2SO
4を加えた。発煙硝酸(40mL)を加え、混合物をゆっくり撹拌した。2-ブロモ-5-フルオロ安息香酸(60g、219mmol)を5〜10℃で5gずつ90分かけて加えた。混合物を60分間撹拌し、この時点で反応が完了した。混合物を1リットルの氷/水混合物に加え、EtOAc(3×600mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮して、黄色固体を得た。固体をヘキサンに懸濁し、30分間撹拌した。固体をろ取して、2-ブロモ-5-フルオロ-3-ニトロ安息香酸を黄色固体で得た(35g、49%)。
【0153】
MeOH(400mL)中の2-ブロモ-5-フルオロ-3-ニトロ安息香酸(35g)の溶液に、SOCl
2(40mL)を10〜15℃で滴加した。次いで、反応混合物を65℃で1時間撹拌した。室温まで冷却した後、溶媒を減圧下で蒸発させて残渣を得、これをヘキサン中0〜100%EtOAcの勾配溶離液を用いてのシリカゲルのクロマトグラフィにかけて、2-ブロモ-5-フルオロ-3-ニトロ安息香酸メチル(20g、84%)を得た。
【0154】
EtOH/CH
3COOH(200mL/200mL)中の2-ブロモ-5-フルオロ-3-ニトロ安息香酸エステル(20g、278mmol)の溶液に、鉄粉末(25g、55mmol)を加えた。混合物を激しく撹拌し、85℃で1時間加熱した。冷却後、混合物を水で希釈し、NaHCO
3で塩基性化し(PH=8)、酢酸エチル(450ml×3)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(500ml)で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル)にかけて、3-アミノ-2-ブロモ-5-フルオロ安息香酸メチル(15.6g、87%)を赤色油状物で得た。
【0155】
MeOH(80mL)中の3-アミノ-2-ブロモ-5-フルオロ安息香酸エステル(2.48g、10mmol)の溶液に、Pd/C(0.5g、5%、50%水)を加え、混合物を水素雰囲気下で約6.0時間撹拌した。次いで、混合物をろ過し、MeOH(10mL)で洗浄した。ろ液を濃縮し、MeOH(2.5mL)で再結晶して、3-アミノ-5-フルオロ安息香酸メチル(1.48g、88%)を褐色固体で得た。
【0156】
段階2:3-フルオロ-11-オキソ-6,7,8,9,10,11-ヘキサヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]キノリン-1-カルボン酸メチル
2-オキソシクロヘプタンカルボン酸メチル(0.34g、2mmol)、3-アミノ-5-フルオロ安息香酸メチル(0.33g、2mmol)、ポリリン酸(4.0g)およびジオキサン(5mL)の混合物を130℃で5時間加熱した。室温まで冷却した後、溶液を水(100mL)で希釈し、NaOAc・3H
2O(7.3g)を加えた。次いで、得られた沈殿をろ取し、乾燥した。固体をメタノール(20mL)に懸濁し、SOCl
2(10mL)を加え、混合物を還流温度で5時間撹拌し、濃縮し、水(50mL)で処理し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。有機層を分離し、濃縮し、残渣をクロマトグラフィにかけて、粗生成物(0.62g)を得た。MS (ESI) m/e [M+1]
+290.0。
【0157】
段階3:N'-(3-オキソ-2,3,7,8,9,10,11,12-オクタヒドロシクロヘプタ[5,6]ピリド[4,3,2-de]フタラジン-5-イル)アセトヒドラジド
DMA(1.5mL)中の3-フルオロ-11-オキソ-6,7,8,9,10,11-ヘキサヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]キノリン-1-カルボン酸メチル(80mg、0.27mmol)およびヒドラジン水和物(1.5mL)の溶液を130℃で4.0時間加熱した。DMA(6mL)および酢酸(3mL)を次いで加え、混合物を130℃でさらに4時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、次いで水(30mL)を加えた。混合物をEtOAc(20mL×8)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO
3水溶液(4×5ml)および食塩水(20ml×3)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、ろ過した。有機相を減圧下で濃縮して粗生成物を得、これを次いでMeOHから再結晶して、生成物(2mg)を黄色固体で得た。
【0158】
実施例
12
【0159】
段階1:3-ニトロフタル酸ジエチルおよび3-ニトロフタル酸ジメチル
3-ニトロフタル酸(10.0g、0.047mol)をメタノール(200mL)に溶解し、SOCl
2(30mL)を0℃で1時間の間に滴加した。混合物を8時間加熱還流して濃縮し、次いでDMF(200mL)、K
2CO
3(39.0g、0.284mol)、およびヨードエタン(29.0g、0.19mol)で処理した。次いで、混合物を80℃で8時間加熱した。室温まで冷却した後、混合物を酢酸エチル(500mL)で希釈し、ろ過した。ろ液を水(3×300ml)および食塩水(3×300ml)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、ろ過し、濃縮して、混合物を淡褐色固体で得た(12.0g、粗収率約100%)。
【0160】
段階2:3-アミノフタル酸ジエチルおよび3-アミノフタル酸ジメチル
3-ニトロフタル酸ジエチルおよび3-ニトロフタル酸ジメチル(12.0g、47mmol)、Pd/C(5%炭素担持Pd、50%水、2.5g)、およびメタノール(200mL)の混合物を水素雰囲気下、室温で5時間撹拌した。混合物をセライトを通してろ過し、ろ液を濃縮して、3-アミノフタル酸ジエチルおよび3-アミノフタル酸ジメチルの混合物を淡黄色油状物で得た(10.0g、粗収率94%)。ジメチルエステル対ジエチルエステルの比は2:3と推定された:
【0161】
段階3:12-オキソ-5,6,7,12-テトラヒドロベンゾ[a]アクリジン-11-カルボン酸
3-アミノフタル酸ジエチルおよび3-アミノフタル酸ジメチル(1.0g、3.82mmol)、3,4-ジヒドロナフタレン-2(1H)-オン(0.61g、4.2mmol)、および三塩化アルミニウム(0.51g、3.82mmol)の混合物を密封チューブに入れ、80℃で1時間と、次いで130℃でさらに4時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、メタノールで処理し、濃縮した。残った残渣をジクロロメタン中3.2%メタノールの溶離液を用いてのシリカゲルのクロマトグラフィにかけ、次いで酢酸エチルおよびメタノール中での再結晶により精製して、生成物(0.36g、30%)を淡褐色固体で得た。MS (ESI) m/e [M+1]
+292。
【0162】
段階4:12-メトキシ-5,6-ジヒドロベンゾ[a]アクリジン-11-カルボン酸メチル
12-オキソ-5,6,7,12-テトラヒドロベンゾ[a]アクリジン-11-カルボン酸(0.100g、0.34mmol)、K
2CO
3(0.234g、1.7mol)、ヨードメタン(0.195g、1.37mol)、およびDMF(1mL)の混合物を室温で16時間撹拌し、酢酸エチル(30mL)で希釈した。得られた混合物を食塩水(6×5ml)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残った残渣を石油エーテル中0〜30%酢酸エチルの勾配溶離液を用いてのシリカゲルのクロマトグラフィにかけて、12-メトキシ-5,6-ジヒドロベンゾ[a]アクリジン-11-カルボン酸メチルを淡褐色固体で得た(20mg、56%)。
【0163】
段階5:8,9-ジヒドロ-2H-ベンゾ[a]ピリダジノ[5,4,3-kl]アクリジン-3(7H)-オン
DMA(0.8mL)中の12-メトキシ-5,6-ジヒドロベンゾ[a]アクリジン-11-カルボン酸メチル(20mg、0.06mmol)およびヒドラジン水和物(0.5mL)の混合物を130℃で4時間加熱した。反応混合物を冷却し、酢酸エチル(0.5mL)、水(1mL)および食塩水(1mL)で処理した。得られた沈殿物をろ取し、メタノール:ジクロロメタンの混合物(1:8、10mL)に溶解し、Na
2SO
4で乾燥し、ろ過し、濃縮し、ジクロロメタン中0〜3.2%メタノールの勾配溶離液を用いてのシリカゲルのクロマトグラフィにかけて、所望の化合物を黄色固体で得た(7mg、39%)。
【0164】
実施例
13
【0165】
段階1:2-ベンジル-9-ブロモ-5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチル
1-ベンジル-3-オキソピペリジン-4-カルボン酸エチル(16.1g、70mmol)、3-アミノ-4-ブロモ安息香酸メチル(21.9g、84mmol)、ポリリン酸(120g)およびジオキサン(120mL)の混合物を110℃で4時間加熱した。室温まで冷却した後、混合物を氷水に加え、ろ過し、ろ液をEtOAc(500mL×3)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し、濃縮して、粗製残渣を得、これを石油エーテル中20%〜50%酢酸エチルの勾配溶離液を用いてのシリカゲルのクロマトグラフィにかけて、粗生成物を得た。次いで、粗生成物をMeOH(1L)に溶解し、TMSCl(150mL)を加え、混合物を還流温度で12時間撹拌した。室温まで冷却した後、溶媒を蒸発させ、残渣をMeOHから再結晶して、2-ベンジル-9-ブロモ-5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチル(7.6g)を得た。
【0166】
段階2:5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチル臭化水素酸塩
MeOH(100mL)中の2-ベンジル-9-ブロモ-5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチル(6.6g、15.4mmol)の溶液に、Pd/C(3.0g、5%、50%水)を加え、混合物を水素雰囲気下で約6.0時間撹拌した。次いで、混合物をろ過し、MeOH(20mL)で洗浄した。ろ液を濃縮し、残渣をMeOH(2.5mL)で再結晶して、生成物(3.4g、65%)を白色固体で得た。
【0167】
段階3:3-オキソ-7,8,10,11-テトラヒドロ-2H-フタラジノ[8,1-bc][1,7]ナフチリジン-9(3H)-カルボン酸tert-ブチル
ジオキサン(30mL)中の5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチル臭化水素酸塩(310mg、0.9mmol)の溶液に、(Boc)2O(375mg、1.72mmol)およびEt
3N(5mL)を加え、混合物を次いで室温で0.5時間撹拌した。反応をNaHCO
3水溶液(15mL)で停止し、混合物をEtOAc(25mL×3)で抽出した。合わせた有機層を水(20mL)および食塩水(20mL)で洗浄し、乾燥し、濃縮して、粗製5-オキソ-3,4,5,10-テトラヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-2,6(1H)-ジカルボン酸2-tert-ブチル6-メチル(0.55g)を得、これをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。
【0168】
DMA(4mL)中の5-オキソ-3,4,5,10-テトラヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-2,6(1H)-ジカルボン酸2-tert-ブチル6-メチル(0.55g)およびヒドラジン水和物(2.5mL)の溶液を130℃で2.0時間加熱し、酢酸(4mL)を加え、混合物を130℃でさらに6時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、次いで水(30mL)およびEtOAc(100mL)を加えた。有機相を分離し、次いでNaHCO
3水溶液(2×10ml)および食塩水(20ml)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、ろ過した。有機相を減圧下で濃縮して粗生成物を得、これを次いでMeOHから再結晶して、生成物(110mg、21%)を黄色固体で得た。
【0169】
実施例
14
8,9,10,11-テトラヒドロ-2H-フタラジノ[8,1-bc][1,7]ナフチリジン-3(7H)-オン
ジオキサン(6mL)中の3-オキソ-7,8,10,11-テトラヒドロ-2H-フタラジノ[8,1-bc][1,7]ナフチリジン-9(3H)-カルボン酸tert-ブチル(100mg)の溶液に、濃HCl(2.0mL)を滴加し、次いで混合物を室温で0.5時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、水(10mL)を加えた。混合物を二塩化メチレン(20mL)で洗浄し、水相を蒸発させて、8,9,10,11-テトラヒドロ-2H-フタラジノ[8,1-bc][1,7]ナフチリジン-3(7H)-オン塩酸塩(46mg、57%)を得た。
【0170】
実施例
15
【0171】
段階1:2-(2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-2-メチルプロパノイル)-5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチル
DMF(8.0mL)中の2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-2-メチルプロパン酸(385mg、1.62mmol)の溶液に、HATU(1.1g、2.94mmol)、DIPEA(0.75g、5.87mmol)、および5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチル臭化水素酸塩(410mg、1.6mmol)を加えた。次いで、混合物を室温で24時間撹拌した。次いで、反応を水(20mL)で停止した。混合物をTHF/EtOAc(10ml/60ml)で3回抽出した。有機層を合わせ、乾燥し、濃縮し、ジクロロメタン中0〜50%メタノールの勾配溶離液を用いてのシリカゲルのクロマトグラフィにかけて、所望の化合物を青白い固体で得た(114mg、14%)。MS (ESI) m/e [M+1]
+478。
【0172】
段階2:(2-メチル-1-オキソ-1-(3-オキソ-10,11-ジヒドロ-2H-フタラジノ[8,1-bc][1,7]ナフチリジン-9(3H,7H,8H)-イル)プロパン-2-イル)カルバミン酸ベンジル
DMA(1.5mL)中の2-(2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-2-メチルプロパノイル)-5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチル(0.11g)およびヒドラジン水和物(1.0mL)の溶液を130℃で1.5時間加熱し、酢酸(2.0mL)を加え、混合物を130℃でさらに12時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、次いで水(15mL)およびEtOAc(50mL)を加えた。有機相を分離し、次いでNaHCO
3水溶液(2×10ml)および食塩水(20ml)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、ろ過し、有機相を減圧下で濃縮して粗生成物を得、これを調製用HPLCで精製して、(2-メチル-1-オキソ-1-(3-オキソ-10,11-ジヒドロ-2H-フタラジノ[8,1-bc][1,7]ナフチリジン-9(3H,7H,8H)-イル)プロパン-2-イル)カルバミン酸ベンジル(46mg、42%)を黄色固体で得た。
【0173】
実施例
16
【0174】
段階1:2-(1-メチルシクロプロパンカルボニル)-5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチル
DMF(2ml)中のHATU(340mg、0.9mmol)の溶液を、実施例13(段階2)からの5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチル(200mg、0.77mmol)、1-メチルシクロプロパンカルボン酸(102mg、1.02mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.5mL、5.09mmol)およびDMF(8ml)の混合物に加えた。得られた混合物を周囲温度で8時間撹拌した。DMFを蒸発させ、残渣を調製用TLCで精製して、2-(1-メチルシクロプロパンカルボニル)-5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチル(65mg、25%)を黄色固体で得た。
【0175】
段階2:9-(1-メチルシクロプロパンカルボニル)-8,9,10,11-テトラヒドロ-2H-フタラジノ[8,1-bc][1,7]ナフチリジン-3(7H)-オン
目的生成物を、2-(1-メチルシクロプロパンカルボニル)-5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチルおよびヒドラジン水和物から、実施例1(段階4)に記載のものと同じ手順に従って調製した。
【0176】
実施例17
【0177】
段階1:5-オキソ-2-(2,2,3,3-テトラメチルシクロプロパンカルボニル)-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチル
生成物を、5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチルおよび2,2,3,3-テトラメチルシクロプロパンカルボン酸から、実施例16(段階1)に記載のものと同じ手順に従って調製した。
【0178】
段階2:9-(2,2,3,3-テトラメチルシクロプロパンカルボニル)-8,9,10,11-テトラヒドロ-2H-フタラジノ[8,1-bc][1,7]ナフチリジン-3(7H)-オン
目的生成物を、5-オキソ-2-(2,2,3,3-テトラメチルシクロプロパンカルボニル)-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチルおよびヒドラジン水和物から、実施例16(段階4)に記載のものと同じ手順に従って調製した。
【0179】
実施例
18
【0180】
段階1:2-ベンジル-5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチル
MeOH(3mL)中の2-ベンジル-9-ブロモ-5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロ- ベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチル(0.1g、0.23mmol)の溶液にPd/C(0.04g、5%、50%水)を加え、混合物を水素雰囲気下で約2.5時間撹拌した。この条件下でベンジル基を実質的に除去することなく、脱ブロム化が起こった。次いで、混合物をろ過し、MeOH(50mL)で洗浄し、濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィにかけて、生成物(0.05g)を得た。MS (ESI) m/e [M+1]
+ 349.0。
【0181】
段階2:9-ベンジル-8,9,10,11-テトラヒドロ-2H-フタラジノ[8,1-bc][1,7]ナフチリジン-3(7H)-オン
実施例
18を、2-ベンジル-5-オキソ-1,2,3,4,5,10-ヘキサヒドロベンゾ[b][1,7]ナフチリジン-6-カルボン酸メチルおよびヒドラジン水和物から、実施例
15に記載のものと同じ手順に従って調製した。
【0182】
生物学的活性
PARP-1酵素アッセイ
PARP1酵素アッセイを、HT F Homogeneous PARP Inhibition Assay Kit(Trevigen)から改変した方法を用いて実施した。8.8nM PARP1を異なる濃度の化合物と共に、100mM Tris-HCl pH8.0、100mM NaCl、20mM MgCl
2、および1%DMSOを含む緩衝液中、室温で30分間予備インキュベートした。自己ポリADPリボシル化反応を、500nM NADおよび20ng/ul活性化DNA(Sigma)の添加によって開始し、室温で40分間インキュベートした。残ったNADを、1%エタノール、0.30U/mlアルコール脱水素酵素、25uMレサズリン、および0.25U/mlジアホラーゼを含むサイクリングアッセイ溶液と共に室温で50分間インキュベートすることによって検出した。NADの濃度は励起540nm/発光590nmの蛍光シグナルと比例する。IC
50を、漸増濃度の化合物存在下での残存酵素活性(NAD減少率)に基づいて算出した。
【0183】
PARP-2およびPARP-3酵素アッセイ
PARP2およびPARP3酵素アッセイを、市販のPARP-2/PARP-3 Chemiluminescent Assay Kit(BPS Biosciences)およびキットに添付のプロトコルを用いて実施した。簡単に言うと、まずヒストンを高結合プレート中でコーティングし、PARP-2またはPARP-3、および漸増濃度の化合物と共に0.5時間インキュベートした。次いで、ビオチン化NADおよび活性化DNAをウェルに加えた。ビオチン化ポリADPリボシル化生成物を、ストレプトアビジン-HRPおよびケミルミネッセンスを生じるHRP基質を加えることによって測定した。IC
50を、漸増濃度の化合物存在下での残存酵素活性に基づいて算出した。
【0184】
タンキラーゼ-2酵素アッセイ
タンキラーゼ-2酵素アッセイを、市販のTankyrase-2 Chemiluminescent Assay Kit(BPS Biosciences)およびキットに添付のプロトコルを用いて実施した。まず、GST融合タンキラーゼ-2(バキュロウイルスから発現および精製した組換えタンパク質)をGSH予備コーティングプレート上にコーティングし、漸増濃度の化合物と共に0.5時間インキュベートした。次いで、ビオチン化NADをウェルに加えた。ビオチン化自己ポリADPリボシル化生成物を、ストレプトアビジン-HRPおよびケミルミネッセンスを生じるHRP基質を加えることによって測定した。IC
50を、漸増濃度の化合物存在下での残存酵素活性に基づいて算出した。
【0185】
ポリADPリボシル化アッセイ
HeLa細胞を、底が透明で壁が黒色の96穴プレートに、培地(10%FBS、0.1mg/mLペニシリン-ストレプトマイシン、および2mM L-グルタミンを含むDMEM 100μL)中5000細胞/ウェルの初期濃度で播種した。プレートを5%CO
2雰囲気下、37℃で4時間インキュベートし、次いで化合物を、0.1%DMSO/培地中0.01nM〜10μMにわたる最終濃度範囲の8つの点の連続希釈で加えた。次いで、プレートを5%CO
2中、37℃で18時間インキュベートした。次いで、PBS中H
2O
2溶液(最終濃度200μM)60μLの添加により、DNA損傷を誘発した。陰性対照として、H
2O
2未処理の細胞を用いた。プレートを37℃で5分間維持した。次いで、プレートを反転させて培地をゆっくり除去し、氷冷MeOH(100μL/ウェル)を加えて細胞を固定し、-20℃で20分間維持した。プレートを反転させて固定液を除去し、PBS(120μL)で10回洗浄した後、検出緩衝液(50μL/ウェル、PBS、トゥイーン(0.1%)、およびBSA(1mg/mL)を含む)を一次PAR mAb(Alexis ALX-804-220、1:2000)、二次抗マウスAlexa Fluor 488抗体(MolecularProbes A11029、1:2000)、および核色素DAPI(Molecular Probes D3571、150nM)と共に加えた。暗所、4℃で終夜インキュベートし、溶液を除去し、PBS(120μL)で6回洗浄した後、プレートをArrayScan VTI(ThermoFisher)で読み取った。PARポリマーのモニタリングは、XF100_485_20、曝露時間0.05秒でのAlexa488の検出により行い、核の同定は、XF100_386_23、曝露時間0.01秒でのDAPIトラッキングにより行った。細胞の全強度の平均を、DAPI標識した核の総数における核の全強度の平均を測定することによって算出した。EC50を、漸増濃度のPARPi存在下での残存酵素活性に基づいて判定した。
【0186】
本明細書において開示する実施例1〜18を試験し、これらはナノモル以下から10マイクロモルの範囲のIC
50で、PARP-1、PARP-2、PARP-3、およびタンキラーゼ-2などのPARPを阻害することが判明した。
【0187】
(表2)IC
50およびEC
50(nM)