(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
クルマエビ類は、多くの国々で食用に供されている代表的な砂地生息性甲殻類である。特に、クルマエビ(Marsupenaeus japonicus)は、砂地生息性甲殻類の代表的な種であり、日本国では高級食材として広く用いられている。クルマエビは、夜行性であり、日中は砂中に潜り込み、夜間の限られた時間帯に索餌のために砂上に出て活動する。
【0003】
クルマエビの養殖技術は、約50年前に成立した。日本国などの生育に不適な冬期のある地域では、通常、水温が上昇する4・5月ころから種苗を投入して養殖を開始し、約6ヶ月かけて成長させた後、9月末から年末にかけて出荷する。水温低下で成長が止まる冬季は飼育を行わず、この期間に養殖池または養殖水槽から水を抜き、清掃作業を行う。冬季でもクルマエビが成長可能な水温を保つことができる温暖な地域では、市場で品薄になる冬季に出荷できるよう養殖して、11月頃から5月頃まで出荷し、種苗を生産している5月から7月の間に養殖池または養殖水槽の清掃作業を行う。
【0004】
クルマエビの養殖方法は、大きく分けて2種類の方法がある。
第一の方法は「瀬戸内式」と呼ばれ、海岸に築堤した池で潮汐の干満を利用して池水の入れ替えを行う方法である。池底に約10〜20cmの厚さの砂層を作り水深2m位に海水を張り、1日1回程度の換水を行って、残餌、排泄物、脱皮殻などの汚染物を排水と共に排出する。大潮の干潮時には水門を開けて排水し、池の掃除をする。水の入れ替えのため、潮位と池の高さを調整し、最適な水位が維持できるようにする。水門には、エビの流出と他の水棲生物の侵入を防ぐフィルターを設置する。瀬戸内式は、台風や高潮などの被害や天候などの影響を受けやすいが、種苗の稚エビを低密度で放養し飼育する、比較的人手を必要としない養殖方法である。
【0005】
第二の方法は「かけ流し式」と呼ばれ、陸上に設けた池や水槽の底に砂を敷き、ポンプで汲み上げた新鮮な海水をかけ流して換水して、汚染物を排出しながら飼育する方法である。堤防などを建設する必要がなく、供給する海水をフィルターでろ過することにより、水質を良好に維持することが可能で、飼育密度を比較的高くすることができる。かけ流し式は、ポンプを稼働する電気代やフィルター代などのランニングコストが嵩み、また、沈殿した汚染物や砂中に埋もれた汚染物を完全に排出することができない。
【0006】
上記した従来の養殖方法のほかに、水槽の底から10〜15cm離してメッシュなどで二重底を設け、この二重底の上に砂層を敷き、海水を砂層の上から下に向けて、常時排水することによって汚染物を排出する、いわゆる流水式と呼ばれる方法がある。流水式は、1日数回中央の排水装置から大量に排水し、この大量の排水とともに滞積した汚染物を排出する。流水式は、瀬戸内式、かけ流し式と比べて、狭い面積で高い生産量を挙げることができるが、換水率を1日3〜4回と高くするため大容量のポンプが必要でありランニングコストが高い。
【0007】
上記したように、従来のクルマエビの養殖装置の最も深刻な問題点は、クルマエビの生育環境である砂層が汚染物により汚染されることである。砂層中に残された汚染物は、微生物によって分解されアンモニアや硫化水素等の有害物質となる。クルマエビは、汚染された領域を避けて汚染の少ない領域に集中するが、クルマエビが集中することで糞等が溜まり短期間で汚染が進行する。このことが繰り返されて汚染の少ない領域は徐々に減少し、クルマエビの生息域は養殖槽の一部のみとなり、養殖槽内での実際の飼育密度は、養殖槽の面積から算出される飼育密度よりも高くなる。クルマエビの飼育密度が高くなり、生育環境が劣悪となると、ストレスが増大してクルマエビの成長速度が低下し、また、クルマエビ同士が相互に傷つけあい品質が低下する。また、不衛生な環境により細菌症、真菌症、ウイルス症等の病害を発生させ、クルマエビの斃死をひき起こし、生産量が減少する。
生産量を増やすためにクルマエビの飼育密度を高くすると、生育環境がより一層悪化して、病害が発生しやすくなり、斃死するクルマエビが増加して生産性が低下してしまう。
また、飼育密度を抑え適切に管理してクルマエビを生産した場合も、養殖池または養殖水槽の砂層には汚染物が蓄積し、場合によってはヘドロ化して固化する。そのため、次年度の種苗投入前までに飼育海水を完全に排出して、砂層を掘り起こして日光や空気にさらして清浄な海水で洗浄する、または新しい砂に入れ替えるといった清浄化作業が必要である。
【0008】
クルマエビは、1980年代後半には年間3000トンを超える量が養殖されていたが、近年は年1600トン前後と低迷している。これは、上記したように、クルマエビ養殖の難しさ、病害を受けやすく生産性が低いこと、人手を要し作業負担が大きいこと等が原因である。
このような問題を抱える従来のクルマエビ養殖方法に対して、汚染物を砂層から効率的に除去する養殖装置ないし養殖方法がいくつか提案されている。
例えば、特許文献1には、中央部に排出口を設け、排出口の周囲は表面がコンクリートの給餌領域とし、その周囲に砂層の生育領域を設け、砂層内に水の吹出し口を設けて残餌による汚染から生育領域を分離するとともに、生育砂中に汚染物等が蓄積することを防止した養殖水槽が開示されている。
特許文献2には、水層を遮光性のハウスで覆い水面で100ルクス以下の明るさにして、水槽では有益細菌を増殖させて透視度を50cm以下とし、水槽底に夜行性のクルマエビが潜る砂層を設けない生育方法が開示されている。
特許文献3には、外部環境から遮断した飼育槽の砂層下方に注水部を設け、強アルカリ海水を供給して病原体の繁殖を防止した養殖システムが開示されている。
特許文献4には、通水性多孔質体の上に砂床を設けて、該多孔質体の下から外部海水を供給し、円形水槽の周壁に沿って設けられた環状の浄化槽を通して供給し、循環機構を2段に増強して強制的に水をかき混ぜて旋回流を強化し、水中の汚物を円形水槽底部の中央部に設けられた排水管方向に移動させる養殖装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、甲殻類等の砂地生息水中生物の生息環境である砂層の全面を常時清潔に保ち、高品質の砂地生息水中生物を、速い成長速度で、高密度で生産できる養殖装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、砂地生息水中生物の養殖に関する本質的な問題点を把握するため、鋭意検討を重ねて本発明に至った。すなわち、本発明者らは、生育環境劣化の主な原因が、従来の養殖装置、養殖方法では除去することが難しい砂層中に閉じ込められて残存する汚染物であることを突き止め、砂層中に捕捉されている汚染物を水層に効率的に放出して、砂層全面を清浄な状態に保ち、良好な生育環境を維持することができる養殖装置を開発した。
【0012】
具体的な構成は以下のとおりである。
1.養殖槽と、
前記養殖槽の底部に一定の間隔で配設される給水配管と、
を有し、
前記給水配管が、側面に一定のピッチで噴出口を備えることを特徴とする砂地生息水中生物の養殖装置。
2.前記噴出口のピッチが、前記給水配管の間隔より小さいことを特徴とする1.に記載の養殖装置。
3.前記給水配管が、閉鎖端を有さないことを特徴とする1.または2.に記載の養殖装置。
4.前記給水配管の噴出口が、隣接する給水配管の噴出口と対向しないことを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の養殖装置。
5.前記噴出口が、噴出口中心を通る法線を中心として左右に15度以上の方向に水を噴出することを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の養殖装置。
6.前記養殖槽の中央部から排水することを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の養殖装置。
7.前記養殖槽の内壁周辺に設置される旋回流発生装置を有することを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載の養殖装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の養殖装置は、養殖槽の底面全面に均一に噴出口を配置することにより、砂層中の残餌、排泄物、脱皮殻などの汚染物を、砂層全面から水層中へ効率的に放出し、水中に浮遊している汚染物を養殖槽から排出して、硫化水素等の有毒物質の発生を抑えることができる。砂層全面を清潔に保ち、水層から汚染物を排出して、砂層全体を清潔に保つことができる。
本発明の養殖装置により、砂層全面を清潔な状態に保つことができ、砂層全面を砂地生息水中生物の生息域として利用することができる。砂地生息水中生物は、部分的に集中せず、砂層全面に均一に分布して、少ない給餌量で速い成長速度が達成される。本発明の養殖装置により、低い斃死率と高い養殖密度でクルマエビを生産でき、単位面積あたりの生産量を大幅に高めることができる。本発明の養殖装置は、砂地生息水中生物に与えるストレスが少なく、高品質の砂地生息水中生物を生産することができる。
本発明の養殖装置は、砂層中に残留する汚染物が少ないため、養殖終了後の砂層の清掃、交換の頻度を少なくすることができ、場合によっては砂層の清掃、交換が不要である。砂層の清浄化にかかる時間が短く、場合によっては清浄化することなく、次の養殖を始めることができ、養殖装置の稼働時間を高めることができ、年間の生産量を大幅に高めることができる。
【0014】
噴出口のピッチを、給水配管の間隔より小さくすることにより、砂層全面に均一に水を供給することができる。
給水配管に閉鎖端を設けないことにより、閉鎖端を設けた場合と比べて圧力損失が小さくなり、給水配管の各噴出口から噴出する水の勢いを均一にすることができる。
噴出した水は、砂層内を通り、砂上に流出するが、砂層に厚みムラや浄化不良が発生することがある。その原因の一つが、砂層内での水流の挙動であることを解明し、配管と噴出口の位置、および形状を特定した。隣接する給水配管の噴出口同士が対向しないように配管することにより、隣り合う給水配管の噴出口から噴出する水が衝突せず、砂層の各部を透過する上向水流の流速のバラツキが小さくなり、砂層に厚みムラが生じない。
噴出口から、噴出口中心を通る法線を中心として左右に15度以上の方向に水を噴出することにより、広角に水を噴出することができ、砂層の広域に水を供給することができる。
養殖槽の中央部から排水することにより、養殖槽の各部分から排水装置までの距離を短くすることができ、砂層全面から水層に放出される汚染物を、効率的に排出することができる。
旋回流発生装置により旋回流を発生させ、砂層を緩く撹拌することにより、上向水流により砂層表面に運ばれた汚染物や、砂層内に埋もれている汚染物が、水層に放出されやすい。また、旋回流による砂層の緩い撹拌は、自然の波や潮の満ち干きによる砂の撹拌と同様に作用し、クルマエビ等の生息環境をより自然環境下に近づけ、クルマエビ等のストレスを低減することができる。この際、養殖槽の中央部から排水することにより、旋回流により養殖槽の中央部に集めた汚染物を、より効率的に排出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の養殖装置は、砂層全面から汚染物を水層に放出して、砂層を清浄な状態に保つことができ、砂地に生息する砂地生息水中生物の養殖に好適に利用することができる。本発明の養殖装置で養殖することのできる砂地生息水中生物としては、例えば、クルマエビ、ガザミ、シャコ等の甲殻類、アサリ、シジミ、ハマグリ等の貝類、ヒラメ、カレイ等の魚類等を挙げることができる。
【0017】
本発明の養殖装置の一実施形態の模式図を
図1に示す。
一実施形態である養殖装置100は、養殖槽10の底部に一定の間隔で配設される10本の給水配管20を有し、各給水配管20が、側面に一定のピッチで11個の噴出口21を備える。また、養殖槽10の中央部に排水装置30を有する。
図1においてII方向から見た養殖装置100内部の模式図を
図2に示す。また、
図1においてIII方向からみた給水配管20に備えられた噴出口21からの水の流れの模式図を
図3に示す。
養殖装置100は、給水配管20側面の噴出口21から、給水配管20の側方に水を噴出する。給水配管20は、砂層11底部に埋設されており、噴出口21から側方に噴出した水は、砂層11内を進みながら次第に拡散する。噴出口21から噴出した水は、養殖槽10の底面に遮られて下方へ進行できないため、全体的には上向きの水流(以下、上向水流という。)に変化し、砂層11を下から上に透過する。砂層11に上向水流が透過することにより、砂層11を形成する砂粒子の充填度合いが緩まり、砂層11に捕捉されていた残餌、糞、脱皮殻などの汚染物を砂層11上方の水層12に放出することができる。
【0018】
給水配管20上方の砂層11の厚さは、養殖する砂地生息水中生物の種類等により適宜選択されるが、クルマエビを養殖する場合は、10〜40cmの範囲が好ましい。給水配管上方の砂層11が10cmより薄いと、砂層11底部に給水配管20を配置した場合にクルマエビが潜り込む砂床として厚さが不十分となり、また上向水流や養殖槽内での水流により砂が流されて厚みムラが生じやすい。給水配管上方の砂層11が40cmより厚いと、汚染物を捕捉する砂層11が厚くなり、砂層11から汚染物を放出させるという効果が弱まる。また、砂層11の透水抵抗が増加して、上向水流を発生するために給水配管20に高い圧力で水を供給する強力なポンプが必要となり高コストとなる。
砂層11を構成する砂は、養殖する砂地生息水中生物の種類に応じて選択することができる。例えば、クルマエビを養殖する場合は、川砂、海砂等を使用することができ、粒径の中央値が0.5〜1.5mm、0.2mm以下の砂が20〜50%含まれる砂が好ましい。
水層12の深さ(水深)は、養殖する砂地生息水中生物の種類や必要な水量等に応じて、適宜設定すればよい。
【0019】
養殖槽10は、コンクリート、繊維強化プラスチック(FRP)、樹脂シート等で形成された水槽、または、海岸等に築堤した養殖池を用いることができる。水が漏れにくく、また、強度が強く、大量の砂と水とを収容することができるため、コンクリート製の水槽が好ましい。養殖槽10は、外部からの有害ウイルスや有害生物の侵入を防ぐために、外部環境から遮断されていることが好ましい。養殖槽10の形状は、例えば、四角形、六角形、八角形等の多角形、これら多角形の角部を曲面にした形状、円形や楕円形等を挙げることができる。
【0020】
給水配管20は、養殖槽10の底部に一定の間隔で、養殖槽10の底面全面にほぼ均一に分布するように配設する。給水配管20は、樹脂製であることが、錆びないため好ましい。また、曲げることができない剛直なもの、曲げることができる柔軟なもののいずれを用いることができるが、内部に水圧がかかっていない状態でも、砂層11の重みで潰れない剛直なものが好ましい。給水配管20は、例えば、同心四角状、同心円状等に配設することができる。また、一本の給水配管20を正弦波状、矩形波状、渦巻状等に配設することができる。一例として、円形の養殖槽10に同心円状に給水配管20を配設した養殖装置101を
図4に示す。
図4において、
図1と同一の部材には同一の符号を付す。隣接する給水配管20の間隔は、5cm以上100cm以下の範囲で配設することが好ましく、10cm以上50cm以下であることがより好ましい。隣接する給水配管20の間隔が5cmより小さいと、給水配管20の本数が多くなり設置作業が煩雑となり、また、クルマエビ等が潜り込める領域が少なくなる。隣接する給水配管20の間隔が100cmより大きいと、噴出口21から噴出する水が隣接する給水配管20の近傍に届きにくくなる。
図5に、各給水配管20の端部を連通管22で接続した養殖装置102を示す。
図5において、
図1と同一の部材には同一の符号を付す。給水配管20が、閉鎖端を有さず端部が連通管22で接続していると、給水配管20中の圧力損失が小さくなり、給水配管20の各噴出口21から水をより均一に噴出することができる。
【0021】
図1におけるIV部分の拡大図を
図6に示す。
給水配管20は、側面に一定のピッチ(b)で噴出口21を備える。噴出口21のピッチ(b)は、給水配管20の間隔(a)より小さいことが好ましい。噴出口21のピッチ(b)を給水配管20の間隔(a)より小さくすることで、砂層11の広域に均一に水を供給することできる。
ここで、
図6に示す給水配管20は、隣り合う二本の給水配管20a、20bの噴出口21a、21bが対向している。この際、それぞれの噴出口21a、21bから噴出する水の勢いが強すぎると、この二本の給水配管20a、20bの中間付近で衝突する。衝突した水は、上方に強く流れるため、衝突箇所における上向水流は、他の地点における上向水流よりも強くなり、衝突箇所上方の砂が流れて砂層11に厚みムラが生じ、クルマエビ等が潜り込める領域が少なくなる場合がある。
【0022】
図7に、隣り合う二本の給水配管20c、20dの噴出口21c、21dが対向しない給水配管20の拡大図を示す。給水配管20cの噴出口21cと、隣接する給水配管20dの噴出口21dとが対向しないとは、給水配管20cの噴出口21cの中心を通る給水配管壁の法線と、隣接する給水配管20dの噴出口21dの中心を通る給水配管壁の法線との距離(b’)が、噴出口21c、21dのピッチ(b)の0.2倍以上であることを意味する。給水配管20cの噴出口21cの中心を通る給水配管壁の法線と、隣接する給水配管20dの噴出口21dの中心を通る給水配管壁の法線との距離(b’)は、噴出口21c、21dのピッチ(b)の0.3倍以上であることがより好ましく、0.4倍以上であることがさらに好ましく、0.5倍であることが最も好ましい。
給水配管20cの噴出口21cの中心を通る給水配管壁の法線と、隣接する給水配管20dの噴出口21dの中心を通る給水配管壁の法線との距離(b’)が、噴出口21c、21dのピッチ(b)の0.5倍のときに、それぞれの噴出口21c、21dから隣接する給水配管20c、2
0dの近傍まで水を噴出すると、砂層11の各部分における上向水流の勢いが均一となるため、砂層に厚みムラが発生しにくい。
【0023】
噴出口21の開口形状は特に制限されず、円形、楕円形、長円形、四角形等を挙げることができる。噴出口21の最大径は0.5mm以上5mm以下が好ましく、1mm以上3mm以下がより好ましい。噴出口21の最大径が0.5mmより小さいと、異物等によって詰りやすくなる。また、必要量の水を噴出させる場合に、流速が速くなり過ぎて、噴出口21近傍の砂が流れ、砂層11に厚みムラが生じて、クルマエビ等の潜り込むことができる砂床面積が減る場合がある。また、砂層11内に強い水流が流れるとクルマエビ等にストレスを与えてしまう。噴出口21の最大径が5mmより大きいと、必要量の水を噴出させる場合、水流が弱くなり噴出口21から離れた領域まで水が届きにくくなる場合がある。
【0024】
水は、給水配管20側面に設けられた噴出口21から給水配管20の側方に噴出する。なお、本発明において、側方とは、水平方向を中心として上下にそれぞれ30度以内、すなわち水平方向を中心として60度以内の方向を意味する。水平方向を中心として上下に30度以内の方向に水を噴出することにより、水平方向でより遠くに水を到達させることができる。
上方に噴出する水は、砂粒子の隙間を広げて砂層11を膨張させ、砂層11内を進みながら次第に拡散する。一方、下方に噴出する水は、養殖槽10の底面に衝突して渦流となり、衝突箇所周辺の砂を流してしまい、また、衝突して流速を失い遠くまで届かない。そのため、水の噴出方向は、水平方向から上方であることが、水平方向から下方であることよりも好ましい。具体的には、上方に30度から下方に20度までの範囲であることが好ましく、上方に20度から下方に10度までの範囲がより好ましく、上方に15度から下方に5度までの範囲がさらに好ましく、上方に10度から水平方向までの範囲であることが特に好ましく、水平方向に噴出することが最も好ましい。
【0025】
噴出口21が、水平面内で給水配管20の法線を中心として左右に15度以上の方向、すなわち30度以上の広角で水を噴出すると、砂層11の広域に水を供給することができる。水平面内で給水配管20の法線を中心として左右に15度以上の方向に水を噴出する方法としては、噴出口21を給水配管20の内側で狭く外側で広くなるようにして扇型に水を噴出する(
図8)、複数個の独立した細孔211で噴出口21を形成し、各細孔211から異なる方向に水を噴出する(
図9)等の方法を挙げることができる。加工性や、給水配管20の強度等の点から、噴出可能な角度は、給水配管20の法線を中心として左右に約60度までである。ここで、噴出口21が複数個の独立した細孔211から形成される場合、噴出口21の中心とは、複数個の細孔211位置の中心部を意味する。
【0026】
噴出口21から噴出する際の水の流速は、2.5cm/秒以上100cm/秒以下が好ましく5cm/秒以上70cm/秒以下であることがより好ましく、10cm/秒以上50cm/秒以下であることがさらに好ましい。流速が2.5cm/秒より遅いと、噴出口21から噴出した水が遠くまで届かない。流速が100cm/秒より速いと、噴出口21近傍の砂が流され、砂層11がクルマエビ等が潜り込むのに必要な厚さ以下となる場合がある。また、強い水流はクルマエビ等にストレスを与える。
【0027】
養殖装置100は、砂層11全面を下から上へ透過する上向水流を生成する。上向水流は、砂層11を形成する砂粒子の充填度合いを緩め、砂層11に捕捉されていた残餌、糞、脱皮殻等の汚染物を砂層11上方の水層12に放出する。水層12に放出された汚染物は、排水装置30により系外に排出される。排水装置30は、複数個設置してもよい。また、排水装置30には、クルマエビ等の流出を防止するためのフィルタ31を設置する。養殖槽10の中央部に排水装置30を設けることにより、養殖槽10の各部分から排水装置までの距離を短くすることができ、砂層11全面から水層12に放出される汚染物を、効率的に排出することができる。
【0028】
排水装置30は、排水ポンプ、所定水位以上の水を排水する円筒状排水装置や排水溝等を挙げることができる。また、バルブ、水位センサ等を用いて間欠的に排水してもよい。
図1、2に示す一実施態様である養殖装置100は、排水装置30として、養殖槽10の中央部に円筒状排水装置を有する。円筒状排水装置は、排水口に接続されて砂の流出を防止するパイプ32と、パイプ32を取り囲み、クルマエビ等の流出を防ぐ円筒状のフィルタ31とからなる。
図1、2に示す円筒状排水装置は、外部出口33の高さにより水位を調整しているが、パイプ32の上部開口端からオーバーフローで排水して水位を調整することもできる。また、フィルタ31の上面と上部側面を開口部を有さない領域とし、パイプ32上部開口端の高さをフィルタ31の開口を有さない領域以上の高さとして、サイフォンの原理で排水することもできる。水位の調節が容易であるため、外部出口33の高さで水位を調整することが好ましい。円筒状排水装置は、任意の箇所に設置することができ、駆動源が不要で低コストであり、また、外部出口33やパイプ32の高さにより、水位を調整することができる。
【0029】
旋回流発生装置40を養殖槽10の内壁周辺に設置することにより、水層12に旋回流を発生させることができる。水層12に旋回流を発生させる旋回流発生装置40としては、循環ポンプ、水車式循環装置等を挙げることができる。旋回流発生装置40として循環ポンプを使用することが、旋回流の流速を調整しやすく、また、水中に酸素を供給することができるため好ましい。この際、養殖槽10は、旋回流が円滑に流れるように角部を有さないことが好ましく、円形、楕円形、または多角形の角部を曲面に加工した形状が好ましい。また、養殖槽10が、多角形の角部を曲面に加工した形状である場合には、旋回流発生装置40の放水口を辺の長さの2分の1以下の長さ、かつ、隣接する壁面の一方寄りに、一定間隔で2個以上設置すれば、効率的に旋回流を生成することができる。
図10に、角部を曲面に加工した四角形状の養殖槽10の対向する二辺に、旋回流発生装置40として放水口が辺の長さの2分の1以下である循環ポンプを、隣接する壁面の一方寄りに設置した養殖装置103を示す。なお、
図10において、
図1と同一の部材には同一の符号を付す。
【0030】
深さ方向での旋回流の流速は、浅い部分で速く、深くなるほど、すなわち砂層11に近づくほど遅くなる。旋回流の流速は、砂層11表面の砂粒子を緩く撹拌する程度が好ましく、クルマエビ等の甲殻類を養殖する場合、その水深にもよるが、水層12表面における旋回流の流速は5〜30cm/秒程度である。
適切な流速の旋回流は、砂層11の表面を緩く撹拌して、上向水流によって砂層11表面に運ばれた汚染物や、砂層11内に埋もれている汚染物を、水層12に放出しやすくする。また、適度な砂層11表面の撹拌は、波や潮の満ち引きによる砂の撹拌と同様に作用し、クルマエビ等の生息環境をより自然環境下に近づけ、クルマエビ等のストレスを低減する。それに対し、旋回流の流速が速すぎると、砂層11表面の砂粒子が巻き上がり、砂層11に厚みムラが生じて養殖対象のクルマエビ等の潜り込める領域を狭めてしまう場合がある。また、流速が速すぎるとクルマエビ等にストレスを与える。
旋回流により、水中に浮遊する汚染物を養殖槽10の中央部に集めることができる。この際、養殖槽10中央部から排水すると、養殖槽10中央部に集まった汚染物をより効率的に排出することができる。なお、排水装置30のフィルタ31を通過できない脱皮殻等の大型の汚染物は、フィルタ31付近に集まったところを、網等で適宜すくい取り廃棄すればよい。なお、旋回流の流速が速すぎると、水層12に放出されて浮遊している汚染物を、養殖水槽10中央部に集束させずに全体に拡散させてしまうため、上記したように、砂層11表面の砂粒子を緩く撹拌する程度が好ましい。
【0031】
給水配管20からの水供給量は、通常、1日当たり砂層1m
2に0.5〜5m
3(0.5m
3/1m
2・日以上5m
3/1m
2・日以下)の範囲である。砂層11中の汚染物を水層12へ放出する能力は、上向水流の速さと広がり方によって決まるので、水供給量が0.5m
3/1m
2・日より少ないと、砂層11の浄化効果が弱くなる。水供給量が5m
3/1m
2・日より多いと、砂層11が流動して不安定となり、養殖対象の砂地生息水中生物にストレスを与える。
【0032】
養殖に必要な新鮮水の総給水量は、養殖槽10に貯留されている水の量と換水率で決まる。新鮮水の総給水量が、給水配管20からの水供給量より多い場合は、給水配管20から新鮮水を給水し、余剰の新鮮水は養殖槽10か旋回流発生装置40に直接供給する。新鮮水の総給水量が、給水配管20からの水供給量より少ない場合は、新鮮水に養殖槽10内の水を加えて給水配管20から給水する。
【実施例】
【0033】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
「養殖装置」
縦8m、横8m、高さ1.2mのコンクリート製角型水槽を養殖槽とした。養殖槽は、中央部に口径100mmの排水口と、この排水口を同心円状に取り囲む口径200mmのパイプ取付溝を有する。口径200mmの樹脂製パイプを、樹脂製パイプの上面が養殖槽底面から20cmの高さになるようパイプ取付溝に嵌合した。クルマエビの流出を防ぐフィルタとして、縦3mm、横3mmの網目を有する円筒状の樹脂製ネットを、樹脂製パイプの外周に高さ120cmとなるように取り付けた。排水口の外部出口には、養殖槽内の水が一定の高さ(1m)に達すると自動で養殖槽外部へ排水するように、口径100mmの樹脂製パイプを養殖槽底面から1mの高さになるよう設置した。
給水本管として、直径50mmの樹脂製パイプを、養殖槽の一壁面の中央部に上方から下方へ向けて設置し、養殖槽底面で養殖槽壁面に沿って左右に4mずつ分岐した。養殖槽底面で分岐した給水本管には、給水配管を接続する接続穴が20cm間隔で計40ヶ所形成されている。この接続穴に、両側面に直径1.0mmの噴出口が20cmピッチで形成されている樹脂製ホースからなる長さ8mの給水配管を接続して、養殖槽の底面全面に給水配管を20cm間隔で設置した。給水配管の噴出口は、上方に10度から水平方向の範囲であり、また、隣り合う二本の給水配管の噴出口は対向している。
【0034】
川砂を15cmの高さで敷き詰めて砂層を形成した。排出口に嵌合した樹脂製パイプは、砂層表面から5cmだけ突出しており、排水口から砂の流出を防ぐことができる。上記したように、水は、養殖槽底面から1mまで溜まるので、水深は85cm(=100cm−15cm)となる。この給水本管にろ過海水を送水すると、砂層の全面から水が湧き上がり、各給水配管に設けられた噴出口から噴出した水が、砂層全面で上向水流を形成していることが確認できた。
循環ポンプとして0.25kwの水中ポンプ1台を、養殖水槽壁面に砂層から30cmの高さに吊るし、排水口が水面と平行になるように設置した。また、循環ポンプの吸水口に、クルマエビの吸い込みを防止する樹脂製ネットと酸素供給用チューブとを取り付けた。循環ポンプを稼働すると、養殖槽内の水は、水層表面における流速が20cm/秒で旋回した。
【0035】
「実施例1」
養殖槽の総給水量を換水率2回転/日とし、総給水量の全てを給水配管から連続的に供給した。給水配管からの水供給量は1.7m
3/m
2・日、噴出口からの水の噴出速度は50cm/秒と算出できる。
水中の溶存酸素量を7±1mg/Lで維持し、体重5.6g前後のクルマエビを3200尾収容して飼育を開始した。
給餌飼料は、株式会社ヒガシマル製クルマエビ用配合飼料を用い、1日1回、日没後に投与した。日々の給餌量は飼料メーカーが推奨する給餌率を基礎として、収容尾数と体重から適正量を算出した。また、樹脂製ネットの網目を通過できない脱皮殻等の大型の汚染物は、適宜取り除いた。
飼育期間中は、毎日、潜水作業により斃死、脱皮状況、残餌などを観察した。また、毎日朝夕の二回、飼育水の水温、溶存酸素量、pHを、ポータブル溶存酸素・pH計(東亜ディーケーケー株式会社製、装置名:DM−32P)で測定した。
飼育開始から14週後、全てのクルマエビを取上げて飼育を終了した。
【0036】
「比較例1」
従来の養殖方法であるかけ流し式(換水率は0.5回/日)とした以外は上記実施例1と同条件でクルマエビを飼育した。
以下、本発明の養殖装置で飼育した実施例1を試験区、従来のかけ流し式で飼育した比較例1を対照区と記す。
【0037】
「硫化物濃度測定」
4週間毎に、養殖槽中央部と、養殖槽の外壁から約1mの壁周辺部における砂中の硫化物濃度を気体濃度測定器(株式会社ガステック製、ヘドロテック−S用検知管、気体採取器Model 801)を用いて測定した。
「クルマエビの検量」
2週間毎に、飼育クルマエビの中から無作為に100尾を取り上げて重量を秤り、重量を尾数で除して平均体重を算出した。
【0038】
「硫化物濃度の測定結果」
試験期間中の硫化物濃度を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
試験区では、養殖槽中央部の砂は、4週目まで硫化物が検知されず、12週目に最も高い21.2mg/gが検知された。また、養殖槽の壁周辺部では、8週目まで硫化物は検知されず、12週目でも0.2mg/gという微量であった。
それに対し、対照区では、養殖槽中央部の砂は、4週目の時点で試験区の12週目とほぼ同じ22.2mg/gの硫化物が検知され、その後も上昇を続けて12週間後には50.8mg/gとなった。また、養殖槽の壁周辺部では、4週目に1.4mg/gの硫化物が検知され、その後も飼育の経過に従って砂中の硫化物濃度は上昇し、12週後には10.0mg/gとなった。
硫化物は、試験区、対照区ともに養殖槽の壁周辺部より中央部において高濃度で検知された。これは、循環ポンプが生成する旋回流により、汚染物が養殖槽中央部に集積したためである。
試験区は、養殖12週後でも、排水口周辺を除けば、硫化物が殆ど蓄積していない。硫化物が少ないことは他の汚染物質も少ないことを示しているので、養殖終了後の洗浄作業で除去すべき汚染物は排水口周辺に集中している。そのため、本発明の養殖装置は、養殖終了後の砂層等の洗浄を、排水口周辺のみで行えばよく、洗浄作業を著しく簡略化、さらには省略することができる。
【0041】
「クルマエビの生育状態」
表2に平均体重の推移を、表3に増肉量の推移を示す。増肉量とは、2週経過前後の平均体重の差、すなわち2週間の間の体重増加量である。
【表2】
【表3】
【0042】
表2から、試験区のクルマエビの平均体重は、対照区のクルマエビの平均体重を飼育期間を通して上まわっていた。また、表3から、何れの期間でも試験区のクルマエビの方が対照区より高い増肉量を示し、成長が早いことが確認できた。
【0043】
表4に、飼育試験結果のまとめを示す。なお、給餌率と増肉
係数は、飼育期間中に与えた飼料量(F)、飼育日数(D=95日)と、試験開始時と終了時の収容尾数と平均体重とから、以下の式で表される。
給餌率=F/[D×{(N
f+N
0)/2}×{(W
f+W
0)/2}]×100
増肉係数=F/[{(N
f+N
0)/2}×(W
f−W
0)]
【表4】
試験区の歩留まりは92%と、対照区の86%を大きく超えていた。対照区の歩留まりも86%と一般的な従来のクルマエビ養殖の歩留まり(60−70%)より高いが、これは、約5.6gにまで成長した稚エビで養殖を開始したためである。本発明の養殖装置を、実際の養殖条件、養殖期間で用いれば、従来方法よりも10%以上歩留まりが向上すると推測される。
【0044】
試験区のクルマエビの給餌率は、1.8%であり、対照区の給餌率2.0%より低かった。給餌率が低いことは、少ない飼料でより高い増肉が得られたことを意味する。このことは試験区のクルマエビの増肉係数が対照区のクルマエビのそれより優れることとも一致する。すなわち、試験区が、対照区と比較してクルマエビにとって成長に適した環境であったことが確認できた。
【0045】
一般的なクルマエビ養殖現場の生産量は1m
2あたり500g前後であるが、本実施例の試験区では飼育終了時の収容密度が1292g/m
2と、一般的なクルマエビ養殖生産量の約2.6倍のクルマエビを飼育できた。対照区でも1072g/m
2という高い収容密度であったが、これは、上記したように約5.6gにまで成長した稚エビで養殖を開始したためである。
上記したように、本発明の養殖装置を用いた試験区では、砂層が清潔に維持されているため、出荷終了後に砂層の洗浄作業を著しく簡略化、さらには省略することができる。砂層の洗浄作業が不要な場合、養殖終了後に直ちに次の稚エビを収容することができる。養殖期間を6カ月とすると、養殖終了後に直ちに次の養殖を開始することで、年に2回の生産が可能となる。本発明の養殖装置は、1292g/m
2の密度でクルマエビを収容することができるため、約2.6kg/1m
2・年の生産量が期待でき、従来と比較して5倍以上の生産性を有している。
【0046】
「クルマエビの姿形」
試験区と対照区で養殖されたクルマエビのヒゲ(第二触
角)の長短を調査した。全長より長いヒゲを有する個体は試験区で約8割、対照区で約4割であった。ヒゲの長さが頭胸部より短い個体は試験区では見当らず、対照区では約3割であった。
一般に、クルマエビを高密度で養殖するとヒゲが短くなる。これは、クルマエビを高密度で飼育すると密度ストレスを受け、互いに攻撃し合うためである。試験区は、対照区よりもヒゲの長いクルマエビが多く、同一の大きさの養殖槽を用いたにも関わらず、試験区の方が、対照区よりもクルマエビの飼育密度が低かった。試験区と対照区とで飼育密度に違いが生じた理由は、以下のように推測される。
試験区は、砂中の硫化物の発生を砂層全面にわたって抑制できており、クルマエビは、砂層全面に分散して生活すると考えられ、養殖槽の面積から算出した飼育密度でクルマエビを飼育できた。
それに対し、対照区は、硫化物濃度の高い領域が存在する。硫化物の蓄積した砂は、嫌気的環境下にあり、酸素濃度が低く生活域として適さない。クルマエビは、硫化物濃度が高い領域にはほとんど潜砂せず、硫化物濃度が低い領域に集中するため、実際の飼育密度は、養殖槽の面積から算出した飼育密度よりも高くなった。
【0047】
本発明の養殖装置でクルマエビを養殖すると、少ない給餌率で速い成長速度が達成され、著しく高い歩留まりと養殖密度でクルマエビを生産できる。また、養殖と、次の養殖との間の期間を短くでき、養殖装置の稼働率を高くすることができる。さらに、クルマエビは、姿形も評価の対象とされ、ヒゲが長いほど高値で取引されるが、本発明の養殖装置により、ヒゲが長く市場で高値で取引されるクルマエビを生産することができる。
【解決手段】養殖槽10と、養殖槽10の底部に一定の間隔で配設される給水配管20と、を有し、給水配管20が、側面に一定のピッチで噴出口21を備える砂地生息水中生物の養殖装置100。