特許第5913741号(P5913741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5913741データユニットをルーティングするための方法及びコンピュータプログラム製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5913741
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】データユニットをルーティングするための方法及びコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/721 20130101AFI20160414BHJP
【FI】
   H04L12/721 Z
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-512009(P2015-512009)
(86)(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公表番号】特表2015-520574(P2015-520574A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】EP2013059777
(87)【国際公開番号】WO2013171145
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2015年1月8日
(31)【優先権主張番号】12290163.0
(32)【優先日】2012年5月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジュヨン
(72)【発明者】
【氏名】ボルグス,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ホーヘ,クン
(72)【発明者】
【氏名】コジッキー,バルトウォミェイ
【審査官】 安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−538306(JP,A)
【文献】 特開平08−116578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/721
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノード(101、102、103、104、105、106、...、10i、...、10N)のチェーンを介してデータユニットをルーティングするためのデータ処理システムをノード(103)において動作させる方法であって、各ノード(103)は、第1のホップリンク(132、134)を介してノードの第1のホップネイバー(102、104)に接続され、各ノード(103)は、第2のホップリンク(131、135)を介してノードの第2のホップネイバー(101、105)に接続され、ノード(101、102、103、104、105、106、...、10i、...、10N)は、前記チェーン内の前記ノード(101、102、103、104、105、106、...、10i、...、10N)の出現の一方向において増加している一意のアドレス(1、2、3、4、5、6、...、i、...、N)を割り当てられ、前記方法は、
A.前記データユニットの宛先アドレスが前記ノード(103)の第1のホップネイバー(102、104)のアドレス(2、4)又は第2のホップネイバー(101、105)のアドレス(1、5)と一致するかどうかを前記ノード(103)において確認することと、
B.前記宛先アドレスが前記第1のホップネイバー又は前記第2のホップネイバーのアドレス(2、4、1、5)と一致する場合、前記ノード(103)によって、前記データユニットを前記第1のホップネイバー(102、104)又は前記第2のホップネイバー(101、105)に直接ルーティングすること
1.前記宛先アドレスが前記第1のホップネイバー又は前記第2のホップネイバーのアドレス(2、4、1、5)と一致しない場合、前記宛先アドレスと前記ノード(103)のアドレス(3)との差、又は前記宛先アドレスと前記データユニットの発信元アドレスとの差を前記ノード(103)において決定すること、及び、
C2.前記差の符号に応じて、ルーティング方向を前記ノード(103)によって選択すること
含む、方法。
【請求項2】
C3.前記差の大きさが閾値未満である場合、第1のホップリンク(132、134)を前記ノード(103)によって選択する、又は、前記差の大きさが前記閾値を超える場合、第2のホップリンク(131、135)を選択すること、及び、
C4.選択された第1のホップリンク(132、134)又は第2のホップリンク(131、135)を介して前記ルーティング方向において前記データユニットをルーティングすること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
− 前記宛先アドレス(3)が前記ノード(103)のアドレスと一致するかどうかを確認するステップと、
− 前記宛先アドレスが前記ノード(103)の前記アドレス(3)と一致する場合、前記ノード(103)による処理のために前記データユニットを前記チェーンから回収するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記閾値が、前記チェーンの長さ又はシステム要件に応じて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ノードのチェーンが、バックプレーンシステムの一部を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記差が、前記データユニットの前記発信元アドレスと前記宛先アドレスとの間で決定され、前記方法が、
− 選択されたルーティング方向を示す第1のビットを前記データユニットに追加することと、
− 前記第1のホップリンク又は前記第2のホップリンクの選択を示す第2のビットを前記データユニットに追加することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1の方法を実行するための手段を備える、データ処理システム。
【請求項8】
請求項1の方法を行うように構成されたソフトウェアコードを含む、コンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項のコンピュータプログラムを含む、コンピュータ読取可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にデータユニットと呼ばれるデータフレーム、データセル、データパケット、...をノードのネットワークを介してルーティングすることに一般に関する。より詳細には、本発明は、例えば、マルチホップバックプレーンなどの、一次元トポロジーを有するネットワークにおいて適用可能な効率的なルーティングメカニズムに関する。
【背景技術】
【0002】
一次元トポロジーを有するネットワークにおいて、ノードは、チェーンを形成するように接続される。典型的には、各ノードは、チェーン内のノードの直接的な2つのネイバーに、いわゆる第1のホップ接続によって接続されるべきである。また、各ノードは、ノードの直接的なネイバーのネイバーに、いわゆる第2のホップ接続によって接続され得る。各ノードは、一意のアドレス又は識別子を有するべきである。1つのデータユニットに対して、あるソースアドレスと宛先アドレスが与えられたとすると、データユニットがソースから宛先までルーティングされ得る複数のパスが存在する。ソースから宛先までの取り得るルートの数は、ネットワーク内のノードの数と共に指数関数的に増減する。そのため、ソースと宛先との間の最適なパスを確立することは、技術的な課題をもたらす。
【0003】
ソースアドレスを有するソースノードから宛先アドレスを有する宛先ノードまでデータユニットをルーティングするための既存のメカニズムは、距離ベクトルルーティングプロトコル及びリンクステートルーティングプロトコルを包含する。
【0004】
距離ベクトルルーティングプロトコルによれば、各ノードは、他の全てのノードまでの最短距離のベクトルテーブルを保持する。この文脈における距離は、広く解釈されなければならず、一般に、宛先ノードに到達するためのコスト、例えば、ホップの総数、遅延、利用可能な帯域幅等を表す。周期的に、各ノードは、ノードのルーティングテーブルの全部又は一部をノードのネイバーへ配信する。データユニットを受信すると、受信ノードは、宛先までの最短距離を有するルートを決定し、その結果として、データユニットを次のノードへ転送するために使用されるであろう方向(又は出口インタフェース)を決定する。距離ベクトルルーティングプロトコルについてのさらなる詳細は、下記URLを介してウィキペディアから取得可能である:
http://en.wikipedia.org/wiki/Distance−vector_routing_protocol
【0005】
リンクステートルーティングプロトコルによれば、各ノードは、ネットワークの残りの部分への接続性マップをグラフの形で保持する。ノード間で共有される唯一の情報は、接続性に関するものであり、すなわち、各ノードは、ノードのネイバーをネットワークに通知し、どのノードが他のどのノードに接続されているのかを各ノードが独立に決定することを可能にする。データユニットを受信すると、受信ノードは、データユニットの宛先へ向かう最良の論理パスを決定し、データユニットを転送するための出口インタフェースを最良の論理パスから導くことができる。リンクステートルーティングプロトコルについてのさらなる詳細は、下記URLを介してウィキペディアから取得可能である:
http://en.wikipedia.org/wiki/Link−state_routing_protocol
【0006】
距離ベクトルルーティングプロトコル及びリンクステートルーティングプロトコルの双方は、ルーティングテーブルの構築及び保守のための情報の大規模な交換を必要とする。これらのルーティングテーブルと、これらのルーティングテーブルの保守の結果としてのオーバーヘッドと、次のホップを決定する際にこれらのルーティングテーブルを検索するために必要な時間とを記憶するためのメモリ要件は、ネットワークサイズと共に比例的に増加する。特に、ネットワークトポロジーが、例えば、一次元ネットワークトポロジーなどにより制約を課す場合、既存のルーティングメカニズムの複雑度は、あまりに高くなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】http://en.wikipedia.org/wiki/Distance−vector_routing_protocol
【非特許文献2】http://en.wikipedia.org/wiki/Link−state_routing_protocol
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、既存のルーティングプロトコルの上記に定義された欠点を克服する、データユニットをルーティングするための方法及びコンピュータプログラム製品を開示することである。より詳細には、本発明の目的は、様々なノードにおけるルーティングテーブルの構築及び保守を回避し、データユニットをルーティングするために必要な時間を有意に低減する、一次元ネットワークにおけるルーティングのための方法及びコンピュータプログラム製品を教示することである。さらなる目的は、一次元トポロジーを有するネットワーク内のノードについてのメモリ要件を低減し、これらのメモリ要件をネットワークサイズと無関係にすることである。さらなる目的は、一次元トポロジーを有するネットワーク内でソースから宛先までデータユニットをルーティングするための全体的な複雑度を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上記に定義される目的は、ノードのチェーンを介してデータユニットをルーティングするためのデータ処理システムをノードにおいて動作させる、請求項1の方法であって、各ノードは、第1のホップリンクを介してノードの第1のホップネイバーに接続され、各ノードは、第2のホップリンクを介してノードの第2のホップネイバーに接続され、ノードは、チェーン内のノードの出現の一方向において増加している一意のアドレスを割り当てられ、本方法は、
A.データユニットの宛先アドレスがノードの第1のホップネイバーのアドレス又は第2のホップネイバーのアドレスと一致するかどうかをノードにおいて確認することと、
B.宛先アドレスが第1のホップネイバー又は第2のホップネイバーのアドレスとそれぞれ一致する場合、ノードによって、データユニットを第1のホップネイバー又は第2のホップネイバーに直接ルーティングすること、
或いは、
C1.宛先アドレスとノードのアドレスとの差、又は前記宛先アドレスと前記データユニットの発信元アドレスとの差をノードにおいて決定すること、
C2.差の符号に応じて、ルーティング方向をノードによって選択すること、
C3.差の大きさが閾値未満である場合、第1のホップリンクをノードによって選択する、又は、差の大きさが閾値を超える場合、第2のホップリンクを選択すること、及び、
C4.選択された第1のホップリンク又は第2のホップリンクを介してルーティング方向においてデータユニットをルーティングすること、
のうちのいずれかと、
を含む、方法によって実現される。
【0010】
したがって、本発明による方法は、一次元ネットワークのトポロジー情報をノードのアドレッシングスキームに課すことによって、ルーティングの複雑度を解決する。実際に、そのような一次元ネットワークにおいて、ノードは、チェーンを形成し、ノードは、左から右へ(又は右から左へ)昇順でアドレッシングされ得る。そのようなアドレッシングスキームの結果として、ノードによって受信される、データユニットについてのルーティング決定は、データユニットのソースアドレス及び宛先アドレスに基づいて、又はデータユニットの宛先アドレスとデータユニットを受信するノードのアドレスとに基づいて、ノードによって個別に為され得る。ルーティングテーブルを構築し及び保持することは、もはや必要ではなくなり、ノードは、既存のルーティングプロトコルにおいて必要とされるように接続性又は距離情報を共有する必要はない。これは、オーバーヘッドを有意に低減する。本発明によるルーティング決定は、データユニットの宛先アドレスとソースアドレスとの差を計算することによって、又は宛先アドレスとルーティング決定をするノードのアドレスとの差を計算することによって、迅速に行われ得る。この差の符号は、チェーン内でデータユニットを転送するための方向を決定する一方で、その大きさは、データパケットを転送するために第1のホップ接続が使用されることとなるか又は第2のホップ接続が使用されることとなるかを決定する。ルーティング決定をするためにテーブルのルックアップは必要とされず、そのため、複雑度、メモリ要件及び処理要件を低減する。
【0011】
請求項2によって定義されるように、本発明による方法は、
− 宛先アドレスがノードのアドレスと一致するかどうかを確認するステップと、
− 宛先アドレスがノードのアドレスと一致する場合、ノードによる処理のためにデータユニットをチェーンから回収するステップと、
をさらに含む。
【0012】
したがって、データユニットを受信する現在のノードが宛先ノードである場合、ノードは、処理のためにデータユニットをネットワークから抽出する。
【0013】
請求項3によって定義される、本発明による方法の随意的な態様によれば、閾値が、チェーンの長さ又はシステム要件に応じて決定される。
【0014】
実際に、第1のホップ接続が使用されることとなるか、又は第2のホップ接続が使用されることとなるかを決めるための基準において使用される閾値は、好適には、ネットワークのサイズに依存し、システム要件、例えば、最小遅延量、最大スループットに基づいて決定されることもできる。閾値は、システムスタートアップ時に、又はトポロジー更新後、例えば、ノードの挿入又は除去後に、ネットワーク内の各ノードに課され得る。閾値は、例えば、変化するトラフィックフローに基づいて、動的に変更され得る。
【0015】
さらに随意的に、請求項4によって定義されるように、ノードのチェーンが、バックプレーンシステムの一部を構成し得る。
【0016】
実際に、高速バックプレーンシステムのような、ある適用例において、高いメモリ要件及びオーバーヘッド要件、及び時間のかかる処理集中的なルーティングアルゴリズムを有する複雑なルーティングプロトコルは、容認可能ではない。そのような適用例において、本発明によるネットワークのトポロジーの利点を活かす、最小限の複雑度を有するルーティングは、有利である。
【0017】
請求項5によって定義されるような、差がデータユニットの発信元アドレスと宛先アドレスとの間で計算される、本発明の一実施形態において、方法が、
− 選択されたルーティング方向を示す第1のビットをデータユニットに追加することと、
− 第1のホップリンク又は第2のホップリンクの選択を示す第2のビットをデータユニットに追加することと、
をさらに含み得る。
【0018】
実際に、ルーティングのための基準が、データユニットの宛先アドレスとソースアドレスとの差に基づく場合、ルーティング決定は、ソースノードにおいてすぐに為されることがあり、データユニットに、例えば、データユニットのヘッダに追加される2つのビットを介してその他のノードへ通信されることがある。1つのビットは、方向の選択を表す一方で、第2のビットは、長い/短いパスの選択を表す。ソースノードは、差の符号及び大きさをチェックし、決定を行い、ヘッダ中の対応する2つのビットを追加する又は変更する。そのため、中間ノードは、どこへデータユニットを転送すべきかを決めるために、ヘッダ中の対応するビットをチェックすることのみを必要とし、これにより、ルーティング手続きをさらに簡略化することができる。
【0019】
請求項1によって定義されるような、コンピュータにより実施される方法に加えて、本発明は、そのような方法を実行するための手段を備える、対応するデータ処理システムに関する。そのようなデータ処理システムは、請求項6によって定義される。
【0020】
さらに、請求項7及び請求項8によって示されるように、本発明はまた、上記方法を行うように構成されたソフトウェアコードを含む、対応するコンピュータプログラム、及びそのようなコンピュータプログラムを含むコンピュータ読取可能な記憶媒体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ノードが本発明によるルーティング方法の一実施形態を実施する、一次元トポロジーを有するネットワークを示す図である。
図2図1におけるノードによって適用されるような、本発明によるルーティング方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、チェーントポロジー状に配置されるネットワークを示す。各ノード、すなわち、101、102、103、104、105、106、...10i、...10Nは、ノードの直接のネイバーと、ノードのネイバーのネイバーとに接続される。各ノードは、一意のアドレスを割り当てられる。図1の特定の実施形態において、アドレス割り当ては、左から右へ昇順である。すなわち、ノード101はアドレス1を割り当てられ、ノード102はアドレス2を割り当てられ、ノード103はアドレス3を割り当てられ、ノード104はアドレス4を割り当てられ、ノード105はアドレス5を割り当てられ、ノード106はアドレス6を割り当てられ、...ノード10iはアドレスiを割り当てられ、...ノード10NはアドレスNを割り当てられる。そのため、トポロジー情報は、ノードアドレスに課される。例えば、アドレス6を有するノードは、アドレス1を有するノードの右側に位置する。また、アドレッシングスキームは、ソースノードと宛先ノードとが互いにどれだけ離れているかについての情報を提供する。宛先アドレスとソースアドレスとの差を求めることによって、ソースと宛先との間の距離を示す情報が取得される。各ノードは、アドレッシングスキームの上位方向及び下位方向においてノードの直接のネイバーに接続される。さらに、第1のホップ接続が予見される。図1において、これらの第1のホップリンクは、上位方向において112、123、134、145、156、...16i、...1iNと、下位方向において121、132、143、154、165、...1i6、...1Niと表される。各ノードはまた、ノードのネイバーのネイバーに第2のホップリンクを介して接続される。図1において、これらの第2のホップリンクは、アドレッシングスキームの上位方向において113、124、135、146、...15i、...16Nと、下位方向において131、142、153、164、...1i5、...1N6と表される。
【0023】
データパケットがソースから宛先までの途中でノードに到達すると、受信ノードは、ルーティング決定をするために、図2のフローチャートによって示される方法を適用すべきである。まず、ステップ201において、宛先アドレスがデータパケットから抽出される。ステップ202において、パケットの宛先アドレスが現在のノードのアドレスと比較される。これらのアドレスが同じである場合、ステップ203において、データパケットはチェーンから回収され、処理のためにローカルカードへ送信される。そうでない場合、ステップ204において、パケットの宛先アドレスは、現在のノードの第1のホップネイバー及び第2のホップネイバーのアドレスと比較される。パケットの宛先ノードが現在のノードに直接接続されている場合、ステップ205において、データパケットは、データパケットの宛先へ宛先への直接的なリンクを使用して送信される。そうでない場合、ステップ206において、現在のノードは、宛先アドレスからノードのアドレスを減算する。この差の符号は、ステップ207において、現在のノードがルーティング方向を決定することを可能にする。ステップ206において計算された差が負である場合、パケットは、図1のチェーン内の左側への送信のための待ち行列に入れられ、そうでない場合、図1のチェーン内の右側への送信のための待ち行列に入れられる。この後、現在のアドレスと宛先アドレスとの差に基づいて、ネイバーのネイバーへの第2のホップリンク又は直接的なネイバーへの第1のホップリンクのいずれか一方が選択される。これは、ステップ208において、現在のアドレスと宛先アドレスとの差を閾値と比較することによって実現される。現在のノードと宛先とが互いに離れている場合(ステップ210において、差>閾値)、全体的なホップ数を低減するために、第2のホップリンクが選択される。現在と宛先とがより近い場合(ステップ209において、差≦閾値)、第1のホップリンクが好適である。
【0024】
ステップ208において使用される閾値は、好適にはネットワークのサイズに依存することに留意されたい。この閾値は、システムスタートアップ時に各ノードに課されることがあり、及び/又は、例えば、チェーン内のノードの挿入若しくは除去の結果として、各トポロジー更新の後に各ノードへ通信されることがある。閾値はまた、リンク上のトラフィックを最適化する等のために、例えば、変化するトラフィックフローに基づいて、動的に設定され得る。
【0025】
ステップ206は、現在のノードのアドレスと宛先アドレスとの差の代わりとして、ソースノードアドレスと宛先ノードアドレスとの差を使用し得ることにさらに留意されたい。ソースノードアドレスは、典型的には、データパケットから抽出されることがあり、そのため、データパケットを受信する各中間ノードにおいて利用可能である。
【0026】
本発明による方法は、各ノードのアドレスにトポロジー情報を課すことによって、ルーティングの複雑度を解決する。結果として、分散されたルーティング決定が、現在のノードのアドレス、パケット/フレームソースアドレス及びパケット/フレーム宛先アドレスに基づいて、各個別ノードにおいて為され得る。そのため、各ノードにおいて大きなルーティングテーブルを保持すること及び最新のリンク状態情報を伝播させることが不要となる。
【0027】
例えば、高速バックプレーンシステムのような幾つかの適用例において、ルーティングテーブルについてのメモリ要件、これらのルーティングテーブルを検索するための必要な時間、及びこれらのルーティングテーブルを保持し/更新するための必要なオーバーヘッドの観点において複雑なルーティングは、ハードウェアの複雑度、電力消費、及びスループットオーバーヘッドの観点において高いコストをもたらす。そのため、本発明によって可能となるような、最小限の複雑度を有するルーティングが必要とされる。
【0028】
本発明による方法は、典型的には、ノード内、例えば、ルータ又はスイッチ内のデータプロセッサ上で実行されるソフトウェアを通じてコンピュータにより実施されるべきである。一般的に、本発明により動作させられるデータ処理システム又はコンピューティングデバイスは、当業者によって理解されるように、マイクロプロセッサ、プロセッサ、ワークステーション、サーバ、ラップトップ、デスクトップ又は他のコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0029】
データ処理システム又はコンピューティングデバイスは、1つ又は複数のメモリデバイス、1つ又は複数のプロセッサ、入力/出力ポート、電源等の幾つかのコンポーネント間での接続性のために、バス又はネットワークを直接的に又は間接的に含むことができる。当業者は、バス又はネットワークがアドレスバス、データバス、若しくはこれらの任意の組み合わせなどの1つ若しくは複数のバスを含むことができること、又は1つ若しくは複数のネットワークリンクを含むことができることを認識するであろう。当業者はまた、意図される適用例及び特定の実施形態の用途に応じて、これらのコンポーネントのうちの複数が単一のデバイスによって実施され得ることを認識するであろう。同様に、幾つかの例において、単一のコンポーネントは、複数のデバイスによって実施され得る。
【0030】
データ処理システム又はコンピューティングデバイスは、様々なコンピュータ読取可能な媒体を含み又は様々なコンピュータ読取可能な媒体とインタラクションすることができる。例えば、コンピュータ読取可能な媒体は、情報をエンコードするために使用されることがあり、データ処理システム又はコンピューティングデバイスによってアクセスされることがある、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、読み出し専用メモリ(ROM:Read Only Memory)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM:Electronically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、CDROM、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disks)若しくは他の光学的若しくはホログラフィック媒体、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気ストレージデバイスを含むことができる。
【0031】
メモリは、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリの形のコンピュータストレージ媒体を含むことができる。メモリは、取り外し可能、取り外し不可能、又はこれらの任意の組み合わせであってよい。例示的なハードウェアデバイスは、ハードドライブ、ソリッドステートメモリ、光ディスクドライブ等などのデバイスである。データ処理システム又はコンピューティングデバイスは、メモリ、様々なI/Oコンポーネント等などのコンポーネントからデータを読み出す1つ又は複数のプロセッサを含むことができる。
【0032】
本発明は特定の実施形態を参照することによって説明されてきたが、本発明が前述の説明のための実施形態の詳細には限定されないこと、並びに本発明がその範囲から逸脱することなく様々な変更及び変形と共に具現化され得ることは、当業者には明らかであろう。そのため、本実施形態は、全ての点において説明のためのものとみなされるべきであって、限定するものとみなされるべきではなく、本発明の範囲は、前述の記載によってではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって示されており、したがって特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内に収まるあらゆる変更は、特許請求の範囲に包含されることが意図される。換言すれば、基本的な根底をなす原理の範囲内に収まり、それらの本質的な属性が本特許出願において請求項として記載される、任意及び全ての変形例、バリエーション又は均等物をカバーすることが予期される。「備える(comprising)」又は「含む(comprise)」という用語は他の要素又はステップを排除しないこと、「1つの(a)」又は「ある(an)」という用語は複数を排除しないこと、及びコンピュータシステム、プロセッサ、又は別の一体化されたユニットなどの単一の要素が、特許請求の範囲において記載される幾つかの手段の機能を充足し得ることが、本特許出願の読者によってさらに理解されるであろう。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、関連するそれぞれの請求項を限定するものとしてみなされるべきではない。「第1の」、「第2の」、「第3の」、「a」、「b」、「c」等の表現は、明細書又は特許請求の範囲において使用される場合、同様の要素又はステップ間を区別するために導入され、明示的に述べられない限り、必ずしも順序又は時系列を記載するわけではない。同様に、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上に(over)」、「下に(under)」等の用語は、記述的な目的のために導入され、必ずしも相対的な位置を表すために導入されるわけではない。そのように使用される用語は適当な状況下では互換可能であり、本発明の実施形態は、他の順序において、又は上記に記載され若しくは説明された(1つ又は複数の)配向とは異なる配向においても、本発明に従って動作することが可能であることが理解されるべきである。
図1
図2