特許第5913844号(P5913844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5913844
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   A61B1/04 370
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-145814(P2011-145814)
(22)【出願日】2011年6月30日
(65)【公開番号】特開2013-9908(P2013-9908A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2014年4月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】魁生 諭
【審査官】 樋熊 政一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−034166(JP,A)
【文献】 特開2008−302075(JP,A)
【文献】 特開2006−255108(JP,A)
【文献】 特開2009−142654(JP,A)
【文献】 特開2004−174008(JP,A)
【文献】 特開平11−298907(JP,A)
【文献】 特開2002−248077(JP,A)
【文献】 特開2007−185349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、撮像素子および前記撮像素子から読み出される画素信号を処理する画像信号処理部を有する複数のビデオスコープと、前記複数のビデオスコープの中で所定のビデオスコープが選択的に接続されるプロセッサとを備えた内視鏡システムであって、
各ビデオスコープが、前記画像信号処理部で実行される画像信号処理に使用する調整データが自身のスコープ機種データと関連付けられて格納されるスコープ側メモリを有し、
前記プロセッサが、接続されるビデオスコープから送られてくる調整データおよびスコープ機種データが関連付けられて格納されるプロセッサ側メモリを有し、
前記プロセッサが、
所定のビデオスコープが接続されると、接続されるビデオスコープの機種が以前に接続されたビデオスコープと同じ機種であるか否かを判断する機種同一判断手段と、
接続されるビデオスコープが同一機種でない場合、前記ビデオスコープから送られてくる調整データおよびスコープ機種データを関連付けて前記プロセッサ側メモリに格納するプロセッサ側調整データ格納手段と、
ビデオスコープ接続中にユーザによって行なわれる調整データ設定作業に従い、前記プロセッサ側メモリに格納されている調整データを、設定後の調整データに更新するプロセッサ側調整データ更新手段と、
接続されるビデオスコープが同一機種である場合、その機種に対応した調整データを前記プロセッサ側メモリから読み出し、接続しているビデオスコープに送信するプロセッサ側調整データ送信手段とを有し、
前記スコープ側メモリおよび前記プロセッサ側メモリが、書き換え可能な不揮発性メモリであって、
前記ビデオスコープが、ビデオスコープ接続時に前記プロセッサ側調整データ送信手段によって送信された調整データを受信すると、前記スコープ側メモリに格納されている調整データを、受信した調整データに更新するスコープ側調整データ再設定手段を有することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記ビデオスコープが、
調整データ設定作業に従い、前記スコープ側メモリに格納されている調整データを、設定後の調整データに更新するスコープ側調整データ更新手段と、
更新された調整データを、前記プロセッサへ送信するスコープ側更新調整データ送信手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記プロセッサが、接続されるビデオスコープが同一機種でない場合、調整データの送信を要求するプロセッサ側送信要求手段をさらに備え、
前記ビデオスコープが、前記プロセッサからの送信要求に応じて調整データを送信するスコープ側調整データ送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記プロセッサ側メモリが、プロセッサ内部にあらかじめ組み込まれた内蔵メモリを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記プロセッサ側メモリが、前記内蔵メモリとともに、前記プロセッサに着脱自在に装着される携帯型メモリを含み、
前記プロセッサ側調整データ格納手段が、前記携帯型メモリが前記プロセッサに装着されると、前記携帯型メモリに格納されている調整データを読み出し、前記内蔵メモリに格納することを特徴とする請求項4に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記プロセッサに接続されるサーバをさらに備え、
前記プロセッサが、
ビデオスコープが取り外されると、接続されていた使用時間を検出する使用時間検出手段と、
前記サーバへ使用時間を送信する使用時間送信手段とをさらに備え、
前記サーバが、
送られてくる使用時間に基づき、そのビデオスコープの総使用時間を表す累積使用時間を算出する累積使用時間算出手段と、
累積使用時間が許容限度時間を越える場合、メンテナンスが必要であることを示すデータを、前記プロセッサへ送信する報知手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の内視鏡システム。
【請求項7】
それぞれ、撮像素子および前記撮像素子から読み出される画素信号を処理する画像信号処理部を有する複数のビデオスコープと、前記複数のビデオスコープの中で所定のビデオスコープが選択的に接続されるプロセッサとを備えた内視鏡システムであって、
各ビデオスコープが、スコープ動作処理を実行するプログラムが自身のスコープ機種データと関連付けられて格納されるスコープ側メモリを有し、
前記プロセッサが、接続されるビデオスコープから送られてくるプログラムおよびスコープ機種データが関連付けられて格納されるプロセッサ側メモリを有し、
前記プロセッサが、
所定のビデオスコープが接続されると、接続されるビデオスコープの機種が以前に接続されたビデオスコープと同じ機種であるか否かを判断する機種同一判断手段と、
接続されるビデオスコープが同一機種でない場合、前記ビデオスコープから送られてくるプログラムおよびスコープ機種データを関連付けて前記プロセッサ側メモリに格納するプロセッサ側プログラム格納手段と、
接続されるビデオスコープが同一機種である場合、その機種に対応したプログラムを前記プロセッサ側メモリから読み出し、接続しているビデオスコープに送信するプロセッサ側プログラム送信手段とを有し、
前記スコープ側メモリおよび前記プロセッサ側メモリが、書き換え可能な不揮発性メモリであって、
前記ビデオスコープが、ビデオスコープ接続時に前記プロセッサ側プログラム送信手段によって送信されたプログラムを受信すると、前記スコープ側メモリに格納されているプログラムを、受信したプログラムに更新するスコープ側プログラム再設定手段を有することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項8】
それぞれ、先端部に撮像素子を設けて画像信号処理を実行する複数のビデオスコープと、前記複数のビデオスコープの中で所定のビデオスコープが選択的に接続されるプロセッサとを備えた内視鏡システムであって、
前記ビデオスコープが、スコープ側メモリにあらかじめ格納されている画像信号処理に関連した調整データおよびスコープ動作処理に関連したプログラムの少なくとも一方を、接続しているプロセッサへ送信し、
前記プロセッサが、接続しているビデオスコープから送られてくる調整データおよびプログラムの少なくとも一方を受信すると、プロセッサ側メモリに受信した調整データおよびプログラムの少なくとも一方を格納し、
前記プロセッサが、接続されるビデオスコープが以前接続されたビデオスコープと同一機種である場合、前記プロセッサ側メモリに格納されている調整データおよびプログラムの少なくとも一方を、接続しているビデオスコープへ送信し、
前記スコープ側メモリおよび前記プロセッサ側メモリが、書き換え可能な不揮発性メモリであって、
前記ビデオスコープが、以前接続されたビデオスコープと同一機種であったために接続しているプロセッサから送信された調整データおよびプログラムの少なくとも一方を受信すると、あらかじめ前記スコープ側メモリに格納されている調整データおよびプログラムの少なくとも一方を受信した調整データおよびプログラムの少なくとも一方に更新することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項9】
前記ビデオスコープが、ビデオスコープ接続中にユーザによって行なわれる調整データ設定作業に従い、前記スコープ側メモリに格納されている調整データを、設定後の調整データに更新するとともに、更新された調整データを前記プロセッサへ送信することを特徴とする請求項8に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スコープによって器官内壁などの被写体を撮像し、観察画像をモニタに表示する内視鏡システムに関し、特に、色情報データなどのユーザによって調整、更新等が可能なデータあるいはプログラム等の使用環境に合わせた設定処理に関する。
【背景技術】
【0002】
先端部にCCDなどの撮像素子を備えたビデオスコープには、撮像素子から読み出された一連の画素信号に対して画像信号処理を行う回路が設けられている。そこでは、色調整、ゲイン処理などの信号処理が画素信号に対し施される。画像信号処理を含めたビデオスコープの動作処理は、あらかじめメモリに記憶されているプログラムの実行に基づく。
【0003】
ビデオスコープで行われる色調整等の画像信号処理は、あらかじめ定められたパラメータ(ガンマ値、ゲイン値など)によって行なわれる。パラメータは、撮像素子サイズ(解像度)などスコープ側の特性に依存し、出荷時にあらかじめ調整されてROMなどに記憶されている。
【0004】
その一方で、観察画像の色合いは、プロセッサの種類によっても変化する。具体的には、光源として設けられたランプの種類、ランプの光をビデオスコープ内のライトガイドへ集光させる光学系、画像信号処理回路などのプロセッサ特性によって色調が変わる。
【0005】
そのため、ビデオスコープに、あらかじめ接続可能なプロセッサに応じた色情報パラメータを用意し、ビデオスコープがプロセッサに接続されるとプロセッサの機種を検知し、その接続されるプロセッサに適した色情報パラメータに基づいて画像信号処理を行う。(特許文献1参照)。
【0006】
あるいは、ユーザが内視鏡作業前にホワイトバランス調整など色調整作業を行い、作業時の使用環境に最も適したパラメータを調整することも可能である。ホワイトバランス調整作業では、ビデオスコープに白色被写体を撮像させ、R、G、Bの比が1:1:1となるようにゲイン値が設定される。そしてビデオスコープを使って観察している間、設定されたゲイン値に基づくカラー観察画像が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−284683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ビデオスコープは定期的あるいは不定期に点検する必要があり、また、スコープ内部の機構、電気回路が故障した場合、修理が必要となる。さらには、ビデオスコープを別の内視鏡システムで使用するため、使用環境に合わせてセッティングしなければならない。
【0009】
ビデオスコープの点検、修理、あるいは使用環境に合わせたセッティング変更のとき、それまでユーザによる調整作業によって設定されたパラメータはリセットされてしまう。そのため、ビデオスコープを再び使用する場合、ユーザはパラメータ調整作業を改めて行わなければならない。
【0010】
また、新たな調整作業において、以前同様のセッティングを行えるとは限らない。そのため、同一機種のビデオスコープを複数併用する場合、製品間で色情報パラメータなどにバラツキが生じる恐れがある。
【0011】
一方、ビデオスコープの動作処理を実行するプログラムは、頻繁にヴァージョンアップされていくが、修理、点検するビデオスコープが最新ヴァージョンのプログラムに対応していない場合、新たにプログラム修正作業を行なう必要も出てくる。
【0012】
したがって、内視鏡システムの機器間でデータ、あるいはプログラムを共有化し、今まで使用されていたビデオスコープ関連のデータあるいはプログラムを内視鏡システムの使用環境に合わせて自動的に設定することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の内視鏡システムは、複数のビデオスコープから所定のビデオスコープが選択的にプロセッサに接続される使用環境の下で利用される。ビデオスコープは、撮像素子および前記撮像素子から読み出される画素信号を処理する画像信号処理部を備えている。また、ビデオスコープは、他のプロセッサによって構築された異なる内視鏡システムにおいても使用可能である。
【0014】
各ビデオスコープにはメモリ(以下、スコープ側メモリという)が設けられており、前記画像信号処理部で実行される画像信号処理に使用するデータ(以下、調整データという)が、自身のスコープ機種を示すデータ(以下では、スコープ機種データという)と関連付けられて格納される。調整データは、ゲイン値など色情報パラメータその他の画像信号処理に関連する1つあるいは複数のデータであり、スコープ側メモリにあらかじめ記憶されている。スコープ機種データは、例えばコードで表さられる。
【0015】
また、プロセッサにおいても、メモリ(以下、プロセッサ側メモリという)が設けられており、接続されるビデオスコープから送られてくる調整データおよびスコープ機種データを関連付けて格納可能なように構成されている。プロセッサ側メモリは、例えばプロセッサ内部にあらかじめ組み込まれた内蔵メモリである。
【0016】
本発明のプロセッサは、所定のビデオスコープがプロセッサに接続されると、接続されるビデオスコープの機種が以前に接続されたビデオスコープと同じ機種であるか否かを判断する機種同一判断手段と、接続されるビデオスコープが同一機種でない場合、前記ビデオスコープから送られてくる調整データをスコープ機種データと関連付けて前記プロセッサ側メモリに格納するプロセッサ側調整データ格納手段とを備える。
【0017】
ビデオスコープが同一機種であるか否かの判断は、観察対象器官の違い、製造時期、撮像システムの特性などに基づいて判断することが可能である。例えば、同じ観察対象であり、撮像素子の性能(画像サイズ、解像度など)が同じ場合、同一機種とみなすことができる。
【0018】
プロセッサへの調整データ送信の構成として、例えば、前記プロセッサが、接続されるビデオスコープが同一機種でない場合、調整データの送信を要求するプロセッサ側送信要求手段を備え、また、前記ビデオスコープが、前記プロセッサからの送信要求に応じて調整データを送信するスコープ側調整データ送信手段を備えるようにすればよい。
【0019】
本発明のプロセッサは、さらに、ビデオスコープ接続中にユーザによって行なわれる調整データ設定作業に従い、前記プロセッサ側メモリに格納されている調整データを、設定後の調整データに更新するプロセッサ側調整データ更新手段を備える。調整データ設定作業は、使用環境に合わせて特定の調整データを設定(カスタマイズ)する作業である。例えば、調整データ設定作業としてホワイトバランス調整が行われた場合、R、G、Bのゲイン値が調整される。このとき、調整データにおいて設定されたゲイン値をプロセッサ側メモリにおいて更新する。
【0020】
更新される調整データをプロセッサへ送信させるため、例えば、前記ビデオスコープが、調整データ設定作業に従い、前記スコープ側メモリに格納されている調整データを、設定後の調整データに更新するスコープ側調整データ更新手段と、更新された調整データを、前記プロセッサへ送信するスコープ側更新調整データ送信手段とを備えればよい。
【0021】
その一方で、本発明のプロセッサは、接続されるビデオスコープが同一機種である場合、その機種に対応した調整データを前記プロセッサ側メモリから読み出し、接続しているビデオスコープに送信するプロセッサ側調整データ送信手段を備える。そして、ビデオスコープは、ビデオスコープ接続時に前記プロセッサから調整データを受信すると、前記スコープ側メモリに格納されている調整データを、受信した調整データに変更するスコープ側調整データ再設定手段を備える。
【0022】
このようなデータの相互展開により、ビデオスコープ単体で保持される調整データがプロセッサに展開されて共有化される一方、新たなビデオスコープが接続されると、プロセッサに展開された調整データがそのビデオスコープへ展開される。したがって、プロセッサに接続される同一機種のビデオスコープは、共通の調整データに基づいて画像信号処理を行うことになる。
【0023】
プロセッサ側メモリとしては、前記内蔵メモリとともに、前記プロセッサに対して着脱自在に装着可能な携帯型メモリ(メモリカードなど)も適用可能である。この場合、他の内視鏡システムで展開、共有化された調整データを利用することが可能となる。例えばプロセッサ側調整データ格納手段が、前記携帯型メモリが前記プロセッサに装着されると、前記携帯型メモリに格納されている調整データを読み出し、前記内蔵メモリに格納することが可能である。
【0024】
内視鏡システムは、ネットワーク等を通じてサーバと接続するように構築することが可能である。サーバは、使用環境に合わせて構築された様々な内視鏡システムと接続可能となり、ビデオスコープは、複数の内視鏡システムに渡って使用することができる。
【0025】
様々な内視鏡システムに使用されるビデオスコープは、その使用状況の管理が困難であり、ビデオスコープのメンテナンスが必要な時期になってもユーザに認識されない恐れがある。ビデオスコープのメンテナンス管理をサーバ側で行なうことが望まれる。
【0026】
そのため、本発明のプロセッサは、ビデオスコープが取り外されると、接続されていた使用時間を検出する使用時間検出手段と、前記サーバへ使用時間を送信する使用時間送信手段とを備える。そして、サーバが、送られてくる使用時間に基づき、そのビデオスコープの総使用時間を表す累積使用時間を算出する累積使用時間算出手段と、累積使用時間が許容限度時間を越える場合、メンテナンスが必要であることを示すデータを、前記プロセッサへ送信する報知手段とを備えればよい。ビデオスコープのメンテナンス管理をする構成だけを考慮すると、上述した調整データを展開、共有する構成は必要とならない。
【0027】
本発明の他の態様における内視鏡システムは、それぞれ、撮像素子および前記撮像素子から読み出される画素信号を処理する画像信号処理部を有する複数のビデオスコープと、前記複数のビデオスコープの中で所定のビデオスコープが選択的に接続されるプロセッサとを備えた内視鏡システムであって、プログラムが共有、展開される。
【0028】
すなわち、本発明の内視鏡システムでは、各ビデオスコープが、スコープ動作処理を実行するプログラムが自身のスコープ機種データと関連付けられて格納されるスコープ側メモリを有し、前記プロセッサが、接続されるビデオスコープから送られてくるプログラムおよびスコープ機種データが関連付けられて格納されるプロセッサ側メモリを備える。プロセッサは、所定のビデオスコープが接続されると、接続されるビデオスコープの機種が以前に接続されたビデオスコープと同じ機種であるか否かを判断する機種同一判断手段と、接続されるビデオスコープが同一機種でない場合、前記ビデオスコープから送られてくるプログラムおよびスコープ機種データを関連付けて前記プロセッサ側メモリに格納するプロセッサ側調整データ格納手段と、接続されるビデオスコープが同一機種である場合、その機種に対応したプログラムを前記プロセッサ側メモリから読み出し、接続しているビデオスコープに送信するプロセッサ側調整データ送信手段とを有し、前記ビデオスコープが、ビデオスコープ接続時に前記プロセッサから調整データを受信すると、前記スコープ側メモリに格納されているプログラムを、受信したプログラムに変更するスコープ側プログラム再設定手段を有する。
【0029】
本発明の他の態様における内視鏡システムは、それぞれ、先端部に撮像素子を設けて画像信号処理を実行する複数のビデオスコープと、前記複数のビデオスコープの中で所定のビデオスコープが選択的に接続されるプロセッサとを備えた内視鏡システムである。前記ビデオスコープは、スコープ側メモリにあらかじめ格納されている画像信号処理に関連した調整データもしくはスコープ動作処理に関連したプログラムを、接続しているプロセッサへ送信する。プロセッサは、接続しているビデオスコープから送られてくる調整データおよびプログラムの少なくとも一方を受信すると、プロセッサ側メモリに受信した調整データおよびプログラムの少なくとも一方を格納する。
【0030】
そして、前記プロセッサは、接続されるビデオスコープが以前接続されたビデオスコープと同一機種である場合、前記プロセッサ側メモリに格納されている調整データおよびプログラムの少なくとも一方を、接続しているビデオスコープへ送信する。ビデオスコープは、接続しているプロセッサから調整データおよびプログラムの少なくとも一方を受信すると、あらかじめ格納されている調整データおよびプログラムの少なくとも一方を受信した調整データおよびプログラムの少なくとも一方に変更する。内視鏡システムのビデオスコープ、プロセッサは、相互に関連したサブコンビネーションとして構築される。
【0031】
例えば、ビデオスコープが、ビデオスコープ接続中にユーザによって行なわれる調整データ設定作業に従い、前記スコープ側メモリに格納されている調整データを、設定後の調整データに更新するとともに、更新された調整データを前記プロセッサへ送信する。
【発明の効果】
【0032】
このように本発明によれば、内視鏡システムにおいて、使用環境に合わせたデータ、プログラムを自動的に共有化しながら内視鏡作業を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本実施形態である内視鏡システムのブロック図である。
図2】プロセッサによって実行される調整データ、プログラム通信処理およびゲイン値設定処理を示したフローチャートである。
図3】ビデオスコープによって実行される調整データ、プログラム通信処理およびゲイン値設定処理を示したフローチャートである。
図4】プログラムおよび調整データのメモリへの記録の手順を示した図である。
図5】ビデオスコープおよびプロセッサに記録される調整データ及びプログラムの対応テーブルを示した図である。
図6】プロセッサにおいて実行される調整データ、プログラムの記録処理および読み出し処理を示すフローチャートである。
図7】調整データおよびプログラムの展開を示した図である。
図8】サーバによって実行されるビデオスコープの使用時間管理処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、図面を参照して本実施形態である内視鏡システムについて説明する。
【0035】
図1は、本実施形態である内視鏡システムのブロック図である。
【0036】
内視鏡システムは、その挿入部分が体内へ挿入されるビデオスコープ10と、プロセッサ20とを備え、ビデオスコープ10はプロセッサ20に着脱自在に接続される。ビデオスコープは様々なタイプ、機種のビデオスコープが用意されており、内視鏡作業に合わせて所定のビデオスコープ10が選択的にプロセッサ20に接続される。また、プロセッサ20には、モニタ50、サーバ60、キーボード70が接続されている。
【0037】
プロセッサ20は、キセノンランプなどの光源32を備え、光源32から放射された照明光は、集光レンズ31を介してビデオスコープ10内に設けられたライトガイド11に入射する。ライトガイド11に入射した光は、スコープ先端部10Tから射出し、配光光学系13を通じて被写体(観察対象)に向けて照射される。なお、集光レンズ31とライトガイド11の間には、照明光量を調整する絞り33が配置されている。
【0038】
被写体に反射した照明光は、スコープ先端部10Tに設けられた対物レンズ15によって結像し、これにより被写体像がCCDなどのイメージセンサ12の受光面に形成される。イメージセンサ12では、センサ駆動回路18からの駆動信号に基づき、1フレーム分の画像信号が所定のフレーム時間間隔(例えば1/30秒間隔)で読み出される。イメージセンサ12には、Cy、Ye、G、MgあるいはR、G、Bから成る色要素をモザイク配列させた補色フィルタが配設されている。
【0039】
読み出された一連の画素信号は、前段信号処理回路14へ送られる。前段信号処理回路14では、画素信号に対してデジタル化、さらには、ホワイトバランス処理(ゲイン処理)、ガンマ補正処理などの信号処理が施される。これにより、R、G、Bの画像信号が生成され、プロセッサ20の後段信号処理回路22へ送られる。
【0040】
後段信号処理回路22では、輪郭強調処理、スーパーインポーズ処理などが画像信号に対して施され、出力回路24を経てモニタ50に出力される。これにより、観察画像がリアルタイム動画像としてモニタ50に表示される。
【0041】
CPU、ROM等を含むシステムコントロール回路26は、タイミングコントローラ28、後段信号処理回路22などへ制御信号を出力し、プロセッサ20全体の動作を制御する。プロセッサの動作制御に関するプログラムはROMにあらかじめ格納されている。また、システムコントロール回路26は、ビデオスコープ10内に設けられたスコープコントローラ16と相互通信し、様々なデータ、プログラム等が受信、送信される。
【0042】
ビデオスコープ10がプロセッサ20に接続されると、プロセッサ20からビデオスコープ10に電源が供給される。CPUを含むスコープコントローラ16は、ビデオスコープ10の動作を制御する。EEPROM19には、ビデオスコープの画像信号処理に関するデータ(以下、調整データという)、プログラムが格納されており、前段信号処理回路14におけるホワイトバランス処理(ゲイン処理)は、EEPROM19に格納された調整データの1つであるゲイン値データ(パラメータ)に基づいて実行される。また、EEPROM19に格納されたプログラムの実行によって、イメージセンサ12の駆動等、スコープ動作全体の制御処理が行われる。
【0043】
ビデオスコープ10が接続されている状況において、上述したホワイトバランス処理のゲイン値を設定するホワイトバランス調整作業を行うことが可能である。キーボード70、あるいはフロンパネルボタン80に対する所定の操作がユーザによって行われると、ゲイン値を設定するためのホワイトバランス調整が実行される。このとき、スコープ先端部10Tに白色被写体を向けて撮像し、R、G、Bの画像信号の比が1:1:1となるようにゲイン値が設定される。
【0044】
プロセッサ20に内蔵されたEEPROM23には、ビデオスコープ10のEEPROM19に格納されているプログラム、ゲイン値などの調整データが必要に応じて記録される。また、システムコントロール回路26は、プロセッサ20に着脱自在に装着されるメモリカード25に対し、メモリインターフェイス29を介してEEPROM23に記憶されているプログラムおよび調整データを書き込む。
【0045】
プロセッサ20は、ネットワークを通じてサーバ60と接続しており、サーバ60は、プロセッサ20に接続されるビデオスコープ10の使用状況を管理する。プロセッサ20のシステムコントロール回路26は、プロセッサ20に接続されたビデオスコープ10の接続時間を検出するタイマー(図示せず)を備えており、接続されていたビデオスコープ10が取り外されると、それまでの接続時間を使用時間としてサーバ60に送信する。また、使用時間とともに、EEPROM23に記録されているそのビデオスコープの調整データおよびプログラムがサーバ60へ送信される。
【0046】
次に、図2図5を用いて、ビデオスコープとプロセッサとの間で行なわれるプログラムデータの相互通信、記録処理について説明する。本実施形態では、接続可能な複数のビデオスコープとプロセッサとの間において、ビデオスコープに関連する、特に画像信号処理に関連するデータと、ビデオスコープの動作制御を行うプログラムとが共有化される。
【0047】
図2は、プロセッサによって実行される調整データ、プログラム通信処理およびゲイン値設定処理を示したフローチャートである。図3は、ビデオスコープによって実行される調整データ、プログラム通信処理およびゲイン値設定処理を示したフローチャートである。図4は、プログラムおよび調整データのメモリへの記録の手順を示した図である。図5は、ビデオスコープおよびプロセッサに記録される調整データ及びプログラムの対応テーブルを示した図である。
【0048】
所定の機種のビデオスコープ10がプロセッサ20に接続されると(S101)、接続されたビデオスコープが登録済みであるか否かが判断される(S102)。具体的には、今接続されたビデオスコープが以前に接続されたビデオスコープと同じ機種であるか否かが判断される。
【0049】
ビデオスコープの機種は、観察対象器官およびイメージセンサ12の性能に基づいて分類されている。例えば、上部消化管を観察対象とするビデオスコープの中で、CCDサイズ、解像度レベルが同じ場合、同機種と判断される。図5に示すように、機種コード(ここでは、A、B、Cと表す)が与えられたビデオスコープに対し、それぞれプログラムPA、PB、PCが用意される。また、機種コードA、B、Cに合わせて、ゲイン値を含めた一連の調整データZA、ZB、ZCが用意されている。プログラム、調整データは、機種コードと関連付けられてビデオスコープ10のEEPROMに記憶されている。
【0050】
ビデオスコープは、個別にシリアル番号(ID番号)を備えているが、観察対象器官が同一であって撮像素子の性能が同じ場合、これらを同一機種とみなす。同一機種の場合、画像の色調、解像度などが実質的同じであり、ゲイン値などの色情報に関するデータも同じ値に設定することが可能となる。
【0051】
接続されたビデオスコープの機種が以前接続されたビデオスコープと同機種ではないと判断されると、ビデオスコープのEEPROM19に格納されているプログラム、ゲイン値を含む調整データを要求するコマンドデータがビデオスコープ10へ送信される(S103、図4(A)、(B)参照)。
【0052】
ビデオスコープでは、プロセッサ20への接続によって電源供給を受けると、図4に示す動作処理があらかじめ備えられたプログラムによって実行され、ゲイン値を含むパラメータなどが初期化される(S201)。そして、プログラム、調整データの送信要求コマンドデータがプロセッサ20から送られてきているか否かが判断される(S202)。図2のS103による送信要求のコマンドデータを受信すると、プログラムおよび調整データがプロセッサ20へ送信される(S203)。データ送信のとき、調整データおよびプログラムは機種コードと関連付けられている。
【0053】
プロセッサ20では、ビデオスコープから送られてくるプログラム、調整データ、機種コードが受信され、EEPROM23に記録される(図2のS104、S105)。EEPROM23では、機種コードに対応付けられてプログラム、調整データが格納される(図4(B)参照)。
【0054】
次に、プロセッサ20では、ビデオスコープが接続されている状態でユーザによるホワイトバランス調整が行われるか否かが判断される(S106)。ユーザのキーボード操作あるいはフロントパネルボタンに対する操作によってホワイトバランス調整が行われると判断されると、ビデオスコープへゲイン値の設定処理を行うことを要求するコマンドデータがビデオスコープ10へ送信される(S107)。
【0055】
ビデオスコープでは、プロセッサからゲイン値設定処理のコマンドデータが送られてくると(図3のS204でYES)、ゲイン値設定処理が実行される(図3のS205)。このとき、ビデオスコープ10のスコープ先端部10Tは白色被写体を撮像するための筒で覆われている。そして、設定されたゲイン値がプロセッサ20へ送信される(S206)。
【0056】
プロセッサでは、ゲイン値が送られてくると、EEPROM23に格納されていた調整データの中でゲイン値が上書き更新される(図2のS108、S109)。その結果、図4(C)に示すように、一連の調整データの中で、ゲイン値が最新のゲイン値としてプロセッサ20に記録される。
【0057】
今まで接続されていたビデオスコープが取り外しされると(S110)、プロセッサ20では、新たにビデオスコープが接続されるか否か判断される(S101)。新たにビデオスコープが接続されると、電源供給によってそのビデオスコープは初期化される(図3のS201)。
【0058】
プロセッサ20では、接続されたビデオスコープが過去に接続されたビデオスコープと同機種であるか否かが判断される(図2のS102)。同機種の判断は、EEPROM23に機種コードに応じた調整データ、プログラムが存在するか否かによって判断する。同機種であると判断されると、EEPROM23に格納されている、その機種に応じたプログラム、調整データが読み出され、新たに接続されているビデオスコープへ送信される(S111、S112)。
【0059】
新たに接続されたビデオスコープでは、自身の機種に応じたプログラム、調整データがプロセッサ20から送られてくると(図3のS207でYES)、受信されたプログラム、調整データがEEPROM19に上書き更新される(S208)。そして、更新されたプログラム、調整データによって再び初期化が行なわれ、ゲイン値などを含む調整データが再設定される(S209)。
【0060】
このようなビデオスコープとプロセッサとの間の調整データおよびプログラムの相互通信、記録処理により、画像信号処理に関連するデータ及びビデオスコープ動作に関連するプログラムが、ビデオスコープ、プロセッサへ次々と展開され、データおよびプログラムが共有化される。
【0061】
本実施形態では、メモリカード25にも調整データおよびプログラムが記憶され、メモリカードを取り外して他のプロセッサ、すなわち内視鏡システムへデータを展開することが可能である。また、今まで接続されたことのない機種のビデオスコープに関する調整データ及びプログラムが記憶されたメモリカードがプロセッサ20に装着されると、その情報を取り出すことが可能である。以下、図を用いて説明する。
【0062】
図6は、プロセッサにおいて実行される調整データ、プログラムの記録処理および読み出し処理を示すフローチャートであり、プロセッサ20のメインルーチンに割り込んで実行される。図7は、調整データおよびプログラムの展開を示した図である。
【0063】
メモリカード25の装着が検知されると、装着されるメモリカード25にプロセッサ20で未登録となっている機種の調整データおよびプログラムが格納されているか否かが判断される(S301、S302)。プロセッサ20のEEPROM23に格納されていない機種の調整データプログラムが格納されている場合、その調整データおよびプログラムが機種コードと関連付けられてメモリカードから読み出される(S303)。
【0064】
今度は、ビデオスコープ10に格納されている調整データおよびプログラムが、メモリカード25に展開される。すなわち、プロセッサ20のEEPROM23に調整データおよびプログラムが格納されている場合、機種コードと関連付けられてメモリカード25へ記憶される(S304、S305)。
【0065】
この記憶処理および読み出し処理が割り込み処理として所定時間間隔で実行されるため、EEPROM23における最新の調整データおよびプログラム、すなわち、ビデオスコープにおいて設定されている調整データおよびプログラムが、メモリカード25へ順次上書き更新される。
【0066】
図7に示すように、プロセッサ20のEEPROM23に記憶された調整データ、プログラムはメモリカード25に記憶される。これにより、メモリカード25を取り外して他のプロセッサに接続したとき、プロセッサ20に接続していたビデオスコープの所有する調整データ、プログラムが、他の内視鏡システムで使用されているプロセッサの内蔵メモリに記憶される。これにより、別プロセッサを用いた内視鏡システムにおいても、同等の使用環境が構築される。
【0067】
図8は、サーバによって実行されるビデオスコープの使用時間を含めたスコープ管理処理を示したフローチャートである。
【0068】
S401では、ネットワークを通じて接続されている所定のプロセッサから、そのプロセッサに接続されていたビデオスコープの使用時間および調整データ、プログラムが受信される。使用時間等は、そのビデオスコープのシリアルコード(ID番号)と関連付けて送られてくる。そして、S402では、そのID番号に応じたビデオスコープの今まで使用された総合時間を表す使用累積時間が算出される。具体的には、それまでに算出された使用累積時間に対して受信した使用時間が加算され、新たな使用累積時間が算出される。また、S402では、受信した調整データおよびプログラムに基づき、ビデオスコープの使用状況が検出される。
【0069】
上述したように、サーバ60に接続される内視鏡システムのプロセッサは、スコープの接続、取り外しがあると、その間の使用期間を算出し、サーバ60へ送信する(そのフローはここでは図示せず)。サーバ60とネットワークをもつ複数の内視鏡システムに渡ってビデオスコープが使用される環境下において、サーバ60は、任意のビデオスコープの使用時間を、内視鏡システムごとに受信することができる。サーバ60は、各プロセッサでの使用時間に基づいてそのビデオスコープの総使用時間を算出し、記憶している。具体的には、サーバ60は、新たな使用時間を受信すると、それまでの使用累積時間に加算して総使用時間を算出する。
【0070】
使用累積時間が所定の許容限度時間を超えていると判断されると、そのビデオスコープの修理が必要であることを知らせるデータをプロセッサへ送信する(S404)。閾値は、ビデオスコープの性能等に従いあらかじめ定められている。使用累積時間が超えていない場合、そのまま経過観察とする(S405)。また、使用累積時間以外でも、受信した調整データおよびプログラムからメンテナンスの必要性が検知されると、その旨を知らせる。
【0071】
このように本実施形態によれば、所定のビデオスコープ10がプロセッサ20に接続されると、画像処理に関連する調整データ、プログラムが、ビデオスコープ10のEEPROM19からプロセッサ20のEEPROM23へ送信される。ビデオスコープ10がプロセッサ20に接続されている間にホワイトバランス調整が行われると、ビデオスコープ10において調整データのゲイン値が更新設定されるとともに、プロセッサ20のEEPROM23においてもゲイン値が更新される。
【0072】
そして、別のビデオスコープがプロセッサ20へ新たに接続されると、そのビデオスコープが以前接続されたことのあるビデオスコープと同機種であるか否かが判断される。同機種である場合、EEPROM23に格納されている調整データおよびプログラムが今接続されているビデオスコープへ送信される。そして、ビデオスコープでは、受信した調整データおよびプログラムに基づいて画像信号処理を含めた動作処理を実行する。
【0073】
本実施形態では、同一機種のビデオスコープがプロセッサ20に接続されると、ゲイン値などの調整データが共通化される。これにより、ユーザが何度もホワイトバランス調整作業などを各ビデオスコープに対して行なう必要がない。特に、接続するプロセッサの特性、すなわち内視鏡システムの特性に基づくゲイン値など調整データが設定されると、同一機種においても統一される。そのため、同一機種の製品間でそのプロセッサを使用する内視鏡システムでは、色調整などのバラツキが生じない。
【0074】
さらに、ビデオスコープを動作させるプログラムが同一機種の間で最新のヴァージョンに更新することが可能となり、動作性能の優れたビデオスコープへ自動的に改良することができる。
【0075】
一方、本実施形態では、メモリカード25に対し、ビデオスコープに格納されている調整データおよびプログラムが記憶される。これによって、他のプロセッサを使用する別の内視鏡システムにおいても、同一機種のビデオスコープを使用する場合には同等の使用環境を構築することが可能であり、セッティング等が簡略化される。
【0076】
また、特定のビデオスコープの使用累積時間を含めた使用状況がサーバ60によって管理されているため、ビデオスコープが様々なプロセッサ、すなわち様々な内視鏡システムで使い回されていても、そのビデオスコープの総使用時間が検出され、メンテナンスの有無を正確に判断し、知らせることができる。
【0077】
調整データとしては、ゲイン値以外のデータであって、ユーザによる調整作業あるいは自動的作業により使用環境に合わせて変更、更新されるデータなども、同様に共有化させることも可能である。また、ビデオスコープの画像信号処理回路をFPGAなどプログラムによって構築可能な回路で構成する場合、その回路を構築するプログラムを共有化させるように相互通信させることも可能である。なお、EEPROM以外の書き換え可能な不揮発性メモリなどを適用してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 ビデオスコープ
12 イメージセンサ
14 前段信号処理回路(画像信号処理部)
16 スコープコントローラ
19 EEPROM(スコープ側メモリ)
20 プロセッサ
23 EEPROM(プロセッサ側メモリ、内蔵メモリ)
25 メモリカード(プロセッサ側メモリ、携帯型メモリ)
26 システムコントロール回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8