(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車に搭載される計器板ユニットには、スピードメータ、タコメータ、油圧計、水温計、燃料残量計など様々な計器が備わっている。通常、これらの計器は、それぞれ該当する車両に搭載されているセンサが出力する電気信号を読み取ることにより計測値を取得しその計測値を表示する。
【0003】
また、近年の車両には様々な種類の複数の電子制御ユニット(ECU)が搭載されており、これらが車両上の通信ネットワークで互いに接続されている場合が多い。従って、計器板ユニットは必要な計測値の情報を他の電子制御ユニットから取得することもできる。
【0004】
しかし、実際の車両に搭載される電子制御ユニットの種類や数は、車両の車種、グレード、仕向地等の違いに応じて様々に変化する。従って、計器板ユニットの構成についても、それを搭載する車両の車種、グレード、仕向地等の違いに応じて様々なバリエーションを用意しておかなければならない。
【0005】
そこで、例えば特許文献1に開示された従来技術においては、計器板ユニットのバリエーションと各計器の情報供給手段との対応関係を、この文献中の
図8に示されているようなテーブルに予め登録している。このテーブルの情報を参照することにより、車両のバリエーションと、この計器板ユニットのバリエーションとを対応付けることができ、1種類の計器板ユニットを様々な種類の車両に搭載可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、車両の計器上で表示する情報を計測するために用いるセンサには複数の種類がある。代表例として、燃料残量計が表示すべき信号を出力する液面レベルセンサには、アナログ電気信号を出力する接触式センサや、デジタル電気信号を出力する非接触式センサがある。
【0008】
液面レベルセンサとして一般的に利用されるセンサは、アナログ電気信号を出力する接触式センサである。しかし、このセンサは接触式であるため、車両が使用される仕向地によっては接触障害が発生し誤動作する可能性がある。従って、接触式センサから非接触式センサに交換する必要が生じる場合がある。
【0009】
しかしながら、接触式センサが出力する電気信号はセンサの抵抗値に応じて変化するアナログ電気信号であるのに対し、非接触式センサが出力する電気信号はパルスのデューティなどが変化するデジタル電気信号である場合が多い。つまり、接触式センサが出力する電気信号と非接触式センサが出力する電気信号との間に互換性がないため、これらのセンサを交換することができない。
【0010】
従って、接触式センサに対応した計器板ユニットと非接触式センサに対応した計器板ユニットとをそれぞれ独立した種類のユニットとして個別に用意する必要があり、仕向地の違いに応じてユニット全体を交換しなければならなかった。
【0011】
また、もしも接触式センサから出力されるアナログ電気信号と非接触式センサから出力されるデジタル電気信号との両方に対応できるように電気回路を構成できたとしても、対応するセンサの種類が増えるのに伴って、計器板ユニットのバリエーションが更に増えてしまう。つまり、特許文献1のような技術を採用する場合には、テーブル上に事前に登録しておかなければならない情報の容量が膨大になる。
【0012】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用するセンサの種類の変更を許容することが可能な車両用計器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用計器は、下記(
1)を特徴としている。
(1)
燃料残量を表す計測値
を表示する車両用計器であって、
前記計測値を表示する表示部と、
前記
燃料残量を計測する接触式センサから前記計測値として出力されるアナログ電気信号を入力するための第1の信号入力回路と、
前記
燃料残量を計測する非接触式センサから前記計測値として出力されるデジタル電気信号を入力するための第2の信号入力回路と、
前記接触式センサ又は非接触式センサに電源電圧を供給する電源回路と、
前記アナログ電気信号およびデジタル電気信号のいずれか一方を選択し、選択された電気信号の計測値を前記表示部に表示する計測値選択制御部と、
を備え、
前記計測値選択制御部は、外部からの制御信号入力を受け付ける制御入力端子を有し、前記制御入力端子に入力された制御信号に応じて、前記アナログ電気信号およびデジタル電気信号のいずれか一方を選択し、
前記電源回路は、前記計測値選択制御部が選択した前記アナログ電気信号又はデジタル電気信号を出力する特定のセンサに対してのみ電力を供給する
こと。
【0014】
上記(1)の構成の車両用計器によれば、アナログ電気信号を出力する
接触式センサと、デジタル電気信号を出力する
非接触式センサとをそれぞれ接続し、あるいは一方だけを接続し、これらを使い分けることができる。従って、様々なバリエーションを用意することなく、仕向地等の変更に対応できる。
また、外部からの制御信号入力により、複数の信号の一方を選択するので、選択のための情報をテーブルに登録したり、スイッチを切り替えたりする必要がない。また、複数のバリエーションを用意することなく複数の仕向地に対応できる。
また、複数のセンサが接続されている場合に、余分な電力の消費を抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両用計器によれば、使用するセンサの種類の変更を許容することが可能になる。すなわち、アナログ電気信号を出力する
接触式センサと、デジタル電気信号を出力する
非接触式センサとをそれぞれ接続し、あるいは一方だけを接続し、これらを使い分けることができ、様々なバリエーションを用意することなく、仕向地等の変更に対応できる。
【0016】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の車両用計器に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0019】
<装置の構成>
本実施形態における車両用計器の構成例が
図1に示されている。
図1に示す車両用計器100は、現実的な構成としては、スピードメータ、タコメータ、水温計、燃料残量計などの様々な計器やインジケータなどを装備する計器板ユニットの一部分として構成され、様々な種類の車両に搭載される。
【0020】
図1に示す構成例では、車両用計器100の本体に、マイクロコンピュータ110、信号入力回路121、信号入力回路122、読み出し専用メモリ123、CAN通信インタフェース124、電源回路125、ゲージ表示部126、抵抗器Rp1およびRp2が備わっている。
【0021】
本実施形態では、車両用計器100が燃料残量計、すなわち車両に搭載されている燃料タンクの燃料液面の位置(高さ)に相当する可視情報を表示する場合を想定している。従って、燃料液面位置を検出するためのセンサが車両用計器100に接続される。
【0022】
図1に示す構成例では、車両用計器100には抵抗式フューエルセンサ10を接続するためのセンサ接続端子101、102と、PWM式フューエルセンサ20を接続するためのセンサ接続端子103、104とが備わっている。
【0023】
通常の構成では、計器板ユニットを搭載する車両側に、抵抗式フューエルセンサ10およびPWM式フューエルセンサ20のいずれか一方が装備されている。従って、抵抗式フューエルセンサ10を装備した車両の場合にはこの抵抗式フューエルセンサ10が車両用計器100のセンサ接続端子101、102に接続される。また、PWM式フューエルセンサ20を装備した車両の場合にはこのPWM式フューエルセンサ20が車両用計器100のセンサ接続端子103、104に接続される。
【0024】
また、例えば既に抵抗式フューエルセンサ10が搭載されている車両のセンサをPWM式フューエルセンサ20に変更する必要がある場合には、新たに用意したPWM式フューエルセンサ20をセンサ接続端子103、104に接続する。その場合、使用しない抵抗式フューエルセンサ10をそのままセンサ接続端子101、102に接続しておいても良いが、複数のセンサを配置するスペースがない場合には、抵抗式フューエルセンサ10を取り外して代わりにPWM式フューエルセンサ20を配置すればよい。
【0025】
マイクロコンピュータ110は、予め用意されているプログラムを実行することにより、車両用計器100を制御するために必要な機能を実現する。マイクロコンピュータ110の具体的な動作については後で説明する。
【0026】
信号入力回路121は、抵抗式フューエルセンサ10から入力されるアナログ電気信号SG1を電気的に処理してマイクロコンピュータ110の処理に適した信号に変換する。信号入力回路121から出力される信号は、マイクロコンピュータ110のアナログ信号入力ポートP11に印加される。マイクロコンピュータ110はアナログ/デジタル(A/D)変換回路を内蔵しており、アナログ信号入力ポートP11に印加された信号の電位に相当する数値を表すデジタル信号を生成することができる。
【0027】
信号入力回路122は、PWM式フューエルセンサ20から入力されるデジタル電気信号SG2の整形処理を行い、マイクロコンピュータ110の処理に適した信号を生成する。信号入力回路122から出力される信号は、マイクロコンピュータ110のデジタル信号入力ポートP12に印加される。
【0028】
読み出し専用メモリ(EEPROM)123は、マイクロコンピュータ110が使用する各種の定数データや予め用意されたテーブルの内容を保持している。例えば、車両の車種の違いや仕向地の違いに応じて適切な処理を行うために必要なデータが読み出し専用メモリ123に予め登録されている。読み出し専用メモリ123の内容は、マイクロコンピュータ110のアクセスにより読み出すことができる。
【0029】
CAN(Controller Area Network)通信インタフェース124は、CAN規格に対応した車両上のネットワークと接続して他の電子制御ユニット(ECU)との間でデータ通信するための通信機能を提供する。従って、マイクロコンピュータ110はCAN通信インタフェース124を介して車両上の他の電子制御ユニットと通信することができる。
【0030】
電源回路125は、車両側のバッテリー等から供給される電源電圧Vbに基づいて、車両用計器100の各部が必要とする直流の電源電圧を生成する。本実施形態では、電源電圧Vc1、Vc2、Vc3を電源回路125が生成する。また、電源電圧Vc2、Vc3についてはマイクロコンピュータ110の制御によりオンオフすることができる。
【0031】
ゲージ表示部126は、車両用計器100の計測値、すなわち燃料残量を指針、バーグラフ、数値等を用いて可視表示するための表示器である。ゲージ表示部126については、物理的な指針を有する機械式のゲージを利用しても良いし、液晶表示器のようなデジタル表示器を利用しても良い。
【0032】
代表的な構成の抵抗式フューエルセンサ10は、ポテンショメータ11を備えている。すなわち、燃料タンクの液面を検出できる位置に、所定のフロート部材が浮いた状態で配置され、ポテンショメータ11の可動部が前記フロート部材と接触している。従って、液面のレベル変化をポテンショメータ11の抵抗値の変化として検出することができる。
【0033】
代表的な構成のPWM式フューエルセンサ20は、ホールIC21を備えている。このホールIC21は、ホール素子とこれが出力する電気信号を処理してPWM(パルス幅変調)信号形式のデジタル二値信号を生成する信号処理回路を内蔵している。ホール素子は、前述のフロート部材の位置の変化を磁気的に非接触で検出する。実際には、フロート部材の位置の変化が、ホールIC21の出力するPWM信号のオンオフのデューティあるいはパルス幅の変化に反映される。
【0034】
つまり、抵抗式フューエルセンサ10を接続した場合には、車両用計器100のセンサ接続端子101にアナログ電気信号SG1が入力される。実際に入力されるアナログ電気信号SG1は、電源電圧Vc2を抵抗器Rp1およびポテンショメータ11で構成される分圧回路で分圧した結果を表す信号電位になる。この信号電位が燃料残量に相当する。
【0035】
また、PWM式フューエルセンサ20を接続した場合には、抵抗式フューエルセンサ10のセンサ接続端子104にデジタル電気信号SG2が入力される。実際のデジタル電気信号SG2は、電源電圧Vc3に近い電位が現れる高レベルの状態(オン状態)と、アース電位に近い電位が現れる低レベルの状態(オフ状態)とが交互に現れるパルス信号(PWM信号)であり、パルスのオンオフのデューティあるいはパルス幅が燃料残量に相当する。
【0036】
上述のように、抵抗式フューエルセンサ10から出力されるアナログ電気信号SG1と、PWM式フューエルセンサ20から出力されるデジタル電気信号SG2との間には全く互換性がない。
【0037】
従って、アナログ電気信号SG1とデジタル電気信号SG2との双方に対応可能にするために、
図1に示した車両用計器100は独立した2組のセンサ接続端子(101〜104)および2組の信号入力回路(121,122等)を備えている。また、マイクロコンピュータ110はアナログ信号入力ポートP11に入力されるアナログ電気信号とデジタル信号入力ポートP12に入力されるデジタル電気信号とを個別の独立した処理により入力する。
【0038】
<装置の動作(1)>
図1に示した車両用計器100の動作例(1)が
図2に示されている。
図2に示す動作は、マイクロコンピュータ110が実行する処理により実現される。すなわち、マイクロコンピュータ110に電源回路125から電源電力が供給されると
図2に示す処理が実行され、ステップS11から順に処理される。
図2に示す動作について以下に説明する。
【0039】
ステップS11では、マイクロコンピュータ110は車両用計器100に接続された抵抗式フューエルセンサ10及びPWM式フューエルセンサ20に通電しそれらを動作可能な状態にする。すなわち、マイクロコンピュータ110が出力ポートP13から制御信号を出力して電源回路125を制御し、電源回路125の出力端子から電源電圧Vc2、Vc3を各回路に供給する。
【0040】
ステップS12では、マイクロコンピュータ110はデジタル信号入力ポート(ICU)P12の信号波形を監視して、デジタル電気信号SG2に相当する所定のPWM信号が入力されているか否かを識別する。例えば、所定時間内に、低レベル(0Vに近い電位)の状態と高レベル(電源電圧に近い電位)の状態とが現れ、且つそれらの状態が周期的に変化していることが検出された場合に、PWM信号であると認識できる。PWM信号の入力を検出した場合にはステップS13に進み、この条件を満たさない場合はステップS15に進む。
【0041】
ステップS13では、マイクロコンピュータ110はPWM式フューエルセンサ20がセンサ接続端子103、104に接続されているものと認識する。また、次のステップS14で燃料残量の信号を入力するポートをデジタル信号入力ポート(ICU)P12に固定する。具体的には、処理対象として選択された信号がデジタル電気信号SG2であり、この信号がデジタル信号入力ポートP12に入力されることを表すフラグF12をセットする。
【0042】
ステップS15では、マイクロコンピュータ110はアナログ信号入力ポート(A/D)P11に印加されている入力信号波形を監視して、アナログ電気信号SG1に相当する信号か否かを識別する。すなわち、アナログ信号入力ポートP11の電圧を繰り返しサンプリングして電圧を表すデジタル値を取得し、このデジタル値の電圧およびその変化を検出する。
【0043】
ステップS16では、マイクロコンピュータ110はステップS15で検出したデジタル値の電圧およびその変化に基づき、規定のアナログ信号が入力されているか否かを識別する。例えば、検出された電圧の平均値が予め定めた上限値と下限値との間にあり、かつ電圧の変動が所定以下である場合に、規定のアナログ信号であると認識できる。アナログ信号を認識した場合はステップS17に進み、この条件を満たさない場合はステップS19に進む。
【0044】
ステップS17では、マイクロコンピュータ110は抵抗式フューエルセンサ10がセンサ接続端子101、102に接続されているものと認識する。また、次のステップS18で燃料残量の信号を入力するポートをアナログ信号入力ポート(A/D)P11に固定する。具体的には、処理対象として選択された信号がアナログ電気信号SG1であり、この信号がアナログ信号入力ポートP11に入力されることを表すフラグF11をセットする。
【0045】
ステップS19では、アナログ電気信号SG1およびデジタル電気信号SG2のいずれも正しく検出されない状態であるので、マイクロコンピュータ110は異常が発生している状態として認識する。
【0046】
ステップS20では、マイクロコンピュータ110は入力信号の計測を行う。具体的には、上述のフラグF12がセットされている場合にはデジタル信号入力ポートP12のデジタル電気信号SG2を計測対象とし、フラグF11がセットされている場合はアナログ信号入力ポートP11のアナログ電気信号SG1を計測対象とする。
【0047】
アナログ電気信号SG1を計測する場合には、アナログ信号入力ポートP11の直流電圧をサンプリングしてA/D変換を行い、アナログ電気信号SG1の入力電圧に相当するデジタル値を得る。デジタル電気信号SG2を計測する場合には、デジタル信号入力ポートP12の二値レベル(低レベル/高レベル)を所定時間以上監視し、このパルス信号の繰り返し周期における低レベル期間の時間長と、高レベル期間の時間長の少なくとも一方を求める。つまり、高レベル又は低レベルの期間の長さ(パルス幅)、もしくは高レベル期間と低レベル期間の比率(デューティ)を計測値とする。
【0048】
ステップS21では、マイクロコンピュータ110は安定した計測結果を得るために、所定時間の間にステップS20で得られた複数の計測値を利用してそれらの平均値を算出する。この平均化処理が完了すると、次のステップS22からステップS23に進む。
【0049】
ステップS23では、ステップS21で算出された計測値の平均値をゲージ表示部126の表示内容に反映する。
【0050】
図2に示した処理は、マイクロコンピュータ110が図示しないメイン処理を実行しながら、例えば定期的に繰り返し実行する。
図2のステップS22又はS23が終了すると、メイン処理に戻り、時間がたつと再び
図2の処理が実行される。また、
図2の処理を2回目以降に実行する際には、前述のフラグF11、又はF12がセットされるので、センサ出力を監視するポートが既に固定されている。そのため、ステップS11〜S19の処理は省略され、ステップS20以降の処理が繰り返される。
【0051】
<装置の動作(2)>
図1に示した車両用計器100の動作例(2)が
図3に示されている。
図3に示す動作は、マイクロコンピュータ110が実行する処理により実現される。すなわち、マイクロコンピュータ110に電源回路125から電源電力が供給されると
図3に示す処理が実行され、ステップS31から順に処理される。
図3に示す動作について以下に説明する。
【0052】
また、
図3に示す動作においては、CAN通信インタフェース124に接続されたネットワーク上に存在する少なくとも1つの電子制御装置(ECU)が、車両用計器100におけるセンサの選択指示を表すCAN信号を出力する場合を想定している。
【0053】
ステップS31では、マイクロコンピュータ110はCAN通信インタフェース124を介して車両上の他の電子制御装置との間でデータ通信を行う。そして、他の電子制御装置からセンサ選択指示のCAN信号を受信したか否かを識別する。CAN信号を受信した場合はステップS32に進み、CAN信号を受信しない場合はステップS34に進む。
【0054】
ステップS32では、マイクロコンピュータ110は車両用計器100に接続されたPWM式フューエルセンサ20に通電しこれを動作可能な状態にする。すなわち、マイクロコンピュータ110が出力ポートP13から制御信号を出力して電源回路125を制御し、電源回路125の出力端子から電源電圧Vc3をセンサ接続端子103に供給する。なお、この時は電源電圧Vc2の出力を停止し、抵抗式フューエルセンサ10に対する通電を停止する。
【0055】
ステップS33では、マイクロコンピュータ110はデジタル信号入力ポート(ICU)P12の信号波形を監視して、デジタル電気信号SG2に相当する所定のPWM信号が入力されているか否かを識別する。例えば、所定時間内に、低レベル(0Vに近い電位)の状態と高レベル(電源電圧に近い電位)の状態とが現れ、且つそれらの状態が周期的に変化していることが検出された場合に、PWM信号であると認識できる。
【0056】
ステップS34では、マイクロコンピュータ110は車両用計器100に接続された抵抗式フューエルセンサ10に通電しこれを動作可能な状態にする。すなわち、マイクロコンピュータ110が出力ポートP13から制御信号を出力して電源回路125を制御し、電源回路125の出力端子から電源電圧Vc2を抵抗器Rp1の一端に供給する。なお、この時は電源電圧Vc3の出力を停止し、PWM式フューエルセンサ20に対する通電を停止する。
【0057】
ステップS35では、マイクロコンピュータ110はアナログ信号入力ポート(A/D)P11に印加されている入力信号波形を監視して、アナログ電気信号SG1に相当する信号か否かを識別する。すなわち、アナログ信号入力ポートP11の電圧を繰り返しサンプリングして電圧を表すデジタル値を取得し、このデジタル値の電圧およびその変化を検出する。
【0058】
ステップS36では、マイクロコンピュータ110は上記のステップS33又はS35で検知した結果に基づき、正規のアナログ電気信号SG1が印加されているか否か、及び正規のデジタル電気信号SG2が印加されているか否かを識別する。正規のアナログ電気信号SG1およびデジタル電気信号SG2のいずれも検知できない場合はステップS37に進み、いずれかを検知できた場合はステップS38に進む。
【0059】
ステップS37では、アナログ電気信号SG1およびデジタル電気信号SG2のいずれも正しく検出されない状態であるので、マイクロコンピュータ110は異常が発生している状態として認識する。
【0060】
ステップS38では、マイクロコンピュータ110はステップS36で識別した結果に応じて入力信号の計測を行う。すなわち、正規のデジタル電気信号SG2を検出した場合にはこれを計測対象として選択し、正規のアナログ電気信号SG1を検出した場合にはこれを計測対象として選択し、次のように処理する。
【0061】
アナログ電気信号SG1を計測する場合には、アナログ信号入力ポートP11の直流電圧をサンプリングしてA/D変換を行い、アナログ電気信号SG1の入力電圧に相当するデジタル値を得る。デジタル電気信号SG2を計測する場合には、デジタル信号入力ポートP12の二値レベル(低レベル/高レベル)を所定時間以上監視し、このパルス信号の繰り返し周期における低レベル期間の時間長と、高レベル期間の時間長の少なくとも一方を求める。つまり、高レベル又は低レベルの期間の長さ(パルス幅)、もしくは高レベル期間と低レベル期間の比率(デューティ)を計測値とする。
【0062】
ステップS39では、マイクロコンピュータ110は安定した計測結果を得るために、所定時間の間にステップS38で得られた複数の計測値を利用してそれらの平均値を算出する。この平均化処理が完了すると、次のステップS40からステップS41に進む。
【0063】
ステップS41では、ステップS39で算出された計測値の平均値をゲージ表示部126の表示内容に反映する。
【0064】
図3に示した処理は、マイクロコンピュータ110が図示しないメイン処理を実行しながら、例えば定期的に繰り返し実行する。
図3のステップS40又はS41が終了すると、メイン処理に戻り、時間がたつと再び
図3の処理が実行される。また、
図3の処理を2回目以降に実行する際には、ステップS31〜S37の処理は省略され、ステップS38以降の処理が繰り返される。
【0065】
<装置の利点>
上述の車両用計器100においては、アナログ電気信号SG1を出力する抵抗式フューエルセンサ10と、デジタル電気信号SG2を出力するPWM式フューエルセンサ20とを必要に応じて使い分けることができる。例えば、抵抗式フューエルセンサ10を搭載した車両において、センサの接触障害が発生する場合には、センサを非接触のPWM式フューエルセンサ20に交換するだけで同じ車両用計器100をそのまま利用できる。すなわち、センサの交換を必要とするような特別な仕向地に対しても、特別なメータのバリエーションを用意する必要がなく、ユーザの要望に応じてセンサの種類を切り替えることも容易になる。
【0066】
<変形の可能性>
上述の実施形態では、車両の燃料残量計に本発明を適用する場合を想定しているが、それ以外の計器、例えば水温計、油圧計などに対しても同様に本発明を適用できる。