【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1では、2色印刷が可能な2ドラム式の孔版印刷装置を例に挙げて説明する。
【0016】
本発明の実施例1である孔版印刷装置の構成について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施例1である孔版印刷装置の構成を示した構成図である。
【0018】
図1に示すように、孔版印刷装置1は、画像読み取り部2と、給紙部3と、第1の印刷部4と、第2の印刷部5と、製版部6と、第1の排版部8と、第2の排版部9と、中間搬送部10と、排紙部11とを備えている。
【0019】
画像読み取り部2は、孔版印刷装置1の上部に設けられ、図示しないコンタクトガラス上に載置された原稿から画像データを読み取る。
【0020】
製版部6は、ロールされた長尺状の孔版原紙Gを収容する原紙収容部61と、この原紙収容部61の搬送下流に配置され、孔版原紙Gを加熱穿孔するサーマルヘッド62と、このサーマルヘッド62の対向位置に配置されたプラテンロール63と、このプラテンロール63及びサーマルヘッド62の搬送下流に配置された一対の原紙送りロール64と、一対の原紙送りロール64の搬送下流に配置された原紙カッタ65とを有し、画像読み取り部2により読み取られた画像データに基づいて製版を行う。
【0021】
また、製版部6は、図示しないレールによって
図1におけるX方向に移動自在に支持されており、孔版原紙Gを供給する破線で示した位置と、後述する第2の印刷部5に製版した孔版原紙Gを供給する実線で示した位置とを選択的に占める。
【0022】
第1の排版部8は、後述する第1の印刷部4の第1ドラム41の近傍に設けられており、第1ドラム41の外周面より開放(排版)された孔版原紙Gを第1ドラム41より引き剥がし、引き剥がされた孔版原紙Gを排版ボックス(図示しない)内に収納する。また、第2の排版部9は、第1の排版部8と同様の構成を有する。
【0023】
給紙部3は、印刷用紙Wが積層される給紙台31と、この給紙台31から最上位置の印刷用紙Wのみを搬送させる1次給紙ロール32と、この1次給紙ロール32によって搬送された印刷用紙Wを後述する第1の印刷部4の第1ドラム41の回転に同期して第1ドラム41と第1のプレスローラ43間に搬送する一対の2次給紙ロール33とを有する。
【0024】
第1の印刷部4は、外周面にインクを内方から滲出可能な開孔部が周方向に沿って設けられ、メインモータ(図示しない)の駆動力によって
図1の矢印A方向に回転する第1ドラム41と、この第1ドラム41の外周面における開孔部以外の非開孔部に設けられ、第1ドラム41との間で孔版原紙Gの先端を把持又は開放するように回動する第1の原紙クランプ部42と、印刷用紙Wを中間搬送部10へ搬送する搬送ベルト44と、第1ドラム41の下方位置に配置された第1のプレスローラ43とを備えている。
【0025】
そして、第1の印刷部4は、製版部6から搬送される孔版原紙Gの先端を第1の原紙クランプ部42でクランプし、このクランプした状態で第1ドラム41を回転して孔版原紙Gが第1ドラム41の外周面に巻装され、第1ドラム41の回転に同期して搬送されて来る印刷用紙Wを第1のプレスローラ43にて第1ドラム41の孔版原紙Gに押圧することによって印刷用紙Wに孔版原紙Gの穿孔部分からインクが押し出されて画像が印刷用紙Wの表面に印刷されるようになっている。
【0026】
また、第1の印刷部4は、第1ドラム41の用紙搬送下流側の近傍に配置された分離爪81と分離ノズル82と分離ファン83を有する。分離爪81は、第1ドラム41の外周面とこれに貼り付いた状態で搬送されて来る印刷用紙Wの先端との間に挿入されるようになっている。これによって、第1ドラム41の外周面に貼り付いて回転しようとする印刷用紙Wを強制的に第1ドラム41の外周面から引き剥がすようになっている。
【0027】
分離ファン83は印刷用紙Wを第1ドラム41から分離するための分離エアーを発生させる。分離ファン83により発生させた分離エアーは、分離ノズル82より、第1ドラム41の外周面とこれに貼り付いた状態で搬送されて来る印刷用紙Wとの間に吹き付けられる。分離ファン83は第1ドラム41の回転中は常に駆動され、この分離エアーによって、分離爪81に設けられたエアーノズルから吐出される先端分離エアーにより先端部だけを引き剥がされた印刷用紙Wの全体を強制的に第1ドラム41の外周面から引き剥がすようになっている。
【0028】
第1のプレスローラ43が第1ドラム41に押圧することによって画像が印刷され、分離爪81及び分離ノズル82により、第1ドラム41の外周面から引き剥がされた印刷用紙Wは、中間搬送部10により搬送される。
【0029】
中間搬送部10は、第1ドラム41の用紙搬送下流側位置と後述する第2ドラム51の用紙搬送上流側位置に配置された一対のベルト掛けプーリ101,101と、この一対のベルト掛けプーリ101,101に掛けられた無限端ベルト102と、この無限端ベルト102の用紙搬送面に印刷用紙Wを吸引する吸引ファン103と、無限端ベルト102を移動させるベルト駆動手段(図示せず)とを備えている。また、中間搬送部10は第1ドラム41から剥離された印刷用紙Wを受け取り、受け取った印刷用紙Wを第2ドラム51の回転に同期して第2ドラム51と第2のプレスローラ53間に給紙するようになっている。そのため、無限端ベルト102は、給紙部3により搬送された印刷用紙Wの搬送速度と同じ速度で印刷用紙Wが搬送されるように移動する。
【0030】
第2の印刷部5は、第1の印刷部4と同様に、第2ドラム51の回転に同期して一対の2次給紙ロール54より給紙される印刷用紙Wを第2のプレスローラ53で第2ドラム51に巻装された第2の孔版原紙に押圧することによって、第2の孔版原紙の穿孔からインクが押し出されて画像が印刷用紙Wに印刷されるようになっている。
【0031】
また、第2の印刷部5は、第2ドラム51に接触して設けられ、第2ドラム51の位置合わせを行う位置調整機構55と、第2ドラム51の用紙搬送下流側の近傍に配置された分離爪71と分離ノズル72と、分離ファン73とを有する。
【0032】
排紙部11は、印刷された印刷用紙Wが搬送される排紙ベルト111と、排紙ベルト111より排紙される印刷用紙Wが積置される排紙台112と、を有する。
【0033】
図2は、本発明の実施例1に係る孔版印刷装置1の機能構成を示した機能構成図である。
【0034】
図2に示すように、本発明の実施例1に係る孔版印刷装置1は、給紙部3と、第1ドラム41と、第1ドラム情報記憶部46と、第2ドラム51と、位置調整機構55と、第2ドラム情報記憶部56と、制御部90と、操作部95とを備える。
【0035】
これらの構成のうち、給紙部3と、第1ドラム41と、第2ドラム51と、位置調整機構55とについては、上述したので、説明を省略する。
【0036】
第1ドラム情報記憶部46は、揮発性半導体等で構成され、後述する算出部により算出された給紙タイミングを記憶する。
【0037】
第2ドラム情報記憶部56は、揮発性半導体等で構成され、後述する算出部により算出された調整量を記憶する。
【0038】
操作部95は、操作キーや表示/入力パネルを備えており、利用者によって操作キーが押下操作され、又は表示/入力パネルがタッチ操作されることによって、操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部90へ供給する。
【0039】
図3は、操作部95が備える表示/入力パネルの画面の一例を示した図である。(a)は、同時位置調整が設定されていない場合の印刷位置設定画面の一例を示しており、(b)は、同時位置調整が設定された場合の印刷位置設定画面の一例を示している。
【0040】
操作部95に備えられた表示/入力パネル94は、前面に配置された感圧式或いは静電式の透明なタッチパネルと、このタッチパネルの裏面に配置された液晶表示パネルとを備えている。利用者は液晶表示パネルの表示画面を見ながら、タッチパネルの表面を指などで直接触れる(タッチ操作する)ことで、
図3(a)に示すような印刷位置設定を行うための印刷位置設定画面を表示する。
【0041】
図3(a)に示すように、印刷位置設定画面には、第1ドラム41の用紙搬送方向における印刷位置の設定移動量を入力するための設定移動量入力キー201と、第1ドラム41により印刷される印刷媒体の印刷状態を示す第1のプレビュー領域202と、第2ドラム51の用紙搬送方向における印刷位置の設定移動量を入力するための設定移動量入力キー203と、第2ドラム51により印刷される印刷媒体の印刷状態を示す第2のプレビュー領域204と、第1ドラム41と第2ドラム51とにより同時に位置調整を行うための同時位置調整キー205とを備えている。なお、同時位置調整キー205は、ユーザによりタッチ操作されると、反転表示する。
【0042】
例えば、
図3(a)に示すように、設定移動量入力キー201により、“+10.0”mmと入力され、設定移動量入力キー203により、“0.0”mmと入力され、同時位置調整キー205がタッチ操作されていない場合、第1ドラム41の用紙搬送方向における印刷位置を“+10.0”mmだけ移動させ、第2ドラム51の用紙搬送方向における印刷位置については移動させないことを示している。ここでは、第1ドラム41の用紙搬送方向において、下流側を+(プラス)とし、上流側を−(マイナス)としている。
【0043】
また、
図3(b)に示すように、設定移動量入力キー201により、“+15.0”mmと入力され、設定移動量入力キー203により、“+15.0”mmと入力され、同時位置調整キー205がタッチ操作された場合(反転表示されている場合)、第1ドラム41及び第2ドラム51の用紙搬送方向における印刷位置を“+10.0”mmだけ移動させることを示している。
【0044】
制御部90は、孔版印刷装置1の中枢的制御を行う。また、制御部90は、その機能上、判定部91と、算出部92と、機器制御部93とを備える。
【0045】
判定部91は、印刷位置変更が設定されたか否かを判定する。また、判定部91は、第1ドラム41のみ位置変更が要求されたか、第2ドラム51のみ位置変更が要求されたか、第1ドラム41及び第2ドラム51の同時位置変更が要求されたか、を判定する。
【0046】
算出部92は、入力された第1の印刷部4及び第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置の設定移動量に基づいて、第1ドラム41の回転に同期した給紙部3による給紙タイミングと、位置調整機構55が調整する調整量とを算出する。具体的には、算出部92は、入力された第1の印刷部4の用紙搬送方向における印刷位置の設定移動量に基づいて、第1ドラム41の回転に同期した給紙部3による給紙タイミングを算出すると共に、入力された第2の印刷部の用紙搬送方向における印刷位置の設定移動量から、算出された給紙タイミングにより移動される第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置の移動量を差し引くことにより、位置調整機構55が調整する調整量を算出する。
【0047】
機器制御部93は、算出部92により算出された給紙タイミングに基づいて給紙部3を制御する共に、調整量に基づいて位置調整機構55を制御する。具体的には、機器制御部93は、第1ドラム情報記憶部46に記憶された給紙タイミングに基づいて給紙部3を制御する共に、第2ドラム情報記憶部56に記憶された調整量に基づいて位置調整機構55を制御する。
【0048】
<孔版印刷装置1の作用>
図4は、本発明の実施例1である孔版印刷装置1における移動処理の処理手順を示したフローチャートである。
【0049】
図4に示すように、まず、判定部91は、印刷位置変更が設定されたか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、表示/入力パネル94に表示された印刷位置設定画面により、印刷位置設定が行われたか否かを判定する。
【0050】
ステップS101において、印刷位置変更が設定されたと判定された場合(YESの場合)、判定部91は、第1ドラム41のみ位置変更が要求されたか否かを判定する(ステップS103)。具体的には、操作部95が備える表示/入力パネル94から、設定移動量入力キー201及び設定移動量入力キー203により設定移動量が入力され、同時位置調整キー205がタッチ操作されていない場合、判定部91は、第1ドラム41のみ位置変更が要求されたと判定する。
【0051】
ステップS103において、第1ドラム41のみ位置変更が要求されたと判定された場合(YESの場合)、算出部92は、入力された第1の印刷部4の用紙搬送方向における印刷位置の設定移動量に基づいて、第1ドラム41の回転に同期した給紙部3による給紙タイミングを算出する。(ステップS105)。例えば、
図3(a)に示すように、操作部95の表示/入力パネル94から、設定移動量入力キー201により、“+10.0”mmと入力されている場合、第1の印刷部4の用紙搬送方向における印刷位置が、下流側に“10.0”mmだけ移動するように、第1ドラム41の回転に同期した給紙部3による給紙タイミングを算出する。そして、算出部92は、算出した給紙タイミングを、第1ドラム情報記憶部46に記憶する。
【0052】
次に、算出部92は、入力された第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置の設定移動量から、算出された給紙タイミングにより移動される第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置の移動量を差し引くことにより、位置調整機構55が調整する調整量を算出する(ステップS107)。
【0053】
上述したように、中間搬送部10は、給紙部3により搬送された印刷用紙Wの搬送速度と同じ速度で印刷用紙Wが搬送されるように、印刷用紙Wを搬送するので、例えば、第1の印刷部4の用紙搬送方向における印刷位置が、下流側に“10.0”mmだけ移動すると、その分だけ、第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置も、下流側に“10.0”mmだけ移動する。
【0054】
そこで、算出部92は、この分を相殺するように、位置調整機構55が調整する調整量を算出する。例えば、
図3(a)に示すように、操作部95の表示/入力パネル94から、設定移動量入力キー203により、“0.0”mmと入力されている場合、入力された第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置の設定移動量である“0.0”mmから、算出された給紙タイミングにより移動される第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置の移動量である“+10.0”mmを差し引くことにより、位置調整機構55が調整する調整量として“−10.0”を算出する。そして、算出部92は、算出した調整量を、第2ドラム情報記憶部56に記憶する。
【0055】
図5は、本発明の実施例1である孔版印刷装置1の処理におけるステップS105における給紙タイミングの算出、及びS107における調整量の算出を説明した図である。(a)は、印刷媒体における印刷画像の元の印刷位置を示しており、(b)は、給紙タイミングを変更することにより、印刷される印刷画像が下流側に“10.0”mmだけ移動した場合の印刷位置を示しており、(c)は、位置調整機構55により調整され印刷される印刷媒体における印刷画像の印刷位置を示している。
【0056】
図5(a)に示すように、第1の印刷部4により印刷される印刷画像“A”と、第2の印刷部5により印刷される印刷画像“B”とが、搬送方向に対して同じ位置に配置されている。
【0057】
このとき、ユーザは、印刷画像“A”のみを搬送方向下流側に“10.0”mmだけ、移動させて印刷させたいとする。そこで、ユーザは、操作部95に備えられた表示/入力パネル94から、
図3(a)に示すように、設定移動量入力キー201により、“+10.0”mmと入力し、設定移動量入力キー203により、“0.0”mmと入力する。
【0058】
算出部92は、第1の印刷部4の用紙搬送方向における印刷位置が、下流側に“10.0”mmだけ移動するように、第1ドラム41の回転に同期した給紙部3による給紙タイミングを算出する。これにより、
図5(b)に示すように、第1の印刷部4の用紙搬送方向における印刷位置が、下流側に“10.0”mmだけ移動し、それに伴って、第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置も、下流側に“10.0”mmだけ移動する。
【0059】
そこで、算出部92は、入力された第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置の設定移動量である“0.0”mmから、算出された給紙タイミングにより移動される第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置の移動量である“+10.0”mmを差し引くことにより、位置調整機構55が調整する調整量として“−10.0”を算出する。
【0060】
これにより、
図5(c)に示すように、給紙タイミングにより、搬送方向に下流側に移動した“10.0”mmが相殺され、印刷画像“B”は、元の位置、即ち“0.0”mmの位置に配置される。
【0061】
図4に戻り、ステップS103において、第1ドラム41のみ位置変更が要求されていないと判定された場合(NOの場合)、判定部91は、第2ドラム51のみ位置変更が要求されたか否かを判定する(ステップS109)。
【0062】
ステップS109において、第2ドラム51のみ位置変更が要求されたと判定された場合(YESの場合)、算出部92は、入力された第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置の設定移動量を、位置調整機構55が調整する調整量として算出する(ステップS111)。例えば、操作部95の表示/入力パネル94から、設定移動量入力キー203により、“−10.0”mmと入力されている場合、第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置が、上流側に“10.0”mmだけ移動するように、算出部92は、位置調整機構55が調整する調整量を“−10.0”mmとして算出する。そして、算出部92は、算出した調整量を、第2ドラム情報記憶部56に記憶する。
【0063】
図6(a)は、本発明の実施例1である孔版印刷装置1の処理におけるステップS111における調整量の算出を説明した図であり、印刷媒体における印刷画像の元の印刷位置を示しており、
図6(b)は、本発明の実施例1である孔版印刷装置1の処理におけるステップS111における調整量の算出を説明した図であり、位置調整機構55により調整され印刷される印刷媒体における印刷画像の印刷位置を示している。
【0064】
図6(a)に示すように、第1の印刷部4により印刷される印刷画像“A”と、第2の印刷部5により印刷される印刷画像“B”とが、搬送方向に対して同じ位置に配置されている。
【0065】
このとき、ユーザは、印刷画像“B”のみを搬送方向上流側に“10.0”mmだけ、移動させて印刷させたいとする。そこで、ユーザは、操作部95に備えられた表示/入力パネル94から、設定移動量入力キー203により、“−10.0”mmと入力する。
【0066】
算出部92は、第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置が、上流側に“10.0”mmだけ移動するように、位置調整機構55が調整する調整量を“−10.0”mmとして算出する。
【0067】
これにより、
図6(b)に示すように、印刷画像“A”は、元の位置、即ち“0.0”mmの位置に配置され、印刷画像“B”は、上流側に“10.0”mmだけ移動した位置に配置される。
【0068】
このように、それぞれ印刷画像“A”、“B”が配置される位置が決定されることにより、位置調整機構55は、S1から調整量である“−10.0”mmだけ移動したS2の位置にマスタの先端を合わせて第2ドラム51を回転することで、
図6(b)に示した印刷用紙を得ることができる。
【0069】
図4に戻り、ステップS109において、第2ドラム51のみ位置変更が要求されていないと判定された場合(NOの場合)、判定部91は、第1ドラム41及び第2ドラム51の同時位置変更が要求されたか否かを判定する(ステップS113)。具体的には、判定部91は、
図3(b)に示すように、同時位置調整キー205がタッチ操作された場合(反転表示されている場合)、判定部91は、同時位置変更が要求されたと判定する。
【0070】
ステップS113において、同時位置変更が要求されたと判定された場合(YESの場合)、算出部92は、入力された第1の印刷部4の用紙搬送方向における印刷位置の設定移動量に基づいて、第1ドラム41の回転に同期した給紙部3による給紙タイミングを算出する。(ステップS115)。例えば、
図3(b)に示すように、操作部95の表示/入力パネル94から、同時位置調整キー205がタッチ操作された場合(反転表示されている場合)、算出部92は、第1ドラム41及び第2ドラム51の用紙搬送方向における印刷位置が、下流側に“10.0”mmだけ移動するように、第1ドラム41の回転に同期した給紙部3による給紙タイミングを算出する。
【0071】
そして、算出部92は、算出した給紙タイミングを、第1ドラム情報記憶部46に記憶する。
【0072】
図6(c)は、本発明の実施例1である孔版印刷装置1の処理におけるステップS115における調整量の算出を説明した図であり、印刷媒体における印刷画像の元の印刷位置を示しており、
図6(d)は、本発明の実施例1である孔版印刷装置1の処理におけるステップS115における調整量の算出を説明した図であり、給紙タイミングを変更することにより、印刷される印刷画像が下流側に“10.0”mmだけ移動した場合の印刷位置を示している。
【0073】
図6(c)に示すように、第1の印刷部4により印刷される印刷画像“A”と、第2の印刷部5により印刷される印刷画像“B”とが、搬送方向に対して同じ位置に配置されている。
【0074】
このとき、ユーザは、印刷画像“A”及び印刷画像“B”を搬送方向下流側に“10.0”mmだけ、移動させて印刷させたいとする。そこで、ユーザは、操作部95に備えられた表示/入力パネル94から、
図3(a)に示すように、同時位置調整キー205により、“+10.0”mmと入力し、タッチ操作する。
【0075】
算出部92は、第1の印刷部4及び第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置が、下流側に“10.0”mmだけ移動するように、第1ドラム41の回転に同期した給紙部3による給紙タイミングを算出する。これにより、
図6(d)に示すように、第1の印刷部4の用紙搬送方向における印刷位置が、下流側に“10.0”mmだけ移動し、それに伴って、第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置も、下流側に“10.0”mmだけ移動する。
【0076】
以上のように、本発明の実施例1である孔版印刷装置1によれば、入力された第1の印刷部4及び第2の印刷部5の用紙搬送方向における印刷位置の設定移動量に基づいて、第1ドラム41の回転に同期した給紙部3による給紙タイミングと、位置調整機構55が調整する調整量とを算出する算出部92を備えるので、ドラム毎にドラムの位置を調整する位置調整機構55を設けることなく、第2の印刷部5にのみ位置調整機構55を設けることで、印刷位置を調整することができる。
【0077】
また、本発明の実施例1では、孔版原紙Gが着版された上流側のドラムにより1色目のインクを用いて印刷用紙Wを印刷し、孔版原紙Gが着版された下流側のドラムにより2色目のインクを用いて印刷用紙Wを印刷する2ドラム式の孔版印刷装置1を例に挙げて説明したが、2ドラム式に限らず複数のドラムを備える構成としてもよい。
【0078】
この場合、最上流のドラムには、位置調整機構55を設けることなく、上流側から2番目以降のドラムについて、位置調整機構55を設けることで、印刷位置を調整することができる。