(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5913970
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】熱プレス用クッション材
(51)【国際特許分類】
B29C 43/32 20060101AFI20160422BHJP
B29C 43/20 20060101ALI20160422BHJP
B29C 35/08 20060101ALI20160422BHJP
B32B 25/10 20060101ALI20160422BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20160422BHJP
B29K 27/12 20060101ALN20160422BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20160422BHJP
【FI】
B29C43/32
B29C43/20
B29C35/08
B32B25/10
H05K3/00 L
B29K27:12
B29K105:08
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-286709(P2011-286709)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-132889(P2013-132889A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】710006600
【氏名又は名称】株式会社奥田
(72)【発明者】
【氏名】奥田 晋也
【審査官】
大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−052369(JP,A)
【文献】
特開平07−278335(JP,A)
【文献】
特開平04−323233(JP,A)
【文献】
特開2005−002148(JP,A)
【文献】
特開2004−256565(JP,A)
【文献】
特開2004−043736(JP,A)
【文献】
特開2003−311768(JP,A)
【文献】
特開2004−160902(JP,A)
【文献】
特開2002−144484(JP,A)
【文献】
特開平10−193194(JP,A)
【文献】
特開2005−146030(JP,A)
【文献】
特開平10−231375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00−43/58
B29C 39/00−39/44
B29C 35/00−35/18
B32B 1/00−43/00
C08J 9/00− 9/42
B30B 15/00−15/08
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも全体の80重量%以上であるフッ素ゴム成分と多官能性加硫剤をフッ素ゴム成分に対して2〜10重量%含み、さらに膨張開始温度が200℃以上240℃以下である独立気泡形成用発泡剤をフッ素ゴム成分に対して2〜12重量%含むフッ素ゴム組成物を発泡開始温度以上で発泡させ、しかる後に放射線を照射し架橋せしめることを特徴とする熱プレス用クッション材用ゴム。
【請求項2】
請求項1に記載のフッ素ゴムがパーオキサイド加硫可能なゴムであることを特徴とする熱プレス用クッション材用ゴム。
【請求項3】
請求項1に記載の放射線が電子線であって線量が50〜200kGyであることを特徴とする熱プレス用クッション材用ゴム。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の熱プレスのクッション材用ゴムを備えたことを特徴とする、熱プレス用クッション材。
【請求項5】
前記ゴムからなる層を1層以上と、織布、不織布、紙、フィルム、箔、シートおよび板の中から選ばれた1種以上を1層以上用いて積層一体化した請求項4に記載の熱プレス用クッション材。
【請求項6】
前記織布、不織布、紙、フィルム、箔、シートおよび板は、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム、金属、硝子、セラミックスの中から選ばれた単独または複合材である、請求項5に記載の熱プレス用クッション材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱プレス工程のクッション材に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板製造では熱プレス工程においてプリント基板を成型する場合、プレス対象材料を熱盤間に挟み込み一定の圧力と熱をかける。このようなプレス成型は、プレス対象材料の全面に均等な圧力と熱を加えるために、熱盤とプレス対象材料との間に平板状のクッション材を介在させる。
【0003】
最近ではフレキシブルプリント回路基板(以下、FPCと略す)が、薄く、軽く、柔軟で、精密配線が可能なフィルム状プリント基板であることから、各種小型電子機器の出現に伴い、需要が大幅に拡大している。代表的なFPCは、ポリイミド等の樹脂フィルム上に銅などの金属箔の回路パターンを付し(銅張り積層板。以後CCLと略す。)、さらにその上に、導電部と絶縁部とを区分するための樹脂製カバーレイフィルムが付された構造となっている。また、FPCによっては、補強が必要とされる部位に補強基材が接着される。クッション材は前記の製造工程および回路の積層工程に使用される。
【0004】
FPC製造工程では前記のように補強基材接着工程やカバーレイ成型工程あるいは積層工程など高温での熱プレス工程が多くある。大量生産のためにFPC材料を離型フィルムにて挟んで積み重ね、熱盤との間にクッション材を設置し、高温と圧力を一定時間加える。この加熱加圧を行う工程において、クッション材に厚みムラ、熱による歪み、あるいは伝熱不良による温度ムラ等があると、後に製品となるFPC材料に均一な温度、圧力が加えられない。その結果、製品に板厚不良、クラック、反り等の欠陥が発生する。そこで、製品の板厚不良等を解消するため、プレス成型の際にクッション材が用いられる。クッション材として、クラフト紙やリンター紙等の紙、織布、ニードルパンチ不織布、ゴム、織布や不織布とゴムとの積層体等が用いられている。このクッション材を熱プレス用クッション材と称する。
【0005】
上記のようにFPC製造時の熱プレス工程に使われる熱プレス用クッション材に求められる特性としては、次のことが挙げられる。1
.FPC材料の全面に均等な圧力をかけることができる(クッション性)こと。2.製造工程の高温下で分解やガス発生がない(耐熱性)こと。3.FPCの複雑な回路パターンによく追随する(追随性)こと。さらに生産量の増加への対応やコストダウンのために生産効率を上げる目的で繰り返し使用の要求が強くなっており、4.高温、高圧下での繰り返し使用に耐える(耐久性)こと。特にクッション材の性質上、厚み変化の極力少ないことが必須である。またCCLとクッションシートが接する場合には5.CCLとの剥離が良い(離型性)ことが要求される。特にクッション材の性質上、厚み変化の極力少ないことが必須である。
【0006】
プリント基板製造、特にFPC製造用としてこれまでクラフト紙が性能、価格から広く使用されてきた。しかし繰り返し使用には不十分であった。繰り返し使用する耐熱性クッション材として、これまでシリコーンゴムやフッ素ゴムが開発されてきた。
【0007】
しかしながらシリコーンゴムは、クッション性や耐熱性は優れるものの強度が不十分であり、それ故、熱プレスの際に割れや亀裂を発生する欠点がある。この点を改善すべく繊維等で補強しても、プレス時に繊維-ゴム間の剥離が生じ、それが部位毎のクッション厚の相違、さらにはFPCの接着不良をもたらす場合がある。繊維-ゴム間の剥離はまた、プレスを繰り返した際のクッション材自体の破壊の原因ともなる。そのため、シリコーンゴムクッション材もまた、数回の使用で廃棄されているのが現状である。さらにシリコーンゴムは、ゴム中に含まれるシロキサン等が発生し、FPC等を汚染するという問題があった。この汚染によって、たとえばシロキサンの堆積による導電不良やFPCへの印刷特性の悪化、さらにはFPCと補強板等の他部材との接着性の悪化などを引き起こしたりする。これらの傾向は、クッション材の繰り返し使用時間が長期化するに従って加速される。FPCの場合、このような汚染が重大な欠陥となっていた。
【0008】
フッ素ゴムを用いたクッション材は高い耐熱性を有する。しかしながら加熱加圧後にFPC材料の凹凸がフッ素ゴムに強く残存し繰り返し使用に耐えなかった。そのようなクッション材の向上のためにポリオール加硫において動的粘弾性の損失正接を0.04以下としたフッ素ゴムが復元性と耐久性に優れたゴムとして開発されている(特許第3461291号)。しかしゴム硬度が高くなりプリント基板の回路パターンに容易に追随しなくなることがある。またゴム単体であると圧縮永久歪みから繰り返し使用すると厚み歪みが蓄積され割れなどの現象が生じる場合がある。高温、高圧での繰り返し使用耐久性を向上するとともにゴム層に空気部を持たせクッション性を向上する目的で嵩高糸の織布あるいは不織布にフッ素ゴム溶液を含浸させ乾燥する製法にてクッション材内部に空隙を設けたゴム複合材料が開発されている(特許第4746523号)。しかしフッ素ゴムは高価であり、ゴム溶液を調製し含浸させる工程は有機溶剤による環境汚染を引き起こし、工程が複雑になるため熱プレス用クッション材に使用しては、FPCの製造コストが高くなる問題があった。また熱融着による平板化などの問題がある。
【0009】
一般的にゴム層に空気部を持たせクッション性を向上することは広く知られている。多くの場合ゴムを発泡させてガス層(空気部)により良好なクッション性を持たせることが多い。常温付近でのクッション材にはよく応用されている。例えばウレタン発泡ゴムなどが良好に使用されている。FPC製造工程では150〜170℃の工程温度が採用されており、最近ではさらに工程温度が上がり、200℃での耐熱性を要求される場合がある。通常の発泡方法によるクッション材ではそのような高温でゴム同士の融着が起こるため使用できない。そのため高温に耐える独立発泡体を含んだ耐熱ゴムが求められる。フッ素ゴムの一次加硫温度はポリオール加硫及びパーオキサイド加硫とも160〜180℃であり、最大発泡温度がそれ以下では熱プレスによる圧力で発泡状態が消滅する。ポリオール加硫はそれ以下の温度でも加硫反応が進み、発泡前に加硫したゴムでは発泡剤による発泡効果がない。FPC製造温度である150~200℃に見合うべく200℃以上で膨張を開始する発泡剤を用いて発泡しても200℃より高い温度でゴムを加硫させようとすると独立発泡した気泡が収縮、消滅する。
【0010】
本発明者は膨張開始温度が200℃以上であり独立気泡を形成する発泡剤を多官能性加硫剤とともにフッ素ゴムと混練して加熱し発泡ゴムを製作し、その後放射線、特に電子線照射にて加硫することで耐熱性に優れ、繰り返し使用に十分耐えるフッ素ゴム製クッション材がプリント基板、特にFPCの熱プレス用クッション材として有用であることを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3461291号広報
【特許文献2】特許第4440963号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、プリント基板、特にFPC製造工程の熱プレスにおいて、上記現状に鑑み、耐熱性と繰り返し使用に優れた熱プレス用クッション材用発泡ゴムおよびそれを用いた熱プレス用クッション材をより安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は少なくとも全体の80重量%以上であるフッ素ゴム成分と多官能基を有する加硫剤をフッ素ゴム成分に対して2〜10重量%含み、さらに膨張開始温度が200℃以上240℃以下である独立気泡形成用発泡剤をフッ素ゴム成分に対して2〜12重量%含むフッ素ゴム組成物を発泡開始温度以上で発泡させ、しかる後に放射線を照射し架橋せしめることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は請求項1に記載のフッ素ゴムがパーオキサイド加硫可能なゴムであることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は請求項1に記載の放射線が電子線であって線量が50〜200kGyであることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は請求項1、2または3に記載の熱プレスのクッション材用ゴムを備えたことを特徴とする熱プレス用クッション材である。
【0017】
請求項5の発明は前記ゴムからなる層を1層以上と、織布、不織布、紙、フィルム、箔、シートおよび板の中から選ばれた1種以上を1層以上用いて積層一体化した請求項4に記載の熱プレス用クッション材である。
【0018】
請求項6の発明は前記織布、不織布、紙、フィルム、箔、シートおよび板は、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム、金属、硝子、セラミックスの中から選ばれた単独または複合材である、請求項5に記載の熱プレス用クッション材である。
【0019】
請求項7の発明はプリント基板材料と、クッション材とを熱盤間に積層した状態で加熱・加圧成型するプリント基板の製造方法であって、請求項1,2または3に記載の熱プレスのクッション材用ゴムを備えていることを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明は前記プリント基板がフレキシブルプリント基板である、請求項7に記載のプリント基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の発明によれば、独立気泡のガス部(空気層)が高いクッション性を与え、独立気泡が高温での加圧下においても熱融着を起こさずに繰り返し使用に耐える。また厚みあたりの高価なフッ素ゴム量を低下して低コストでクッション性と繰り返し使用への耐久性に優れた熱プレス用クッション材ゴムができる。多官能性加硫剤量が2%未満であると十分な架橋密度が得られず、10%超であるとゴムがもろくなる。発泡剤は膨張開始温度が200℃未満ではFPC製造工程の加熱により収縮する。また240℃超ではフッ素ゴムの耐熱温度を超え、実際的ではない。発泡剤量としては2%以上を必要とし、12%超ではゴムとしてのクッション性や復元性が困難になる。
【0022】
請求項2記載の発明によれば、フッ素ゴムにパーオキサイド加硫系のゴム原料を使用することで架橋により十分な強度を得ることができる。
【0023】
請求項3記載の発明によれば、加硫剤の存在下で電子線を照射し架橋することで、発泡した独立気泡を損なうことなく十分高強度なゴム材料を得ることができる。ただし電子線量が50kGy未満であると十分な架橋が得られず、200kGy超であると加圧するともろくなることから50kGy以上200kGy以下が好ましい。
【0024】
請求項4記載の発明によれば、前記の発泡加硫ゴムを備えた熱プレス用クッション材が製造できる。それにより製造中の取扱性が向上し汚れや破損が減少する。
【0025】
請求項5記載の発明によれば、製造工程に応じて前記ゴムからなる層を1層以上と、織布、不織布、紙、フィルム、箔、シートおよび板の中から選ばれた1種以上を1層以上用いて積層一体化することで取扱性がよい耐熱性と繰り返し使用耐久性を有する熱プレス用クッション材ができる。
【0026】
請求項6記載の発明によれば、製造工程に適した材質の織布、不織布、紙、フィルム、箔、シートおよび板の材料として合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム、金属、硝子、セラミックスの中から選ばれた単独または複合材を前記ゴムと積層することができる。
【0027】
請求項7記載の発明によれば、プリント基板材料と、クッション材とを熱盤間に積層した状態で加熱・加圧成型するプリント基板の製造方法において、請求項1,2または3に記載の熱プレスのクッション材用ゴムを備えた熱プレス用クッション材を安定的に繰り返し安価に使用することができる。
【0028】
請求項8記載の発明によれば、請求項7のプリント基板がフレキシブルプリント基板であるフレキシブルプリント基板の熱プレス工程において請求項1,2または3に記載の熱プレスのクッション材用ゴムを備えた熱プレス用クッション材を安定的に繰り返し安価に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明においてフッ素ゴムは市販のゴムを用いることができる。例えばポリオール加硫系ではデュポン製バイトンA500、ダイキン製ダイエルG501、スリーエム製フローレルFC2145などがあげられる。パーオキサイド加硫系ではデュポン製バイトンGBL200S、ダイキン製ダイエルG902、旭硝子製アフラス150Eなどがあげられる。多官能性加硫剤としては例えば市販のトリアリルイソシアヌレート(TAIC)が一般的に使用されている。膨張開始温度が200℃以上の発泡剤としては市販のものを使用できる。例えば松本油脂製マイクロスフェアー2800Dがあげられる。電子線照射は種々の機器が存在し、強度(eV)、線量(Gy)をゴム層への浸透深度および加硫強度により選択することができる。
【0030】
以下本発明の実施例を説明する。本発明の実施例では、限定したゴム、加硫剤及び発泡剤を使用し、電子線照射装置を用いたが本発明の実施形態では記載した内容に限定するものではないことは自明である。以下実施例1、2、3、4及び比較例1を具体的に説明する。
【0031】
(電子線照射)
実施例の発泡ゴム及び発泡ゴム複合体を株式会社NHVコーポレーション製の電子線照射装置EPS−800により電子線をクッション材面の上下から照射した。
【実施例1】
【0032】
デュポン製バイトンGBL200S、100部、日本化成製トリアリルシヌレート(以後TAICと呼ぶ。)、4部、松本油脂製マイクロスフェアー2800D(以後2800Dと呼ぶ。),5部を混練りし、120℃、10MPaにて150mm角、厚み1mmのシートを作成した。150mm角、深さ4mmの金型に旭硝子製アフレックス12NAを離型フィルムとして敷き、該シートを設置した。235℃、30MPaにて30分間加熱加圧した。冷却後、取り出し、電子線を上下より各50kGy照射した。照射後の厚みは4.11mmであった。繰り返しの熱プレス評価結果を表1に示した。
【実施例2】
【0033】
デュポン製バイトンGBL200S、100部、TAIC、4部、2800D,5部を混練りし、120℃、10MPaにて150mm角、厚み1mmのシートを作成した。150mm角、深さ4mmの金型に旭硝子製アフレックス12NAを離型フィルムとして敷き、
図1のごとく該ゴムシートをタケヤリ製綿布9050−01にてはさみ、235℃、30MPaにて30分間加熱加圧した。冷却後、取り出し、電子線を上下より各50kGy照射した。照射後の厚みは4.31mmであった。繰り返しの熱プレス評価結果を表1に示した。
【実施例3】
【0034】
旭硝子製アフラス150E、100部、TAIC、4部、2800D,5部およびステアリル酸ナトリウム、1部を混練りし、120℃、10MPaにて150mm角、厚み1mmのシートを作成した。150mm角、深さ4mmの金型に旭硝子製アフレックス12NAを離型フィルムとして敷き、
図1のごとく該ゴムシートをタケヤリ製綿布9050−01にてはさみ、金型内に設置した。230℃、30MPaにて30分間加熱加圧した。冷却後、取り出し、電子線を上下より各756kGy照射した。照射後の厚みは3.03mmであった。繰り返しの熱プレス評価結果を表1に示した。
【実施例4】
【0035】
デュポン製バイトンGBL200S、100部、TAIC、4部、2800D,5部を混練りし、120℃、10MPaにて150mm角、厚み1mmのシートを2枚作成した。150mm角、深さ8mmの金型に旭硝子製アフレックス12NAを離型フィルムとして敷き、
図2のごとく該ゴムシートをタケヤリ製綿布9050−01にてはさみ、芯地に日東紡製ガラスクロス平織1080を設置し、230℃、30MPaにて30分間加熱加圧した。冷却後、取り出し、電子線を上下各100kGy照射した。照射後の厚みは8.44mmであった。繰り返しの熱プレス評価結果を表1に示した。
【0036】
(比較例1)
市販の王子製紙製白ボール紙500gのクラフト紙を10枚重ねた。厚みは6.03mmであった。繰り返しの熱プレス評価結果を表2に示した。
【0037】
(クッション材の繰り返し使用評価試験)
実施例に従い作成した試料を180℃、2.5MPa×10分前処理加圧した。前処理加圧後の試料を試験試料として0回とし、その後の繰り返し使用試験を始めた。試験試料を180℃、2.5MPa×10分加圧し、開放後5分経過した試料の厚みを5点で測定し、平均値を加圧後の厚みとした。
【0038】
(クッション材の復元性テスト)
大型プレス機の面にステンレス板を上下に設置し前記試料を5MPa、室温にて10分間圧縮し加圧のまま厚みを測定した。加圧時の厚み/加圧前の厚み×100%を圧縮率とした。その後加圧を開放し30分放置後加圧開放後の厚みとして測定した。加圧開放後の厚み/加圧前の厚み×100%を復元率とした。結果を表1、表2に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明による熱プレス用クッション材用ゴムおよび熱プレス用クッション材は高いクッション性により複雑な形状に良く追従し、優れた回復性と耐熱性により高温高圧を要求する製造工程で使用できる。クッション材の長寿命化が要求される場合に、有効に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】綿布にて発泡ゴムをはさんだクッション材を表す。
【
図2】芯地にガラス織布を入れ上下を綿布ではさんだクッション材を表す。