(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5914021
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】扇状部材、カバー部材及び手帳
(51)【国際特許分類】
B42D 15/00 20060101AFI20160422BHJP
B42D 3/18 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
B42D15/00 301D
B42D3/18 D
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-27537(P2012-27537)
(22)【出願日】2012年2月10日
(65)【公開番号】特開2013-163315(P2013-163315A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2015年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】509226897
【氏名又は名称】池 成姫
(74)【代理人】
【識別番号】100142136
【弁理士】
【氏名又は名称】深澤 潔
(72)【発明者】
【氏名】池 成姫
【審査官】
佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3082382(JP,U)
【文献】
実開昭60−114859(JP,U)
【文献】
実公昭36−33606(JP,Y1)
【文献】
登録実用新案第3023338(JP,U)
【文献】
特開2009−112465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D1/00−15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に延びる山折り部及び谷折り部が交互に配された扇面部を備え、
平面状の表表紙部と、該表表紙部の一辺或いは接線、又は該一辺或いは該接線と略平行する軸線を中心に前記表表紙部に対して開閉可能とされた平面状の裏表紙部と、を有する部材に対し、前記山折り部及び前記谷折り部と略平行する前記扇面部の一端側が、前記表表紙部と前記裏表紙部とを閉じたときに前記裏表紙部と対向する前記表表紙部の内側端部に、前記一辺或いは前記接線と略直交するよう接続され、
前記山折り部及び前記谷折り部と略平行する前記扇面部の他端側が、前記表表紙部の内側端部と対向する前記裏表紙部の内側に、前記一辺或いは前記接線と略直交するよう接続されることを特徴とする扇状部材。
【請求項2】
平面状の表表紙部と、
該表表紙部の一辺或いは接線、又は該一辺或いは該接線と略平行する軸線を中心に前記表表紙部に対して開閉可能とされた平面状の裏表紙部と、
請求項1に記載の扇状部材と、
を備え、
該扇状部材が、前記山折り部及び前記谷折り部と略平行する前記扇面部の一端側が、前記表表紙部と前記裏表紙部とを閉じたときに前記裏表紙部と対向する前記表表紙部の内側端部に、前記一辺或いは前記接線と略直交するよう接続され、
前記山折り部及び前記谷折り部と略平行する前記扇面部の他端側が、前記表表紙部の内側端部と対向する前記裏表紙部の内側に、前記一辺或いは前記接線と略直交するよう接続されていることを特徴とするカバー部材。
【請求項3】
前記扇面部の一端側と前記表表紙部とが、及び、前記扇面部の他端側と前記裏表紙部とが、着脱可能に接続されることを特徴とする請求項2に記載のカバー部材。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のカバー部材と、
該カバー部材と着脱可能に形成された中身部と、
を備えていることを特徴とする手帳。
【請求項5】
請求項2又は3に記載のカバー部材と、
少なくとも該カバー部材の表表紙部又は前記カバー部材の裏表紙部と一体に接続された中身部と、
を備えていることを特徴とする手帳。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扇状部材、カバー部材及び手帳に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、例えば、手帳カバーのようなカバー部材、又は手帳自体は、表表紙部、背表紙部、及び裏表紙部が連接されて、中身の手帳用紙を覆う構成となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1431698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のカバー部材及び手帳は、テーブル等の上で広げて手帳用紙に記入する際、対向する相手から手帳用紙が丸見えになってしまうため、見られてはまずいものを記入しづらいといった問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、カバー部材及び手帳を広げた状態でも対向する相手から中身が丸見えにならないようにすることができる扇状部材、カバー部材及び手帳を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る扇状部材は、直線状に延びる山折り部及び谷折り部が交互に配された扇面部を備え、平面状の表表紙部と、該表表紙部の一辺或いは接線、又は該一辺或いは該接線と略平行する軸線を中心に前記表表紙部に対して開閉可能とされた平面状の裏表紙部と、を有する部材に対し、前記山折り部及び前記谷折り部と略平行する前記扇面部の一端側が、前記表表紙部と前記裏表紙部とを閉じたときに前記裏表紙部と対向する前記表表紙部の内側端部に、前記一辺或いは前記接線と略直交するよう接続され、前記山折り部及び前記谷折り部と略平行する前記扇面部の他端側が、前記表表紙部の内側端部と対向する前記裏表紙部の内側に、前記一辺或いは前記接線と略直交するよう接続されることを特徴とする。
【0007】
この発明は、扇状部材を表表紙部と裏表紙部とを有する部材に上述のように取り付けることにより、表表紙部を開けたときに、扇面部が表表紙部の一辺或いは接線、又はこの一辺或いは接線と略平行する軸線を中心に扇状に開いて扇面を形成するので、対向する人に対して扇面部でカバー部材の内側を目隠しすることができる。
【0008】
また、本発明に係るカバー部材は、平面状の表表紙部と、該表表紙部の一辺或いは接線、又は該一辺或いは該接線と略平行する軸線を中心に前記表表紙部に対して開閉可能とされた平面状の裏表紙部と、本発明に係る扇状部材と、を備え、該扇状部材が、前記山折り部及び前記谷折り部と略平行する前記扇面部の一端側が、前記表表紙部と前記裏表紙部とを閉じたときに前記裏表紙部と対向する前記表表紙部の内側端部に、前記一辺或いは前記接線と略直交するよう接続され、前記山折り部及び前記谷折り部と略平行する前記扇面部の他端側が、前記表表紙部の内側端部と対向する前記裏表紙部の内側に、前記一辺或いは前記接線と略直交するよう接続されていることを特徴とする。
【0009】
この発明は、カバー部材の表表紙部を開けたときに、扇状部材の扇面部が表表紙部の一辺或いは接線、又はこの一辺或いは接線と平行する軸線を中心に扇状に開いて扇面を形成するので、対向する人に対して扇面部でカバー部材の内側を目隠しすることができる。
【0010】
また、本発明に係るカバー部材は、前記カバー部材であって、前記扇面部の一端側と前記表表紙部とが、及び、前記扇面部の他端側と前記裏表紙部とが、着脱可能に接続されていることを特徴とする。
【0011】
この発明は、扇状部材が不要のときには各表紙部から取り外すことができる。
【0012】
また、本発明に係る手帳は、本発明に係るカバー部材と、該カバー部材と着脱可能に形成された中身部と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
この発明は、中身部にカバー部材を取り付けてカバー部材の表表紙部を広げたときに、扇状部材が表表紙部の一辺或いは接線、又はこの一辺或いは接線と平行する軸線を中心に扇状に開いて扇面を形成するので、対向する人に対して扇面部で中身部を目隠しすることができ、プライバシーを守ることができる。
【0014】
また、本発明に係る手帳は、本発明に係るカバー部材と、少なくとも該カバー部材の表表紙部又は前記カバー部材の裏表紙部と接続された中身部と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
この発明は、中身部とカバー部材とが予め接続されているので、各表紙部を開けたときに扇面部をすぐに利用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カバー部材及び手帳を広げた状態でも対向する相手から中身が丸見えにならないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る手帳を示す概要図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る手帳を示す(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る手帳の使用状態を示す概要図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係るカバー部材を示す(a)正面図、(b)扇面部の拡開図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る一実施形態について、
図1から
図3を参照して説明する。
本実施形態に係る手帳1は、カバー部材2と、紙面が積層されて見開き可能に綴じられた手帳用紙(中身部)3と、を備えている。
【0019】
カバー部材2は、平面状の表表紙部5と、表表紙部5の一辺5Aと略平行する仮想軸線Cを中心に表表紙部5に対して開閉可能とされた平面状の裏表紙部6と、表表紙部5と裏表紙部6とを接続する背表紙部7と、直線状の山折り部8A及び谷折り部8Bが一定の間隔で交互に複数配され一端8Cと他端8Dとを形成する扇面部8を有する扇状部材9と、を備えている。
【0020】
表表紙部5及び裏表紙部6は、矩形状に略同一に形成されている。材質や硬さは特に限定されず、紙、革、プラスチック、布等どれでも構わない。そして、手帳用紙3と表表紙部5及び裏表紙部6とが一体に接続されている。
【0021】
山折り部8A及び谷折り部8Bと略平行する扇面部8の一端8Cは、表表紙部5と裏表紙部6とを閉じたときに裏表紙部6と対向する表表紙部5の内側端部5Bに、表表紙部5の一辺5Aと直交するよう接続されている。また、山折り部8A及び谷折り部8Bと略平行する扇面部8の他端8Dは、表表紙部5と裏表紙部6とを閉じたときに表表紙部5の内側端部5Bと対向する裏表紙部6の内側に、表表紙部5の一辺5Aと直交するよう接続されている。なお、表表紙部5及び裏表紙部6と扇状部材9とは、面接触又は線接触でも構わない。
【0022】
扇面部8は、表表紙部5と裏表紙部6とを開けたときに、背表紙部7と対向する扇面部8の一端部8E側を中心に扇面8Fを形成可能に山折り部8A及び谷折り部8Bが配されている。ここで、扇面部8の一端8C側と表表紙部5とが、及び、扇面部8の他端8D側と裏表紙部6とが、着脱可能に接続されていても構わない。
【0023】
次に、本実施形態に係る手帳1の作用について説明する。
まず、扇面部8が配された側を相手側に配置し、裏表紙部6に対して表表紙部5を開ける。このとき、扇面部8が一端部8Eを中心に拡開して扇面8Fを形成する。
【0024】
扇面8Fを形成した状態で、
図3に示すように、手帳用紙3に文字等を記載する。このとき、扇状部材9の扇面部8が目隠しとなって、手帳用紙3の一部を覆い隠すことになる。
【0025】
この手帳1、カバー部材2、及び扇状部材9によれば、カバー部材2の表表紙部5を開けたときに、扇状部材9の扇面部8が仮想軸線Cを中心に扇状に開くので、対向する人に対して扇面部8で手帳用紙3に記載する文字等を目隠しすることができ、プライバシーを守ることができる。
【0026】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、手帳用紙3とカバー部材2が着脱可能に形成されて、カバー部材2のみで独立していても構わない。また、扇状部材9が、表表紙部5及び裏表紙部6に対して着脱可能とされて、扇状部材9のみで独立していても構わない。
【0027】
この場合、不図示の接続機構によって、例えば、手帳用紙3とカバー部材2とが、表表紙部5及び裏表紙部6と扇状部材9とが、又は手帳用紙3と扇状部材9とがそれぞれ接続された状態で使用される。
【0028】
また、表表紙部5及び裏表紙部6は背表紙部7を介さず、直接接続されていてもよく、隙間を介して接続されていても構わない。
【0029】
さらに、扇状部材9の扇面部8を広げたときの高さが、手帳1の幅となる表表紙部5及び裏表紙部6の短手長さと同じである必要はなく、これより長くても短くても構わない。
【0030】
さらに、手帳1に限らず、カバー部材2をすでに文字や図等が記載された書籍等のカバー部材として使用しても構わない、
【0031】
また、
図4に示すように、扇状部材10の扇面部11を広げた時に上端11Gが直線状に水平になるように扇面部11を形成しても構わない。また、上端は水平に限らず、曲線状や波線状等でも構わない。
【0032】
また、扇面部8,11を広げたときに、扇面上にイラストや模様、文字、装飾の取り付け、孔やスリット等が配されていても構わない。これらを相手と対向する面に配した場合には、広告等を記載して宣伝効果を狙うことができる。また、自分のほうに配した場合には、手帳を広げる楽しみ等の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 手帳
2 カバー部材
3 手帳用紙(中身部)
5 表表紙部
5A 一辺
5B 内側端部
6 裏表紙部
8,11 扇面部
8A 山折り部
8B 谷折り部
8C 一端
8D 他端
9,10 扇状部材
C 仮想軸線