【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 (1)公益社団法人土木学会、「第14回応用力学シンポジウム」に関する予稿集(USBメモリー版)、I_395、平成23年8月26日 (2)平成23年度土木学会全国大会第66回年次学術講演会、公益社団法人土木学会、平成23年9月8日 (3)地盤に関する解析技術(個別要素法)講習会、公益社団法人地盤工学会、平成23年12月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、バラスト軌道はスラブ軌道よりも低振動・低騒音など多くの点で優れるが、スラブ軌道に比べて設置工数やメンテナンス性の点で劣っていた。
【0006】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、バラスト軌道の持つメリットをそのままに、より設置やメンテナンスが容易なバラスト軌道を実現するための手法を提案することを目的とする。更には、バラスト軌道のメリットを軌道構築以外でも利用可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するための第1の形態は、複数の砕石体が点接触で接合され、且つ、当該接合部が当該砕石体の硬度以上の硬度を有し、全体として所定形状に一体成型された砕石体集合ブロックである。
【0008】
ここで言う「砕石体」とは、道床バラストや、隣接する砕石体と点接触できる複数の稜角部や突起部を有した物体である。
第1の形態によれば、バラスト軌道におけるバラスト集合体の構造と同様の構造体を有し、バラスト軌道と同様の低振動低騒音効果を得ることができる。当該ブロックを敷き詰める簡単な施工でバラスト軌道を構築したり、軌道に限らず所望する箇所にブロックを配置することで低振動や低騒音を実現することができる。
【0009】
第2の形態は、前記砕石体間が前記接合部以外に充填物の無い空隙でなることを特徴とする第1の形態の砕石体集合ブロックである。
【0010】
第2の形態によれば、第1の形態と同様の効果が得られるとともに、バラスト軌道と同様の高い排水性など、空隙があることによる様々なメリットも得られる。
【0011】
第3の形態は、最薄部の厚みが12cm以上でなることを特徴とする第1又は第2の形態の砕石体集合ブロックである。
【0012】
第3の形態によれば、第1又は第2の形態と同様の効果が得られるとともに、路盤に伝搬される応力を効果的に抑制し、低振動・低騒音の性能を高めることができる(例えば、
図19参照)。
【0013】
第4の形態は、前記砕石体が、稜角部或いは突起部を有する砕石状に形成された人工多面体であることを特徴とする第1〜第3の何れかの形態の砕石体集合ブロックである。
【0014】
第4の形態によれば、砕石体として利用可能な天然石の枯渇に対応することができる。また、砕石体に伝搬した波が内部で拡散し反射する過程の減衰特性に着目すれば、天然石由来の砕石体では減衰特性はできたなりである。しかし、人工多面体の場合はその形状や材質設計によって減衰特性をコントロールできるようになる。また、同じ減衰特性の砕石体を量産することができるので、ブロックに含まれる砕石体の種類や数、配置位置等を設計することで、ブロックとしての減衰特性に意図的な特性を与える余地が生まれる。例えば、特定の周波数の振動の減衰性を高めるなどとしても良い。また、天然石に比べて軽量に実現し得る。
【0015】
第5の形態は、前記接合が、前記砕石体の溶接によりなされていることを特徴とする第1〜第4の何れかの形態の砕石体集合ブロックである。
【0016】
第5の形態によれば、第1〜第4の形態の何れかと同様の効果が得られるとともに、点接触による接合構造をより強固に実現することができる。つまり、接合部の損耗をより効果的に抑制し低振動・低騒音効果を長く持続できる。
【0017】
第6の形態は、前記砕石体は表面に金属層を有し、当該金属層の溶接により前記接合がなされていることを特徴とする第5の形態の砕石体集合ブロックである。
【0018】
第6の形態によれば、例えば砕石体自体が溶けない、或いは極めて溶けにくい材料であったとしても第5の形態と同様の効果を得ることができる。
【0019】
第7の形態は、前記砕石体が、コンクリート製、金属製、セラミック製、高強度合成樹脂製の何れかの中実体を含むことを特徴とする第4の形態の砕石体集合ブロックである。
【0020】
第7の形態によれば、第4の形態と同様の効果が得られるとともに、これらの材料は量産技術、特に型を用いた量産技術が確立されており、そのメリットを享受することができる。
【0021】
第8の形態は、第1〜第7の何れか一項に記載の砕石体集合ブロックであって、サイズ違いの砕石体で構成した複数種類の砕石体集合ブロックを組み合わせて構成した砕石体集合ブロック群である。
【0022】
第8の形態によれば、第1〜第7の形態の何れかと同様の効果が得られるとともに、構成する砕石体のサイズ違いにより振動減衰特性の違うブロックを、適当に組み合わせることで全体として各ブロック単独ではできないより多様な低振動・低騒音の性能を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔1・研究結果の説明〕
バラスト軌道がスラブ軌道よりも低振動や低騒音の点で優れるメカニズムに関しては長らく解明されていなかったが、バラストの実測3次元立体形状を元にした数値解析から、多面体が点接触したバラスト道床の構造そのものが低振動・低騒音を実現していることが判明した。
【0025】
具体的には、実際のバラストを3次元デジタイザにより計測した値を元にしてDEM(個別要素法)多面体モデルを作成し、実際のバラストと同様の物性条件及び所定の枠内に締め固めた拘束条件で個別要素法によるシミュレーションを行った。そして、当該シミュレーションの結果から、バラスト集合体としての多面体モデルの配置情報と接触点情報とを抽出し、これを有限要素法モデルに置き換えてバラスト集合体の固有値解析と、列車走行荷重に対する過渡応答解析と、波動伝搬解析とを行った。
【0026】
図1は、固有値解析による1次振動モード(上下方向の弾性振動モード)における歪み分布図(横断面)である。固有値解析の結果、バラストが有する多数の稜角のうち、僅か数点が局所的に変形してバネとして働き、他の部分は概ね剛体として振動することが判明した。図の例では、白丸で囲まれた稜角部で高い歪みがでている。また、過渡応答解析では、実際の枕木下面で計測された荷重測定波形を有限要素法モデルの中央付近に設定して解析を行ったが、有限要素法モデルの応答波形は実測波形とほぼ近い形となり当該有限要素法モデルの振動解析における有効性が確認できた。
【0027】
そして、波動伝搬解析では、
図2に示すように、インタクトな岩塊とバラスト集合体に相当する有限要素法モデルのそれぞれの上面中央部に衝撃波を入力して比較した。
図3は、インタクトな岩塊と有限要素法モデルとのそれぞれに衝撃波を入力した波動伝搬解析の結果を示すvon Mises応力分布図である。また、
図4は、波動伝搬解析における荷重点直下の砕石接触点におけるvon Mises応力の変化を示すグラフである。
【0028】
図3(1)に示すように、インタクトな岩塊では、衝撃波は拡散しながら進行し、47μs(マイクロ秒)経過でモデル下端に到達した。
一方、有限要素法モデルすなわちバラスト集合体では、(イ)衝撃は加振されたバラスト内部をインタクトな岩塊と同じ速度で進行するが、(ロ)殆どの波はバラスト内部に留まり拡散と反射を繰り返して消耗される。(ハ)波のうち他バラストとの接触点に到達した一部は当該接触点を介して隣接する他バラストに伝搬され、(ニ)伝搬先の他砕石でも同じように波はバラスト内部に留まり拡散と反射を繰り返して消耗され、(ホ)更に隣接する他バラストに伝わる、と言った具合に複雑な経路で伝搬される。それ故、例えば、
図3(2)に示すように、60μs経過時点でも、衝撃波の先端がモデル中央付近に達しているものの、依然として上層のバラスト内で強い波が拡散と反射を繰り返しながら残っている。
【0029】
その結果、バラスト集合体では、
図4に示すように、荷重点から遠ざかるほど応答の立ち上がりが遅れて緩やかになり、応力値も減衰して波形が滑らかになる。つまり、バラスト集合体はコンクリートや一体の岩盤などに比べて波動伝搬速度が軽減し波動が大きく減衰するため低振動・低騒音に優れると言える。
【0030】
〔2・実施形態の説明〕
次に、上述の研究結果から得られた知見に基づく本発明の実施形態について説明する。
図5は、本発明を適用した砕石体集合ブロックの一例を示す斜視外観図である。
砕石体集合ブロック2は、複数の砕石体4が点接触で接合され、且つ接合部が砕石体4の硬度以上の硬度を有し、全体として所定形状に一体成型されたブロックである。砕石体4の間には空隙が存在するポーラス体でもある。図の例では、直方体形状を成しているが、砕石体集合ブロック2の形状や寸法、構成する砕石体4のサイズ、数などは用途に応じて適宜設定可能である。
【0031】
図6は、砕石体4の例を示す図である。砕石体4は、(1)天然石やコンクリートを採種・破砕等して造られた道床バラスト4aは勿論のこと、(2)セラミックスやコンクリート、金属、硬質樹脂、硬質ガラス、石英、繊維強化プラスチックなどの硬質材料で成形された人造バラスト4bや、(3)点接触が生じやすいように考慮された稜角部や突起部を備えるように硬質材料で成型された多面体4c、(4)稜角部や突起部を備えた格子構造体4d、とすることができる。一つの砕石体集合ブロック2を構成する砕石体4は、これらのうち1種類でも良いし、複数種類が混合していても良い。
【0032】
人造バラスト4bは、硬質材料体を破砕して製造するとしても良いし、鋳造、鍛造、成型及び焼成など材質に適した量産技術を適宜利用して製造することができる。材質は、例えば、セラミックスやコンクリート、金属、硬質樹脂、ガラス、石英、繊維強化プラスチックなどが考えられるが、砕石体集合ブロック2の用途に応じた機械的特性が得られるように適宜選定すると良い。形状は、道床バラスト4aを参考に型製造に適するように適度に単純化しつつも隣接する砕石体4と点接触が生じやすいように適当な稜角部や突起部を有する形状とされる。基本的には中実体であるが、部分的に気泡や空隙を備えたポーラス体であっても良い。
【0033】
多面体4cは、ベースとする形状は稜角部を有する多面体である。更には、図示するように面に突起部を備えた形状を有するとしても良い。また、ベースとする形状は多面体に限らず、例えば、川砂利のように概ね曲面で形成された形状に部分的に稜角部や突起部を有する形状でも良い。
【0034】
格子構造体4dは、稜角部を兼ねる格子で形成した3次元構造体である。3次元コンピュータグラフィックスにおけるワイヤーフレーム表示されたモデルをイメージすることができる。例えば、セラミックスやコンクリート、金属、硬質樹脂、ガラス、石英、繊維強化プラスチックなどで成形される。
【0035】
次に、砕石体集合ブロック2の製造方法について説明する。
図7は、第1の製法について説明するための概念図である。第1の製法は、砕石体4を、道床バラスト4aや人造バラスト4bとした場合に適している。具体的には、(1)少なくとも底部に小孔7を有する型6に砕石体4を充填し〔充填ステップ〕、(2)砕石体4がバラスト軌道におけるバラスト集合と同じように、相互に点接触するように突き固める〔突き固めステップ;点接触形成ステップ〕。
【0036】
次に、(3)型6の上から砕石体4に適した接合材8をまんべんなくかける〔接合材添加ステップ〕。接合材8は、硬化時の硬度が砕石体4の硬度以上となるものが選定される。例えば、接着剤やセメントスラリーなどが考えられる。かけられた接合材8は、砕石体4の表面に付着し、付着しきれずに垂れた接合材8は小孔7から型6の外に排出される。そして、(4)接合材8の硬化処理を行い〔硬化ステップ〕、(5)硬化後、型6を外して砕石体集合ブロック2が完成する〔型抜きステップ〕。
【0037】
図8は、第1の製法における砕石体4の接合部の拡大図である。突き固めステップ終了時点では、
図8(1)に示すように、隣接する砕石体4(4e、4f)は、稜角部や突起部の先端で点接触した状態となる。この段階で、バラスト軌道におけるバラスト同士の接触状態が再現されたことになる。そして、硬化ステップ終了時点では、
図8(2)に示すように、接合材8の硬化層10によって点接触部を補強する接合部12が形成されるが、隣接する砕石体4の間の大部分は、空隙部14となる。
【0038】
接合材8の硬化層10が形成されることにより、ばらばらの砕石体4は一体のブロックとして扱うことができるようになる。そして、硬化層10は、点接触部分が隣接する他砕石体に荷重波を伝えつつ局所的に変形してバネとして働く機能をそのままに、砕石体同士の相対的な位置ズレを適当に抑制し点接触部分を補強することができる。つまり、砕石体集合ブロック2の低振動・低騒音効果を生み出す構造を長く維持することができるようになる。
【0039】
図9は、第2の製法について説明するための概念図である。第2の製法は、金属製の人造バラスト4bに適している。
具体的には、(1)型6Bに砕石体4を充填する〔充填ステップ〕。この型6Bの内面には電極22が設けられており、スイッチ24をONすると電源部26から電極22に通電されるよう構成されている。
そして、(2)砕石体4がバラスト軌道のバラスト集合と同じような点接触をするように突き固めし〔突き固めステップ;点接触形成ステップ〕、(3)型6Bの上からフラックス材20をまんべんなくかける〔フラックス材添加ステップ〕。フラックス材20は、砕石体4の材料に応じて適宜選定される。
そして、フラックス材20を添加した後、(4)砕石体4に荷重Wをかけながら、スイッチ24をONにして電極22に通電する。すると、電極22に接触する砕石体4を起点に砕石体全体に電気が通って発熱し、隣接する砕石体4同士の表面が溶けて溶接される〔溶接ステップ〕。(5)適当な冷却の後、型6Bを外して砕石体集合ブロック2が完成する〔型抜きステップ〕。
【0040】
図10は、第2の製法における砕石体4の接合部の拡大図である。突き固めステップ終了時点では、
図10(1)に示すように、隣接する砕石体4(4g、4h)は、稜角部や突起部の先端で点接触した状態となる。この段階で、バラスト軌道におけるバラスト同士の接触状態が再現されたことになる。そして、溶接ステップ終了時点では、
図10(2)に示すように、砕石体4同士の表面が溶け溶接される。隣接する砕石体4の間の大部分は、空隙部14となる。
【0041】
図11は、第3の製法について説明するための概念図である。第3の製法は、砕石体4がメッキ処理可能な素材である場合に適している。
具体的には、(1)型6C(例えば、網型)に砕石体4を充填し〔充填ステップ〕、(2)砕石体4がバラスト軌道のバラスト集合と同じように、相互に点接触するように突き固めする〔突き固めステップ;点接触形成ステップ〕。
次いで、(3)型6Cごとメッキ処理して硬質皮膜を形成する〔皮膜形成ステップ〕。メッキは、砕石体4以上の硬度となる種類を適宜選定する。ここでは型6Cごと電解層28に浸す電気メッキの例を図示しているが、硬度要件を満たすならば無電界メッキや真空蒸着、その他の皮膜形成処理に適宜置換することができる。
そして、皮膜を形成させたならば、(4)水洗や乾燥の後処理の後〔後処理ステップ〕、(5)治具や型6Cを外して砕石体集合ブロック2が完成する〔型抜きステップ〕。
【0042】
図12は、第3の製法における砕石体4の接合部の拡大図である。突き固めステップ終了時点では、
図12(1)に示すように、隣接する砕石体4(4j、4k)は、稜角部や突起部の先端で点接触した状態となる。この段階で、バラスト軌道におけるバラスト同士の接触状態が再現されたことになる。そして、皮膜形成ステップ終了時点では、
図12(2)に示すように、メッキによる硬質皮膜層30によって点接触部を補強する接合部12が形成されるが、隣接する砕石体4の間の大部分は空隙部14となる。
【0043】
図13は、第4の製法について説明するための概念図である。第4の製法では、予め表面にメッキ等により金属被膜を形成された砕石体であるメタライズド砕石体4Mを用いる。
具体的には、先ず(1)砕石体4にメッキや真空蒸着などの表面処理を施して、表面に砕石体4以上の硬度を有した金属皮膜が形成されたメタライズド砕石体4Mを造る〔金属皮膜形成ステップ〕。
次に、(2)このメタライズド砕石体4Mを型6Bに充填する〔充填ステップ〕。型6Bの内面には電極22が設けられており、スイッチ24をONすると電源部26から電極22に通電されるよう構成されている。
そして、(3)メタライズド砕石体4Mに荷重Wをかけながら、スイッチ24をONにして電極22に通電する。すると、電極22に接触するメタライズド砕石体4Mを起点に、型6Bに充填された砕石体全体に電気が通って発熱し、隣接するメタライズド砕石体4M同士の表面が溶けて溶接される〔溶接ステップ〕。(5)適当な冷却の後、型6Bを外して砕石体集合ブロック2が完成する〔型抜きステップ〕。
【0044】
図14は、第4の製法におけるメタライズド砕石体4Mの接合部の拡大図である。突き固めステップ終了時点では
図14(1)に示すように、隣接するメタライズド砕石体4Mは、稜角部や突起部の先端で点接触した状態となり、この段階でバラスト道床におけるバラスト同士の接触状態が再現されたことになる。但し、メタライズド砕石体4Mには金属皮膜34が存在するので、皮膜下の砕石体本体(4(4r、4p))レベルでは点接触に至っていない。そして、溶接ステップ終了時点では、
図14(2)に示すように、金属皮膜34が溶けるにともない稜角部や突起部の先端が当該皮膜を突き破って当接し、砕石体本体同士が点接触部をした状態となる。溶けた金属皮膜34は、冷却にともない本体表面において再度硬化して点接触を覆う皮膜を再構成する。よって、メタライズド砕石体4Mの本体同士が点接触した部位を被覆補強する接合部12が形成される。尚、隣接するメタライズド砕石体4Mの間の大部分は空隙部14となる。
【0045】
図15は、第5の製法について説明するための概念図である。第5の製法は、加熱することで再溶融し溶接可能な合成樹脂製の砕石体4に適している。
具体的には、(1)耐熱性の型6Eに砕石体4を充填し〔充填ステップ〕、(2)砕石体4がバラスト軌道のバラスト集合と同じように、相互に点接触するように突き固める〔突き固めステップ;点接触形成ステップ〕。次いで、(3)砕石体4に荷重Wをかけながら、型6Eごと全体を炉などで加熱する。すると、隣接する砕石体4同士の表面が溶け溶接される〔溶接ステップ〕。(4)適当な冷却の後、型6Eを外して砕石体集合ブロック2が完成する〔型抜きステップ〕。
【0046】
図16は、第5の製法における砕石体4の接合部の拡大図である。突き固めステップ終了時点では、
図16(1)に示すように、隣接する砕石体4(4s、4t)は、稜角部や突起部の先端で点接触した状態となる。この段階で、バラスト軌道におけるバラスト同士の接触状態が再現されたことになる。そして、溶接ステップ終了時点では、
図16(2)に示すように、砕石体4同士の表面が溶け溶接される。隣接する砕石体4の間の大部分は、空隙部14となる。
【0047】
図17は、砕石体集合ブロック2を鉄道用軌道に用いた場合の利用例を示す図であって、(1)軌道方向に直交する縦断面図、(2)軌道の側断面図である。
この例の砕石体集合ブロック2は、レール40と直交する方向(枕木方向)に長い矩形ブロックであり、その上部には枕木42を収容・固定できる凹部3を備え、軌道方向に複数のブロックを配列して道床を形成する。凹部3から当該ブロック2の下面までの最薄部厚さは、
図4に示した知見から12cm以上とするのが好適である。また。図示されていないが、隣接するブロック同士で凹凸嵌合する構成や、路盤44にブロックを固定したりズレを抑制するための構造を適宜設けると好適である。道床の設置は、砕石体集合ブロック2を配列するだけで良く、コンクリート製のスラブ道床を構築するのに負けない簡便さがある。それでいながら、従来のバラスト道床と同様の低振動・低騒音を実現することができる。また、バラストが接合されているので、飛石を防止するために別途接着剤を散布するなどの対策も不要である。
【0048】
以上、本発明を適用した砕石体集合ブロック2の実施形態について説明してきたが、本発明の実施形態がこれらに限定されるものではなく、適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
【0049】
例えば、砕石体集合ブロック2の利用形態は鉄道用軌道の道床に限らず、防音壁、道路舗装、階段などの構築にも利用できる。
【0050】
例えば、
図18に示す砕石体集合ブロック2B,2C,2Dのように、構成する砕石体4の粒度を適宜揃えたり、サイズの異なる砕石体4の配合比率を適宜設計することで、特定周波数に対して特に低振動・低騒音性に優れたブロックを造ることもできる。粒が細かい砕石体4が多いほど、比較的高周波成分への減衰に優れ、粒が大きい砕石体4の比率が大きいほど比較的低周波成分への減衰に優れる。
【0051】
また、一つの砕石体集合ブロック2を構成する砕石体4のサイズを局所的に偏りをもたせることもできる。例えば、
図19(1)に示す鉄道軌道用の砕石体集合ブロック2Eでは、レール40の直下部分に特定サイズの砕石体の構成比率が他部分よりも高くなる特別配合部分46を備える。例えば、当該部分に特定周波数に対する減衰率の高いサイズや形状の砕石体4を集中的に配置することで、集中配置しないで砕石体4を一体化させた場合よりも特徴的な低振動・低騒音性を発揮させることができる。同様のことは、
図19(2)に示すような砕石体集合ブロック群2Fでも実現できる。すなわち、サイズ違いの砕石体で構成した複数種類の砕石体集合ブロック2g、2h、2jを組み合わせて構成したブロック群で実現することができる。
【0052】
また、砕石体集合ブロック2の構成要素に、適宜砕石体4以外の他の構造部材を追加することができる。例えば、鉄道軌道用の砕石体集合ブロック2の長手方向に沿って、衝撃波の減衰性に優れた砕石体4よりも長くて大きい棒状体を、ブロックの背骨や中心軸のようにして含有する構成としても良い。棒状体としては、弾性体や、多角形断面を有する中空体、ポーラス体などが考えられる。この場合、棒状体による振動吸収や振動の減衰が期待できるので、砕石体4のみで構成した場合よりもブロックとしての外形や寸法をそのままに衝撃波の減衰性を高めることができる。