(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5914105
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】扉取付構造及びそれを備えた鉄道車両の機器収納箱
(51)【国際特許分類】
B61D 17/00 20060101AFI20160422BHJP
【FI】
B61D17/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-78629(P2012-78629)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-208925(P2013-208925A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2014年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(72)【発明者】
【氏名】松本 充弘
(72)【発明者】
【氏名】江口 一哉
【審査官】
志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−038129(JP,A)
【文献】
特開2000−054716(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第2400091(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 17/00
B61D 19/00
B61C 17/12
E05D 3/00 − 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部材に設けられた開口部を開閉する扉の取付構造であって、
前記被取付部材の前記開口部の裏面側の周縁に設けられ、直列に配置されている第1貫通穴及び第2貫通穴を有する取付フレームと、
前記扉に取り付けられる第1ヒンジ板と、前記被取付部材の前記取付フレームの一方側に取り付けられる第2ヒンジ板とを有し、前記第1ヒンジ板が前記第2ヒンジ板に対して回動可能なヒンジと、
前記第1貫通穴に対応する第1ねじ穴と、前記第2貫通穴に対応する第2ねじ穴とを有し、前記取付フレームの他方側に取り付けられる締結板とを備え、
前記締結板と前記取付フレームとが、第2取付ねじにより、前記第2貫通穴を介して前記第2ねじ穴に螺合されることにより取り付けられ、
前記第2ヒンジ板と前記締結板及び前記取付フレームとが、第1取付ねじにより、前記第1貫通穴を介して前記第1ねじ穴に螺合されることにより取り付けられ、
前記第1及び第2貫通穴が、前記扉の位置を調整可能な大きさを有する、扉取付構造。
【請求項2】
内部に機器を収納可能な箱本体と、
前記箱本体の少なくとも1つの側面に設けられた開口部と、
前記開口部に配置される扉と、
前記開口部の裏面側の周縁に設けられ、直列に配置されている第1貫通穴及び第2貫通穴を有する取付フレームと、
前記扉に取り付けられる第1ヒンジ板と、前記取付フレームの一方側に取り付けられる第2ヒンジ板とを有し、前記第1ヒンジ板が前記第2ヒンジ板に対して回動可能なヒンジと、
前記第1貫通穴に対応する第1ねじ穴と、前記第2貫通穴に対応する第2ねじ穴とを有し、前記取付フレームの他方側に取り付けられる締結板とを備え、
前記締結板と前記取付フレームとが、第2取付ねじにより、前記第2貫通穴を介して前記第2ねじ穴に螺合されることにより取り付けられ、
前記第2ヒンジ板と前記締結板及び前記取付フレームとが、第1取付ねじにより、前記第1貫通穴を介して前記第1ねじ穴に螺合されることにより取り付けられ、
前記第1及び第2貫通穴が、前記扉の位置を調整可能な大きさを有する、鉄道車両の機器収納箱。
【請求項3】
内部に機器を収納可能な箱本体と、
前記箱本体の少なくとも1つの側面に設けられた開口部と、
前記開口部に配置される扉と、
前記開口部の裏面側の周縁に設けられ、第1貫通穴及び第2貫通穴を有する取付フレームと、
前記扉に取り付けられる第1ヒンジ板と、前記取付フレームの一方側に取り付けられる第2ヒンジ板とを有し、前記第1ヒンジ板が前記第2ヒンジ板に対して回動可能なヒンジと、
前記第1貫通穴に対応する第1ねじ穴と、前記第2貫通穴に対応する第2ねじ穴とを有し、前記取付フレームの他方側に取り付けられる締結板とを備え、
前記締結板と前記取付フレームとが、第2取付ねじにより、前記第2貫通穴を介して前記第2ねじ穴に螺合されることにより取り付けられ、
前記第2ヒンジ板と前記締結板及び前記取付フレームとが、第1取付ねじにより、前記第1貫通穴を介して前記第1ねじ穴に螺合されることにより取り付けられ、
前記第1貫通穴が、前記扉の位置を調整可能な大きさを有し、
前記第2取付ねじが、前記取付フレームの一方側から挿入されて前記第2ねじ穴に螺合され、
前記第2貫通穴が、前記取付フレームに対する前記締結板の取付位置を調整可能な大きさを有する、鉄道車両の機器収納箱。
【請求項4】
内部に機器を収納可能な箱本体と、
前記箱本体の少なくとも1つの側面に設けられた開口部と、
前記開口部に配置される扉と、
前記開口部の裏面側の周縁に設けられ、第1貫通穴及び第2貫通穴を有する取付フレームと、
前記扉に取り付けられる第1ヒンジ板と、前記取付フレームの一方側に取り付けられる第2ヒンジ板とを有し、前記第1ヒンジ板が前記第2ヒンジ板に対して回動可能なヒンジと、
前記第1貫通穴に対応する第1ねじ穴と、前記第2貫通穴に対応する第2ねじ穴とを有し、前記取付フレームの他方側に取り付けられる締結板とを備え、
前記締結板と前記取付フレームとが、第2取付ねじにより、前記第2貫通穴を介して前記第2ねじ穴に螺合されることにより取り付けられ、
前記第2ヒンジ板と前記締結板及び前記取付フレームとが、第1取付ねじにより、前記第1貫通穴を介して前記第1ねじ穴に螺合されることにより取り付けられ、
前記第1貫通穴が、前記扉の位置を調整可能な大きさを有し、
前記締結板は、矩形板状であり、
前記第2ねじ穴が、前記締結板の両端にそれぞれ形成され、
前記第1ねじ穴が、各前記第2ねじ穴の間に形成される、鉄道車両の機器収納箱。
【請求項5】
内部に機器を収納可能な箱本体と、
前記箱本体の少なくとも1つの側面に設けられた開口部と、
前記開口部に配置される扉と、
前記開口部の裏面側の周縁に設けられ、第1貫通穴及び第2貫通穴を有する取付フレームと、
前記扉に取り付けられる第1ヒンジ板と、前記取付フレームの一方側に取り付けられる第2ヒンジ板とを有し、前記第1ヒンジ板が前記第2ヒンジ板に対して回動可能なヒンジと、
前記第1貫通穴に対応する第1ねじ穴と、前記第2貫通穴に対応する第2ねじ穴とを有し、前記取付フレームの他方側に取り付けられる締結板とを備え、
前記締結板と前記取付フレームとが、第2取付ねじにより、前記第2貫通穴を介して前記第2ねじ穴に螺合されることにより取り付けられ、
前記第2ヒンジ板と前記締結板及び前記取付フレームとが、第1取付ねじにより、前記第1貫通穴を介して前記第1ねじ穴に螺合されることにより取り付けられ、
前記第1貫通穴が、前記扉の位置を調整可能な大きさを有し、
前記取付フレームの前記第1貫通穴及び前記第2貫通穴が、前記扉の位置を前記箱本体の前後方向に対して調整可能な長穴形状である、鉄道車両の機器収納箱。
【請求項6】
前記扉が閉止状態において、前記扉の側縁部が、前記開口部が設けられた前記箱本体の側縁部を覆う、請求項2〜5のいずれかに記載の鉄道車両の機器収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉取付構造及び鉄道車両の機器収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道車両には、運転・制御などのために多数の電気機器が搭載されている。これらの電気機器は、その大きさや見た目も不揃いであるため、運転室や客室の内装に色調等を合わせた機器収納箱に収納されることが多い。
【0003】
そして、電気機器の点検時や故障時には、内部に収納された電気機器に直接触れる必要があるため、機器収納箱の開口部(車体パネルの開口部)には点検扉が設けられている(例えば特許文献1参照)。そのような点検扉は、ヒンジを介して開閉可能に取り付けられている。
【0004】
点検扉を箱本体に取り付け、機器収納箱とする場合、作業者は点検扉を手で持って、箱本体の開口部と点検扉との位置調整を行った後、ねじ切り等の加工を行って、点検扉を箱本体に取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−38129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ねじ切り等の加工や点検扉を箱本体に取り付ける作業は、作業スペースの小さな車室内で行う必要があり、また点検扉は重量があるため、作業者の負担も大きいという問題があった。特に、電気機器の修繕や点検を行う際に利便性を確保する必要があるため、点検扉は、その形状も大きく、取り扱いが容易ではない。
【0007】
また、車室内に予め設置された機器収納箱に対して、ねじ切りなどの作業を行う必要があるため、切り粉等の塵芥が車室内に排出される。特に、内部に電気機器が配置される機器収納箱に金属製の切り粉が排出された場合は、それらを確実に除去する必要があり、その清掃作業などの後処理の作業工程が大きな負担となる。
【0008】
本発明は、扉の組付作業性を向上させた鉄道車両の機器収納箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る扉取付構造は、被取付部材に設けられた開口部を開閉する扉の取付構造であって、前記被取付部材の前記開口部の裏面側の周縁に設けられ、
直列に配置されている第1貫通穴及び第2貫通穴を有する取付フレームと、前記扉に取り付けられる第1ヒンジ板と、前記被取付部材の前記取付フレームの一方側に取り付けられる第2ヒンジ板とを有し、前記第1ヒンジ板が前記第2ヒンジ板に対して回動可能なヒンジと、前記第1貫通穴に対応する第1ねじ穴と、前記第2貫通穴に対応する第2ねじ穴とを有し、前記取付フレームの他方側に取り付けられる締結板とを備え、前記締結板と前記取付フレームとが、第2取付ねじにより、前記第2貫通穴を介して前記第2ねじ穴に螺合されることにより取り付けられ、前記第2ヒンジ板と前記締結板及び前記取付フレームとが、第1取付ねじにより、前記第1貫通穴を介して前記第1ねじ穴に螺合されることにより取り付けられ、前記第1
及び第2貫通穴が、前記扉の位置を調整可能な大きさを有する。
【0010】
このようにすれば、第1ねじ穴が予め形成されている締結板にヒンジを取り付けるだけで良いので、車両組立工程においてねじ切り作業が不要となり、切り粉等の発生を防止できる。また、上記構成により、扉の位置を容易に調整することができるので、作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、扉の取付作業性を向上させた扉取付構造及び鉄道車両の機器収納箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施の形態に含まれる機器収納箱の前方からの斜視図である。
【
図2】実施の形態に含まれる機器収納箱の後方からの斜視図である。
【
図3】実施の形態に含まれる扉の後方からの斜視図である。
【
図4】実施の形態に含まれるヒンジ及び締結板の取付構造を示す説明図である。
【
図5】扉取付部の一部を拡大した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態に係る扉取付構造について図面に沿って説明する。なお、以下では、扉が取り付けられる被取付部材として機器収納箱を例に説明するが、内装パネルやその他、鉄道車両に設けられる各種の点検扉に適用可能である。
[1.実施の形態]
[1−1.全体構成の概略]
図1に示すように、本実施の形態に係る機器収納箱1は、各種機器(図示せず)が収納される箱本体2と、箱本体2の前方に設けられた開口部2aと、ヒンジ6と、開口部2aに配置されヒンジ6を介して開閉可能な点検扉3と、点検扉3を開閉するための把手7とを備えている。ここで、
図1に示すように、点検扉3の平面に対して直交する方向を前後方向という。なお、
図1においては、開口部2aは箱本体2の前方に設けられているが、上面あるいは下面など、箱本体2の少なくとも1つの側面に設けてもよい。また、開口部2aは複数設けられても良い。
【0014】
また、
図2〜
図4に示すように、箱本体2の裏面側において、機器収納箱1は、開口部2aの周縁に設けられた取付フレーム5と、一端が点検扉3に取り付けられ他端がヒンジ6に取り付けられる固定フレーム4と、取付フレーム5に取り付けられる矩形板形状の締結板13とを有している。
[1−2.各構成の概略]
図4及び
図5に示すように、固定フレーム4は、点検扉3に取り付けられる固定部4Aと、この固定部4Aより箱内方側に突出し固定部4Aに直交する方向に延びる被取付部4Bとを有する。また、
図5に示すように、取付フレーム5は、箱本体2に取り付けられる固定部5Aと、この固定部5Aより箱内方側に突出し固定部5Aに直交する方向に延びる被取付部5Bとを有する。両被取付部4B、5Bは、点検扉3を閉じた状態でヒンジ6を挟んで平行に延びている。
【0015】
ヒンジ6は、点検扉3(つまり固定フレーム4の被取付部4B)に取り付けられる第1ヒンジ板6Aと、箱本体2(取付フレーム5の被取付部5B)に取り付けられる第2ヒンジ板6Bとを有し、
第1ヒンジ板6Aが第2ヒンジ板6Bに対して回動することにより、点検扉3が箱外方側に開放する。
【0016】
また、
図5に示すように、点検扉3が閉止状態においては、点検扉3の側縁部(ヒンジ6が取り付けられた側縁部と反対側)が箱本体2のフランジ部2bの前面を覆うような構成となっている。
[1−3.ヒンジ及び締結板(点検扉)の取付構造]
図4に示すように、取付フレーム5に第2ヒンジ板6Bと締結板13とがそれぞれ取り付けられることにより、点検扉3を箱本体2に取り付けることができる。ここで、取付フレーム5のうち、第2ヒンジ板6Bが取り付けられる側面を「一方側」とし、締結板13が取り付けられる側面を「他方側」とする。以下、詳細について説明する。
【0017】
取付フレーム5の被取付部5Bには、4つの第1貫通穴11Aと2つの第2貫通穴11Bとがあらかじめ形成され、各貫通穴11A、11Bはそれぞれ長穴(被取付部5Bの幅方向に長い穴)である。
【0018】
締結板13には、第1貫通穴11Aに対応する第1ねじ穴12Aと、第2貫通穴11Bに対応する第2ねじ穴12Bとがあらかじめ形成されている。本実施の形態において、締結板13の両端に第2ねじ穴12Bが形成され、2つの第2ねじ穴12Bの間に4つの第1ねじ穴12Aが形成されている。このように、各ねじ穴12A、12Bは直列に配置され、そのピッチも等しくすることにより作業性及び部品製作のコストを低減することができるが、各ねじ穴12A、12Bの配置及びピッチはこれに限られない。
【0019】
第2ヒンジ板6Bは、第1取付ねじ14Aを第1ねじ穴12Aに螺合させることにより、取付フレーム5を介して締結板13に取り付けられている。各第1貫通穴11Aは、上述のように、被取付部5Bの幅方向に長い穴で点検扉3に直交する方向の長穴であるので、点検扉3の取付位置をフランジ部2bに密着するように箱本体2の前後方向に調整できる。
【0020】
一方、締結板13は、第2取付ねじ14Bを第2ねじ穴12Bに螺合させることにより、取付フレーム5の被取付部5Bに取り付けられる。ここで、締結板13は、被取付部5B(取付フレーム5)に被取付部5B側から第2貫通穴11Bを通じて取り付けられる。
【0021】
また、
図5に示すように、固定フレーム4の被取付部4Bの一方は第1ヒンジ板6Aに取り付けられ、他方は板状の補強部材21が取り付けられる。補強部材21には、ねじ穴が形成され、取付ねじ22により固定フレーム4及び第1ヒンジ板6Aと締結される。
【0022】
なお、締結部13の第2ねじ穴12Bの間隔は、第2ヒンジ板6Bよりも大きいので、点検扉3の取付位置の調整に影響を与えることはない。
[1−4.点検扉の取付手順]
続いて、点検扉3の取付手順について説明する。
(1) まず、箱本体2側の取付フレーム5の被取付部5Bの他方側に、締結板13を配置して、締結板13と取付フレーム5とを第2取付ねじ14Bを用いて仮止めする。このとき、第2取付ねじ14Bは、取付フレーム5の被取付部5Bの一方側から挿入される。
(2) 次に、取付フレーム5の被取付部5Bの一方側に、第2ヒンジ板6Bを配置し(第2ヒンジ板6Bと締結板13との間に取付フレーム5を挟んだ状態として)、第2ヒンジ板6Bと取付フレーム5とを第1取付ねじ14Aを用いてに仮止めする。以上の作業により、点検扉3は箱本体2に仮止めされる。
(3) 被取付部5Bの両貫通穴11A、11Bは、長穴であるため、その長手方向において、点検扉3の位置を移動させることができるので、点検扉3が箱本体2に仮止めされた状態において、点検扉3を箱本体2の前後方向に移動させて取付位置の調整を行う。
(4)点検扉3の取付位置が定まれば、第1取付ねじ14A及び第2取付ねじ14Bを本締めして、点検扉3及び締結板13を取付フレーム5に固定する。
【0023】
以上の手順により、点検扉3は箱本体2に取り付けられる。
【0024】
このように、点検扉3の閉止状態で、点検扉3の側縁部と箱本体2のフランジ部2bの位置関係を見ながら、点検扉3の位置を調整することが可能となり、見栄えの向上を図ることができる。特に、従来のように作業者が重い点検扉3を手で持ちながら、取付作業や位置調整作業を行なう必要がないので、作業スペースが制約された車室内でも容易に作業を行うことができ、作業者の負担を大幅に軽減することができる。
【0025】
また、締結板13は取付フレーム5に固定されているため、点検扉3を箱本体2から取り外したとしても、締結板13が取付フレーム5から脱落することはない。
【0026】
これにより、ヒンジ取付けのための第1ねじ穴12Aの位置が定位置に固定されることになる。この状態で、扉3を箱本体2から取り外しても、締結板13が被取付部5Bから外れて落下することはない。
[1−5.上記構成の各効果]
上記構成によれば、部品製作段階で前もってねじ穴加工がされた締結板13を利用することで、車両組立工程上のねじ切り作業をなくすことができ、作業の難易度を低減することができる。また、上記構成により、車室内で点検扉3を取り付ける際に切り粉の発生による清掃作業がなくなり、清掃漏れもなくなる。よって、点検扉3の組付作業性を向上させることができる。
【0027】
特に、鉄道車両の機器収納箱1のように、限られたスペースの車室内に配置される場合にも、点検扉3の組付作業性を損なうことがない。
【0028】
締結板13を被取付部5Bに固定し、点検扉3を箱本体2から取り外しても、締結板13が被取付部5Bから外れて落下することはないようにしておけば、点検扉3を取り外して、機器収納箱1内の各種機器の点検を行った後、点検扉3を取り付けることで元の状態に戻すことができるので、点検作業などの作業性は従来と同様としつつ、点検扉3の組付作業性を向上させることができる。
[2.変形例]
上記実施形態の変形例として以下の構成が可能である。
【0029】
(i)前後方向において開閉する扉だけでなく、上下方向において開閉する扉にも適用可能である。また、片開きだけでなく、両開きの場合の各扉についても適用可能である。
【0030】
(ii)貫通穴11A、11Bの大きさや形状は、必要とする調整可能範囲に応じて変更可能であるし、その形状は長穴形状に制限されない。例えば、取付ねじの頭部よりも径が小さく、かつ、ねじ径よりも大きな径を持つ貫通穴であってもよい。
【0031】
(iii)被取付部5Bへの締結板13の取付けは、取付ねじ14Bによるねじ止めに限らず、接着、溶接等の固定手段を用いてもよい。
【0032】
(iv)貫通穴は、箱本体2の前後方向に長穴としたが、上下方向の長穴としてもよい。
【0033】
(v)上記実施形態において、箱本体の側面には1つの開口部と1つの点検扉を設けたが、開口部の数及び扉の数はこれらに限られない。
【符号の説明】
【0034】
1 機器収納箱
2 箱本体
2a 開口部
2b フランジ部
3 点検扉
4 固定フレーム
4A 固定部
4B 被取付部
5 取付フレーム
5A 固定部
5B 被取付部
6 ヒンジ
6A 第1ヒンジ板
6B 第2ヒンジ板
13 締結板
11A 第1貫通穴
11B 第2貫通穴
12A 第1ねじ穴
12B 第2ねじ穴
14A 第1取付ねじ
14B 第2取付ねじ