(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ホッパーの下側に備えた切断装置によって食品生地を所定長さに切断して、前記ホッパーの下方に備えた搬送手段へ落下するとき、前記搬送手段上に既に載置されて長手方向へ搬送されつつある先行食品生地の後端側に、後続食品生地の先端側を重ねて連続した状態の食品生地を計量コンベアへ移送し、カッター装置によって切断する際、前記先行食品生地の後端側と後続食品生地の先端側との重なり関係を、予め横の重なり関係に保持して食品生地の計量を行い、かつ前記横の重なり関係に保持して前記カッター装置により食品生地の切断を行うことを特徴とする食品生地の計量切断方法。
請求項1に記載の食品生地の計量切断方法において、前記搬送手段から搬送される食品生地を、延展手段によって所定の厚さ、幅に延展する工程と、前記延展工程において延展された食品生地における先行食品生地の後端側と後続食品生地の先端側との重なり関係を、上下の重なり関係から横の重なり関係に向きを変える工程、の各工程を備えていることを特徴とする食品生地の計量切断方法。
請求項1に記載の食品生地の計量切断方法において、前記ホッパーから前記搬送手段に食品生地を落下するとき、前記搬送手段に既に載置されて長手方向へ搬送されつつある先行食品生地における後端側の側方に、後続食品生地の先端側を落下して、先行食品生地の後端側と後続食品生地の先端側とを横方向の重なり関係に接続する工程と、前記搬送手段から搬送される食品生地を、延展手段によって所定の厚さ、幅に延展する工程とを備えていることを特徴とする食品生地の計量切断方法。
請求項2又は3に記載の食品生地の計量切断方法において、前記延展手段にV形状に配置した複数の延展ローラによって食品生地を次第に薄く延展するとき、前記延展ローラの長手方向へ往復動自在に備えられた一対の幅規制部材を互に接近離反する方向へ往復動作して、複数の前記延展ローラによって延展されている前記食品生地の幅方向の両側縁に振動を付与する工程を備えていることを特徴とする食品生地の計量切断方法。
請求項4に記載の食品生地の計量切断方法において、前記一対の幅規制部材の往復動作は、前記延展ローラの送り動作に関連して行うことを特徴とする食品生地の計量切断方法。
請求項4又は5に記載の食品生地の計量切断方法において、前記食品生地のガス抜きを調節するために、前記一対の幅規制部材の往復動作の周期、ストローク、往復動作位置が調節自在であることを特徴とする食品生地の計量切断方法。
請求項1又は2に記載の食品生地の計量切断方法に使用する食品生地の計量切断装置であって、前記搬送手段から搬送された食品生地を所定の厚さ、幅に延展する延展手段と、前記延展手段によって延展された食品生地における先行食品生地の後端側と後続食品生地の先端側との重なり関係を、上下の重なり関係から横の重なり関係に向きを変えるための重なり関係変換部と、計量された食品生地を切断するために、前記計量コンベアの上流側に備えたカッター装置と、を備えていることを特徴とする食品生地の計量切断装置。
請求項7に記載の食品生地の計量切断装置において、前記延展手段は、食品生地を次第に薄く延展すべく複数の延展ローラをV形状に配置して備えた構成であり、かつ前記複数の延展ローラによって次第に薄く延展される前記食品生地の幅方向の両側に振動を付与して食品生地のガス抜きを行うための一対の幅規制部材を、前記延展ローラの長手方向へ往復動自在に備えていることを特徴とする食品生地の計量切断装置。
請求項7又は8に記載の食品生地の計量切断装置において、前記重なり関係変換部の構成は、前記延展手段によって延展された後の食品生地を、当該延展手段の下方位置で、前記搬送手段の搬送方向に対してほぼ直交する方向へ屈曲移送する構成であることを特徴とする食品生地の計量切断装置。
請求項7,8又は9に記載の食品生地の計量切断装置において、前記カッター装置は、前記延展手段によって延展された食品生地を計量コンベアへ移送する移送手段と前記計量コンベアとの間に備えられていることを特徴とする食品生地の計量切断装置。
請求項3に記載の食品生地の計量切断方法に使用する食品生地の計量切断装置であって、前記切断装置の長手方向は、前記搬送手段の搬送方向に対して傾斜してあることを特徴とする食品生地の計量切断装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載のごとく、ホッパーの底部に備えた切断装置によって所定長さに切断した先行食品生地の後端側に、後続の食品生地における先端側を重ねた状態の連続した食品生地を計量コンベアへ移送し、所定重量に計量して切断する場合、計量を安定して行うために、前記食品生地を所定厚さ、所定幅に予め延展すること、又は所定厚さに延展した後、所定幅に切断することが望ましいものである。すなわち、計量コンベアへ移送される前の食品生地の断面形状を、例えば矩形状、円形状などの一定の断面形状や、均一な性状に形成することが望ましいものである。
【0006】
また、前記特許文献3に記載の切断装置では、
図9(A)に示すように、搬送手段としての搬送コンベア1から計量コンベア(秤量コンベア)3上へ食品生地5を移送し、予め設定した所定重量に計量して、搬送コンベア1の上方に配置した切断手段としてのカッター装置7によって切断することが行われている。上述のごとき構成においては、前記カッター装置7による切断位置7Aと前記計量コンベア3の後端側(上流側)に対して食品生地5が接触する位置5D(前記計量コンベア3における計量開始位置C)との間(間隔L1)に位置する食品生地5の重量は、計量コンベア3上に載置され計量された計量値に基づき算出される。したがって、前記間隔L1の領域は食品生地5の予測カット領域となる。そして、前記カッター装置7によって切断して、計量コンベア3上へ移送した食品生地5の切断片を計量したときの重量が真の重量となるものである。
【0007】
計量切断する食品生地5が均一な状態にて搬送される場合には、計量コンベア3に載置された食品生地5の計量値及び予測カット領域に位置する食品生地5の重量が一定となるため、切断片の重量が設定した重量値と一致しそれらの誤差は生じない。
【0008】
しかしながら、
図9(B)に示すように、先行食品生地5Aの後端側5AEに、後続の食品生地5Bにおける先端側5BEを上に重ねて粘着接続した状態の食品生地5の重ね合せ部分又はそれに近接した位置においては、前記計量コンベア3の計量精度に誤差を生じることがある。
【0009】
前記重ね合せ部分の食品生地5は、先行食品生地5Aの後端側5AEと後続食品生地5Bの先端側5BEの接続面5Sが先行食品生地5Aから後続食品生地5Bに向かって徐々に下がるように傾斜した状態となっている。このような重ね合せ部分又はそれに近接した位置においては、食品生地5に作用している内部応力の状態が前記の均一な状態とは相違する状態となり、計量コンベア3に作用する力が変動してしまう。
【0010】
また、後端側5AEの上に先端側5BEを重ねて粘着接続した状態では、先端側5BEの荷重が鉛直方向のみに作用するのではなく、下側の先行食品生地5Aを介して不均一に分散することが分った。
【0011】
したがって、重ね合せ部分の食品生地5が計量コンベア3の上流側に近接した状態、又は計量コンベア3に移乗している状態では、計量コンベア3の上方に位置する食品生地5から計量コンベア3に作用する力が変動するため、その載置された食品生地5の重量と計量コンベア3による計量値が一致しないことが確認できた。
【0012】
したがって、計量コンベア3に食品生地5を搬送し計量する際に、計量コンベア3の上方に位置する食品生地3の荷重を計量コンベア3に適正に作用させる必要がある。
【0013】
また、切断した後の食品生地(切断片)の重量をより高精度に計量して切断するには、前記予測カット領域の搬送方向の間隔L1を短くすること、すなわち前記カッター装置7を前記計量コンベア3に可能な限り接近することが望ましいものである。
【0014】
また、
図9(C)に示すように、食品生地5の下面に形成された凹部9が前記計量コンベア3の後端側(上流側)の前記計量開始位置Cを通過している状態にて前記食品生地5の切断を行うと、前記計量コンベア3における計量精度に誤差を生じることとなる。
【0015】
すなわち、食品生地5の接触位置5Dが前記計量コンベア3の計量開始位置Cを通過すると、前記接触位置5Dと前記計量開始位置Cとの間(間隔L2)にて前記食品生地5が前記計量コンベア3に載置しない状態となる。
【0016】
このような状態では、前記間隔L2の領域に位置する食品生地3の重量が前記計量コンベア3に支持されて計量されるわけではなく、前記搬送コンベア1と計量コンベア3とに分配されて支持されることとなるため前記計量コンベア3の計量精度に誤差を生じることがある。
【0017】
したがって、重ね合わせ部分の凹部9だけでなく食品生地5の表面に凹凸が形成されると、前記計量開始位置Cから食品生地5が計量コンベア3に載置ができなかったり、食品生地5の断面積が変化したりすることにより前記誤差を生じることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、ホッパーの下側に備えた切断装置によって食品生地を所定長さに切断して、前記ホッパーの下方に備えた搬送手段へ落下するとき、前記搬送手段上に既に載置されて長手方向へ搬送されつつある先行食品生地の後端側に、後続食品生地の先端側を重ねて連続した状態の食品生地を計量コンベアへ移送し、カッター装置によって切断する際、前記先行食品生地の後端側と後続食品生地の先端側との重なり関係を、予め横の重なり関係に保持して食品生地の計量を行い、かつ前記横の重なり関係に保持して前記カッター装置により食品生地の切断を行うことを特徴とするものである。
【0019】
また、前記食品生地の計量切断方法において、前記搬送手段から搬送される食品生地を、延展手段によって所定の厚さ、幅に延展する工程と、前記延展工程において延展された食品生地における先行食品生地の後端側と後続食品生地の先端側との重なり関係を、上下の重なり関係から横の重なり関係に向きを変える工程、の各工程を備えていることを特徴とするものである。
【0020】
また、前記食品生地の計量切断方法において、前記ホッパーから前記搬送手段に食品生地を落下するとき、前記搬送手段に既に載置されて長手方向へ搬送されつつある先行食品生地における後端側の側方に、後続食品生地の先端側を落下して、先行食品生地の後端側と後続食品生地の先端側とを横方向の重なり関係に接続する工程と、前記搬送手段から搬送される食品生地を、延展手段によって所定の厚さ、幅に延展する工程とを備えていることを特徴とするものである。
【0021】
また、前記食品生地の計量切断方法において、前記延展手段にV形状に配置した複数の延展ローラによって食品生地を次第に薄く延展するとき、前記延展ローラの長手方向へ往復動自在に備えられた一対の幅規制部材を互に接近離反する方向へ往復動作して、複数の前記延展ローラによって延展されている前記食品生地の幅方向の両側縁に振動を付与する工程を備えていることを特徴とするものである。
【0022】
また、前記食品生地の計量切断方法において、前記一対の幅規制部材の往復動作は、前記延展ローラの送り動作に関連して行うことを特徴とするものである。
【0023】
また、前記食品生地の計量切断方法において、前記食品生地のガス抜きを調節するために、前記一対の幅規制部材の往復動作の周期、ストローク、往復動作位置が調節自在であることを特徴とするものである。
【0024】
また、前記食品生地の計量切断方法に使用する食品生地の計量切断装置であって、前記搬送手段から搬送された食品生地を所定の厚さ、幅に延展する延展手段と、前記延展手段によって延展された食品生地における先行食品生地の後端側と後続食品生地の先端側との重なり関係を、上下の重なり関係から横の重なり関係に向きを変えるための重なり関係変換部と、計量された食品生地を切断するために、前記計量コンベアの上流側に備えたカッター装置と、を備えていることを特徴とするものである。
【0025】
また、前記食品生地の計量切断装置において、前記延展手段は、食品生地を次第に薄く延展すべく複数の延展ローラをV形状に配置して備えた構成であり、かつ前記複数の延展ローラによって次第に薄く延展される前記食品生地の幅方向の両側に振動を付与して食品生地のガス抜きを行うための一対の幅規制部材を、前記延展ローラの長手方向へ往復動自在に備えていることを特徴とするものである。
【0026】
また、前記食品生地の計量切断装置において、前記重なり関係変換部の構成は、前記延展手段によって延展された後の食品生地を、当該延展手段の下方位置で、前記搬送手段の搬送方向に対してほぼ直交する方向へ屈曲移送する構成であることを特徴とするものである。
【0027】
また、前記食品生地の計量切断装置において、前記カッター装置は、前記延展手段によって延展された食品生地を計量コンベアへ移送する移送手段と前記計量コンベアとの間に備えられていることを特徴とするものである。
【0028】
また、前記食品生地の計量切断方法に使用する食品生地の計量切断装置であって、前記切断装置の長手方向は、前記搬送手段の搬送方向に対して傾斜してあることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、先行食品生地の後端側と後続食品生地の先端側との重なり部分における重なり関係を、予め横の重なり関係に保持して計量を行い、食品生地の切断を行うものであるから、上下の重なり関係にある場合に比較してより精度のよい計量切断を行い得るものである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る食品生地の計量切断装置について説明するに、
図1,
図2に概念的、概略的に示すように、食品生地の計量切断装置11は、架台13を備えており、この架台13の上部には、例えばパン生地などのごとき適宜の食品生地15を収容する箱状のホッパー17が備えられている。そして、このホッパー17における底部の開口位置に対応した位置には、前記ホッパー17から下方向へ供給される前記食品生地15を所定長さに切断する切断装置19が備えられている。また、前記食品生地移送装置11には、装置全体の動作を制御するために、コンピュータからなる制御装置20が備えられている。
【0032】
前記切断装置19は、前記制御装置20の制御の下にモータ21を間欠的に回転駆動することにより、食品生地15を、当該切断装置19に対応した長さに切断するものである。なお、前記ホッパー17及び前記切断装置19の構成は、前記特許文献1に示されているように、既に公知であるから、ホッパー17、切断装置19についてのより詳細な説明は省略する。
【0033】
前記切断装置19の下側には、前記切断装置によって所定長さに切断して落下された長尺の食品生地15を長手方向(
図2において左方向)へ搬送(移送)する搬送手段としてのベルトコンベア23が備えられている。このベルトコンベア23は、サーボモータ(図示省略)によって走行駆動されるものであって、前記食品生地15を長手方向へ搬送する搬送速度は、前記制御装置20の制御の下に制御自在である。なお、上記ベルトコンベア23の構成は、既によく知られた構成であるから、ベルトコンベア23についてのより詳細な説明は省略する。
【0034】
前記ベルトコンベア23上の食品生地15が長手方向へ搬送されて、当該食品生地15の後端部が所定位置に搬送されると、所定位置に前記後端部が搬送されたことを検出する後端部検出センサ(図示省略)が備えられている。そして、この後端部検出センサが食品生地15の後端部を検出すると、前記制御装置20の制御の下に前記モータ21が回転駆動されて、次の食品生地15が切断されて前記ベルトコンベア23上に落下される構成である。上述のように、モータ21の回転により切断装置19によって次の食品生地15が切断されると、
図2に示すように、先行する食品生地15Aの後端側に、次の後続の食品生地15Bの先端側が重なるものである。なお、後続の食品生地15Bを前記切断装置19によって次々に切断する構成としては、タイマーに予め設定した設定時間の経過毎に前記切断装置19を作動し切断する構成とすることも可能である。
【0035】
したがって、切断装置19におけるモータ21を間欠的に回転駆動して、ホッパー17から供給される食品生地15を次々に所定長さに切断して落下すると、食品生地15は連続的に接続して長手方向へ搬送されることになる。そして、前記ベルトコンベア23から搬送された食品生地15を延展するために、ベルトコンベア23の下流端位置に対応して延展手段25が備えられている。すなわち、前記ベルトコンベア23によって水平方向(
図2において左方向)へ搬送されて、当該ベルトコンベア23の下流端から下方向へ移動する食品生地15を受け入れる位置に前記延展手段25が備えられている。
【0036】
前記延展手段25は、
図2に示すように、前記ベルトコンベア23よりも低位置において架台13に備えられており、前記先行食品生地15Aの後端側と後続食品生地15Bの先端側との重ね合せ部分を重ね合せ方向から押圧するように、複数の延展ローラ27をV形状に配置した構成である。より詳細には、前記各延展ローラ27は、前記架台13にV形状に固定したローラ架台30に回転自在に備えられている。そして、前記各延展ローラ27はチェン、ギアなどの適宜の動力伝達機構(図示省略)を介して連動した構成であって、下流側ほど速く回転する構成である。
【0037】
ところで、複数の延展ローラ27をV形状に配置して食品生地の延展を行う延展手段は既に知られている構成である。しかし、本実施形態に係る延展手段25においては、複数の前記延展ローラ27によって延展される食品生地15の幅方向(
図1において左右方向、延展ローラ27の長手方向)の両側縁に幅方向の振動を付与する振動付与手段29(
図3参照)が備えられている。
【0038】
より詳細には、V形状に配置した前記延展ローラ27の間には、
図1,3に示すように、対向間隔が下側が次第に狭くなるように対向し、かつ下側が次第に厚くなる一対の振動付与部材31が互に接近離反する方向へ移動自在に備えられている。すなわち、前記ベルトコンベア23の下流端(搬送端)に対向した位置、換言すれば、前記延展手段25を間にして前記ベルトコンベア23の反対側の位置において、前記架台13には、前記延展ローラ27の長手方向に長いベースプレート33が一体的に備えられている。
【0039】
そして、このベースプレート33に備えたガイド部材35には、一対のスライダ37が移動自在に備えられている。この一対のスライダ37には、前記振動付与部材31に一体的に連結した連結部材39が固定してある。なお、前記一対の振動付与部材31の上部には、前記ベルトコンベア23の上側に臨み、かつ上流側が次第に広がったガイド部材41が一体的に備えられている。
【0040】
前記一対の振動付与部材31を前記延展ローラ27の長手方向へ互に接近離反すべく移動するために、前記ベースプレート33の一側にはモータブラケット43が一体的に立設して備えられている。このモータブラケット43にはサーボモータなどのごとき回転駆動装置45が備えられており、この回転駆動装置45の回転軸47には歯付プーリのごとき駆動プーリ49が備えられている。
【0041】
そして、前記駆動プーリ49から離反した位置には従動プーリ51が回転自在に備えられており、この従動プーリ51と前記駆動プーリ49には歯付ベルトなどのごときエンドレス部材53が掛回してある。上記エンドレス部材53の上部側には一方の前記連結部材39が連結してあり、エンドレス部材53の下部側には他方の前記連結部材39が連結してある。
【0042】
上記構成により、前記回転駆動装置45を、前記制御装置20の制御の下に、正回転又は逆回転することにより前記一対の振動付与部材31を互に接近離反する方向へ移動することができるものである。したがって、前記一対の振動付与部材31の移動位置を調節することにより、前記延展手段25において延展作用を受ける食品生地15の幅方向の寸法を所望寸法に規制することができるものである。既に理解されるように、前記振動付与部材31は、延展される食品生地15の幅寸法を規制自在であることにより、一種の幅規制部材を構成するものである。
【0043】
また、前記構成により、延展される食品生地15の幅寸法を規制すべく一対の振動付与部材(幅規制部材)31の位置決めを行った後、前記回転駆動装置45の正逆回転を所望回転範囲で繰り返すことにより、前記位置決めを行った位置において振動付与部材31を幅方向(延展ローラ27の長手方向)へ往復振動することができるものである。したがって、前記延展ローラ27によって延展されている食品生地15の幅方向の両側縁に振動を付与することができるものである。よって、前記幅規制部材(振動付与部材)31に対する食品生地15の粘着を防止して円滑に移動することができるものである。
【0044】
ところで、
図4に示すように、前記延展ローラ27によって、次第に薄く延展される食品生地15を前記振動付与部材31によって規制して、幅方向の両側から振動を付与する場合には、延展作用を受けている部分の食品生地15全体に振動を付与することが可能である。したがって、食品生地15が延展作用を受けている部分全体に振動を付与してガス抜きを行うことができるものである。
【0045】
上述の場合、前記制御装置20の制御の下に、前記回転駆動装置45の正逆回転を制御して、前記一対の振動付与部材31の単位時間当りの往復振動数、ストローク長を調節することにより、食品生地15からのガス抜きが調節可能なものである。したがって、前記往復振動数を増やしてガスをより多く抜いて比重の高い食品生地15とすることや、振動回数を少なくしてガス抜きを少なくして比重の低い食品生地15とすることが可能なものである。
【0046】
前記一対の振動付与部材31を互に接近する方向へ作動するときには、前記制御装置20の制御の下に、前記延展ローラ27による食品生地15の送り速度を低速に、又は停止するように制御する。そして、一対の振動付与部材31を互に離反する方向へ作動するときには、延展ローラ27の動作を前述とは逆に制御することが望ましい。すなわち、一対の振動付与部材(幅規制部材)31を、互に離反作動するときには、前記延展ローラ27による食品生地15の送り速度は、前記振動付与部材31が互に接近動作するときの食品生地15の送り速度よりもより高速に行うものである。
【0047】
前記振動付与部材31は、V形状に配置した複数の延展ローラ27の間において、延展作用を受ける食品生地15が幅方向へ移動することを規制する作用をなすものであるから、その形状は、
図4に示すように、複数の延展ローラ27の間のV形状に整合する形状である。
【0048】
なお、前記振動付与部材31の形状は特にこれに限定されるものではなく、生地の性状や規制される生地の吐出幅等の条件に応じて設定される。また、前記延展ローラ27をV形状に配置する形態としては、上側に位置する延展ローラ27の間隔よりも、下側に位置する延展ローラ27の間隔が小さくなる形態であればよいものである。そして、互に水平に対向した構成であっても、ジグザグ状に配置した構成であってもよいものである。
【0049】
前述のごとく、延展手段25において食品生地15の延展作用を行うとき、前記ベルトコンベア23の搬送速度を適正に制御するために、前記延展手段25に対する食品生地15の搬入状態を検出する搬入状態検出センサ55(
図2参照)が備えられている。この検出センサ55は、例えばレーザ光線を利用した距離検出センサなどのごときものであって、前記延展手段25の入口付近における食品生地15の盛上り状態を検出するものである。
【0050】
すなわち、前記検出センサ55が、常態における食品生地15の盛上りよりも大きな盛上りを検出したときには、制御装置20によって前記ベルトコンベア23の搬送速度は低速に制御される。そして、前記食品生地15の盛上りが常態の盛上りよりも小さいときには、前記ベルトコンベア23の搬送速度はより速く制御されるものである。すなわち、前記延展手段25の延展速度に対応して、前記ベルトコンベア23の搬送速度が適正速度に制御されるものである。
【0051】
前記延展手段25によって所定の厚さ、所定の幅寸法に延展された食品生地15は、前記延展手段25の下方位置に備えた移送手段57によって計量コンベア(秤量コンベア)59へ移送される。そして、上記計量コンベア59によって、予め設定した所定重量に計量されると、カッター装置61によって切断されるものである。前記移送手段57はベルトコンベアなどのごとき移送コンベアから構成してあり、この移送コンベア57の移送方向は、前記ベルトコンベア23の移送方向に対して直交する方向(交差する方向)に構成してある。
【0052】
より詳細には、前記ベルトコンベア23による食品生地15の搬送方向は、
図2において左右方向であり、延展手段25による移送方向は垂直方向である。そして、前記移送コンベア57による食品生地15の移送方向は、
図2において紙面に直交する方向である。すなわち、前記ベルトコンベア23、延展手段25及び移送コンベア57による食品生地15の移送方向はそれぞれ直交する方向である。
【0053】
したがって、前記先行食品生地15Aと後続食品生地15Bとの重なり方向は、ベルトコンベア23上においては上下方向の重なりであり、延展手段25の位置及び移送コンベア57上においては、
図2において左右方向(横方向、水平方向)の重なりに変更されることになる。よって、前記ベルトコンベア23、延展手段25、移送コンベア57等は、先行食品生地15Aの後端側と後続食品生地15Bの先端側との重なり関係を、上下の関係から横の関係(水平方向の重なり関係)に向きを変える一種の重なり関係変換部を構成することになるものである。
【0054】
前記移送コンベア57の下流端付近の上側には、当該移送コンベア57によって移送される食品生地15の厚さを一定厚さに均すための均しローラ63(
図1参照)が回転自在に備えられている。また、前記移送コンベア57の上流側には、前記延展手段25から前記移送コンベア57へ移送される食品生地15の屈曲部の、移送コンベア57の移送方向への変化を検出する屈曲部検出センサ65が備えられている。
【0055】
この屈曲部検出センサ65は、前記検出センサ55と同様の距離検出センサであって、食品生地15の前記屈曲部までの検出距離が予め設定した設定値より大きい場合には、前記制御装置20の制御の下に、前記移送コンベア57の移送速度はより低速に、又は前記延展手段25の移送速度はより高速に制御されるものである。そして、前記検出距離が前記設定値より小さい場合には、前記移送コンベア57の移送速度はより高速に、又は前記延展手段25の移送速度はより低速に制御されるものである。すなわち、前記延展手段25による移送速度と前記移送コンベア57の移送速度との関係を適正速度に制御する構成である。
【0056】
前記移送コンベア57から下流側に備えた前記計量コンベア59上へ食品生地15が移載され、予め設定した所望重量に対応した計量値に計量されると、前記移送コンベア57と計量コンベア59との間に配置した前記カッター装置61によって食品生地15の切断が行われるものである。前記カッター装置61は、前記架台13に装着した例えば流体圧シリンダなどのごとき上下動用アクチュエータ67U,67Lを上下に対向して備えている。そして、上側の上下動用アクチュエータ67Uには切断刃69が上下動自在に備えられている。また、下側の上下動用アクチュエータ67Lには、前記切断刃69に対向して食品生地15を下側から支持する支持部材71が上下動自在に備えられている。
【0057】
したがって、カッター装置61における切断刃69によって食品生地15を切断するとき、食品生地15の被切断部は支持部材71によって下側から支持されることになる。そして、前記切断刃69が前記支持部材71の上面に接触することによって食品生地15の切断が行われるものである。よって、食品生地15における切断面の下部に下方向への垂れを生じるようなことはないものである。
【0058】
上記構成により、前記カッター装置61による切断位置69A(
図5参照)を、前記計量コンベア59の上流端側に可能な限り近接することができる。したがって、前記カッター装置61の切断位置69Aから食品生地15が最初に計量コンベア59に接触する位置(計量コンベア59における計量開始位置C)までの領域、すなわち、食品生地15が宙に浮いた状態にあって重量を予測する領域(予測カット領域)をより短くすることができるものである。よって、前記計量コンベア59による計量精度がより向上するものである。
【0059】
前記計量コンベア59によって計量され、前記カッター装置61によって切断された後の切断片15Cは、計量コンベア59の下流側に配置して備えられた第2計量コンベア73によって再び計量されて、次工程へ移送されるものである。前記第2計量コンベア73は、計量コンベア59の計量結果によって切断された切断片15Cの重量が正確であるか否かを確認するものである。そして、切断された切断片15Cの重量と予め設定した所定重量の設定値が異なる場合に、前記カッター装置61による切断が正確に行われるように、前記制御装置20によって前記計量コンベア59の計量値の補正を行うものである。したがって、切断片15Cは、予め設定した設定値の重量に対して常に誤差の少ない範囲で正確に切断されるものである。
【0060】
ところで、前述のごとく、重なり関係変換部によって、先行食品生地15Aの後端側15AE(
図5参照)と後続食品生地15Bの先端側15BEとの重なり関係を、上下の関係から横の関係(水平方向の関係)に変換すると、前記先行食品生地15Aの後端側15AEと後続食品生地15Bの先端側15BEとの重なり関係が水平方向の関係になって、前記計量コンベア59上へ移送されることになる。ここで、前記後端側15AEと先端側15BEは、前記延展手段25によって延展作用を受けて互いに粘着接続してあり、その接続面15Sは先行食品生地15Aから後続食品生地15Bに向かって傾斜(上下方向の傾斜でなく、移送方向に対して水平方向の傾斜)した状態に形成されている。また、前記先端側15BEの先端部と先行食品生地15Aの側面との間に小さな凹部75を生じることがある。しかしながら、その重ね合せ部分において移送コンベア57や秤量コンベア59に載置される食品生地15の下面、つまり、前記振動付与部材31にて押圧された面は平滑面に形成されており、食品生地5の下面に、前記凹部75のような凹部は形成されない。
【0061】
ここで、前記カッター装置61における切断刃69による切断位置69Aが前記凹部75の位置又は前記凹部75に近接した位置になった場合について説明する。このようなときは、前記凹部75は食品生地15の側面になるので、計量コンベア59の搬送面に面した位置にないものの、前記食品生地15の重ね合せ部分が前記計量コンベア59の上面に載置され、又は近接した状態となっている。
【0062】
そして、前記切断位置69Aと食品生地15が計量コンベア59に最初に接触した接触位置15Dまでの間(間隔L)の部分及び前記切断位置69Aから食品生地15が移送コンベア57から離れる離反位置Sまでの部分は宙に浮いた状態にある。したがって、前記間隔Lに相当する部分の食品生地15の重量は実際に計量されることなく前記計量コンベア59の計測値に基づき算出することとなり、予測カット領域となる。前記後端側15AEと先端側15BEは前記傾斜面15Sを境に粘着接続してあるものの、前記後端側15AEと先端側15BEとの重なり関係は水平方向の関係であるから、前記後端側15AE及び先端側15BEが直接に前記計量コンベア59に載置され、食品生地15の重量は前記計量コンベア59に下方向に作用することとなる。
【0063】
したがって、前記先端側15BEが前記後端側15AEの上側に重なっている場合に比較して、前記計量コンベア59による食品生地15の計量の誤差を減少することができるとともに、前記予測カット領域における予測重量の誤差をより小さく抑えることができる。
【0064】
また、前記凹部75の位置又は凹部75に近接した位置において食品生地15の切断を行う場合であっても、前記計量コンベア59に載置される前記食品生地15の面を平滑面とすることにより、食品生地15の接触位置15Dが計量コンベア59の計量開始位置Cと一致できるため、前記間隔Lの長さが安定し切断片15Cをより正確な重量でもって切断することができるものである。
【0065】
図6は第2の実施形態を示すものである。この第2の実施形態においては、食品生地15の厚さに比較して幅寸法を大きく延展した後、複数の円板状のカッター77によって食品生地15を複数列15X,15Y,15Zに分割した後、重なり関係変換部79において、先行食品生地15Aにおける後端側15AEと後続食品生地15Bにおける先端側15BEとの重なり関係を、上下の重なり関係から水平方向(横方向)の重なり関係に変換しているものである。
【0066】
上記重なり関係変換部79の構成としては、
図7に示すように、一端側にフランジ81Fを備えた複数の移送ローラ81によって食品生地15X〜15Zの移送を行う構成とする。そして、
図7に示すように、水平状態から傾斜角度が次第に大きくなる複数の移送ローラ81を上流側から移送方向の下流側へ順次配置した構成とすることにより、食品生地15X〜15Zにおける重なり関係を、上下関係から水平方向の関係に変換して、水平な移送ローラ83上へ食品生地15X〜15Zを移載することができるものである。
【0067】
ところで、上記実施の形態においては、切断装置19にて先行食品生地15Aの後端側15AEの上面に後続食品生地15Bの先端側15BEを積層することにより上下に重ね合せ部を形成していた。しかし、
図8に示すように、後端側15AEと先端側15BEとをベルトコンベア23上に予め水平方向に重なり合うように載置し、それらを粘着接続するようにして重ね合わせることも可能である。例えば、前記切断装置19の長手方向を前記ベルトコンベア23の搬送方向に対し上面視において水平方向に傾斜して配置することにより、前記ベルトコンベア23上において、先行食品生地15Aの後端側15AEの横に後続食品生地15Bの先端側15BEを配置することが可能であり、前記振動付与装置29により断面が矩形状の食品生地5を形成することが可能となる。この場合、振動付与部材31の下方の移送手段57の搬送方向は、前記ベルトコンベア23の搬送方向に沿った方向に配置することとなる。この食品生地移送装置においては、重なり関係変換部は備えられていないが、食品生地5の重なり方向を予め水平方向とすることができ、計量コンベアによる計量精度を向上させることが可能となる。
【0068】
以上のごとき説明より理解されるように、前記構成においては、振動付与部材(幅規制部材)31の位置を調節し、この調節した位置において延展ローラ27の長手方向(食品生地15の幅方向)へ振動することにより、食品生地15の幅方向の両側縁に振動を付与することができる。したがって、前記幅規制部材(振動付与部材)31に対する食品生地15の粘着を防止して円滑な移送を行うことができるものである。また、前述のごとく、食品生地15の幅方向の両側縁部に幅方向の振動を付与する際には、両側縁部の圧縮、解放を繰り返し行うこととなる。すなわち、内部応力の付与、解放が行われることとなり、内部応力が残留するようなことはないものである。
【0069】
ところで、前述のように、延展手段25によって延展される食品生地15の幅方向の両側部を幅規制部材31によって規制し、かつ前記幅規制部材31によって食品生地15の両側部に振動を付与すると、食品生地15は両側部に凹凸部を備えることなく、食品生地15の幅方向の両側面は平滑面に形成されるものである。したがって、食品生地15を前述したように複数列に分割する場合、両側部のトリミングを行う必要がないものである。よって、トリミングによって除去する部分がなく、トリミングによる無駄をなくすることができるものである。
【0070】
なお、前記説明においては、幅規制部材31を振動する場合について説明したが、幅規制部材31の間に複数の延展ローラ27を配置し、この延展ローラ27によって食品生地15に振動を付与する構成とすることも可能である。