(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態は、
図1(a)〜(b)に示すように、未収容容器10´の内部に収容された液状物16に対して、水素添加するための水素発生機能付き容器10であって、樹脂20b中に、粒子状水素発生剤20aを含んでなる水素発生層20を、所定容器10´の内表面、および所定容器10´の内部に配置されたノズルの表面(図示せず)、あるいはいずれか一方の表面に、それぞれ全面的または部分的に備えることを特徴とする水素発生機能付き容器10である。
なお、
図1(a)は、水素発生機能付き容器10の外観(平面方向)を説明するための図であり、
図1(b)は、A−A線で切断した場合であって、矢印方向から眺めた場合に見える断面図(一部、部分拡大図を含む)である。
【0018】
1.容器
(1)基本的構成
液状物を収容する前の所定容器、すなわち、未収容容器10´の基本的構成としては、液状物を収容できる構成であれば、特に制限されるものではないが、例えば、水素発生機能付き容器として、
図1(a)〜(b)に示すようにパウチ型容器10、
図2(a)〜(b)に示すように、ボトルネック型容器50、52、あるいは、
図3(a)〜(b)に示すように、内部にノズル63、73を備えたボトルネック型容器60、70に対応した構成であることが好ましい。
この理由は、このような形態(パウチ型容器、ボトルネック型容器、およびノズルを備えたボトルネック型容器相当)の未収容容器であれば、所定の水素発生層を、容器の内表面、および容器の内部に配置されたノズルの表面、あるいはいずれか一方の表面に、それぞれ全面的または部分的に備えることによって、各種水素発生機能付き容器において、単位時間当たりの水素発生量や、水素発生時間等を所望範囲にさらに容易に制御することができるためである。
【0019】
(2)パウチ型容器
また、水素発生機能付き容器として、
図1(a)〜(b)に示すような所定空間16´を有するパウチ型容器10であることも好ましい。
この理由は、かかるパウチ型容器10であれば、液状物(図示せず)を、所定空間16´の水素還元下に、保持することができ、液状物に対して、水素の還元効果を迅速に発揮できるとともに、良好な軽量性や運搬性等を得ることができるためである。
また、このようなパウチ型容器10であれば、原料シート10a、10bにおいて、均一厚さの水素発生層20を所定場所に形成した後、ラミネート工程を介して、構成できることから、製造が容易であるばかりか、製造コストも安価であって、極めて経済的であるためである。
したがって、このようなパウチ型容器であれば、1回の使用量が比較的少ない液状物、例えば、化粧水、化粧乳液、飲料水、眼洗浄水、薬剤用飲料水、医療用水等に対して、より適していると言える。
【0020】
ここで、
図1(b)の部分拡大図および
図4(a)〜(g)に言及しながら、パウチ型容器10の製造方法について言及する。
すなわち、第1段階として、
図1(b)の部分拡大図および
図4(a)に示すように、基材30として、所定厚さ(例えば、5〜30μm)のポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルムを準備する。
次いで、第2段階として、
図1(b)の部分拡大図および
図4(b)に示すように、所定の接着剤層(例えば、ポリエステル系接着剤やエポキシ系接着剤等)32を介して、発生した水素が過度に外部に飛散しないように、水素バリア層としての金属層34、例えば、所定厚さ(例えば、1〜25μm)のアルミニウム箔を積層する。
次いで、第3段階として、
図1(b)の部分拡大図および
図4(c)に示すように、金属層34の表面に、金属層34の酸化防止を図るとともに、接着剤や装飾層として機能する樹脂層36、例えば、所定厚さ(例えば、10〜150μm)のLLDPE、LDPE、HDPE、PP等から構成された樹脂層36を積層する。
【0021】
一方、第4段階として、
図4(d)に示すように、基材、水素発生量調整層、さらには、ラミネートシール層として、それぞれ機能するポリオレフィンフィルム(例えば、CPP、所定厚さ10〜50μm)38を準備する。
次いで、第5段階として、
図4(e)に示すように、基材としてのポリオレフィンフィルム38の上に、樹脂20b中に、粒子状水素発生剤20aを所定量含んでなる水素発生層20を積層し、形成する。
その際、スクリーンコート、ロールコート、グラビアコート、アプリケータコート、インクジェット印刷法等を用いても良いし、或いは、刷毛塗りやバーコートであっても良い。いずれにしても、所定厚さ(例えば、10〜100μm)の水素発生層20を、基材としてのポリオレフィンフィルム38の上に、形成すれば良い。
さらに、第6段階として、
図4(f)に示すように、乾燥させた水素発生層20の上に、所定の接着剤層(例えば、ポリエステル系接着剤やエポキシ系接着剤等)32´を形成することが好ましい。これにより、次の第7段階の加熱圧着により所定構造を有したフィルムが安定的に形成できる。
【0022】
最後に、第7段階として、
図4(g)に示すように、ラミネータやプレス装置を用いて、全体的に、所定圧力で加熱圧着して、原料シート10a、10bとすることができる。
その後、図示しないものの、第8段階として、所定大きさの原料シート10a、10bを2枚準備し、今度は、ラミネートシール層として機能するポリオレフィンフィルム38が対向するように位置合わせした後、周囲を、1段階または2段階でヒートシールして、液状物16が収容される前のパウチ型容器10´とすることができる。
したがって、2段階でヒートシールした場合、
図1(a)に示すように、第1のヒートシール部12および第2のヒートシール部14が、周辺に形成され、所定空間16´および第1のヒートシール部12の境としての第2の境界線14´と、第1のヒートシール部12および第2のヒートシール部14との境としての第1の境界線12´と、が視認されることになる。
なお、さらに図示しないものの、一対の原料シート10a、10bをヒートシールする際に、液状物の注入口を設けておき、それ以外を熱シールした後、液状物を注入し、さらにその注入口をヒートシールすることによって、液状物16が収容された、本発明のパウチ型容器10として構成することができる。
【0023】
(3)ボトルネック型容器
また、好適な水素発生機能付き容器として、
図2(a)〜(b)に示すようなボトルネック型容器(但し、円筒状の缶詰め型容器や、各種立体形状の容器も含む。)50、52が挙げられる。
このような構成のボトルネック型容器50、52であれば、比較的大量の液状物16を、水素還元下に、相当長期間にわたって、経済的に保持することができるためである。
より具体的には、このようなボトルネック型容器50、52は、金属材料(アルミニウム、銅、鉄、合金)やガラス材料等を主成分として構成されており、液状物16の長期保存および水素の飛散防止に適していると言え、さらには、容器自体の再利用性にも優れているという利点を得ることができる。
したがって、後述する液状物に例示されるように、水等はもちろんのこと、所定の固形物を含む液状物、例えば、野菜の水煮等も好適な対象物となる。
【0024】
(4)ノズルを有するボトルネック型容器
さらに好適な水素発生機能付き容器に関して言えば、
図3(a)〜(b)に示すように、容器内部にノズル63、73を有するボトルネック型容器60、70が挙げられる。
すなわち、液状物を外部に取り出して、スプレーするためのノズル63、73が、ジョイントキャップ64、74を介して、噴出部61、71等に連結して設けてある場合には、当該ノズル63、73の表面に水素発生層20を設けることも好ましい。
この理由は、かかるノズル63、73の表面に、水素発生層20が形成されていれば、液状物16と接触する機会が多くなる一方、水素発生量等が低下した場合に、水素発生層20が形成されたノズル63、73を容易に交換し、水素発生量等を容易に初期状態に回復させることができるためである。
また、このようなノズル63、73を有するボトルネック型容器60、70であれば、その内部で発生した水素を含む液状物16を、容器の上端部に設けた噴出孔61、71から、レバー62、72の動作に応じて、霧状、ミスト状、泡状等に噴出させて、還元状態の液状物として利用することができるためである。
【0025】
(5)ガスバリア層
また、ボトルネック型容器50、52、60、70の内面や外面、あるいは、パウチ型容器10´の表面、例えば、
図3(b)に示すように、液状物と接しない面において、所定のガスバリア層77を設けることが好ましい。
より具体的には、ガスバリア性の目安として、JIS K 7129に準じて測定される水蒸気透過率を10g/(m
2・24Hrs)以下とすることが好ましく、水蒸気透過率が0.05〜1g/(m
2・24Hrs)の範囲であるガスバリア層を形成することがさらに好ましい。
この理由は、このようなガスバリア層を形成することによって、所定容器の内部で発生した水素を、外部に対して、過度に飛散することを防止できるためである。
したがって、水素発生層の持続性を長くすることができるとともに、液状物の保管性についても、長期間とすることができる。
なお、ガスバリア層の態様としては、各種有機材料や無機材料からなるガスバリアフィルム等が挙げられるが、例えば、厚さ50nm〜1mmのポリシラザン系材料(パーヒドロポリシラザン等)からなる無機ガスバリア層を形成することがより好ましい。
【0026】
(6)液状物
また、所定容器10´、50、52、60、70の内部に収容する液状物16としては、水分を含み、金属マグネシウム等の粒子状水素発生剤と接触して水素を発生するものであれば特に制限されるものではないが、例えば、水(水道水)、浄化水、洗浄水、アルカリイオン水、ミネラル含有水、海水、食塩水、化粧水、化粧乳液、育毛剤、養毛剤、香水類、健康飲料、はちみつ、炭酸飲料、酢酸(酢)、ジュース類、スープ類、シロップ類、コーヒー類、紅茶類、緑茶、ウーロン茶、牛乳、アルコール類、豆腐類、水煮食品、ソース煮食品、醤油煮食品等の少なくとも一つであることが好ましい。
特に、化粧水、化粧乳液、育毛剤、養毛剤、香水類等の美容液の場合、紫外線吸収剤や酸化防止剤の配合量を可及的に少なくしたとしても、本願発明の水素発生機能付き容器によって、長期間保存できることから、好適な液状物である。
【0027】
また、液状物16として、せん断力を付与しない状態ではゲル状であるが、所定のせん断力を付与した場合に所定粘度を有する液状物となる、いわゆるチクソトロピー性を有するチクソトロピー材料であることも好ましい。
この理由は、このようなチクソトロピー材料であれば、水素添加した場合に、水素保持性が極めて優れており、例えば、水素添加直後の酸化還元電位(ORP)が−800mV程度であったものが、開封した状態で、1週間経過しても、ORPの値として−200mV程度を保持していることが確認されている。
よって、相当長期の水素保持性を要求する用途においては、液状物として、チクソトロピー材料を用いることが好ましいと言える。
なお、液状物にチクソトロピー性を付与するためには、通常、液状物100重量部に対して、0.05〜10重量部程度のシリカ微粒子(アエロジェル等)を均一配合することが好ましい。
【0028】
2.水素発生層
(1)粒子状水素発生剤
また、粒子状水素発生剤の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、金属マグネシウムおよび酸化マグネシウム、あるいはいずれか一方を主成分としたものであることが好ましい。
この理由は、このような種類の水素発生剤を用いることによって、水を含む液状物と接触することにより、所定の水素を発生するが、その場合、単位時間当たりの水素発生量や、水素発生時間等を所望範囲に容易に制御することができるためである。
そして、水素発生剤の一部に、金属アルミニウムや水素吸蔵合金等の少なくとも一つを加えて、単位時間当たりの水素発生量や、水素発生時間等を調節することも好ましい。
さらに言えば、金属マグネシウムおよび酸化マグネシウム等の粒子状水素発生剤の周囲を樹脂被覆したり、セラミック被覆したりすることも好ましい。
この理由は、このように非水素発生材料で被覆することにより、粒子状水素発生剤と、液状物との反応性を制御したり、粒子状水素発生剤の凝集を有効に防止したりすることができるためである。
【0029】
また、水素発生層における粒子状水素発生剤の配合量を、通常、樹脂100重量部に対して、1〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように粒子状水素発生剤の配合量を制御することによって、単位時間当たりの水素発生量や、水素発生時間等を所望範囲に容易に制御することができるためである。
より具体的には、粒子状水素発生剤の配合量が1重量部未満になると、単位時間当たりの水素発生量が過度に少なくなったり、水素発生時間等が過度に短くなったりする場合があるためである。
一方、粒子状水素発生剤の配合量が100重量部を超えると、水素発生層中に均一に分散させることが困難となったり、均一な厚さに形成することが困難になったり、さらには、水素発生層が容器表面から剥離しやすくなったりする場合があるためである。
したがって、粒子状水素発生剤の配合量を、樹脂100重量部に対して、2〜50重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0030】
また、粒子状水素発生剤の形状に関し、粒状であって、当該水素発生剤の平均粒径を0.1〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように粒子状水素発生剤の平均粒径を制御することによって、水素発生剤の均一分散が容易になるばかりか、単位時間当たりの水素発生量や、水素発生時間等を所望範囲にさらに容易に制御することができるためである。
より具体的には、粒子状水素発生剤の平均粒径が0.1μm未満になると、単位時間当たりの水素発生量が過度に少なくなったり、水素発生時間等が過度に短くなったりする場合があるためである。
一方、粒子状水素発生剤の平均粒径が200μmを超えると、水素発生層中に均一に分散させることが困難となったり、均一な厚さに形成することが困難になったり、さらには、水素発生層が容器表面から剥離しやすくなったりする場合があるためである。
したがって、粒子状水素発生剤の平均粒径を5〜100μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜50μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、粒子状水素発生剤の平均粒径は、JIS Z8901に準じて、光学顕微鏡や画像処理システムによって、測定することができる。
【0031】
(2)樹脂
また、水素発生層の一部を構成する樹脂の種類についても、特に制限されるものではないが、例えば、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂(アクリル樹脂を含む)、ポリスチレン系樹脂、ポリシラザン化合物、天然ゴム、合成ゴム(SBR、SBS、SEBS、SIS等)、エポキシ樹脂、およびフェノール樹脂の少なくとも一つであることが好ましい。
この理由は、このような樹脂を用いることによって、所定容器の内部の表面に、水素発生層を強固に積層させることができ、かつ、所定の水素透過性を有することから、所定範囲に水素発生量を制御して、比較的長時間にわたって、持続することができるためである。
【0032】
特に、シリコーン樹脂やポリシラザン化合物であれば、水素透過性や水蒸気透過性が良好であって、かつ、硬化特性に優れている点で、好適な樹脂である。
また、ウレタン樹脂、天然ゴム、合成ゴム(SBR、SBS、SEBS、SIS等)であれば、印刷特性や耐久性、あるいは、各種基材に対する密着性に特に優れている点で、好適な樹脂である。
また、ポリエステル樹脂やポリスチレン系樹脂であれば、印刷特性や汎用性、あるいは、機械的強度に特に優れている点で、好適な樹脂である。
また、ポリオレフィン樹脂(アクリル樹脂を含む)であれば、印刷特性や水素発生剤の分散性が良好であって、その上、比較的安価であることから、好適な樹脂である。すなわち、ポリオレフィン樹脂(アクリル樹脂を含む)であれば、良好な印刷特性(スクリーン印刷特性等)が得られるとともに、印刷層を形成した後であっても、粒子状水素発生剤の周囲を被覆することによって、均一に分散させ、より安定的な水素発生が可能となるためである。
さらに、エポキシ樹脂やフェノール樹脂であれば、熱硬化特性や光硬化特性等に優れており、かつ、機械的強度や耐久性に特に優れている点で、好適な樹脂である。
【0033】
その上、水素発生層を構成する樹脂中に、各種架橋剤を配合したり、自己架橋性を利用したりして、架橋構造を導入することも好ましい。
この理由は、各種架橋剤によって樹脂を架橋させることにより、所定範囲に水素発生量を制御したり、水素発生層を容器表面等に対して、さらに強固に形成したりすることができるためである。
【0034】
なお、水素発生層の、容器表面等に対する密着性を向上させることができることから、
図2(b)に示すように、水素発生層20と、所定容器54の内面の間に、所定樹脂からなるプライマー層22を設けることも好ましい。
すなわち、容器表面等に、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等からなる、厚さ0.1〜10μm程度のプライマー層を設けることによって、強固な密着性を有する水素発生層とすることができる。
【0035】
(3)水溶性材料
また、水素発生層中に、水溶性材料として、燐酸塩系ガラス、硼珪酸塩系ガラス、炭酸塩化合物、および亜硫酸塩化合物の少なくとも一つがさらに配合されていることが好ましい。
この理由は、このように水との接触によって徐々に溶解する水溶性材料(微水溶性材料)をさらに含有することによって、水素発生層の内部に空孔が生じて、水分が浸透しやすくなり、ひいては、長時間にわたって単位時間当たりの水素発生量や、水素発生時間等を所望の範囲にさらに容易に制御することができるためである。
【0036】
また、水溶性材料を配合する場合、その配合量を、樹脂100重量部に対して、1〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような水溶性材料の配合量とすることによって、単位時間当たりの水素発生量や、水素発生時間等を所望の範囲にさらに容易に制御することができるためである。
より具体的には、水溶性材料の配合量が1重量部未満の値になると、単位時間当たりの水素発生量が過度に少なくなったり、水素発生時間等が過度に短くなったりする場合があるためである。
一方、水溶性材料の配合量が100重量部を超えると、水素発生層中に均一に分散させることが困難となったり、水素発生層を均一な厚さに形成することが困難になったり、さらには、水素発生層が容器表面から剥離しやすくなったりする場合があるためである。
したがって、水溶性材料の配合量を、樹脂100重量部に対して、10〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜70重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0037】
(4)他の添加物
また、水素発生層中に、他の添加物として、接着剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、帯電防止剤の少なくとも一つがさらに配合されていることが好ましい。
この理由は、このような添加物を配合することによって、水素発生層の機能性をさらに付加したり、向上させたりすることができるためである。
【0038】
(5)厚さ
また、水素発生層の厚さを1〜2000μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように水素発生剤の平均粒径を制御することによって、水素発生剤の均一分散が容易になるばかりか、単位時間当たりの水素発生量や、水素発生時間等を所望範囲にさらに容易に制御することができるためである。
より具体的には、水素発生層の厚さが1μm未満になると、単位時間当たりの水素発生量が過度に少なくなったり、水素発生時間等が過度に短くなったりする場合があるためである。
一方、水素発生層の厚さが2000μmを超えると、容器表面から剥離しやすくなったり、均一な厚さに形成することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、水素発生層の厚さを10〜500μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜200μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、水素発生層の表面、すなわち、液状物との接触面は、実質的に平坦であることが好ましいが、JIS B 0651に準拠して測定される中心線平均粗さ(Ra)として、0.1〜20μmの表面凹凸を有することも好ましい。
【0039】
(6)形成位置
また、水素発生層20の形成位置については特に制限されるものではないが、通常、
図1(a)〜(b)、あるいは
図2(a)〜(b)、さらには、
図3に示すように、各種容器10の内部表面、および容器10の内部に配置されたノズル63、73の表面が好適である。
すなわち、このような箇所に、水素発生層を形成することによって、液状物と接触する機会が多くなる一方、水素発生量等が低下した場合に、新たに水素発生層を形成し、水素発生量等を容易に回復することができるためである。
【0040】
(7)形成方法
また、水素発生層の形成方法に関し、樹脂中に、粒子状水素発生剤を含んでなる水素発生樹脂組成物に由来した印刷層として、形成することが好ましい。
この理由は、印刷法によって水素発生層を形成することにより、
図5(a)〜(b)に示すように、所望箇所に対して、大面積であっても、小面積であっても、樹脂20bの中に、粒子状水素発生剤20aを含んでなる水素発生樹脂組成物に由来した印刷層として、迅速かつ精度良く形成することができるためである。
ここで、印刷法としては、ロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法、はけ塗り法等の少なくとも一つであることが好ましい。
なお、水素発生層の形成方法に関し、あらかじめ基材に水素発生層を形成しておき、その基材を含めて、水素発生層を、接着剤や機械的接合部材等を用いて、容器の内面に貼付する形態であっても良い。
【0041】
(8)水素発生調整層
また、
図2(b)、あるいは、
図5(c)〜(d)に示すように、水素発生層20の表面に、水素発生調整層38を設けることが好ましい。
すなわち、シリコーン樹脂やオレフィン樹脂等からなる、所定厚さの水素発生調整層を設けることにより、積層法や塗布法によって容易に形成することができるばかりか、単位時間当たりの水素発生量や、水素発生時間等を所望範囲に容易に調整することができる。
そして、かかる水素発生調整層にヒートシール性を持たせることによって、水素発生調整層をヒートシール用接着剤として使用し、ヒートシールによって、パウチ型容器を容易に構成することができる。
【0042】
また、水素発生調整層として、穴あき層やメッシュ層の態様とすることにより、水素発生層に対する接着剤による固定や機械止めが可能となるばかりか、単位時間当たりの水素発生量を、より広範囲に調整することができる。
さらに、水素発生調整層として、シラザン、シリカ材料、チッ化物等からなる無機材料層を設けることにより、水素発生層の表面保護性を向上させるとともに、単位時間当たりの水素発生量や、水素発生時間等を所望範囲に容易に調整し、特に長期間にわたって持続させることができる。
【0043】
また、水素発生調整層を設ける場合、その種類にもよるが、通常、厚さを1〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる水素発生調整層の厚さが1μm未満の値となると、均一な厚さに形成することが困難となったり、水素発生量の調節機能や接着剤機能が著しく低下したりする場合があるためである。
一方、かかる水素発生調整層の厚さが200μmを超えると、取り扱いが困難となったり、パウチ型容器を構成するのが困難となったりする場合があるためである。
したがって、水素発生調整層の厚さを10〜60μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜40μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0044】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、容器の内部に収容された液状物に対して、水素添加するための水素添加方法であって、樹脂中に、粒子状水素発生剤を含んでなる水素発生層を、容器の内表面、および容器の内部に配置されたノズルの表面、あるいはいずれか一方の表面に、それぞれ全面的または部分的に備えた水素発生機能付き容器を準備する工程と、水素発生機能付き容器の内部に、液状物を収容し、水素発生層と接触させる工程と、を含むことを特徴とする水素添加方法である。
【0045】
1.水素発生機能付き容器の準備工程
水素発生機能付き容器の準備工程は、
図1(a)〜(b)、
図2(a)〜(b)、および
図3(a)〜(b)に示すように、粒子状水素発生剤を含んでなる水素発生層20を所定場所に備えた容器10、50、52、60、70を準備する工程である。
ここで、水素発生機能付き容器の態様については、第1の実施形態で説明したのと同様の内容とすることができるため、再度の説明を省略する。
なお、水素発生機能付き容器の内部に、金属マグネシウムの粒子や、金属マグネシウムを含む樹脂粒子、さらには、金属マグネシウムを含むセラミック粒子等を直接的に挿入、あるいは水素発生層とは別に固定配置しておき、水素発生層からの水素発生と併せて、水素発生機能付き容器の準備工程とすることも好ましい。
【0046】
2.水素発生層との接触工程
次いで、水素発生層との接触工程は、水素発生機能付き容器の内部に、液状物を収容して、水素発生層と接触させて、所定の水素を発生させる工程である。
より具体的には、通常、15〜40℃、10〜60分の条件で、液状物と、水素発生層と、を接触させるだけで、主として、水素発生層の表面から、所定量の水素を発生させることができる。
そして、水素発生層と接触させて、所定量の水素が発生しているか否かは、泡等の出現として目視によっても確認することができるが、後述するように、液状物における酸化還元電位の変化を測定したり、溶存水素濃度の変化を測定したりすることによって、定量性をもって確認することができる。
その他、水素発生機能付き容器の一部または周囲に、超音波振動装置等が設けてあれば、水素発生層との接触工程において、液状物と、水素発生層と、がより均一に接触して、迅速かつ定量的に所定量の水素を発生させることができることから、より好ましい態様である。
【0047】
3.維持工程
維持工程は、液状物と、水素発生層と、を接触させた状態で、そのまま保管する工程である。
すなわち、水素発生機能付き容器の内部に収容された液状物の溶存水素濃度や酸化還元電位が一定になった後、そのまま、開封せずに、保管しておけば、少なくとも1月〜6月は、溶存水素濃度や酸化還元電位が維持されることが判明している。
したがって、本発明の水素発生機能付き容器によれば、収容物の種類にもよるが、水素発生剤の種類、水素発生剤の配合量、水素発生層の厚さ等を適宜変更して、数か月経過後の所望の溶存水素濃度や酸化還元電位を決定し、それを所定範囲内の値に維持することができる。
【0048】
ここで、
図6に言及しながら、水素発生機能付き容器の内部に収容された液状物の酸化還元電位の経時変化について説明する。
図6は、横軸に経過時間(日)を採って示してあり、縦軸に、液状物(水)の酸化還元電位(ORP)の値(mV)を採って示してある。
そして、ラインAが、粒子状水素発生剤の濃度が0%、すなわち、粒子状水素発生剤を配合していない場合の特性曲線である。また、ラインBが、粒子状水素発生剤の濃度が2.5重量%の場合の特性曲線であり、ラインCが、粒子状水素発生剤の濃度が5重量%の場合の特性曲線であり、ラインDが、粒子状水素発生剤の濃度が7.5重量%の場合の特性曲線であり、ラインEが、粒子状水素発生剤の濃度が10重量%の場合の特性曲線であり、ラインFが、粒子状水素発生剤の濃度が20重量%の場合の特性曲線である。
【0049】
図6中のラインAと、ラインB〜Fとを、それぞれ対比すれば明らかなように、粒子状水素発生剤を所定量配合した水素発生層を備えたパウチ型容器であれば、初期には、300mVほどの酸化還元電位が、約1日〜2日で、数100mV程度低下し、その後、30日経過した後であっても、それ以上は、それほど変化しない飽和した値をそれぞれ示す傾向が見られた。
また、酸化還元電位の値の低下の仕方、および酸化還元電位の飽和した値が、粒子状水素発生剤の濃度に色濃く影響されている傾向も見られた。
より具体的には、粒子状水素発生剤の濃度が2.5重量%の場合、1日で約220mV程度低下し、2日後〜30日経過後の間は、酸化還元電位として、約0mVの一定値を示している。
また同様に、粒子状水素発生剤の濃度が5重量%の場合、1日で約380mV程度低下し、2日後〜30日経過後の間は、酸化還元電位として、約−80mVの一定値を示している。
さらに、粒子状水素発生剤の濃度が10重量%の場合、1日で約430mV程度低下し、2日後〜30日経過後の間は、酸化還元電位として、平均すれば約−200mVのほぼ一定値を示しており、時間の経過とともに、若干ではあるが、徐々に低下する傾向が見られた。
それに対して、粒子状水素発生剤を配合しない樹脂層を備えたパウチ型容器であれば、初期の300mVほどの酸化還元電位が、30日経過した後であっても、300mVほどの値であって、全く変化しないことが確認された。
【0050】
よって、粒子状水素発生剤と、液状物と、が接触して、すばやく反応し、水素を発生させ、それが液状物の酸化還元電位の値を低下させたものと理解される。
なお、粒子状水素発生剤の濃度、すなわち、粒子状水素発生剤の配合量によるものの、酸化還元電位として、すぐに飽和値を示すのは、発生した水素と同量の水素が、外部に飛散しているためと推定される。
さらに、粒子状水素発生剤の濃度が多いほど、飽和値の値が低くなるのは、水素の発生量に応じて、容器内部での圧力が順次変化しているためと推定される。
いずれにしても、主として、粒子状水素発生剤の濃度を変化させることにより、液状物の酸化還元電位の値を、所定範囲内の値に制御できることが理解される。
【0051】
次いで、
図7に言及しながら、水素発生機能付き容器の内部に収容された液状物の溶存水素濃度の経時変化について説明する。
図7は、横軸に経過時間(日)を採って示してあり、縦軸に、液状物(水)の溶存水素濃度(ppb)を採って示してある。
そして、ラインAが、粒子状水素発生剤の濃度が0%、すなわち、粒子状水素発生剤を配合していない場合の特性曲線である。また、ラインBが、粒子状水素発生剤の濃度が2.5重量%の場合の特性曲線であり、ラインCが、粒子状水素発生剤の濃度が5重量%の場合の特性曲線であり、ラインDが、粒子状水素発生剤の濃度が7.5重量%の場合の特性曲線であり、ラインEが、粒子状水素発生剤の濃度が10重量%の場合の特性曲線であり、ラインFが、粒子状水素発生剤の濃度が20重量%の場合の特性曲線である。
【0052】
図7中のラインAと、ラインB〜Fとを、それぞれ対比すれば明らかなように、粒子状水素発生剤を所定量配合した水素発生層を備えたパウチ型容器であれば、初期には、0ppbの溶存水素濃度が、約2日〜7日で、数十〜数百ppb程度増加し、その後、合計30日経過した後であっても、それ以上は、それほど変化しない飽和した値をそれぞれ示す傾向が見られた。
また、溶存水素濃度の上昇の仕方、および溶存水素濃度の飽和した値が、粒子状水素発生剤の濃度に色濃く影響されている傾向も見られた。
より具体的には、粒子状水素発生剤の濃度が2.5重量%の場合、約2日で約20ppb程度に増加し、合計30日経過の間は、溶存水素濃度として、約20ppbという一定値を示している。
また同様に、粒子状水素発生剤の濃度が5重量%の場合、2日で約40ppb程度増加し、合計30日経過の間は、溶存水素濃度として、約50ppbという、ほぼ一定値を示している。
さらに、粒子状水素発生剤の濃度が10重量%の場合、2日で約60ppb程度増加し、7日後〜30日経過後の間は、溶存水素濃度として、平均すれば約170ppb程度の値を示しており、時間の経過とともに、若干ではあるが、溶存水素濃度が徐々に増加する傾向が見られた。
それに対して、粒子状水素発生剤を配合しない樹脂層を備えたパウチ型容器であれば、初期の0ppbという溶存水素濃度が、30日経過した後であっても、同様の数値であって、全く変化しないことが確認された。
【0053】
よって、粒子状水素発生剤と、液状物と、が接触して、すばやく反応し、水素を発生させ、それが液状物の溶存水素濃度の値を増加させたものと理解される。
なお、粒子状水素発生剤の配合量、すなわち、粒子状水素発生剤の濃度によるものの、溶存水素濃度として、比較的早く飽和値を示すのは、発生した水素と同量の水素が、外部に飛散しているためと推定される。
さらに、粒子状水素発生剤の配合量が多いほど、飽和値の値が高くなるのは、水素の発生量に応じて、容器内部での圧力が順次変化しているためと推定される。
いずれにしても、主として、粒子状水素発生剤の配合量を変化させることにより、液状物の溶存水素濃度の値を、所定範囲内の値に制御できることが理解される。
このことは、
図8(a)〜(b)に示すように、粒子状水素発生剤の配合量としてのマグネシウム(Mg)配合量(重量%)と、液状物の溶存水素濃度の値(ppb)との関係(初期および30日経過後)を示す特性曲線が、それぞれほぼ直線状であることからも首肯されるものと思料する。なお、
図8(a)は1日経過後に対応した図であり、
図8(b)は30日経過後に対応した図である。
【実施例】
【0054】
[実施例1]
1.水素発生機能付き容器および液状物の準備
水素発生機能付き容器として、
図1に示すように、厚さ9μmのアルミニウム箔34が、接着剤32を介して積層されたPET層30(厚さ20μm)と、LLDPEからなる接着剤層36(厚さ50μm)と、所定の水素発生層20と、ヒートシール材を兼用した水素発生調整層としてのオレフィンフィルム38(厚さ30μm)と、からなる長方形のシート基材10a、10b(タテ×ヨコ:11cm×6cm)を原反シートから切り出し、2枚準備した。
なお、水素発生層20は、水素発生剤としての平均粒径30μmの金属マグネシウム20a、5g(配合量:5重量%)と、バインダーとしてのポリオレフィン系樹脂20b、95gと、からなる厚さ20μmの印刷層の態様とした。
【0055】
そして、2枚のシート基材10a、10bを、ヒートシール材を兼用した水素発生調整層としてのオレフィンフィルム38が対向させた状態とし、位置合わせしつつ、3辺をヒートシールした。
すなわち、第1段階で、平板状の熱プレートを備えたヒートシール装置を用いて、2枚のシ−ト基材を挟み込み、幅6mmとなるように、タテ方向の2辺と、ヨコ方向の1辺をヒートシールした。
次いで、10mlの水(紫外線吸収剤や酸化防止剤は含有せず。)を、非シール部分であるタテ方向の1辺側から、容器内部の空間に収容した。
次いで、シールせずに残っていたヨコ方向の一辺を、平板状の熱プレートを備えたヒートシール装置を用いて、ヒートシールした。
最後に、平板状の熱プレートをエンボス仕様の熱プレートに変えた後、ヒートシール装置を用いて、幅3mmとなるように、4辺の外周をヒートシールした。
このようにして、水を収容したパウチ型容器(表1中、単に、パウチ型容器と表記する。)を複数個作成し、25℃、50%RHの恒温恒湿条件下に保管しつつ、以下の評価に供した。
【0056】
2.水素発生機能付き容器の評価
(1)酸化還元電位(ORP)の測定
パウチ型容器に収容した水の酸化還元電位につき、経過時間を変えて、ORP計Lutron PH−280(東亜電波工業(株)製)を用いて測定し、7日経過後の酸化還元電位から、以下の基準に準じて、パウチ型容器における水素発生量を評価した。
◎:−200mv以下
○:−100mv以下
△:0mv以下
×:0mv超
【0057】
(2)溶存水素濃度の測定
パウチ型容器に収容した水の溶存水素濃度につき、経過時間を変えて、溶存水素計KM210ODU(共栄電子(株)製)を用いて測定し、7日経過後の溶存水素濃度から、以下の基準に準じて、パウチ型容器における水素発生量を評価した。
◎:150ppb以上
○:80ppb以上
△:20ppb以上
×:20ppb未満
【0058】
(3)外観観察
パウチ型容器の外観を、目視にて観察し、以下の基準に準じて、外観性を評価した。
◎:60日以上経過後も初期状態が変わらない。
○:30日以上経過後も初期状態が変わらない。
△:7日以上経過後も初期状態が変わらない。
×:7日未満で、初期状態からの外観変化が観察される。
【0059】
[実施例2]
実施例2では、水素発生剤としての平均粒径30μmの金属マグネシウムの配合量を2.5重量%としたほかは、実施例1と同様に、パウチ型水素発生機能付き容器を準備し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0060】
[実施例3]
実施例3では、水素発生剤としての平均粒径30μmの金属マグネシウムの配合量を7.5重量%としたほかは、実施例1と同様に、パウチ型水素発生機能付き容器を準備し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0061】
[実施例4]
実施例4では、水素発生剤としての金属マグネシウムの平均粒径15μmとするとともに、金属マグネシウムの配合量を10重量%としたほかは、実施例1と同様に、パウチ型水素発生機能付き容器を準備し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0062】
[実施例5]
実施例5では、水素発生剤としての金属マグネシウムの平均粒径25μmとするとともに、金属マグネシウムの配合量を20重量%としたほかは、実施例1と同様に、パウチ型水素発生機能付き容器を準備し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0063】
[比較例1]
比較例1では、水素発生層において、水素発生剤を配合しなかったほかは、実施例1と同様に、パウチ型容器を準備し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0064】
[実施例6]
実施例6では、水素発生機能付き容器として、
図2(a)に示すように、水素発生層20を備えた、容量300mlのボトルネック型アルミ容器50(表1中、単に、アルミ容器と表記する。)を準備し、水素発生層20は、水素発生剤としての平均粒径30μmの金属マグネシウム5gと、バインダーとしてのポリオレフィン系樹脂95gと、からなる厚さ20μmの印刷層の態様とした。
一方、液状物として、200gの水(紫外線吸収剤や酸化防止剤は含有せず。)を準備し、水素発生機能付きアルミ容器の内部に収容し、実施例1と同様に、酸化還元性等を評価した。
【0065】
[実施例7]
実施例7では、水素発生層における、水素発生剤としての平均粒径30μmの金属マグネシウムの配合量を2.5重量%としたほかは、実施例6と同様に、ボトルネック型アルミ容器を準備し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0066】
[実施例8]
実施例8では、水素発生層における、水素発生剤としての平均粒径30μmの金属マグネシウムの配合量を20重量%としたほかは、実施例6と同様に、ボトルネック型アルミ容器を準備し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0067】
[比較例2]
比較例2では、水素発生層において、水素発生剤を配合しなかったほかは、実施例6と同様に、ボトルネック型アルミ容器を準備し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
評価1:酸化還元電位
評価2:溶存水素濃度
評価3:外観観察
【0069】
[実施例9〜16および比較例3〜4]
実施例9〜16および比較例3〜4では、水素発生層を構成する樹脂を、オレフィン樹脂からシリコーン樹脂に変えるとともに、水素発生層の厚さを50μmとしたほかは、実施例1〜8および比較例1〜2と同様に、酸化還元性等を評価した。得られた結果を表2に示す。
なお、実施例16のみ、60日間経過させ、液状物に対して、十分に水素を充填した後、キャップをしない状態で放置した場合の、60分間経時による液状物の酸化還元電位(ORP)の変化、溶存水素濃度の変化、およびpH値の変化をそれぞれ測定した。
すなわち、
図9に示すように、得られたデータをそれぞれラインA(ORP)、ラインB(溶存水素濃度)、ラインC(pH値)で示す。
かかるラインAが示すように、酸化還元電位(ORP)は、60分間の経時によって、大きく値が変化し、60日間経過した直後には−500mV程度であったのが、30分経過後には、−200mV程度になり、さらに60分経過後には、−100mV程度に低下する傾向が見られた。
また、ラインBが示すように、溶存水素濃度については、最初700ppb程度であったものが、60分経過後には、350ppb程度に徐々に低下する傾向が見られた。
さらに、ラインCが示すように、pH値については、60日間経過した直後には6程度であったものが、60分経過後も、pH6程度であって、全く変化しない傾向が見られた。
【0070】
【表2】
評価1:酸化還元電位
評価2:溶存水素濃度
評価3:外観観察