特許第5914386号(P5914386)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5914386噴霧器及びこれに用いる吸上げチューブ体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5914386
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】噴霧器及びこれに用いる吸上げチューブ体
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20060101AFI20160422BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   B05B11/00 102C
   B65D83/00 K
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-39526(P2013-39526)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-166616(P2014-166616A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2015年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】598112730
【氏名又は名称】株式会社アサヒテックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】大岡 天平
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−092830(JP,A)
【文献】 実開昭56−110860(JP,U)
【文献】 特開2009−066501(JP,A)
【文献】 特開平08−072951(JP,A)
【文献】 特開平11−170564(JP,A)
【文献】 実開昭56−034576(JP,U)
【文献】 実開平01−124260(JP,U)
【文献】 特開2005−145457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/00−11/06
B65D 83/00
B65D 83/08−83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容するための容器本体及び前記容器本体の開口部に装着された噴霧ヘッドを備える噴霧器に用いる吸上げチューブ体であって、
前記噴霧ヘッドに接続される吸上げチューブと、前記吸上げチューブの先端部に取り付けられた錘体と、を備えており、
前記吸上げチューブの一部にはジャバラ部が設けられ、前記ジャバラ部は前記吸上げチューブの先端部よりも手前の位置近傍まで延びており、
前記錘体は、前記吸上げチューブの先端部が挿通されている挿通孔を有しており、
前記錘体の少なくとも基部側は基端から先端に向けて外径が漸増する流線形状に形成され、前記錘体の前記基端の外径は、前記吸上げチューブの前記ジャバラ部における山部の外径と実質上等しい又はこれよりも小さく、
且つ、前記錘体の外周面には、周方向に間隔をおいて複数の溝が設けられ、前記複数の溝は前記錘体の前記基端から先端に向けて延びているか、または、前記錘体の外周面には、多数のディンプルが設けられている
ことを特徴とする噴霧器に用いる吸上げチューブ体。
【請求項2】
前記錘体の前記基部側は前記基端から前記先端に向けて外径が漸増する流線形状に形成され、その先端側は先端に向けて外径が漸減する流線形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体。
【請求項3】
前記吸上げチューブの前記ジャバラ部の先端と前記吸上げチューブに装着された前記錘体の基端との間隔は、0〜15mmであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体。
【請求項4】
前記錘体の前記挿通孔の内周面には、周方向に間隔をおいて複数の食込み突部が設けられ、前記複数の食込み突部は、前記吸上げチューブの挿入方向に向けて径方向内方への突出量が漸増していることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体。
【請求項5】
前記吸上げチューブの先端部には、径方向外方に突出する環状突部が設けられ、前記錘体の前記挿通孔の内周面には、前記吸上げチューブの前記環状突部に対応して環状凹部が設けられ、前記錘体の前記環状凹部が前記吸上げチューブの前記環状突部に係合されることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体。
【請求項6】
液体を収容するための容器本体と、前記容器本体の開口部に装着された噴霧ヘッドとを備えた噴霧器であって、請求項1〜のいずれかに記載の吸上げチューブ体が前記噴霧ヘッドに接続されていることを特徴とする噴霧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水や消毒液、洗浄液などの液体を噴霧するための噴霧器及びこれに用いる吸上げチューブ体に関し、更に詳しくは、容器本体が倒立された使用状態でも液体を噴霧することができる噴霧器及びこれに用いる吸上げチューブ体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば水や消毒液、洗浄液、殺虫液などの液体を噴霧するのに噴霧器が用いられている(例えば、特許文献1参照)。この噴霧器は、液体を収ための容器本体と、容器本体の開口部に装着された噴霧ヘッドと、この噴霧ヘッドに装着された吸上げチューブ体とを備え、この吸上げチューブ体は、噴霧ヘッドに接続された吸上げチューブと、吸上げチューブに装着された錘体とを有し、この吸上げチューブには、可撓性を有するジャバラ部が設けられている。
【0003】
この噴霧器においては、容器本体を正立させた通常の使用状態(噴霧ヘッドが上側となる状態)では、錘体の自重により吸上げチューブ体の先端部が容器本体の底部に向けて延び、これにより吸上げチューブ体の先端部が容器本体の底部に溜まった液体に浸漬され、また容器本体を倒立させた使用状態(噴霧ヘッドが下側となる状態)では、錘体の自重により吸上げチューブ体のジャバラ部が湾曲され、これにより吸上げチューブ体の先端部が容器本体の噴霧ヘッド側に溜まった液体に浸漬される。このように吸上げチューブ体の先端部が容器本体内の液体に浸漬される故に、通常の使用状態においてのみならず、倒立の使用状態においても噴霧ヘッドから容器本体内の液体を噴霧することができる。
【0004】
この噴霧器においては、容器本体内に噴霧すべき液体とともに圧力気体を充填したもの(所謂、スプレー缶タイプのもの)があり、このようなタイプの噴霧器では、噴霧ヘッドの押圧部を押圧操作すると、容器本体内の圧力気体の圧力を利用して液体が吸上げチューブ体を通して吸い上げられ、このように吸い上げられた液体が噴霧ヘッドの押圧部の噴霧口を通して噴霧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−92830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したスプレー缶のような噴霧器では、容器本体内に圧力気体を充填する際に、充填される圧力気体が錘体の基端面に作用し、これよって、吸上げチューブ体のジャバラ部が弾性変形して錘体が大きく振れるおそれがある。錘体が大きく振れると、この錘体が容器本体の内面に当たり、圧力気体の充填時にカタカタと音が発生し、場合によっては容器本体に当たったときの打跡が残ったり、吸上げチューブ体が噴霧ヘッドから外れるという問題が発生する。
【0007】
本発明の目的は、圧力気体の充填時の錘体の振れを抑えることができる吸上げチューブ体を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、圧力気体の充填時の錘体の振れを抑え、これによって錘体による音の発生を防止することができる噴霧器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の吸上げチューブ体は、液体を収容するための容器本体及び前記容器本体の開口部に装着された噴霧ヘッドを備える噴霧器に用いる吸上げチューブ体であって、
前記噴霧ヘッドに接続される吸上げチューブと、前記吸上げチューブの先端部に取り付けられた錘体と、を備えており、
前記吸上げチューブの一部にはジャバラ部が設けられ、前記ジャバラ部は前記吸上げチューブの先端部まで延びており、
前記錘体の少なくとも基部側は基端から先端に向けて外径が漸増する流線形状に形成され、前記錘体の前記基端の外径は、前記吸上げチューブの前記ジャバラ部における山部の外径と実質上等しい又はこれよりも小さいことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体では、前記錘体の前記基部側は前記基端から前記先端に向けて外径が漸増する流線形状に形成され、その先端側は先端に向けて外径が漸減する流線形状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体では、前記錘体の外周面には、周方向に間隔をおいて複数の溝が設けられ、前記複数の溝は前記錘体の前記基端から先端に向けて延びていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体では、前記錘体の外周面には、多数のディンプルが設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5に記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体では、前記吸上げチューブの前記ジャバラ部の先端と前記吸上げチューブに装着された前記錘体の基端との間隔は、0〜15mmであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項6に記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体では、前記錘体の前記挿通孔の内周面には、周方向に間隔をおいて複数の食込み突部が設けられ、前記複数の食込み突部は、前記吸上げチューブの挿入方向に向けて径方向内方への突出量が漸増していることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項7に記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体では、前記吸上げチューブの先端部には、径方向外方に突出する環状突部が設けられ、前記錘体の前記挿通孔の前記内周面には、前記吸上げチューブの前記環状突部に対応して環状凹部が設けられ、前記錘体の前記環状凹部が前記吸上げチューブの前記環状突部に係合されることを特徴とする。
【0016】
更に、本発明の請求項8に記載の噴霧器は、液体を収容するための容器本体と、前記容器本体の開口部に装着された噴霧ヘッドとを備えた噴霧器であって、請求項1〜7のいずれかに記載の吸上げチューブ体が前記噴霧ヘッドに接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1に記載の吸上げチューブ体によれば、噴霧ヘッドに接続された吸上げチューブの先端部に錘体が取り付けられ、この錘体の少なくとも基部側は基端から先端に向けて外径が漸増する流線形状に形成されているので、この吸上げチューブ体を採用した噴霧器では、圧力気体を充填する際に容器本体内に充填された圧力気体は、この錘体の基端から先端に向けてスムースに流れ、これによって、充填時の錘体の振れを抑えることができる。また、この錘体の基端の外径は、吸上げチューブのジャバラ部における山部の外径と実質上等しい又はこれよりも小さいので、ジャバラ部に沿って流れる圧力気体が錘体の端面に作用することがほとんどなく、これによって、充填時の錘体の振れを効果的に抑えることができ、打跡の発生、吸上げチューブの外れなどを防止することができる。
【0018】
また、本発明の請求項2に記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体によれば、錘体の前基部側は基端から先端に向けて外径が漸増する流線形状に形成され、その先端側は先端に向けて外径が漸減する流線形状に形成されているので、充填された圧力流体は錘体の外面に沿って基端から先端にスムースに流れ、これによって、充填時の錘体の振れをより効果的に抑えることができる。
【0019】
また、本発明の請求項3に記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体によれば、錘体の外周面に複数の溝が設けられ、これら溝は錘体の基端から先端に向けて延びているので、充填された圧力気体の一部はこれら溝内を下流側に、即ち錘体の基端から先端に向けて流れ、この圧縮気体の流れによって錘体の振れがより効果的に抑えられる。
【0020】
また、本発明の請求項4に記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体によれば、錘体の外周面に多数のディンプルが設けられているので、これらディンプルによって、圧縮気体の充填時に発生しやすい錘体の振れを効果的に抑えることができる。
【0021】
また、本発明の請求項5に記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体によれば、吸上げチューブのジャバラ部の先端と吸上げチューブに装着された錘体の基端との間隔が0〜15mmであるので、吸上げチューブのジャバラ部に沿って流れる圧力気体が錘体の基端面側に流込むことが少なく、これによって、圧力気体の充填時の錘体の振れを更に効果的抑えることができる。
【0022】
また、本発明の請求項6に記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体によれば、錘体の挿通孔の内周面に複数の食込み突部が設けられ、これら食込み突部は、吸上げチューブの挿入方向に向けて径方向内方への突出量が漸増しているので、錘体の挿通孔を通して吸上げチューブを挿通すると、これら食込み部が吸上げチューブに食い込み、このようにして錘体を吸上げチューブの先端部の所定部位に装着することができる。
【0023】
また、本発明の請求項7に記載の噴霧器に用いる吸上げチューブ体によれば、吸上げチューブの先端部に径方向外方に突出する環状突部が設けられ、錘体の挿通孔の内周面に吸上げチューブの環状突部に対応して環状凹部が設けられているので、錘体の挿通孔を通して吸上げチューブを挿通すると、錘体の環状凹部に吸上げチューブの環状突部が係合し、このように係合することによって、この錘体を吸上げチューブの先端部の所定部位に装着することができる。
【0024】
更に、本発明の請求項8に記載の噴霧器によれば、請求項1〜7のいずれかに記載の吸上げチューブ体が噴霧ヘッドに接続されているので、圧力気体の充填時の錘体の振れを抑えて音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に従う噴霧器の一実施形態を一部断面で示す部分断面図。
図2図1の噴霧器を倒立した使用状態で示す部分断面図。
図3図1の噴霧器における錘体及びその近傍を拡大して示す部分拡大断面図。
図4図3の錘体を示す右側面図。
図5図4中におけるV−V線による断面図。
図6】錘体の第1の変形形態を示す左側面図。
図7図6におけるVII−VII線による断面図。
図8】錘体の第2の変形形態を示す正面図。
図9】吸上げチューブ体の変形形態の一部を示す部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う噴霧器の一実施形態について説明する。図1及び図2において、図示の噴霧器2は、例えば水や洗浄液、消毒液、殺虫液などの液体を収容するための容器本体4と、この容器本体4の開口部6に装着された噴霧ヘッド8と、噴霧ヘッド8から容器本体4内に延びる吸上げチューブ体10とを備えている。
【0027】
容器本体4の上端部には開口部6が設けられ、この開口部6の外周面には雄ねじ部(図示せず)が設けられている。また、噴霧ヘッド8には取付キャップ12が取り付けられ、この取付キャップ12の内周面には雌ねじ部(図示せず)が設けられ、その雌ねじ部を開口部6の雄ねじ部に螺着することによって、噴霧ヘッド8が容器本体4の開口部6に着脱自在に装着されている。
【0028】
噴霧ヘッド8は、ヘッド本体14と、ヘッド本体14に内蔵されたポンプ(図示せず)と、ポンプを手動で作動させるためのトリガハンドル16と、液体を外部に噴霧するためのノズル18とを備えている。トリガハンドル16を操作すると、ポンプ(図示せず)の作用によって容器本体4内の液体が吸上げチューブ体10と通して吸い上げられ、かく吸い上げられた液体が噴霧ヘッド8から霧状となって噴霧される。このような噴霧ヘッド8としては、それ自体周知のものを用いることができる。
【0029】
吸上げチューブ体10は、液体を吸い上げるための吸上げチューブ20と、この吸上げチューブ20の先端部に装着された錘体22とを備えている。吸上げチューブ20は、可撓性を有する樹脂材料、例えばポリエチレン(低密度ポリエチレンなど)などから形成されている。この吸上げチューブ20の一部にジャバラ部24が設けられ、この形態では、吸上げチューブ20の中間部から先端部にわたって延びている。このジャバラ部24は可撓性を有し,後述するように大きく弾性変形するように構成されている。吸上げチューブ20の他の部分(ジャバラ部24を除く部分)、即ち基部26及び先端部28は、円筒状になっている。この吸上げチューブ20の基端部は、噴霧ヘッド8に接続される。この実施形態では、吸上げチューブ20の一部に長いジャバラ部24を一つ設けている、このようなジャバラ部24を吸上げチューブ20の軸方向に間隔をおいて二つ以上設けるようにしてもよい。
【0030】
図3図5をも参照して、錘体22は錘本体30を備え、この錘本体30に軸方向(図3及び図5において左右方向、図4において紙面に垂直な方向)に貫通する挿通孔32が設けられ、吸上げチューブ20の先端部28がこの挿通孔32内に挿通され、錘体14は、このようにして後述する如く吸上げチューブ20に装着される。
【0031】
この形態では、錘本体30の挿通孔32の内周面における先端側(図3及び図5において右端側)に、周方向に間隔をおいて複数(この形態では、6個)の食込み突部34が設けられている。これら食込み突部34は、挿通孔32の径方向内方に突出し、それらの突出量は、矢印36で示す吸上げチューブ20の挿入方向(即ち、その基端側から先端側に向けて)に漸増するようにテーパ状に設けられている。このように構成されているので、吸上げチューブ20の先端部28を錘体22の基部側(図3及び図5において左側)から挿通孔32に挿通すると、複数の食込み突部34がこの先端部28の外周面に作用して食い込み、このように吸上げチューブ20を挿通することによって、その先端部28に錘体22を装着することができ、またその装着をスムースに行うことができる。
【0032】
吸上げチューブ20のジャバラ部24と錘体22とは、次のように構成するのが望ましい。図3に示すように、錘体22の外形に関し、錘本体30の基部側(図3及び図5において左側)は、その基端から先端に向けて外径が漸増する流線形状に形成されている。錘体22の基部側をこのように構成することによって、スプレー缶(圧力気体を充填した噴霧器)として利用する場合に、容器本体4内に圧力気体を充填する際に、充填した圧力気体が錘体22の外面に沿ってスムースに流れ、これによって、充填時の錘体22の振れを抑え、錘体22が容器本体4の内面に当たるのを防止することができる。
【0033】
この形態では、錘本体30の先端側は先端に向けて外形が漸減する流線形状に形成されている。錘本体30の先端側もこのような流線形状にすることによって、錘体22の先端側においても圧力気体の流れがスムースとなり、充填時の錘体22の振れを効果的に抑えることができるとともに、図1から理解されるように、通常の使用状態において吸上げチューブ20の先端部28が容器本体4の底部の角部までとどくようになり、また図2から理解されるように、倒立の使用状態において取付キャップ12の内部までとどくようになり、容器本体4内の液体をほぼ全て噴霧することが可能となる。
【0034】
この形態では、図3及び図5に示すように、錘本体30の軸方向中央部を境に、その基部側においては先端に向けて外径が漸増する流線形状に、またその先端側においては先端に向けて外径が漸減する流線形状になっているが、流線形状の基部側と流線形状の先端側との間の中間部に外径が一定の円筒形状の部分を設けるようにしてもよい。
【0035】
また、この錘体22及び吸上げチューブ20の形状に関し、錘本体30の基端(基端面)の外径D1は、吸上げチューブ20のジャバラ部24の山部の外径D2と実質上等しい又はこれよりも小さくする(D1≦D2)のが好ましい。このように構成することによって、充填の際の圧力気体の大部分は、ジャバラ部24の山部から錘本体30の基端面側ではなく、錘本体30の外周面側に流れるようになり、これによって、充填時の錘体22の振れを抑えることができる。
【0036】
このことに関連して、吸上げチューブ20のジャバラ部24の先端とこの吸上げチューブ20に装着された錘体22の基端との間隔Wは、約0〜15mmにするのが好ましく、約0〜10mmにするのがより好ましい。この間隔Wをこのように小さくすることによって、吸上げチューブ20の山部から下流側に流れる圧力気体は錘本体30の外周面側に流れ、この錘本体30の基端面側に流れるのを少なくすることができる。
【0037】
この実施形態では、錘本体30の最大外径D3は、吸上げチューブ20のジャバラ部24の山部の外径D2よりも大きく(D3>D2)形成されており、このように形成することによって、充填の際の圧力気体は、ジャバラ部24の山部から錘体22の外周面にスムースに流れるようになる。
【0038】
また、吸上げチューブ20の突出先端部の長さL(錘本体30の先端から吸上げチューブ20の先端までの距離)は、約3〜15mmにするのが好ましく、約5〜10mmにするのがより好ましく、この長さLをこのようにすることによって、容器本体4内の液体をほとんど残ることなく噴霧することができる。
【0039】
吸上げチューブ20のジャバラ部24及び錘体22は、例えば、次の大きさに形成される。吸上げリューブ20のジャバラ部24に関し、ジャバラ部24の山部の外径D2が約10mmに、また錘体22に関し、錘本体30の基端の外径D1が約8mmに、錘本体30の最大外径D3が約12.5mmに、錘本体30の挿通孔32の内径が約4.5mmに、錘本体30の長さが約18mmに形成される。
【0040】
このような錘体22は、耐薬品性などを考慮すると、セラミック、ガラス、陶器などから形成するのが好ましく、また吸上げチューブ20のジャバラ部34が後述するように大きく曲がるようにするために、その重量は、4〜8g程度であるのが好ましい。
【0041】
次に、噴霧器2の使用方法について説明すると、次の通りである。噴霧ヘッド8が上側になるようにして容器本体4が正立された通常の使用状態(図1参照)では、吸上げチューブ体10は、錘体22の自重により噴霧ヘッド8から下方に延びるようになり、吸上げチューブ20の先端部28は容器本体4の底部に溜まった液体Lに浸漬される。このような状態にて、トリガハンドル16を操作すると、ポンプ(図示せず)の作用によって容器本体4内の液体Lが吸上げチューブ20の先端部28より吸上げられ、吸上げチューブ20を通してこの吸上げられた液体Lはポンプを通してノズル18から噴霧される。
【0042】
また、噴霧ヘッド8が下側になるような倒立した使用状態(図2参照)では、錘体22が自重により噴霧ヘッド8側に落下移動し、これによって、吸上げチューブ20は、ジャバラ部24にて略逆U字状に大きく湾曲され、吸上げチューブ20の先端部28は容器本体4の噴霧ヘッド8側に溜まった液体Lに浸漬される。このような状態にてトリガハンドル16を操作すると、上述した通常の使用状態と同様に、容器本体4内の液体Lが吸上げチューブ20の先端部28から吸上げられ、この吸上げられた液体Lがポンプ(図示せず)を通してノズル18から噴霧される。
【0043】
尚、上述した説明では、容器本体4を正立又は倒立させて使用する場合について説明したが、容器本体4を斜めに傾けて使用する、或いは容器本体4を横向きにして使用する場合などであっても、トリガハンドルを操作することによって、上述したのと同様にしてノズル18から噴霧することができる。
【0044】
次に、図6を参照して、錘体の第1の変形形態について説明する。尚、以下の説明において、上述した実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0045】
図6において、この形態の錘体22Aでは、錘本体30Aの基部側は、基端から先端に向けて流線形状に形成されているが、その先端側は円筒状に形成され、その外径は、その中央部から先端まで一定(最大外径D3)となっている。
【0046】
また、この錘本体30Aの外周面には、周方向に間隔をおいて複数の溝42が設けられ、この形態では、周方向に実質上等間隔をおいて6個の溝42が設けられている。これら溝42は、錘本体42の基端から先端まで直線状に延びている。これら溝42の断面は、溝42内に沿って圧力気体が流れ易いように円弧形状乃至半円形状などに形成される。この錘体22Aのその他の形態は、上述した錘体22と実質上同一の構成でよい。
【0047】
吸上げチューブ体の錘体としてこの錘体22Aを用いた場合、スプレー缶としての容器本体内に圧力気体を充填する際に、充填した圧力気体が錘体22Aの外面に沿って流れるとともに、その一部が複数の溝42内を下流側に流れ、このような流れによって、錘体22Aの振れに対するバランスが保たれ、錘体22Aの振れをより効果的に抑えることができる。
【0048】
次に、図8を参照して、錘体の第2の変形形態について説明する。図8において、この形態の錘体22Bでは、上述した実施形態と同様に、錘本体30Bの基部側は、基端から先端に向けて外径が漸増する流線形状に形成され、その先端側は、先端に向けて外径が漸減する流線形状に形成されているが、その外周面の全域に多数のディンプル52(小さな凹部)が設けられている。これらのディンプル52は、直径が2〜3mm程度の円形状のものでよい。この第2の変形形態の錘体22Bのその他の構成は、上述した実施形態と実質上同一の構成でよい。
【0049】
吸上げチューブ体の錘体としてこの錘体22Bを用いた場合、スプレー缶としての容器本体内に圧力気体を充填する際に、多数のディンプル52の作用によって、充填した圧力気体が錘体22Bの外面に沿ってよりスムースに流れ、このように構成した場合においても、錘体22Bの振れを効果的に抑えることができる。
【0050】
尚、このようなディンプル52は、図6及び図7に示す錘体22Aの外周面に、複数の溝42に代えて設けることもできる。
【0051】
次に、図9を参照して、吸上げチューブ体の変形形態について説明する。この変形形態では、錘体22Cの装着位置が所定位置となるように改良が施されている。
【0052】
図9において、この吸上げチューブ体10Cにおいては、吸上げチューブ20Cの先端部28Cの所定部位に、径方向外方に突出する環状突部62が設けられている。また、錘体22Cの錘本体30Cの挿通孔32Cの内周面に、吸上げチューブ20Cの環状突部62に対応して環状凹部64が設けられ、上述した複数の食込み突部は省略されている。
【0053】
このような吸上げチューブ体10Cにおいては、吸上げチューブ20Cの先端部28Cを錘体22Cの挿通孔32C内に挿通すると、その環状突部62が錘本体30C側の環状凹部64に係合して所定部位に位置付けられ、このようにして錘体22Cを吸上げチューブ20Cの所定部位に取り付けることができる。
【0054】
尚、この実施形態では、吸上げチューブ20C側の環状突部62及び錘体22C側の環状凹部64を一つずつ設けているが、これらを二つずつ以上設けるようにしてもよい。
【0055】
以上、本発明に従う噴霧器及びこれに用いる吸上げチューブ体の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものでななく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0056】
例えば、上述した実施形態では、吸上げチューブ体をスプレー缶としての噴霧器に適用して説明したが、容器本体内に圧力気体を充填しない通常の噴霧器にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
2 噴霧器
4 容器本体
6 開口部
8 噴霧ヘッド
10,10C 吸上げチューブ体
22,22A,22B,22C 錘体
24 ジャバラ部
30,30A,30B,30C 錘本体
32,32C 挿通孔
34 食込み突部
42 溝
52 ディンプル
62 環状突部
64 環状凹部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9