(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5914504
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】椎弓形成術、特に頚椎椎弓形成術のためのインプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20160422BHJP
【FI】
A61F2/44
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-535552(P2013-535552)
(86)(22)【出願日】2011年10月19日
(65)【公表番号】特表2014-500050(P2014-500050A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】IB2011054669
(87)【国際公開番号】WO2012056375
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2014年9月22日
(31)【優先権主張番号】1058911
(32)【優先日】2010年10月28日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510164452
【氏名又は名称】メディクレア・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ユーグ・パスカル・ムスラール
【審査官】
宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−527315(JP,A)
【文献】
特開2004−121851(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101785694(CN,A)
【文献】
中国実用新案第201453355(CN,U)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0030388(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎弓板の中央領域を切除した結果得られた椎骨の2つの椎弓板部分(101)を連結するように適合させた椎弓形成術用のインプラント(1)であって、
第1の椎弓板部分(101)に連結するための第1の端部、および第2の椎弓板部分(101)に連結するための第2の端部を有する本体部(5)であって、埋込み位置に、外側、内側、上側および下側を有し、第1の方向(d1)が前記外側から前記内側へ延びる、本体部と、
前記椎弓板部分(101)を固定するための2つの固定部(6)であって、前記固定部の一方が前記第1の端部に連結されており、前記固定部の他方が前記第2の端部に連結されており、各固定部(6)がU字形状をしている、すなわち、対応する椎弓板部分(101)の内側に押し付けるための内側壁部(15)、前記椎弓板部分(101)の外側に押し付けるための外側壁部(16)、および前記内側壁部(15)を前記外側壁部(16)に連結する中間壁部(17)を備えており、第2の方向(d2)が前記中間壁部(17)から、前記中間壁部(17)に実質的に垂直に、前記内側壁部(15)の自由端縁部と前記外側壁部(16)の自由端縁部との間に画定された前記U字形状の開口部へ向かって延びている、固定部(6)と
を備える、椎弓形成術用のインプラント(1)において、
各内側壁部(15)は前記本体部(5)の対応する端部に隣接し、この端部とともに本体部を形成しており、
各固定部(6)の前記中間壁部(17)が前記インプラントの前記本体部(5)の前記上側へ向くように位置させてあり、前記第2の方向(d2)が前記第1の方向(d1)に実質的に垂直であり、したがって、前記内側壁部、外側壁部および中間壁部(15、16、17)は、前記本体部(5)を前記埋込み位置に配置したとき、前記内側壁部、外側壁部および中間壁部(15、16、17)を前記椎弓板部分(101)に係合させる方向が脊柱の頭尾方向、すなわち、前記脊柱の概ね長手方向に平行となるように、前記本体部(5)に対して並べられ、
前記本体部(5)が取付け手段(3)を備え、前記取付け手段には1つまたは複数のグラフト(103)を取り付けることができ、前記1つまたは複数のグラフトは一方の椎弓板部分(101)の切断面(102)から他方の椎弓板部分(101)の切断面(102)まで延びることができ、この結果、前記1つまたは複数のグラフト(103)の端部は、配置後、前記切断面(102)のすぐ近くに位置させられ、
前記本体部の内側は、脊柱管に向いた側であり、前記取付け手段(3)は前記本体部の外側に取り付けられており、
各中間壁部(17)は、前記中間壁部(17)が連結されている前記外側壁部(16)が、前記中間壁部(17)が連結されている前記内側壁部(15)から離れている第1の位置と、前記外側壁部(16)および前記内側壁部(15)の間で椎弓板部分(101)をしっかりと捕らえるように、前記外側壁部(16)が前記内側壁部(15)により近づいている第2の位置との間で変形可能であり、
各内側壁部(15)は、前記インプラントの前記本体部(5)の前記内側と100°から120°の角度を成す方向に延びていることを特徴とする椎弓形成術用のインプラント(1)。
【請求項2】
各内側壁部(15)は、前記インプラントの前記本体部(5)の前記内側と110°の角度を成す方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載の椎弓形成術用のインプラント(1)。
【請求項3】
各側壁部(15、16)および/または各中間壁部(17)は、椎弓板部分(101)に留めることを促進する手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の椎弓形成術用のインプラント(1)。
【請求項4】
椎弓板部分(101)に留めることを促進する前記手段は、前記椎弓板部分(101)の骨に挿入できるとがった歯部、および/または、ねじを前記椎弓板部分(101)に通すことを可能にする1つまたは複数の孔であることを特徴とする請求項3に記載の椎弓形成術用のインプラント(1)。
【請求項5】
1つまたは複数のグラフト(103)を組み付けるために前記本体部(5)が備える前記取付け手段(3)は、横方向導管(22)を有するケージ(3)の形態をしており、前記横方向導管(22)の端部が側方に現れていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の椎弓形成術用のインプラント(1)。
【請求項6】
前記ケージ(3)は、平坦な三角形形状をしていることを特徴とする請求項5に記載の椎弓形成術用のインプラント(1)。
【請求項7】
前記ケージ(3)は、凹状の側縁部と、丸い角部とを有し、横方向から見たときに、高さが前記本体部(5)の反対側で小さくなっていることを特徴とする請求項6に記載の椎弓形成術用のインプラント(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椎弓形成術、特に頚椎椎弓形成術のためのインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
頚椎での脊髄の圧迫をいわゆる「椎弓形成術」という手術で治療すること、この手術が脊柱管を広げるものであることが知られている。
【0003】
知られている椎弓形成手技の1つは、1つまたは複数の椎骨の椎弓板(lamina)の側方領域を切断し、次に前記切断によって画定された1つまたは2つの椎弓板部分を外側へ軸回転させ、これらの椎弓板部分をその軸回転させた位置に維持するために、これらの椎弓板部分の間にインプラントを入れるというものである。この手技に適応させたインプラントが引用文献1(
図4から
図7)または引用文献2に記載されている。
【0004】
知られている別の椎弓形成手技は、「ダブルドア(double door)」といわれるもので、椎弓板の中央領域を切除し、このようにして形成された椎弓板部分の外側の基部に2つの側方溝を作って、いずれも骨を曲げられるようになるまで骨の厚さを減らし、かつ、各椎弓板部分を外側に向けて軸回転させられるように凹部を作り、各椎弓板部分を外側に向けて軸回転させ、最後に、椎弓板部分の上にインプラントを置く、というものである。この手技に適応させたインプラントの1つが引用文献3または引用文献4に記載されている。
【0005】
知られているさらに別の椎弓形成手技は、椎弓板の中央領域を切除し、次に、このように形成した2つの椎弓板部分を、インプラントを使用して連結する、というものである。後者の手技に適応させた既知のインプラントの1つが引用文献1(
図20〜
図22)または引用文献5に開示されている。このようなインプラントは、細長い一片の形態をした中央本体部と、U字クリップの形態の側方端部とを備え、前記U字クリップの底壁部がインプラントの外側に位置させてあり、埋め込んだときに、椎弓板部分の何も接触していない端部の切断面を覆う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/030388号
【特許文献2】中国特許出願公開第101785694A
【特許文献3】中国特許実案第201453355U
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/045936号
【特許文献5】仏国特許出願公開第2918262A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この種のインプラントには、前記クリップを椎弓板部分の内外面に強く接触させるときに脊髄を傷つける危険があることを考慮すると、開業医が配置するにはあまり安全でない、という弱点がある。さらに、これらの既存のインプラントでは、椎骨の後弓によって自然に形成された骨橋を完全に再建することができないし、この結果、普通は椎弓板または棘突起に固定される軟組織を完全に再挿入することもできない。
【0008】
本発明の目的は、これらの弱点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るインプラントは、椎弓板の中央領域を切除した結果得られた椎骨の2つの椎弓板部分を連結するように適合させたものであり、このために、知られている方法で、
第1の椎弓板部分に連結するための第1の端部、および第2の椎弓板部分に連結するための第2の端部を有する本体部であって、埋込み位置に、外側、内側、上側および下側を有し、第1の方向が外側から内側へ延びる、本体部と、
前記椎弓板部分に対する2つの固定部であって、この固定部の一方が前記第1の端部に連結されており、この固定部の他方が前記第2の端部に連結されており、各固定部がU字形状をしている、すなわち、対応する椎弓板部分の内側に押し付けるための内側壁部、前記椎弓板部分の外側に押し付けるための外側壁部、および前記内側壁部を前記外側壁部に連結する中間壁部を備えており、第2の方向が前記中間壁から、前記中間壁に実質的に垂直に、前記内側壁部の自由端縁部および前記外側壁部の自由端縁部の間に画定されたU字の開口部へ向かって延びている固定部と
を備えている。
【0010】
本発明によれば、各固定部の前記中間壁部がインプラントの本体部の上側へ向くように位置させてあり、前記第2の方向が前記第1の方向に実質的に垂直であり、したがって、前記内側壁部、外側壁部および中間壁部は、本体部を前記埋込み位置に配置したとき、内側壁部、外側壁部および中間壁部を椎弓板部分に係合させる方向が脊柱の頭尾方向、すなわち、前記脊柱の概ね長手方向に平行となるように、前記本体部に対して並べられ、
前記中央本体部が取付け手段を備え、この取付け手段には、一方の椎弓板部分の切断面から他方の椎弓板部分の切断面まで延びるように、1つまたは複数のグラフトを取り付けることができ、したがって、1つまたは複数のグラフトの端部は、配置後、前記切断面のすぐ近くに位置させられる。
【0011】
このようにして、本発明によるインプラントは、側壁部および中間壁部を備え、この側壁部および中間壁部を椎弓板部分に係合させるのは、頭尾方向、すなわち、脊柱の概ね長手方向に平行に行われる。この係合は、脊髄を傷つける危険という点で、従来技術によるインプラントの係合で、前後方向、すなわち、脊柱の概ね長手方向に垂直に行われるものよりもはるかに安全な方法を用いて行われる。さらに、なによりも、この構造は椎弓板部分の切断面を何も接していない状態のままにすることを可能にし、したがって、1つまたは複数のグラフトを椎弓板部分の一方から他方まで、前記切断面の近くまで延ばすように置くことができる。よって、椎弓板部分の間の骨橋の再建は、より良い条件で行うことができ、椎弓板部分の骨細胞がグラフトに向かって成長することで行える。この骨橋により、普通は椎弓板または棘突起に固定される軟組織の再挿入を完璧に行うことを可能にする。
【0012】
さらに、前記中間壁部は、椎弓板部分を圧迫するために、停止面を構成し、インプラントを前記埋込み位置で完全に安定させることができる。
【0013】
各中間壁部は、前記中間壁部が連結されている外側壁部が、前記中間壁部が連結されている内側壁部から離れている第1の位置と、前記外側壁部および前記内側壁部の間で椎弓板部分をしっかりと捕らえるように、前記外側壁部が前記内側壁部により近づいている第2の位置との間で変形可能であると都合がよい。
【0014】
前記第1の位置は、インプラントの挿入位置であり、外側壁が対応する内側壁から遠ざけられているので、インプラントを椎骨に挿入することが非常に容易である。埋込み位置に達すると、中間壁は、前記第2の位置において、外側壁部を下に折り曲げ椎弓板部分に押し当てるように変形され、これにより、前記外側壁部と前記内側壁部との間で椎弓板部分をしっかりと捕らえ、これにより、インプラントを確実に留める。
【0015】
このようにして、本発明によるインプラントは、前記インプラントを配置するときに患者の脊髄を傷つける危険に対し安全性がさらに増しており、クリップを前記椎弓板部分に多少なりとも強制的に挿入するのに、従来技術によるインプラントの場合のように、押し付ける必要はない。
【0016】
各内側壁部は、インプラントの本体部の内側と100°から120°の角度を成す方向に延びていることが好ましい。この角度は、好ましくは110°である。
【0017】
2つの側壁部、ならびにこの2つの側壁部を連結された中間壁部は、このようにして、本体部の前記内側から離れる方向に互いから分かれていく。この形状は、切断され、軸回転されうる椎弓板部分の形状に完全に適応させたものである。
【0018】
各側壁部および/または各中間壁部は、椎弓板部分に留めることを促進する手段を備えることができ、具体的には、前記椎弓板部分の骨に挿入できるとがった歯部、および/または、ねじを前記椎弓板部分に通すことを可能にする1つまたは複数の孔を備えることができる。
【0019】
1つまたは複数のグラフトを組み付けるために前記中央本体部が備える前記取付け手段は、横方向導管を有するケージの形態をしており、導管の端部が側方に現れていることが好ましい。
【0020】
この横方向導管により、グラフトをインプラントに簡単に置くことができ、前記グラフトの保守を完璧にすることができる。
【0021】
前記例は、前記本体部とともに単一の部品を形成することも、または前記本体部とは別個であり、前記本体部に取り付けられる部品で形成することもできる。第1の例では、インプラントのアセンブリを特に生体適合性材料、具体的にはチタンから作ることができる。第2の例では、前記本体部と、前記側壁部および中間壁部とはチタン製の部品から作られ、一方、前記ケージは合成材料、具体的にはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)から作られる。2部品バージョンは、ケージに付与できる形状に関し、より多くの可能性を与えるものである。
【0022】
前記ケージは、平坦な三角形形状で、棘突起に似た形状をとることができ、したがって、前記棘突起を切断したときに、少なくとも前記棘突起に近い再建を可能にする。
【0023】
本発明の好ましい一実施形態によれば、この場合には、前記ケージが凹状の側縁部と、丸い角部とを有する。この実施形態はまた、横方向から見たときに、高さが本体部の反対側で小さくなっていることがある。
【0024】
関連する椎弓形成術用のインプラントの2つの実施形態を非限定的な例として示す添付の線図を参照することで、本発明がよく理解されるであろうし、本発明の他の特徴および利点が明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】組立て前の第1の実施形態による斜視図である。
【
図5】椎弓板の中央部分が切断され、前記切断によりできた椎弓板部分を外側へ軸回転させた椎骨に配置する前の正面図、後面図である。
【
図6】椎骨へ配置しているときの
図5と同様の図である。
【
図9】椎弓板の中央部分が切断され、前記切断によりできた椎弓板部分を外側へ軸回転させた椎骨に配置する前の
図8と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
簡略化の目的のため、第1の実施形態によるインプラントの要素または部品で、第2の実施形態によるインプラントにおいて同一または同様に見られるものは、同一の参照番号を使用して示し、説明を繰り返さないものとする。
【0027】
図1から
図4は椎弓形成術、具体的には頚椎椎弓形成術用のインプラント1を示しており、このインプラントは、生体適合性金属材料、具体的にはチタンから作られた基本部品2と、合成材料、具体的にはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)から作られたケージ3とを備えている。
【0028】
基本部品2は、本体部5と、2つの椎弓板固定側部6とを形成している。
【0029】
本体部5は壁部10で形成されており、この壁部10は、埋込み位置(
図6および
図7参照)にあると、頚椎椎弓板の中央部分を切除して得られる、2つの椎弓板部分101を連結することができる。前記壁部10の内側面は、脊柱管へ向けるためのものであり、滑らかであるが、前記壁部の外側表面は、ケージ3に組み付けるための2つの突起部11を備えており、突起部11にはとがった縁がある。本体部5の外側から内側へ延びる方向d1(
図3参照)を「第1の方向」と定める。
【0030】
各椎弓板固定側部6は、内側壁部15、外側壁部16、および中間壁部17を備えていて、中間壁部17は、各固定部6がU字形状となるように壁部15を壁部16に連結している。中間壁17に実質的に垂直に中間壁17から延び、側壁部15および16の自由端縁部の間に画定されたU字形状の開口部(
図4参照)へ向かう方向を「第2の方向」と定義する。
【0031】
各内側壁部15は、本体部5の対応する端部に隣接し、この端部とともに本体部を形成しており、とがった歯部を含んでいる。この歯部は、各内側壁部15の外側表面、すなわち、対応する外側壁部の方を向いている各内側壁部15の面から突出している。具体的には、4つの歯部が図示した例のように正方形に並べられている。
図3に示されているように、側壁部15および中間壁部17は、本体部5の内側表面と実質的に110°の角度を成す方向に延びている。
【0032】
各外側壁部16は、対応する中間支持壁部17に連結されている。中間支持壁部17には、ねじを入れるための孔が通されている。ねじは、中間支持壁部17を椎弓板部分101に取り付けられるようにする。また、中間支持壁部17にはとがった歯部があり、歯部は湾曲した形状をしていて、中間支持壁部17の内側表面、すなわち、対応する内側壁部15の方を向いた中間支持壁部17の表面から突出している。具体的には、4つの歯部が、図示した例のように正方形に並んでいる。
【0033】
各中間支持壁部17は、向かい合う2つの縁部において、対応する内側壁部15および外側壁部16のそれぞれに隣接している。中間支持壁部17はまた、ねじを入れるための孔を備えている。ねじは、中間支持壁部17を椎弓板部分101に取り付けられるようにする。各中間壁部17はまた、各外側壁部16が対応する内側壁部15から遠ざけられている、
図1から
図6までに示したインプラントの挿入位置と、前記外側壁部16を対応する内側壁部15に近づけ、椎弓板部分101を前記外側壁部16および前記内側壁部15の間でしっかりと捕らえ、前記側壁部の歯部が椎弓板部分101の骨を突き通すようにする、
図7に示したインプラント1の取付け位置との間で非弾性的に変形可能である。
【0034】
具体的には、図示の例では、各固定部の壁部16および壁部17が同一の可撓性材料で形成され、壁部16は、壁部17より連続的に延びている。
【0035】
図3および
図4に明確に示されているように、前述した第2の方向d2は、前述した第1の方向d1に実質的に垂直である。
【0036】
ケージ3は、棘突起の形状に似た平坦な三角形形状をしており、また、前記本体部5と反対の側で小さくなる高さを有する(
図4参照)。ケージ3は、本体部20と、上壁部21とを備えていて、上壁部21は三角形形状で、側縁部が凹状になっていて、角が丸めてある。本体部20は横方向導管22を形成していて、この導管22の端部が側方に現れている。また、本体部20は、突起部11を強制的に入れるための孔があけられた前方壁部と、操作器具を入れるための空洞部23を有する後方壁部とを備えている。
【0037】
図1および
図2を参照することで分かるように、インプラント1はケージ3を基本部品2に組み付けることで形成される。この組み付けは、突起部をケージ3の前方壁部が備える孔に強制的に挿入することで行われる。
【0038】
実際には、
図5から
図7に示されているように、1つまたは複数の頸骨100が椎弓板の中央領域で切除され、これにより、椎骨を切断端面102がある2つの椎弓板部分101に個別化する。
【0039】
インプラント1を配置した後に切断面102のすぐ近くに端部を位置させられるような長さを有する1つまたは複数のグラフト103をケージ3の導管に通し、次に、椎骨100のインプラントを埋め込む側に向けてインプラント1を挿入する(
図5参照)。後で分かるように、挿入は頭尾方向、すなわち、脊柱の概ね長手方向に平行に行われ、内側壁部15が椎弓板部分101の内側面に係合し、中間壁部17が前記椎弓板部分101の上側縁部を圧迫するまで続けられる(
図6参照)。その位置では、グラフトの端部が切断面102と密着するようになる。
【0040】
次に外側壁部16を下に折り曲げて椎弓板部分101の外側表面に押し付けるように中間壁部17を変形させ(
図7参照)、このようにすることで、側壁部の歯部を椎弓板部分101の骨に挿入する。次に、締め付けねじ(不図示)を前述した壁部が備える孔に通すことができる。
【0041】
本発明によるインプラント1は、このようにして椎弓板固定側部6を備えており、この椎弓板固定側部6の椎弓板部分101への係合は頭尾方向に行われ、脊髄を損傷させる危険という点では、前後方向、すなわち、脊柱の概ね長手方向に垂直な方向に行われる従来技術によるインプラントの係合よりも、ずっと安全な方法が用いられる。さらに、なによりも、インプラント1は、切断面102を何も接していない状態のままにすることができ、したがって、1つまたは複数のグラフト103を置いて、椎弓板部分101の一方から他方まで、これらの切断面102の近くまで延ばすことを可能にする。その場合、これらの椎弓板部分101の間の骨橋の再建は、可能な最善の条件で行うことができ、椎弓板部分101の骨細胞がグラフト103に向かって成長することで行うことができる。この骨橋により、普通は椎骨100の椎弓板または棘突起に固定される軟組織の再挿入を完璧に行えるようにする。
【0042】
埋込み位置では、中間壁部17が椎弓板部分101の上側縁部を圧迫し、このために、インプラント1の停止面および安定面を形成する。
【0043】
インプラント1の配置は、外側壁部16を内側壁部15から間隔をあけて設けることでより簡単かつ安全に行われる。外側壁部16および内側壁部15を下に折り曲げて椎弓板部分の外側表面に押し付けると、前記外側壁部16が、内側壁部15と連携して、インプラント1を椎弓板部分101に完璧に取り付けられるようにする。
【0044】
インプラント1の第2の実施形態は、
図8および
図9に示されており、上述した第1の実施形態に非常に似ている。第2の実施形態は、ケージ3が基本部品2とともに本体部を形成する点でのみ第1の実施形態と異なる。このケージ3は、それ故に、基本部品2と同じ金属材料で作られる。
【0045】
本発明を例として提供した実施形態を参照して上記に説明した。本発明は、当然ながら、それらの実施形態に限定はされず、添付した特許請求の範囲が網羅する他の全ての実施形態に及ぶものである。
【符号の説明】
【0046】
1 インプラント
3 取付け手段
5 本体部
6 固定部
15 内側壁部
16 外側壁部
17 中間壁部
22 横方向導管
101 椎弓板部分
102 切断面
103 グラフト
d1 第1の方向
d2 第2の方向