特許第5914507号(P5914507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5914507
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】デバイスのワイヤレス充電
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/00 20160101AFI20160422BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   H02J17/00 B
   H02J7/00 301D
【請求項の数】30
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-536882(P2013-536882)
(86)(22)【出願日】2011年10月28日
(65)【公表番号】特表2014-502132(P2014-502132A)
(43)【公表日】2014年1月23日
(86)【国際出願番号】US2011058391
(87)【国際公開番号】WO2012061246
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2014年10月27日
(31)【優先権主張番号】13/047,698
(32)【優先日】2011年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/409,067
(32)【優先日】2010年11月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】アダム・エー・マドリック
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ディー・リー
(72)【発明者】
【氏名】チェン・ニン・ロー
【審査官】 松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−148210(JP,A)
【文献】 国際公開第01/059951(WO,A1)
【文献】 特表2007−537688(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/035545(WO,A1)
【文献】 特開2008−236968(JP,A)
【文献】 特開平10−257681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 − 50/90
H02J 7/00 − 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス送信された電力を受信するためのデバイスであって、
受信コイルが電力送信機の充電領域内に配置されると、前記電力送信機からワイヤレス送信された電力を受信するように構成された受信コイルと、
前記受信コイルに結合された整流器と、
前記整流器からの少なくとも1つのパラメータを測定するように構成された少なくとも1つの感知要素であって、前記少なくともつのパラメータは前記電力送信機から受信可能な電力の容量を示す、少なくとも1つの感知要素と、
前記少なくとも1つのパラメータがしきい値よりも大きい場合に、前記整流器からエネルギーを負荷に伝達させるように構成された切替え要素と、
前記少なくとも1つの感知要素に接続されており、前記少なくともつのパラメータに少なくとも部分的に基づいて、制御信号を前記切替え要素に伝達するとともに、前記デバイスの負荷の程度に基づいて、前記しきい値を決定するように構成された制御デバイスと
を具備することを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの感知要素が、前記制御デバイスおよび前記整流器の出力に接続された電圧センサを含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記切替え要素が電界効果トランジスタを含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの感知要素が、前記整流器の出力に接続された電圧センサを含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記制御デバイスが、前記切替え要素の状態と、ワイヤレス電力受信機の存在とのうちの少なくとも1つをワイヤレス電力送信機に通知するようにさらに構成されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記制御デバイスが、前記少なくとも1つのパラメータを前記しきい値と比較するように構成されることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記しきい値が、前記負荷のタイプ、前記負荷の容量、または前記負荷のタイプおよび容量によって決まることを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記制御デバイスが、前記少なくとも1つのパラメータが少なくとも所定期間にわたって前記しきい値を超える場合に、前記切替え要素に、エネルギーを前記負荷に伝達させるよう、前記制御信号を前記切替え要素に伝達するように構成されることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項9】
前記制御デバイスが、前記少なくとも1つのパラメータが少なくとも所定期間にわたって前記しきい値未満である場合に、前記切替え要素がエネルギーを前記負荷に伝達させないよう、前記制御信号を前記切替え要素に伝達するように構成されることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項10】
電流センサに接続された出力を有した電力変器をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記切替え要素が、前記整流器における電圧が増大した場合にエネルギーを負荷に伝達させるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
ワイヤレス送信された電力を受信するための方法であって、
受信機内の整流器の少なくとも1つのパラメータを測定する段階であって、前記少なくともつのパラメータはワイヤレス電力送信機から受信可能な電力の容量を示す、段階と、
前記少なくとも1つのパラメータがしきい値よりも大きい場合、エネルギーを前記整流器から負荷に伝達する段階と、
前記受信機の負荷の程度に基づいて、前記しきい値を決定する段階と
を有することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのパラメータを前記しきい値と比較する段階をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つのパラメータを測定する段階が、前記整流器の出力における電圧を測定する段階を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
測定した前記電圧をしきい値と比較する段階をさらに有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのパラメータを測定する段階が、前記受信機の電力変器の出力における電流を測定する段階を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
エネルギーが前記受信機から前記負荷に伝達されたか否かと、ワイヤレス電力受信機の存在とのうちの少なくとも1つをワイヤレス電力送信機に通知する段階をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記整流器における電圧が増大した場合、前記負荷を前記受信機に接続する段階をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記ワイヤレス電力送信機における電流を感知する段階と、
エネルギーを前記受信機から負荷に伝達する前に前記電流が増大した場合、前記ワイヤレス電力送信機から送信される電力量を減少させる段階と
をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記負荷が前記整流器から切り離される間、前記少なくともつのパラメータを測定する段階をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つのパラメータが少なくとも所定期間にわたって前記しきい値未満である場合、前記受信機を前記負荷から切り離す段階をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのパラメータが少なくとも所定期間にわたって前記しきい値を超える場合、前記受信機を前記負荷に接続する段階をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つのパラメータが少なくとも前記しきい値に等しい場合、前記ワイヤレス電力送信機に、充電プロセスの存在を伝達させるように、メッセージを前記ワイヤレス電力送信機に伝達する段階をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項24】
ワイヤレス送信された電力を受信するためのデバイスであって、
ワイヤレス送信された電力を受信および整流するための手段と、
前記受信および整流するための手段の少なくとも1つのパラメータを測定するための測定手段であって、前記少なくともつのパラメータはワイヤレス電力送信機から受信可能な電力の容量を示す、測定手段と、
エネルギーを前記受信および整流するための手段から負荷に伝達するための伝達手段であって、該伝達手段は、前記少なくともつのパラメータがしきい値よりも大きい場合、エネルギーを前記受信および整流するための手段から前記負荷に伝達するように構成された、伝達手段と、
前記受信および整流するための手段の負荷の程度に基づいて、前記しきい値を決定するための決定手段と
を具備することを特徴とするデバイス。
【請求項25】
前記少なくとも1つのパラメータを前記しきい値と比較するための比較手段をさらに具備することを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記少なくとも1つのパラメータが前記しきい値未満である場合に、前記負荷を前記受信および整流するための手段から選択的に切り離し、前記少なくとも1つのパラメータが前記しきい値を超える場合に、前記負荷を前記受信および整流するための手段に選択的に接続するための手段をさらに具備することを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項27】
少なくとも1つのパラメータを測定するための前記測定手段が、1つまたは複数の感知要素を含むことを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項28】
エネルギーを前記受信および整流するための手段から負荷に伝達するための前記伝達手段が、前記少なくとも1つのパラメータが前記しきい値より大きい場合に、前記受信および整流するための手段に、エネルギーを前記負荷に伝達させるように構成された切替え要素を含むことを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項29】
比較するための前記比較手段が、前記少なくとも1つのパラメータを前記しきい値と比較するように構成された制御デバイスを含むことを特徴とする請求項25に記載のデバイス。
【請求項30】
前記負荷を選択的に切り離し、前記負荷を選択的に接続するための前記手段が、前記少なくとも1つのパラメータが前記しきい値より大きい場合に、切替え要素に、前記受信および整流するための手段を前記負荷に選択的に接続させるよう、制御信号を前記切替え要素に伝達するように構成され、かつ、前記少なくとも1つのパラメータが前記しきい値未満である場合に、前記切替え要素に、前記受信および整流するための手段を前記負荷から選択的に切り離させるよう、制御信号を前記切替え要素に伝達するようにさらに構成された制御デバイスを含むことを特徴とする請求項26に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「DYNAMIC UNDER VOLTAGE LOCKOUT FOR WIRELESS CHARGING RECEIVERS」と題された2010年11月1日に出願した米国特許仮出願第61/409,067号、および「WIRELESS CHARGING OF DEVICES」と題された2011年3月14日に出願した米国特許出願第13/047,698号に対する優先権を主張するものであり、これらは共に本譲受人に譲渡されている。これら先行出願の開示は、本開示の一部と見なされ、参照により本開示に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、ワイヤレス電力に関する。より詳細には、本発明は、ワイヤレス電力受信機、その充電、およびワイヤレス電力送信機による無効デバイスの検出に関する。
【背景技術】
【0003】
送信機と充電されるべきデバイスとの間で空中(air)電力伝送を使用する手法が開発されている。これらの手法は、一般に2つのカテゴリに分類される。1つは、送信アンテナと充電されるべきデバイス上の受信アンテナとの間の平面波放射(遠距離場放射とも称される)の結合に基づくものであり、デバイスはバッテリを充電するために放射電力を収集して、それを整流する。アンテナは、一般に、結合効率を改善するために共振長のものである。この手法には、電力結合がアンテナ間の距離と共に急速に低下するという欠点がある。したがって、適切な距離(例えば、1〜2m未満)を超えての充電は困難となる。さらに、システムは平面波を放射するので、フィルタリングによって適切に制御されない場合、偶発的な放射が他のシステムを妨害する可能性がある。
【0004】
別の手法は、例えば、「充電(charging)」マットまたは表面に埋め込まれた送信アンテナと、充電しようとするホストデバイスに埋め込まれた受信アンテナに整流回路を加えたものとの間の誘導結合に基づく。この手法には、送信アンテナと受信アンテナとの間の間隔が極めて近接していなければならない(例えば、数mm)という欠点がある。この手法は、同一エリア内の複数のデバイスを同時に充電する機能を有するが、このエリアは一般に狭く、したがって、ユーザはデバイスを特定のエリアに配置しなければならない。
【0005】
従来のワイヤレス充電システムでは、携帯電話など、充電しようとするデバイスがワイヤレス電力送信機の充電領域内に最適に配置されているか否かを判断することは困難な場合がある。充電可能なデバイスが充電領域の端に配置されている場合、充電可能なデバイスは十分な量の電力を受信しない場合があり、したがって、エラーメッセージ(例えば、「不適合な充電器(incompatible charger)」)を表示させる場合がある。さらに、ワイヤレス電力送信機が不十分な電力で充電を試みる場合、ワイヤレス電力送信機が充電可能なデバイスの充電を繰り返し試みる振動状態が発生する可能性がある。これは、耳障りなビープ音またはユーザの観点から誤った充電感覚を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
関連するワイヤレス電力送信機から十分な量の電力が利用可能であると判断したとき、充電状態に入るように構成されたワイヤレス電力受信機に関する方法、システム、およびデバイスの必要性が存在する。さらに、送信機の充電領域内に配置された無効デバイスを検出するように構成されたワイヤレス電力送信機の必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ワイヤレス電力伝達システムの簡素化されたブロック図である。
図2】ワイヤレス電力伝達システムの簡素化された概略図である。
図3】本発明の例示的な実施形態で使用するためのループアンテナの概略図である。
図4】本発明の例示的な一実施形態による送信機の簡素化されたブロック図である。
図5】本発明の例示的な一実施形態による受信機の簡素化されたブロック図である。
図6】充電デバイス上に配置された複数の受信機の様々な電圧レベルを示すグラフである。
図7A】充電パッドとその上に配置された受信機とを示す図である。
図7B】充電パッド上の受信機の位置と比較した受信機の整流器電圧を示すグラフである。
図8】本発明の例示的な一実施形態による受信機のブロック図である。
図9A】本発明の例示的な実施形態による様々な方法を示す流れ図である。
図9B】本発明の例示的な実施形態による様々な方法を示す流れ図である。
図10】本発明の例示的な一実施形態による別の方法を示す流れ図である。
図11】本発明の例示的な一実施形態による別の方法を示す流れ図である。
図12】本発明の例示的な一実施形態によるさらに別の方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面に関して以下に記載される詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を説明することを意図したものであり、本発明を実施可能な実施形態だけを示すものではない。本明細書中で使用される「例示的な(exemplary)」という用語は、「ある例(example)、事例(instance)、または例示(illustration)として機能すること」を意味し、その他の例示的な実施形態よりも好適または有利と解釈されるとは限らない。詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態の十分な理解を提供するための特定の詳細を含む。本発明の例示的な実施形態はこれらの特定の詳細なしに実施可能である点は当業者に明らかである。場合によっては、本明細書中で提示される例示的な実施形態の新規性を曖昧にするのを避けるために、既知の構造およびデバイスはブロック図の形で示される。
【0009】
「ワイヤレス電力(wireless power)」という用語は、本明細書中で、電場、磁場、電磁場、または物理的な導電体を使用せずに送信機と受信機との間で伝送されるものに関連する任意の形のエネルギーを意味するために使用される。以下で、純粋な磁界または純粋な電界は電力を放射しないことを理解したうえで、これら3つすべてを放射界と総称する。これらは、電力伝達を達成するために「受信側アンテナ(receiving antenna)」に結合されなければならない。
【0010】
図1は、本発明の例示的な様々な実施形態によるワイヤレス伝送または充電システム100を示す。エネルギー伝達を行うための場106を生成するために入力電力102が送信機104に供給される。受信機108は、場106に結合し、出力電力110に結合されたデバイス(図示せず)が蓄積または消費するための出力電力110を生成する。送信機104と受信機108とは両方とも距離112だけ離されている。例示的な一実施形態では、送信機104および受信機108は相互共振関係に従って構成され、受信機108の共振周波数と送信機104の共振周波数とが極めて近い場合、送信機104と受信機108との間の伝送損失は、受信機108が場106の「近距離場(near-field)」内に位置するとき最小になる。
【0011】
送信機104は、エネルギー送信のための手段を提供するための送信アンテナ114をさらに含み、受信機108は、エネルギー受信のための手段を提供するための受信アンテナ118をさらに含む。送信アンテナおよび受信アンテナは、関連する適用例およびデバイスに従ってサイズ決定される。先に記載の通り、エネルギーの大部分を電磁波で遠距離場に伝搬するのではなく、送信アンテナの近距離場内のエネルギーの大部分を受信アンテナに結合することによって効率的なエネルギー伝達が行われる。近距離場にある場合、送信アンテナ114と受信アンテナ118との間に結合モードが展開されうる。この近距離結合が発生しうるアンテナ114および118の周りのエリアは、本明細書中で結合モード領域と称される。
【0012】
図2は、ワイヤレス電力伝達システムの簡素化された概略図を示す。送信機104は、発振器122と、電力増幅器124と、フィルタおよび整合回路126とを含む。発振器は、調整信号123に応答して調整されうる、468.75KHz、6.78MHz、または13.56MHzなど、所望の周波数で信号を生成するように構成される。発振器信号は、制御信号125に対応する増幅量で電力増幅器124によって増幅されうる。フィルタおよび整合回路126は、高調波またはその他の好ましくない周波数をフィルタ除去し、送信機104のインピーダンスを送信アンテナ114に整合させるために含まれうる。
【0013】
受信機108は、図2に示されるように、バッテリ136を充電するため、または受信機に結合されたデバイス(図示せず)に電源供給するために、整合回路132と、DC電力出力を生成するための整流器および切替え回路134とを含んでよい。整合回路132は、受信機108のインピーダンスを受信アンテナ118に整合させるために含まれうる。受信機108および送信機104は、別個の通信チャネル119(例えば、Bluetooth(登録商標)、zigbee、セルラ等)上で通信を行うことができる。
【0014】
以下でより詳細に説明されるように、選択的に無効にされた関連負荷(例えば、バッテリ136)を当初有しうる受信機108は、送信機104によって送信され、受信機108によって受信される電力量がバッテリ136を充電するのに十分であるか否かを判断するように構成されうる。さらに、受信機108は、電力量が十分であると判断したとき、負荷(例えば、バッテリ136)を有効化するように構成されうる。
【0015】
図3に示されるように、例示的な実施形態で使用されるアンテナは、本明細書中で「磁気(magnetic)」アンテナと称されることもある「ループ(loop)」アンテナ150として構成されうる。ループアンテナは、空芯、またはフェライトコアなどの物理コアを含むように構成されうる。空芯ループアンテナは、コアの近傍に配置された外部物理デバイスに対してより耐性がありうる。さらに、空芯ループアンテナは、コアエリア内に他の構成要素を配置可能にする。加えて、空芯ループは、送信アンテナ114(図2)の結合モード領域がより強力でありうる、送信アンテナ114(図2)の平面に受信アンテナ118(図2)を配置することをより容易にする。
【0016】
先に記載の通り、送信機104と受信機108との間のエネルギーの効率的な伝達は、送信機104と受信機108との間の整合された共振または略整合された共振の間に発生する。しかしながら、効率に影響を及ぼす可能性があるものの、送信機104と受信機108との間の共振が整合しない場合であっても、エネルギーを伝達することが可能である。エネルギーの伝達は、エネルギーを送信アンテナから自由空間に伝搬するのではなく、エネルギーを送信アンテナの近距離場からこの近距離場が確立された近傍に存在する受信アンテナに結合することによって発生する。
【0017】
ループアンテナまたは磁気アンテナの共振周波数は、インダクタンスとキャパシタンスとに基づく。ループアンテナのインダクタンスは、概して、単にループによって生成されるインダクタンスであるのに対して、キャパシタンスは、概して、所望の共振周波数で共振構造を生み出すために、ループアンテナのインダクタンスに追加される。非限定的な例として、キャパシタ152およびキャパシタ154は、共振信号156を生成する共振回路を生み出すためにアンテナに追加されうる。したがって、直径がより大きいループアンテナの場合、共振を引き起こすために必要とされるキャパシタンスのサイズは、ループの直径またはインダクタンスが増大するにつれて減少する。さらに、ループアンテナまたは磁気アンテナの直径が増大するにつれて、近距離場の効率的なエネルギー伝達エリアは増大する。当然、他の共振回路が使用可能である。別の非限定的な例として、キャパシタはループアンテナの2つの終端間に並列して配置可能である。加えて、当業者は、送信アンテナの場合に、共振信号156はループアンテナ150に対する入力でありうることを認識されよう。
【0018】
図4は、本発明の例示的な一実施形態による送信機200の簡素化されたブロック図である。送信機200は、送信回路202と送信アンテナ204とを含む。概して、送信回路202は、発振信号を提供することによって、RF電力を送信アンテナ204に提供し、結果として、送信アンテナ204の周囲に近距離場エネルギーを発生させる。送信機200は、任意の適切な周波数で動作可能である点に留意されたい。例えば、送信機200は、13.56MHz ISM帯域で動作できる。
【0019】
例示的な送信回路202は、送信回路202のインピーダンス(例えば、50オーム)を送信アンテナ204に整合させるための固定インピーダンス整合回路206と、受信機108(図1)に結合されたデバイスの自己ジャミングを防ぐレベルまで高調波放射を低減するように構成された低域フィルタ(LPF)208とを含む。その他の例示的な実施形態は、これに限定されないが、他の周波数を通過させながら、特定の周波数を減衰させるノッチフィルタを含む様々なフィルタトポロジを含んでよく、アンテナに対する出力電力または電力増幅器によって引き出されるDC電流など、測定可能な送信基準に基づいて変化しうる適応型インピーダンス整合(adaptive impedance match)を含んでよい。送信回路202は、発振器212によって求められたRF信号を駆動するように構成された電力増幅器210をさらに含む。送信回路は、個別のデバイスもしくは回路からなるか、または、その代わりに、一体型アセンブリからなりうる。送信アンテナ204からの例示的なRF電力出力は2.5ワット程度であってもよい。
【0020】
送信回路202は、特定の受信機に対する送信位相(すなわち、デューティサイクル)の間に発振器212を有効にし、発振器の周波数または位相を調整し、取り付けられた受信機を介して隣接デバイスと相互作用するための通信プロトコルを実施するために出力電力レベルを調整するためのコントローラ214をさらに含む。コントローラ214は、本明細書中で、プロセッサ214と称されることもある点に留意されたい。当技術分野では既知のように、伝送経路中の発振器位相および関連回路の調整は、特に、ある周波数から別の周波数に遷移するとき、帯域外放射の削減を可能にする。
【0021】
送信回路202は、送信アンテナ204によって生成された近距離場の近傍のアクティブな受信機の存在または不在を検出するための負荷感知回路216をさらに含んでよい。例えば、負荷感知回路216は、送信アンテナ204によって生成された近距離場の近傍のアクティブな受信機の存在または不在によって影響を受ける電力増幅器210に流れる電流を監視する。電力増幅器210上の負荷の変化の検出は、発振器212がエネルギーを送信するのを可能にするか否か、およびアクティブな受信機と通信するか否かを判断する際にコントローラ214によって監視される。以下でより詳細に説明されるように、電力増幅器210で測定される電流は、無効デバイスが送信機200の充電領域内に配置されているか否かを判断するために使用されうる。
【0022】
送信アンテナ204は、Litzワイヤを用いて、または抵抗損失を低く維持するように選択された厚さ、幅、および金属タイプを有したアンテナストリップとして実施可能である。従来の実装形態では、送信アンテナ204は、概して、テーブル、マット、ランプ、またはその他の可搬性がより低い構成など、より大きな構造との関連付けのために構成されうる。したがって、送信アンテナ204は、概して、実用的な寸法とするための「巻き(turns)」を必要としない。送信アンテナ204の例示的な一実装形態は、「電気的に小型(electrically small)」(すなわち、波長の分数)であってもよく、共振周波数を定義するためにキャパシタを使用することによって、より低い有効な周波数で共振するように調整可能である。
【0023】
送信機200は、送信機200に関連しうる受信機デバイスの場所およびステータスに関する情報を集めて、追跡することができる。これにより、送信回路202は、(本明細書中で、プロセッサとも称される)コントローラ214に接続された存在検出器280、密閉検出器260、またはそれらの組合せを含んでよい。コントローラ214は、存在検出器280および密閉検出器260からの存在信号に応答して、増幅器210によって送出される電力の量を調整することができる。送信機は、例えば、建築物内に存在する従来のAC電力を変換するためのAC-DC変換器(図示せず)、従来のDC電源を送信機200に適した電圧に変換するためのDC-DC変換器(図示せず)など、いくつかの電源を介して電力を受信するか、または従来のDC電源(図示せず)から直接電力を受信することが可能である。
【0024】
非限定的な例として、存在検出器280は、送信機の有効範囲領域に挿入された充電されるべきデバイスの初期存在を感知するために利用される動き検出器でありうる。検出後、送信機はオンになることができ、デバイスによって受信されたRF電力は、所定の様式でRxデバイス上のスイッチをトグルするために使用可能であり、その結果、送信機の駆動点インピーダンスを変化させる。
【0025】
別の非限定的な例として、存在検出器280は、例えば、赤外検出、動き検出、またはその他の適切な手段によって人間を検出可能な検出器でありうる。いくつかの例示的な実施形態では、送信アンテナが特定の周波数で送信できる電力の量を制限する規制が存在する場合がある。場合によっては、これらの規制は、電磁放射から人間を保護するためである。しかしながら、送信アンテナが、例えば、ガレージ、工業の現場、店など、人間によって占有されないか、または人間によってめったに占有されないエリア内に配置された環境が存在する場合がある。これらの環境に人間がいない場合、送信アンテナの電力出力を、通常の電力制限規制を超えて増加させることが容認される場合がある。すなわち、コントローラ214は、人間の存在に応答して送信アンテナ204の電力出力を規制レベル以下に調整し、人間が送信アンテナ204の電磁界から規制距離の外側にいるとき、送信アンテナ204の電力出力を、規制レベルを超えるレベルに調整することができる。
【0026】
ある非限定的な例として、(本明細書中では密閉区画検出器または密閉空間検出器と称されることもある)密閉検出器260は、エンクロージャが閉じられた状態または開いた状態にあることを判断するための感知スイッチなどのデバイスでありうる。送信機が、密閉状態にあるエンクロージャ内にあるとき、その送信機の電力レベルを増加させることが可能である。
【0027】
例示的な実施形態では、送信機200が無期限にオンの状態に留まらない方法が使用されうる。この場合、送信機200は、ユーザが決定した時間量の後にシャットダウンするようにプログラム可能である。この機能は、送信機200、特に電力増幅器210が、その周囲のワイヤレスデバイスが完全に充電された後、長く運転することを防ぐ。このイベントは、リピータまたは受信コイルのいずれかから送られた、デバイスが完全に充電されたという信号を回路が検出できないことに起因する場合がある。送信機200の周囲に別のデバイスが配置された場合、送信機200が自動的に停止するのを防ぐために、送信機200の自動シャットダウン機能は、その周囲で動きが検出されない設定された期間の後にだけアクティブにされうる。ユーザは、非活動的な時間間隔を決定し、所望に応じてそれを変更することが可能でありうる。ある非限定的な例として、その時間間隔は、特定タイプのワイヤレスデバイスが最初に十分に放電されているという仮定の下に、そのデバイスを完全に充電するために必要とされる時間間隔よりも長い場合がある。
【0028】
図5は、本発明の例示的な一実施形態による受信機300の簡素化されたブロック図である。受信機300は、受信回路302と受信アンテナ304とを含む。受信機300は、さらに、デバイス350に受信電力を提供するためにデバイス350に結合する。受信機300は、デバイス350の外部にあるものとして示されているが、デバイス350に一体化されうる点に留意されたい。概して、エネルギーは、受信アンテナ304にワイヤレスに伝搬され、次いで、受信回路302を介してデバイス350に結合される。
【0029】
受信アンテナ304は、送信アンテナ204(図4)と同じ周波数、または指定された範囲の周波数で共振するように同調される。受信アンテナ304の寸法は、送信アンテナ204と同様に決定されてもよく、または関連するデバイス350の寸法に基づいて異なってサイズ決定されてもよい。例えば、デバイス350は、送信アンテナ204の直径または長さよりも小さい直径寸法または長さ寸法を有するポータブル電子デバイスであってもよい。そのような例では、受信アンテナ304は、同調キャパシタ(図示せず)のキャパシタンス値を低減し、受信アンテナのインピーダンスを増加させるために、多巻きアンテナとして実装可能である。例えば、受信アンテナ304は、アンテナ直径を最大にして、受信アンテナのループ巻き(すなわち、巻線)の数および巻線間キャパシタンスを低減するために、デバイス350の実質的な周囲の周りに配置されうる。
【0030】
受信回路302は、受信アンテナ304に対するインピーダンス整合を実行する。受信回路302は、受信したRFエネルギー源を、デバイス350によって使用するための充電電力に変換するための電力変換回路306を含む。電力変換回路306は、RF-DC変換器308を含み、DC-DC変換器310を含んでもよい。RF-DC変換器308は、受信アンテナ304において受信されたRFエネルギー信号を非交流電力に整流し、DC-DC変換器310は、整流されたRFエネルギー信号を、デバイス350に適合するエネルギーポテンシャル(例えば、電圧)に変換する。部分整流器および完全整流器、調整器、ブリッジ、ダブラー(doublers)、ならびに線形変換器および切替え変換器を含めて、様々なRF-DC変換器が企図される。
【0031】
受信回路302は、受信アンテナ304を電力変換回路306に接続するための、または代替的に電力変換回路306を切断するための切替え回路312をさらに含んでよい。電力変換回路306から受信アンテナ304を切断することは、デバイス350の充電を中断するだけでなく、送信機200(図2)からの「見かけ(seen)」の「負荷(load)」も変化させる。
【0032】
上記で開示されたように、送信機200は、送信機電力増幅器210に供給されたバイアス電流の変動を検出する負荷感知回路216を含む。したがって、送信機200は、受信機が送信機の近距離場に存在することを判断するための機構を有する。
【0033】
複数の受信機300が送信機の近距離場に存在するとき、他の受信機がより効率的に送信機に結合することができるように、1つまたは複数の受信機の負荷および無負荷を時間多重化することが望ましい場合がある。受信機は、他の近くの受信機への結合を解消するために、または近くの送信機に対する負荷を低減するためにクローキングされてもよい。受信機のこの「無負荷(unloading)」は、本明細書中では「クローキング(cloaking)」とも称される。さらに、受信機300によって制御され、送信機200によって検出される無負荷と負荷との間のこの切替えは、以下でより詳細に説明されるように、受信機300から送信機200への通信機構を提供する。加えて、受信機300から送信機200にメッセージを送るのを可能にするプロトコルを切替えと関連付けることが可能である。例えば、切替え速度は100μ秒程度であってもよい。
【0034】
例示的な一実施形態では、送信機と受信機との間の通信は、従来の双方向通信ではなく、デバイス感知および充電制御機構を指す。すなわち、送信機は、近距離場においてエネルギーが利用可能であるか否かを調整するために、送信信号のオン/オフキーイングを使用することができる。受信機は、エネルギーのこれらの変化を送信機からのメッセージと解釈する。受信機側から、受信機は、近距離場からどのくらいの電力が受容されているかを調整するために受信アンテナの同調および離調を使用する。送信機は、近距離場から使用される電力のこの差を検出し、これらの変化を、受信機からのメッセージと解釈することができる。他の形態の送信電力の変調および負荷挙動を利用できる点に留意されたい。
【0035】
受信回路302は、送信機から受信機への情報シグナリングに対応しうる、受信されたエネルギー変動を識別するために使用されるシグナリング検出器およびビーコン回路314をさらに含んでよい。さらに、シグナリングおよびビーコン回路314は、低減されたRF信号エネルギー(すなわち、ビーコン信号)の送信を検出するために使用されてよく、ワイヤレス充電のための受信回路302を構成するために、低減されたRF信号エネルギーを整流して、受信回路302中の無電力供給回路または電力消耗回路のいずれかを起動させるための公称電力にするために使用されてもよい。
【0036】
受信回路302は、本明細書中で説明される切替え回路312の制御を含む、本明細書中で説明される受信機300のプロセスを調整するためのプロセッサ316をさらに含む。受信機300のクローキングは、デバイス350に充電電力を供給する外部有線充電源(例えば、ウォール/USB電力)の検出を含む、他のイベントが生じると発生する場合もある。プロセッサ316は、受信機のクローキングを制御することに加えて、ビーコン状態を判断し、送信機から送られたメッセージを抽出するためにビーコン回路314を監視することも可能である。プロセッサ316は、性能を改善するためにDC-DC変換器310を調整することも可能である。
【0037】
本発明の例示的な様々な実施形態は、本明細書中で説明されるように、単なる例として、整流電圧、または出力電力など、1つまたは複数の回路パラメータに基づいて、電圧ロックアウト下で動的であるように構成された受信機に関する。より詳細には、例示的な様々な実施形態は、受信機のパラメータ(例えば、整流器電圧または出力電圧)がしきい値を超える場合、充電状態に入るように構成されたワイヤレス電力受信機に関する。より詳細には、例示的な一実施形態によれば、ワイヤレス電力受信機は、関連する整流器電圧を測定して、その整流器電圧を所定のしきい値電圧と比較することができる。測定された電圧がしきい値電圧未満である場合、ワイヤレス電力受信機中の切替え要素(例えば、充電電界効果トランジスタ(FET))は、関連する負荷を無効にする(例えば、負荷を受信機から分離する)ためにOFF構成の状態に留まることになる。測定された電圧がある期間(例えば、1秒)の間にしきい値電圧を超える場合、切替え要素は、ON構成に遷移し、それにより、負荷を有効化すること(例えば、受信機に負荷を接続させること)ができる。さらに、測定された電圧がある期間(例えば、5秒)の間にしきい値電圧を下回った場合、切替え要素は、OFF構成に再度遷移することができる。電圧は、周期的に測定され、しきい値電圧と比較されて、切替え要素がON構成であるべきかまたはOFF構成であるべきかを判断することが可能である。しきい値電圧値は、ワイヤレス電力受信機の電流(例えば、出力電流)に依存しうる。したがって、本発明は、誤検出充電メッセージを最小限に抑えるかまたは除去することができる。以下でより詳細に説明される関連方法も企図される。
【0038】
以下でより詳細に説明される例示的な別の実施形態によれば、ワイヤレス電力送信機は、ワイヤレス電力送信機の充電領域内に配置された無効デバイスを検出するように構成されうる。より詳細には、送信機は、送信機における電流の変化を検出することによって、無効受信機を検出するように構成されうる。
【0039】
図6は、充電デバイス(例えば、充電パッド)上に配置された複数の受信機の様々な電圧レベル(すなわち、無負荷整流器電圧VRECT Unloaded、および負荷出力電圧Vout_loaded)を示すグラフ600である。無負荷整流器電圧VRECT Unloadedは、受信機が負荷から分離された(すなわち、負荷が無効にされた)間の受信機の整流器の電圧であることに留意されたい。さらに、出力電圧Vout_loadedは、受信機が負荷に接続された(すなわち、負荷が有効にされた)間の受信機の出力電圧である。グラフ600で例示されるように、VRECT Unloadedは、Vout_loadedと相関関係を有する。より詳細には、符号602によって示されるVRECT Unloadedの線形表現は、符号604によって示されるVout_loadedの線形表現と相関関係を有する。したがって、当業者によって理解されるように、受信機の無負荷整流器電圧は、受信機の負荷出力電圧を予測するために使用可能である。
【0040】
図7Aは、充電パッド610と、その上に配置された受信機620とを示す。図7Aに例示されるように、受信機620は、例えば、充電パッド610の右側の端に配置される。図7Bは、充電パッド610上の受信機620の様々な位置と比較した受信機(図7Aを参照されたい)の整流器電圧を示すグラフ650である。信号652は無負荷整流器電圧「無負荷Vrect」を表し、信号654は負荷整流器電圧「負荷VRECT」を表す。グラフ650に例示されるように、信号652は信号654と相関関係を有する。さらに、やはり例示されるように、受信機が充電パッドの端から実質的に0〜10mm離れて配置される場合、整流器電圧は、実質的に減少し、したがって、受信機は、十分な充電のために十分な電力を受信できない場合がある。
【0041】
図8を参照すると、本発明の例示的な一実施形態による受信機700の一部が例示される。受信機700は、受信コイル702と、整流器704と、電力変換器706(例えば、DC-DC変換器)と、電流センサ708と、切替え要素710と、電圧センサ712と、制御デバイス714とを含む。制御デバイス714は、図5のコントローラ316を含めて、プロセッサ、コントローラなど、任意の適切な制御デバイスを備えてよい。電圧センサ712は、整流器電圧(VRECT)を測定して、整流電圧VRECTを制御デバイス714に伝達するように構成される。電流センサ710は、変換器706からの電流出力を測定して、測定された電流を制御デバイス714に伝達するように構成される。単なる例として、切替え要素710は、電界効果トランジスタ(FET)を備えてよい。切替え要素710は、変換器706の出力を負荷に選択的に接続するように構成されうる。
【0042】
本発明の例示的な一実施形態による受信機700の企図される動作が次に説明される。当初、切替え要素710は、OFF構成であってもよく、したがって、受信機700に関連する負荷は無効にされる。例示的な一実施形態によれば、ワイヤレス電力送信機(例えば、図4の送信機202)の充電領域内に配置されると、電圧センサ712は、整流器704における電圧を測定して、測定された整流器電圧を制御714に伝達する。制御714は、次いで、その整流器電圧を所定の無負荷しきい値整流器電圧と比較することができる。測定された電圧が無負荷しきい値整流器電圧未満である場合、切替え要素710はOFF構成の状態に留まることができる(すなわち、負荷は無効の状態に留まることができる)。測定された電圧がある期間(例えば、1秒)の間に無負荷しきい値整流器電圧を超える場合、制御714は、(例えば、制御信号を経由して)切替え要素710をON構成に遷移させ、これにより、負荷を(例えば、負荷を受信機700に接続することを)有効にする。切替え要素がON構成であるべきか、またはOFF構成であるべきかを判断するために、電圧は周期的に測定されて、負荷しきい値整流器電圧と比較されうる。さらに、測定された電圧がある期間(例えば、5秒)の間に負荷しきい値整流器電圧を下回った場合、切替え要素710はOFF構成に再び遷移することができる。
【0043】
例示的な別の実施形態によれば、ワイヤレス電力送信機(例えば、図4の送信機200)の充電領域内に配置されると、電流センサ708は、変換器706の出力における電流を測定して、測定された電流を制御714に伝達することができる。電流は、周期的に測定されて、負荷の程度(例えば、完全負荷、部分負荷)を決定するために使用されてよい。負荷の程度に従って、1つまたは複数の関連しきい値、例えば、整流電圧を使用してよい。すなわち、電流測定は(例えば、無負荷から完全負荷までの)負荷の量を求めるために使用され、次いで、制御要素714は、その負荷の程度に基づいて、適切なしきい値レベルを設定することが可能である。
【0044】
受信機700は、十分な充電のために十分な量の電力が利用可能であるか否かを判断する際に1つまたは複数の測定されたパラメータ(例えば、電圧、電力)を使用することができる点に留意されたい。受信機700は、十分な充電のために十分な電力が利用可能であると判断したとき、充電を開始できること、または充電が開始したことを関連する送信機に(例えば、通信手段を介して)通知することができる点にさらに留意されたい。
【0045】
加えて、しきい値パラメータ(すなわち、無負荷整流器電圧、負荷整流器電圧、無負荷しきい値電流、および負荷しきい値電流)は、十分な電力の存在を確実にするために、(例えば、テストによって)事前に決定可能である点に留意されたい。例えば、デバイスを十分に充電するために2ワットの電力が必要とされる場合、デバイスは、少なくとも2ワットの電力が受信されうることを保証できる、決定された負荷しきい値および無負荷しきい値に対してテストされうる。しきい値は負荷条件(すなわち、関連負荷のタイプおよび/もしくはサイズ、またはバッテリ式デバイスの充電の状態)に応じて変化しうる点にさらに留意されたい。
【0046】
図9Aおよび図9Bは、本発明の例示的な様々な実施形態による、それぞれの方法800および810を示す流れ図である。方法800および810は同時に発生しうる点に留意されたい。方法800は、(符号802によって示される)出力電流などの初期パラメータを測定するステップと、(符号804によって示される)負荷の程度を決定するために、その結果を静的しきい値と比較するステップとを含んでよい。負荷の程度は、追加のパラメータのしきい値レベル(すなわち、動的しきい値レベル)を設定するために使用される。次いで、測定されたパラメータは、動的しきい値と比較される。測定されたパラメータが動的しきい値を満たす(すなわち、動的しきい値以上である)場合、充電は開始可能であるか、または継続可能である。
【0047】
方法810は、(符号812によって示される)充電FETなどの切替え要素を介して、負荷が充電可能なデバイスの整流器から分離される事前充電状態に入るステップを含んでよい。さらに、方法810は、(符号814によって示される)事前充電状態に入った後である期間(例えば、1秒)の間、待機するステップを含んでよい。整流器電圧は連続的または周期的に測定されて、動的しきい値電圧と比較されうる点に留意されたい。さらに、方法810は、方法800のステップ804で決定された負荷の程度に基づいて、(符号816によって示される)動的しきい値を更新するステップを含んでよい。整流器電圧が動的しきい値電圧を満たさない(例えば、整流器電圧が動的しきい値電圧未満である)と判断された場合、方法800は、ステップ812に戻ることができる。測定された整流器電圧が動的しきい値電圧を満たす(例えば、測定された整流器電圧が動的しきい値電圧以上である)と判断された場合、方法810は、(符号820によって示される)負荷が切替え要素を介して充電可能なデバイスの整流器に接続される充電状態に入るステップを含む。さらに、方法810は、(符号822によって示される)充電状態に入った後で、ある期間(例えば、1秒)の間、待機するステップを含んでよい。方法810は、負荷の程度に基づいて、(符号824によって示される)方法800のステップ804で決定された動的しきい値を更新するステップを含んでもよい。
【0048】
図10は、例示的な1つまたは複数の実施形態による別の方法850を示す流れ図である。方法850は、(符号852によって示される)受信機の少なくとも1つのパラメータを測定するステップを含んでよい。さらに、方法850は、(符号854によって示される)少なくとも1つの測定されたパラメータがしきい値を超える場合、エネルギーを受信機から負荷に伝達するステップを含んでよい。
【0049】
当業者によって理解されるように、ワイヤレス電力送信機から送信されたワイヤレス電力は、無効デバイス(例えば、NFCカード)によって受信可能である。例示的な別の実施形態では、ワイヤレス電力送信機(例えば、図4の送信機200)は、無効デバイスが関連する充電領域内に配置されるときを検出するように構成されうる。より詳細には、例示的な一実施形態によれば、有効受信機(すなわち、有効デバイス)は、ワイヤレス電力送信機の充電領域内に配置されるとき、無効負荷を含んでよい。より詳細には、受信機は、図8に例示された切替え要素710など、切替え要素を経由して負荷から分離されうる。したがって、有効受信機から引き出される電力は最小量であり(すなわち、送信機の電力増幅器における電流は実質的に変わらない可能性がある)。さらに、有効デバイスがワイヤレス電力送信機の充電領域内に配置されると、有効デバイスは、その存在を示すメッセージをワイヤレス電力送信機に伝達することができる。さらに、無効デバイスが充電領域内に配置された場合、ワイヤレス電力送信機の電力増幅器における電流は実質的に増大可能である。したがって、電流の増大を検知すると、ワイヤレス電力送信機は、無効デバイスが充電領域内に配置されていると判断し、それに応答して、低電力エラー状態に遷移することができる(すなわち送信機の電力レベルを低減することができる)。ワイヤレス電力送信機が無効受信機を検出しない場合、ワイヤレス電力送信機は、電力増幅器における電圧を増大させることができ、これは、充電領域内に配置された有効受信機に送出される電力量を増大させる。
【0050】
図11および図12は、送信機と受信機との間の充電シナリオの方法を示す追加の流れ図であり、図11の方法900は受信機に関連し、図12の方法950は送信機に関連する。図11は、例示的な1つまたは複数の実施形態による方法900を示す流れ図である。方法900は、(符号902によって示される)受信機の存在を示すメッセージを、無効負荷を有する受信機から関連する送信機に伝達するステップを含んでよい。さらに、方法900は、(符号904によって示される)基準整流器電圧を確立するために、整流器電圧を測定するステップを含んでよい。方法900は、(符号906によって示される)整流器電圧が増大したか否かを判断するために、現在の整流器電圧を基準整流器電圧と比較するステップをさらに含んでよい。整流器電圧が増大した場合、方法900はステップ908に進み、ここで負荷が有効にされる。したがって、ステップ910で、受信機に関連するデバイスを充電することができる。整流器電圧が増大していない場合、方法900はステップ906に戻る。
【0051】
図12は、例示的な1つまたは複数の実施形態による方法950を示す流れ図である。方法950は、(符号952によって示される)送信機における基準電流を測定するステップを含んでよい。さらに、方法950は、(符号954によって示される)関連する充電領域内に配置された有効受信機を検出するステップを含んでよい。例えば、有効受信機は、有効受信機から信号を受信することによって検出されうる。方法950は、(符号956によって示される)送信機における電流を測定するステップと、(符号958によって示される)測定された電流が基準電流よりも高いか否かを判断するステップとを含んでもよい。測定された電流が基準電流を超える場合、無効デバイスが充電領域内に存在する可能性は高く、送信機はエラーモードに遷移することができ、送信される電力量は低減される(符号960によって示される)。測定された電流が基準電流を超えない場合、送信機は送信機電圧を増大させることができ(符号962によって示される)、検出された有効受信機に関連するデバイスを充電することができる(符号964によって示される)。
【0052】
情報および信号を様々な異なる技術および技法のうちのいずれかを使用して表すことができる点を当業者は理解する。例えば、上の説明において参照されうるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁界もしくは磁性粒子、光場もしくは光学粒子、またはそれらの任意の組合せによって表すことができる。
【0053】
さらに、本明細書で開示された例示的な実施形態に関連して説明された例示的な様々な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはそれらの両方の組合せとして実装されうることを当業者は理解する。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、例示的な様々な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、先の記載では概してそれらの機能に関して説明されている。そのような機能性をハードウェアとして実装するか、ソフトウェアとして実装するかは、特定の適用例およびシステム全体に課される設計制約に依存する。当業者は、説明された機能のそれぞれの特定の適用例に関して様々な方法で実装することができるが、そのような実装の決定は、本発明の例示的な実施形態の範囲からの逸脱を生じるものと解釈されるべきではない。
【0054】
本明細書で開示された例示的な実施形態に関して説明された例示的な様々な論理ブロック、モジュール、および回路は、本明細書中で説明された機能を実行するように設計された汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくはその他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートもしくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、またはそれらの任意の組合せを用いて実装または実行されうる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってもよいが、代替例として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であってもよい。また、プロセッサは、コンピューティングデバイスの組合せ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装されうる。
【0055】
本明細書で開示された例示的な実施形態に関して説明された方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアとして直接的に実施されるか、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールとして実施されるか、またはその2つの組合せとして実施可能である。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読取り専用メモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または当技術分野で既知の任意のその他の形態の記憶媒体に格納されてよい。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに接続される。代替例として、記憶媒体はプロセッサと一体であってもよい。プロセッサおよび記憶媒体はASIC中に存在しうる。ASICはユーザ端末中に存在しうる。代替例として、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末中に個別構成要素として存在しうる。
【0056】
例示的な1つまたは複数の実施形態では、説明された機能はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せで実装されうる。ソフトウェアで実装される場合、これらの機能は、1つもしくは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体上に記憶されるか、またはコンピュータ可読媒体を介して送信されうる。コンピュータ可読媒体は、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの伝達を可能にする任意の媒体を含む、コンピュータ記憶媒体とコンピュータ通信媒体との両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体でありうる。限定ではなく、例えば、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくはその他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、または命令もしくはデータ構造の形態の所望のプログラムコードを伝達または記憶するために使用可能であり、コンピュータによってアクセス可能な任意のその他の媒体を含むことができる。また、いずれの接続も適切にはコンピュータ可読媒体と称される。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他の遠隔ソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書中で使用されるディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびBlu-ray(登録商標)ディスクを含む。通常、ディスク(disk)は、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)は、データをレーザで光学的に再生する。上記の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれる。
【0057】
開示された例示的な実施形態の上記の説明は、当業者が本発明を実施または使用できるようにするために提供される。これらの例示的な実施形態に対する様々な修正形態は当業者には容易に明らかになり、本明細書中で定義された一般原理は、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用されうる。したがって、本発明は、本明細書中に示す例示的な実施形態に限定されることを意図されず、本明細書で開示される原理および新規性のある特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【符号の説明】
【0058】
100 ワイヤレス伝送または充電システム
102 入力電力
104 送信機
106 場
108 受信機
110 出力電力
112 距離
114 送信アンテナ
118 受信アンテナ
119 通信チャネル
122 発振器
123 調整信号
124 電力増幅器
125 制御信号
126 フィルタおよび整合回路
132 整合回路
134 整流器および切替え回路
136 バッテリ
150 ループアンテナ
152,154 キャパシタ
156 共振信号
200 送信機
202 送信回路
204 送信アンテナ
206 固定インピーダンス整合回路
208 低域フィルタ(LPF)
210 電力増幅器
212 発振器
214 コントローラ
216 負荷感知回路
260 密閉検出器
280 存在検出器
300 受信機
302 受信回路
304 受信アンテナ
306 電力変換回路
308 RF-DC変換器
310 DC-DC変換器
312 切替え回路
314 シグナリングおよびビーコン回路
316 プロセッサ
350 デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12