特許第5914513号(P5914513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スティールコー エスピーアーの特許一覧

<>
  • 特許5914513-完全な洗浄設備 図000002
  • 特許5914513-完全な洗浄設備 図000003
  • 特許5914513-完全な洗浄設備 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5914513
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】完全な洗浄設備
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/02 20060101AFI20160422BHJP
   A61L 2/04 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   B08B1/02
   A61L2/04
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-542621(P2013-542621)
(86)(22)【出願日】2011年10月31日
(65)【公表番号】特表2014-508025(P2014-508025A)
(43)【公表日】2014年4月3日
(86)【国際出願番号】IB2011002616
(87)【国際公開番号】WO2012076944
(87)【国際公開日】20120614
【審査請求日】2014年10月22日
(31)【優先権主張番号】UD2010A000227
(32)【優先日】2010年12月10日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】510060486
【氏名又は名称】スティールコー エスピーアー
(74)【代理人】
【識別番号】100117042
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 正志
(72)【発明者】
【氏名】ツァルディーニ ファビオ
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−537753(JP,A)
【文献】 特開2010−147207(JP,A)
【文献】 特開2005−188680(JP,A)
【文献】 特開平10−230227(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0166860(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/02
A61L 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象の医療用物品に対して少なくとも洗浄及び加熱消毒運転を提供する少なくとも1つの洗浄サイクルを実施する洗浄設備のための第1の移動用スライダであって、
前記第1の移動用スライダは、入口と出口とを有する洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)をなす一組の機械(12)の配列軸(X)に平行に、前記一組の機械の先頭位置において自動的に移動することができ、これにより、洗浄対象の前記物品を受け取って、洗浄プログラムセット又は使用の可否に応じた各場面において選択される前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)の1つの入口に向けて輸送し、また、洗浄対象の前記物品を所望の前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)内へと、前記配列軸(X)と実質的に垂直な輸送方向(F)に移動させる第1の移動用スライダにおいて、
前記第1の移動用スライダ(20)は第1の下側フレーム(22)を備え、前記第1の下側フレーム(22)は前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)の前記一組の機械(12)と摺動可能に連携して、前記配列軸(X)に平行に運動することができ、また前記第1の移動用スライダ(20)は第1の回転上側フレーム(32)を備え、前記第1の回転上側フレーム(32)は洗浄対象の前記物品を支持するのに適しており、所望の前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)内へと一方向に前記物品を前記供給方向(F)に移動させる回転ローラを有する第1の移動手段(34)を備え、
前記第1の回転上側フレーム(32)は、第1の回転手段(42)によって前記第1の下側フレーム(22)に回転可能に連結され、これにより第1の位置と第2の位置の間で回転することができ、前記第1の位置は第1の輸送手段(24)の輸送方向(Y)に配列され、洗浄対象の前記物品を前記配列軸(X)に平行に前記第1の移動用スライダ(20)へと方向付けることができ、前記第1の回転上側フレーム(32)は前記第1の位置において前記第1の輸送手段(24)から前記物品を受け取るよう構成され、また、前記第2の位置は前記供給方向(F)に配列され、これによって前記物品を所望の前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)内へと方向付けることを特徴とする第1の移動用スライダ。
【請求項2】
前記第1の下側フレーム(22)及び前記第1の回転上側フレーム(32)はまた、前記第1の移動用スライダ上に設置された直線移動手段(50)を用いて、前記物品が前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)内へと移動することができる前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)近傍の第3の位置と、前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)から離間した第4の位置との間で、共通のベース支持フレーム(22a)に対して直線的に、前記供給方向(F)に平行に移動可能であり、これにより、前記第1の回転上側フレーム(32)の回転のための動作空間を区画することができることを特徴とする、請求項1に記載の第1の移動用スライダ。
【請求項3】
前記ベース支持フレーム(22a)は、前記供給方向(F)に平行に配置されたガイドバー(60)を備え、
前記第1の下側フレーム(22)は、前記ガイドバー(60)に連結するのに適した摺動手段(62)を備え、
前記直線移動手段(50)の駆動は、前記第1の下側フレーム(22)及び前記第1の回転上側フレーム(32)の、前記ベース支持フレーム(22a)に対する前記供給方向(F)の摺動を決定する
ことを特徴とする、請求項2に記載の第1の移動用スライダ。
【請求項4】
前記直線移動手段(50)はリニアアクチュエータを備え、前記リニアアクチュエータは、シリンダ(54)の内部で前記供給方向(F)に平行な方向に摺動するピストン(52)を備え、
ここで前記シリンダ(54)は前記ベース支持フレーム(22a)に拘束され、前記ピストン(52)は前記第1の下側フレーム(22)に拘束される
ことを特徴とする、請求項2又は3に記載の第1の移動用スライダ。
【請求項5】
前記ピストン(52)は、前記第1の下側フレーム(22)にヒンジ留めされる連結部材(56)を有することを特徴とする、請求項4に記載の第1の移動用スライダ。
【請求項6】
洗浄対象の医療用物品に対して少なくとも洗浄及び加熱消毒運転を提供する少なくとも1つの洗浄サイクルを実施するための洗浄設備であって、
前記洗浄及び加熱消毒効果をもたらすために互いに並列的に動作することが可能な、配列軸(X)に沿って配置された洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)をなす一組の機械(12)を備える、洗浄設備において、
前記洗浄設備は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の少なくとも1つの第1の移動用スライダ(20)を備えることを特徴とする洗浄設備。
【請求項7】
前記洗浄設備は、第2の輸送手段(124)と協働する第2の移動用スライダ(120)を備え、
前記第2の移動用スライダ(120)は、前記一組の機械(12)の後部位置において前記配列軸(X)に平行に自動的に移動することができ、これにより、前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)の前記一組の機械(12)から出た洗浄された前記物品を受け取って、これらを前記第2の輸送手段(124)へと移動させることができ、
また、前記第2の移動用スライダ(120)は、第2の下側フレーム(122)及び第2の回転上側フレーム(132)を備え、
前記第2の回転上側フレーム(132)は、第2の回転手段(142)を用いて、所望の前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)から前記物品を引き出すために前記供給方向(F)と配列された位置と、前記第2の輸送手段(124)の輸送方向と配列された位置との間で回転させることができるよう作製され、
後者の前記位置において、前記第2の回転上側フレーム(132)は、前記物品を前記第2の輸送手段(124)へと方向付けるよう構成される
ことを特徴とする、請求項6に記載の洗浄設備。
【請求項8】
前記第2の下側フレーム(122)及び前記第2の回転上側フレーム(132)はまた、前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)近傍の位置と、前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)から離間した位置との間で、直線的に、前記供給方向(F)に平行に移動可能であり、これにより、前記第2の回転上側フレーム(132)の回転のための動作空間を区画することができることを特徴とする、請求項7に記載の洗浄設備。
【請求項9】
第1の主分離手段(72)と、前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)の前記一組の機械(12)との間で区画される、前記第1の輸送手段(24)及び前記第1の移動用スライダ(20)が設けられた汚染セクタ(A)、並びに
前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)の前記一組の機械(12)と、前記第1の主分離手段(72)に対向し、かつ実質的に平行な位置にある第2の主分離手段(78)との間で区画される、前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)の前記一組の機械(12)及び副分離手段(74、76)を用いて前記汚染セクタ(A)から分離された、前記第2の輸送手段(124)及び前記第2の移動用スライダ(120)を備える清浄セクタ(B)を備え、
前記第1及び第2の主分離手段(72、78)は、互いに相互距離(L)で配置され、前記相互距離(L)は実質的に、前記第1および第2の移動用スライダ(20,120)の長さと、前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)の前記一組の機械(12)の奥行き(D)と、前記第1および第2の回転上側フレーム(32,132)の回転のために設けられる必要な空間との合計によって与えられることを特徴とする、請求項8に記載の洗浄設備。
【請求項10】
配列軸(X)に沿って配置された洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)をなす一組の機械(12)によって行われる少なくとも洗浄及び加熱消毒運転を提供する少なくとも1つの洗浄サイクルを実施するための方法であって、
前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)は、互いに並列的に動作して、前記洗浄及び加熱消毒運転を実施し、
洗浄対象の医療用物品を、第1の輸送手段(24)によって、前記配列軸(X)に実質的に平行な輸送方向(Y)に輸送し、
請求項1記載の第1の移動用スライダ(20)は、前記第1の輸送手段(24)から来る洗浄対象の前記物品を受け取って、前記一組の機械(12)の先頭位置において前記物品を前記配列軸(X)に平行に自動的に移動させ、前記物品を、洗浄プログラムセット又は使用の可否に応じた各場面において選択される前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)の1つの入口に向けて輸送し、また、前記物品を所望の前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)内へと、前記配列軸(X)と実質的に垂直な輸送方向(F)に移動させる方法において、
前記物品は、前記輸送方向(Y)への配列の第1の位置において動作する前記第1の移動用スライダ(20)に積載され、前記配列軸(X)に平行な前記第1の移動用スライダ(20)の移動の前、後、又は移動中に、前記物品を前記第1の移動用スライダ(20)上に配置したまま、所望の前記洗浄及び加熱消毒器(14、16、18)内へと前記物品を方向付けるために前記供給方向(F)に配列された第2の位置へと請求項1記載の第1の回転上側フレーム(32)によって回転することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば病棟、手術室、研究室、及び薬学系産業用の医療器具等の、典型的にはラック内に収容された物品(objects)の洗浄設備(plant)に関し、この洗浄設備は、並列的に動作するために所望の第1の方向に配列された洗浄器をなす第1の一組の機械(battery;一組の洗浄器)を備え、洗浄対象物品を収容した1つ以上のラックを、洗浄プログラムセット又は使用の可否に応じた各場面において選択された洗浄器に供給するために、第1の方向に可動である移動用スライダを備える。移動用スライダに供給される洗浄対象物品を収容したラックは典型的には、輸送及び供給手段からもたらされるものであり、この輸送及び供給手段は、自動、半自動又は手動であってよく、一般には、連続的に動作するために所定の配列軸上に配列された予備洗浄器をなす第2の一組の機械と連携する。
【背景技術】
【0002】
例えば手術室で使用する、従って潜在的に汚染されており無菌状態ではない機器等の物品を、予備洗浄、洗浄、加熱消毒及び殺菌して再使用できるようにするための洗浄設備が、病院組織に通常設けられることは知られている。
【0003】
特に、公知の洗浄設備は通常複数のセクタに分割され、衛生上の理由により互いから隔離され、それぞれ「汚染」又は収容セクタ、「清浄」セクタ及び「無菌」セクタと呼ばれる。
【0004】
第1のセクタ、即ち汚染セクタには、様々な処理を受けることになる汚染された物品を収容したラックが到着する。実施される処理は一般に、冷水のみを用いた予備洗浄、超音波浴での可能な洗浄、使用可能な洗剤を用いた温水での洗浄、必要なすすぎ、加熱消毒、及び最後の乾燥である。特に、洗浄の特定の種類である加熱消毒を、通常は約90℃〜約93℃の温水を用いて実施する。
【0005】
通常、予備洗浄は、例えば2つ又は3つの、互いに連続的に動作するために所定の配列軸上に配列された、適切な予備洗浄器又はユニットの一組の機械を用いて実施される。
【0006】
これとは対照的に、洗浄、すすぎ、加熱消毒及び乾燥を含むサイクルは、生産性の要求に応じて例えば5つ又は6つの、互いに並列的に動作するためにそれぞれの配列軸上に配置された、適切な洗浄器をなす一組の機械で実施される。
【0007】
洗浄対象の物品を有するラックは最後の予備洗浄ユニットから出て、その時に使用可能な洗浄及び加熱消毒器へと供給される。
【0008】
各洗浄及び加熱消毒器は、他の洗浄器と並列的に動作し、かつ、汚染側に対面する開口及びそれに対向する清浄側に対面する開口を有する洗浄チャンバからなるものであるため、他の洗浄及び加熱消毒器との配列軸に直交する方向に供給されなければならない。普通、供給は洗浄器の配列方向に可動である移動用スライダを用いて行われ、これは予備洗浄の一組の機械からの又は積載ステーションからの出口において、洗浄対象の物品を収容したラックを受け取る。移動用スライダはこれらを、洗浄プログラムセット又は使用の可否に応じた各場面において選択される洗浄器の1つの入口に向けて輸送し、これらを所望の洗浄器内へと、供給方向に移動させる。
【0009】
対照的に、連続的に動作する予備洗浄ユニットでは、供給方向は、予備洗浄の一組の機械がそれに沿って延在する配列軸と一致する。
【0010】
従って普通は、第2の洗浄及び加熱消毒の一組の機械が予備洗浄の一組の機械の下流に配置され、その配列軸は予備洗浄の一組の機械の配列軸に垂直である。従って、予備洗浄ユニットの配列軸は、洗浄及び加熱消毒器の配列軸と直交する。このようにして、最後の予備洗浄ユニットから出た物品は、洗浄及び加熱消毒器に直接送られる状態になる。
【0011】
このような洗浄設備のこの実施形態のいくつかの例は、本出願人による特許文献1及び特許文献2に見ることができる。
【0012】
加熱消毒及び乾燥の後、物品は第2の清浄セクタへと進み、ここで場合によっては梱包され、ここから、物品を殺菌する、一般にはオートクレーブである殺菌器の一組の機械へと供給され;これらは並列的に動作し、典型的には洗浄及び加熱消毒の一組の機械と平行な方向に配列される。
【0013】
こうして、殺菌された物品は、これに続く第3の殺菌セクタへと進み、ここで貯蔵されるか、又は再び手術室での使用のために送り出される。
【0014】
公知の洗浄設備の1つの欠点は、少なくとも予備洗浄並びに洗浄及び加熱消毒を実施するために、設置サイズが極めて大きくなることである。
【0015】
この欠点を克服するために、本出願人による特許文献3から、コンパクトな設備が公知であり、この設備では、予備洗浄ユニットの配列軸は洗浄器の配列軸と実質的に平行であり、切り替え手段が予備洗浄の一組の機械からの出口に直接設けられ、これによって、物品を有するラックを洗浄器への適切な供給方向へと方向付ける。洗浄対象の物品を収容したラックは、正しく方向付けられると、移動用スライダへの供給方向にラックを変位させることによって動作する固定タイプの移動手段上で移動され、その後上述のように移動される。
【0016】
しかしながら、この公知の解決法もまた、設備の設置スペースが狭いか又は最適でないような特定の状況では、過剰な容積に悩まされることになり得る。
【0017】
本発明の目的は、占有スペースが少ない完全な洗浄設備であって、コンパクトであり、洗浄対象の物品が洗浄及び加熱消毒器へと容易に進むことができる洗浄設備を実現することである。
【0018】
本出願人は、先行技術の欠点を克服するために、並びにこれらの及びその他の目的及び利点を得るために、本発明を考案し、試験し、及び具現化した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】欧州特許第1787662号
【特許文献2】欧州特許第1787731号
【特許文献3】国際公開特許第2009/030599号
【発明の概要】
【0020】
本発明は、独立請求項において記載され、かつその特徴を説明されており、一方、従属請求項は、本発明又はその主たる発明的思想の変形例のその他の特徴を説明する。
【0021】
上述の目的によると、本発明による洗浄設備を用いて、典型的にはラックに収容された物品に対して、少なくとも1つの洗浄サイクルを行うことができ、この洗浄サイクルは、少なくとも洗浄及び加熱消毒運転を提供する。
【0022】
本発明による洗浄設備は、洗浄及び加熱消毒器の一組の機械を備え、これは配列軸に沿って配置され、互いに並列的に動作して洗浄及び加熱消毒を行うことができる。
【0023】
洗浄設備は、自動的に移動し、かつ一組の機械の先頭位置において配列軸に平行である少なくとも1つの第1の移動用スライダを備え、これは、例えばラックに収容された洗浄対象の物品を受け取り、これらを、洗浄プログラムセット又は使用の可否に応じた各場面において選択される洗浄器の1つの入口に向けて輸送し、また、これらを所望の洗浄器内へと、配列軸と実質的に垂直な輸送方向に移動させる。
【0024】
本発明によると、洗浄対象の物品を第1の移動用スライダへと、配列軸に実質的に平行な方向に方向付ける、第1の輸送手段が設けられる。
【0025】
更に、第1の移動用スライダは第1の下側フレームを備え、これは洗浄器をなす一組の機械と摺動可能に連携し、洗浄器の配列軸に平行に移動することができ、また第1の移動用スライダは第1の回転上側フレームを備え、これは洗浄対象の物品を支持するのに適しており、所望の洗浄器内へと物品を供給方向に移動させる第1の移動手段を備える。
【0026】
第1の回転上側フレームは、第1の回転手段によって第1の下側フレームに回転可能に連結され、これにより第1の位置と第2の位置の間で回転することができ、この第1の位置は第1の輸送手段の輸送方向に配列され、第1の回転上側フレームはこの位置において第1の輸送手段から物品を受け取るよう構成され、また、この第2の位置は供給方向に配列され、これによって物品を洗浄器内へと方向付ける。第2の位置への回転は、洗浄器をなす一組の機械の配列軸に平行な第1の移動用スライダの移動の前、後又は移動中に発生することができる。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、有利には、第1の移動用スライダの第1の回転上側フレームは主に供給方向に伸張する構造を有し、例えば第1の回転上側フレームは、使用中に供給方向に平行な長辺を有する長方形の設計を有し、第1の下側フレーム及び第1の回転上側フレームはまた、第1の移動用スライダ上に設置された直線移動手段を用いて、物品が洗浄器内へと移動することができる洗浄器近傍の第3の位置と、洗浄器から離間した第4の位置との間で、典型的には洗浄設備の支持平面上に配置された共通のベース支持フレームに対して直線的に、供給方向に平行に移動可能であり、これにより、第1の回転上側フレームの回転のための動作空間を区画することができる。
【0028】
このようにして、第1の回転上側フレームが第1の下側フレームに対して回転する前に、第1の下側フレーム及び第1の回転上側フレームから形成された組の後方へ直線的に移動することができ、これにより、第1の回転上側フレームの大部分を回転させるために必要な空間を、スライダ又は洗浄器の他の前部部品を妨害することなく生成することができる。第4の位置で後方に移動した後、第1の回転上側フレームは、スライダ又は洗浄器の他の部品を妨害することなく、第1の位置から第2の位置へと回転することができ、その後、第1の輸送手段から受け取った洗浄対象の物品を積載して、再び第2の位置から第2の位置へと回転し、続いて、第3の位置で洗浄器の方向へ前進することができる。
【0029】
このようにして、通常、予備洗浄器と洗浄器との間に、洗浄器の配列軸と垂直に配置される固定移動手段の大部分が、完全に削除されるため、極めて狭いスペースに、又は細長い構成で、洗浄設備を設置することができる。
【0030】
実際、洗浄器の配列軸に平行な動作方向を有し、第1の移動用スライダの移動経路と直接協働する第1の移動手段を配置することにより、物品を第1の移動用スライダに容易に積載することができ、ここで第1の回転上側フレームは、第1の移動手段と整合した方向に適切に回転し、続いて、第1の移動用スライダを用いて物品を洗浄器に方向付けし、第1の回転上側フレームは再び、洗浄器への供給方向に整合した方向に回転する。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明による洗浄設備は、洗浄器をなす一組の機械からの出口の後側に設けられた、第2の輸送手段と協働する別の第2の移動用スライダを備える。
【0032】
他の第2の移動用スライダは、一組の機械の後側の後部位置において配列軸に平行に自動的に移動することができ、これにより、一組の機械から出た洗浄された物品を受け取り、これを第2の輸送手段へと移動させることができ、この第2の輸送手段は、物品を他の処理、又は梱包及び/又は貯蔵へと送る。他の第2の移動用スライダは第2の下側フレーム及び第2の回転上側フレームを備え、第2の回転上側フレームは、所望の機械から出てくる物品を引き出すために供給方向に配列された位置と、第2の輸送手段の輸送方向に配列された位置との間で、第2の回転手段を用いて回転可能に作製され、この後者の位置において、第2の回転上側フレームは物品を第2の輸送手段へと方向付けるように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、他の第2の移動用スライダの第2の下側フレーム及び第2の回転上側フレームは、機械の近傍位置と機械から離間した位置との間で、供給方向に平行に直線的に移動することもでき、これにより、第2の回転上側フレームの回転のための動作空間を区画する。
【0034】
いくつかの実施形態によると、本発明による洗浄設備は、第1の主分離手段と一組の機械との間に区画された汚染セクタを備え、この汚染セクタに第1の輸送手段及び第1の移動用スライダが設けられ、また、洗浄設備は、他の第2の輸送手段及び第2の移動用スライダが設けられた清浄セクタを備える。清浄セクタは、一組の機械と、第1の主分離手段と対向し、かつ実質的に平行な位置にある第2の主分離手段との間に区画され、また、一組の機械及び副分離手段を用いて汚染セクタから分離される。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1の主分離手段は、互いからある相互距離に配置され、この距離は実質的に、第1および第2の移動用スライダの長さと、一組の機械奥行きと、第1および第2の回転上側フレームの回転のために設けられる必要な空間との合計によって決定される。
【0036】
本発明はまた、少なくとも1つの洗浄サイクルを物品に対して実施するための方法にも関し、このサイクルは、配列軸に沿って配置される洗浄及び加熱消毒器の一組の機械によって実施される洗浄及び加熱消毒運転を少なくとも提供し、この一組の機械は互いに並列的に動作して、洗浄及び加熱消毒を実施する。本発明による方法では、洗浄対象の物品は、第1の輸送手段によって、配列軸に実質的に平行な輸送方向に輸送され、第1の移動用スライダは第1の輸送手段から到着した洗浄対象の物品を受け取って、これらを自動的に、一組の機械の先頭位置において配列軸に平行に移動させ、洗浄プログラムセット又は使用の可否に応じた各場面において選択される機械の1つの入口に向けて輸送し、所望の機械内へと、配列軸に実質的に垂直な供給方向に移動させる。
【0037】
本発明の方法によると、物品は、第1の配列位置において輸送方向に動作する第1の移動用スライダ上に積載され、配列軸に平行な第1の移動用スライダの移動の前、後、又は移動中に、物品を第1の移動用スライダ上に配置したまま、所望の機械内へと物品を方向付けるために供給方向に配列された第2の位置へと回転する。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態では、本方法は、積載動作と対称な動作で、洗浄された物品の引き出し又は荷下ろしを行う。特に、物品は、洗浄器からの出口において、供給方向に配列された方向に動作する第2の移動用スライダから下ろされ、第2の移動用スライダと一緒に、洗浄器をなす一組の機械の配列方向に平行に、出口においてこれらを受け取ることができる第2の輸送手段へと自動的に移動する。物品の移動前、後又は移動中、物品は第2の移動用スライダ上に配置されたまま、第2の輸送手段と連携する輸送方向に整合した状態で回転し、これにより、第2の輸送手段がこれらを直接使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明の以上の及びその他の特徴は、添付の図面を参照して非限定的な例として挙げる好ましい実施形態についての以下の説明から明らかになるであろう。
【0040】
図1図1は、本発明による洗浄設備の平面図である。
図2図2は、図1の洗浄設備の移動用スライダの斜視図である。
図3図3は、回転及び収納位置における図2の移動用スライダの一部の斜視図である。
【0041】
理解を容易にするために、図面において同一の共通要素を識別するにあたり、可能な場合は同一の参照番号を使用した。1つの実施形態の要素及び特徴は、更なる説明なしに他の実施形態に好都合に援用することができることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1を参照すると、本発明による洗浄設備10を用いて、例えば病棟、手術室、研究室、及び薬学系産業用の機器等の物品の予備洗浄、洗浄、加熱消毒及び殺菌の完全な処理を行うことができ、このような物品は一般に、適切なラックに収容されて輸送される。
【0043】
洗浄設備10は具体的には、例えば壁である分離手段72、74、76、78によって分割された3つのセクタで構成され、これら3つのセクタは場合によっては貫通口によって選択的に連通するようになっており、これら3つのセクタは具体的には、汚染された機器を受け取る汚染セクタA、加熱消毒の下流の清浄セクタB、及び殺菌の下流の殺菌セクタである。
【0044】
「分離手段」という表現は、厳密に分離壁を意味し、また、その他の機械又は装置の本体や、機器又は他の洗浄対象の物品を移動させるために必要な経路を意味することもある。例えば、2つの対向する主分離壁、即ち主分離壁及び第2の主分離手段として機能する物品の移動経路と、副分離壁とを設けることができる。従って、本発明の精神において、分離手段は、壁若しくは機械等、それが物理的に回避されているため、占有することができず、又は、物品の移動経路等の他の機能のために必要であるため、占有されてはならない。
【0045】
汚染セクタAでは、一組の機械は連続的に動作して冷水による予備洗浄、使用できる化学洗剤中での洗浄、及び/又は超音波浴中での洗浄を行う予備洗浄ユニット(図示せず)からなるものとしてよく、必要に応じて様々な組み合わせ及び順序で配置してよい。
【0046】
「連続的に動作する」という表現は、予備洗浄ユニットから出た物品が、直後の予備洗浄ユニットへの入口に直接対面し、従って、そのまま最後の予備洗浄ユニットを除く後続の予備洗浄ユニットに入る物品を構成することを意味する。
【0047】
汚染セクタAと清浄セクタBとの間に、洗浄設備10は洗浄及び加熱消毒器14、16及び18の一組の機械12を備え、これは配列軸Xに沿って配列され、並列的に動作し、この場合は3つであるが、2つ又は4つ以上の洗浄器が存在してもよい。
【0048】
最後に、清浄セクタBと殺菌セクタの間には、並列的に動作する殺菌用オートクレーブ(図示せず)が設けられる。
【0049】
「並列的に動作する」という表現は、洗浄及び加熱消毒器が隣接しており、これらが、互いに対して平行にかつ同一平面上に配置された洗浄及び加熱消毒器14、16、18の内部洗浄チャンバへの入口開口をそれぞれ有し、これにより、選択された洗浄及び加熱消毒器の1つに物品が入ることができることを意味する。
【0050】
これは、一組の機械12に沿った洗浄対象の機器の移動及び供給方向(矢印Fで示す)が、洗浄及び加熱消毒器14、16及び18がそれにそって配列される配列軸Xに実質的に垂直であることを意味する。
【0051】
洗浄設備10は固定タイプの第1の輸送手段を備え、この第1の輸送手段を用いて、洗浄対象の機器を収容したラックを、一組の機械12の配列軸Xに平行な輸送方向Yに、一組の機械12へと輸送する。
【0052】
図示した実施形態では、第1の輸送手段はローラコンベヤ24を備え、これは主に、輸送方向Yに沿って長手方向に延在する。
【0053】
洗浄設備10は、汚染セクタA内で、洗浄及び加熱消毒器14、16、18への入口に対して実質的に先頭位置に配置される、第1の移動用スライダ20を備える。
【0054】
第1の移動用スライダ20は、図1に矢印Pで示す一組の機械12の配列軸Xに平行な方向に自動的に動くことができる。第1の移動用スライダ20は、洗浄対象の物品を、ここではローラコンベヤ24である第1の輸送手段から受け取り、これらを、洗浄プログラムセット又は使用の可否に応じた各場面において選択される洗浄及び加熱消毒器14、16、18の1つの入口に向けて輸送し;また、第1の移動用スライダ20は、これらを所望の洗浄及び加熱消毒器14、16、18内へと、配列軸Xと実質的に垂直な供給方向Fに移動させる。
【0055】
この場合はローラコンベヤ24である第1の輸送手段は、洗浄及び加熱消毒器14、16、18の前の第1の移動用スライダ20に続く経路に対して、この経路を妨害しないように外側位置に配置され、また同時に、いずれの場合においても、洗浄及び加熱消毒器14、16、18の一組の機械12の端部の1つに直接対応して位置決めされ、これにより、第1の輸送手段は、洗浄対象の物品を有するラックを第1の移動用スライダ20に容易に供給することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1の移動用スライダ20(図2)は第1の下側フレーム22を備え、これは洗浄及び加熱消毒器14、16、18の一組の機械12と摺動可能に連携し、これによって第1の移動用スライダ20は配列軸Xに平行に移動することができ、また、第1の移動用スライダ20(図2)は第1の回転上側フレーム32を備え、これは洗浄対象の物品を支持する支持平面を規定し、洗浄及び加熱消毒器14、16、18の1つの中へと物品を供給方向Fに移動させる第1の移動手段34を備える。
【0057】
第1の回転上側フレーム32は、第1の回転手段42によって第1の下側フレーム22に回転可能に連結され、これにより、それ自体の垂直軸Zの周りで、矢印G(図2)で示すように第1の位置と第2の位置の間で回転することができ、この第1の位置は第1の輸送手段24の輸送方向に配列され、第1の回転上側フレーム32はこの位置において第1の輸送手段24から物品を受け取るよう構成され、また、この第2の位置は供給方向Fに配列され、これによって物品を洗浄及び加熱消毒器14、16、18内へと方向付ける。
【0058】
変形例によると、第1の回転手段42は、本出願人による特許文献3に記載されているように作製することができ、ドラム42aと、互いに平行であり、それぞれ第1の下側フレーム22及び第1の回転上側フレーム32と連携する、水平タイプの取り付けプレート42b、42cの組とを備える。油圧タイプのリニアアクチュエータが第1の下側フレーム22に設置され、これは、所定の移動距離だけ入れ子式に伸縮自在なロッドを有する。また一方で、プレート42bの特に下面にドラム42aが設置され、これはそれ自体の軸の周りで回転可能なシリンダの中心に担持され、その上部においてプレート42cと連結される。その下側で、このシリンダはレバー上へと結合され、このレバーは、リニアアクチュエータのロッドに拘束された1つの端部を有する。適切に指示及び制御されたリニアアクチュエータの直線運動、具体的にはロッドの入れ子式の伸張により、レバーの回転並びにそれに伴うシリンダ及びこれと一体となったプレート42bの回転が決定される。リニアアクチュエータのロッドの全移動距離は、第1の回転上側フレーム32に付与される回転角度に直接相関する。これら全てによって、ここでは約90°である第1の回転上側フレーム32及び洗浄対象の物品を有するラックの回転が引き起こされる。
【0059】
第1の下側フレーム22と第1の回転上側フレーム32との回転可能な連結のための、上述の第1の回転手段42の実施形態は、本発明に関する制限として理解されるべきではなく、従って、輸送方向Yで第1のローラコンベヤ24から到着する機器を担持するラックを回転させて、これを供給方向Fに供給することができる、他のいずれの回転機構においても、本発明を使用することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、洗浄及び加熱消毒器14、16、18の前方における、配列軸Xに平行な第1の移動用スライダ20の移動は、動力化手段(図示せず)によって可能となる。
【0061】
本出願人による特許文献1及び特許文献2は、第1の移動用スライダ20を洗浄及び加熱消毒器14、16、18の一組の機械12に沿って自動的に移動させるための実施形態を記載している。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1の移動用スライダ20の運動を容易にするために、洗浄及び加熱消毒器14、16、18の下側及び前方に配置される、配列軸Xに平行なガイドバー24が設けられ、このガイドバー24と、第1の下側フレーム22と連携する取り付け部分26とが摺動可能に連結される。
【0063】
更に、第1の下側フレーム22は、洗浄設備10がその上に設置される支持平面と協働する、この場合はホイール23である複数の摺動手段とも連携することができ、これら摺動手段は、配列軸Xに平行な運動と整合する位置にクランプ留めすることができるか、又は周転することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1の移動用スライダ20はその設計において、主に供給方向Fに伸張し、ここでは、通常の使用において、洗浄及び加熱消毒器14、16、18に供給する際、供給方向に平行に配置される長辺を有する長方形状である。この長方形状は、一般には複数の平面上で、所定の数のラックを格納するよう選択され、これらラックは洗浄対象の機器を収容しており、標準的なサイズを有する。
【0065】
具体的には、第1の回転上側フレーム32は長方形状であり、互いに対して平行かつ供給方向Fに平行な対向する2つの長辺32aを備え、これら2つの長辺は、互いに対して平行かつ配列軸Xに対して平行な対向する2つの短辺32bによって離間している。
【0066】
これらの実施形態では、上述の長方形状により、第1の回転上側フレーム32の回転によって第1の回転上側フレーム32の縁部が第1の移動用スライダ20及び/又は洗浄及び加熱消毒器14、16、18の1つの前部部品を妨害する恐れがある。実際、第1の移動用スライダ20、及び具体的には第1の回転上側フレーム32は、第1の移動用スライダ20が機械的に連結される洗浄及び加熱消毒器14、16、18の一組の機械12近傍に位置決めされ、これにより、いくつかの動作条件において、洗浄対象の機器及びラックの質量分布が、危険が生じる程度に重心から変位するのを防ぐ。
【0067】
第1の回転上側フレーム32の回転に対するいずれの障害も防ぐために、本発明の1つの実施形態では、第1の移動用スライダ20上に設置された直線運動手段50を用いて、第1の下側フレーム22及び第1の回転上側フレーム32を、洗浄対象の機器を収容したラックが洗浄及び加熱消毒器14、16、18内へと移動することができる洗浄及び加熱消毒器14、16、18近傍の第3の位置と、洗浄及び加熱消毒器14、16、18から離間した第4の位置との間で、通常洗浄設備10の支持平面上にある共通のベース支持フレーム22a(図2及び3)に対して供給方向Fに平行に直線的に移動することができるようにもなっており、これにより、図2及び3に示すように、第1の回転上側フレーム32の回転のための動作空間を区画する。
【0068】
この実施形態では、ベース支持フレーム22aは、ここではホイール23である摺動手段23を備え、その上に取付け部26が設けられ、これにより、ガイドバー24と協働することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、第1の下側フレーム22及び第1の上側フレーム32の組み合わせが後方へ直線的に移動することを可能とするために、ベース支持フレーム22aは、供給方向Fに平行に配置された2つのガイドバー60を備え、ベース支持フレーム22aの上側かつ第1の回転上側フレーム32の下側に配置された第1の下側フレーム22は、ここではガイドバー60と連結されたパッド62を用いて、これらガイドバー60と摺動可能に連携し、これにより、ベース支持フレーム22aに対して、供給方向Fに平行に直線的に移動することができる。
【0070】
第1の下側フレーム22は第1の回転上側フレーム32に回転可能に連結されているため、第1の下側フレーム22は第1の回転上側フレーム32と一体であり、従って、図2に矢印Mで示す、第1の下側フレーム22の供給方向Fにおける後方又は前方への直線的な移動もまた、これと整合した第1の回転上側フレーム32の直線的な移動を決定する。
【0071】
いくつかの実施形態では、直線運動手段50はリニアアクチュエータを備え、これは供給方向Fに沿って作用するよう構成され、また、一方の側において、ベース支持フレーム22aの中間長手方向部材22bに取り付けられた係留部材59を用いてベース支持フレーム22aに拘束され、もう一方の側において、同様の係留部材58に拘束された連結部材56を用いて第1の下側フレーム22に拘束される。この場合、第1の下側フレーム22を係留部材58に関節連結又はヒンジ留めして、非常に自由に運動できるようにするために、連結部材56はフォーク型である。
【0072】
この場合のリニアアクチュエータは、係留部材59を用いてベース支持フレーム22aに拘束されたシリンダ54と、このシリンダ54の内部で直線的に摺動する、連結部材56を用いて第1の下側フレーム22に連結されたピストン56とを備える。
【0073】
いくつかの実施形態では、第1の移動用スライダ20の第1の回転上側フレーム32に物品を積載した後の洗浄及び加熱消毒器14、16及び18内への物品の移動は、第1の移動用スライダ20に設置された適切な第1の移動手段34(図2)によって可能となり、この第1の移動手段34の動作は供給方向Fと平行である。第1の移動手段34は例えば、本出願人による特許文献2に記載されているように作製される。
【0074】
総合的に、いくつかの実施形態では、第1の移動手段34は、第1の回転上側フレーム32に設置されたモータ40で駆動されるベルト又はチェーン36を備える。ベルト又はチェーン36は、第1の回転上側フレーム32の長辺32aに沿って配置される回転ローラ38へと入り、これにより、洗浄対象の機器を収容したラックを前方へと供給することができる。
【0075】
更に、第1の移動手段34は、この場合はブレードとして作製された位置決め部材43を備え、この位置決め部材43は、第1の回転上側フレーム32の2つの長辺32aの一方に沿って配置されるガイドバー44上に片持ち状態で設置され、また、これに沿って位置決め部材43をモータ40で適切に駆動して摺動させることができる。位置決め部材43は、交互の前後運動と、洗浄対象の機器を収容したラックがある平面に対する上下運動とによって、機器を有するラックを洗浄器内へと押し込み、これによってそれぞれのラックに選択的に係合してこれを移動させるために設けられる。
【0076】
いくつかの実施形態では、洗浄及び加熱消毒器14、16、18の一組の機械12の後ろに、便宜上参照番号120(図1)で表す別の第2の移動用スライダが設けられ、これは第1の移動用スライダ20と同一であり、配列方向Xに平行に可動であるが、供給方向Fに一組の機械12から出た洗浄された機器を有するラックを引き出す機能と、矢印Qで示すように、これらを第2のローラコンベヤ124等の他の輸送手段へと配列方向Xに平行に輸送する機能とを有し、この第2のローラコンベヤ124は第1のローラコンベヤ24と同一であるが、ラックを第2の移動用スライダ120から引き出して、必要に応じて例えば殺菌セクタへ、又は直接梱包するために輸送する機能を有する。図1から分かるように、第2の移動用スライダ120も、参照番号122、132で表される第2の下側フレーム及び第2の回転上側フレーム、並びに、第1の移動用スライダ20の位置決め部材43と同一である参照番号143で表される位置決め部材を有し、第2の下側フレーム122及び第2の回転上側フレーム132はそれぞれ第1の移動用スライダ20の第1の下側フレーム22及び第1の回転上側フレーム32と同一であり、位置決め部材143は第1の移動用スライダ20の位置決め部材43と同一であるが、押し込む機能ではなく、洗浄及び加熱消毒器14、16、18から引き出す機能を有する。第1の移動用スライダ20に関してと同様、第2の回転上側フレーム132もまた、第1の回転手段42と同一である参照番号142で表す第2の回転手段を用いて、第2の下側フレーム122に回転可能に連結され、これにより、洗浄及び加熱消毒器14、16、18からの出口において供給方向Fと配列された位置と、第2のローラコンベヤ124と配列された位置との間で回転する。
【0077】
更に、この場合でも、第2の下側フレーム122及び第2の回転上側フレーム132の組み合わせを、供給方向Fにおいて前後に直線的に移動させることができ、これにより、第2の回転上側フレーム132は、洗浄器の出口に配列された位置と第2のローラコンベヤ124に配列された位置の間で、第2の移動用スライダ120又は洗浄及び加熱消毒器14、16、18の他の構成部品を妨害することなく回転することができる。
【0078】
本発明を用いて、主分離手段による幾何学的制約が存在する狭い空間にさえ洗浄設備10を設置することができ、この制約には、洗浄設備の設置前、及び場合によっては設置後に存在し得るものもある。特に、第1及び第2の主分離手段は、図面では2つの主壁72、78であるが、洗浄及び加熱消毒器14、16、18の配列方向Xに配置され、また、相互距離Lで設置される。第1及び第2の主分離手段の間に洗浄及び加熱消毒器14、16、18を配置し、図では2つの副壁74、76である副分離手段は、一方はここでは主壁72である第1の主分離手段に向かって、もう一方はここでは主壁78である第2の主分離手段に向かって、一組の機械12の端部から横方向に延在し、このようにして、汚染セクタAと清浄セクタBを上述のように区画する。
【0079】
本発明を用いて、ここでは2つの主壁72、78である第1及び第2の主分離手段の間の距離Lを、第1および第2の移動用スライダ20、120の長さ及び洗浄及び加熱消毒器14、16、18の一組の機械12の奥行きDと整合するようサイズ決め及び最小化することができ、従って、洗浄設備10の容積を極めてコンパクトにすることができる。実際、距離Lは、第1および第2の移動用スライダ20、120の長さと一組の機械12の奥行きDとの合計と実質的に比較して、上述のように、第1の回転上側フレーム32の回転のための動作空間を、小さいものであっても設けることができる。
図1
図2
図3