特許第5914516号(P5914516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5914516印刷された保護(シールド)供給ラインを備えた医療用電極
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5914516
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】印刷された保護(シールド)供給ラインを備えた医療用電極
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20160422BHJP
【FI】
   A61N1/04
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-546524(P2013-546524)
(86)(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公表番号】特表2014-502899(P2014-502899A)
(43)【公表日】2014年2月6日
(86)【国際出願番号】AT2011000496
(87)【国際公開番号】WO2012092632
(87)【国際公開日】20120712
【審査請求日】2014年9月26日
(31)【優先権主張番号】A4/2011
(32)【優先日】2011年1月3日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】507163677
【氏名又は名称】ラング,レオン.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラング,バーハス
【審査官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−086326(JP,A)
【文献】 特開2005−137456(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0093730(US,A1)
【文献】 米国特許第04442315(US,A)
【文献】 米国特許第04353372(US,A)
【文献】 国際公開第2005/041768(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/04
A61B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極ヘッド(2)と、該電極ヘッド(2)への電力供給ライン(3)とを備えた医療用電極(1)であって、前記供給ライン(3)は、導電性シールド層(4)、誘電要素(5)および導電体(6)を備え、前記供給ライン(3)は更に長形の基板要素(7)を備え、その基板要素の上には前記導電性シールド層(4)が少なくとも部分的に印刷されている、医療用電極(1)において、
前記少なくとも部分的に印刷されたシールド層(4)は、上側の印刷された電気シールド層(4a)および下側の印刷された電気シールド層(4b)を有しており、
前記少なくとも部分的に印刷されたシールド層(4)前記供給ライン(3)の長手軸(L)を横断する方向にて前記誘電要素(5)と前記導電体(6)を完全に包囲するように、前記上側及び下側の電気シールド層(4a,4b)が少なくとも一定の領域にわたって一体的に結合されている、ことを特徴とする医療用電極。
【請求項2】
前記基板要素(7)は非導電性である、ことを特徴とする請求項1に記載の医療用電極。
【請求項3】
前記誘電要素(5)および/または前記導電体(6)は印刷されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の医療用電極。
【請求項4】
前記シールド層(4)は、前記基板要素(7)の上に少なくとも部分的、直接的に印刷されており、前記誘電要素(5)と前記導電体(6)は前記基板要素(7)の上に間接的に印刷されている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療用電極。
【請求項5】
前記供給ライン(3)は上側(5a)および下側(5b)の誘電要素を含み、これらの誘電要素は前記供給ライン(3)の長手軸(L)を横断する方向にて前記導電体(6)を完全に包囲している、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療用電極。
【請求項6】
前記電極ヘッド(2)は、
前記供給ライン(3)の前記導電体(6)に接続された導電性信号送受信層(8)と、
前記供給ライン(3)の前記誘電要素(5)に接続された誘電要素(9)と、
前記供給ライン(3)の前記シールド層(4)に接続されたシールド層(10)と、
を含んでおり、
少なくとも前記電極ヘッド(2)の前記導電性信号送受信層(8)、前記電極ヘッド(2)の前記誘電要素(9)および/または前記電極ヘッド(2)の前記シールド層(10)は印刷されている、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の医療用電極。
【請求項7】
前記電極ヘッドは、非導電性の基板要素(11)を更に含んでおり、前記電極ヘッド(2)の前記シールド層(10)は、前記電極ヘッド(2)の前記基板要素(11)の上に直接的に印刷されている、ことを特徴とする請求項6に記載の医療用電極。
【請求項8】
前記基板要素(7、11)は、前記誘電要素(5、9)形成している、
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の医療用電極。
【請求項9】
保護層(12)が、前記電力供給ライン(3)を少なくとも部分的に包囲している、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の医療用電極。
【請求項10】
前記電極ヘッドから離れた前記供給ライン(3)の端部には接続プラグ(13)を取り付けることができ、それを介して本医療用電極(1)を医療用評価装置および/または信号発生装置に接続できる、
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の医療用電極。
【請求項11】
前記シールド層(4)の全体、前記誘電要素(5)の全体および前記導電体(6)の全体が、前記電極ヘッド(2)と前記接続プラグ(13)との間に印刷されている、
ことを特徴とする請求項10に記載の医療用電極。
【請求項12】
電極ヘッド(2)と電力供給ライン(3)とを具備した、請求項1〜11のいずれか一項に記載の医療用電極を製造する方法であって、
前記電極ヘッド(2)及び前記電力供給ライン(3)用の基板要素(7、11)を印刷装置(14)に配置するステップと、
共通の導電性シールド層(4b、10)を、前記電極ヘッド(2)と前記供給ライン(3)の領域内にて前記基板要素(7、11)上に印刷するステップと、
共通の誘電要素(5b、9)を、前記電極ヘッドと前記供給ライン(3)の領域内にて印刷された前記導電性シールド層(4b、10)上に印刷するステップと、
前記供給ライン(3)の領域内にて前記誘電要素(5b)上に導電体(6)を印刷すると共に、前記電極ヘッド(2)の領域内にて信号送受信層(8)を印刷するステップであって、前記導電体(6)と前記信号送受信層(8)とが互いに電気的に接続されるステップと、
少なくとも前記供給ライン(3)の領域内にて、前記導電体(6)を含んだ状態で上側の誘電要素(5a)を下側の誘電要素(5b)上に印刷するステップであって、この印刷によって上側誘電要素(5a)および下側誘電要素(5b)が互いに一体的に結合される、ステップと、
少なくとも前記供給ライン(3)の領域内にて、前記上側誘電要素(5a)および前記下側誘電要素(5b)を含んだ状態で上側のシールド層(4a)を下側のシールド層(4b)上に印刷するステップであって、この印刷によって上側シールド層(4a)および下側シールド層(4b)が互いに一体的に結合される、ステップと、
を備えてなることを特徴とする医療用電極の製造方法。
【請求項13】
少なくとも2つの分離した信号送受信層(8)を備えたマルチ型電極(15)を製造するために、少なくとも2つの個別のシールド層(4、10)と、少なくとも2つの個別の誘電要素(5、9)と、少なくとも2つの個別の導電体(6)が、共通の基板要素(7、11)上に印刷されている、ことを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極ヘッドと、その電極ヘッドへの電力供給ラインとを備えた医療用電極に関する。その供給ラインは、導電性保護(シールド)層、誘電要素および導電体を有しており、その供給ラインは、その上に導電性保護(シールド)層が少なくとも部分的に印刷された長形の基板要素を有している。本発明は、そのような医療用電極の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
電流を人体や動物に導き及びそこから放電させるための医療用電極はかなりの長期にわたり知られている。この分野には非常に幅広い範囲の製造方法も存在し、この関連で、近年できるだけ小型で軽量な電極の製造が重要になってきている。診断用電極の分野では、電磁放射(線)およびその他の干渉源によって可能な限り影響を受けないという評価を可能にする(得られるようにする)ことに対する要求も増加している。この目的のため、対応する電極設計に加えて、特に保護(シールド)ケーブルが採用されている。これらは電磁放射(線)の干渉から検出信号を保護(シールド)し、患者も保護することも可能であろう。
【0003】
特に電極ヘッド(それと共に医療用電極が身体に取り付けられる)を可能な限りシンプル且つ薄く製造するため、従来技術では、印刷法を少なくとも個別の層に適用することが知られている。例えばUS2010/0030167A1は、複数の導電リングと、第2の導電層としての更なる保護層(シールド層)とを備えた電極を開示している。この第2の導電層は電極上に印刷できる。
【0004】
WO2009/07877A2では、主に電極ヘッドが解説されており、膜層の表面に導電インクが適用されている。誘電層を基部導電体上に印刷することも想定され得る。
【0005】
さらにDE69923680T2では、電極の場合、銀合金インクの(化学的意味での)封止層(シール層)が導電インクの回路の上に印刷される。
【0006】
さらにDE4091800C2は、それに二層の導電層が印刷された生体信号電極を開示している。
【0007】
電極ヘッドへの供給ラインの技術分野では、円形断面の保護(シールド)および非保護(非シールド)ケーブルが知られている。電極ヘッドを保護(シールド)へと統合させる接続のため、EP1569551B1にて示されているように、接続部と関連するプラグは比較的複雑なやり方で形成されなければならないか、あるいはプラグは追加的に電極ヘッドを被覆するシールドとして設計されなければならず、このことは、この領域を重くし、柔軟性を喪失させ、さらには電極へと一体化された保護層(シールド)よりも品質的に劣ることを意味する。
【0008】
したがってこの欠点は、基本的には、電極ヘッドと、一体化された非保護(非シールド)の円形ケーブル供給ラインとを備えた医療用電極の製造が、常に非常に複雑で高価で通常では互いに完全に分離しており、ある程度人手による組み立て作業が関与して実行され、それが医療用電極の製造の効率性が非常に低い理由である。
【0009】
これらの困難性、および従ってそのコストは、特に保護(シールド)電極ヘッドと一体化された保護(シールド)ケーブル供給ラインとを備えた電極を単体で製造する場合に増大するため、このような一利用形態の製品が市場ではほとんど見られない。
【0010】
さらに医療用電極の電極ヘッドへの供給ラインに関しては、US4353372Aにて、供給ライン上の導電体と、接続プラグの領域の導電体は導電層として印刷されることが開示されている。
【0011】
US4442315AおよびUS2007/0299471A1からはそれぞれの場合において、電極ヘッドと供給ラインとを備えた医療用電極が知られており、保護層(シールド層)と絶縁層は供給ラインの領域内に印刷できる。これらの印刷された保護層(シールド層)では、導電体の完全な保護は存在せず、その結果、電磁放射線またはその他の干渉源が、供給ラインの導電体を通って供給される信号に影響する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許公開US2010/0030167 A1公報
【特許文献2】国際公開WO2009/07877 A2公報
【特許文献3】DE69923680 T2公報
【特許文献4】DE4091800 C2公報
【特許文献5】EP1569551 B1公報
【特許文献6】米国特許US4353372 A公報
【特許文献7】米国特許US4442315 A公報
【特許文献8】米国特許公開US2007/0299471 A1公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って本発明の目的は、従来例に比べて改良された医療用電極を提供することにある。特にこれまでに知られている(保護)供給ケーブルは、扱いがさらに簡単でなければならない。さらに、電極ヘッドと医療用評価または起動(initiation)装置との間の電気接続が、あまり複雑でないやり方で設計され、さらに効率的に製造されるべきである。さらに供給ラインの導電体を介して送信される信号は、干渉源による影響を可能な限り受けるべきでない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、請求項1の前提部分に記載の特徴を備えた医療用電極に対して達成される。その電極では、供給ラインは、その上に導電性保護層(シールド層)が少なくとも部分的に印刷されている長形基板要素を含んでいる。保護層(シールド層)の少なくとも一部が印刷されている事実によって、要求事項により正確に合致する医療用電極の大いに単純化された組立ておよび製造が達成され得る。
【0015】
特に効率的で迅速な製造を達成するため、誘電要素および/または導電体もまた印刷されていることが特に好適であろう。
【0016】
一実施例形態では、一定領域にわたって基板要素がシールド(層)として既に作用するよう、基板要素が金属膜として実施されることを想定している。誘電体と共に導電体が、金属膜へ、好適には印刷によって適用され、誘電体と共に導電体が(2部分の)保護層(シールド)によって供給ラインの長手方向の横断方向で全体的に包囲されるよう、まず保護層(シールド)の印刷部分が印刷され、金属膜に結合される。
【0017】
本発明の特に好適な実施態様では、導電性保護(シールド)層、誘電要素および導電体が印刷されており、好適にはその保護層(シールド層)は基板要素の上に少なくとも部分的に直接的に印刷されており、誘電要素と導電体は基板要素上に間接的に印刷されているものも想定できる。すなわち、誘電要素と導電体は実際の基部に直接的には接触しないが、層状に互い違いに印刷されている。
【0018】
少なくとも部分的に印刷された“ケーブル”の形態の供給ラインは、供給ラインの長手軸を横断する方向で導電体を包囲する上方および下方誘電要素を含んでいる場合にさらに改善できる。安全で完全に保護された供給ラインを達成するため、供給ラインが上側および下側の印刷保護層(シールド層)を含んでおり、上方および下方の印刷された電気保護層(電気シールド層)が、供給ラインの長手方向を横断する上方および下方の印刷誘電要素を包囲していることが特に望ましい。
【0019】
少なくとも個別に層を印刷する利点は、供給ラインのためだけに利用されず、好適には電極ヘッドが、供給ラインの導電体に接続された導電信号送受信層と、供給ラインの誘電要素に接続された誘電要素と、供給ラインの保護層(シールド層)に接続された保護層(シールド層)とを含んでおり、電極ヘッドの少なくとも導電信号送受信層、電極ヘッドの誘電層および/または電極ヘッドの保護層(シールド層)が印刷されていることも想定している。電極ヘッドの少なくとも2つまたは3つ全てのこれら要素も印刷できる。
【0020】
特に簡単なデザインのため、電極ヘッドが非導電性の基板要素を含んでおり、電極ヘッドの保護層(シールド層)が電極ヘッドの基板要素へ直接的に印刷されているものも想定できる。
【0021】
原理的には、基板要素が誘電要素、好適には下方誘電要素を形成することも可能である。したがって、実際の基板要素は不要であるが、その代わりに必要な層は基板要素として作用する誘電要素に直接的または間接的に単純に印刷される。
【0022】
患者の快適性を向上させる、環境的影響に対するさらに良好な保護を達成し、およびさらに長い製品寿命を確実に提供するため、好適にはプラスチック材料からなる保護層(protective layer)が、電力供給ラインを少なくとも部分的に包囲することが好適には想定される。好適には、この保護層(protective layer)または被覆層は、供給ラインの長手方向を横断して供給ラインのその他の部分を完全に包囲する。
【0023】
電流を確実かつ簡単に接続して供給するため、電極ヘッドから離れた供給ラインの端部に接続プラグを取り付けることができ、それを介して医療用電極を医療用評価装置および/または信号起動装置(信号発生装置)に接続できる。接続プラグへの特に単純な接続は、部分的に印刷された要素を備えた供給ラインの提供によって可能である。
【0024】
原理的には、供給ラインと電極ヘッドの個別領域または個別部分だけを印刷することももちろん可能であるが、電極ヘッドと接続プラグとの間の、保護層(シールド層)の全体、誘電要素の全体および/または導電体の全体が印刷されることが特に好適に想定される。これは、保護層(シールド)、誘電要素および導電体、並びに電極ヘッドとその供給ラインが、数少ないステップだけが関与する迅速な印刷法により製造されることを意味する。
【0025】
したがって特許保護は請求項13の特徴を有する方法にも求められる。これらのステップは好適には請求項に記載された順序で実施される。全てにおいて安全な供給ラインを製造できるようにするため、さらなるステップで、少なくとも供給ラインの領域内で、下方の誘電要素上への、導電体を含んだ状態での上方の誘電要素の印刷が提供される。その印刷によって、上方および下方誘電要素が少なくとも一定領域にわたって一体的に接続される。また、少なくとも供給ラインの領域内で、上方および下方誘電要素を含んだ状態での上方(上側)の誘電保護層(誘電シールド層)の、下方保護層(下側シールド層)上への印刷によって、上方および下方保護層(シールド層)は少なくとも一定の領域にわたって一体的に接続される。
【0026】
そのような製造方法は、少なくとも2つの個別の信号送受信層を備えたマルチ型の電極を製造するために特に適しており、少なくとも2つの個別の保護層(シールド層)、少なくとも2つの個別の誘電要素、および少なくとも2つの個別の導電体が共通の基板要素に印刷される。もちろん、供給ラインとの更に優れた互換性(compatibility)を提供すべく、この基板要素を印刷後に適度な大きさまたは部分へと切断することができる。
【0027】
本発明のさらなる詳細と利点は、以下において図面と図示された実施例に関する説明によってさらに詳説される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、医療用電極の概略図、並びに、A‐A線およびB‐B線における断面図である。
図2図2は、先行技術に従う供給ラインケーブルの断面図である。
図3図3は、本発明に従う供給ラインの一実施例の断面図である。
図4図4は、供給ラインの別例の断面図である。
図5図5は、印刷装置の概略図である。
図6図6は、印刷された基板要素の平面図である。
図7図7及び図8は、マルチ型電極の概略図である。
図8図7及び図8は、マルチ型電極の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は医療用電極1を示しており、これは電極ヘッド2、供給ライン3および接続プラグ13(この場合は突起ピン16)を含んでいる。図1によれば、供給ライン3の基板要素7と電極ヘッド2の基板要素11は一体に形成されており、その上に保護層(シールド層)4と10が次の層として印刷されている。その後に誘電要素5と9が印刷され、引き続き、導電体6と信号送受信層8が印刷されている。
【0030】
供給ライン3の領域の概略的断面が断面A‐Aで示されており、先ず下方保護層(下側シールド層)4bと下方誘電要素5bとが基板要素7に印刷されている。その後に適用される導電体6の上に上方誘電要素5aと上方保護層(上側シールド層)4aが印刷されている。
【0031】
電極ヘッド2の必須要素が断面B‐Bで概略的に示されており、保護層(シールド層)10、誘電要素9および信号送受信層8が基板要素11に印刷されている。横方向領域では、これらの印刷された層は、例えば発泡材料17によって隣接されている。さらに良好な導電性を提供するため、それ自体知られているように、ゲル18を電極ヘッド2に適用することができる。
【0032】
原則として図面では、電極ヘッド2と供給ライン3との間のインターフェースは単純に示されているだけである。導電体6が上方誘電要素5aまたは上方保護層(上側シールド層)4aによってもはや覆われておらず、且つこのように保護なしで信号送受信層8として作用するところのインターフェースが言葉で解説されている。
【0033】
図2は、導電体6、誘電要素5、保護層(シールド層)4およびオプションでの保護スリーブ12を備えた、医療用電極において既に使用されている円形保護ケーブル23の断面を原理的に示している。
【0034】
取り扱いに加えて、特にそのような知られた保護(シールド)ケーブル23の製造は比較的に複雑で不利であるため、本発明では供給ライン3が、その上に導電性保護(シールド)層4の少なくとも一部が印刷された長形の基板要素7を含んでいるものを想定する。この点において特に好適な実施例が図3に図示されている。この場合、下方保護層(下側シールド層)4bが基板要素7に印刷され、誘電要素5bがこの上に印刷されている。導電体6の印刷後、上方誘電要素5aによってさらに重ねて印刷されることによって、要素5aと5bが少なくとも一定の領域にわたって互いに一体的に接続されているので、導電体6は長手軸Lを横断する誘電要素5によって完全に包囲されている。同じことが保護層(シールド層)4aと4bにも適用され、長手軸Lを横断する誘電要素5を完全に包囲する。さらに、例えばラッカースプレーによって保護スリーブ12を点線のごとくに提供できる。基板要素7とその下方保護層(下側シールド層)4bを一体型の金属膜の形態に設計することも可能である。この利点は、上方保護層(上側シールド層)4aのみの印刷で済むことである。
【0035】
図4は本発明の別例を示しており、個別の基板要素7は利用されていないが、その代わりに下方誘電要素5bが基板要素7として形成されている。
【0036】
原則的には全ての変形例において、少なくとも個々の層(4b、5a、5bおよび6)は印刷法では提供されないが、その代わりに製造過程において、例えばその他の層間の個別の膜として導入される(例:接着膜の形態またはワイヤの形態)ことはあり得る。
【0037】
図5は印刷装置14を概略的に示しており、それにより医療用電極1の少なくとも個々の層が印刷される。原則的には、印刷はインライン法またはインクジェット印刷法によって可能である。しかしながら、数平方メートルまでの大きさのシート(好適にはプラスチック基板要素7の形態)が印刷装置14に供給されるスクリーン印刷法が好適である。その後に、必要な基本要素20aと20bが、基板要素7と予め成型されている別な層4、5または6に、可動スクリーン印刷要素21およびプリンタノズル19を介して適用される。供給ライン3と電極ヘッド2の望まれる最終形状はもちろん印刷において既に考慮され、よって最も簡単な変形例として、供給ライン3が直線状の長形要素として印刷され、電極ヘッド2が比較的にコンパクトな要素として印刷される。
【0038】
別例として、印刷後の基板要素7の平面図が図6に示されており、上方領域では比較的に長い供給ラインケーブル3に層4、5および6が印刷されており、印刷要素が乾燥された後、比較的に長い供給ラインケーブルが、刃物によって、図示の如く切断された対応する切込み22によって形成される。同様にして、らせん形状の印刷部および切込み(図6の下部に図示)が比較的に長い供給ラインケーブル3へと導くことができる。しかしながら原則的には、供給ラインケーブル3は比較的に直線状であり、30cmから150cmの間、好適には50cmから100cmの間の長さを有する。
【0039】
図7図8にはマルチ型電極15が図示されており、複数の個別の(分離した)層4、5および6並びに8、9および10が、基板要素7と11に適用されている。
【0040】
例えばポリエステル(特にPET)などの非常に僅かに延伸できるプラスチック材料が基板要素7および11として好適には使用される。しかしながら基板要素7および11として、金属膜またはポリスチレン膜でさえも使用可能である。
【0041】
保護層(シールド層)4および10として、カーボンインクまたは金属インク(例えば銅インクまたは銀インク)が利用される。これらは全体的に(表面全体にわたって)または格子状に印刷できる。
【0042】
印刷法において、誘電要素5および9として、非導電性で空孔(pore)のないどのようなラッカー(lacquer)も使用することができる。
【0043】
導電体6は、好適には印刷によって銀導電体として製造される。信号送受信層8も塩化銀層の形態で適用できる。錫および塩化錫も原理的には利用可能である。
【0044】
実質的に全ての印刷される要素20aおよび20bには、摩擦のない印刷を確実にして、互いに良好に接着する機能層を製造することができるよう、ラッカー要素、結合剤(バインダー)、溶剤などの様々な添加物が存在する、ことに注意すべきである。
【0045】
したがって本発明は要するに、(保護)供給ラインケーブルを、印刷された保護供給ラインで置換することに基づくものであり、理想的には、これは一つの製造工程において電極ヘッド(センサ領域)と共に製造(印刷)される。このことは特に、引き続く製造工程および設置工程において有利である。特に、装置への接続のために保護要素(シールド)を一体化させるプラグの非常に複雑な製造工程が、(但し、それは保護(シールド)された円形ケーブルの場合に必要であるが、電極の保護要素(シールド)自体が、ケーブルの保護要素(シールド)に電気的に接続されなければならないという意味において、電極へのそのようなケーブルの仮の設置の場合でさえも)、本発明によって大幅に単純化される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8