特許第5914519号(P5914519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5914519
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】ピストントリップリセットレバー
(51)【国際特許分類】
   H01H 77/02 20060101AFI20160422BHJP
【FI】
   H01H77/02
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-548412(P2013-548412)
(86)(22)【出願日】2011年12月16日
(65)【公表番号】特表2014-502031(P2014-502031A)
(43)【公表日】2014年1月23日
(86)【国際出願番号】US2011065320
(87)【国際公開番号】WO2012094133
(87)【国際公開日】20120712
【審査請求日】2014年11月25日
(31)【優先権主張番号】12/985,104
(32)【優先日】2011年1月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】398032740
【氏名又は名称】シュナイダー エレクトリック ユーエスエイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン ウッドソン
(72)【発明者】
【氏名】ロドニー パウエル
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−217489(JP,A)
【文献】 特開2007−265830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 69/00−69/01
H01H 71/00−83/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断器ハンドルをオフ位置に動かすとリセットされるトリップ機構をリセットするための遮断器ハンドルと、
第1のチャンバ内に収納された電気的接点であって、これらの電気的接点を流れる電流が閾値を越えると分離するように構成された一対の電気的接点と、
第1の位置にバイアスされ、前記第1のチャンバの一部の内部境界を画定し、前記第1のチャンバの圧力により第2の位置に移動する可動面であって、前記第1のチャンバは、前記可動面が前記第1の位置にある場合よりも前記第2の位置にある場合に、より大きな容積を有する可動面と、
第1の面及び第2の面を有する接続要素であって、前記第1の面は前記遮断器ハンドルが前記オフ位置に動くと第1の構成要素に機械的に接触し、前記第2の面は前記遮断器ハンドルが前記オフ位置に動くと第2の構成要素に機械的に接触し、前記第1の構成要素は前記遮断器ハンドルに機械的にリンクされ、前記第2の構成要素は前記可動面に機械的にリンクされている、接続要素と
を備え
前記遮断機ハンドルをオフ位置に動かすと、前記第2の面が、前記第2の構成要素に機械的に接触することにより、前記可動面を前記第1の位置に移動させる電気回路遮断器。
【請求項2】
前記遮断器ハンドルが動くことにより、前記接続要素を含む機械的リンケージを介して前記可動面が前記第1の位置まで動く、請求項1に記載の電気回路遮断器。
【請求項3】
前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素は、前記遮断器ハンドルが前記オフ位置へ動くと、前記遮断器ハンドル又は前記遮断器ハンドルに機械的にリンクされた構成要素が前記第1の構成要素に接触して該第1の構成要素を動かすように配置され、前記第1の構成要素は、前記接続要素に接触して該接続要素を動かすように配置され、前記接続要素は、前記第2の構成要素に接触して該第2の構成要素を動かすように配置され、前記第2の構成要素は、前記可動面を前記第1の位置へ動かすように配置される、請求項1に記載の電気回路遮断器。
【請求項4】
前記接続要素は、前記第1の構成要素又は前記第2の構成要素のいずれかに、着脱自在に接続されている、請求項1に記載の電気回路遮断器。
【請求項5】
前記接続要素はピボットの周りを回転するように構成されたレバーであり、前記第1の面は前記レバーにおける、前記ピボットから半径方向に伸びる方向に沿った方向に向けられた面であり、前記第2の面は前記ピボットから半径方向に伸びる方向に沿った方向に向けられた他の面である、請求項1に記載の電気回路遮断器。
【請求項6】
前記レバーは前記第1の面の近傍に位置する第1の突起と前記第2の面の近傍に位置する第2の突起とを備え、前記第1の突起及び前記第2の突起は半径方向機構とインタフェースをとるように構成され、前記半径方向機構部は前記ピボットから半径方向に伸び、前記第1の突起及び前記第2の突起は前記半径方向機構部とインタフェースをとることにより前記レバーを支持する、請求項5に記載の電気回路遮断器。
【請求項7】
前記レバーは支持棒を備え、該支持棒は前記第1の面の近傍に位置する第1の突起に取り付けられた第1の端部と前記第2の面の近傍に位置する第2の突起に取り付けられた第2の端部とを有し、前記支持棒と前記第1の突起と前記第2の突起とは半径方向機構部とインタフェースをとるように構成され、前記半径方向機構部は前記ピボットから半径方向に伸び、前記支持棒と前記第1の突起と前記第2の突起とは前記半径方向機構部とインタフェースをとることにより前記レバーを保持する、請求項5に記載の電気回路遮断器。
【請求項8】
ピストントリップをリセットするための装置であって、トリップした位置からオフ位置へ動かすことができ、トリップ機構をリセットするための遮断器ハンドルと、
前記ピストントリップに設けられた第1のチャンバの内部表面の一部を画定する可動面であって、前記第1のチャンバは、電気的接点を流れる電流が閾値を越えると分離するように構成された一対の電気的接点を備え、前記可動面は、バイアスの力によって第1の位置に維持され、前記可動面は、前記第1のチャンバ内において前記バイアスの力に打ち勝つ圧力により第2の位置に移動可能である可動面と、
前記トリップした位置から前記オフ位置への前記遮断器ハンドルの動きを前記第2の位置から前記第1の位置への前記可動面の動きにリンクする接続要素であって、前記遮断機ハンドルが前記オフ位置に動いた場合に前記遮断機ハンドルに接触し、前記遮断機ハンドルが前記オフ位置に動いた場合に前記可動面を前記第1の位置に動かすように接触する接続要素
を備えるピストントリップリセット用装置。
【請求項9】
前記遮断器ハンドルが前記トリップした位置から前記オフ位置へ動くことにより、接続要素を含む機械的リンケージを介して前記可動面が前記第1の位置へ動く、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記接続要素は第1の面及び第2の面を有し、前記遮断器ハンドルが前記オフ位置に動くことにより、第1の構成要素が前記接続要素の前記第1の面に接触して、前記接続要素の前記第2の面が前記可動面に機械的にリンクされた第2の構成要素に接触するように、前記遮断器ハンドルに機械的にリンクされた第1の構成要素を動かす、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記遮断器ハンドルが前記オフ位置へ動くことにより、
前記第1の構成要素が前記接続要素の前記第1の面に接触して前記接続要素を動かし、
前記接続要素の前記第2の面が前記第2の構成要素に接触して前記第2の構成要素を動かし、
前記第2の構成要素が前記可動面を前記第1の位置へ動かす
ように前記第1の構成要素を動かす、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記接続要素はピボットの周りを回転するように構成されたレバーである、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記レバーは第1の突起と第2の突起とを備え、前記第1の突起は前記第1の面の近傍に位置し、前記第2の突起は前記第2の面の近傍に位置し、前記第1の突起と前記第2の突起とは半径方向機構部とインタフェースをとるように構成され、前記半径方向機構部は前記ピボットから半径方向に伸び、前記第1の突起及び前記第2の突起は前記半径方向機構部とインタフェースをとることにより前記レバーを保持する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記レバーは、第1の端部で第1の突起に取り付けられ、第2の端部で第2の突起に取り付けられた保持棒を備え、前記第1の突起は前記第1の面の近傍に位置し、前記第2の突起は前記第2の面の近傍に位置し、前記保持棒と前記第1の突起と前記第2の突起とは前記ピボットから半径方向に伸びる半径方向機構部とインタフェースをとることにより前記レバーを保持する、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記接続要素は、前記遮断器ハンドル又は該遮断器ハンドルに機械的に接続された第1の構成要素からの突出部であり、該突出部は、前記可動面に機械的に結合又は前記遮断機ハンドルが前記オフ位置へ動くと前記可動面に機械的にリンクされた第2の構成要素に機械的に結合される、請求項8に記載の装置。
【請求項16】
前記接続要素は、前記可動面又は該可動面に機械的にリンクされた第2の構成要素からの突出部であり、前記突出部は、前記遮断器ハンドルに機械的に結合又は前記遮断機ハンドルが前記オフ位置へ動くと前記遮断器ハンドルに機械的にリンクされた第1の構成要素に機械的に結合される、請求項8に記載の装置。
【請求項17】
トリップ機構をリセットする遮断器ハンドルと、
電気的接点を流れる電流が閾値を越えると分離するように構成された、第1のチャンバ内の一対の電気的接点と、
第1の位置にバイアスされる前記第1のチャンバの一部の内部境界を画定し、前記一対の電気的接点間のアーク放電事象による前記第1のチャンバ内の圧力により第2の位置に動かされる可動面であって、前記第1のチャンバは前記可動面が前記第1の位置にある場合よりも前記第2の位置にある場合により大きな容積を有する、可動面と、
第1の面及び第2の面を有し、ピボットの周りを回転するように構成された接続レバーであって、前記遮断器ハンドルがオフ位置に動くと前記第1の面は前記遮断器ハンドルに機械的にリンクされた第1の構成要素に接触し、前記遮断器ハンドルが前記オフ位置に動くと前記第2の面は前記可動面に機械的にリンクされた第2の構成要素に接触し、前記遮断機ハンドルが前記オフ位置に動かされた場合に前記可動面を前記第1の位置に移動させる、接続レバーと
を備える電気回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してトリップ事象の後の回路遮断器をリセットすることに関し、より具体的には、遮断器の内部表面を損傷させたトリップ事象の後の圧力トリップ配線用遮断器におけるリセットレバーをリセットするための機構に関する。
【背景技術】
【0002】
配線用遮断器(MCCB)は、ピストントリップと呼ばれることもある感圧性のトリップ機構を備え、過電流事象を検出して遮断器をトリップすることができる。MCCBの内部において、チャンバは、過度に高い電流が流れたときに発生する電気力学的な力によって分離するように構成された2つの電気的接点を有する。接点が分離するとき、接点間の空気がイオン化して、電気エネルギーが接点間に電弧を発生するので、アーク放電が発生する。アーク放電中に放出されたエネルギーは、チャンバ内の気体を加熱し、チャンバ内の圧力を上昇させる。接点を有するチャンバは、遮断ユニットと呼ばれることもある。遮断ユニットは、遮断ユニットから伝達された圧力の上昇に応じて移動する可動面を有するもう1つのチャンバであるピストントリップ感圧性ユニットと、流体連通している。いくつかの遮断器において、可動面はシリンダ内を移動するピストンである。他の遮断器では、可動面は、圧力が上昇したときに旋回するレバーの一端である。可動面の移動により、機械的リンケージを介してトリップ機構が起動する。トリップ機構は、電気回路の複数の極を同時に遮断するように構成することができる。このようなMCCBは、一般にトリップ機構が起動した後に高圧気体を放出させるために排気口を備えている。
【0003】
感圧性のトリップ機構(ピストントリップモジュールとも呼ばれる)を内蔵するMCCBは、一般に可動面を通常動作位置にバイアスするためのバイアスを有する。バイアスを有するピストントリップモジュールは、Morelらの米国特許第5298874号明細書において開示されている。可動面をバイアスするためにバネが使用されうる。アーク放電の間に、過熱された気体によって生じた高い圧力により、可動面はトリップ機構を起動するためにバイアスの力に抗して移動する。トリップ機構が起動すると、アーク放電は停止する。気体はもう加熱されないため、遮断ユニット内の圧力は通常の圧力に戻る。加熱された気体を排気口へ放出することによって、通常の圧力に戻り易くなる。圧力が安定した後、バイアスは可動面を通常動作位置へ戻す。
【0004】
しかしながら、場合によっては、可動面が移動する内部表面が、アーク放電中に生成された高温気体及び溶融金属のデブリス(debris)によって、アーク故障事象中に損傷することがある。高温気体及びデブリスは、内部表面に付着するか、さもなければ内部表面を汚す。内部表面への損傷は、バイアスの力により通常動作位置に戻るときに可動面の移動を妨げうる。内部表面が汚れたことによってバイアスの力で可動面をその通常動作位置に戻すことができない場合、MCCBは動作中にトリップしうる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書においては、電気回路遮断器に組み込まれたピストントリップをリセットする装置が提供される。この装置は、電気回路遮断器の手動リセットレバー(遮断器ハンドルとも呼ばれる)からの動きをピストントリップのリセットレバーへ伝達する。遮断器ハンドルは、電気回路遮断器の手動のレバーであり、トリップ事象の後に、遮断器内のトリップ機構をリセットするのに使用される。ピストントリップのリセットレバーは、ピストントリップ内の可動面に機械的にリンクされた構成要素とすることができる。遮断器ハンドルと可動面との間は接続要素を用いて機械的に結合される。接続要素は、遮断器ハンドルの動きを可動面の動きとリンクさせる。電気回路遮断器のリセット動作中、遮断器ハンドルはオフ位置に動く。遮断器ハンドルがオフ位置に動くと、遮断器ハンドルに機械的にリンクされた構成要素は接続要素を押し、接続要素は可動面に機械的に接続された構成要素を押す。
【0006】
本開示の構成によれば、接続要素は、ピボットの周りを回転するように構成された一般に楔形のような形のレバーとすることができる。このレバーは、遮断器ハンドルに機械的にリンクされた構成要素に接触する第1の面を有する。このレバーは、可動面に機械的にリンクされた構成要素に接触する第2の面を有する。加えて、接続要素が電気回路遮断器の組立作業中に正しい位置に確実に配置されるようにするために、接続要素は、接続要素を望ましい位置に支持する第1及び第2の突起を有することができる。遮断器ハンドルの動きを可動面の動きに機械的にリンクさせるために、本明細書で開示される接続要素を使用する電気回路遮断器によれば、動作中のトリッピングを有効に回避することができる。接続要素は、トリップ事象の後に可動面が適切にリセット位置に戻ることを確実にする。
【0007】
本開示における上述の及び追加の態様及び実施形態は、以下簡単な説明がなされている図面を参照して行われる様々な実施形態及び/又は態様の詳細な説明を考慮して、当業者にとって明らかであろう。
【0008】
本開示における上述の利点及び他の利点は、後述する詳細な説明を参照し、図面を参照することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】通常動作状態におけるピストントリップを示す機能ブロック図である。
図1B】過電流事象の間のピストントリップを示す機能ブロック図である。
図1C】強制的にリセットしない限り動作中にトリップしてしまうピストントリップを示す機能ブロック図である。
図1D】接続要素を使用することによりリセットされるピストントリップを示す機能ブロック図である。
図1E】他の設計上の選択を組み込んだ通常動作状態におけるピストントリップを示す機能ブロック図である。
図2A】ピストントリップの断面図である。
図2B】電気回路遮断器の側面図である。
図2C】電気回路遮断器の通常動作状態における遮断器ハンドルと可動面との間の機械的リンケージの拡大図である。
図2D】電気回路遮断器のリセット動作中における遮断器ハンドルと可動面との間の機械的リンケージの拡大図である。
図3A】接続要素の斜視図である。
図3B】支持棒を組み込んだ接続要素の斜視図である。
図4A】オン位置における配線用遮断器(MCCB)の側面図である。
図4B】アーク故障事象の後のトリップした位置におけるMCCBの側面図である。
図4C】オフ位置にリセットされているMCCBの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aから1Eは、異なる動作状態にあるピストントリップを象徴的に図示する一連の機能ブロック図である。図示されたピストントリップは、配線用遮断器(MCCB)等の電気回路遮断器内に組み込むことができる。ピストントリップは、過電流事象を検出し、トリップ機構を起動させるのに使用することができる。図1Aから1Eに示される機能ブロック図は、本明細書で開示される機械的リンケージの動きを理解するのに有用なピストントリップの態様を図示したものである。機械的リンケージは、ピストントリップのリセットに、電気回路遮断器の手動リセットハンドルの動きを関連させることによりピストントリップをリセットする。本開示の態様は、手動リセットハンドルの動きをピストントリップ内の可動面の動きにリンクするための接続要素を提供する。
【0011】
図1Aは、通常動作状態のピストントリップを示す機能ブロック図160である。機能ブロック図160は、図示される構成要素間の全ての機能的相互関係を図示することを意図するものではなく、構成要素間の機械的相互作用を象徴的に図示することを意図するものであることに留意されたい。機能ブロック図160は、チャンバ110内に一対の電気的接点112を含んでいる。あるいは、一対の電気的接点112は、チャンバ110と流体連通する他のチャンバ内に収容することができる。チャンバ110の内部境界の一部は、可動面120によって画定される。可動面120は、シース内で動作するピストンとすることができ、又はレバーの一部とすることができる。可動面は、第1の位置にあることが示されており、バイアス122によって第1の位置に維持される。バイアス122は、可動面120にそれが動く方向とは反対に力を与える。バイアス122は、バネによって提供することができる。一対の電気的接点112は電気的に接触し、電流がこの一対の電気的接点を流れる。一対の電気的接点は、そこを流れる電流が閾値を越えると、電気回路遮断器の分野における当業者によって理解される任意の方法に従って分離するように構成される。例えば、一対の電気的接点は、過剰電流によって生成される電気力学的な力によるか、又はバイメタル細条を変形させる過剰電流によって生成される熱によって、分離することができる。
【0012】
機能ブロック図160は、トリップ機構130を含む。トリップ機構130は、可動面120に機械的にリンクされたトリップ構成要素135によって起動される。トリップ機構130は、トリップ構成要素135に接触することにより起動されるラッチとすることができる。トリップ構成要素135は、棒、レバー、又はトリップ機構130と可動面120との間を機械的にリンクさせるのに適した他の任意の部品とすることができる。トリップ構成要素135は、可動面120に永続的に固定することができ、可動面120と一体化することができる。機能ブロック図160は、遮断器ハンドル140と、遮断器ハンドル140に機械的にリンクされた第1の構成要素145とを更に含む。第1の構成要素145は、遮断器ハンドル140に永続的に接続することができ、又は、遮断器ハンドル140の動きが遮断器ハンドル140に永続的に固定された部品を第1の構成要素145に接触させるように配置することができる。加えて、又は、代わりに、第1の構成要素145は、棒又はレバーを含む機械的な接続を介して、遮断器ハンドル140にリンクすることができる。
【0013】
機能ブロック図160は、遮断器ハンドル140の動きを可動面120にリンクするための接続要素100を更に含む。接続要素100は、遮断器ハンドル140に機械的にリンクされた第1の構成要素145と可動面120に機械的にリンクされた第2の構成要素125との間を機械的に結合させる棒又はレバーとすることができる。ある構成において、可動面120とトリップ機構130及び可動面120と接続要素100との間を機械的に接続しさえすれば、トリップ構成要素135は、第2の構成要素と同一の部品として実装することができる。
【0014】
ピストントリップが機能ブロック図160によって図示される通常動作状態での動作中、一対の電気的接点112を電流が流れる。電流は閾値を超えず、接点は分離しない。接点が分離しないため、アーク放電事象は発生せず、チャンバ内に圧力は生成されない。バイアス122の力に抗する圧力が生成されないため、可動面120は図示される第1の位置のままであり、トリップ構成要素135はトリップ機構130を起動させるようには動かない。
【0015】
図1Bは、過電流事象の間のピストントリップを示す機能ブロック図161である。機能ブロック図161は、分離した一対の電気的接点114を有することを除いては、図1Aに示される機能ブロック図160に類似している。分離する直前まで、分離した一対の電気的接点114は、これらの接点を経て電流を流していた。分離した一対の電気的接点114は、これらの接点に流れる電流が閾値を越えたことにより分離された。分離した直後、分離した一対の電気的接点114の間には、電位差が存在する。分離した電気的接点114の間の電位差は、分離した電気的接点114の間の気体をイオン化することができ、この過程において、アーク放電エネルギー116が放出される。チャンバ110内でのアーク放電エネルギー116の放出は、チャンバ110内の気体を加熱し、チャンバ110内の気体温度を上昇させ、圧力118を上昇させる。圧力118は可動面120に力を加え、可動面120をバイアス122の力に抗して、第2の位置まで移動させる。
【0016】
可動面120は、ブロック図161において、第2の位置にあることが示されている。チャンバ110は、可動面120が第2の位置にあるとき、可動面が第1の位置にあるときと比較して、容積が大きくなる。同様に、チャンバ110は、可動面120が第1の位置にあるとき、可動面が第2の位置にあるときと比較して、容積が小さくなる。換言すれば、可動面120が第2の位置にある場合に対応するチャンバ110の容積は、可動面120が第1の位置にある場合に対応するチャンバ110の容積よりも大きい。可動面120が動く結果、可動面120に機械的にリンクされたトリップ構成要素135は、トリップ機構130を起動する。トリップ機構130が起動することにより、分離した一対の電気的接点114への電流が停止し、それによってアーク放電エネルギー116の放出が中断する。機能ブロック図161は、一対の分離した電気的接点114を図示しているが、トリップ機構130の起動は、多極遮断器の全ての極をトリップして、複数の極に流れる電流を同時に中断させることができる。アーク放電エネルギー116が放出されなくなると、チャンバ110内の上昇した圧力及び温度は消失し、可動面120はバイアス122の影響により、第1の位置に戻る。
【0017】
図1Cは、強制的にリセットしない限り動作中にトリップするピストントリップを示す機能ブロック図162である。機能ブロック図162は、アーク放電事象中にデブリス又は高温気体が発生してチャンバの内部表面に損傷を与え、可動面120が第1の位置に戻らないようにする、アーク放電事象の後のピストントリップを示すものである。機能ブロック図162において、内部表面への損傷は、付着デブリス(imbedded debris)124によるものである。例えば、付着デブリス124は、チャンバ110の内部表面に付着した溶融金属片のデブリスである。付着デブリス124は、可動面120の移動を妨げ、可動面120が第1の位置に戻るのを妨げる。チャンバ110内の上昇した圧力が消失し、バイアス122が可動面120に第1の位置の方に力を加えた後であっても、可動面120は第1の位置に戻るのを妨げられる。可動面120の動きが妨げられることにより、トリップ機構130は、可動面120に機械的にリンクされたトリップ構成要素135によって、起動されたままとなる。
【0018】
機能ブロック図162において示されるピストントリップを組み込んだ付勢された電気回路遮断器は、可動面120を強制的に第1の位置に戻さない限り、動作中にトリップする。接続要素100は、可動面が第1の位置に戻ることができるようにして、動作中のトリップに関する問題を回避する。接続要素100は、遮断器ハンドルに機械的にリンクされた第1の構成要素145と、可動面120に機械的にリンクされた第2の構成要素125との間の機械的な接続を提供する。接続要素100が可動面120を動かすことによってピストントリップをリセットする動作は、図1Dに図示されている。
【0019】
図1Dは、接続要素100を使用することによりリセットされるピストントリップを示す機能ブロック図163である。機能ブロック図163は、オフ位置に移動された後の遮断器ハンドル140を示している。機能ブロック図160、161及び162において、遮断器ハンドル140は、オフ位置に示されていない。再び図1Dを参照すると、遮断器ハンドル140がオフ位置まで移動することにより、遮断器ハンドル140に機械的にリンクされた第1の構成要素145は、接続要素100に機械的に結合する。ある構成において、接続要素100は、第1の面101と第2の面102とを有する。遮断器ハンドル140に機械的にリンクされた第1の構成要素145は、接続要素100の第1の面に接触することにより接続要素100に機械的に結合する。同様に、可動面120に機械的にリンクされた第2の構成要素125は、接続要素100の第2の面102に接触することにより接続要素100に機械的に結合する。
【0020】
機能ブロック図163によって図示されるピストントリップの動作において、遮断器ハンドル140は、トリップ事象の後、オフ位置に移動される。オフ位置までの遮断器ハンドル140の移動は、例えば遮断器ハンドル140を操作するユーザによって行われる。一実施例の構成において、遮断器ハンドル140の移動により、第1の構成要素145が、第1の面101に接触することによって接続要素100に機械的に結合される。この接触は、接続要素100の第2の面102を、第2の構成要素125に接触するように押し上げ、それによって第2の構成要素125に機械的に結合される。この接触は、可動面120と第2の構成要素125との間の機械的リンケージを介して、第2の構成要素125により可動面120をリセット位置まで移動させる。接続要素100を第1の構成要素145及び第2の構成要素125に機械的に結合させることにより、遮断器ハンドル140の動きは、可動面120の動きにリンクされる。ある構成において、遮断器ハンドル140の動きは、その動きがアーク放電事象により残存しているデブリスによって妨げられるとしても、可動面120を第1の位置に強制的に戻す。ある構成において、遮断器ハンドル140の動きは、可動面120の動きに及ぼす障害に打ち勝つ力を提供する。
【0021】
図1Eは、他の設計上の選択を組み込んだ通常動作状態におけるピストントリップを示す機能ブロック図164である。機能ブロック図164は、機能ブロック図164がトリップ構成要素135及び第2の構成要素125に代わって単一構成要素136を有することを除いては、ブロック図160に類似している。単一構成要素136は、可動面120に機械的にリンクされているが、トリップ機構130と接続要素100との一方又は両方に機械的に結合されるように配置される。ある構成において、単一構成要素136は、可動面120に永続的に固定され、可動面120と一体として形成されうる。
【0022】
接続要素100が、遮断器ハンドル140に機械的にリンクされた構成要素に接触する第1の面101と、可動面120に接触する第2の面102とを有する接続要素100の構成につき記載されているが、本開示はこれに限定されない。接続要素100は、遮断器ハンドル140に機械的にリンクされた第1の構成要素145の一部分の突出部とすることができる。同様に、接続要素100は、可動面120に機械的にリンクされた第2の構成要素125の一部分の突出部とすることができる。接続要素100は、ピストントリップの他のいかなる構成要素にも永続的に機械的にリンクされない別個の構成要素とすることもできる。例えば、接続要素100の第1の面101に加えられる力を、接続要素100の第2の面102に受動的に伝達することにより、接続要素100は動作する。接続要素100が別個の構成要素であるという構成は、既存の構成要素を再設計する必要なく、接続要素を電気回路遮断器に使用される既存のハードウェアと組み合わせることができるという利点をもたらす。接続要素100は、金属又はプラスチックから作られ、電気回路遮断器に使用される部品を作製する従来の方法により成形されうる。
【0023】
図1Aから1Eに図示される機能ブロック図は、異なる動作状態におけるピストントリップの動作を象徴的に提供するものである。機能ブロック図(160、161、162、163、164)は、遮断器ハンドル140と可動面120との間の機械的リンケージを提供するのに使用される構成要素(100、125、145)を象徴的に図示するものであるが、本開示は、構成要素の特定の種類に限定されるものではなく、象徴的に図示される機械的リンケージを提供するために回転方向及び直線方向の両方に動くことができるレバー又は棒である構成要素にも適用される。加えて、遮断器ハンドル140は、可動面120が動く方向と同一の方向に沿って動くように図示されているが、本開示は、ピボットの周りを回転し、可動面の動きとは異なる方向に動く遮断器ハンドル140にも適用される。本開示は、接続要素100を含む機械的リンケージの使用を介して、遮断器ハンドル140の動きを可動面に伝達する機械的リンケージを有する構成にまで及ぶ。遮断器ハンドルの動きを使用してピストントリップをリセットする開示された機械的リンケージの特定の実施形態を、図2Aから2D及び図3Aから3Bにつき以下説明する。図2Aから2D及び図3Aから3Bの構成要素に付した参照符号は、概して、図1Aから1Eに示される機能ブロック図において使用される対応する構成要素より100大きい参照符号を使用している。
【0024】
図2Aは、ピストントリップ270の断面図である。ピストントリップ270は、チャンバ210と、可動面220と、バイアス222と、可動面220に接続されたハンマ構成要素236とを備える。ピストントリップ270において、可動面220は、シース221内を移動するピストンであり、バイアス222はバネである。ピストントリップ270は、「ピストントリップ」機構とも呼ばれる。シース221は、チャンバ210の内壁と一体に形成される。シース221は、可動面220が動くことのできる内部表面である。可動面220は、シース221内の第1の位置にあることが示されている。ハンマ構成要素236は、ピストントリップ270から伸びるアームであり、先端部237と傾斜面238とを有する。先端部237は、図2Bに示されるように、トリップ機構230を起動するのに使用されうる。図2Aを参照すると、ハンマ構成要素236は、可動面220と一体に形成される。ハンマ構成要素236は、図1Eに示されるブロック図164において象徴的に図示された単一構成要素136の機能と類似する機能を提供する。再び図2Aに戻ると、チャンバ210は、流れる電流が閾値を超えたときに分離するように構成される一対の電気的接点(図示しない)を備える遮断ユニットと流体連通している。
【0025】
ピストントリップ270の作動中、電気的接点を流れる過電流は、電気的接点を切り離し、チャンバ210と流体連通している遮断ユニット内にアーク放電エネルギーを放出させる。放出されたアーク放電エネルギーは、チャンバ210内の気体を加熱し、チャンバ210内の圧力を上昇させる。上昇した圧力は可動面220をバイアス222の力に抗して、第2の位置まで押し進める。この可動面220の動きがハンマ構成要素236を動かし、先端部237がトリップ機構230を起動する。トリップ機構230が起動することにより回路をトリップすると、遮断ユニット内におけるアーク放電エネルギーの放出が停止される。チャンバ210内の上昇した圧力が消失するので、アーク放電事象の間に放出される付着デブリスによって可動面220の動きが妨げられない限り、可動面220は、シース内の第1の位置に戻っていく。可動面220の動きが妨げられる場合、図2Bから2Dに図示されるように、遮断器ハンドルと可動面220との間に機械的リンケージを設けることにより、可動面220を、元の位置に押し戻すことができる。
【0026】
図2Bは、電気回路遮断器260の側面図を示すものである。電気回路遮断器260は、遮断器ハンドル240と、遮断器ハンドル240に機械的にリンクされた第1の構成要素245とを有する。第1の構成要素245は、クレードル242を介して遮断器ハンドルに機械的にリンクされている。クレードル242は、クレードル242及び遮断器ハンドル240の両方が同一のピボット243の周りを回転するように、遮断器ハンドル240に取り付けられている。第1の構成要素245は、ピボット246の周りを回転する。電気回路遮断器260は、接続要素200とピストントリップ270とを更に有する。
【0027】
ピストントリップ270は、カバー271に覆われている。バイアス222は、カバー271の開口部を通して見ることができる。可動面220に接続されたハンマ構成要素236は、カバー271から垂直に伸びている。ハンマ構成要素236の先端部237は、バイアス222の力に抗して動かすことによってトリップ機構230を起動するように位置付けられている。ハンマ構成要素236の傾斜面238は、接続要素200とインタフェースをとるように配置されている。接続要素200は、可動面220に接続されたハンマ構成要素236と遮断器ハンドル240に機械的にリンクされた第1の構成要素245との間の機械的リンケージを提供する。
【0028】
ある構成において、接続要素200は、ピボット207の周りを回転するレバーである。接続要素200は、一般に三角形又は楔形をしており、接続要素200の1つの隅部の近傍にピボット207を有する。接続要素200は、第1の面201と第2の面202とを有する。第1の面201は、概してピボット207から半径方向に伸びる方向に沿った方向に向けられる。第2の面202も、概してピボット207から半径方向に伸びる方向に沿った方向に向けられる。第1の面201は、遮断器ハンドル240の移動中に、遮断器ハンドル240に機械的にリンクされた第1の構成要素245に接触するように配置される。第2の面202は、ハンマ構成要素236の傾斜面238に接触するように配置される。接続要素200は、第1の面201の近傍に位置する第1の突起203と、第2の面202の近傍に位置する第2の突起とを更に有する。第1の突起203及び第2の突起204は、半径方向機構部(radial feature)208とインタフェースをとることにより、接続要素200を所定の位置に留める。半径方向機構部208は、ピボット207から伸びるバネの一部分とすることができる。第1及び第2の突起(203、204)は、これらの突起が半径方向機構部208とインタフェースをとる地点を越えて接続要素200がいずれの方向にも回転するのを防ぐ。突起(203、204)は、組立て時に接続要素200が正しく取り付けられるようにするのにも有利である。接続要素200に突起(203、204)を外側ではなく内側に向くように取り付けることにより、遮断器ハンドル240の試運転の間、電気回路遮断器を固定することができるため、突起(203、204)は、接続要素200を製造用に設計するのに有利である。
【0029】
電気回路遮断器260のリセット動作において、遮断器ハンドル240は、ピボット243の周りを反時計回りに回転する。遮断器ハンドル240の回転により、クレードル242は第1の構成要素245まで動く。クレードル242と第1の構成要素245との接合により、第1の構成要素245にピボット246の周りを時計回りに回転する力が加わる。第1の構成要素245は、接続要素200の第1の面201に接続するように回転する。第1の構成要素245と接続要素200との間の接続は、接続要素200をピボット207を中心に反時計回りに回転させる。接続要素200の回転により、接続要素200の第2の面202がハンマ構成要素236の傾斜面238に接触し、遮断器ハンドル240と可動面220との間の機械的リンケージが達成される。遮断器ハンドル240の継続回転により、ハンマ構成要素236はバイアス222により力を加えられるのと同一の方向に動き、可動面220をシース221内の第1の位置まで動かす。
【0030】
図2Cは、電気回路遮断器260の通常動作状態における遮断器ハンドル240と可動面220との間の機械的リンケージの拡大図を示すものである。図2Cに示される構成において、接続要素200は、ハンマ構成要素236の傾斜面238上に示されているが、ハンマ構成要素236には何らの力も伝達していない。遮断器ハンドルが動作位置に設定されているとき、遮断器ハンドル240に接続されたクレードル242は通常動作位置に示されている。第1の構成要素245も、通常動作位置に示されている。
【0031】
図2Dは、電気回路遮断器260のリセット動作中における遮断器ハンドル240と可動面220との間の機械的リンケージの拡大図を示すものである。図2Dに示される構成において、遮断器ハンドル240は見ることができないが、ピボット243の周りをオフ位置まで反時計回りに回転する。遮断器ハンドル240の回転は、クレードル242を動かして第1の構成要素245まで押しやり、第1の構成要素245はピボット246を中心に時計回りに回転する。第1の構成要素245は回転して、接続要素200の第1の面201に接触する。接続要素200は反時計回りに回転し、第2の面202がハンマ構成要素236の傾斜面238に接触する。電気回路遮断器のリセット動作中、クレードル242は、第1の構成要素245に接触する。次に、第1の構成要素245は接続要素200に接触し、接続要素200は、ハンマ構成要素236に接触する。本開示の実施形態によれば、接続要素200は、遮断器ハンドル240の動作とピストントリップ270内の可動面220との間の機械的リンケージを提供する。
【0032】
図3Aは、接続要素200の斜視図を提供するものである。ある実施例の構成によれば、接続要素200は、一般に三角形又は楔形である。接続要素200は、ピボットを通すために1つの角の近傍に丸穴206を有する。丸穴206により、接続要素200は、丸穴206の中心位置を中心に旋回することができる。接続要素200は、第1の面201と第2の面202とを有する。第1の面201は、遮断器ハンドル240に機械的にリンクされた第1の構成要素245のための接触箇所である。第2の面202は、可動面220にリンクされたハンマ構成要素236のための接触箇所である。接続要素200は、第1の突起203と第2の突起204とを更に有する。第1の突起203は、第1の面201の近傍に位置し、第2の突起204は、第2の面202の近傍に位置する。第1の突起203と第2の突起204とは、丸穴206を貫通するピボットから半径方向に伸びる半径方向機構部208とインタフェースをとることにより、接続要素200を望ましい位置に維持する。
【0033】
図3Bは、支持棒205を組み込んだ接続要素200’の斜視図を提供するものである。支持棒205は、第1の突起203に接続された第1の端部及び第2の突起204に接続された第2の端部を有する。従って、支持棒205は、支持棒205と、第1の突起203と、第2の突起204と、接続要素200’の上面とによって形成される空隙を取り囲む。支持棒205と第1及び第2の突起(203、204)とにより形成される空隙は、丸穴206を貫通するピボットから半径方向に伸びる半径方向機構部208とインタフェースをとることによって、接続要素200’を望ましい位置に保持するのに使用されうる。半径方向機構部208は、支持棒205によって覆われる。一実施例の構成において、接続要素200’は、支持棒205を使用することによって接続要素200’を望ましい位置に保持するという改善された機能を提供することができ、接続要素が半径方向機構部208を超えてスリップしないようにする。
【0034】
図4Aは、トリップしていない動作位置における配線用遮断器(MCCB)の側面図を示すものである。図4Aの下位部は、MCCBの遮断ユニット内に収納された電気的接点の断面図を提供するものである。図4Aから4Cに示される断面図は、図2Aに示される断面図とは異なる断面のものである。図4Aにおいて、第1の可動接点402と第2の可動接点404とを備える回転可能な導体410が確認できる。可動接点(402、404)は、第1の固定接点406及び第2の固定接点408と電気的に接続されていることが示されている。図示の構成において、固定接点(406、408)は、回転可能な導体410を介して電気的に接続されている。図4Aで提供される構成において、MCCBに付勢すると、固定接点(406、408)間に電流が流れ、MCCBはオンする。図示のオン位置において、遮断器ハンドル240は垂直方向に向いており、第1の構成要素245は、クレードル242と接触することになる異なる位置への移動がされていない。接続要素200は、ハンマ構成要素236の方へ押されていない。
【0035】
図4Bは、アーク故障事象の後のトリップした位置におけるMCCBの側面図を図示するものである。このトリップした位置において、回転可能な導体410は、この回転可能な導体を流れる閾値を超える電流に応答して反時計回りに回転する。トリップした位置において、可動接点(402、404)は固定接点(406、408)に接触しておらず、電流は、固定接点(406、408)間を流れることができない。可動接点(402、404)が固定接点(406、408)から離れるとアーク放電事象が生じ、エネルギーが放出され、遮断ユニット内の圧力が上昇する。上昇した圧力は、流体連通を介して、図2Aの断面図において示されるチャンバ210に伝わる。圧力の上昇に応答して、ハンマ構成要素236は、トリップ機構230の方へ押され、トリップ機構230を起動する。図4Bは、トリップ機構の起動後におけるMCCB内の様々な構成要素の位置を図示するものである。トリップ機構230の起動により、遮断器ハンドル240は図4Bにおいて示されるトリップした位置まで動き、遮断器ハンドル240は、図4Aにおいて示されるオン位置に対して反時計回りに回転する。
【0036】
図4Cは、オフ位置においてリセットされているMCCBの側面図を図示するものである。図4Cにおいて、遮断器ハンドル240は、図4Bに示されるトリップの位置に対して、図4Cに示されるオフ位置まで反時計回りに回転する。図4Cにおいて、遮断器ハンドル240は、反時計回りにオフ位置まで回転させる。遮断器ハンドル240は、例えば遮断器ハンドル240を手動操作するユーザによって、リセット位置に押しやられる。オフ位置において、可動接点(402、404)は、図4Bのように固定接点(406、408)に接触していない。再び図4Cを参照するに、クレードル242が遮断器ハンドル240とともに同一のピボット243の周りを回転するように遮断器ハンドル240に機械的に接続されたクレードル242は、第1の構成要素245に接触する。クレードル242と第1の構成要素245との間の接触は、第1の構成要素245に時計回りに回転するように力を加える。それにより、第1の構成要素245は、接続要素200に接触するまで回転する。すると、接続要素200は、ハンマ構成要素236に接触するまで反時計回りに回転する。ハンマ構成要素236は、接続要素200の接触により、通常動作のトリップしていない位置へ戻される。従って、接続要素200は、MCCB内のピストントリップ内において、遮断器ハンドル240と可動面に機械的に接続されたハンマ構成要素236との間の機械的接続を提供する。遮断器ハンドル240をリセット位置へ操作した後のMCCBの動作において、遮断器ハンドル240は、図4Aに示されるトリップしていない位置に戻ることができる。
【0037】
本開示の特定の実施形態及び適用例が図示され、説明されているが、本開示は、本明細書において開示された厳密な構造及び構成に限定されるものではなく、種々の修正、変更及び変形が、添付の特許請求の範囲において特定される本発明の要旨及び範囲から逸脱することなく、上記の記載から明確であるものと理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C