(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5914550
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】電気機械と共に使用するためのシフトギアボックス
(51)【国際特許分類】
F16H 3/10 20060101AFI20160422BHJP
F16D 41/06 20060101ALI20160422BHJP
F16D 11/04 20060101ALI20160422BHJP
B60K 17/08 20060101ALI20160422BHJP
F16H 1/28 20060101ALI20160422BHJP
F16D 41/08 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
F16H3/10
F16D41/06 F
F16D11/04 Z
B60K17/08 M
F16H1/28
F16D41/08 Z
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-41710(P2014-41710)
(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公開番号】特開2014-173731(P2014-173731A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2014年3月5日
(31)【優先権主張番号】10 2013 102 161.1
(32)【優先日】2013年3月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ノブロック
【審査官】
河端 賢
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−031199(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3087149(JP,U)
【文献】
特開2011−169375(JP,A)
【文献】
実開昭59−022345(JP,U)
【文献】
特開2013−001181(JP,A)
【文献】
実開平06−058612(JP,U)
【文献】
特開2004−052789(JP,A)
【文献】
特開平06−323376(JP,A)
【文献】
特開2002−067717(JP,A)
【文献】
特開平11−240349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/10
B60K 17/08
F16D 11/04
F16D 41/06
F16D 41/08
F16H 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切替え可能に構成してある第1のギアと第2のギアとを含む2つのギアを有するシフトギアボックス(1)であって、
前記ギアボックス(1)の入力シャフト(2)を電気機械(3)によって駆動させることができ、前記入力シャフト(2)が、少なくとも1つの一方向クラッチ(4)を介して前記ギアボックス(1)の出力シャフト(5)に接続され、
前記一方向クラッチ(4)に対して同軸に配置された遊星ステージ(6)が、自動車の車輪(30)、または車輪(30)を有する車軸(7)を駆動するために、前記入力シャフト(2)に接続された遊星キャリア(15)、太陽歯車(17)、前記一方向クラッチ(4)と前記出力シャフト(5)とに接続可能に配置された内歯車(21)を備える内歯車キャリア(22)および前記太陽歯車(17)と前記内歯車(21)との間に噛合配置されて前記遊星キャリア(15)の回転に伴って中心位置が移動する遊星歯車(16)を含んでおり、更に前記内歯車キャリア(22)の外側に設けた外側歯列(23)により前記ギアボックス(1)の前記出力シャフト(5)に接続され、
前記第1のギアは、前記遊星ステージ(6)が駆動パワーの伝達には寄与せず、前記駆動パワーは前記入力シャフト(2)及び前記一方向クラッチ(4)を介して前記出力シャフト(5)に伝達するように設定されたものであり、
前記第2のギアは前記遊星ステージ(6)の太陽歯車(17)を固定化し、前記遊星ステージ(6)の他の構成を駆動することにより、前記一方向クラッチ(4)を空転させて、前記駆動パワーは前記内歯車キャリア(22)を介して前記出力シャフト(5)に伝達するように設定されるものであり、
前記遊星ステージ(6)は前記太陽歯車(17)の固定化と非固定化とを切替え可能であり、前記太陽歯車(17)が非固定化のときに前記第1のギアとなり、前記太陽歯車(17)が固定化のときに前記第2のギアとなる、ことを特徴とするシフトギアボックス(1)。
【請求項2】
前記入力シャフト(2)が中間シャフトであり、前記電気機械(3)の回転子シャフト(11)が、平歯車(12)を介して前記入力シャフト(2)に接続されることを特徴とする請求項1に記載のシフトギアボックス。
【請求項3】
前記一方向クラッチ(4)が、フリーホイールの形態であることを特徴とする請求項1または2に記載のシフトギアボックス。
【請求項4】
前記一方向クラッチ(4)が、前記駆動パワーを前記電気機械(3)から前記出力シャフト(5)へ伝達する一方の位置と、前記駆動パワーを前記出力シャフト(5)から前記電気機械(3)へ伝達する他方の位置とを切替え可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のシフトギアボックス。
【請求項5】
前記入力シャフト(2)を、前記一方向クラッチ(4)によって、前記一方向クラッチ(4)に対して平行に配置された前記遊星ステージ(6)の内歯車キャリア(22)と動作する際に接続させることができ、前記内歯車キャリア(22)が、前記ギアボックス(1)の前記出力シャフト(5)に接続されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシフトギアボックス。
【請求項6】
前記内歯車キャリア(22)が、外側歯列(23)を有し、前記外側歯列(23)が、ギアホイール(24)と相互に作用し、前記ギアホイール(24)が、一体回転するように前記出力シャフト(5)に接続され、前記ギアホイール(24)が、平歯車の形態であることを特徴とする請求項5に記載のシフトギアボックス。
【請求項7】
前記ギアのシフティングのために、前記遊星ステージ(6)の太陽歯車(17)を固定化することができることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のシフトギアボックス。
【請求項8】
ブレーキとして作用するアクチュエータ(19)によって前記太陽歯車(17)を固定化することができることを特徴とする請求項7に記載のシフトギアボックス。
【請求項9】
前記ブレーキが、乾式ブレーキの形態であることを特徴とする請求項8に記載のシフトギアボックス。
【請求項10】
前記ギアボックス(1)が、自動車の両側に配置された前記自動車の車輪を駆動する働きをし、前記出力シャフト(5)が、前記自動車の前記車軸(7)の2つの車軸セクションのディファレンシャルギアボックス(10)と相互作用することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のシフトギアボックス。
【請求項11】
前記シフトギアボックス(1)が単一の車輪(30)を駆動する働きをし、鏡映対称に配置されたパワーシフトギアボックス(1、1)によって、前記自動車の同じ車軸(7)の2つの車輪(30、30)を互いに独立して駆動させることができ、前記シフトギアボックス(1、1)の前記遊星ステージ(6、6)内の前記太陽歯車(17、17)を共に固定化することができることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のシフトギアボックス。
【請求項12】
単一のアクチュエータ(19)を、前記シフトギアボックス(1、1)の前記遊星ステージ(6、6)内の前記太陽歯車(17、17)と接続させることができることを特徴とする請求項11に記載のシフトギアボックス。
【請求項13】
前記単一のアクチュエータ(19)によって、切替え可能なクラッチの形態での前記一方向クラッチ(4)を切り替えることができることを特徴とする請求項12に記載のシフトギアボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのギアを有するシフトギアボックスであって、ギアボックスの入力シャフトを電気機械によって駆動させることができ、入力シャフトが、少なくとも1つの一方向クラッチを介してギアボックスの出力シャフトに接続されるシフトギアボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
前記タイプのシフトギアボックスは、実践より知られている。そのようなシフトギアボックスは、2つの平歯車を保持する回転子シャフトを有する電気機械と共に使用することができる。前記2つの平歯車のうち、一方は、回転子シャフトに固定接続され、他方は、クラッチが閉じているときに一体回転するように回転子シャフトに接続されることができる。回転子シャフトに固定接続された平歯車は、フリーホイールを介してさらなるシャフトに取り付けられた平歯車と噛み合う。前記さらなるシャフトは、一体回転するようにさらなる平歯車を保持する。前記さらなる平歯車は、クラッチによってのみ作動させることができる回転子シャフトの平歯車と係合する。ギアボックスのフリーホイールが割り当てられるシャフトは、一体回転するようにさらなる平歯車を保持し、前記さらなる平歯車は、ディファレンシャルのギアホイールと相互作用する。自動車の側部に配置され、自動車の車軸の2つの車軸セクションに割り当てられる2つの車輪を、前記ディファレンシャルを介して駆動させることができる。
【0003】
シフトギアボックスの前記構成における欠点は、回転子シャフトに取り付けられた平歯車が、回転子シャフトに対して平行に配置されたシャフトの平歯車と永久的に係合していることである。
【0004】
ギアボックスで使用されるフリーホイールは、一方向クラッチを構成する。他方のクラッチが閉じられ、それにより、前記クラッチに割り当てられた平歯車が一体回転するように回転子シャフトに接続される場合、回転子シャフトに対して平行に配置されたシャフトが、フリーホイールが空転される角速度で駆動され、それに従って、フリーホイールを介さずにトルクが伝達される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、簡単な設計で、ギアボックスのギアの簡単なシフティングが可能になるように、冒頭で述べたタイプのシフトギアボックスをさらに発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、冒頭で述べたタイプのシフトギアボックスの場合、クラッチに対して平行に配置された遊星ステージ(遊星段)が、自動車の車輪、または車輪を有する車軸を駆動するために、ギアボックスの出力シャフトに接続され、遊星ステージが切替え可能であることによって達成される。
【0007】
本発明によるシフトギアボックスの設計により、遊星ステージまたは遊星歯車セットがブロックとして回転するので、一方のギア、特に第1のギアでは、一方向クラッチのみを介するパワーフローとなる。遊星ステージの切替え、すなわち遊星ステージの固定化により、他方のギア、特に第2のギアへのシフトが生じ、それにより、一方向クラッチが空転される。
【0008】
特に、上記シフトギアボックスは、入力シャフトが中間シャフトであり、電気機械の回転子シャフトが、平歯車ステージまたは遊星ステージを介して中間シャフトに接続されるように構成される。
【0009】
一方向クラッチは、様々な設計のものでよい。一般に、一方向クラッチは、非嵌合係止または嵌合係止作用を有するクラッチである。クラッチは、例えば、フリーホイール、または切替え可能なクラッチの形態である。前記切替え可能なクラッチは、例えば、ジョークラッチである。
【0010】
切替え可能なクラッチの形態であるクラッチは、クラッチが、1つの切替え位置で1つの回転方向に作用し、別の切替え位置で逆の回転方向に作用するように設計され得る。上記設計は、一方のギア、特に第1のギアでの回生、したがって発電機モードでの電気機械の動作を可能にする。電気機械が電動機モードのときにのみトルクの伝達を可能にする一方向のみのクラッチとは対照的に、逆向きに変更されたジョークラッチの形成により、逆の回転方向で電気機械にトルクを導入することが可能である。しかし、これは、クラッチの切替え可能な設計を必要とする。
【0011】
遊星ステージは、入力シャフトを、クラッチによって、クラッチに対して平行に配置された遊星ステージの内歯車または内歯車キャリアと動作接続させることができるように設計されるのが好ましく、内歯車または内歯車キャリアは、ギアボックスの出力シャフトに接続される。内歯車キャリアは、特に、外側歯列を有する。外側歯列は、ギアホイールと相互作用する。ギアホイールは、一体回転するように出力シャフトに接続される。前記ギアホイールは、特に平歯車の形態である。
【0012】
遊星ステージの切替えは、様々な方法で実現することができる。ギアのシフティングのために、遊星ステージの太陽歯車を固定化することができる場合に、特に有利であると考えられている。太陽歯車は、好ましくは、アクチュエータ、特にブレーキによって固定化することができる。ブレーキは、特に、乾式ブレーキの形態である。
【0013】
シフトギアボックスは、例えば、自動車の両側に配置された自動車の車輪を駆動する働きをする。この場合、出力シャフトは、自動車の車軸の2つの車軸セクションのディファレンシャルと相互作用する。
【0014】
あるいは、シフトギアボックスが単一の車輪を駆動する働きをし、鏡映対称に配置されたシフトギアボックスによって、自動車の同じ車軸の2つの車輪を互いに独立して駆動させることができるようになっている。この場合、異なるパワーシフトギアボックスの遊星ステージ、特に太陽歯車を、共に固定化することができる。したがって、個別車輪駆動機構が実現され、2つの電気機械が、各々の一方向クラッチ/遊星ギアボックス構成を介して各々の車輪に作用する。ここで特に有利なのは、2つの遊星ステージ、または2つの遊星ステージの太陽歯車の固定化に、アクチュエータが1つしか要求されない。したがって、ギアのシフティングのために、アクチュエータが1つしか要求されず、さらに、両方の駆動機構の同時のシフティングが保証される。
【0015】
したがって、上記の改良形態を含む本発明は、電動車輪または車軸のための2つのギアを有するシフトギアボックスを提案する。このために、電気機械は、平歯車または遊星ステージによって中間シャフトに接続される。中間シャフトはさらに、例えばフリーホイールの形態である少なくとも1つの一方向クラッチを介して、かつ、前記クラッチに対して平行に配置され、特に固定化することができる太陽歯車と共に構成された遊星ステージを介して、車軸を駆動するためにディファレンシャルに接続されるか、または個々の車輪を駆動するために車軸セクションのシャフトのギアホイールに接続される。したがって、一方のギア、特に、遊星ステージまたは遊星ステージの太陽歯車が固定または制動されない第1のギアでは、遊星歯車セットがブロックとして回転するので、2つの歯列ステージのみを介するパワーフローとなる。他方の、特に第2のギアへのシフトは、遊星歯車セットまたは太陽歯車を固定化することによって実現され、一方向クラッチが非作動にされ、特にフリーホイールが空転される。
【0016】
本発明の上述した改良形態に鑑みて、遊星ステージと相互作用するブレーキ/クラッチによって、さらに一方向クラッチ、特にフリーホイールによって、本発明によるシフトギアボックスを使用してパワーシフトを行うことができる。パワーシフト機能は、単一のアクチュエータによって実施することができる。ブレーキ/クラッチを乾式ブレーキの形態にすることができることにより、スリップ損失が低くなり、したがって効率が高くなる。パワーフロー内にあり動作する歯列ステージを2つのみ備える第1のギア(一次ギア)では、切替え可能な遊星歯車セットがブロックとして回転し、パワーフローの一部ではないという条件の下で、効率面でかなりの利点があり、遊星歯車セット構成要素に対する負荷がない。非常に良好なフェールセーフ特性が得られる。したがって、第1のギアでのフリーホイールと、第2のギアに関する通常は開いているブレーキまたはクラッチとが存在する。第1のギアでフリーホイールが使用される場合、第2のギアでのみ回生が可能である。第1のギアでの回生機能が要求される場合には、フリーホイールは、クラッチ、好ましくはジョークラッチによって補完される。ジョークラッチおよびブレーキのために、アクチュエータが1つのみ設けられることが好ましい。上記ギアボックス構成の場合、はねかけ潤滑を実現することができるので、オイルポンプは必要ない。ギアボックスの上記構成のおかげで、ギアボックスは、最小限の径方向シャフト封止リングしか要求しない。これにより、高い効率が得られる。
【0017】
本発明のさらなる特徴は、従属請求項、添付図面、および図面に示される好ましい例示的実施形態の説明から理解され、しかし本発明はそれらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】電気機械およびディファレンシャルギアボックスに接続されたシフトギアボックスの第1の例示的実施形態の概略図である。
【
図2】第1の例示的実施形態によるシフトギアボックスに関する好ましい軸受および封止の構想を示す図である。
【
図3】鏡映配置の2つのシフトギアボックスを備える、各々のシフトギアボックスが1つの電気機械および自動車の車軸の単一の車輪と相互作用する、シフトギアボックスの第2の例示的実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1による例示的実施形態は、2つのギアを有するシフトギアボックス1を示す。ギアボックス1の入力シャフト2は、電気機械3によって駆動することができる。入力シャフト2は、一方向クラッチ4を介して、ギアボックス1の出力シャフト5に接続される。自動車、特に乗用車の2つの車輪(図示せず)を備える車軸を駆動するために、クラッチ4に対して平行に配置された遊星ステージ6または遊星歯車セットが、平歯車ステージ23、24を介して出力シャフト5に接続される。車軸7は、2つのシャフト8および9を有する。一方のシャフトが一方の車輪に接続され、他方のシャフトが他方の車輪に接続される。ディファレンシャルギアボックス10の入力は、出力シャフト5によって形成され、ディファレンシャルギアボックス10は、2つのシャフト8および9の間で作用する。
【0020】
具体的には、入力シャフト2は、中間シャフトである。電気機械3の回転子シャフト11は、一体回転するように平歯車12に接続される。平歯車12は平歯車13と噛み合う。平歯車13は、一体回転するようにギアボックス1の入力シャフト2に接続される。電気機械3の回転子は、参照番号14で表される。当然、平歯車12および13によって形成される平歯車ステージの代わりに、遊星タイプの構成のステージを設けることもできる。
【0021】
クラッチ4は、フリーホイール、例えばクランピングローラを使用するフリーホイールの形態をとっている。任意選択的に、特に電気機械3が電動機モードではなく発電機モード、したがって回生モードで動作されることが望まれる場合には、ジョークラッチと、対応するアクチュエータとの組合せを設けることができる。
【0022】
遊星ステージ6の設計に関して、遊星歯車16を保持する遊星キャリア15が、一体回転するようにギアボックス1の入力シャフトに接続される。遊星歯車16は、太陽歯車17と噛み合う。太陽歯車17は、一体回転するようにシャフト18に接続される。シャフト18、したがって太陽歯車17は、ブレーキの形態でアクチュエータ19によって固定化され得る。前記アクチュエータは、切替え可能である。前記アクチュエータは、オートマチックギアボックスのブレーキと同様に、一体回転するようにシャフト18に接続されたブレーキディスク20をクランプする。ブレーキは、特に、乾式ブレーキである。
【0023】
さらに、遊星歯車16は、遊星ステージ6の内歯車21と噛み合う。前記内歯車21は、内歯車キャリア22と相互作用する。内歯車キャリア22は、フリーホイールクラッチ4と相互作用する。内歯車キャリア22は、径方向外側で平歯車23に接続される。平歯車23は、平歯車24と噛み合う。平歯車24は、一体回転するように出力シャフト5に接続される。出力シャフト5とディファレンシャルハウジング25とが、構造ユニットを形成する。
【0024】
上述したパワーシフト可能なシフトギアボックス1の動作形態は、以下に記されている。
【0025】
第1のギア(一次ギア)において、太陽歯車17が固定化されていないアクチュエータ19の機能位置の場合には、2つの歯列ステージのみがパワーフロー内にあり、動作する。具体的には、第1のギアでは、回転子シャフト11が回転子14を介して駆動される。前記回転子シャフトが、平歯車12を介して平歯車13を駆動する。平歯車13は、入力シャフト2を駆動し、フリーホイールクラッチ4を介して、内歯車キャリア22、従って平歯車23を駆動する。平歯車23は、平歯車24を駆動する。平歯車24は、ディファレンシャルギアボックス10を介して、自動車の車輪に割り当てられた2つのシャフト8および9を駆動する。太陽歯車17が固定化されないことにより、切替え可能な遊星ステージ6はブロックとして回転し、パワーフロー内にない。
【0026】
固定化されたブレーキディスク20によって太陽歯車17が固定化されるようにアクチュエータ19が作動される場合、シフトギアボックス1は、第2のギア(二次ギア)に入る。このとき、太陽歯車17が静止した状態で、トルクは、回転子14から回転子シャフト11を介して平歯車12に流れる。そこからトルクは平歯車13、さらに入力シャフト2へと流れ、入力シャフト2は、フリーホイールが空転されるような角速度で回転する。遊星キャリア15は、入力シャフト2と同じ角速度で回転する。前記遊星キャリアによって駆動される遊星歯車16が、内歯車21を駆動し、それに従って内歯車キャリア22が、内歯車21と同じ角速度で回転する。内歯車キャリア22は、その外側歯列を介して、内歯車キャリア22に固定接続された平歯車23を駆動し、前記平歯車が順に、平歯車24およびディファレンシャルギアボックス10を介してシャフト8および9を駆動する。
【0027】
フリーホイールクラッチ4が使用される場合、例示的実施形態によるギアボックスの構成により、第2のギアでのみ回生が可能である。第1のギアでの回生機能が必要とされる場合、フリーホイールは、クラッチ、好ましくはジョークラッチによって補完される。ジョークラッチおよびブレーキのために、アクチュエータが1つだけ設けられることが好ましい。
【0028】
図2は、軸受および封止の構想を示す。参照番号26は、前記構成で使用される第1の軸受を表す。前記第1の軸受は、軸方向軸受、特に軸方向針状ころ軸受の形態である。参照番号27は、前記構成で使用される第2の軸受を表す。前記第2の軸受は、径方向軸受、特に径方向(針状ころ)軸受の形態である。参照番号28は、前記構成で使用される第3の軸受を表す。前記第3の軸受は、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、円錐ころ軸受、または円筒ころ軸受である。封止の構想に関して、参照番号29が、前記構成で使用される4つの径方向シャフト封止リングを表す。また、ブレーキアクチュエータの形態でのアクチュエータ19も示される。前記アクチュエータ19は、様々な設計変形形態で設けられ得る。例えば、電動式、電磁式、油圧式、または空気圧式で作用することができる。
【0029】
図3による例示的実施形態は、1つのシフトギアボックスではなく、鏡映対称に配置された2つのシフトギアボックス1、1が設けられる点で、
図1の例示的実施形態とは異なる。
図1による例示的実施形態とは対照的に、2つのギアボックス1、1に割り当てられたブレーキディスク20のために共通のアクチュエータ19が設けられ、それにより、2つのギアボックス1、1の2つの太陽歯車17を同時に固定化、および同時に解放することができる。駆動出力側で、平歯車24は、ディファレンシャルギアボックス10に割り当てられた出力シャフト5と相互作用せず、前記出力シャフト5は、各シャフト8または9に固定接続される。
図3による例示的実施形態は、自動車の車軸7の車輪30のための個別車輪駆動機構である。各シャフト8または9が、アーティキュレーテッドシャフト31を介して、前記各シャフト8または9に割り当てられた車輪30と相互作用する。
【0030】
2つのシフトギアボックス1、1から形成される前記構成の動作形態に関しては、
図1の例示的実施形態の動作形態に関して述べた説明を参照されたい。
図3による例示的実施形態の軸受の構想は、
図1による例示的実施形態のものに対応する。封止の構想に関しては、
図3による例示的実施形態では、6つの径方向シャフト封止リングが設けられる。
【0031】
特に、上記の場合、
図1による構成を、基本的な解決策または基本的な駆動機構とみなすことができる。前記構成が2つ提供されるとき、モジュール式システムの形で、
図3のような構成がもたらされる。
【符号の説明】
【0032】
1 シフトギアボックス
2 入力シャフト
3 電気機械
4 クラッチ
5 出力シャフト
6 遊星ステージ
7 車軸
8 シャフト
9 シャフト
10 ディファレンシャルギアボックス
11 回転子シャフト
12 平歯車
13 平歯車
14 回転子
15 遊星キャリア
16 遊星歯車
17 太陽歯車
18 シャフト
19 アクチュエータ
20 ブレーキディスク
21 内歯車
22 内歯車キャリア
23 平歯車
24 平歯車
25 ディファレンシャルハウジング
26 軸受
27 軸受
28 軸受
29 径方向シャフト封止リング
30 車輪
31 アーティキュレーテッドシャフト