(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加入者側終端装置で動作中のファームウェアの設定情報を受信して前記ファームウェアを更新する更新ファームウェアの新設定情報を、前記設定情報を元に生成する設定情報生成部と、
前記加入者側終端装置に前記更新ファームウェアと前記新設定情報とを送信する更新情報送信部と、
前記加入者側終端装置から、更新開始通知を受信してから更新終了通知を受信するまでの間の下り通信の通信情報を局側バッファに蓄積させる局側バッファ制御部と、
前記加入者側終端装置からの応答が所定の時間の間ない場合に、前記加入者側終端装置との接続が切断したことを判定し、前記ファームウェアの更新中は前記判定を行わないリンク断判定部と
を具備することを特徴とする局側終端装置。
【背景技術】
【0002】
ネットワークシステムの一つとして、大規模加入者に光通信サービスを経済的に提供するPON(Passive Optical Network)システムがある。PONシステムは、通信事業者側に局側終端装置、加入者宅側に加入者側終端装置を設置し、複数台の加入者側終端装置を局側終端装置で通信管理することで構成される。加入者側終端装置は、脆弱性の修正や新規機能追加を反映するためにファームウェアのアップデート(更新)を行うことで常に最新の状態にしておく必要がある。以降の説明において局側終端装置をOLT(Optical Line Terminal)、加入者側終端装置をONU(Optical Network Unit)、とそれぞれを称する場合がある。
【0003】
ファームウェアを更新する場合、ONU内部の既存のファームウェアが動作していた記憶領域に新しいファームウェアを書き込むため、ファームウェアを動作させながらファームウェアを更新することができない。そのため、ファームウェアを更新する間と更新後に再び接続確立を行う(ONUの再起動)までの間は、該当するONUを経由する通信ができない。その結果、サービスが中断する時間が発生する。
【0004】
ファームウェアの更新後に行うONUの再起動には、OLTによるONU登録と、OLT−ONU間の信号伝搬時間を測定した上でのリンクの確立と、ネットワークの保守・管理を行うためのOAM(Operation Administration and Maintenance)フレームのやりとりを通したOAMリンクの確立と、更に認証/暗号鍵交換とを行い接続確立に必要となるONU情報を共有しなければならない。
【0005】
サービスが中断する時間を短縮する目的で、ONU情報をOLT間で共有する方法が、例えば特許文献1に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、局側終端装置内に冗長な光加入者終端盤(OSU:Optical Subscriber Unit)を設け、OSUのファームウェアの更新時に生じる通信遮断の回避を目的にしたものである。よってその技術では、加入者側終端装置のファームウェアを更新する場合に対処することができない。
【0008】
今まで、加入者側終端装置のファームウェアの更新時に生じる通信遮断を生じさせないようにした技術は開示されていない。よって、加入者側終端装置のファームウェアを更新するには、動作中のファームウェアを停止させてファームウェアを更新し、その後に加入者側終端装置を再起動させる必要がある。その間に、局側終端装置と加入者側終端装置との間の通信が遮断され、サービスが中断する課題が生じる。
【0009】
本発明は、この課題に鑑みてなされたものであり、加入者側終端装置のファームウェアを更新する際にサービスを中断させないようにしたネットワークシステム、ファームウェア更新方法、局側終端装置及び加入者側終端装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のネットワークシステムは、局側終端装置と加入者側終端装置とホームゲートウェイとを具備するネットワークシステムであって、前記局側終端装置は、前記加入者側終端装置で動作中のファームウェアの設定情報を受信して前記ファームウェアを更新する更新ファームウェアの新設定情報を、前記設定情報を元に生成する設定情報生成部と、前記加入者側終端装置に前記更新ファームウェアと前記新設定情報とを送信する更新情報送信部と、前記加入者側終端装置から、更新開始通知を受信してから更新終了通知を受信するまでの間の下り通信の通信情報を局側バッファに蓄積させる局側バッファ制御部とを具備し、前記加入者側終端装置は、前記ファームウェアを記憶する第1の記憶部と、前記更新ファームウェアを記憶する第2の記憶部と、前記新設定情報と前記更新ファームウェアとを受信して補助記憶部に記憶する受信部と、前記補助記憶部に記憶された前記更新ファームウェアを前記第2の記憶部に書き込む更新部と、前記第2の記憶部に書き込まれた前記更新ファームウェアに前記新設定情報を反映した更新設定情報を適用する復元部と、前記第2の記憶部に前記更新ファームウェアを書き込んだ後に前記更新開始通知を、当該更新ファームウェアに前記更新設定情報を適用した後に前記更新終了通知を、前記局側終端装置と前記ホームゲートウェイに送信する通知部とを具備し、前記ホームゲートウェイは、前記加入者側終端装置から前記更新開始通知を受信してから前記更新終了通知を受信するまでの間の上り通信の通信情報を加入者側バッファに蓄積する加入者側バッファ制御部を具備する。
【0011】
また、本発明のファームウェア更新方法は、局側終端装置と加入者側終端装置とホームゲートウェイとを具備するネットワークシステムが行うファームウェア更新方法であって、前記局側終端装置は、前記加入者側終端装置で動作中のファームウェアの設定情報を受信して前記ファームウェアを更新する更新ファームウェアの新設定情報を、前記設定情報を元に生成し、前記加入者側終端装置に更新ファームウェアと前記新設定情報とを送信し、前記加入者側終端装置から、更新開始通知を受信してから更新終了通知を受信するまでの間の下り通信の通信情報を局側バッファに蓄積し、前記加入者側終端装置は、前記新設定情報と前記更新ファームウェアとを受信して補助記憶部に記憶し、前記補助記憶部に記憶された前記更新ファームウェアを第2の記憶部に書き込み、前記第2の記憶部に書き込まれた前記更新ファームウェアに前記新設定情報を反映した更新設定情報を適用し、前記第2の記憶部に前記更新ファームウェアを書き込んだ後に前記更新開始通知を、当該更新ファームウェアに前記更新設定情報を適用した後に前記更新終了通知を、前記局側終端装置と前記ホームゲートウェイに送信し、前記ホームゲートウェイは、前記加入者側終端装置から前記更新開始通知を受信してから前記更新終了通知を受信するまでの間の上り通信の通信情報を加入者側バッファに蓄積する。
【0012】
また、本発明の局側終端装置は、加入者側終端装置で動作中のファームウェアの設定情報を受信して前記ファームウェアを更新する更新ファームウェアの新設定情報を、前記設定情報を元に生成する設定情報生成部と、前記加入者側終端装置に前記更新ファームウェアと前記新設定情報とを送信する更新情報送信部と、前記加入者側終端装置から、更新開始通知を受信してから更新終了通知を受信するまでの間の下り通信の通信情報を局側バッファに蓄積させる局側バッファ制御部と
、前記加入者側終端装置からの応答が所定の時間の間ない場合に、前記加入者側終端装置との接続が切断したことを判定し、前記ファームウェアの更新中は前記判定を行わないリンク断判定部とを具備する。
【0013】
また、本発明の加入者側終端装置は、ファームウェアを記憶する第1の記憶部と、前記ファームウェアの更新ファームウェアを記憶する第2の記憶部と、動作中の前記ファームウェアの設定情報と前記更新ファームウェアの新設定情報と、前記更新ファームウェアとを受信して補助記憶部に記憶する受信部と、前記補助記憶部に記憶された前記更新ファームウェアを前記第2の記憶部に書き込む更新部と、前記第2の記憶部に書き込まれた前記更新ファームウェアに前記新設定情報を反映した更新設定情報を適用する復元部と、前記第2の記憶部に前記更新ファームウェアを書き込んだ後に更新開始通知を、当該更新ファームウェアに前記更新設定情報を適用した後に更新終了通知を、局側終端装置とホームゲートウェイに送信する通知部と
、前記第1の記憶部に記憶されている動作中のファームウェアが利用している設定情報を読み出して補助記憶部に記憶させるとともに、前記ファームウェアに対応した保守情報と自動設定用パラメータを前記局側終端装置に送信する設定情報待避部とを具備する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ネットワークシステムを構成する加入者側終端装置のファームウェアを更新する際にサービスを中断させない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0017】
〔ネットワークシステムの構成〕
ネットワークシステムとして例えばPONシステムを例に、本実施の形態を説明する。
図1に、PONシステムによるネットワークシステム1の機能構成例を示す。PONとは、アクセス網形態の一つである「Passive Optical Network」の略称である。
【0018】
ネットワークシステム1は、局側終端装置10と、光スプリッタ20と、加入者側終端装置30と、ホームゲートウェイ40とで構成される。局側終端装置10の内部には、光加入者終端盤(OSU)と称される光信号と電気信号とを相互に変換するメディアコンバータが含まれる。以降の説明においては、光加入者終端盤を含めて局側終端装置10と称する。
【0019】
なお、局側終端装置10から出力される一本の光ファイバで伝搬される光信号は、光−電気変換を行わない低コストな受動素子である光スプリッタ20で複数(最大32分岐)に分岐された後に、加入者側終端装置30に入力される。
図1では、1個の加入者側終端装置30のみを表記し、他の複数の加入者側終端装置の表記は省略している。また、本実施の形態は、光スプリッタ20の有無に関係なく実施が可能であることから、光スプリッタ20を破線で表記している。局側終端装置10と加入者側終端装置30は、光ファイバによって接続される。
【0020】
加入者側終端装置30は、局側終端装置10から入力される光信号を電気信号に変換してホームゲートウェイ40を介してユーザの例えばパーソナルコンピュータ(以降PCと称する)50に入力すると共に、PC50からホームゲートウェイ40を介して入力される電気信号を光信号に変換して局側終端装置10に入力する。
【0021】
次に、局側終端装置10、加入者側終端装置30、及びホームゲートウェイ40の各装置の構成について説明する。なお、各装置の機能構成は、本実施の形態の説明に必要な部分のみを示し、他の一般的な機能構成の表記は省略する。
【0022】
〔局側終端装置の構成と各部の機能〕
図2に、局側終端装置10の機能構成例を示す。局側終端装置10は、OLT−IF部
11と、局側バッファ12と、制御部13とを具備する。局側終端装置10は、例えばROM、RAM、CPU等で構成されるコンピュータに所定のプログラムが読み込まれて、CPUがそのプログラムを実行することで実現されるものである。以降に説明する他の装置についても同様である。
【0023】
OLT−IF部11は、制御部13と加入者側終端装置30との間を双方向に通信できるように接続する。局側バッファ12は、加入者側終端装置30からファームウェアの更新を開始したことを通知する更新開始通知を受信してから更新終了通知を受信するまでの間の下り通信の通信情報を蓄積する。下り通信とは、局側終端装置10からPC50に向けての通信である。
【0024】
制御部13は、局側終端装置10の動作を制御する。制御部13は更に、設定情報生成
部130と、更新情報送信部131と、リンク断判定部132と、Gate送信部133と、局側バッファ制御部134とを備える。
【0025】
設定情報生成部130は、加入者側終端装置30で動作中のファームウェアの設定情報を受信してファームウェアを更新する更新ファームウェアの新設定情報を、動作中のファームウェアの設定情報を元に生成する。ここで、更新ファームウェアとは、加入者側終端装置30で動作中のファームウェアを、更新(アップデート)するファームウェアである。また、設定情報とは、加入者側終端装置30を識別する識別子と、暗号鍵と、加入者側終端装置30の保守情報と、加入者側終端装置30の自動設定用パラメータとを含む情報である。
【0026】
設定情報に含まれる暗号鍵は、セキュリティの関係で加入者側終端装置30から外部に送信されることはない。加入者側終端装置30から局側終端装置10に送信される設定情報は、動作中のファームウェアの設定情報との差分が生じる可能性のある設定情報の一部である。
【0027】
更新ファームウェアの新設定情報は、ファームウェアによって変化する加入者側終端装置30の保守情報と自動設定用パラメータであり、受信した動作中のファームウェアの設定情報を元に生成される。ここで元に生成するとは、受信した設定情報に基づいてパラメータの変更の必要性を判断して新設定情報を生成することを意味する。新設定情報は、動作中のファームウェアの設定情報の保守情報と自動設定用パラメータの一部又は全部が変更されたものである。
【0028】
保守情報とは、例えばループバック機能のサポートの有無や、拡張OAMPDUのサポートの有無などの情報のことである。また、自動設定用パラメータとは、物理速度上限値や、キュー長(上り・下り)などの情報のことである。
【0029】
更新情報送信部131は、上記の更新ファームウェアと設定情報生成部130が生成した新設定情報とを加入者側終端装置30に送信する。
【0030】
リンク断判定部132は、加入者側終端装置30からの応答が所定の時間の間ない場合に、局側終端装置10と加入者側終端装置30とが接続しなくなったと判定する。接続しなくなることをリンク切断と称してもよい。リンク断判定部132は、加入者側終端装置30のファームウェアの更新中は働かない。つまりファームウェアの更新中、リンク断判定部132は局側終端装置10と加入者側終端装置30とが接続しなくなることを判定しない。
【0031】
Gate送信部133は、局側終端装置10が加入者側終端装置30と通信できる時間と情報量とを定期的に通知するGate信号を、加入者側終端装置30に送信する。定期的とは、例えば数マイクロ秒の間隔である。Gate信号は、ロジカルリンク(LLID:Logical Link Identification)に一意に割り当てられる識別子を用いたユニキャスト通信でやりとりされ、該当する加入者側終端装置が送信可能なデータ量と送信可能時間を通知する。
【0032】
局側バッファ制御部134は、加入者側終端装置30からファームウェアの更新開始通知を受信してから更新終了通知を受信するまでの間の下り通信の通信情報を局側バッファ12に蓄積する。
【0033】
〔加入者側終端装置の構成と各部の機能〕
図3に、加入者側終端装置30の機能構成例を示す。加入者側終端装置30は、OLT側−IF部31と、第1の記憶部32と、第2の記憶部33と、補助記憶部34と、HGW側−IF部35と、制御部36とを具備する。
【0034】
OLT側−IF部31は、制御部36と局側終端装置10との間を双方向に通信できるように接続する。第1の記憶部32は、加入者側終端装置30が動作するためのファームウェアを記憶するRAMでありファームウェアが動作するワークエリアである。第2の記憶部33は、上記の第1の記憶部32と異なる記憶領域のRAMであり更新(アップデート)された更新ファームウェアが動作するワークエリアである。
【0035】
補助記憶部34は、局側終端装置10から受信する更新ファームウェアと新設定情報を記憶する。補助記憶部34は、例えば書き換え可能な不揮発性メモリ(Flash Read Only Memory)で構成される。HGW側−IF部35は、制御部36とホームゲートウェイ40との間を双方向に通信できるように接続する。
【0036】
制御部36は加入者側終端装置30の動作を制御する。制御部36は更に、設定情報退避部360と、受信部361と、更新部362と、復元部363と、通知部364とを備える。
【0037】
加入者側終端装置30が局側終端装置10からファームウェアの更新要求を受信すると、設定情報退避部360は、第1の記憶部32に記憶されている動作中のファームウェアが利用している設定情報を読み出して補助記憶部34に退避させる。ここでは、暗号鍵を含めた全ての設定情報を補助記憶部34に退避させる。
【0038】
受信部361は、局側終端装置10から送信されて来る更新ファームウェアと新設定情報とを受信して補助記憶部34に記憶する。なお、受信部361が、局側終端装置10からのファームウェアの更新要求も受信して設定情報退避部360に動作開始のトリガを掛けるようにしてもよい。
【0039】
更新部362は、補助記憶部34に一度記憶された更新ファームウェアを読み出して第2の記憶部33に書き込む。復元部363は、第2の記憶部33に書き込まれた更新ファームウェアに新設定情報を反映した更新設定情報を適用する。ここで反映とは、設定情報退避部360によって退避された動作中のファームウェアの設定情報に、新設定情報を上書きすることである。また適用とは、新設定情報を上書きした設定情報を、必要な暗号鍵や識別子と組み合わせて更新ファームウェアに対応させることである。
【0040】
通知部364は、生成した更新開始通知と更新終了通知とを局側終端装置10とホームゲートウェイ40に送信する。更新開始通知は、更新部362が更新ファームウェアを第2の記憶部33に書き込んだ後に生成する。更新終了通知は、復元部363が更新ファームウェアに新設定情報を反映した更新設定情報を適用した後に生成する。
【0041】
〔ホームゲートウェイの構成と各部の機能〕
図4に、ホームゲートウェイ40の機能構成例を示す。ホームゲートウェイ40は、ONU側−IF部41と、加入者側バッファ42と、端末側−IF部43と、制御部44とを具備する。
【0042】
ONU側−IF部41は、制御部44と加入者側終端装置30との間を双方向に通信できるように接続する。加入者側バッファ42は、加入者側終端装置30のファームウェアの更新を開始してから終了するまでの間の上り通信の通信情報を蓄積する。上り通信とは、ホームゲートウェイ40に接続するユーザの例えばPC50から局側終端装置10に向けての通信である。端末側−IF部43は、制御部44とホームゲートウェイ40との間を双方向に通信できるように接続する。
【0043】
制御部44は、ホームゲートウェイ40の動作を制御する。
図4においては、ホームゲートウェイ40の動作を制御するための一般的な機能構成部の表記は省略して加入者側バッファ制御部440のみを表記している。加入者側バッファ制御部440は、加入者側終端装置30からファームウェアの更新開始通知を受信してから更新終了通知を受信するまでの間の上り通信を、加入者側バッファ42に蓄積する。
【0044】
〔ネットワークシステムの動作〕
各装置の機能構成例(
図2、
図3、
図4)と、
図5に示すネットワークシステム1の動作シーケンスを参照してその動作を説明する。
【0045】
局側終端装置10は、加入者側終端装置30に対してファームウェアの更新を要求する(ステップS1)。ファームウェアの更新要求を受信した加入者側終端装置30の設定情報退避部360は、第1の記憶部32に記憶されている動作中のファームウェアの設定情報を読み出して補助記憶部34に退避させる(ステップS3)。
【0046】
そして、設定情報退避部360は、差分の生じる可能性のある設定情報を局側終端装置10に送信する(ステップS4)。差分の生じる可能性のある設定情報とは、ファームウェアに対応した保守情報と自動設定用パラメータである。
【0047】
加入者側終端装置30から設定情報を受信すると、局側終端装置10の更新情報送信部131は、設定情報の変更の必要性を判断した上で更新ファームウェアに対応した設定情報の保守情報と自動設定用パラメータである新設定情報を生成して加入者側終端装置30に送信する(ステップS5)。更新情報送信部131は、続けて更新ファームウェア(新FW)を加入者側終端装置30に送信する(ステップS6)。
【0048】
加入者側終端装置30の受信部361は、受信した新設定情報と更新ファームウェアとを補助記憶部34に記憶する(ステップS7とS8)。次に、加入者側終端装置30の更新部362は、補助記憶部34に記憶された更新ファームウェアを読み出して(ステップS9)第2の記憶部33に書き込む(ステップS10)。
【0049】
ここまで、加入者側終端装置30は、第1の記憶部32に記憶されたファームウェアで動作するので、局側終端装置10とホームゲートウェイ40との間のサービスが中断することはない。なお、更新ファームウェアを第2の記憶部33に書き込む例で説明したが、ワークエリアが第2の記憶部33である場合も有り得る。その場合、更新部362は更新ファームウェアを第1の記憶部32に書き込む。つまり、更新ファームウェアの書き込まれる先は、更新ファームウェアを更新する度に第2の記憶部33と第1の記憶部32との間で交互に切替わる。
【0050】
更新部362による更新ファームウェアの書き込みが終了すると、加入者側終端装置30の通知部364は、局側終端装置10とホームゲートウェイ40にファームウェアの更新開始通知を送信する(ステップS11とS12)。更新開始通知を送信した後の加入者側終端装置30は動作を停止する。動作を停止した後の局側終端装置10とPC50との間の通信情報は、局側終端装置10とホームゲートウェイ40とに蓄積される。加入者側終端装置30が動作を停止して通信情報が蓄積される動作ステップの範囲を、
図5に破線で囲って示す。
【0051】
ファームウェアの更新開始の通知を受信した局側終端装置10の局側バッファ制御部134は、下り通信の通信情報を局側バッファ12に蓄積する(ステップS13)。ファームウェアの更新開始の通知を受けたホームゲートウェイ40の加入者側バッファ制御部440は、上り通信の通信情報を加入者側バッファ42に蓄積する(ステップS14)。
【0052】
加入者側終端装置30の復元部363は、ステップS7で補助記憶部34に書き込んだ新設定情報を読み出し(ステップS15)て、当該新設定情報をステップS3で退避した動作中のファームウェアの設定情報に上書きして更新設定情報に反映させ、その更新設定情報を必要な暗号鍵や識別子と組み合わせて更新ファームウェアに適用させる(ステップS16)。
【0053】
更新設定情報が更新ファームウェアに適用されると、更新ファームウェアでの動作が可能になる。加入者側終端装置30が再び動作が可能になるまでの間(ステップS11〜S16)、局側終端装置10が出力するGate信号の受信ができない。
図5において、Gate信号を受信できない状況の表記は省略している。
【0054】
Gate信号を受信できない間に、加入者側終端装置30と局側終端装置10との時刻が同期しなくなるが、更新ファームウェアでの動作が可能になった後のGate信号によって加入者側終端装置30と局側終端装置10の時刻は同期する(ステップS17、S18)。時刻が同期すると、加入者側終端装置30は更新ファームウェアで動作を開始する。
【0055】
動作を再開した加入者側終端装置30の通知部364は、更新終了通知を、局側終端装置10とホームゲートウェイ40に送信する(ステップS19、S20)。更新終了通知を受信した局側終端装置10は、局側バッファ12に蓄積した下り通信情報を加入者側終端装置30に送信する(ステップS21)。また、ホームゲートウェイ40は、加入者側バッファ42に蓄積した上り通信情報を加入者側終端装置30に送信する(ステップS22)。
【0056】
以上説明したように本実施の形態によれば、加入者側終端装置30に更新ファームウェアのワークエリアを別途用意することで、ファームウェアを動作させたままの状態で更新ファームウェアを書き込むことができる。また、局側終端装置10と加入者側終端装置30が通信するのに必要な加入者側終端装置の情報(上記のONU情報)を、事前に補助記憶部34に保存し、保存した情報を復元して利用するので、通信が遮断される時間を極小にすることができる。また、更新ファームウェアのアップデート中に加入者側終端装置30に届く通信情報を、局側終端装置10とホームゲートウェイ40とで蓄積するので、アップデート中のサービスの中断を生じさせない。
【0057】
つまり、本実施の形態は、ファームウェアを動作させたままの状態で加入者側終端装置30に更新ファームウェアを書き込むことができるので、更新ファームウェアのソフトウェアサイズの影響を受けずに更新ファームウェアのアップデートを可能にする効果を奏する。また、本実施の形態によれば局側終端装置10のリンク断判定部132が、アップデート中に加入者側終端装置30との接続が切断されたことを判定しないので、加入者側終端装置30を再接続する手順を不要とし、時刻同期を行う処理だけで再接続を可能にすることができる。
【0058】
一般的に、端末間の通信遅延が150msecを超えると高品質な電話サービス等の場合、その通信品質を保てなくなる。本実施の形態によれば、時刻同期を行う処理(ステップS18)に要する時間は、ナノ秒オーダーで完了する。したがって、通信情報の局側終端装置10とホームゲートウェイ40とによる蓄積(バッファ)処理とによって、加入者側終端装置30のファームウェアのアップデートを、サービスの中断を生じさせずに行うことができる。
【0059】
このように本実施の形態のネットワークシステム1によれば、従来、加入者側終端装置30の再起動を含めて長時間のサービス中断が生じていたファームウェアの更新を、サービスの提供を中断せずに行うことが可能である。また、サービスの提供を中断させないので通信状況を気にすることなくファームウェアの更新を行うことができる。
【0060】
本実施の形態は、局側終端装置10が一つの光加入者終端盤(OSU)を含む例で説明を行ったが、局側終端装置10が複数の光加入者終端盤を備える構成であってもよい。また、本実施の形態においては光スプリッタ20は有っても無くてもどちらでもよい。また、ホームゲートウェイ40にPC50が接続する例を示したが、PC50はPC以外の例えばデジィタルテレビ等であってもよい。
【0061】
なお、本実施の形態の説明をPONシステムを例に行ったが、本実施の形態に示した技術思想は、PONシステム以外のネットワークにも適用することが可能である。このように本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【解決手段】局側終端装置10は、加入者側終端装置30で動作中のファームウェアの設定情報を元に生成した新設定情報と更新ファームウェアを加入者側終端装置30に送信し、加入者側終端装置30から更新開始通知を受信してから更新終了通知を受信するまでの間の下り通信の通信情報を局側バッファに蓄積する。加入者側終端装置30は、新設定情報と更新ファームウェアとを第2の記憶部に書き込んだ後に更新ファームウェアに切替え、更新開始と更新終了を局側終端装置10とホームゲートウェイ40とに通知する。ホームゲートウェイ40は、加入者側終端装置30からファームウェアの更新開始の通知を受信してから更新終了の通知を受信するまでの間の上り通信の通信情報を加入者側バッファに蓄積する。